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最高裁判所の令和7年度自庁研修結果報告書―自庁研修,他省庁研修への派遣,民間のIT研修及び費用(AI作成)

第1 令和7年度自庁研修結果報告書の概要

1 資料の性質と確認範囲

本記事は,最高裁判所の「(別紙様式)令和7年度 自庁研修結果報告書(最高裁判所)」(全14頁)を読み,最高裁判所に勤務する職員が令和7年度(令和7年4月から令和8年3月まで)に受けた研修の内容,人数及び費用を整理するものである。
資料は,令和7年度自庁研修結果報告書(最高裁判所)として本ブログに掲載している。
各頁の右上には「【機密性2】」と表示されているが,14頁の全部を確認した範囲では,黒塗りの部分は見当たらない。
本記事の基準日は令和8年10月6日であり,法令の条文はe-Gov法令検索で同日に確認した。

報告書は表計算ソフトの様式を印刷したものであり,各頁の右上の「局課等」欄で,次の6つの区分に分かれている。
①最高裁判所(自庁研修)(1頁)
②最高裁判所(委託研修)(2頁~7頁)
③経理局(8頁~9頁)
④デジタル総合政策室(10頁~11頁)
⑤裁判所職員総合研修所(12頁~13頁)
⑥最高裁判所図書館(14頁)

各行には,研修名,研修目的,人数,実施月,期間,委託先,備考,諸謝金及び職員旅費の欄がある。
研修目的の欄の見出しには,赤字で「研修名から当該研修の目的が明確なものについては、記載を省略して差し支えない。」と注記されており,報告書が一定の様式に従って各局課等から集められたものであることがうかがわれる。

2 局課等別の件数,延べ人数及び費用

報告書には合計欄がない。
そこで,本記事では全147行を1行ずつ読み取り,局課等ごとに件数,人数,諸謝金及び職員旅費を合計した。
人数は研修ごとの参加人数を足したものであり,同じ職員が複数の研修に参加した場合も重複して数えている(延べ人数)。

区分(報告書の頁)件数延べ人数諸謝金職員旅費
自庁研修(1頁)7件680人38,100円0円
委託研修(2頁~7頁)68件1,683人166,900円1,147,258円
経理局(8頁~9頁)25件37人873,643円274,394円
デジタル総合政策室(10頁~11頁)27件47人3,998,500円29,986円
裁判所職員総合研修所(12頁~13頁)13件13人626,100円0円
最高裁判所図書館(14頁)7件28人0円0円
合計147件2,488人5,703,243円1,451,638円

諸謝金と職員旅費を合わせると715万4881円である。
このうち約56%(399万8500円)はデジタル総合政策室の諸謝金であり,金額の面では,デジタル総合政策室が民間の研修会社に支払った受講料と見られるもの(第5)が最も大きい。
他方,人数の面では,人事院が主催するオンラインのセミナー(第3の2)と,最高裁判所が自ら行う研修(第2)が大部分を占める。
もっとも,これらの合計は本記事で集計した値であり,報告書自体に記載された数値ではない。

3 研修の法的な位置付け

裁判官及び裁判官の秘書官以外の裁判所職員の任免,能率等に関する事項については,裁判所職員臨時措置法により,国家公務員法の規定が準用されている。
その際,「人事院」及び「内閣総理大臣」は「最高裁判所」と読み替えられ,国家公務員法70条の6第1項の「研修(人事院にあつては第一号に掲げる観点から行う研修とし、内閣総理大臣にあつては第二号に掲げる観点から行う研修とし、関係庁の長にあつては第三号に掲げる観点から行う研修とする。)」は,単に「研修」と読み替えられている(同項各号は準用の対象から除かれている。)。

国家公務員法70条の5第1項は,研修の根本基準として,「研修は、職員に現在就いている官職又は将来就くことが見込まれる官職の職務の遂行に必要な知識及び技能を習得させ、並びに職員の能力及び資質を向上させることを目的とするものでなければならない。」と定めている。
同法70条の6第1項は,研修について計画を樹立し,その実施に努めなければならないとしている。
報告書に並ぶ研修は,この枠組みの下で最高裁判所が実施し,又は職員を派遣した研修の実績と位置付けられる。

