第1 7本の模範解答への案内
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令和4年司法試験の論文式試験について,公法系2問,民事系3問及び刑事系2問の模範解答と評価項目をまとめる。選択科目はこの一覧に含めない。各記事は,公表済みの出題の趣旨・採点実感から評価項目を独自に抽出し,1~5の重みを付けている。公式の模範解答,公式採点基準又は項目別配点ではない。
7記事の評価項目は計387項目,重み5は計95項目である。条件付きの許容分岐や注意の項目を含むため,この総数を一つの答案への累積要求と扱わない。科目ごとの解説,適用条件及び原資料の所在はリンク先で確認できる。
第2 各問題の模範解答
| 科目・記事 | 評価項目数 | 重み5の件数 |
|---|---|---|
| 公法系第1問(憲法) | 58 | 9 |
| 公法系第2問(行政法) | 53 | 8 |
| 民事系第1問(民法) | 70 | 10 |
| 民事系第2問(商法) | 55 | 8 |
| 民事系第3問(民事訴訟法) | 53 | 10 |
| 刑事系第1問(刑法) | 48 | 4 |
| 刑事系第2問(刑事訴訟法) | 50 | 2 |
| 合計 | 387 | 51 |
1 公法系第1問(憲法)
令和4年度司法試験公法系第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した58項目と5段階の重み付け
学問の自由と大学の自治を中心に,研究助成金の不交付と成績評価の是正を検討する。大学の自律性,個々の研究者の自由及び学生の利益を区別する。
評価項目は58項目,重み5は9項目である。重み5の公開表の番号は3・6・7・24・28・31・49・52・53である。各番号の充足条件と許容される構成は,当該記事の評価表と重み5の説明に従う。
重み5の全項目
番号3:大学の裁量の憲法上の根拠を大学自治から導く (由来:両者由来) 全答案(高評価事項は到達深度の指標であり累積必須ではない)
大学が自律的に決められる範囲を憲法上の自治から導くことが,単なる裁量論との分岐になる。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号6:自治の個人保障への奉仕と個人の自由との緊張関係を説明する (由来:両者由来) 全答案(高評価事項は到達深度の指標であり累積必須ではない)
自治が個人の学問の自由を支える一方で衝突する関係が,本問全体の審査構造を決める。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号7:総論の立場から両決定を評価し、学生利益等の差で結論差を説明する (由来:両者由来) 全答案(高評価事項は到達深度の指標であり累積必須ではない)
同じ総論の下で学生利益等の差による結論の違いを説明することが,二つの決定の整合性を決める。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号24:全研究員毎年交付の運用から不交付が研究自由の制約となると説明する (由来:両者由来) 全答案(高評価事項は到達深度の指標であり累積必須ではない)
全研究員への一律交付という従来の運用が,不交付を自由への制約と捉える根拠になる。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号28:機関の支援への研究依存と次年度の重大な研究支障を評価する (由来:両者由来) 全答案(高評価事項は到達深度の指標であり累積必須ではない)
研究支援への依存と翌年度の支障が,抽象的な不交付でなく本件の研究自由への負担を具体化する。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号31:特定目的・業績選抜の助成と通常一律研究費を区別する (由来:両者由来) 全答案(高評価事項は到達深度の指標であり累積必須ではない)
通常一律の研究費と目的選抜型助成の差が,先例や助成裁量の転用可能性を分ける。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号49:授業内容・勧誘の問題と成績評価の不当性を区別する (由来:両者由来) 全答案(高評価事項は到達深度の指標であり累積必須ではない)
授業内容・勧誘の当否と成績評価の不当性を分けることが,決定②の審査対象を正しく定める。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号52:学生利益を理由に教員自由を制約する必要と大学自治を衡量する (由来:両者由来) 全答案(高評価事項は到達深度の指標であり累積必須ではない)
