本記事は,最高裁判所が実務修習地として指定する「高知」について,第80期の日程,班と組,過去の配属人数,第77期の実務修習,主な修習先,住居,気象条件その他の生活上の留意点を,令和8年10月5日現在の公開資料に基づいて整理するものである。
高知修習は,高知地方裁判所(高知家庭裁判所を含む。),高知地方検察庁及び高知弁護士会で行う実務修習であり,裁判所と検察庁はいずれも高知市丸ノ内に,弁護士会は同市越前町にある。
第80期について最高裁判所が公表しているのは,令和8年度司法修習生採用選考要項であり,採用発令日は令和9年3月19日である。
高知がA班かB班か,司法研修所のどの組に属するか及び高知の配属人数は,第80期の資料ではまだ確認できない。
第79期の高知はB班8組(岡山・松山と合同),第77期及び第78期の高知はB班9組(高松・徳島・松山と合同)であったが,これは過去の期の運用であり,第80期の確定事項ではない。
高知の配属現員は,新第63期から第69期までは14人から21人まで,第70期以降は8人から14人までの範囲にある。
第77期の日程表では現地の班は1班と2班の二つであり,裁判所の日程表には,家裁事務講義,検察審査会制度講義及び高知少年鑑別所の見学が組み込まれていた。
第69期以前の希望倍率は,現在の人気度や配属可能性を示すものではない。
第77期の実務修習日程も過去の実施例であり,第80期に同じ日程,教材,担当体制又は実施方式が続くことを示すものではない。
気象条件の面では,高知は東京と比べて年平均気温が1.5度高く,年間降水量は2666.4ミリメートルで東京の約1.7倍,日降水量が50ミリメートル以上の日は年14.3日(東京6.2日)である(後記第8の1)。
雪はほとんど降らない一方,日最低気温が0℃未満となる日は年16.4日で,東京(15.2日)とほぼ同じである。
早見表は次のとおりである。
各項目の根拠と確度は,本文の該当箇所で説明する。
| 項目 | 内容 | 根拠・位置付け |
|---|---|---|
| 対象期・基準日 | 第80期/令和8年10月5日現在 | 本記事の確認日 |
| 採用発令日 | 令和9年3月19日(金) | 令和8年度司法修習生採用選考要項(最高裁判所。Confirmed) |
| 分野別実務修習 | 令和9年4月13日~11月18日(4クール) | 第80期修習日程表(鑑文なし。Source statement) |
| A班・B班 | 第80期は未公表(第79期はB班) | 第80期の申込手続の手引きは令和8年10月中旬頃掲載予定(Unknown) |
| 司法研修所の組 | 第80期は未公表(第79期はB班8組で岡山・松山と合同,第77期・第78期はB班9組で高松・徳島・松山と合同) | 各期の教官担当表(Confirmed。第80期はUnknown) |
| 直近の配属人数 | 第79期11人,第78期9人,第77期12人 | 各期の司法修習生配属現員表 |
| 主な修習先 | 高知地方裁判所・高知家庭裁判所(高知市丸ノ内),高知地方検察庁(同),高知弁護士会(同市越前町) | 各機関の公式案内 |
| 第77期の実務修習日程 | 高知版PDF全10頁(高知地方裁判所長の送付文2通と4クールの裁判所の日程表)。現地班は1班・2班 | 第77期高知修習の実務修習日程(Confirmed) |
| 住居 | 各自で確保(第79期の手引き)。B班となれば令和10年1月上旬まで高知で修習 | 第79期手引き2頁・第80期修習日程表(Inference) |
| 気象条件(必須) | 東京と比べ,年平均気温が1.5度高く,日最高気温30℃以上の日は年66.0日(東京52.1日)。年間降水量は東京の約1.7倍で,6月・7月・9月はいずれも350ミリメートルを超える。年間の降雪の深さの合計・最深積雪はいずれも1cm | 気象庁の平年値(観測地点「高知」「東京」,統計期間1991年~2020年,令和8年10月5日確認) |
| 自動車 | 要否を一律に判断できる公開資料なし。裁判所と検察庁はいずれも路面電車のグランド通電停から徒歩3分と案内されている | 各機関の交通案内(Unknown) |
第1 高知修習と本記事の資料範囲
1 高知修習とは
高知は,全国の実務修習地の一つである。
最高裁判所の司法修習の概要によれば,分野別実務修習は,民事裁判,刑事裁判,検察及び弁護の4分野について,それぞれ2か月ずつ実施される。
高知修習では,主に高知地方裁判所(高知家庭裁判所を含む。),高知地方検察庁及び高知弁護士会がこれを担当する。
高知地方裁判所は,本庁のほか須崎,安芸及び中村の3支部を置いている(後記第6の5)。
支部の所在地は実務修習地ではなく,司法修習生の配属は「高知」として集計されている。
高知地方検察庁は高松高等検察庁の管内にあり,司法研修所の組では,第70期以降のいずれの期も,松山と同じ組に入っている(後記第2の2)。
分野ごとの内容一般は民事裁判修習,刑事裁判修習,検察修習及び弁護修習に,司法修習の全体像は司法修習とはに記載している。
本記事は,高知に固有の事項を中心に扱う。
2 実務修習の法的な仕組み
司法修習生は,司法試験に合格した者の中から最高裁判所が命ずるものであり(裁判所法66条1項),少なくとも1年間修習をした後試験に合格したときに修習を終える(同法67条1項)。
裁判官の研究及び修養並びに司法修習生の修習に関する事務を取り扱わせるため,最高裁判所に司法研修所が置かれている(同法14条)。
本ブログ掲載の司法修習生に関する規則(令和7年最高裁判所規則第3号による改正後のもの)によれば,同規則1条は,司法研修所長が修習の全期間を通じて司法修習生を統轄すると定めている。
同規則5条は,実務修習の期間を少なくとも「十箇月」とし,そのうち少なくとも「四箇月」は裁判所で,「二箇月」は検察庁で,「二箇月」は弁護士会で修習しなければならないとした上で,実務修習の時期及び場所は司法研修所長が定めるとしている。
実務修習は,司法研修所長が地方裁判所,地方検察庁又は弁護士会に委託して行わせるものとされ(同規則7条),実務修習の間の司法修習生に対する監督は,最高裁判所が地方裁判所長,検事正又は弁護士会長等に委託する(同規則8条)。
そのため,高知修習の指導は,司法研修所からの委託を受けた高知地方裁判所,高知地方検察庁及び高知弁護士会が行う。
委託を受けた庁会は常に司法研修所と緊密な連絡を保つものとされ(同規則9条),実務修習を終えた際には,地方裁判所長,検事正及び弁護士会長が修習事項の大要,成績,行状等を司法研修所長に報告する(同規則10条)。
また,司法修習生は,修習に当たって知った秘密を漏らしてはならない(同規則3条)。
3 基準日と対象資料
本記事は,令和8年10月5日現在で確認できる資料に基づく。
第80期の制度及び日程は第80期の資料を優先し,第79期以前の日程表,名簿,配属表及び通知は,過去の実施例として区別する。
第80期について確認できた公式資料は,最高裁判所の令和8年度司法修習生採用選考要項(令和8年9月4日)である。
同要項(PDF2頁)は,採用発令日を令和9年3月19日(金)とし,申込手続の詳細を定める「令和8年度司法修習生採用選考申込手続の手引き」を10月中旬頃に最高裁判所ウェブサイトへ掲載する予定としている。
令和8年10月5日現在,同手引きは最高裁判所の司法修習生採用選考のページにまだ掲載されていない。
第79期では,申込手続の手引きの2頁に,集合修習と選択型実務修習の順序を実務修習地ごとに分けた表が載っていた。
したがって,第80期の高知がどちらの区分に入るかは,第80期の手引きの公表を待って確認する必要がある。
4 資料の確度
本記事は,記載の根拠の強さを次の4区分で考えている。
| 区分 | 意味 | 本記事での例 |
|---|---|---|
| Confirmed | 法令,最高裁判所等の一次資料又は現在の公式ページで直接確認した事項 | 第80期の採用発令日,第79期の高知がB班8組であること,各期の配属現員,第77期の日程表と修習開始等の事務連絡の内容 |
| Source statement | 鑑文を欠く資料,民間サイトの集計等の記載 | 第80期修習日程表の日付,民間サイトの家賃の集計 |
| Inference | 複数の資料からの合理的な推測 | 三機関の位置関係から見た通勤の負担,降水量の多さが通勤・住居選びに与える影響 |
| Unknown | 調査した公開資料では確認できない事項 | 第80期の高知の班・組・配属人数,第77期の検察修習・弁護修習の日程,各班の人数,家裁修習の具体的な日程,選択型実務修習のプログラム,支部での修習の有無 |