最高裁判所事務総局の内部では,平成26年4月1日時点の事務分掌によれば,人事局能率課の考課研修係が「他省庁が実施する各種研修(在外研究を含む。)に関する派遣計画の立案及び連絡調整に関する事項」と「最高裁判所に勤務する一般職員の自庁研修の企画,立案及び実施に関する事項」を担当している(最高裁判所事務総局人事局の事務分掌)。
報告書の「自庁研修」と「委託研修」の区分は,この2つの事務に対応していると考えられる。
もっとも,令和7年度時点の事務分掌の文書は確認していない。

なお,裁判官以外の裁判所職員の研修を担当する機関としては,裁判所法14条の2に基づく裁判所職員総合研修所がある。
同条は「裁判所書記官、家庭裁判所調査官その他の裁判官以外の裁判所の職員の研究及び修養に関する事務を取り扱わせるため、最高裁判所に裁判所職員総合研修所を置く。」と定めている。
本報告書は最高裁判所に勤務する職員についての報告であり,裁判所職員総合研修所が全国の職員に対して行う養成課程や研修は含まれていない(同研修所については,裁判所職員総合研修所の組織,研修内容及び沿革を参照)。

第2 最高裁判所が自ら実施した研修(自庁研修)

1 7つの自庁研修

報告書1頁の自庁研修は次の7件である。
いずれも委託先の欄は空欄であり,最高裁判所が自ら実施したものである。
比較のため,令和6年度の報告書1頁の人数を右端の列に記載した。

研修名令和7年度の人数実施月期間令和6年度の人数
最高裁転入職員研修185人令和7年4月1日227人(2回の合計)
最高裁新任係長等研修77人令和7年5月0.5日107人
文書事務研修219人令和7年5月0.5日139人
最高裁係長等研修109人令和7年6月1日76人
最高裁管理職員研修52人令和7年10月1日48人
障害者等への配慮に関する研修31人令和7年11月0.5日28人
裁判所職員セミナー7人令和7年11月0.5日12人

延べ人数は,令和6年度の637人から令和7年度の680人へ増えた。
令和6年度は最高裁転入職員研修を令和6年4月に2回(127人と100人)実施していたが,令和7年度は1回(185人)である。
また,新任係長等研修と文書事務研修は令和6年度は6月,係長等研修は7月に実施されていたが,令和7年度はそれぞれ5月と6月に実施されている。

2 研修目的の記載

研修目的の欄によれば,最高裁転入職員研修は,最高裁判所の職員としての自覚を促し,必要な知識を付与するとともに,研修員相互の理解を通じて一体感を培うことにより,職場への円滑な定着を図るものである。
最高裁係長等研修は「最高裁係長及び専門職」を,最高裁管理職員研修は「最高裁課長補佐等」を対象とする研修として説明されている。
文書事務研修は,司法行政事務を担当する職員として適正な文書事務を行う上で必要となる知識及び技能を付与するものとされている。

障害者等への配慮に関する研修は,最高裁判所に勤務する職員に対し,障害者に対する配慮に関する必要な知識を習得させ,接遇等の場面において求められる役割について理解を深めるものである。
令和7年度は自庁研修の中で唯一諸謝金(3万8100円)が支出されており,外部の講師を招いたものと考えられるが,令和7年度の報告書では委託先の欄が空欄である。
令和6年度の報告書では,同じ研修の委託先の欄に,外部講師として公益社団法人東京都盲人福祉協会の職員2名が記載されていた(諸謝金2万4600円)。

裁判所職員セミナーは,裁判所職員としての意識の高揚及び業務の円滑な遂行のための知識の習得を図るものとされている。
令和6年度の報告書の備考欄には「行(二)職員12名参加」と記載されており,行政職俸給表(二)の適用を受ける職員を対象とする研修と考えられる。

第3 他の機関の研修への派遣(委託研修)

1 人事院公務員研修所の行政研修等

報告書2頁~3頁には,人事院公務員研修所が実施する研修が11件(延べ32人)記載されている。
内訳は,行政研修(課長級)が第243回~第245回の3回で計4人,行政研修(課長補佐級)が第300回~第303回の4回で計12人,同じく女性管理職養成コースと国際コースが各1人,行政フォーラム(第207回・第209回,オンライン)が5人と9人である。
課長級の行政研修の目的は,国民全体の奉仕者としての使命感の高揚を図り,組織統率力,人材育成力,危機管理能力及び政策の実現に必要となる対外的説明能力を充実させるとともに,研修員相互の理解と信頼を深めることとされている。
これらの研修では諸謝金は0円であり,職員旅費は11件の合計で3万3148円である。

