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親が元気なうちの実家じまい・生前整理―処分同意,重要書類,デジタル遺品及び家族間記録のチェックリスト(AI作成)

第1 本記事の対象と結論

1 「実家じまい」に含まれる別々の行為

実家じまいや生前整理と呼ばれる作業には,家財の選別・廃棄,貴重品の売却,重要書類の保管,デジタルアカウントの整理,不動産の売却・賃貸,介護施設への転居,遺言・任意後見・財産管理等が含まれ得る。これらは便利な一つの作業名でまとめられているが,所有権,代理権,契約の目的及び判断能力という法的論点は別々である。

2 結論

親が元気なうちに行うべきことは,単に物の数を減らすことではない。①誰の所有物か,②誰がどこまで処分を決められるか,③捨ててはいけない書類・資産・思い出は何か,④死後に必要な手続を誰が行うか,⑤家族間で何を合意したかを書面化することである。

特に,判断能力が低下した後に子が親の名義で売却・解約・廃棄を行うことは,家族だから自由にできるわけではない。早い段階で本人の意思と権限を確認することに生前整理の法的な意味がある。

第2 まず確認する三つの権利

1 家財・預貯金・不動産の所有者

実家にある物がすべて親の所有物とは限らない。配偶者や子の所有物,預かった物,借りた物,共有物が混じっていることがある。不動産は登記事項証明書,固定資産税の納税通知書及び売買契約書等を突き合わせる。名義と実質的な所有関係が食い違う可能性がある場合は,処分前に個別の法律判断が必要である。

2 本人が自分で決める能力

生前整理の合意や売買契約が有効であるためには,本人がその行為の意味と結果を判断できることが必要である。診断名があるかどうかだけで決まるものではなく,処分する財産の重要性,契約の複雑さ,説明を受けた状況及び当時の理解の程度が問題となる。

家や高額の動産の売却,贈与,信託,遺言等は,日常的な処分よりも後の紛争が大きい。説明の過程,本人の言葉,同席者,日付及び関係資料を残す意義が大きい。

3 子や受任者の代理権

家族関係だけで他人の財産を処分する代理権は生じない。子が親の代わりに契約をする場合,委任状又は代理権授与契約で,対象財産,可能な行為,有効期間,代金の受領方法及び報告方法を明確にする。

代理権を与えた後に本人の判断能力が低下した場合も,受任者は本人の利益のために権限の範囲内で行動しなければならない。広範な財産管理に備えるなら,任意後見契約その他の制度を検討する。

第3 捨てる前に分ける五つの群

1 法律関係を示す重要書類

不動産の権利証・登記識別情報,売買契約書,借地・借家関係の契約書,保険証券,年金関係書類,借入・保証・投資関係資料,遺言書,民事信託・任意後見・死後事務委任の契約書,裁判・調停・和解の書類等は,他の紙類と分ける。原本と写しを区別し,保管場所の一覧を作る。

2 金銭的価値のある動産

貴金属,宝飾品,書画,古美術,切手,コイン,高級時計,ブランド品等は,親族内の感覚だけで価値の有無を決めない。所有者の確認後,写真,概要,査定先,査定額,売却先,手数料及び代金の入金先を記録する。

3 個人情報・職務上の秘密を含む物

他人の手紙,写真,医療・介護記録,業務書類,名簿,印鑑及びストレージ媒体は,普通の家庭ごみと同じように捨てない。シュレッダー,溶解,安全なデータ消去等,情報の内容と媒体に合った方法を選ぶ。

4 思い出と家族史料

写真,日記,手紙,賞状,位牌,家系図及び手作り品等は,市場価値がなくても他の家族にとって代替のきかない意味を持つ。捨てる権限と保存する希望を分け,家族で必要な確認期間を置く。

5 危険物・規制品・廃棄方法が特殊な物

火器,刀剣,薬品,注射針,農薬,消火器,金庫,ピアノ,家電リサイクル法の対象品等は,処理方法を自治体又は適正な受入先に確認する。家庭から出る廃棄物の収集・運搬を業者に任せる場合は,一般廃棄物収集運搬業の許可又は許可業者との連携を確認する。