「確認できない」は,「存在しない」という意味ではない。
公開資料に記載がないことを,制度,行事又は運用が存在しないことと読み替えない。
5 公開資料から分かる範囲
第80期について,高知の班,組及び配属人数を示す公開資料は確認できなかった。
過去の期については,第67期から第79期までの教官担当表等,新第63期から第79期までの配属現員表,第69期までの実務修習希望地調査表,第77期高知修習の実務修習日程,第71期・第76期・第77期の司法修習生配属表並びに第77期及び第78期の修習開始等に関する事務連絡が公開されている。
第77期高知修習の実務修習日程はPDF全10頁で,高知地方裁判所長から司法研修所長に宛てた送付文2通と,第1クールから第4クールまでの裁判所の日程表を収めている。
本記事で全国版のPDF(全583頁)と照合したところ,高知版の1頁~5頁は全国版の238頁~242頁と,6頁~10頁は全国版の454頁~458頁と同じものであり,前後の頁は徳島地方裁判所及び松山地方裁判所の送付文・日程表であった。
高知版に他の修習地の頁の混入はなく,4クール分の裁判所の日程表がそろっている。
検察修習及び弁護修習の日程表は,いずれのPDFにも収録されていない。
これは日程表に収録されていないというだけであり,検察修習及び弁護修習の行事がなかったことを意味しない。
第2 第80期高知修習の班・組と日程
1 A班・B班
A班・B班は,分野別実務修習の後に,司法研修所での集合修習と配属庁会での選択型実務修習のどちらを先に行うかによる区分である。
第80期について,高知がどちらに入るかは公表資料で確認できない(Unknown)。
参考として,令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き2頁は,第79期について,「東京、立川、横浜、さいたま、千葉、大阪、京都、神戸、奈良、大津、和歌山」を先に集合修習を行う区分とし,「①以外の実務修習地」を先に選択型実務修習を行う区分としていた。
高知は後者に当たる。
司法研修所の第79期教官担当表(令和8年4月17日付)も,高知を含む第8組を「B班」の欄に置いている。
その運用が第80期にも続くかは,第80期の手引きで確認する必要がある。
2 司法研修所の組と合同クラス
第80期の高知がどの組に属するかは,公表資料で確認できない(Unknown)。
参考として,各期の教官担当表(教官組別表)によれば,高知が属した組は次のとおりである。
| 修習期(全組数) | 高知が属した組 | 同じ組の実務修習地 |
|---|---|---|
| 第79期(全22組) | B班8組 | 岡山・高知・松山 |
| 第78期(全24組) | B班9組 | 高松・徳島・高知・松山 |
| 第77期(全25組) | B班9組 | 高松・徳島・高知・松山 |
| 第72期~第76期(全22組) | B班8組 | 岡山・高知・松山 |
| 第71期(全23組) | B班8組 | 岡山・高知・松山 |
| 第70期(全25組) | B班9組 | 高松・徳島・高知・松山 |
| 第69期(全27組) | B班8組 | 岡山・徳島・高知 |
| 第67期・第68期(全28組) | B班14組 | 水戸・宇都宮・高知 |
第79期,第78期及び第77期の行は,本記事で各期の教官担当表(第79期・令和8年4月17日付,第78期・令和7年8月5日付,第77期・令和6年8月2日現在)の画像を確認したものであり,その他の行は各期の原資料を一覧にした実務修習地とクラスの対応関係の記載で確認した。
全組数は同記事の記載による。
このように,高知は,第70期以降のいずれの期でも松山と同じ組に入っており,その組は,岡山・松山との3庁(第71期~第76期及び第79期)又は高松・徳島・松山との四国4庁(第70期,第77期及び第78期)となっている。
第69期は岡山・徳島と,第67期・第68期は水戸・宇都宮と同じ組であった。
いずれの期でも高知が単独で一つの組を構成したことはなく,他の修習地と合同の組である。
組の構成が期によって変わる理由を示す公開資料は確認できず,過去の期の組の構成から第80期の組の構成を確定することはできない。
組の希望を申し出る手続について,最高裁判所事務総長の令和8年5月20日付の司法行政文書不開示通知書(最高裁秘書第1657号)は,「第78期司法修習生組別志望等調査表」を作成又は取得していないとしている。
そのため,司法修習生が自分の組を希望する手続は設けられておらず,組は実務修習地に応じて決まると考えられる(Inference)。
各期の原資料である教官担当表は司法研修所の教官担当表に掲載している。
3 三つの「班・組」の区別
高知修習の資料には,名称の似た三つの区分が出てくる。
| 呼称 | 意味 | 高知について確認できた内容 |
|---|---|---|
| A班・B班 | 集合修習と選択型実務修習の実施順序に関する全国的な区分 | 第79期はB班。第80期は未公表 |
| 第○組 | 司法研修所におけるクラス | 第79期はB班8組(岡山・松山と合同)。第80期は未公表 |
| 現地の班 | 配属庁会内のローテーションの単位 | 第77期・第78期とも1班・2班 |
B班8組であることは,高知,岡山及び松山の修習生が司法研修所で同じクラスになることを意味するにとどまり,3庁の修習生が高知で一緒に修習するという意味ではない。
このほか,後記第3の2の希望倍率の高低は,A班・B班の区分とは関係がない。
過去の希望倍率の読み方は実務修習地の希望倍率―過去の統計と第2希望選びの限界で扱っている。
4 高知修習に関係する日程
第80期の全体日程は,第80期司法修習の日程で整理している。
同記事が基にした「第80期 修習日程」(教官会議資料2)は,作成日,発出者及び宛先を記載した鑑文が付いていない資料である(Source statement)。
最高裁判所の選考要項で確認できるのは採用発令日だけであり,その日付は同日程表の導入修習の開始日と一致する。
同日程表に基づき,高知修習に関係する期間を整理すると,次のとおりである。
| 課程 | 第80期の期間 | 高知修習との関係 |
|---|---|---|
| 導入修習 | 令和9年3月19日~4月9日 | 司法研修所(埼玉県和光市)で実施 |
| 分野別実務修習 | 令和9年4月13日~11月18日 | 高知の配属庁会で,4クールに分けて実施 |
| 選択型実務修習・集合修習(B班の場合) | 選択型:令和9年11月19日~令和10年1月7日,集合:1月12日~2月24日 | 高知がB班となった場合,選択型実務修習を高知で行った後,司法研修所で集合修習 |
| 集合修習・選択型実務修習(A班の場合) | 集合:令和9年11月22日~令和10年1月7日,選択型:1月11日~2月24日 | 高知がA班となった場合の順序 |
同日程表によれば,分野別実務修習の各クールは,第1クールが令和9年4月13日~6月8日,第2クールが6月9日~8月1日,第3クールが8月2日~9月26日,第4クールが9月27日~11月18日であり,実日数はいずれも37日である。
B班の場合,選択型実務修習の終了後に令和10年1月8日から11日までの4日間の移動日があり,集合修習の終了後の2月25日が自由研究日とされている。
同日程表の欄外には,A班の選択型実務修習及びB班の集合修習のカリキュラム終了後に5科目の筆記考試が行われる予定である旨の注記があるが,考試の具体的な日程は記載されていない。
各クールの区切り以外の事項,すなわち配属部,指導担当者,登庁時刻及び個別のプログラムは,配属庁会からの連絡で確認することになる。
第3 配属人数,希望地申告及び実務修習地の指定
1 配属人数
司法修習生配属現員表(48期以降)に掲載した各期の配属現員表によれば,新第63期以降の高知の配属現員は次のとおりである。
各期の採用時点の表の値であり,期名から原資料のPDFの該当頁へリンクしている。
いずれも本記事で原資料の画像を確認した。
| 修習期 | 高知の配属現員 | 全国計 | 表の基準日(PDFの頁) |
|---|---|---|---|
| 第79期 | 11人 | 1551人 | 令和8年3月19日現在(1頁) |
| 第78期 | 9人 | 1556人 | 令和7年3月19日現在(1頁) |
| 第77期 | 12人 | 1830人 | 令和6年3月21日現在(1頁) |
| 第76期 | 8人 | 1394人 | 令和4年11月27日現在(1頁) |
