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自己破産するとiDeCo・小規模企業共済・中退共はどうなるか―差押禁止,受取後の預金及び退職金の評価(AI作成)

第1 解約や受取請求をする前に確認すること

自己破産を検討するとき,iDeCo,小規模企業共済及び中小企業退職金共済(中退共)を,預金や勤務先の通常の退職金と同じものとして扱ってはならない。法律が差押えを禁止している受給権は,個人の破産では原則として破産財団に属しない。しかし,受給権の保護,受取後の預金の扱い,国税の滞納処分及び申立てでの財産の申告は,別々に確認する必要がある。

本記事は,令和8年10月12日に確認した現行条文と公表資料に基づき,解約や受取請求の前に何を調べるべきかを整理するものであり,AIを用いて作成した。iDeCoの加入年齢・拠出限度額に関する令和8年12月1日の改正後の規律は,現在の規律として適用しない。

1 最初に分ける四つの事項

①制度名と根拠法令を確定する。勤務先の退職金規程による請求権,中退共の退職金,確定拠出年金を,単に「退職金」という名称で一括しない。
②権利者を確定する。会社が掛金を負担していることと,会社自身が給付を受ける権利を有することは同じではない。
③破産手続開始時に,未受領の受給権なのか,受取済みの現金・預金なのかを確定する。
④民事の差押え,破産手続,個人再生及び租税の滞納処分のどの手続が問題なのかを確定する。

2 保護される権利も申告する

差押禁止財産として破産財団に入らないことは,弁護士,裁判所又は破産管財人に制度への加入や受給権を説明しなくてよいことを意味しない。加入証明,残高通知,給付見込額,受給権者及び入金履歴を示し,財産目録等で求められる情報を区分して申告する。財産の隠匿や虚偽説明は,免責及び手続への協力の問題を生じさせる。

第2 三制度の差押禁止と例外

1 受給権の比較

制度原則と根拠見落としやすい例外・区別
iDeCo確定拠出年金法32条1項を73条で準用。給付を受ける権利は譲渡,担保提供及び差押えが禁止される。老齢給付金・死亡一時金には国税滞納処分の例外がある。障害給付金まで一律に例外としない。
小規模企業共済小規模企業共済法15条。共済金等の受給権は譲渡,担保提供及び差押えが禁止される。相続により取得した受給権,13条2項の承継通算のための一定の譲渡,国税滞納処分には例外がある。
中退共中小企業退職金共済法20条。退職金等を受ける権利は譲渡,担保提供及び差押えが禁止される。国税滞納処分の例外は「被共済者」が受ける権利について定められている。会社の財産と従業員・遺族の権利を分ける。

各条の「国税滞納処分」には,国税滞納処分の例による処分も含まれる。民間の債権者による通常の民事執行で差し押さえられないという説明から,税金等の徴収でも必ず保護されるという結論は導けない。実際の公租公課の種類と徴収根拠を確認する必要がある。

2 iDeCoでは破産と早期引出しを分ける

確定拠出年金法32条1項は給付を受ける権利を保護し,73条が個人型年金に準用している。破産法34条3項2号との関係では,差押禁止財産として破産財団から除外される権利かどうかを先に判断する。

他方,自己破産することだけで,iDeCoを任意に解約して直ちに現金化できるわけではない。老齢給付金,障害給付金,死亡一時金及び脱退一時金にはそれぞれ要件があり,受給できる時期と差押禁止の有無は別の問題である。資金繰りが厳しくなったときは,掛金の変更・拠出停止等の手続と,現時点で引き出せるかを運営管理機関に確認する。

3 小規模企業共済では受取額と貸付残高も確認する

小規模企業共済法15条の保護は,共済金等を受ける権利に対するものである。解約手当金についても同法12条及び15条の関係を確認する。「解約できるから,申立て前に必ず解約しなければならない」とはならない。

ただし,保護される権利があることと,見込額の全額が現実に支払われることは同じではない。同法16条の2には,共済金等の不正受給に係る返還金,掛金等,契約者貸付金及びその利子等の控除を認める規定があり,16条の3には一定の場合の掛金の取崩しがある。共済契約締結証書,掛金納付履歴,貸付残高及び控除後の見込支給額を一緒に確認する。

廃業,会社の解散,退任及び任意解約で,請求事由・金額・税務上の扱いが異なる。中小機構の「共済金等請求・解約」では,法人の解散について法人の破産も共済金Aの請求事由として案内されている。また,任意解約で掛金納付月数が240か月未満である場合には,受取額が掛金合計額を下回り得る。資金化を急ぐ前に,該当する請求事由と実際の見込額を確認する必要がある。

4 中退共では会社と従業員を混同しない

中小企業退職金共済法5条は,共済契約の利益を被共済者である従業員又はその遺族に享受させる構造を定める。契約者である事業主が掛金を支払ったことだけで,退職金請求権が事業主の財産になるわけではない。同法16条の解約手当金の支給先も被共済者である。

したがって,会社の破産で従業員の中退共を会社の換価財産とすること,従業員自身の破産で中退共の受給権を勤務先の通常の退職金と同じ割合で評価することは,いずれも権利の帰属と20条の差押禁止を先に検討せずには行えない。勤務先が中退共とは別に退職金を支払う制度を設けている場合には,その別の請求権を区分して調査する。

第3 通常の退職金の「8分の1」をそのまま当てはめない

1 破産財団からの除外と自由財産の拡張

破産法34条1項は,開始時に破産者が有する財産を破産財団とし,2項は開始前の原因に基づく将来の請求権も含める。一方,3項2号は差押禁止財産を破産財団から除外する。ここでいう法定の除外と,4項による裁判所の自由財産の拡張は別の仕組みである。