なお,経理局の頁(8頁)にも,委託先を「人事院」とする第311回行政研修(課長補佐級)1人が別に記載されている。

2 人事院人材局のセミナー

人事院人材局(1件は人事院人材局と内閣人事局)が実施する研修は10件で,延べ人数は1,341人であり,委託研修全体の約8割を占める。
このうちパーソネル・マネジメント・セミナー(第1回・第2回,オンライン・0.5日)が742人と435人,多様な人材の活躍のためのオンラインセミナー(オンライン・0.5日)が156人である。
パーソネル・マネジメント・セミナーは,各府省の管理職職員が広くマネジメントの知識や理論,ノウハウに触れる機会を設け,マネジメント能力向上の契機とするものとされている。
多様な人材の活躍のためのオンラインセミナーは,各職場の人事管理・人材育成の責任を有する管理職員を対象に,ダイバーシティ・マネジメントの推進に向けた意識啓発を図るものである。

このほか,キャリア支援研修20(若手職員向け)とキャリア支援研修30(一定程度の勤務経験を積んだ職員向け)が各2回(各1人),メンター養成研修が1人,女性職員のためのキャリア支援研修が1人,研修担当官能力向上研修が2人である。

3 会計・予算・決算の研修

財務省会計センター(委託先の欄が「実施機関(財務省会計センター)」とされているものを含む。)の研修は18件,延べ206人で,職員旅費は計102万3430円である。
委託研修の職員旅費の約9割をこの区分が占める。

(1) 会計事務職員研修等

第169回会計事務職員研修(研修期間は令和7年4月3日~同年7月4日,一部オンライン)に6人,第170回(同年9月2日~同年12月5日,一部オンライン)に11人が参加し,職員旅費はそれぞれ15万6516円と9万2474円である。
研修目的は,国の会計事務に従事する職員に対し,予算決算及び会計事務に関する必要な知識を修得させ,併せてその徳性をかん養し,公務員としての資質の向上を図ることとされている。
このほか,第54回会計事務職員契約管理研修(令和7年5月22日~同年6月20日)に5人,予算担当職員初任者研修(オンライン)に5人,第10回会計監査事務職員研修(オンライン)に6人が参加している。

(2) ADAMSⅡ操作説明会

ADAMSⅡ操作説明会は,研修目的を「初任者、新任者向けのシステムの操作説明」とするもので,集合形式が6回(第3回~第6回,第8回,第9回)で計11人,動画配信が7回(第3回~第9回)で計162人である。
集合形式の職員旅費は6回で計76万7092円であり,1回当たり9万円台から19万円台である。
動画配信の第3回(令和7年6月)は105人と,委託研修の中ではパーソネル・マネジメント・セミナー,多様な人材の活躍のためのオンラインセミナーに次いで多い。

(3) 財務省の予算編成・決算のシステム研修

財務省の第88回予算編成支援システム研修(研修期間は令和7年5月21日~同年7月10日)に4人,第90回(同年9月26日~同年10月7日)に5人,第22回決算業務支援システム研修に2人が参加している。
経理局の頁にも,予算編成支援システム研修(7行,延べ15人)と決算業務支援システム研修(1人)が別に記載され,備考欄には「同一の研修に複数回参加」とする行がある。

4 デジタル庁,総務省統計研究研修所等の研修

デジタル庁の研修は,情報システム統一研修(第1/四半期~第4/四半期,オンライン)が計32人(15人,12人,4人,1人),電子決裁システム(EASY)集合研修が3回で計19人(9人,3人,7人)である。
情報システム統一研修の研修目的は,デジタル人材の計画的な育成及び一般職員のITリテラシー向上等を目的として実施するものとされている。
電子決裁システム(EASY)集合研修は,EASYを利用して効率的に電子決裁・文書管理を進める方法を習得するものである。
総務省統計研究研修所のオンライン統計研修(令和7年度第1回~第4回)には,計19人が参加している。