| 第75期 | 8人 | 1329人 | 令和3年11月12日現在(2頁) |
| 第74期 | 10人 | 1456人 | 令和3年3月31日現在(2頁) |
| 第73期 | 13人 | 1473人 | 令和元年11月27日現在(2頁) |
| 第72期 | 13人 | 1482人 | 平成30年11月27日現在(2頁) |
| 第71期 | 14人 | 1516人 | 平成29年11月27日現在(2頁) |
| 第70期 | 13人 | 1533人 | 平成28年11月27日現在(2頁) |
| 第69期 | 15人 | 1788人 | 平成27年11月27日現在(1頁) |
| 第68期 | 14人 | 1762人 | 平成26年11月27日現在(1頁) |
| 第67期 | 16人 | 1972人 | 平成25年11月27日現在(16頁) |
| 第66期 | 17人 | 2035人 | 平成24年11月27日現在(14頁) |
| 新第65期 | 19人 | 2001人 | 平成23年11月27日現在(13頁) |
| 新第64期 | 21人 | 2022人 | 平成22年11月30日現在(11頁) |
| 新第63期 | 21人 | 2021人 | 平成21年11月27日現在(9頁) |
高知の配属現員は,新第63期から第69期までは14人から21人まで,第70期以降は8人から14人までの範囲にある。
配属現員表は表題に記載された基準日における配属人数を示すものであり,修習を修了した者の数ではない。
配属現員表には二つの期を併記したものがあり,例えば平成26年11月27日現在の表にも第67期の高知16人が載っているが,同表の第67期の計は2015人(「配属無し」43人を含む。)であるため,上表では採用時点(平成25年11月27日現在)の表の値(計1972人)を用いた。
「採用者数」「修習開始者数」「配属現員」は別の数値であり,混同しない。
配属現員は各表の基準日に在籍していた人数であり,高知の定員又は募集枠を示すものではない。
第79期司法修習生配属現員表(令和8年3月19日現在)によれば,第79期の高知の配属現員は11人である(全国計1551人)。
第80期の高知の配属人数は,令和8年10月5日現在,確認できない(Unknown)。
なお,最高裁判所の裁判所データブック202630頁によれば,第79期の司法修習生の採用者数は全国で1551人(うち女性479人)であり,第79期の配属現員表の計(1551人)と一致する。
同書の採用者数と配属現員表の全国計は一致しないことがあり,例えば第78期は,同書の採用者数が1553人であるのに対し,配属現員表(令和7年3月19日現在)の計は1556人である。
全国の人数の推移は修習開始時点における司法修習生の人数の推移に掲載している。
2 新第63期から第69期までの希望倍率
第69期までは,司法研修所が実務修習希望地調査表を作成しており,その原表が開示されている。
原表の高知の行から,第1希望者数を配属現員で除した数値と,第1希望者数及び第2希望者数の合計を配属現員で除した数値を計算すると,次のとおりである。
分母の配属現員は,前記1の各期の採用時点の配属現員表の高知の人数である。
小数第3位を四捨五入した。
平均は,各期の数値(端数処理前)の単純平均である。
期名から,原表のPDFの高知の行がある頁へリンクしている。
| 修習期(原表) | 第1希望者数 | 第2希望者数 | 配属現員 | 第1希望者数÷配属現員 | 第2希望までの人数÷配属現員 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第69期 | 1人 | 2人 | 15人 | 0.07倍 | 0.20倍 |
| 第68期 | 0人 | 2人 | 14人 | 0.00倍 | 0.14倍 |
| 第67期 | 1人 | 1人 | 16人 | 0.06倍 | 0.13倍 |
| 第66期 | 4人 | 1人 | 17人 | 0.24倍 | 0.29倍 |
| 新第65期 | 2人 | 0人 | 19人 | 0.11倍 | 0.11倍 |
| 新第64期 | 2人 | 3人 | 21人 | 0.10倍 | 0.24倍 |
| 新第63期 | 0人 | 2人 | 21人 | 0.00倍 | 0.10倍 |
| 平均 | - | - | - | 0.08倍 | 0.17倍 |
第68期及び新第63期の原表では,高知の第1希望の欄は空欄(記載なし)であり,新第65期の原表では第2希望の欄が空欄である。
上表では,空欄を0人として計算した。
同じ数値は,本ブログ掲載の司法修習の場所ごとの第1希望の倍率の推移表(新63期から69期まで)及び第2希望までの倍率の推移表(新63期から69期まで)にも載せている。
両表の注記によれば,当時,希望する修習地は第1希望から第6希望まで記載でき,1群の修習地は2個までしか記載できず,第5希望及び第6希望は必ず3群の修習地から選ぶ必要があった。
両表は高知を「3群」としている。
第69期の原表では,高知を第3希望とした者が3人,第4希望とした者が1人であったのに対し,第5希望とした者が11人,第6希望とした者が46人であった。
新第63期の原表でも,第5希望が26人,第6希望が53人であった。
第5希望及び第6希望は3群の修習地から選ぶ規則であったため,3群の高知がこれらの欄に多く書かれたものと考えられる(Inference)。
第5希望・第6希望の人数は,高知を積極的に選んだ人数を示すものとは限らない。
本ブログ掲載の司法修習の場所ごとの倍率等の一覧表(第69期)は,同じ行に,当時の高知地家裁本庁の裁判官数13人(平成28年8月5日時点)と弁護士数79人(同年4月1日時点)も載せている。
同表の注記によれば,これらは各地家裁本庁についての数であり,高知弁護士会全体の会員数とは別の数値である。
地域手当の欄は,高知については空欄である。
これらは第69期までの希望の分布を示す歴史資料であり,第80期の高知の人気度や配属可能性を示す数値ではない。
この数値は抽選倍率でも,高知を第1希望とした者の配属成功率でもなく,古い倍率を根拠に高知を「入りやすい」「安全」と評価することも適切でない。
3 第70期以降の資料状況
最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会の平成29年4月28日答申(平成29年度(最情)答申第1号)2頁によれば,実務修習希望地調査表は,第69期までは実務修習地を決定する際の参考資料として利用する場合もあるため作成されていたが,事務の合理化の観点から,第70期の司法修習生採用選考申込者に関する調査表は作成しないこととされた。
第79期及び第78期についても,最高裁判所事務総長の司法行政文書不開示通知書(令和8年3月18日付・最高裁秘書第782号及び令和8年1月19日付・最高裁秘書第3778号)は,各期の司法修習予定者の実務修習希望地調査表を作成又は取得していないとしている。
これらから確認できるのは,その名称・内容の文書が作成又は取得されていないという点であり,別の形式の集計が一切存在しないことまで示すものではない。
そのため,第70期以降について,第69期までと同じ定義の希望倍率は算出できない。
直近期の配属人数を確認できても,第80期の高知の希望者数,希望倍率又は配属確率は分からず(Unknown),高知が「人気である」「配属されやすい」と評価することはできない。
4 希望地の申告と実務修習地の指定
第80期の希望地の申告方法は,令和8年10月中旬頃に掲載予定の申込手続の手引き及び申込後に示される入力要領で確認する必要がある。
第79期の令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き6頁は,採用選考申込フォームの入力事項の一つとして「実務修習希望地に関する事項」を挙げているが,公開されている手引きには,希望地の群の区分や記載できる数の規則は書かれていない。
実務修習地の指定については,公開されている司法研修所の通知の中で,第72期の司法研修所からのお知らせ(平成30年8月1日)が次の点を明記している。
①実務修習地は,司法研修所長が決定する(2頁)。
②希望地の記載は希望どおりに決定されることを保証するものではなく,特定の実務修習地に希望者が集中した場合などには希望どおりに決定されないことがある(2頁)。
③通知した実務修習地の変更は,認められない(2頁)。