学生利益の保護と教授の自由・大学自治を具体的に衡量することが,決定②を正当化できるかを分ける。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号53:Yの成績取消し・他教員再試験は教授自由の制約と認めて正当化する (由来:両者由来) 全答案(高評価事項は到達深度の指標であり累積必須ではない)
成績取消しと他教員の再試験も教授自由の制約と認めて正当化することが,制約不存在で処理する議論との差になる。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
関連する論点の具体例
①番号1:研究・研究成果発表・教授の各自由を憲法23条から区別して示す
②番号31:特定目的・業績選抜の助成と通常一律研究費を区別する
③番号56:自説で大学自治と教授自由の対立双方を回収し具体的に結論を示す
2 公法系第2問(行政法)
令和4年度司法試験公法系第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した53項目と5段階の重み付け
林地開発許可について,住民の原告適格,工事完了後の訴えの利益,審査基準の自己拘束,同意要件及び水確保要件を検討する。
評価項目は53項目,重み5は8項目である。重み5の公開表の番号は5・7・15・24・35・37・46・50である。各番号の充足条件と許容される構成は,当該記事の評価表と重み5の説明に従う。
重み5の全項目
番号5:森林法10条の2第2項1号の災害防止機能と生命身体の個別保護を論証する。
災害防止機能から生命身体の個別的保護を論証することが,Fの原告適格の法的根拠になる。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号7:災害水害による生命身体の安全と土地・立木の財産権を区別する。
生命身体と土地・立木の財産利益を区別することが,EとFの原告適格の結論を分ける。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号15:Fの飲料水・生活用水利用を生命健康等の具体的利益として位置付け判決射程を検討する。
飲用水・生活用水の具体的利用と判例の公益判断の射程を対比することが,Fの利益の保護を検討する核心となる。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号24:取消しが監督処分に必要か,不要か,取消しても不能かを論理的に区別する。
取消しが監督処分に必要・不要・無意味のいずれかを区別することが,訴えの利益の理由付けを決める。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号35:合理的な不適用理由がない限り公表審査基準に自己拘束されると説明する。
公表された合理的審査基準に自己拘束されるかが,基準不適用を単なる裁量として済ませられるかを分ける。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号37:面積考慮を施行規則4条2号の「相当数の同意」の文言解釈として検討する。
相当数の同意に面積を考慮できるかという文言解釈が,人数だけで決める結論との差になる。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号46:取水量の限定等を促して事業者の地位を不当に害さない配慮義務を示す。
先行する事業者の地位を不当に害さない配慮義務が,市の認定に対する県側の反論を具体化する。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号50:容量不足を森林法10条の2第2項2号の著しい支障及び基準4-1の両方に接続する。
容量不足を法律の著しい支障と審査基準の両方へ接続することが,水確保の違法主張の法的経路を決める。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
関連する論点の具体例
①番号1:自己の権利又は法律上保護された利益の侵害・必然的侵害のおそれという原告適格の定式を示す。
②番号32:専門技術的判断・公益考慮・森林の保続培養から知事の裁量の根拠を示す。
③番号50:容量不足を森林法10条の2第2項2号の著しい支障及び基準4-1の両方に接続する。
3 民事系第1問(民法)
令和4年度司法試験民事系第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した70項目と5段階の重み付け
虚偽の権利外観を信頼した第三者,二重譲渡と詐害行為取消し,賃貸人の地位の移転,死因贈与の撤回を検討する。
評価項目は70項目,重み5は10項目である。重み5の公開表の番号は7・10・22・27・29・42・44・50・63・64である。各番号の充足条件と許容される構成は,当該記事の評価表と重み5の説明に従う。
重み5の全項目
番号7:意思に基づく外観作出又は承認と,意思関与のない外形与因型を区別する 適用条件:本問の当該設問に適用