5 行政管理研究センター,人事行政研究所及び国立公文書館の研修

行政管理研究センターのオンラインセミナーは8件(延べ13人)で,諸謝金は計8万円である。
内訳は,行政DXセミナー(2人),マイナンバー実務セミナー(1人),公文書管理セミナー(1人),行政不服審査法実務セミナー(2人),情報公開セミナー(2人),個人情報保護セミナー(その1)(2人),行政争訟セミナー(2人)及び働き方改革セミナー(1人)である。
最高裁判所の司法行政文書の開示や保有個人情報の開示の事務は,法律ではなく最高裁判所の定めに基づいて運用されているが,担当職員は,行政機関の情報公開・個人情報保護・行政不服審査の実務を扱うセミナーも受講していることになる。

人事行政研究所の実務研修会は,勤務時間・休暇制度(1人),再任用・退職手当・年金制度(2人)及び育児休業制度等(1人)の3件で,諸謝金は計8万6900円である。
国立公文書館の公文書管理研修Ⅰには,2回で計4人が参加している。
同研修の研修目的は,公文書等の管理に関する法律の概要を理解するとともに,公文書等の評価選別に関する基本的な事項を習得するものとされている。

6 税務大学校本科特別研修

国税庁の税務大学校本科特別研修には,令和6年度(研修期間は令和6年7月23日~令和7年6月25日)と令和7年度(研修期間は令和7年7月23日~令和8年6月25日)に各1人が参加しており,職員旅費は7万6700円と8792円である。
研修目的は,「真に専門官職としてふさわしい知識、技能を習得させるとともに、税務の中核として活躍できるよう広い視野、高い識見、的確な判断力等を身に付けさせる。」とされている。
研修期間が年度をまたぐため,令和7年度の報告書には2つの年度の研修が並んで記載されている。
どの職種の職員が派遣されたかは,報告書からは分からない。

第4 経理局の研修

1 安全運転管理者講習

経理局の頁(8頁)の冒頭には,東京都公安委員会の安全運転管理者講習(1人)と副安全運転管理者講習(2人)が記載されている。
研修目的の欄は「道路交通法108条2の1の規定に基づく」,備考欄は「行(二)職員1名参加」及び「行(二)職員2名参加」であり,諸謝金は5100円と6800円である。

道路交通法74条の3第1項は,自動車の使用者は,内閣府令で定める台数以上の自動車の使用の本拠ごとに安全運転管理者を選任しなければならないとし,同条4項は副安全運転管理者の選任を定めている。
同条9項は,「自動車の使用者は、公安委員会からその選任に係る安全運転管理者等について第百八条の二第一項第一号に掲げる講習を行う旨の通知を受けたときは、当該安全運転管理者等に当該講習を受けさせなければならない。」と定めている。
同法108条の2第1項1号は,公安委員会が行う講習として「安全運転管理者等に対する講習」を掲げている。
報告書の「道路交通法108条2の1」は,この108条の2第1項(1号)を指すものと読める。
最高裁判所も公用車を使用する自動車の使用者として,安全運転管理者等に法定の講習を受けさせていることが分かる。

2 予算・決算・旅費のシステム研修

経理局の職員は,財務省の予算編成支援システム研修(7行,延べ15人)及び決算業務支援システム研修(1人)のほか,デジタル庁の旅費及び謝金・諸手当システム操作説明会(4人,職員旅費5万1540円)にも参加している。

3 施設担当職員の建築・設備研修

経理局の残りの13件は,国土交通大学校と全国建設研修センターの建築・設備の研修であり,いずれも参加者は1人である。

研修名委託先期間諸謝金職員旅費
専門課程 建築工事監理マネジメント研修【集合】国土交通大学校10日33,421円36,492円
専門課程 公共建築工事の発注者の役割研修【ハイブリッド】国土交通大学校8日25,983円17,042円
専門課程 建築設備計画〔電気〕研修【ハイブリッド】国土交通大学校10日36,557円17,042円
専門課程 公共建築物木材利用推進研修【集合】国土交通大学校5日18,648円19,049円
専門課程 建築保全企画研修【集合】国土交通大学校9日34,829円43,118円
専門課程 建築計画〔企画・設計〕研修【集合】国土交通大学校12日35,305円44,272円
建築工事監理Ⅰ・Ⅱ全国建設研修センター5日107,000円6,868円
建築設備改修全国建設研修センター3日79,000円4,878円
建築構造全国建設研修センター5日109,000円8,103円
公共建築工事積算全国建設研修センター5日102,000円7,322円
建築設備(空調)全国建設研修センター5日114,000円4,951円
公共建築設備工事積算(電気)全国建設研修センター3日71,000円3,201円
建築物の維持・保全全国建設研修センター4日95,000円1,968円

