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育成就労制度の転籍はいつできるか―本人意向・やむを得ない事情と企業の対応(AI作成)

第1 育成就労では転籍できるが,要件と手続がある

育成就労制度では,やむを得ない事情による転籍に加え,一定の要件を満たした場合の本人意向による転籍が認められる。
「3年間は会社を変えられない」という説明も,「1年働けば自由に転職できる」という説明も正確ではない。
本人の事情,転籍制限期間,技能・日本語能力,転籍先の基準及び新たな育成就労計画の認定を分けて確認する必要がある。

制度の運用開始は令和9年4月1日である。
本記事は,公表されている育成就労制度運用要領の令和8年8月5日改正版に基づき,通常の監理型育成就労における転籍を説明する。
単独型,労働者派遣等及び密接関係法人による共同実施には別途確認すべき取扱いがあり,以下の説明をそのまま当てはめない。

受入れ全体の準備と技能実習の経過措置は,令和9年4月開始の育成就労―受入れ企業の準備,施行日前申請と技能実習の経過措置を参照されたい。

第2 やむを得ない事情と本人意向の転籍を分ける

1 暴力・ハラスメントや事業の終了などがある場合

運用要領は,暴行・暴言・各種ハラスメント,倒産・廃業等による継続困難,重大悪質な法令違反や契約違反等を,やむを得ない事情を認め得る場面として説明している。
個々の事情と必要な事実確認は同じではなく,賃金不払いなどの問題があれば全て同じ手順で処理できるという意味ではない。

やむを得ない事情が認められる場合は,本人意向の転籍に固有の転籍制限期間,技能・日本語能力及び転籍先の追加基準を満たす必要はない。
一方,新たな育成就労計画の認定等,共通する基準まで不要になるわけではない。
根拠は,運用要領第4章4―190頁~4―197頁である。

2 本人の希望を理由とする場合

やむを得ない事情による取扱いに当たらない本人意向の転籍では,次の事項を併せて確認する必要がある。
就労期間だけ,試験合格だけ,又は転籍先との雇用契約だけで要件がそろうわけではない。

確認事項確認する内容
業務区分転籍前後の業務区分が同一であること
転籍制限期間分野別運用方針と現在の育成就労計画に定める期間
技能・日本語能力等分野別運用方針で定める試験等の要件と,育成就労期間の延長中でないこと
転籍先受入れ実績,優良要件,本人意向転籍者の割合等の基準
紹介・情報提供関与できる機関と,民間職業紹介事業者等の関与制限
初期費用転籍元に対する補填の要否と算定方法
新たな計画転籍先による育成就労計画の作成・認定

この表は確認項目の概要である。
転籍先の人数割合には,指定区域内から指定区域外への転籍に関する基準や計算から除く者等があるため,総人数だけで判断しない。
詳しくは,運用要領第4章4―197頁~4―205頁を確認する必要がある。

第3 転籍制限期間は分野と計画を確認する

本人意向の転籍に関する転籍制限期間は,1年以上2年以下の範囲で分野ごとに定められる。
1年を超える期間が定められた分野でも,受入れ企業が1年とする旨を育成就労計画で定めている場合があるため,分野名だけで決め付けない。
また,一度転籍した後の再転籍では,直近の育成就労実施者の下での期間を改めて確認する必要がある。

申出や転籍先探しを始める時点と,新たな計画に基づいて働き始める時点は区別する。
運用要領は,申出の時点で転籍制限期間を経過していなくても,転籍先を探す等の支援が必要となることを説明している。
期間未経過を理由に相談や申出の受付自体を一律に拒む運用は採らず,監理支援機関と要件の確認時点及び開始予定日を整理することが有用である。
育成就労の期間を3年超へ延長している場合は,本人意向の転籍は認められず,やむを得ない事情がある場合の転籍に限られる。
根拠は,運用要領第4章4―182頁及び4―197頁~4―199頁である。

第4 転籍希望は書面で申し出る

運用要領は,転籍を希望する外国人が,育成就労実施者,監理支援機関又は機構へ申出を行えることを説明している。
所定の事項を記載した書面による申出が必要であり,口頭で希望を伝えただけでは,この申出の手続を行ったことにはならない。

書面には,①本人の氏名・国籍・生年月日,②現在の育成就労実施者の氏名又は名称,③変更を希望する理由を記載する。
参考様式第1―16号が用意されているが,必要な事項を記載した別の書面による申出も認められる。
会社や監理支援機関の役職員が受け取り,責任者へ速やかに報告することが想定されており,受領した書面を廃棄したり,受取りを拒否したりすることは認められない。