意思による外観作出・承認と意思関与のない外形与因を区別することが,類推の規範を決める。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号10:外観の作出・承認と同視できるほど重い帰責性を要求する 適用条件:本問の当該設問に適用
意思的関与のない本人に重い帰責性を求めることが,無過失の第三者の保護の限界を定める。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号22:Cの背信性を独立に判断し,Bの地位の当然承継を否定する 適用条件:本問の当該設問に適用
転得者Cの背信性を独立して判断することが,Bの悪性を当然承継する処理との差になる。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号27:共同担保保全の趣旨と,Dの特定物債権が被保全債権になる理由を説明する 適用条件:本問の当該設問に適用
特定物債権を共同担保保全へ結び付ける理由が,詐害行為取消しを認める法的経路を決める。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号29:177条の対抗法理と詐害行為取消制度の目的・効果の整合性を説明する 適用条件:本問の当該設問に適用
177条の対抗法理と取消制度の目的・効果を整合させることが,両制度を矛盾なく使う核心である。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号42:㋑を605条の2第1項の「譲渡」に担保目的の譲渡が含まれないという主張に位置付ける 適用条件:本問の当該設問に適用
担保目的の譲渡が605条の2第1項の譲渡に当たるかが,賃貸人の地位移転の前提を分ける。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号44:㋒を1項の適用を仮定した2項の類推適用という追加的主張に位置付ける 適用条件:本問の当該設問に適用
第1項の適用を仮定して第2項類推へ進む追加的主張の構造が,独立した反論を落とさない骨格になる。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号50:弁済期経過と担保実行を分け,5月・6月の結論の理由を説明する 適用条件:本問の当該設問に適用
弁済期経過と担保実行を分けることが,5月・6月の賃料請求の結論の理由を決める。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号63:Mの反論を1023条1項の準用が554条の「性質に反」するという文言に結び付ける 適用条件:本問の当該設問に適用
死因贈与の性質に反するかという554条の文言が,1023条準用への反論の法的基礎になる。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号64:契約の相手方の期待保護とKの最終意思尊重を対置して優先理由を論じる 適用条件:本問の当該設問に適用
相手方の契約上の期待と贈与者の最終意思を対置して優先理由を示すことが,撤回可否の実質的判断を分ける。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
関連する論点の具体例
①番号1:AB間に譲渡の意思表示がなく,BからCへの取得は原則認められないことを示す。
②番号39:㋐の根拠を605条の2第1項による所有権随伴の地位移転と説明する。
③番号69:複数制度を関連付け,権利帰属・対抗・取消しの効果を混同しない。
4 民事系第2問(商法)
令和4年度司法試験民事系第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した55項目と5段階の重み付け
取締役の任期短縮・再任否決に関する損害賠償,利益相反取引による会社の損害,事業譲渡後の屋号続用による責任を検討する。
評価項目は55項目,重み5は8項目である。重み5の公開表の番号は5・6・14・24・30・42・48・49である。各番号の充足条件と許容される構成は,当該記事の評価表と重み5の説明に従う。
重み5の全項目
番号5:339条の解任自由と任期期待保護を調整する趣旨から類推の基礎を示す。
解任の自由と任期期待の保護の調整という趣旨が,任期短縮へ類推する基礎になる。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号6:類推の対象を任期短縮・再任否決・一連の行為のどれかに明示する。
対象行為をどこに置くかが,正当な理由の審査対象と損害期間を変える。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号14:類推の対象と正当理由・損害期間の範囲を理論的に整合させる。
