第1 宮崎修習について確認できる範囲
1 第79期を中心とする情報の範囲
本記事は,第79期の宮崎修習について,日程,修習先,住居及び生活上の準備を整理するとともに,過去の配属現員表,希望地調査表及び第77期宮崎の裁判修習日程から確認できる数値と実施内容を示すものである。第79期の宮崎における分野別実務修習は令和8年4月14日から同年11月20日までであり,宮崎はその後に選択型実務修習,集合修習の順で進むB班である。
他方,第79期の宮崎配属人数,各分野を回る順序及び日々の全予定は,公表資料から確認できない。希望倍率も,新第63期から第69期までの原票からは計算できるが,第70期以降の希望順位別人数は確認できないため,古い倍率から現在の配属可能性を予測することはできない。
2 確認できる数値の早見表
| 項目 | 確認できる内容 | 読む際の限界 |
|---|---|---|
| 第79期の日程 | 分野別実務修習は令和8年4月14日~11月20日,選択型実務修習は同月24日~令和9年1月8日,集合修習は同月13日~2月25日 | 宮崎の分野別4科目の順序及び日々の全予定は公表資料から確認できない |
| 直近の配属人数 | 第74期9人,第75期9人,第76期10人,第77期14人,第78期11人 | 第79期の実配属数は公表資料から確認できない |
| 希望倍率 | 新第63期~第69期の第1希望倍率は0.05倍~0.41倍 | 現在の倍率でも配属確率でもない |
| 宮崎固有の実施内容 | 第77期の日程に問研起案,家裁修習,高裁修習,社会修習等の記載がある | 第79期の予定を直接示す資料ではない |
| 家賃 | 宮崎市の借家(専用住宅)の平均家賃は月額4万5695円 | 単身用募集物件の相場でも総住居費でもない |
第2 第79期宮崎修習の日程
1 導入修習から自由研究日まで
第79期の具体的な日付は,令和7年4月30日付け司法研修所事務局長文書「第79期司法修習生の修習日程」による。ブログ内の第79期司法修習の日程では,他の課程や関連資料も確認できる。
| 課程 | 日程 | 実日数 | 宮崎修習との関係 |
|---|---|---|---|
| 導入修習 | 令和8年3月19日~4月10日 | 16日 | 司法研修所で実施 |
| 移動日 | 4月11日~13日 | ― | 宮崎への移動及び生活準備 |
| 第1クール | 4月14日~6月9日 | 37日 | 分野別実務修習 |
| 第2クール | 6月10日~8月2日 | 37日 | 分野別実務修習 |
| 第3クール | 8月3日~9月28日 | 37日 | 分野別実務修習 |
| 第4クール | 9月29日~11月20日 | 37日 | 分野別実務修習 |
| 選択型実務修習 | 11月24日~令和9年1月8日 | 30日 | 宮崎を含むB班は先に実施 |
| 移動日 | 1月9日~12日 | ― | 集合修習への移動 |
| 集合修習 | 1月13日~2月25日 | 30日 | 司法研修所で実施 |
| 自由研究日 | 2月26日 | 1日 | 集合修習後の日程 |
2 宮崎は選択型実務修習を先に行うB班であること
分野別実務修習後の順序は修習地によって異なり,宮崎は選択型実務修習を先に行うB班である。したがって,宮崎での住居契約を検討するときは,令和8年11月20日の分野別実務修習終了だけでなく,同月24日から令和9年1月8日までの選択型実務修習で宮崎の住居を使う可能性と,同月9日から12日までの移動日を併せて確認する必要がある。
もっとも,選択型実務修習には配属庁会が提供するプログラムのほか,全国プログラム及び自己開拓プログラムがあるため,実際の活動場所は選択内容によって変わる。賃貸借契約の退去日は,配属後に交付される宮崎固有の日程表及び選択型プログラムの予定を確認してから決めるのが安全である。
第3 配属人数及び希望倍率
1 第74期から第78期までの配属人数
司法研修所の配属現員表によれば,宮崎の配属人数は次のとおりである。直近5期は9人から14人であり,単純平均は10.6人,中央値は10人となるが,各期の人数は変動しているため,第77期の14人だけから恒常的な増員を推認することはできない。司法修習生配属現員表(48期以降)には,各期の配属現員表が掲載されている。
| 期 | 全国の採用・配属総数 | 宮崎 | 全国総数に占める割合 |
|---|---|---|---|
| 第74期 | 1456人 | 9人 | 0.62% |
| 第75期 | 1329人 | 9人 | 0.68% |
| 第76期 | 1394人 | 10人 | 0.72% |
