メインコンテンツへスキップ
       

令和9年4月開始の育成就労―受入れ企業の準備,施行日前申請と技能実習の経過措置(AI作成)

第1 受入れ企業が先に決めること

本記事は,令和8年10月13日までに確認した出入国在留管理庁及び外国人技能実習機構の公表資料に基づき,育成就労外国人を受け入れる企業の準備を整理するものである。
主に通常の監理型育成就労を想定し,分野別の認定基準を網羅するものではない。

育成就労は,人手不足分野で原則3年間の就労を通じて特定技能1号水準の人材を育成・確保する制度である。
技能実習と名称が変わるだけの制度ではなく,受入れ分野,計画,監理支援,教育及び外国人の保護を新しい基準で確認する必要がある。

経営・人事担当者は,まず,①受入れを希望する業務,②開始予定日,③新たに受け入れる者と既存の技能実習生の区分,④監理型か単独型か,⑤育成と生活支援に充てる人員・費用を決めることが有用である。
「令和9年4月から人を確保する」という予定だけで募集を進めず,計画認定と在留手続の時間を別々に見込むべきである。

第2 施行日と申請日を混同しない

1 制度の開始と施行日前申請

出入国在留管理庁のQ&Aは,育成就労制度の運用開始を令和9年4月1日と説明している。
監理支援機関の許可に係る施行日前申請は令和8年4月15日,育成就労計画認定に係る施行日前申請は同年9月1日から受付が始まっている。
申請の受付開始は,施行日前に育成就労として働かせてよいことを意味しない。

手続・時点公表されている取扱い企業側の確認
育成就労の運用開始令和9年4月1日計画認定・在留手続・入国・講習を含めた実際の開始日を確認する
監理支援機関の施行日前申請令和8年4月15日から受付委託予定先の申請状況と取扱職種を確認する
計画認定の施行日前申請令和8年9月1日から令和9年3月31日まで開始予定日から逆算して書類・加入手続・送出機関を準備する

2 施行日前申請と通常申請で時期が異なる

機構の施行日前申請案内と同ページ掲載のリーフレットは,施行日前申請を,原則として開始予定日の7か月前から5か月前までに行うよう案内している。
一方,運用要領第2章の通常の監理型育成就労の流れは,開始予定日の6か月前から申請可能で,原則4か月前までの申請が必要と説明している。
施行日前申請の予定を通常申請の説明だけで組んではならない。

例えば,令和9年6月1日開始の施行日前申請について,リーフレットは令和8年11月1日から令和9年1月1日までの期間を示している。
これは暦上の逆算例であり,窓口の休業日,郵送の到着日及び書類の補正期間を無視して最終日に送付してよいという意味ではない。

施行日前申請の審査結果は,令和9年4月1日以降,順次郵送で通知されると案内されている。
施行日前に申請したことだけで,4月1日から確実に受入れを開始できると約束しないことが重要である。

第3 業務と受入れ先を確かめる

1 自社の業務が対象となるか

業種の名称だけで対象を判断せず,実際に外国人に行わせる業務を育成就労産業分野と業務区分へ対応させる必要がある。
特定技能で受入れ可能な分野を,当然に全て育成就労の対象と扱ってはならない。

機構は,分野別協議会への加入等を証明する書類,分野ごとの上乗せ基準に係る書類をそろえるよう案内している。
人事担当者は,現場責任者から業務の内容・割合・場所を確認し,最新の分野別運用方針,告示及び運用要領と照合することが有用である。
既存の技能実習の書式に業務名を転記するだけで,新制度の認定基準を満たすと判断すべきではない。

2 監理支援機関と送出機関

監理団体としての許可があることと,育成就労の監理支援機関として許可されることは別である。
通常の監理型の施行日前申請では,監理支援を予定する法人が有効な監理団体許可を有し,監理支援機関許可の施行日前申請をしていること等の確認が求められる。
機構の案内は,監理支援機関の許可がされなければ計画も認定されないこと,申請時に許可申請の受理票の写しが必要であることを明示している。

取扱職種,計画作成指導者,送出機関との契約及び当該送出機関の申請上の位置付けを,委託予定先と確認しておくことが有用である。
計画作成指導者には受入れ企業との密接な関係を避ける要件があるため,自社担当者をそのまま充てればよいとは限らない。

施行日前申請では暫定送出機関リストに掲載された機関を利用できる場合があるが,認定時には認定送出機関リストへの掲載が必要と案内されている。
掲載状況の変更,送出国ごとの推薦状の要否及び二国間取決めを確認し,追加資料や送出機関変更が必要となる場合の対応を決めておくべきである。

第4 雇用条件と育成を一つの計画に結び付ける

1 募集時の説明と契約を一致させる

運用要領別紙3の労働条件等の明示に関する指針は,業務,賃金及び労働時間等を具体的に示し,虚偽・誇大な内容としないことを求めている。
固定残業代を採用する場合は,その計算方法・時間数・金額,これを除く基本給及び超過分の追加支払の明示も必要となる。