対象行為・正当理由・損害を理論的に対応させることが,制度の断片的適用を防ぐ核心となる。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号24:利益相反を踏まえ,経営判断原則の適用又は審査密度を明確に選ぶ。
利益相反の存在を経営判断原則の適否又は審査密度へ反映することが,Gの行為を審査する基準を決める。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号30:義務違反を契約自体又は不公正な条件での取得に特定し,対応する反事実を置く。
契約自体か不公正価格かという義務違反の特定と反事実が,損害の算定経路を決める。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号42:商標が譲渡会社を表示し,債務引受けの客観的外観を生むという類推要件を提示する。
商標が事業主を表示し債務引受けの外観を生むことを要件として示す点が,22条類推の限界になる。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号48:弁済請求者が銀行であることの意味を,商号・商標の機能差と接続する。
銀行という請求者と商号・商標の機能の差を結び付けることが,消費者向け表示だけで責任を肯定できるかを分ける。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号49:事実の羅列にとどめず,債務引受けの外観が生じたかを論証する。
表示の事実から債務引受けの外観へ法的評価を行うことが,外観責任の結論を閉じる。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
関連する論点の具体例
①番号3:解任決議がなく,任期短縮と再任否決で地位を失ったと把握する。
②番号24:利益相反を踏まえ,経営判断原則の適用又は審査密度を明確に選ぶ。
③番号42:商標が譲渡会社を表示し,債務引受けの客観的外観を生むという類推要件を提示する。
5 民事系第3問(民事訴訟法)
令和4年度司法試験民事系第3問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した53項目と5段階の重み付け
当事者の確定,裁判上の自白と撤回,主観的追加的併合を肯定する立論,電子データを記録した媒体の証拠調べを検討する。
評価項目は53項目,重み5は10項目である。重み5の公開表の番号は6・14・20・22・31・32・36・39・44・49である。各番号の充足条件と許容される構成は,当該記事の評価表と重み5の説明に従う。
重み5の全項目
番号6:採用した見解の基準と当てはめに用いる判断資料の範囲を一致させる。
見解の基準と判断資料の範囲を一致させることが,当事者確定説を混ぜない核心となる。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号14:乙を被告とする仮定の下で,乙に実体的債務がないことだけでは陳述の不利益性を否定しない。
被告乙という仮定の下で債務不存在だけから自白の不利益性を否定しないことが,手続問題と実体問題の区別を決める。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号20:撤回要件の構成を当てはめの前に理由付け,自説の要件に従って結論を導く。
自白撤回の自説の要件を先に理由付けることが,反真実と錯誤の事実を一貫して評価する基礎になる。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号22:Aは乙が賃借人でないと知っており,乙が契約を締結したと真実に誤認していないことを錯誤要件へ当てはめる。
Aが乙を真の賃借人と誤認していない事実が,錯誤要件の充足を分ける。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号31:甲乙の別法人性がAの誤認工作によることを踏まえ,甲は信義則上不利な旧訴訟状態の引継ぎを拒めないとの根拠を論ずる。 適用条件:訴訟状態引継ぎによる肯定構成(中心的な立論)
甲乙が別法人となった誤認工作と信義則が,甲へ旧訴訟状態を引き継がせる根拠になる。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号32:旧訴訟状態を甲に引き継がせることの手続保障上の問題と,承認義務を正当化する事情を具体化する。
旧訴訟状態を承継する手続保障上の問題を明示して正当化することが,資料の共通性だけの説明との差になる。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号36:本件の乏しい帰責性と,類型として軽率な提訴を誘発しないことを接続する。