勤務先の通常の退職金については,民事執行上の一部差押禁止と,退職が現実化しているか等を踏まえた破産・再生の評価の問題がある。他方,特別法により受給権自体が差押禁止となる制度では,まずその保護の対象と例外を判定する。すべての「退職金」に8分の1又は4分の1を掛ける処理は適切でない。

2 裁判所資料の対象と作成時点

千葉地方裁判所の給与所得者等再生の書式資料のPDF17~18頁は,通常の退職金見込額について原則8分の1,既に退職して未受領の場合は4分の1という清算価値の記載方法を示す一方,確定拠出年金や中退共,小規模企業共済等の差押禁止となる権利については,清算価値に計上する必要はなくても,種類及び受給権を記載するよう求めている。

これは給与所得者等再生の書式上の案内であり,全国の破産事件の一律の評価基準を定めるものではない。水戸地方裁判所の平成31年4月1日実施の同廃・管財振り分け資料にも退職金の8分の1等の記載があるが,資料の目的は同時廃止と管財事件の振り分けである。現在の大阪の事件で用いる財産評価・自由財産拡張の運用は,申立先の最新資料及び個別協議で確認する必要がある。

第4 受取後の預金と開始決定の前後

1 入金すると検討対象が変わる

共済金や年金を支払う機関に対する受給権と,金融機関に対する預金債権は別の権利である。受給権を保護する条文があるからといって,受取後の口座残高にも当然に同じ範囲の差押禁止が続くとは扱わない。

破産手続開始前に受け取り,開始時に預金として残っている場合には,預金としての財団帰属及び自由財産拡張等を検討する。原資が年金又は共済金であることは資料で示すが,原資の説明だけで当然に除外されるとは断定できない。請求日,支払決定日,入金日,開始決定日,入金後の使途及び残高を並べる必要がある。

2 開始後の入金をすべて新得財産としない

破産法34条2項が開始前の原因に基づく将来請求権を含めるため,開始後に入金されたという一事だけで破産財団に入らないとはいえない。他方,開始時に差押禁止財産として除外された受給権なのか,財団に属する将来請求権なのかを飛ばして,開始後の入金をすべて財団の財産とも扱わない。

受給権の法的性質と帰属を先に確定し,支払を受けたときの扱いを弁護士又は管財人に確認する。少額に見える入金,申立て後の解約及び受領後の支出も,経緯を説明できるよう資料を残す。

3 生活費の預金が民事執行で差し押さえられた場合

裁判所「民事事件Q&A」は,給料又は公的給付が振り込まれた預金の差押えで生活が困難となる場合について,民事執行法153条の差押禁止債権の範囲変更の申立てを案内している。申立先は差押命令を出した裁判所であり,債権者が金融機関から支払を受ける前に申し立てる必要がある。

入金の原資,家族構成,収入,生活費,口座残高及び他の資産を,通知書,通帳・取引履歴,収支資料等で示す。全額の取消しが当然に認められる手続ではなく,借金そのものを減額する手続でもない。これは個別の民事執行の救済であり,破産での自由財産拡張や税務上の滞納処分への不服申立てとは区別する。

第5 小規模企業共済の相続と直前の積増し

1 遺族自身の権利と相続した権利

小規模企業共済では,契約者の死亡を事由として法9条・10条により遺族に直接発生する共済金請求権と,既に発生していた受給権を権利者の死亡により相続する場面を分ける。15条ただし書は,相続により取得した共済金等の受給権を保護の例外としているため,「共済金なら相続後もすべて差押禁止」とはいえない。

誰の死亡が支給事由なのか,生前にどの権利が発生していたか,分割払中の残額か,誰がどの根拠で取得したかを確認する。相続財産への帰属,相続放棄及び税務上のみなし相続財産の問題も,差押禁止とは分けて検討する。

2 破産直前の加入・増額を一律に安全としない

制度上の差押禁止は,資金繰りが悪化した後のあらゆる財産移動を正当化するものではない。直前の新規加入,掛金増額,前納,又は換価した資産からの多額の拠出があるときは,時期,原資,金額,従前の拠出状況,目的及び債権者への影響を具体的に調査する。

否認は破産法160条以下の該当類型ごとの要件により,免責は252条の事由及び裁量免責により判断される。「直前なら必ず否認される」「差押禁止だから必ず問題ない」のいずれも一般的な結論として示さない。老後の積立制度の説明を,財産隠匿や虚偽申告の方法に置き換えてはならない。

第6 相談前にそろえる資料と関連記事

1 資料をそろえてから受取方法を決める

相談時には,①加入制度と契約番号が分かる書類,②受給権者,加入・掛金納付履歴及び残高,③給付見込額と請求事由,④貸付金・控除予定額,⑤受取予定日又は入金履歴,⑥勤務先の別の退職金規程,⑦滞納税金と徴収手続,⑧直前の掛金変更及び原資の資料を用意する。

その上で,受給権のまま維持する場合と受け取る場合の扱い,生活費の必要額,税務,掛金の継続可否及び申立先の運用を確認する。受給権が保護されるという一つの理由だけで,解約,請求,又は拠出の継続・増額を決めないことが重要である。

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第7 出典・参考資料

1 法令

確定拠出年金法32条,33条,73条及び附則3条。
小規模企業共済法9条,10条,12条,13条,15条,16条の2及び16条の3。
中小企業退職金共済法5条,16条及び20条。
破産法34条,40条,41条,160条以下及び252条。

2 裁判所・運営機関の資料

千葉地方裁判所給与所得者等再生の書式資料PDF17~20頁。
水戸地方裁判所同廃・管財振り分けの運用について(平成31年4月1日実施)。
裁判所民事事件Q&Aの預金差押えと差押禁止債権の範囲変更に関する案内。
中小機構共済金等請求・解約。