会社は,口頭で転籍希望を伝えられたときは,申出書を提出するよう案内しなければならない。
その際,提出方法と相談先を案内し,通訳等を含め本人が内容を理解できるよう対応することが有用である。
相談記録と,正式な申出書を受け取った記録は区別して残すべきである。
書面の取扱いは,運用要領第4章4―173頁~4―174頁及び4―184頁を参照されたい。

第5 会社の受付と転籍先の認定は別の手続である

監理型の受入れ企業が申出を受けた場合は,遅滞なく監理支援機関へ通知する手続が必要となる。
監理支援機関が本人から直接申出を受けた場合も含め,申出の受理に関する機構への届出や本人・企業への通知等は,誰が申出を受けたかに応じて分けて行われる。
事実確認の終了まで連絡を留保するのではなく,受領日,申出先及び次の手続の担当を確認する必要がある。

転籍先の育成就労実施者は,新たな育成就労計画を作成し,認定を受ける必要がある。
本人と転籍先が合意したことや,転籍元が了解したことだけで,転籍先での就労に必要な計画の手続が完了するわけではない。
根拠は,運用要領第4章4―173頁~4―185頁である。

企業側では,①本人の安全と希望の確認,②申出書の受領と記録,③監理支援機関への通知,④資料の提供と転籍支援への協力,⑤新計画・在留手続・勤務開始日の確認という順で,担当と記録を整理するとよい。
これは社内で処理漏れを防ぐための整理であり,法定手続をこの5項目だけに限定するものではない。

第6 初期費用の補填と本人への違約金を混同しない

本人意向の転籍では,転籍先が転籍元へ初期費用の一部を補填することが,転籍先の基準として問題となる。
転籍元における計画の認定類型や,過去の転籍・就労期間等によって取扱いが異なるため,全ての転籍に一律の金額を当てはめない。
補填を要しない場合もあり,金額や支払関係は,運用要領第4章4―204頁以降と該当する告示で確認する必要がある。

この企業間の補填を,転籍を希望する本人に当然に請求できる違約金と理解してはならない。
運用要領第6章は,監理支援者等に対する育成就労法上の違約金等の禁止と,使用者である育成就労実施者に適用される労働基準法上の規制を分けて説明している。
転籍防止のために途中退職時の定額賠償を約束させる運用は採るべきでない。

旅券・在留カードの保管や私生活の自由の不当な制限等にも禁止がある。
企業と監理支援機関は,行為者に応じた規定を確認し,相談や申出を理由に本人へ不利益を与えない体制を整える必要がある。
根拠は,運用要領第6章6―1頁~6―6頁及び第4章4―177頁である。

第7 よくある質問

1 1年働けば,別の業種へ自由に移れるか

そのような制度ではない。
本人意向の転籍では,転籍制限期間以外の要件も確認する必要があり,転籍前後の業務区分は同一であることが求められる。
また,所属する会社が変われば,育成就労の期間が新たに3年間へ戻るという制度でもない。
転籍後の期間は,過去の同一業務区分の育成就労期間等を踏まえて確認する必要がある。
既に育成就労の期間を延長している者が,やむを得ない事情により転籍する場合は,転籍先で行わせることができるのは延長後の残りの期間である。

2 ハラスメントを受けても,転籍制限期間まで待つ必要があるか

やむを得ない事情による転籍が認められる場合に,本人意向の転籍に固有の期間要件を満たす必要はない。
まず安全を確保し,事実を記録した上で,監理支援機関や機構へ相談することが重要である。
ハラスメントの申告があったことと,具体的な認定要件の充足は分けて確認する。

3 民間の紹介会社に転籍先を探してもらえるか

本人意向の転籍では,民間職業紹介事業者等の関与に制限がある。
通常の中途採用と同じ感覚で人材紹介や求人情報サービスを利用する前に,監理支援機関・機構等へ,利用できる紹介・情報提供の経路を確認する必要がある。
運用要領第4章4―203頁~4―204頁は,職業紹介だけでなく,特定募集情報等提供の関与も取り上げている。

第8 関連記事と出典

① 令和9年4月開始の育成就労―受入れ企業の準備,施行日前申請と技能実習の経過措置
② 「技術・人文知識・国際業務」と「特定技能」の違い
③ 特定技能所属機関に対する報告徴収及び立入検査

① 出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度運用要領」(令和8年8月5日改正版)。第4章のうち,4―173頁~4―185頁,4―190頁~4―205頁を中心に参照した。
② 同第6章「育成就労外国人の保護」。6―1頁~6―6頁。
③ 外国人技能実習機構「育成就労制度について」及び「関係法令・育成就労運用要領等」。