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弁護士登録の取消し-取消事由,手続及び登録取消し後の取扱い(AIリライト)

第1 この記事の対象と基準日

弁護士として活動するには,日本弁護士連合会に備えられた弁護士名簿に登録されていなければならない。
本記事では,令和8年9月9日現在の法令及び日本弁護士連合会の会則・規則に基づき,弁護士名簿の登録が取り消される事由,取消しまでの手続並びに取消し後の取扱いを整理する。

弁護士名簿の登録取消しには,本人の請求によるもの,欠格事由への該当によるもの,確定した懲戒処分によるもの及び死亡によるものがある。
したがって,登録取消しのすべてが懲戒処分を意味するわけではない。

第2 登録取消しの4つの事由

弁護士法17条は,弁護士名簿の登録を取り消す事由を次の4つに分けている。

1 欠格事由への該当

弁護士法17条1号により,同法7条1号,3号又は4号の欠格事由に該当したときは,登録が取り消される。
具体的には,次のとおりである。

① 拘禁刑以上の刑に処せられたとき
② 弁護士又は外国法事務弁護士について除名の懲戒を受けたときその他同法7条3号所定の処分を受け,その処分の日から3年を経過していないとき
③ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ないとき

弁護士法7条2号の弾劾裁判所による罷免は,同法17条1号の対象から明文で除かれている。
また,令和7年6月1日の刑法改正の施行により,従来の懲役及び禁錮は拘禁刑に一本化されたため,現行条文は「禁錮」ではなく「拘禁刑」と定めている。

2 本人の請求

弁護士は,所属弁護士会を経由して日本弁護士連合会に登録取消しを請求できる(弁護士法11条及び17条2号)。
日弁連会則22条は,この請求を所定の登録取消請求書により所属弁護士会を経由して行うものと定めている。

もっとも,懲戒の手続に付された弁護士は,その手続が結了するまで,登録取消しを請求できない(弁護士法62条)。

3 確定した退会命令,除名又は登録取消し

退会命令若しくは除名の懲戒又は弁護士法13条による登録取消しが確定したときは,同法17条3号により登録が取り消される。
条文上,これらの処分がされたことだけでなく,処分が確定したことが登録取消しの要件である。

退会命令と除名はいずれも弁護士名簿の登録取消しにつながるが,法的効果は同一ではない。
除名を受けた者は同法7条3号の欠格事由に該当し,処分の日から3年間は弁護士となる資格を有しないのに対し,退会命令について同号と同じ3年間の欠格期間は定められていない。

4 死亡

弁護士が死亡したときは,弁護士法17条4号により登録が取り消される。
死亡は,同法17条1号の欠格事由該当とは別個の取消事由である。

第3 弁護士会による登録取消しの請求

1 登録取消請求の事由

弁護士会は,弁護士について次のいずれかの事由があると認めるときは,資格審査会の議決に基づき,日本弁護士連合会に登録取消しを請求できる(弁護士法13条1項)。

① 登録請求時に,弁護士法12条1項1号,2号及び同条2項に掲げる事項について虚偽の申告をしていたこと
② 心身の故障により,弁護士の職務を行わせることがその適正を欠くおそれがあること

心身の故障については,その事情があるだけで足りるのではなく,それにより弁護士の職務を行わせることが適正を欠くおそれがあることまでが条文上の要件である。

2 資格審査会と本人への通知

弁護士会が弁護士法13条1項の登録取消請求をするには,資格審査会の議決が必要である。
弁護士会は,その請求をしたときは,速やかに請求理由を記載した書面を本人に送付しなければならない(同条2項)。

3 異議の申出と東京高裁への取消訴訟

弁護士法13条による登録取消しの請求をされた者は,その通知を受けた日の翌日から3か月以内に,日本弁護士連合会に異議を申し出ることができる(弁護士法14条1項)。
日本弁護士連合会は,資格審査会の議決に基づき,この異議申出を審査する。

異議申出を棄却された者は,東京高等裁判所に取消訴訟を提起できる(弁護士法16条1項)。
異議申出後3か月を経過しても日本弁護士連合会が処分をしないときも,同裁判所に登録取消しの取消しを求めることができる(同条2項)。
手続の詳細は,弁護士登録関係手続の不服申立て――進達拒絶,登録取消請求及び取消訴訟(AIリライト)を参照されたい。

第4 取消事由の報告,通知及び官報公告

弁護士会は,所属弁護士に弁護士名簿の登録取消事由があると認めるときは,速やかに日本弁護士連合会に報告しなければならない(弁護士法18条)。

弁護士名簿登録等事務取扱規則6条及び別紙第五書式は,この報告に用いる書式として,「弁護士名簿登録取消し事由報告書(死亡)」と「弁護士名簿登録取消し事由報告書(一般)」を定めている。
死亡以外の報告書の名称は「その他」ではなく「一般」である。