実務では,募集時の資料,本人への説明,雇用契約書・労働条件通知書,育成就労計画及び実際の勤務予定を横並びに照合することが有用である。
業務や賃金等を変更する場合は,変更前の説明を消すだけでなく,変更内容・説明日・本人の理解及び必要な手続を記録する。

住居費,食費,送出しに関する費用及び日本語教育費は,誰が何を負担するのかを項目ごとに確かめる。
総額だけで説明したり,外国人本人の費用申告書と会社・監理支援機関の資料が食い違ったまま申請したりしないことが重要である。

2 仕事をさせるだけで育成が完了するわけではない

計画は受入れ予定の外国人ごとに作成するものであり,技能・日本語の目標,評価方法及び育成体制等を確認する必要がある。
運用要領第4章は,目標とする日本語能力に向けた講習について,所定の受講機会と環境の整備,費用負担及び記録保存等を説明している。
既に目標水準を満たす場合や講習方法の経過措置もあるため,全員へ同じ講習を機械的に課すのではなく,本人の状況と分野別の要件を確認する。

人事・現場責任者は,講習の担当者,実施方法,費用,受講機会,評価日及び証明資料の保管先を決めることが有用である。
講習時間が労働時間に当たるかは,その種類と実施方法に即して検討し,全ての講習を一律に無給又は有給と扱わない。

第5 外国人の相談と転籍に対応できる体制を作る

育成就労制度は,一定の条件の下で本人の意向による転籍を認める設計である。
自由な転職と同じ制度と理解することも,3年間は一切移れないと説明することも適切でない。
要件と手続は分野及び転籍の理由に応じて確認し,変更希望の申出を誰が受け,誰が監理支援機関・機構へ連絡するかを事前に決めておくことが有用である。

運用要領第6章は,育成就労の強制,違約金・損害賠償額の予定,旅券・在留カードの保管,私生活の自由の不当な制限及び申告を理由とする不利益取扱い等を取り上げている。
受入れ企業と監理支援機関では適用条文が異なる事項もあるため,契約の当事者と行為者を分けて確認する必要がある。

現場の管理者へは,相談の受付,通訳の確保,資料の保全,安全確保及び報復防止の手順を周知することが有用である。
転籍を防ぐ目的で違約金を定めたり,本人の旅券を預かったりする運用を採らないことが重要である。

第6 既存の技能実習生を一律に切り替えない

入管庁Q&Aは,施行後も技能実習を継続できる者として,令和9年4月1日時点で既に来日している技能実習生,又は同年3月31日までに技能実習計画の認定申請がなされ,原則として同年6月30日までに技能実習を開始する技能実習生を説明している。
既存の技能実習生全員を4月1日に育成就労へ切り替える制度ではない。

技能実習3号への移行には別の条件があり,同年4月1日時点の技能実習2号の実施期間などを個人ごとに確認する必要がある。
入国日,計画申請日,開始日,実習段階,在留期限及び次の手続を一つの台帳へ記載すると整理しやすい。

旧制度の1号技能実習計画について,機構は令和9年2月までに認定申請を行うよう案内している。
経過措置の説明にある3月31日という日付と,審査を見込んだ2月までの申請案内を区別し,最終日を当然の作業目標にしないことが重要である。

旧制度の監理団体許可の更新と,新制度の監理支援機関許可も分けて確認する。
技能実習を継続する者が残る場合は旧制度側の管理を終了させず,新旧二つの制度の担当と記録を維持する必要がある。

第7 準備を担当者と資料に割り当てる

次の表は,公表された基準を自社の準備へ結び付けるための運用例であり,全社共通の法定組織を示すものではない。
開始日の確約や募集の確定前に,未取得の許可・認定と不足資料を経営へ報告することが有用である。

担当の例確認する事項残す資料
経営・人事開始日,採用人数,業務区分,育成費用,旧制度との併存対象者・制度別の予定表と決裁記録
人事・現場業務,労働条件,講習・評価,住居,相談対応説明資料,契約・計画の対比,育成予定
監理支援予定先許可申請,職種,指導者,送出機関,分野別必要書類受理票,契約,掲載リストの確認日
法務・申請担当条件の整合,経過措置,申請時期,不足資料,変更手続確認表,提出控え,到着記録,補正履歴

第8 出典・関連記事

① 出入国在留管理庁「育成就労制度」及び制度Q&A。開始時期及び技能実習の経過措置に関する説明。

② 外国人技能実習機構「育成就労計画認定施行日前申請」。同ページ掲載の施行日前申請案内及び認定申請手続のリーフレット。

③ 外国人技能実習機構「関係法令・育成就労運用要領等」。令和8年8月5日改正版の第2章,第4章の計画・日本語講習に関する部分,第6章及び別紙3。
分野別の資料と送出国別の手続は,申請時に最新の公表内容を確認する必要がある。

育成就労外国人の給与と租税条約の関係は,育成就労外国人の給与と租税条約―所得税・源泉徴収と研修生免税で整理している。
特定技能所属機関への監督との違いは,特定技能所属機関に対する報告徴収及び立入検査を参照されたい。