④当時の様式では,高知は徳島,松山等とともに「3群」に分類されていた(6頁)。第1希望から第4希望までは1群から3群までの中から記載し(1群から選択するのは2箇所まで),第5希望及び第6希望は3群から記載するものとされていた(8頁)。
①から③は第72期の通知の記載であるが,第80期の扱いを確認する際の出発点になる。
①は,実務修習の時期及び場所は司法研修所長が定めるとする司法修習生に関する規則5条の規定(前記第1の2)に対応する。
④の群の区分と記載数の制限は第72期の紙の様式の規則であり,第80期の入力フォームでも同じであるとは限らない。
最高裁判所の情報公開・個人情報保護審査委員会の令和元年8月23日答申(令和元年度(最情)答申第40号)2頁によれば,第72期の実務修習地は,実務修習希望地調査書に記載された希望修習地及びその順位,各人の健康状態,家族状況等の諸般の事情を考慮して検討・調整を行った上で,名簿を作成して決定されたと説明されている。
前記3の平成29年答申3頁も,実務修習地の決定に当たっては,司法修習生の希望を基本として,各人の諸般の事情を考慮しているとしている。
通知後の変更が認められないことについては,例外的に配属換えがされた例もある。
同委員会の平成30年3月23日答申(平成29年度(情)答申第21号)は,旭川地方裁判所に配属された第70期の司法修習生の一部が配属換えになったことに関する文書を対象とするものである。
これは高知に関する例ではなく,配属換えの理由は同答申からは分からない。
家庭事情等の申告方法,「一任」の扱い及び過年度資料の適用限界は,80期司法修習の希望地申告で詳しく扱っている。
全国の実務修習地の一覧と選び方は司法修習の場所―全国51の実務修習地一覧と選び方を参照されたい。
第4 第77期高知修習の具体的内容
1 確認したPDFの範囲
第77期高知修習の実務修習日程は,高知地方裁判所が作成した裁判所の分野別実務修習の日程表を収めたPDFである。
本記事では全10頁を画像で確認した。
テキスト抽出は欄の対応が崩れる箇所があったため,日付と行事の対応はすべて画像で読み,小さい文字の行事名と受付印は拡大して確認した。
| 確認項目 | 記録内容 |
|---|---|
| 資料名 | 送付文の件名は「実務修習日程予定表について(送付)」。各クールの表の見出しは「第77期分野別実務修習日程(裁判所第○クール)」 |
| 作成・送付主体 | 高知地方裁判所長から司法研修所長宛て |
| 作成・送付日 | 送付文は令和6年4月2日付(第1クール・第2クール)と同年7月16日付(第3クール・第4クール)。後者の送付文と第3クールの表には,令和6年7月17日付の司法研修所の受理印がある |
| 頁数 | 10頁(1頁:送付文。2頁~3頁:第1クール。4頁~5頁:第2クール。6頁:送付文。7頁~8頁:第3クール。9頁~10頁:第4クール) |
| 収録範囲 | 各クールに裁判所で修習する班の民事裁判修習又は刑事裁判修習の日程と,裁判所での共通行事 |
| 現地班 | 1班・2班。各表の見出しに,その班と「裁判所(民事部)」又は「裁判所(刑事部)」の別が書かれている |
| 掲載分野 | 民事裁判修習・刑事裁判修習。検察修習・弁護修習の日程表はない |
| 表の列 | 月日,曜日,修習内容(左右2欄) |
| 判読方法 | 全頁を画像で目視(110dpi。行事名と受付印は200dpiで拡大)。テキスト抽出は補助的に使用 |
| 判読できない範囲 | 1頁下部の受付印は欠けていて判読できない。日程表の本文に判読できない欄はなかった |
各クールの表は,第1クールが1班(民事部),第2クールが2班(刑事部),第3クールが2班(民事部),第4クールが1班(刑事部)であり,1クールに裁判所で修習する班は一つだけである。
修習内容の欄は左右2欄に分かれているが,各欄の区別を説明する記載はない。
2 現地の班編成と巡回順序
司法研修所事務局長の令和5年度(第77期)司法修習生の修習開始等について(令和6年2月7日付)のPDF14頁は,第77期の高知の実務修習順序を次のとおりとしていた。
| 第77期の現地班 | 第1クール(令和6年4月16日~) | 第2クール(6月11日~) | 第3クール(8月2日~) | 第4クール(9月27日~) |
|---|---|---|---|---|
| 1班 | 民事裁判 | 弁護 | 検察 | 刑事裁判 |
| 2班 | 検察 | 刑事裁判 | 民事裁判 | 弁護 |
3班及び4班の欄は斜線で消されており,第77期の高知は2班編成であった。
日程表の各クールの班と分野(第1クール1班民事部,第2クール2班刑事部,第3クール2班民事部,第4クール1班刑事部)は,この事務連絡の順序と一致している。
家裁修習は「裁判実務修習中に行う。」とされていた(後記5)。
第78期については,司法研修所事務局長の令和6年度(第78期)司法修習生の修習開始等について(令和7年2月4日付)のPDF14頁に,高知の実務修習順序が記載されている。
| 第78期の現地班 | 第1クール(令和7年4月14日~) | 第2クール(6月9日~) | 第3クール(7月31日~) | 第4クール(9月25日~) |
|---|---|---|---|---|
| 1班 | 民事裁判 | 弁護 | 検察 | 刑事裁判 |
| 2班 | 検察 | 刑事裁判 | 民事裁判 | 弁護 |
第78期も2班編成(3班・4班の欄は斜線)で,各班の順序は第77期と同じであり,家裁修習は「裁判実務修習中に行う。」とされていた。
もっとも,順序が同じであったのは第77期と第78期についての事実であり,第80期の班編成と順序は配属後の案内で確認する必要がある。
分野別実務修習の初日の集合場所は,第77期の事務連絡(PDF18頁)では令和6年4月16日午前9時00分に,第78期の事務連絡(PDF18頁)では令和7年4月14日午前9時30分に,いずれも「高知地方裁判所事務局総務課(6階)」とされていた。
開始日に持参する教材等は,両期とも「印鑑(スタンプ式不可)」とされていた。
第77期の日程表では,初日の4月16日に「実務修習開始式(高知地方裁判所6階大会議室、全班対象)」(午前9時30分~9時50分)と「弁護士会・検察庁・裁判所説明会」(午前10時~11時20分,全班対象)が置かれ,その後に1班を対象とする「裁判所説明会」(午前11時20分~午後0時10分)がある。
2班については,第2クールの初日の6月11日に「裁判所説明会」(午前9時20分~10時,6階小会議室)が置かれている。
班の人数は,第77期の日程表にも第77期・第78期の事務連絡にも記載されていない(Unknown)。
配属現員(第77期は12人)を班の数で割った人数は,資料に基づく人数ではないため,本記事では記載しない。
3 民事裁判修習
第77期の日程表で民事裁判修習を確認できるのは,第1クールの1班と第3クールの2班である。
いずれの班も,民事部の欄におおむね次の行事が置かれている。
①民事事務講義(午前11時30分~正午,「民事部指定」。1班4月17日,2班8月5日)
②問研起案(午前10時~午後3時,3階中会議室。1班4月19日,2班8月7日)
③講評(「自宅でオンライン」。1班5月9日,2班8月21日)
④面談(「裁判所でオンライン」,6階予備室。1班5月13日,2班8月26日)
⑤実務修習結果簿写し提出(各クールの最終日。1班6月10日,2班9月26日)
このほか,第1クールの1班の欄には4月24日の「所長講話(6階小会議室)」及び4月26日の「家裁事務講義(6階小会議室)」(午前9時30分~正午)が,第3クールの2班の欄には8月14日の「検察審査会制度講義(小会議室)」(午前10時~11時)及び8月30日の「高知少年鑑別所見学」(午後1時30分~2時30分)が置かれている。
個別の配属部での事件記録の検討,期日の傍聴,執行・保全・破産事件の修習が行われたかどうかは,日程表からは分からない。
日程表には簡易裁判所での行事の記載はない。
4 刑事裁判修習
第77期の日程表で刑事裁判修習を確認できるのは,第2クールの2班と第4クールの1班である。
刑事部の欄には,次の行事が置かれている。
①刑事事務講義(午後1時~2時,5階予備室。2班6月17日,1班9月30日)
②問研起案(午前10時~午後3時,6階小会議室。2班6月13日,1班10月1日)
③講評(自宅でオンライン。2班6月26日,1班10月18日)
④面談(裁判所でオンライン,6階予備室。2班6月27日,1班10月21日)
⑤実務修習結果簿写し提出(2班8月1日,1班11月20日)