日本弁護士連合会は,登録を取り消したときは,所属弁護士会に通知し,かつ,官報で公告しなければならない(弁護士法19条)。
日弁連会則25条も,登録を取り消したときは,速やかにその旨を官報に公告するものと定めている。
近年の官報掲載分については,弁護士名簿の登録取消情報(2026年の官報掲載分)及び弁護士名簿の登録取消情報(2025年の官報掲載分)を参照されたい。

第5 登録取消し後の取扱い

1 弁護士及び会員の地位

日弁連会則5条は,弁護士名簿の登録を取り消された者が当然に日本弁護士連合会の会員の資格を失い,所属弁護士会からも当然に退会するものと定めている。
この場合,別途の退会手続は必要とされていない。

最高裁昭和42年9月27日大法廷判決は,同判決が扱った弁護士法17条1号及び3号による登録取消しについて,既に弁護士としての身分又は資格を失った事実を公に証明する行為であると判示した。
したがって,欠格事由への該当又は確定した処分による身分・資格の喪失と,その事実を名簿上明らかにする登録取消しとは区別して理解する必要がある。

2 弁護士記章の返還

弁護士記章規則5条は,欠格事由への該当,本人請求,登録取消処分,退会命令若しくは除名の確定又は死亡などにより登録を取り消されたときは,弁護士記章を速やかに日本弁護士連合会へ返還しなければならないと定めている。
死亡の場合は,原則として遺族が弁護士記章を返還するが,同規則所定の申請により返還義務の免除を受けられる場合がある。
弁護士記章の制度については,弁護士記章を参照されたい。

3 本人請求後の再登録

本人請求による登録取消しは,退会命令又は除名とは別の取消事由であり,それ自体が懲戒処分であるわけではない。
もっとも,登録取消し後に再び弁護士として活動するには,改めて弁護士名簿への登録を請求し,その時点の法令及び会則に従った審査を受ける必要がある。

再登録時に従前の登録番号が必ず用いられるかについては,本記事作成時に確認した現行の公開一次資料だけでは全国共通の取扱いを確定できなかったため,本記事では断定しない。
登録請求の一般的な手続については,弁護士登録の請求――手続,必要書類,費用及び登録拒絶(AIリライト)を参照されたい。

第6 登録取消しに関する裁判例

1 最高裁昭和42年9月27日大法廷判決

最高裁昭和42年9月27日大法廷判決(昭和40年(オ)第620号,民集21巻7号1955頁)は,退会命令の懲戒処分は処分の告知によって効力を生ずると判断した。
その上で,同判決が扱った弁護士法17条1号及び3号による登録取消しは,弁護士としての身分又は資格を失わせる形成的な処分ではなく,既に失った事実を公に証明する行為であると判示した。

2 東京高裁平成3年12月10日判決

東京高裁平成3年12月10日判決(平成3年(う)第1065号)は,必要的弁護事件において,退会命令の告知を受けた翌日に公判へ出頭した者を弁護人として審理した手続には,刑事訴訟法31条及び289条1項に反する法令違反があるとして,原判決を破棄し,事件を原審に差し戻した。
この判決は,退会命令の効力発生後は,名簿上の登録取消しがまだ行われていなくても,適法な弁護人として職務を行えないことを具体的に示したものである。

第7 関連記事

① 弁護士登録の請求――手続,必要書類,費用及び登録拒絶(AIリライト)
② 弁護士登録関係手続の不服申立て――進達拒絶,登録取消請求及び取消訴訟(AIリライト)
③ 弁護士の業務停止処分に関する取扱い(AIリライト)
④ 弁護士記章
⑤ 弁護士名簿の登録取消情報(2026年の官報掲載分)
⑥ 弁護士名簿の登録取消情報(2025年の官報掲載分)
⑦ 弁護士登録番号と修習期の対応関係
⑧ 個人事業主の廃業に関するメモ書き

第8 出典・参考資料

1 法令・法務省資料

① e-Gov法令検索「弁護士法」(昭和24年法律第205号)7条~9条,11条~19条及び62条
② 法務省「拘禁刑の創設について」(令和7年6月1日施行)

2 裁判例

① 最高裁昭和42年9月27日大法廷判決(昭和40年(オ)第620号,民集21巻7号1955頁)
② 東京高裁平成3年12月10日判決(平成3年(う)第1065号)

3 日本弁護士連合会の会則・規則

① 日本弁護士連合会会則5条及び20条~25条
② 弁護士名簿登録等事務取扱規則6条及び別紙第五書式
③ 弁護士記章規則5条