| 第77期 | 1830人 | 14人 | 0.77% |
| 第78期 | 1556人 | 11人 | 0.71% |
| 第79期 | 公表原本を確認できない | 公表原本を確認できない | ― |
2 新第63期から第69期までの希望倍率
公表された実務修習希望地調査表の宮崎欄から,第1希望倍率を「第1希望者数÷配属人数」,第2希望までの倍率を「(第1希望者数+第2希望者数)÷配属人数」として再計算すると,次のとおりである。新第63期から第69期までの単純平均は,第1希望倍率が0.19倍,第2希望までの倍率が0.34倍となる。
| 期 | 配属人数 | 第1希望 | 第2希望 | 第1希望倍率 | 第2希望までの倍率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 新第63期 | 20人 | 1人 | 2人 | 0.05倍 | 0.15倍 |
| 新第64期 | 20人 | 4人 | 1人 | 0.20倍 | 0.25倍 |
| 新第65期 | 20人 | 3人 | 2人 | 0.15倍 | 0.25倍 |
| 第66期 | 20人 | 1人 | 5人 | 0.05倍 | 0.30倍 |
| 第67期 | 19人 | 3人 | 3人 | 0.16倍 | 0.32倍 |
| 第68期 | 17人 | 7人 | 2人 | 0.41倍 | 0.53倍 |
| 第69期 | 15人 | 5人 | 4人 | 0.33倍 | 0.60倍 |
3 倍率を配属確率として扱えない理由
この倍率は,各希望順位の人数を当該期の配属人数で割った歴史的な比率であり,抽選倍率,配属成功率又は現在の人気度ではない。希望順位以外の事情がどのように考慮されるかを含め,現在の個別配属の具体的な判断方法は公表資料から確定できず,第70期以降の希望順位別人数も確認できない。
したがって,「宮崎は第1希望なら必ず配属される」又は「現在の倍率も0.3倍程度である」とはいえない。司法修習の場所を選ぶ際の基礎データに掲載された人数及び倍率の推移も過年度資料であるから,交通,住居,家族事情及び希望する実務経験と併せて用いる資料と位置付けるべきである。
第4 宮崎における実務修習の内容
1 分野別実務修習の全国共通の骨格
分野別実務修習は,民事裁判,刑事裁判,検察及び弁護の4分野を各約2か月ずつ経験する課程である。民事裁判及び刑事裁判では法廷傍聴,係属記録の検討,問題点に関するメモの作成及び裁判官との意見交換等を行い,検察では実事件に基づく証拠収集,取調べ,起訴・不起訴処分に関する意見及び公判立会い等を経験する。弁護では指導担当弁護士の下で,法律相談,法廷への立会い,法律文書の起案及び講評等を経験する。
各分野の制度と指導内容は,ブログ内の民事裁判修習の実際,刑事裁判修習の実際,検察修習の実際及び弁護修習の実際で詳しく整理している。宮崎県弁護士会の司法修習委員会は,宮崎地方裁判所に配属された司法修習生について,主として弁護実務修習を担当すると公表している。
2 第77期宮崎の裁判修習日程から分かること
第77期宮崎修習の実務修習日程は,4班を用い,民事第1部,民事第2部及び刑事部への配属をクールごとに交替させていたことを示す。同日程には,裁判部での個別修習に加え,次の共通行事が記載されている。
| 種類 | 日程表で確認できる内容 |
|---|---|
| 起案・講評 | 問研起案,オンライン講評,グループ面談 |
| 民事裁判 | 争点整理教材の視聴及び説明 |
| 家庭裁判所 | 家裁講義及び4日間の家裁修習 |
| 上級審 | 高裁修習 |
| 地域・社会 | 社会修習 |
| 選択型実務修習 | プログラム説明 |
| 自主的学修 | 自由研究日 |
具体例として,令和6年7月19日に選択型実務修習プログラム説明,同年8月29日に社会修習,同年9月2日に高裁修習,同年10月9日及び15日に社会修習が設定されていた。問研起案は午前10時から午後3時までとされたものが多いが,これらは第77期の実施例であり,第79期の日付又は内容を示すものではない。
3 公開日程から分からないこと
入手できる宮崎固有の日程は裁判修習を中心とするものであり,宮崎地方検察庁及び個々の指導担当事務所における毎日の予定を網羅していない。事件の配点,法律相談・接見・公判への同行頻度,夜間又は休日の任意行事及び第79期の選択型プログラム一覧は,配属後に示される資料で確認する必要がある。
また,実事件を素材とする以上,経験できる事件や行事は配属班,時期及び事件の進行によって異なる。過年度の日程は,宮崎で実施され得る修習の種類を知る資料としては有用であるが,第79期に同じ順序及び回数で行われることを保証するものではない。