このほか,第2クールの2班の欄には,6月14日の「所長講話(3階中会議室)」及び6月21日の「家裁事務講義(3階中会議室)」が,第4クールの1班の欄には,10月7日の「高知少年鑑別所見学」及び10月9日の「検察審査会制度講義(中会議室)」が置かれている。
裁判員裁判,模擬裁判及び令状事務の修習の記載は,日程表にはない(Unknown)。
これは日程表に記載がないというだけであり,これらの修習がなかったことを示すものではない。
5 家裁修習
事務連絡は,第77期・第78期とも,高知の家裁修習の時期を「裁判実務修習中に行う。」とだけ書いている。
第77期の日程表には,家裁修習の期間そのものは記載されておらず,家裁に関係する行事として,各班の最初の裁判所のクール(1班は第1クールの民事裁判修習,2班は第2クールの刑事裁判修習)に「家裁事務講義」(午前9時30分~正午)が1回ずつ置かれているだけである。
家裁修習が何日間,どのクールに行われたかは,日程表からは分からない(Unknown)。
高知少年鑑別所の見学は,各班の2回目の裁判所のクール(2班は第3クールの民事裁判修習,1班は第4クールの刑事裁判修習)に置かれている。
6 共通行事と自由研究日
所長講話は,1班が第1クール(4月24日,6階小会議室),2班が第2クール(6月14日,3階中会議室)に置かれ,いずれも午前11時から正午までとされている。
検察審査会制度講義は,2班が第3クール(8月14日),1班が第4クール(10月9日)に置かれている。
日程表上の自由研究日は,第1クールの5月2日,第2クールの7月5日,第3クールの8月19日及び第4クールの10月28日であり,いずれも左右の欄にまたがって置かれている。
選択型実務修習の説明会,社会修習等の行事は,日程表には記載されていない(Unknown)。
7 検察修習及び弁護修習
第77期の日程表は裁判所の民事裁判修習及び刑事裁判修習のものであり,高知地方検察庁での検察修習と高知弁護士会での弁護修習の日程は収録されていない。
前記2のとおり,各班が検察修習・弁護修習をしたクールは事務連絡で確認できるが,個々の行事の内容は確認できない(Unknown)。
これは日程表に収録されていないことによるものであり,検察修習及び弁護修習の行事がなかったことを示すものではない。
分野別実務修習の初日に,全班を対象とする「弁護士会・検察庁・裁判所説明会」が置かれていたことは,前記2のとおりである。
高知地方検察庁の組織と検察修習の担当課は後記第6の3,高知弁護士会は後記第6の4に記載した。
8 指導担当体制
第77期の司法修習生配属表(全6頁)は,高知地方裁判所長から司法研修所長に宛てた報告で,令和6年4月2日付の送付文と第1クール・第2クールの配属表,同年7月16日付の送付文と第3クール・第4クールの配属表からなる。
各配属表は,民事修習指導官又は刑事修習指導官を挙げた上で,部と個別指導裁判官を記載している。
第1クール及び第3クールの配属表は「民事」の部に5人,第2クール及び第4クールの配属表は「刑事」の部に4人の個別指導裁判官を記載しており,前記2の巡回順序(第1クール・第3クールは民事裁判修習,第2クール・第4クールは刑事裁判修習の班だけが裁判所にいる。)と一致する。
民事と刑事の両方に名前のある裁判官が1人いる。
司法修習生の氏名欄は黒塗りであり,本記事では裁判官の氏名は転載しない。
第76期及び第71期についても,第76期の司法修習生配属表(全6頁,令和4年12月19日付及び令和5年4月18日付)及び第71期の司法修習生配属表(全7頁,平成29年12月11日付から平成30年4月4日付まで)が公開されている。
これらは各期の裁判所の体制であり,名簿上の人数は,全修習生に常時関与する人数を意味するものではない。
9 第80期へ適用できない事項
以上は第77期の実施実績である。
第80期の高知の班編成,巡回順序,担当者,配属部,日付,教材,実施方式及びプログラムが同じであることを示すものではない。
第80期の具体的な日程は,配属庁会から交付される日程表で確認する必要がある。
第5 集合修習と選択型実務修習
1 実施順序と高知修習への影響
第80期の高知がB班となる場合,令和9年11月18日に分野別実務修習を終えた後,翌19日から令和10年1月7日まで高知で選択型実務修習を行い,同月12日から2月24日まで司法研修所で集合修習を行うことになる。
この場合,高知での修習は令和9年4月から令和10年1月上旬まで続く。
これに対し,高知がA班となる場合は,令和9年11月22日から令和10年1月7日まで司法研修所で集合修習を行い,同月11日から2月24日まで高知で選択型実務修習を行うことになる。
高知の住居を集合修習の期間も維持するか否かは,後記第7の4のとおり住居給付金の扱いに関係する。
高知がどちらの区分に入るかは,前記第2の1のとおり第80期の手引きで確認する必要がある。
集合修習の内容は集合修習とはで整理している。
2 選択型実務修習
選択型実務修習では,分野別実務修習で弁護修習をした法律事務所がホームグラウンドとなり,配属庁会が提供する個別修習プログラム,全国プログラム及び自己開拓プログラムを組み合わせる。
高知地方裁判所,高知地方検察庁及び高知弁護士会が第80期に提供するプログラムの名称,定員,日程及び選考方法は,公開資料では確認できない(Unknown)。
第77期の日程表にも,選択型実務修習の説明会やプログラムの記載はない。
第80期の募集内容は,配属後に配属庁会及び司法研修所から示される案内で確認する必要がある。
制度一般は選択型実務修習とは及び選択型実務修習の運用ガイドラインを参照されたい。
第6 主な修習先,管内及び通勤
1 三機関の所在地
高知修習の中心となる機関は,いずれも高知市にある。
| 機関 | 所在地 | 交通等 | 公式案内 |
|---|---|---|---|
| 高知地方裁判所・高知家庭裁判所・高知簡易裁判所 | 高知市丸ノ内1-3-5 | 土佐電鉄グランド通電停から北へ徒歩3分 | 管内の裁判所の所在地 |
| 高知地方検察庁(高知区検察庁) | 高知市丸ノ内1丁目4番1号 高知法務総合庁舎 | とさでん交通路面電車「グランド通」電停から徒歩3分 | 所在地・交通アクセス |
| 高知弁護士会 | 高知市越前町1-5-7 | 交通案内の本文は本記事では確認していない | 高知弁護士会 |
高知地方裁判所,高知家庭裁判所及び高知簡易裁判所は同じ所在地にあり,高知地方裁判所の裁判所の紹介によれば,平成16年3月に高知地方・家庭・簡易裁判所及び高知検察審査会の合同庁舎が新築され,現在の裁判所は高知城の南西麓に位置している。
高知地方検察庁も同じ丸ノ内にあり,同庁の沿革によれば,高知法務総合庁舎は平成24年2月に竣工した。
裁判所と検察庁は,いずれも路面電車のグランド通電停から徒歩3分と案内されており,両者の間の移動の負担は小さいと考えられる(Inference)。
高知弁護士会の所在地は越前町であり,裁判所・検察庁との間の所要時間を示す公式の案内は確認していない。
路面電車について,とさでん交通の運賃改定のお知らせによれば,令和6年(2024年)11月1日から,軌道の市内均一運賃は230円(改定前200円)とされている。
同社の電車運賃表(令和6年11月1日)では,高知駅前,桟橋通五丁目,旭駅前通及び知寄町三丁目の間が,はりまや橋経由の「市内均一」230円の区間とされており,グランド通はこの区間内にある。
第77期の日程表には,「6階大会議室」「6階小会議室」「6階予備室」「5階予備室」「3階中会議室」等の会場が出てくる。
2 高知地方裁判所の体制
高知地方裁判所の裁判所の紹介によれば,高知地方・家庭裁判所の職員数(令和8年4月現在)は,本庁(簡裁,検審を含む。)が裁判官13人・一般職116人の計129人,管内(支部)が裁判官2人・一般職23人の計25人である。
第77期の日程表と配属表は,民事裁判修習・刑事裁判修習の配属先を「民事部」「刑事部」とだけ記載しており,令和8年度の部の構成を示す資料は,本記事では確認していない。
3 高知地方検察庁
法務省の検察庁事務章程(昭和60年法務省訓令第1号。令和8年4月8日法務省訓令第1号による改正後のもの)の別表第1は,部を置く地方検察庁を東京,大阪,名古屋,横浜,さいたま,千葉,京都,神戸,福岡,札幌,広島,仙台及び高松の13庁としており,高知地方検察庁はこれに含まれない(PDF6頁)。
部の置かれていない「その他の地方検察庁」には,別表第3により総務課,会計課,企画調査課及び監査室が置かれ(PDF11頁),別表第6は,企画調査課の所管事務として「司法修習生の修習指導に関すること(教養課又は司法修習課の置かれていない庁に限る。)。」を掲げている(PDF13頁)。