本件での帰責性の乏しさを類型的な軽率提訴の誘発の懸念へ応答させることが,判例の懸念を具体的に解消する。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号39:遅延が問題となるのは著しい場合であるとし,143条1項ただし書の類推という法的統制を示す。
著しい遅延だけを制限する法的統制を示すことが,一定の遅れを認めつつ併合を肯定する経路になる。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号44:出力装置なしでは直接閲読できず可視的表示を欠くことを理由としてUSB自体の文書性を否定する。
装置なしには思想内容を直接閲読できないことが,USB自体の文書性を否定する理由になる。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
番号49:電子ファイルを適切な装置で閲読可能にして,閲読の結果を証拠資料とするから書証に適することを論証する。
電子ファイルの思想内容を装置で閲読して証拠資料とする点が,書証と同様に扱える根拠を決める。 この設問内の法的役割を理由に5を提案する。
関連する論点の具体例
①番号1:甲・乙を確定する基準を各一つ挙げ,各基準に従って当てはめる。
②番号28:乙被告を前提として甲追加の申立てを認める方向で論証する。
③番号49:電子ファイルを適切な装置で閲読可能にして,閲読の結果を証拠資料とするから書証に適することを論証する。
6 刑事系第1問(刑法)
令和4年司法試験刑事系科目第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した48項目と5段階の重み付け
盗品の保管委託と横領,利用処分の要否,第三者防衛と錯誤,無関係の第三者に危難を転嫁する行為を検討する。
評価項目は48項目,重み5は4項目である。重み5の公開表の番号は2・20・29・41である。各番号の充足条件と許容される構成は,当該記事の評価表と重み5の説明に従う。
重み5の全項目
番号2:窃盗犯人Aからの盗品保管の委託の要保護性を問題とする。
単なる他人物性ではなく、窃盗犯人からの委託の要保護性を問う設問である。ここを外すと主張⑴への回答全体が変わるため、核心として5を維持する。 本案は先行案の比較用継承であり,現在値への再適用を指示しない。
番号20:第三者防衛について,甲と乙のどちらを急迫性判断の基準にするかを問題にする。
被侵害者甲と防衛者乙のいずれを基準に急迫性を判断するかで、その後の誤想防衛又は過剰防衛の処理が変わる。設問2前半の核心として5を維持する。 本案は先行案の比較用継承であり,現在値への再適用を指示しない。
番号29:乙の認識事実に基づいても刺突が相当かを判断する。 条件:錯誤のある枝
誤想防衛という名称だけで故意を否定せず、乙の認識事実でも刺突が相当でないことまで判断する点を資料が特に重視する。故意犯成立を左右する核心として5を維持する。 本案は先行案の比較用継承であり,現在値への再適用を指示しない。
番号41:乙が招いた危難の回避を,無関係の第三者Dに転嫁できるかを問題にする。
自ら招いた危難の回避のため無関係のDへ害を転嫁してよいかが、原付窃取についての中心的問題である。ここを外した要件列挙では回答にならないため5を維持する。 本案は先行案の比較用継承であり,現在値への再適用を指示しない。
関連する論点の具体例
①番号2:窃盗犯人Aからの盗品保管の委託の要保護性を問題とする。
②番号20:第三者防衛について,甲と乙のどちらを急迫性判断の基準にするかを問題にする。
③番号29:乙の認識事実に基づいても刺突が相当かを判断する。
条件:錯誤のある枝
7 刑事系第2問(刑事訴訟法)
令和4年司法試験刑事系第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した50項目と5段階の重み付け
おとり捜査,訴因変更の要否,検察官の釈明の効果及び不意打ちを防ぐ防御機会を検討する。
評価項目は50項目,重み5は2項目である。重み5の公開表の番号は3・47である。各番号の充足条件と許容される構成は,当該記事の評価表と重み5の説明に従う。
重み5の全項目
番号3:犯罪創出・不公正又は人格的自律への侵害から違法性の実質的理由を述べる
5を維持。設問1の評価を支える核心的な法的根拠。一つの整合的な立場を評価し、犯罪創出・不公正・人格自律を全部書くことは要求しない。 本案は先行案の比較用継承であり,現在値への再適用を指示しない。
番号47:2日の共謀が顕在化しないまま1日の防御を排斥する不意打ちを認定する(取り込み否定説でも検討)
5を維持。設問2⑵で実質的に何が不意打ちなのかという核心を本件で示す。取り込みの肯否にかかわらず必要な具体的検討である。 本案は先行案の比較用継承であり,現在値への再適用を指示しない。
関連する論点の具体例
①番号3:犯罪創出・不公正又は人格的自律への侵害から違法性の実質的理由を述べる