第5 住居の選び方及び修習給付金
1 住居は各自で確保すること
最高裁判所の第79期採用手引きは,実務修習地における住居を各自で確保するものとしている。宮崎の主要な修習機関は,宮崎地方・家庭・簡易裁判所が宮崎市旭2丁目3番13号,宮崎地方検察庁が同市別府町1番1号,宮崎県弁護士会が同市旭1丁目8番45号にあり,裁判所はJR宮崎駅西口から徒歩約10分である。
3施設の位置関係からは,宮崎駅西口,旭,別府町及び橘通東付近が主たる修習機関へ通う住居の候補となる。ただし,これは所在地からの整理であって,裁判所等が推奨する居住区域ではなく,弁護修習先,社会修習先その他の訪問先は別の場所となり得るため,物件ごとの交通手段を確認する必要がある。
| 施設 | 所在地 | 公表されているアクセス |
|---|---|---|
| 宮崎地方・家庭・簡易裁判所 | 宮崎市旭2丁目3番13号 | JR宮崎駅西口から徒歩約10分,裁判所前バス停から徒歩約1分 |
| 宮崎地方検察庁 | 宮崎市別府町1番1号 | 宮崎法務総合庁舎 |
| 宮崎県弁護士会 | 宮崎市旭1丁目8番45号 | 公式所在地を確認できる |
2 家賃統計と住居給付金
宮崎県の令和5年住宅・土地統計調査によれば,宮崎市の借家(専用住宅)の平均家賃は月額4万5695円,1畳当たり2564円である。この数値は市内の借家全体の統計平均であり,新築の1R・1Kの募集賃料ではなく,共益費,駐車場代,敷金,礼金,保証料,保険料及び引越費用も直接示さない。
裁判所法67条の2は,修習給付金を基本給付金,住居給付金及び移転給付金に分ける。最高裁判所の司法修習生の修習給付金についてによれば,基本給付金は一給付期間13万5000円,住居給付金は所定の要件を満たす場合に一給付期間3万5000円であり,移転給付金は最高裁判所が定める路程に応じた額である。住居給付金を受けるには,自ら居住する住宅を借り受けて家賃を支払うことのほか,届出及び資料提出が必要となる。
住居給付金3万5000円と上記の平均家賃を単純比較しても,住居費全体を賄う制度ではない。物件を比較するときは,月額家賃だけでなく,初期費用,駐車場又は自転車置場,インターネット設備,短期解約条項及び集合修習へ移る時期の退去条件を含む総額を見る必要がある。
3 契約前に確認する事項
賃貸借契約前には,①裁判所,検察庁及び弁護修習先への移動方法,②第79期の宮崎固有日程,③選択型実務修習終了後の退去日,④住居給付金及び移転給付金の届出期限と必要書類,⑤短期解約違約金,⑥駐車場又は駐輪場の有無を確認するのが合理的である。契約書,家賃の支払資料及び移転に関する資料は,給付手続に備えて保存する必要がある。
宮崎市は洪水及び津波のハザードマップを公開しているため,浸水又は津波リスクは町名全体の印象ではなく,候補物件の位置ごとに確認すべきである。中心部への近さだけで契約せず,建物階,避難場所及び避難経路も併せて確認することになる。
第6 宮崎市での生活情報
1 転入,ライフライン及びごみ
他の市区町村から宮崎市へ転入した場合,転入届は転入した日から14日以内に行う。宮崎市は電気,ガス,水道及び電話・インターネットの窓口をまとめた引っ越しに伴う各種手続を案内しているため,入居日が決まった段階で使用開始手続を進めるとよい。
ごみは,地区ごとの指定収集所へ指定日の午前8時30分までに出す。宮崎市は品目ごとの分別と収集日を確認できるごみ分別アプリ「さんあ~る」を案内しており,入居後は物件の管理者から指定収集所も確認する必要がある。
2 徒歩,自転車,バス及び自動車
主要な修習機関は宮崎駅西側の中心部に近接しているため,中心部に住めば徒歩又は自転車で通える可能性がある。宮崎市は無料かつ24時間利用可能な市営自転車駐車場を22か所設置しており,宮崎駅北側自転車駐車場は816台分である。
宮崎交通の宮崎市中心部のりば案内では,宮崎駅及び橘通周辺の路線を確認できる。ただし,弁護修習先,支部,拘置施設又は社会修習先への移動は中心部3施設への通修習とは別であり,自動車が必要かどうかは配属後の訪問先と運行時刻を確認して判断すべきである。
3 気候と防災
気象庁の1991年から2020年までの平年値によれば,宮崎の年平均気温は17.7度,年降水量は2625.5ミリ,年間日照時間は2121.7時間である。平年降水量は6月516.3ミリ,7月339.3ミリ,8月275.5ミリ,9月370.9ミリであり,第79期の分野別実務修習は梅雨,夏の高温及び台風の影響を受け得る時期を含む。