高知地方検察庁では企画調査課が検察修習の事務を担当する建付けであると考えられる(Inference)。
検察庁の職員の配置定員について(令和8年4月8日付法務省人定第16号。同月1日から適用)の別表第3(PDF4頁)によれば,高知地方検察庁の配置定員は,検事7人,副検事7人,行政職(一)・公安職(二)78人及び行政職(二)1人の合計93人である。
高松高等検察庁の管内4庁の中では,松山139人,高松134人,徳島95人に次ぐ4番目である。
この定員は管内の支部及び区検察庁を含む数であり,同通達第5項により支部及び区検察庁ごとの定員は検事正が別に定めるとされているため,本庁だけの人数は分からない。
また,定員であって各時点の現員ではない。
各地の検察庁の内部規程は各地の検察庁の執務規程に,配置定員の各年度の通達は法務省の定員に関する訓令及び通達に掲載している。
4 高知弁護士会
高知弁護士会のウェブサイトによれば,同会の所在地は高知市越前町1-5-7であり,会員数は「90名(令和8年5月1日現在)」と表示されている(Source statement)。
同会の相談のページは,弁護士会館での相談のほか,四万十市・佐川町・室戸市に法律相談センターを開設しているとしている。
これらは法律相談センターであり,弁護士会の支部ではない。
日本弁護士連合会の弁護士会別弁護士数とその内訳(2025年3月31日現在)によれば,高知弁護士会の正会員数は93人(うち女性12人,12.9%)であり,法律事務所数は69である。
四国弁護士会連合会に属する4会の中では,香川県194人,愛媛157人,徳島95人に次ぐ4番目である。
同会のウェブサイトの会員数(令和8年5月1日現在90名)とは基準日が異なる。
弁護修習は個々の法律事務所で行われるため,配属先の事務所の所在地によって通勤の条件は異なる。
弁護修習の配属先が高知市内の事務所に限られるかどうかは,公開資料からは確認できない(Unknown)。
5 管内と支部
高知地方裁判所の管内の裁判所の所在地によれば,本庁のほか次の支部がある(いずれも家庭裁判所の支部と簡易裁判所を併置)。
①須崎支部(須崎市鍛治町2-11。JR須崎駅から徒歩10分)
②安芸支部(安芸市久世町9-25。土佐くろしお鉄道安芸駅から徒歩10分)
③中村支部(四万十市中村山手通54-1)
同ページには,これ以外の家庭裁判所出張所及び簡易裁判所は掲げられていない。
高知地方検察庁の所在地・交通アクセスのページは,高知区検察庁のほか,須崎支部・須崎区検察庁,安芸支部・安芸区検察庁及び中村支部・中村区検察庁を掲げており,安芸支部・安芸区検察庁については「現在,高知地方検察庁安芸支部・安芸区検察庁に職員は常駐していません。」としている。
もっとも,第77期の日程表には支部での修習の記載はなく,第80期の高知修習で支部への出張又は宿泊を伴う行程が組まれるかどうかは,公開資料からは確認できない(Unknown)。
管内に支部があることから,支部へ移動する頻度を推測することもできない。
6 三機関の間の移動と自動車
前記1のとおり,裁判所と検察庁はいずれも高知市丸ノ内にあり,路面電車のグランド通電停から徒歩3分とされている。
三機関の間の日常の移動は徒歩又は路面電車で足りると考えられるが(Inference),弁護修習の配属先の事務所が高知市外にある場合や,支部での修習が組まれた場合の移動手段は,公開資料からは分からない。
自動車が必要か否かを一律に判断できる公開資料は確認できなかったため,自動車の保有を前提に契約又は購入をする前に,配属先の案内を確認するのが相当である。
自転車や徒歩で通勤する場合は,雨の多い時期の対策が必要になる(後記第8の1)。
第7 住居,家賃及び修習給付金
1 住居の確保
令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き2頁は,第79期について,「指定された実務修習地における住居の確保は、各自で行うことになっています。」としている。
第80期について同じ記載があるかは,第80期の手引きで確認する必要がある。
高知に司法修習生用の寮が用意されることを示す公開資料は確認できなかった。
高知修習の場合,令和9年4月13日の分野別実務修習の開始に間に合うように住居を確保することになる。
2 住居を探す地域
裁判所と検察庁はいずれも高知市丸ノ内にあるため,そこへの路面電車・徒歩での経路を基準に考えるのが,通勤の負担を考える際の一つの目安になる(Inference)。
ただし,弁護修習の配属先の事務所の所在地は人によって異なり,支部での修習の有無も確認できないため,三機関の位置だけで住居の候補を決めることはできない。
物件の災害リスクは,高知市のハザードマップのページから,洪水,土砂災害,地震・津波等の各マップで確認できる。
同市の地震・津波ハザードマップは,令和7年10月に高知県が公表した南海トラフ地震による最大クラスの震度分布・津波浸水予測に基づくものとされている。
また,高知県の南海トラフ地震による長期浸水のページは,地震による地盤沈下で標高の低い土地が海面より低くなり,長期にわたって浸水するおそれがあることを「長期浸水」として説明している。
そのため,物件を選ぶ際には,洪水・土砂災害に加え,津波浸水と長期浸水の想定も各マップで確認しておくのが安全である(Inference)。
3 家賃
総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査(調査時点は令和5年10月1日)の第112-2表によれば,民営借家(専用住宅)の1か月当たり家賃の平均は,高知市が4万8997円(家賃0円を含む。家賃0円を含まない平均は4万9679円)である。
同じ区分の高知県の平均は4万6865円,全国の平均は6万4819円である(いずれも家賃0円を含む。)。
共益費・管理費は別の欄で集計されており,高知市の民営借家の平均は1697円(0円を含む。)である。
これは入居中の借家全体の平均であり,間取りや築年数を区別したものではなく,修習生が新たに借りる物件の募集賃料とも異なる。
参考として,民間の賃貸情報サイトの集計を令和8年10月5日に閲覧したところ,次のとおりであった(いずれもSource statement)。
①Yahoo!不動産の高知市の家賃相場:掲載物件全体の平均賃料は5.2万円(6230件),一人暮らし向けの平均賃料は4.6万円,間取り別ではワンルーム4万円,1K4.2万円,1DK4.5万円,1LDK6.4万円。同サイトは掲載中の物件から平均賃料を算出したものとしており,管理費を含むか否かの表示はない。
②LIFULL HOME’Sの高知市の家賃相場:ワンルーム4.71万円,1K4.31万円,1DK5.22万円,1LDK6.83万円。同サイトは,駅徒歩10分以内の物件の平均賃料(管理費・駐車場代等を除く。)を軸に過去データから算出し,毎週金曜日に更新するとしている。
いずれも掲載物件の入替えや算出方法により数値は変わる。
物件を選ぶ際には,表示家賃だけでなく,次の点を確認する必要がある。
①管理費及び光熱費(夏の冷房・除湿の電気代を含む。)
②三機関それぞれへの経路と,雨天時の所要時間
③洪水・土砂災害・津波浸水・長期浸水の想定(前記2)
④駐車場・駐輪場の有無と費用(自動車・自転車を使う場合)
⑤家具家電,短期解約違約金,更新費用及び退去費用
⑥住居給付金の要件(契約名義,家賃負担及び届出期限)を満たすかどうか
4 修習給付金と集合修習の期間の住居
裁判所法67条の2第2項は,修習給付金の種類を基本給付金,住居給付金及び移転給付金とする。
最高裁判所の司法修習生の修習給付金についてによれば,基本給付金は給付期間ごとに13万5000円,住居給付金は給付期間ごとに3万5000円である。
住居給付金は定額であり,これを超える家賃は各自の負担となる。
司法研修所事務局総務課・経理課の修習給付金案内(第79期)によれば,住居届(新規)の届出期限は要件を具備した日から7日以内(初日不算入)であり(7頁),7日を経過した後に届け出たときは,届出を受理した日の属する給付期間の次の給付期間から支給が開始される(8頁)。
同案内21頁は,ウィークリーマンション等であっても,生活の本拠としたと認め得る程度に長期間居住した場合は支給される場合があるとし,親名義の賃貸借契約は原則として要件を満たさないが,例外的に支給される場合があるとしている。
高知がB班となる場合,集合修習は修習の最後に司法研修所で行われる。