第4 デジタル資産とアカウント

1 一覧化するもの

スマートフォン,パソコン,電子メール,クラウドストレージ,ネット銀行・証券,キャッシュレス決済,暗号資産,ポイント,サブスクリプション,SNS,ドメイン名,写真・動画及び有料コンテンツの一覧を作る。財産的価値があるもの,契約の解約が必要なもの,思い出の保存が必要なものに分ける。

2 パスワードをそのまま家族に渡すときの問題

ログイン情報を共有すれば必ず適法に解約・払戻し・送金ができるとは限らない。各サービスの利用規約,相続手続,代理権,二要素認証及びプライバシーの問題がある。パスワード一覧と財産・契約の一覧は分け,パスワード自体は安全な場所で管理する。

第5 家族間で残す書面

1 処分リストと保留リスト

部屋ごとに①捨てるもの,②売るもの,③誰かに贈るもの,④保留するもの,⑤専門家の確認が必要なものに分ける。高額品と思い出の品は写真を添付し,本人の意向と日付を記録する。

2 立替費用と売却代金の収支表

処分費,保管料,交通費,修繕費,仲介手数料,買取代金及び不動産の諸経費を一つの収支表に記録する。親の口座と子の口座を混ぜず,領収書,査定書,振込明細等を保存する。将来の相続人間で使途不明金や特別受益の疑いを生じさせないためである。

3 本人の希望と法的効力の区別

エンディングノートや家族のメモは,本人の希望を伝えるのに有用であるが,遺言,契約,代理権授与又は後見制度と同じ法的効力を当然に持つものではない。希望の記録と,法律上の方式を要する書面を分けて整備する。

第6 業者を使うときの契約チェック

1 見積りと業務範囲

作業の範囲,車両台数,人数,階段・解体・特殊清掃の追加料金,家電リサイクル料金,買取品の値引き,貴重品発見時の取扱い,作業後の清掃,キャンセル料及び再委託先を契約前に確認する。「一式」という記載だけでは,後の追加請求と作業漏れを防ぎにくい。

2 処分と買取の許可

業者が依頼者の家庭廃棄物を収集・運搬するには,市町村の一般廃棄物収集運搬業の許可等が問題となる。不用品の買取には古物営業法上の許可,自宅での訪問買取には特定商取引法上の規制が関係する。業者の広告だけでなく,許可番号,許可の主体,対象業務と地域を確認する。

第7 本人の死後に変わること

1 遺産の所有権と相続放棄

本人が死亡すると,原則として財産と債務は相続人に承継される。相続放棄を検討している者が,遺産を売却,贈与又は廃棄すると,処分行為と評価されるおそれがある。管理のための保存行為と,価値を実現・消滅させる処分行為を区別し,負債や相続人が不明な段階では急いで処分しない。

2 死後事務委任と賃貸住宅の残置物

死後の賃貸借契約の解除と残置物の処理をスムーズに行うには,生前の委任契約が有用な場合がある。国土交通省と法務省は,単身の高齢者の死亡後を想定した「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を公表している。ただし,これは主に賃貸住宅の利用場面を想定したものであり,自宅全体の生前整理や相続対策を一括して解決する書式ではない。

第8 実行順序のチェックリスト

1 初期確認

①本人の希望と判断能力を確認する。
②不動産,金融資産,保険,債務,家財及びデジタル資産の概要を一覧化する。
③代理人が必要な行為と権限の範囲を特定する。
④親族間で意見が対立しそうな品と収支を先に特定する。

2 作業実施と完了後

①処分,買取,贈与,保留及び要確認に分けて写真付きの一覧を作る。
②業者の許可,見積り,契約範囲及び追加料金の条件を確認する。
③作業前後の写真,領収書,買取明細,廃棄物の引渡先及び収支表を保存する。
④継続する契約,保管品,死後事務及び連絡先の一覧を更新する。

第9 関連記事

遺品整理業者の許可・選び方と相続放棄・残置物処理の注意点は,死後の遺品整理,許可,相続放棄及び賃貸住宅の残置物について詳しく扱う。

第10 出典・参考資料

1 法令

e-Gov法令検索・民法(意思能力,代理,委任,相続,相続放棄等)
e-Gov法令検索・古物営業法
e-Gov法令検索・特定商取引に関する法律(訪問買取等)
e-Gov法令検索・廃棄物の処理及び清掃に関する法律

2 公的資料

国土交通省「残置物の処理等に関するモデル契約条項」
法務省・成年後見制度