通修習では雨具,濡れた記録等を保護する鞄及び運休時の代替経路を準備する必要がある。また,宮崎市の洪水ハザードマップ及び津波ハザードマップで,住居と修習機関の双方について避難場所及び避難経路を確認しておくべきである。
第7 修習地指定及び修習給付金に関する裁判例
1 実務修習地の指定と居住移転
名古屋地裁平成29年12月20日判決は,実務修習地の指定及び司法研修所での修習に伴う居住地の移転について,全国各地で活動する実務法曹の実態に触れることが必要かつ有用であり,自ら司法修習生となることを選択したことに伴う内在的制約であるとした。名古屋高裁令和元年5月30日判決も控訴を棄却した。
もっとも,これらは新第65期の給費制廃止の違憲性等を争った事件であり,第71期以降の修習給付金制度の下で宮崎への個別指定の適法性を判断したものではない。宮崎配属そのもの,宮崎の日程又は宮崎での住居を争点とする公表判決は確認できず,これは裁判所HP未掲載事件が存在しないことを意味しない。
2 基本給付金等の課税関係
大阪地裁令和4年12月22日判決は,基本給付金を非課税の学資金とせず,雑所得に当たり,基本給付金について控除できる必要経費は存在しないと判断した。大阪高裁令和5年7月26日判決も控訴を棄却している。
奈良地裁令和5年2月14日判決及び大阪高裁令和5年9月21日判決も,基本給付金の非課税学資金該当性等を否定した。大阪高裁令和5年9月21日判決は,基本給付金を生活維持のための政策的経済支援と位置付け,司法修習は「所得を生ずべき業務」に当たらないとして修習交通費の必要経費算入も否定したが,同判決後の最高裁の終局結果は公表資料から確認できない。
最高裁判所の現行案内も,基本給付金及び住居給付金を雑所得として確定申告の対象とする取扱いを示している。税務上の取扱いと申告時の資料は,修習給付金の税務上の取扱い―司法研修所の案内,裁判例及び確定申告及び司法修習終了翌年の確定申告で詳しく整理している。
第8 出典・参考資料
1 法令及び司法行政資料
①裁判所法(昭和22年法律第59号)66条,67条及び67条の2(e-Gov法令検索)。
②最高裁判所「令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き」1頁~2頁(第79期の課程及び住居),最高裁判所ウェブサイト。
③司法研修所事務局長「第79期司法修習生の修習日程」(令和7年4月30日付け)全2頁(司法行政文書開示資料)。
④最高裁判所「司法修習の概要」及び「司法修習生の修習給付金について」。
⑤「第77期宮崎修習の実務修習日程」全4頁(司法行政文書開示資料)。
⑥司法研修所「司法修習生配属現員表」(令和3年3月31日,同年11月12日,令和4年11月27日,令和6年3月21日及び令和7年3月19日各現在,各全1頁。司法行政文書開示資料)。公開PDFは,令和4年11月27日現在,令和6年3月21日現在及び令和7年3月19日現在である。
⑦司法研修所「実務修習希望地調査表」(新第63期~新第65期,第66期~第68期及び第69期)各宮崎欄(司法行政文書開示資料)。
2 宮崎の修習機関,統計及び生活情報
①宮崎地方裁判所「管内の裁判所の所在地」,宮崎地方検察庁「宮崎地方検察庁」,宮崎県弁護士会「弁護士会の概要」及び「委員会活動」。
②宮崎県「令和5年住宅・土地統計調査」(宮崎市の借家(専用住宅)の1か月当たり家賃及び1畳当たり家賃)。
③宮崎市「転入届」,「引っ越しに伴う各種手続」,「家庭ごみの分け方・出し方」及び「宮崎市自転車駐車場」。
④宮崎交通「宮崎市中心部のりば案内」。
⑤気象庁「宮崎の平年値(年・月ごとの値)」(統計期間1991年~2020年)。
3 裁判例
①名古屋地方裁判所平成29年12月20日判決(平成25年(行ウ)第78号,司法修習生の給費制廃止違憲国家賠償等請求事件,裁判所ウェブサイト)。
②名古屋高等裁判所令和元年5月30日判決(平成30年(行コ)第5号,司法修習生の給費制廃止違憲国家賠償等請求控訴事件,裁判所ウェブサイト)。
③大阪地方裁判所令和4年12月22日判決(令和3年(行ウ)第48号,所得税更正処分取消請求事件,税務訴訟資料272号・順号13795,裁判所ウェブサイト)。
④大阪高等裁判所令和5年7月26日判決(令和5年(行コ)第15号,税務訴訟資料273号・順号13866,裁判所ウェブサイト)。
⑤奈良地方裁判所令和5年2月14日判決(税務訴訟資料273号・順号13814),国税庁税務訴訟資料。
⑥大阪高等裁判所令和5年9月21日判決(税務訴訟資料273号・順号13887),国税庁税務訴訟資料。