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裁判所支部とは―本庁・支部・出張所の違いと管轄・提出先の調べ方(AI作成)

第1 裁判所支部とは

1 本庁の事務の一部を取り扱う組織である

裁判所支部とは,高等裁判所,地方裁判所又は家庭裁判所の事務の一部を,その裁判所の管轄区域内の別の場所で取り扱うために設けられる組織である。
裁判所法は,下級裁判所の種類を高等裁判所,地方裁判所,家庭裁判所及び簡易裁判所としている。「支部」は,これらと並ぶ第五の種類の裁判所ではない。

支部を利用するときに重要なのは,支部が存在することと,その支部が目的の手続を取り扱うことを分けて確認することである。
自宅に近い支部の庁舎があっても,事件の種類によっては本庁又は別の支部へ申立てる必要がある。所在地だけで提出先を決めることはできない。

2 高裁・地裁・家裁の支部を区別する

裁判所法22条は高等裁判所の支部を,31条は地方裁判所の支部又は出張所を設けることができると定めている。家庭裁判所には,31条の5により地方裁判所の支部・出張所に関する規定が準用される。
したがって,「○○支部」という地名だけでなく,高等裁判所,地方裁判所又は家庭裁判所のどの支部かを確認する必要がある。同じ地域の地裁支部と家裁支部でも,扱う事件は同じではない。

本庁・支部の事務分配や回付の法的な位置付けを詳しく調べる場合は,地方裁判所支部・家庭裁判所支部の権限と一覧を参照されたい。

第2 本庁・支部・出張所・簡易裁判所の違い

1 名称が似ていても同じ組織ではない

本庁・支部・出張所の区別は,一つの裁判所の組織と事務の取扱場所に関する区別である。これに対し,簡易裁判所は,裁判所法が定める別の種類の下級裁判所である。
地方裁判所支部と簡易裁判所が同じ庁舎に置かれていても,申立書の宛名を一括して「○○裁判所」としてよいことにはならない。

名称位置付け利用前に確認すること
本庁支部等との対比で用いられる裁判所の本体の庁本庁へ集約された手続か,担当部はどこか
高裁・地裁・家裁の支部当該裁判所の事務の一部を取り扱う組織裁判所の種類,担当区域,事件類型ごとの取扱い
家庭裁判所出張所家庭裁判所の事務を地域で取り扱う組織受付だけか,審理等も行うか,対象手続は何か
簡易裁判所地裁や家裁とは別の種類の下級裁判所簡裁に申し立てる手続か,その簡裁の管轄はどこか

2 家裁出張所では受付場所と審理場所が異なることがある

家庭裁判所出張所の取扱いは一律ではない。裁判所の宮崎県内の管轄区域表も,一部の出張所では受付と出張による家事審判・家事調停に関する事務だけを取り扱うと注意している。

具体例として,福岡家庭裁判所の窓口案内は,甘木出張所では調停・審判の申立ての受付に関する事務のみを取り扱い,受付後の審理等は福岡家裁本庁で行うと説明している。同出張所を管轄区域とする調停・審判は,本庁に申し立てることもできるとされている。
これは甘木出張所についての案内であり,全国の出張所が同じ運用であることを意味しない。出張所の名称だけから,そこで全手続が完結すると考えないことが重要である。

家裁出張所の沿革や受付出張所については,家庭裁判所の出張所及び受付出張所を参照されたい。

第3 全国の裁判所支部の数と一覧

1 地裁と家裁にはそれぞれ203支部がある

裁判所データブック2026の組織表によれば,高等裁判所は本庁8庁・支部6庁,地方裁判所は本庁50庁・支部203庁,家庭裁判所は本庁50庁・支部203庁・出張所77庁である。
高裁6支部のほか,東京高等裁判所には特別の支部として知的財産高等裁判所が置かれている。

この数は裁判所の組織数である。同じ庁舎に複数の裁判所が置かれる場合があるため,地裁支部203庁と家裁支部203庁を足して,庁舎が406か所あると読むものではない。
また,支部数は裁判官の人数や開廷日数を示す数字でもない。

2 一覧・住所・電話番号は目的に応じて調べる

全国の地裁・家裁支部名は,都道府県順の203支部一覧にまとめている。
高裁の一般の6支部については,高等裁判所支部の一覧と担当区域を参照されたい。

訪問や郵送のための最新の住所・電話番号は,裁判所公式サイトの各地の裁判所の所在地・電話番号等一覧から確認する。
ただし,所在地一覧は目的の事件の提出先を確定する資料とは限らない。次に述べる管轄・取扱事件の確認も必要である。

第4 支部の管轄区域と事件の提出先は一致するとは限らない

1 管轄区域表の注意書きまで読む

ある市町村が支部の管轄区域に含まれていても,その地域に関係するすべての事件を当該支部が扱うわけではない。
裁判所の都道府県別管轄区域表には,事件の種類等によって申立書の提出先が表と異なる場合がある旨の注意がある。市町村と支部名が対応する行だけを読まず,表の冒頭の注意と合議事件・少年事件等の欄も読む必要がある。