国土交通大学校の6件の備考欄には,「諸謝金欄の金額は、(項)裁判所施設費(目)施設施工庁費(雑役務費 一般)」と記載されている。
国土交通大学校の6件は諸謝金が計18万4743円,職員旅費が計17万7015円,全国建設研修センターの7件は諸謝金が計67万7000円,職員旅費が計3万7291円である。
研修目的には,公共建築工事の発注者の役割,建築工事監理,積算,保全等が並んでおり,裁判所庁舎の新営・改修・保全を担当する職員の専門研修と考えられる。

第5 デジタル総合政策室の民間IT研修

1 27件,約400万円

デジタル総合政策室の頁(10頁~11頁)には,民間の研修会社の研修が27件(延べ47人)記載されており,諸謝金は計399万8500円,職員旅費は計2万9986円である。
27件すべての研修目的の欄に,「他の研修で習得することが困難な内容であり、当室の業務を行うに当たり必要とされる知識、スキルを体得する。」という同じ文言が記載されている。
実施月は令和7年10月から令和8年3月までであり,このうち令和7年11月の15件で諸謝金は267万0800円である。

委託先件数延べ人数諸謝金
株式会社富士通ラーニングメディア14件31人2,406,800円
株式会社イルミネート・ジャパン3件5人715,000円
NECビジネスインテリジェンス株式会社7件7人566,500円
CTCテクノロジー株式会社3件4人310,200円

2 研修の内容

研修名で分けると,マイクロソフト社の製品・サービスの名称を含む研修が11件(延べ14人,諸謝金143万8800円)ある。
MS-900 Microsoft 365 基礎,AZ-900 Microsoft Azure基礎,SharePoint Online サイト構築 基礎,Power Apps による Microsoft 365 活用,Microsoft 365 運用管理,Windows Serverの基礎,Windows Serverの応用~Active Directory~,Power Automate関係の4件(Teams・Outlook・Formsとの連携を含む。)である。
ネットワーク・セキュリティ関係では,ネットワークの基礎(9人,諸謝金71万2800円。27件の中で最も多い。),TCP/IPプロトコル,インターネットセキュリティ技術,サイバー攻撃におけるインシデント対応~疑似環境を用いた解析~等の7件がある。
このほか,プロジェクトマネジメント関係が4件,システム開発の基礎,データベース基礎,システム運用管理・運用基礎等がある。

これらの研修名から,デジタル総合政策室の職員が,職員の業務環境やシステムの運用,プロジェクト管理,セキュリティ対応に関する基礎的な技術を民間の講座で身に付けようとしていることがうかがわれる。
最高裁判所でのMicrosoft 365の活用事例等の資料は,最高裁判所事務総局デジタル審議官の第9の3に掲載しており,マイクロソフト社の製品の研修が多いことはこれと整合する。
もっとも,報告書は研修の名称と費用を記載するだけであり,個々の研修の受講がどの業務やシステムに結び付いているかまでは示していない。
デジタル総合政策室の組織についても,同記事を参照。

第6 裁判所職員総合研修所の民間セミナー受講

1 13件の受講と活用目的

裁判所職員総合研修所の頁(12頁~13頁)には,同研修所の職員が民間の研修会社のセミナーを受講した13件(各1人,諸謝金計62万6100円,職員旅費0円)が記載されている。
他の局課等と異なり,研修目的の欄には,受講して得た知見をどう活用するかが具体的に書かれている。