同案内7頁は,集合修習の期間について,その間に対象住宅の賃貸借契約を継続し,かつ集合修習の終了後に対象住宅に戻って居住する場合に限り,司法研修所の寮に入寮する者は例外的に届出が不要となり,自宅,実家,配偶者の所有する住宅等に居住する者は「変更」の届出をするとした上で,これらの期間は住居給付金の支給対象にならないとしている。
B班の場合,集合修習の後に高知へ戻って修習することはないため,集合修習の期間中も高知の住居を維持すると,住居給付金を受けられないまま家賃を負担することになると考えられる(Inference)。
高知がA班となった場合は,集合修習の後に高知へ戻って選択型実務修習を行うため,同じ7頁の取扱いがそのまま問題になる。
高知の住居をいつ解約するかは,選択型実務修習の終了日,移動日,解約予告期間及び集合修習中の住居の確保方法によって異なり,第80期の案内で確認する必要がある。
第80期の修習給付金関係の案内は,選考要項(PDF3頁)によれば令和9年1月中旬に掲載される予定である。
制度の詳細は司法修習生の住居給付金及び司法修習生の移転給付金で扱っている。
修習給付金の支給を受けてもなお必要な資金は,裁判所法67条の3の修習専念資金(無利息の貸与)の対象となり,選考要項(PDF3頁)によれば第80期の修習専念資金の案内は令和8年11月上旬に掲載される予定である。
5 導入修習期間中の入寮
導入修習は司法研修所(埼玉県和光市)で行われ,希望者は入寮を申し込む。
第72期の司法研修所からのお知らせ13頁~14頁は,入寮希望者が多い場合の取扱いとして,実務修習地が東京,立川及びさいたまとなる者を各実務修習地に住居を有するものとみなすとしていたが,高知はこの3庁に含まれていない。
これは第72期の扱いであり,第80期の入寮の取扱いは,申込み後に示される案内で確認する必要がある(Unknown)。
第8 気象条件,防災及び就職情報
1 東京との気象条件の比較
(1) 比較表
気象庁の平年値(統計期間1991年~2020年)により,観測地点「高知」と観測地点「東京」を同じ要素・単位で比べると,次のとおりである。
観測地点と出典は後記(3)に記載した。
| 気象要素 | 高知 | 東京 | 高知と東京の差・生活上の意味 |
|---|---|---|---|
| 年平均気温(℃) | 17.3 | 15.8 | 高知が1.5度高い |
| 1月の平均気温(℃) | 6.7 | 5.4 | 高知が1.3度高い |
| 1月の日最高・日最低気温の月平均(℃) | 12.2/2.1 | 9.8/1.2 | 昼の最高気温は高知が2.4度高いが,朝の最低気温の差は0.9度にとどまる |
| 8月の平均気温(℃) | 27.9 | 26.9 | 高知が1.0度高い |
| 8月の日最高・日最低気温の月平均(℃) | 32.1/24.5 | 31.3/23.5 | 昼は0.8度,夜は1.0度高い |
| 日最高気温30℃以上の日数(年) | 66.0日 | 52.1日 | 高知が約14日多い |
| 日最高気温35℃以上の日数(年) | 3.0日 | 4.8日 | 高知の方が少ない |
| 日最低気温25℃以上の日数(年) | 23.4日 | 17.8日 | 高知が約6日多い |
| 日最低気温0℃未満の日数(年) | 16.4日 | 15.2日 | ほぼ同じ(高知がわずかに多い) |
| 年間降水量(mm) | 2666.4 | 1598.2 | 高知が約1068ミリメートル多い(約1.7倍) |
| 6月・7月・9月の降水量(mm) | 359.5・357.3・398.1 | 167.8・156.2・224.9 | 高知の雨は東京の1.8倍~2.3倍 |
| 日降水量50mm以上の日数(年) | 14.3日 | 6.2日 | 高知は東京の2倍以上 |
| 日降水量100mm以上の日数(年) | 4.6日 | 1.2日 | 高知は東京の約4倍 |
| 年間日照時間(時間) | 2159.7 | 1926.7 | 高知が約233時間長い |
| 年間の降雪の深さの合計・最深積雪(cm) | 1/1 | 8/6 | 高知の雪は東京より少ない |
(2) 夏・冬の違いと生活への影響
高知の気象条件で東京と最も大きく異なるのは,雨の量である。
年間降水量は2666.4ミリメートルで東京の約1.7倍であり,6月(359.5ミリメートル),7月(357.3ミリメートル)及び9月(398.1ミリメートル)はいずれも東京の同じ月の2倍前後である。
日降水量が50ミリメートル以上の日は年14.3日(東京6.2日),100ミリメートル以上の日は年4.6日(東京1.2日)あり,月別では9月(50ミリメートル以上2.5日,100ミリメートル以上0.8日)が最も多い。
相対湿度も,年平均が69%(東京65%),6月が78%,7月が79%(東京は75%・76%)と東京より高い。
夏は,8月の平均気温が27.9度で東京(26.9度)より1.0度高く,日最高気温30℃以上の日は年66.0日(東京52.1日)である。
他方,日最高気温35℃以上の日は年3.0日で,東京(4.8日)より少ない。
日最低気温が25℃以上の日は年23.4日(東京17.8日)で,8月は12.9日(東京9.9日)あり,夜も気温が下がりにくい日が東京より多い。
冬は,1月の平均気温が6.7度で東京(5.4度)より1.3度高く,日最高気温の月平均も12.2度(東京9.8度)である。
もっとも,日最低気温の月平均は2.1度で東京(1.2度)との差は0.9度にとどまり,日最低気温が0℃未満となる日は年16.4日(1月7.6日,2月5.3日,12月2.8日)と,東京(年15.2日)とほぼ同じである。
雪は,降雪の深さの合計・最深積雪とも年1センチメートルであり,積雪の深さ1cm以上の日は年0.3日(東京2.8日)にとどまる。
日照時間は年2159.7時間で,東京より約233時間長い。
第80期の日程表に当てはめると,第1クール(令和9年4月13日~6月8日)の後半から第2クール(6月9日~8月1日)は高知の雨の多い6月・7月に当たり,第3クール(8月2日~9月26日)は暑さの厳しい8月と,年間で降水量が最も多い9月に当たる。
第4クール(9月27日~11月18日)以降は降水量が減り,選択型実務修習又は集合修習の期間は,前記第5の1のとおりB班・A班のいずれでも冬に当たるが,積雪はほとんど見込まれない。
これらの統計からは,高知修習では次の点への備えが中心になると考えられる(Inference)。
①梅雨期から秋にかけての強い雨に対応できる雨具・靴と,大雨の日の通勤経路・所要時間の想定
②除湿・換気の設備と,夏の冷房を前提とした光熱費の見積り
③洪水・土砂災害・津波浸水の想定を確認した上での住居選び(前記第7の2)
④冬は東京と同程度の朝の冷え込みがあることを前提とした暖房器具
平年値は個々の日の気温や降水量を示すものではなく,年により大雨や猛暑となることがある点にも留意を要する。
(3) 観測地点・統計期間と未確認値の扱い
高知の値は,気象庁の観測地点「高知」(気温・降水量は高知市比島町の高知地方気象台,風・日照は高知市江陽町。北緯33度34.0分,東経133度32.9分,標高0.5m)の,高知の平年値(主な要素),同(降水量),同(気温),同(日照時間)及び同(雪)による。
東京の値は,観測地点「東京」(千代田区北の丸公園,東京管区気象台。北緯35度41.5分,東経139度45.0分,標高25.2m)の,東京の平年値(主な要素),同(降水量),同(気温),同(日照時間)及び同(雪)による。
所在地は気象庁の地域気象観測所一覧により,緯度・経度・標高は平年値のページの地点選択画面の表示による。
いずれも統計期間は1991年~2020年(資料年数30年)であり,令和8年10月5日に確認した。
本記事では,主な要素の表と要素別の表の同じ列の値が一致することを確かめた上で用いた。
雪の表では,降雪の深さ(新たに降った雪の量)と最深積雪(積もった雪の深さ)は別の要素であり,日数の欄も,降雪の深さの日合計が1cm以上の日数と,最深積雪が1cm以上の日数とに分かれている。
本記事の積雪の深さ1cm以上の日数は,後者の値である。
高知の3月から11月まで(降雪の深さ・最深積雪とも),東京の4月から11月まで(最深積雪は5月から10月まで)の雪の欄は,値の代わりに横線が表示されており,本記事ではこれを0として扱っていない。
高知の12月・1月・2月の降雪の深さ・最深積雪の欄は「0」と表示されている。
気温・降水量の各階級の日数は,同じ気温・降水量の表の階級別日数の値である。
2 台風・大雨と防災
前記1のとおり,高知は東京より大雨の日が多い。