②番号47:2日の共謀が顕在化しないまま1日の防御を排斥する不意打ちを認定する(取り込み否定説でも検討)
第3 5段階の重みの読み方
| 重み | 判断基準 |
|---|---|
| 5 | 採点実感が評価の分かれ目とした事項,又は答案の骨格そのもの |
| 4 | 出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた事項 |
| 3 | 一方の資料が明示する中核の理由付け |
| 2 | 補強の事項,又は典型的な誤りとして指摘された事項 |
| 1 | 一方の資料が控えめに触れる事項 |
採点上の重要性は右欄の5段階の重みで示す。
注意事項や許容される答案構成は,必要な場合に本文中で説明する。
許容分岐は,採る立場・事実評価に対応する項目を参照する。
設問が複数の立場の検討を求める場合には,その検討を省略しない。
「注意」は誤りを避けるための項目の性質であり,独立した減点ではない。
元の番号・項目数・具体的な適用条件を維持し,同じ理解や誤りを重ねて評価しない。
令和8年度の主要7科目ハブと共通するのは,重み5を答案の骨格又は評価の分かれ目として項目ごとに判断し,段階別の件数や比率を先に割り当てないという方針である。令和8年度の記事は公式資料公表前の予想であり,令和4年度の公式資料に基づく抽出とは根拠と分母の作り方が異なる。
本一覧の重み5の割合は95/387で約24.5%である。他年度と同じ割合にするために重みを増減していない。項目数,重み5の割合及び重みの合計から,試験の難易度,公式配点,合格可能性又は答案の得点を導くことはできない。
第4 7記事の重みの分布
以下は各記事の公開評価表の行を集計した結果である。重みの合計は,項目ごとの重みを単純に足した値であり,採った構成に応じた一つの答案の得点分母ではない。
| 科目 | 重み5 | 重み4 | 重み3 |
|---|---|---|---|
| 憲法 | 9 | 33 | 10 |
| 行政法 | 8 | 30 | 8 |
| 民法 | 10 | 42 | 10 |
| 商法 | 8 | 30 | 7 |
| 民事訴訟法 | 10 | 32 | 4 |
| 刑法 | 4 | 33 | 10 |
| 刑事訴訟法 | 2 | 21 | 19 |
| 合計 | 51 | 221 | 68 |
| 科目 | 重み2 | 重み1 | 項目数 | 重みの合計 |
|---|---|---|---|---|
| 憲法 | 6 | 0 | 58 | 219 |
| 行政法 | 7 | 0 | 53 | 198 |
| 民法 | 8 | 0 | 70 | 264 |
| 商法 | 10 | 0 | 55 | 201 |
| 民事訴訟法 | 7 | 0 | 53 | 204 |
| 刑法 | 1 | 0 | 48 | 184 |
| 刑事訴訟法 | 8 | 0 | 50 | 167 |
| 合計 | 47 | 0 | 387 | 1437 |
重み1が0の科目もある。
軽い事項を人工的に追加して各段階の件数をそろえることはせず,一項目に一つの判定対象を置く。
個々の重みの判断理由は子記事の根拠欄及び解説で確認する。
確認できない根拠を重み1として扱わない。
重み5の数や割合を,他年度・他科目に合わせるための調整はしていない。
各項目を欠くと設問への応答や主たる法的経路が崩れるか,採点実感が評価の分かれ目として扱っているかを,項目ごとに判断することが整合性の中心となる。
例えば,刑法の記事は重み5が4,重み4が33,重み3が10,重み2が1,重み1が0で,計48項目・合計184である。
これは同記事の全評価行から集計した結果であり,他年度の刑法記事と件数をそろえるための数値ではない。
第5 関連記事
①令和4年度司法試験公法系の出題の趣旨・採点実感―未読復元との一致・相違及び答案上の教訓
②令和8年度司法試験論文式試験の主要7科目の参考答案と予想評価項目
第6 出典と確認範囲
本記事は,第2でリンクした令和4年度の7記事について,公開評価表の全行,項目番号,重み5の番号及び分布を確認した案内記事である。評価項目の根拠となる公式資料の頁・見出し,使用した法令の版及び判例原文の閲覧範囲は各子記事の出典欄に示されている。本ハブの集計のために,別科目の法的結論を新たに認定したものではない。
法務省の令和4年司法試験論文式試験出題の趣旨は,子記事の評価項目の根拠である。採点実感の参照先は各科目の記事に掲げている。公法系第2問については,公式資料の本問関連範囲を確認した上で評価項目を作成している。
法令・判例の原文,対象年度の公式問題・出題の趣旨・採点実感,並びにその確認範囲は,各科目の記事の出典欄を参照されたい。
このハブは公開済み記事への索引と集計であり,掲載された全ての法的論点を独立に再採点したものではない。
模範解答は唯一の正解を意味せず,採用構成・理由付け・当てはめの整合性を確認するための参考として読む必要がある。