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大学との共同研究で成果をいつ公表できるか―学会発表,秘密保持と特許出願(AI作成)

第1 学会の開催日より前に公表されるものを確認する

大学と企業が共同研究をするときは,研究を始める前に,誰が,どの内容を,いつ公表できるかを決めておく。
たとえば,学会発表の前に要旨集がウェブで公開されるなら,口頭発表の日から逆算しても出願準備が間に合わないことがある。
学会の要旨,ポスター,論文の早期公開,プレプリント,学位論文のリポジトリ公開など,研究内容が外部に知られ得る日を媒体ごとに確認する。

共同研究を開始したという広報と,成果の技術内容の公表は分けて扱う。
共同研究の名称,当事者名,研究分野など,開始時に公表してよい情報は別紙に記録できる。
出願前の構成,性能値及び相手方の未公表データを含む場合は,成果公表の手続に回す。

第2 公表前の通知と修正・延期を契約に定める

特許庁・経済産業省のOIモデル契約書ver2.1(大学編:大学・事業会社,2023年5月改訂)のコンソーシアム契約書21条は,別紙に定めた内容の公表と,大学による研究成果の公表を分けている。
後者については,秘密保持義務を守ることを条件に,公表予定日の30日前までに内容を通知し,相手方は通知後15日以内に,秘密情報の保護又は出願準備に必要な修正・延期を合理的な範囲で求められるとする例である。
大学は申入れを受けて相手方と協議の上で対応し,この手続は研究期間中及び研究終了日から6か月以内の成果公表に適用される。
30日,15日及び6か月はいずれもこのモデルの契約条件であり,個々の共同研究では発表と出願の準備に必要な期間を交渉する。

実際の契約では,誰に何を送れば通知となるかを決める。
公表予定日,公開媒体,原稿・図表の版,学会等への提出期限,予稿の公開予定日及び修正申入れの窓口をそろえると,公表と出願の順序を判断しやすい。
返答がない場合の扱い,通知後に技術内容が変わった場合の再通知,延期の上限及び出願後の公表範囲も合意しておく。

第3 研究者・学生と権利化担当者をつなぐ

大学の産学連携・知財窓口と企業の法務・知財担当者を特定し,発明の報告,出願するかの判断,公表原稿の確認を誰が担当するか決める。
学生や学外の共同研究者が参加する場合は,所属と役割,資料へのアクセス,守秘の根拠,公表手続,発明や成果に関する権利の承継を個別に確認する。
卒業・学位取得の予定も聞き,公表の時期と出願日程が衝突しそうなら研究開始時に日程を調整する。

秘密情報の削除で学術発表を続けられる場合は,修正箇所を特定する。
出願が必要な場合は,発明の範囲と公表予定の原稿を突き合わせ,出願書類に含まれていない技術事項を公表してよいか確認する。
出願の判断と公表の判断は記録を分け,研究終了時には未公表の原稿,未出願の成果及び終了後に存続する守秘義務を確認する。

第4 先に公表してしまった場合は公開の事実を保存する

出願前に発明が公知になれば,特許法29条の新規性の判断に影響する。
特許を受ける権利を有する者の行為に起因する公表について同法30条2項の適用を受けるには,公表から1年以内に出願し,同項の適用を受けようとする旨を記載した書面を出願と同時に特許庁長官に提出し(願書にその旨を記載すれば別の書面は省略できる),原則として出願の日から30日以内に,適用を受けることができる発明であることを証明する書面を提出する(同条3項)。
公報掲載による公表は同項の対象から除かれ,権利者の意に反する公表については同条1項の要件を別に確認する。

まず公表日時,媒体,閲覧できた範囲,公表者及び当時の内容が分かる資料を確保する。
要旨と当日の発表で技術内容が異なる場合は,それぞれの版と公開日時を残す。
国内の例外の適用を受けても第三者の先願等が問題となり得るため,海外での出願も含め,公表に気付いた時点で権利化担当者に知らせる。

第5 確認する書類と記録

契約交渉では,共同研究契約案,先に結んだ秘密保持契約,公表用の別紙,研究参加者一覧,学会・学位論文の予定及び知財窓口の連絡先をそろえる。
公表直前には,通知した版と公開予定版,通知・返信の日時,修正又は延期の合意,出願済みなら出願記録と公表可能な範囲を確認する。
同じ研究でも,開始の広報,途中成果の発表,最終成果の論文公開は別々に記録すると,何を合意したかを後から確認できる。

出願後に権利化を急ぐ事情があるときは,早期審査を検討できる。
特許庁のガイドラインによれば,出願人の一部が対象となる大学である場合も申請区分に該当し得るので,大企業との共同出願でも検討できる。
早期審査には審査請求が必要であり,審査請求と同時に「早期審査に関する事情説明書」を提出することもできる。
大学の単独出願では,早期審査のために改めて先行技術調査をする必要はないが,知っている先行技術文献との対比説明は必要である。
大学と大企業との共同出願では先行技術調査も必要になるので,明細書に既に適切な調査結果や対比説明を記載している場合の扱いも含め,出願を担当する者と確認する。

早期審査は出願後の審査を早めるための手続である。
出願前の発表による新規性の問題や,契約上の公表通知・協議には,それぞれ別に対応する必要がある。

第6 出典と関連記事

① 特許庁・経済産業省のOIモデル契約書ver2.1(大学編:大学・事業会社)「コンソーシアム契約書」逐条解説付き(2023年5月改訂)21条,23条
② 特許庁の「平成30年改正法対応・発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための出願人の手引き」(令和6年8月)1頁~3頁
③ e-Gov法令検索の特許法(29条・30条)
④ 特許庁の「特許出願の早期審査・早期審理ガイドライン」(令和8年3月)4頁,6頁,8頁,14頁~15頁,21頁

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