研修名委託先諸謝金活用目的(研修目的の欄の要旨)
講師のためのファシリテーションスキルダイナミックヒューマンキャピタル110,000円養成課程や中央研修におけるeラーニングの企画
クリティカルシンキング研修~本質を見抜く力を養うインソース26,400円前例や固定観念に縛られない授業・研修の在り方
説明力向上研修~管理職が遭遇する、タフな状況での説明力を鍛えるインソース30,500円養成課程生への授業の研修効果,面談での意欲の引出し
男性のための部下育成研修~女性リーダーの活躍を支援するインソース30,500円幹部職員を対象とする研究会の企画等
OJT研修~部下・後輩指導の基本スキルを習得するインソース26,400円管理職や係長向けの研修の企画等
ポカミスゼロへのアプローチ実務セミナーJMAマネジメントスクール61,600円ミスのない環境整備に向けた思考過程を養成課程の授業に活用
参加者主体のオンライン研修 講師養成講座ダイナミック・ヒューマン・キャピタル99,000円オンライン研修のファシリテーション
「キャリア再構築」研修リクルートマネジメントスクール16,500円トータルキャリア研修等の在り方の検討
離職防止研修~採用者の早期活躍を支援するインソース30,500円養成課程生の相談・課題の提出状況・受講態度等から端緒を早期に発見し対処
今の時代の新人・若手育成のポイントリクルートマネジメントスクール16,500円特に家裁調査官研修部の養成課程生を対象とする研修の企画
考え方のクセを打破する 思考力強化トレーニング産能マネジメントスクール16,500円より効果的な研修企画
リーダーのための段取り力養成コースJMAマネジメントスクール121,000円授業カリキュラムの起案や中央研修の企画
変革リーダー研修~人数を増やさず今のメンバーで変革を実現するインソース40,700円民事訴訟のフェーズ3開始に伴う養成課程及び中央研修の実施方法の検討

委託先の「ダイナミックヒューマンキャピタル」と「ダイナミック・ヒューマン・キャピタル」は,報告書の表記のとおりである。

2 研修目的の欄から分かること

男性のための部下育成研修の研修目的の欄には,「裁判所は、各役職段階に占める女性職員の割合はいまだ目標値をわずかに超えたところにあり、本セミナーで得られた知見を幹部職員を対象とする研究会の企画等に活用する。」と記載されている。
裁判所が各役職段階の女性職員の割合について目標値を設け,それを「わずかに超えた」と認識していることが,研修の企画の文脈で記載されている。
目標値そのものは報告書に記載されていない。

変革リーダー研修の研修目的の欄には,「民事訴訟のフェーズ3開始に伴う養成課程及び中央研修の実施方法の検討に活用する。」と記載されている。
「フェーズ3」は,改正民事訴訟法等の全面施行(令和8年5月21日)により始まった民事訴訟手続のデジタル化の段階(最高裁判所事務総局デジタル審議官の第7の2,mintsの新法事件と旧法事件の見分け方参照)を指すものと考えられ,裁判所職員総合研修所が,養成課程と中央研修の実施方法をこれに合わせて見直そうとしていたことがうかがわれる。
ただし,報告書には「フェーズ3」の定義は書かれていない。

離職防止研修の研修目的の欄は,教官が養成課程生からの相談,課題の提出状況や受講態度等の端緒を早期に発見し,先手で適切な対処を打つのに活用するとしている。
養成課程生の離職の防止が,裁判所職員総合研修所の課題として意識されていることがうかがわれる。

第7 最高裁判所図書館の研修

最高裁判所図書館の頁(14頁)には,国立国会図書館の研修が7件(延べ28人)記載されており,諸謝金・職員旅費はいずれも0円である。
国立国会図書館法20条は,行政及び司法の各部門に現存する図書館は国立国会図書館の支部図書館となると定めており,報告書の研修名も「行政・司法各部門支部図書館」の職員を対象とするものである。
内訳は,支部図書館新規配属職員研修(春期7人・秋期1人),支部図書館職員司書業務研修(13人,5日),支部図書館職員特別研修(図書館資料のデジタル化3人,国会レファレンス課・国会分館の概要説明及び見学1人,支部法務図書館見学2人)である。

このほか,国立国会図書館の「カスタマーハラスメントの基礎知識と対応のポイント研修」(令和7年11月,0.5日)に1人が参加しており,研修目的は「カスタマーハラスメントに関する基礎知識及び対応方法を取得する。」とされている。
図書館の利用者対応も,カスタマーハラスメント対策の対象として意識されていることが分かる(事業主のカスタマーハラスメント対策については,令和8年10月1日施行のカスハラ対策義務化を参照)。