例えば,大阪府内の管轄区域表は,岸和田支部管内の地域について,地裁・家裁の支部欄には岸和田支部を,合議事件欄と少年事件欄には堺を表示している。また,大阪府内の裁判員制度対象事件は地裁本庁と堺支部だけで取り扱い,行政事件は本庁だけで取り扱うと説明している。
通常の事件の取扱庁と,これらの事件の取扱庁を区別する必要がある。

2 本庁だけでなく別の支部に集約される場合もある

地方裁判所及び家庭裁判所支部設置規則3条について,最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会の令和元年度(最情)答申第72号は,支部の事務の一部を本庁又は他の支部で取り扱うことができる旨を説明している。
そのため,申立先を「本庁か,自分の地域の支部か」という二択で探すだけでは足りない。

特に民事執行では,不動産競売,債権執行,財産開示及び第三者からの情報取得で取扱庁が異なることがある。執行事件の本庁・拠点支部への集約では,手続別の集約の型と具体例を整理している。
支部の有無や取扱事件と開廷日割の全国比較は,地方裁判所支部における本庁集約と開廷頻度を参照されたい。

第5 管轄・提出先を調べる手順

1 手続名,管轄,取扱庁の順に確認する

申立て前には,次の順に確認するとよい。これは確認漏れを防ぐための実務上の手順であり,住所だけから個別事件の法定管轄を決めるものではない。

①手続名を特定する。「裁判」「執行」などの大きな名称にとどめず,民事訴訟,家事調停,不動産競売,債権執行等を区別する。
②手続に適用される法律に従い,管轄原因を確認する。住所地だけでなく,目的物の所在地その他の事情が関係する場合がある。
③裁判所公式サイトの都道府県別の管轄区域表で裁判所名を確認し,冒頭の注意と事件別の欄を読む。
④地裁の民事手続では,申立書提出先一覧(地方裁判所)の当該都道府県の資料を開き,手続名と対象地域を照合する。家事手続では,当該家裁の手続案内と窓口案内を確認する。
⑤申立書の宛名,郵送先,担当部署,受付方法及び最新の変更告知を確認する。不明な場合は,具体的な手続名と対象地域を示して担当窓口へ照会する。

2 提出先と納付先・期日参加方法を別に確認する

書類を提出する庁舎が分かっても,保管金等の納付先や期日に参加する場所が同じとは限らない。
申立書の提出,手数料・郵便料等の納付,保管金の取扱い,記録の閲覧及び期日参加について,必要なものを分けて確認する。

開廷日割も,個別事件の期日を保証する情報ではない。担当裁判官一覧の曜日表示と,自分の事件の期日指定を区別する必要がある。
オンライン参加を希望するときも,担当部からの案内や個別の確認に従い,遠隔地の支部であることだけから利用できると判断しない。

これらの違いを具体的に確認する例は,稚内支部の管轄・本庁集約・開廷頻度と利用前の確認事項を参照されたい。
確認したページのURL,閲覧日,照会先と回答日時を控え,提出直前に取扱いが変わっていないか再確認するとよい。

第6 よくある疑問

1 近くに支部があれば,そこへ申し立てればよいか

近い支部であることだけでは提出先は決まらない。法律上の管轄と,事件類型ごとの本庁・支部間の事務分配の両方を確認する必要がある。
大阪の岸和田支部管内でも合議事件等の取扱庁が堺となる例や,家裁の甘木出張所で受け付けた申立てを本庁で審理する例は,この区別を示している。

2 裁判所支部がある地域には,高裁支部もあるか

地裁・家裁の支部と高裁の支部は別である。地裁と家裁にはそれぞれ203支部あるが,一般の高裁支部は6支部であり,地裁支部があるすべての地域に高裁支部があるわけではない。
高裁の担当区域は,高裁支部の一覧又は裁判所公式サイトの管轄区域表で別に確認する。

3 昔使った提出先を,次回も使ってよいか

取扱庁は変更されることがあるため,過去の申立書や経験だけで決めない。
例えば,青森地裁は,令和8年10月1日以降の民事執行事件を,執行官へ申し立てる動産執行事件等を除き本庁だけで取り扱う旨を案内している。不動産競売の書類を支部でも受け取れることと,事件を支部で処理することは別である。
変更告知では,開始日,対象事件,例外及び既存事件の移行措置まで確認する必要がある。

第7 出典・参考資料

1 法令・全国の組織資料

①e-Gov法令検索「裁判所法」(2条,22条,31条,31条の5)
②裁判所データブック2026・第1部組織関係(1頁の組織表,2頁の凡例)
③最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会・令和元年度(最情)答申第72号(第6の1・支部設置規則3条の説明)

2 管轄・提出先・窓口案内

①裁判所「各地の裁判所の所在地・電話番号等一覧」
②裁判所「管轄区域表」
③裁判所「申立書提出先一覧(地方裁判所)」
④裁判所「大阪府内の管轄区域表」
⑤裁判所「宮崎県内の管轄区域表」
⑥福岡家庭裁判所の窓口案内(甘木出張所の受付と審理場所)
⑦青森地方裁判所「令和8年10月1日以降における民事執行事件の取扱いについて」

本記事の公式ウェブ資料の確認日は令和8年10月8日である。管轄・提出先・窓口の取扱いは変更されることがあるため,実際の申立て又は訪問に当たっては,その時点の公式案内を確認されたい。