高知市のハザードマップのページは,洪水,土砂災害,地震・津波等の各マップへの入口となっており,洪水ハザードマップは令和元年9月改訂のもの,土砂災害ハザードマップは令和6年3月一部改訂のものが掲載されている。
大雨や台風の接近時には,通勤経路の冠水や公共交通機関の運休がありうるため,配属庁会からの連絡方法と,自宅から配属先までの複数の経路を確認しておくのが安全である(Inference)。
3 就職に関する行事
高知弁護士会のウェブサイトでは,令和8年10月5日現在,トップページ,会の紹介,相談の各ページ及びサイト内検索(「修習」「就職」「採用」)の結果を確認した限り,司法修習生向けの就職説明会や求人求職の案内は確認できなかった(Unknown)。
全国向けの行事としては,東京弁護士会の東京三弁護士会司法修習予定者等就職合同説明会のページによれば,令和8年は「第79期司法修習生および第80期司法修習生予定者等全国就職合同説明会」として,東京三弁護士会が日本弁護士連合会及び関東弁護士会連合会と共催し,同年11月26日から同月30日まで,オンラインで開催される。
同ページは,所在地が東京以外の法律事務所は,事務所の所在する弁護士会から申し込むものとしている。
また,日本弁護士連合会は,第80期司法修習予定者対象の就職活動セミナーを,令和8年11月21日に弁護士会館とZoomの併用で開催するとしている。
第9 公開資料で確認できない事項
本記事が調査した公開資料の範囲では,次の事項は確認できない。
①第80期の高知のA班・B班の区分及び司法研修所の組(第80期の手引き等の公表待ち)
②第80期の高知の配属人数
③第80期の希望者数,希望倍率及び配属確率
④第80期の高知の現地班の数,巡回順序,各クールの配属部,指導担当者及び登庁時刻
⑤第77期の家裁修習の日数と具体的な日程
⑥第77期の検察修習及び弁護修習の行事の内容
⑦第77期の各班の人数
⑧第77期の裁判員裁判・令状事務等の修習の有無(日程表に記載なし)
⑨第80期の選択型実務修習の高知のプログラムの一覧
⑩第77期と第80期との間の運用の変更内容
⑪弁護修習の個別の配属先及びその所在地
⑫支部(須崎・安芸・中村)での修習の有無及び頻度
⑬第80期の導入修習及び集合修習の期間中の入寮の取扱い
⑭第80期の修習給付金の給付期間及び届出の具体的な方法
⑮高知弁護士会の第80期向けの就職説明会の有無
⑯令和8年度の高知地方裁判所本庁の部の構成
⑰司法研修所の組で高知と同じ組になる修習地が期によって入れ替わる理由
⑱第69期の原表で,第5希望・第6希望の欄に多くの人数が記載されている理由(前記第3の2の規則による可能性はあるが,原表には説明がない。)
これらは,第80期の手引き,配属庁会からの連絡及び高知弁護士会の案内で確認することになる。
「確認できない」は,「存在しない」という意味ではない。
第10 出典,参考資料及び関連記事
1 法令及び規則
①裁判所法(昭和22年法律第59号)14条・66条・67条・67条の2・67条の3(e-Gov法令検索,令和8年10月5日確認)
②司法修習生に関する規則(昭和23年最高裁判所規則第15号)1条・3条・5条・7条~10条(本ブログ掲載の条文)
③司法修習生の修習給付金の給付に関する規則(平成29年最高裁判所規則第3号)(最高裁判所)
④法務省検察庁事務章程(昭和60年法務省訓令第1号。令和8年4月8日法務省訓令第1号による改正後のもの)別表第1・別表第3・別表第6(PDF6頁・11頁・13頁)
2 最高裁判所及び司法研修所の資料
①最高裁判所司法修習の概要
②最高裁判所司法修習生採用選考(令和8年10月5日確認)
③最高裁判所令和8年度司法修習生採用選考要項(令和8年9月4日)PDF2頁~3頁
④最高裁判所令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き2頁・6頁
⑤最高裁判所司法修習生の修習給付金について
⑥司法研修所事務局総務課・経理課修習給付金案内(第79期)7頁・8頁・21頁
⑦司法研修所事務局長司法研修所からのお知らせ(平成30年8月1日,第72期)2頁・6頁・8頁・13頁~14頁
⑧司法研修所事務局長令和5年度(第77期)司法修習生の修習開始等について(令和6年2月7日)PDF14頁・18頁
⑨司法研修所事務局長令和6年度(第78期)司法修習生の修習開始等について(令和7年2月4日)PDF14頁・18頁
⑩第80期 修習日程(教官会議資料2。鑑文なし)
⑪最高裁判所裁判所データブック202630頁(PDF35頁)
3 開示文書,答申及び不開示通知
①司法研修所の教官担当表:第79期(令和8年4月17日付)・第78期(令和7年8月5日付)・第77期(令和6年8月2日現在)
②最高裁判所第79期司法修習生配属現員表(令和8年3月19日現在)・第78期司法修習生配属現員表(令和7年3月19日現在)ほか,前記第3の1の表の各期の配属現員表
③司法研修所実務修習希望地順位調査表等(人気調査)(56期~69期)17頁・19頁~23頁及び実務修習希望地調査表(69期)
④第77期高知修習の実務修習日程(高知地方裁判所長の送付文及び第77期分野別実務修習日程,PDF1頁~10頁)・第77期実務修習の日程(全国版)PDF238頁~242頁・454頁~458頁
⑤高知地方裁判所長第77期司法修習生配属表(令和6年4月2日・同年7月16日,PDF1頁~6頁)・第76期司法修習生配属表(令和4年12月19日・令和5年4月18日,PDF1頁~6頁)・第71期司法修習生配属表(PDF1頁~7頁)
⑥法務省大臣官房人事課長検察庁の職員の配置定員について(令和8年4月8日付法務省人定第16号)別表第3(PDF4頁)
⑦情報公開・個人情報保護審査委員会平成29年4月28日答申(平成29年度(最情)答申第1号)2頁~3頁
⑧情報公開・個人情報保護審査委員会令和元年8月23日答申(令和元年度(最情)答申第40号)2頁
⑨情報公開・個人情報保護審査委員会平成30年3月23日答申(平成29年度(情)答申第21号) 旭川地方裁判所に配属された第70期の司法修習生の一部が配属換えになったことに関する文書の開示の判断に関するもの
⑩最高裁判所事務総長の司法行政文書不開示通知書:令和8年1月19日(最高裁秘書第3778号)・令和8年3月18日(最高裁秘書第782号)・令和8年5月20日(最高裁秘書第1657号)
4 高知の裁判所,検察庁及び弁護士会の案内
①高知地方裁判所管内の裁判所の所在地・裁判所の紹介(令和8年10月5日確認)
②高知地方検察庁所在地・交通アクセス・沿革(令和8年10月5日確認)
④東京弁護士会東京三弁護士会司法修習予定者等就職合同説明会
⑤日本弁護士連合会【第80期司法修習予定者対象】就職活動セミナー
5 統計・データ・地域の資料
①日本弁護士連合会弁護士会別弁護士数とその内訳(2025年3月31日現在)
②気象庁高知 平年値(年・月ごとの値)主な要素・東京 平年値(年・月ごとの値)主な要素(統計期間1991年~2020年。降水量・気温・日照時間・雪の詳細は前記第8の1(3)の各ページ)
③総務省統計局令和5年住宅・土地統計調査第112-2表(e-Stat)
④Yahoo!不動産「高知市の家賃相場」・LIFULL HOME’S「高知市の家賃相場」(令和8年10月5日閲覧の民間サイトの集計)
⑤高知市ハザードマップ・洪水ハザードマップ・土砂災害ハザードマップ・地震・津波ハザードマップ,高知県南海トラフ地震による長期浸水(令和8年10月5日確認)
⑥とさでん交通運賃改定のお知らせ・電車運賃表(令和8年10月5日確認)
6 本ブログ掲載の集計資料
②司法修習の場所ごとの第1希望の倍率の推移表(新63期から69期まで)
③司法修習の場所ごとの第2希望までの倍率の推移表(新63期から69期まで)
7 関連記事
高知を他の候補地と比較する場合は,中国・四国の司法修習の場所を比較する記事を参照されたい。
広島・山口・岡山・鳥取・松江・高松・徳島・高知・松山について,裁判所・検察庁・弁護士会の所在地,通勤,東京と同じ期間の気象庁平年値,住居費及び和光市への移動を整理している。
正式な修習先と当該期の案内を確認するための生活面の比較であり,配属可能性を予測するものではない。
②80期司法修習の希望地申告・司法修習の場所―全国51の実務修習地一覧と選び方・実務修習地の希望倍率―過去の統計と第2希望選びの限界
⑤司法修習とは・集合修習とは・選択型実務修習とは・選択型実務修習の運用ガイドライン
⑨同じB班8組(第79期)の修習地:岡山修習の情報・松山修習の情報