第8 報告書から分かること・分からないこと

1 分かること

報告書からは,最高裁判所に勤務する職員の研修が,①最高裁判所が自ら行う研修,②人事院,財務省,デジタル庁等が各府省の職員向けに行う研修への派遣,③民間の研修会社の講座の受講の3つで構成されていることが分かる。
人数では①と人事院のオンラインセミナーが大部分を占め,費用ではデジタル総合政策室と裁判所職員総合研修所の民間講座,経理局の建築研修,財務省会計センターの集合研修の旅費が大部分を占める。
また,裁判所も,会計(ADAMSⅡ,予算編成支援システム),文書(EASY,公文書管理研修),統計,情報システムの分野で,行政機関と共通の研修とシステムを利用していることが分かる。

2 分からないこと

①人数は延べ人数であり,実人数は分からない。
②費用の欄は諸謝金と職員旅費だけであり,研修の実施に要した他の経費(会場費,教材費,職員の人件費等)は含まれていない。
人事院や財務省の研修の多くは諸謝金が0円であるが,受講料が無料であるのか,別の予算で支出されているのかは報告書からは分からない。
③職員旅費の内訳(出張元,宿泊の有無)は記載されていない。
ADAMSⅡ操作説明会(集合形式)の職員旅費が1回当たり9万円台から19万円台と大きい理由も,報告書からは分からない。
④研修の効果や受講後の評価は記載されていない。
⑤本記事で令和6年度と比較したのは1頁の自庁研修だけであり,その他の頁の年度比較はしていない。

第9 情報公開請求で入手・利用するときの注意

この報告書は,最高裁判所が「自庁研修結果報告書」という名称で年度ごとに作成しているものであり,本ブログには平成30年度以降の各年度分を掲載している(第10の1)。
翌年度以降の分を開示申出で求めるときは,「令和8年度自庁研修結果報告書(最高裁判所)」のように,年度と文書名を特定すれば足りると考えられる。
もっとも,研修期間が年度をまたぐ研修(税務大学校本科特別研修等)は2つの年度の報告書にまたがって記載されることがあるので,特定の研修を追うときは前後の年度の報告書も確認する必要がある。

報告書の数値を引用するときは,次の点に注意する。
①合計欄がないので,件数・人数・金額の合計は自分で集計した値であることを明示する。
②人数は延べ人数として扱う。
③「局課等」欄の区分は,研修を所管する局課等と受講者の所属とが必ずしも一致しない(例えば,経理局の頁にも人事院の行政研修が記載されている。)。
④スキャンした画像のPDFであるため,文字認識(OCR)の結果には数字の誤読が多い。
本記事の数値は,全頁を画像で読み取り直したものである。

第10 関連資料・関連記事

1 過去の自庁研修結果報告書等

①平成30年度自庁研修結果報告書(最高裁判所)
②平成31年度自庁研修結果報告書(最高裁判所)
③最高裁の自庁研修の参加者名簿及び日程表(令和元年度)
④最高裁判所の令和2年度自庁研修結果報告書
⑤令和3年度自庁研修結果報告書(最高裁判所)
⑥令和4年度自庁研修結果報告書(最高裁判所)
⑦令和5年度自庁研修結果報告書(最高裁判所)
⑧最高裁判所の令和6年度自庁研修結果報告書
⑨令和7年度自庁研修結果報告書(最高裁判所)
⑩東京地裁の令和3年度自庁研修実施計画一覧(R4.3改訂版)

2 関連記事

①歴代の裁判所職員総合研修所長
②裁判所職員総合研修所の組織,研修内容及び沿革
③裁判所職員総合研修所の研修実施計画
④裁判官研修実施計画
⑤最高裁判所事務総局人事局の事務分掌
⑥最高裁判所事務総局デジタル審議官
⑦裁判所における一般職の職員

第11 出典

1 提供資料

①最高裁判所「(別紙様式)令和7年度 自庁研修結果報告書(最高裁判所)」1頁~14頁(本ブログ掲載のPDF)
②最高裁判所「(別紙様式)令和6年度 自庁研修結果報告書(最高裁判所)」1頁(本ブログ掲載のPDF)

2 法令

①裁判所法14条の2(e-Gov法令検索)
②裁判所職員臨時措置法(e-Gov法令検索)
③国家公務員法70条の5・70条の6(e-Gov法令検索)
④道路交通法74条の3・108条の2(e-Gov法令検索)
⑤国立国会図書館法20条(e-Gov法令検索)

3 その他

①最高裁判所事務総局の各係の事務分掌に関する文書(平成26年4月1日時点)(最高裁判所事務総局人事局の事務分掌に掲載)