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弁護士が報道機関の取材を受けるときの確認事項―守秘義務,オフレコ及び原稿確認(AI作成)

目次
第1 結論
第2 取材を受ける前に確認する事項
第3 守秘義務と依頼者の意思
第4 オフレコ,匿名及び録音
第5 原稿確認と最高裁平成20年6月12日判決
第6 取材中及び公開後の対応
第7 実務チェックリスト
第8 出典及び関連記事

第1 結論
1 弁護士が報道機関の取材を受ける場合,最初に確認すべきなのは,媒体名,記者名,取材目的,質問事項,回答期限,公表予定日,掲載・放送形態,実名・顔写真・所属の表示及び録音・録画の有無です。
2 取材に応じる義務が当然に生じるわけではありません。依頼者の利益,守秘義務,第三者のプライバシー,係属中の手続への影響及び回答準備の程度を踏まえ,回答する範囲と方法を決めます。
3 「オフレコ」,「匿名」,「背景説明」又は「原稿確認」は,それだけで内容が一義的に決まる言葉ではありません。発言前に,利用範囲,引用の可否,氏名・属性の表示,録音の扱い及び公表前確認の範囲を文章で合意しておくことが重要です。

第2 取材を受ける前に確認する事項
1 少なくとも,次の事項を電子メール等で確認します。
・ 媒体名,番組名又は記事の掲載先
・ 担当記者の氏名,連絡先及び取材主体
・ 取材の目的,想定される論点及び具体的な質問事項
・ 回答期限,公表予定日及び生放送・収録・電話・対面等の形式
・ 弁護士の氏名,事務所名,顔写真,肩書及び発言の表示方法
・ 録音・録画の有無並びに素材の利用範囲
・ 引用部分又は事実関係を公表前に確認できるか
・ 公開後に訂正を申し入れる場合の窓口
2 即答を求められても,事実確認ができていない事項については回答期限を調整し,必要に応じて短い書面回答に切り替えます。依頼者の立場と弁護士個人の一般論を混同させないことも必要です。

第3 守秘義務と依頼者の意思
1 弁護士法23条は,弁護士又は弁護士であった者に対し,職務上知り得た秘密を保持する権利と義務を定めています。取材対象が社会的関心の高い事件であっても,報道機関への説明が当然に許されるわけではありません。
2 公知の事実を述べる場合であっても,依頼者が弁護士に相談した事実,依頼者の意向,未提出の証拠,交渉経過,防御方針,家族・被害者・共犯者その他第三者の情報が結び付くことがあります。情報ごとに,秘密性,依頼者の承諾,第三者の権利及び手続上の不利益を確認します。
3 依頼者の承諾を得る場合には,媒体,説明する事項,実名・匿名,写真・映像及び公表時期を示し,承諾の範囲を記録に残します。承諾があることと,弁護士として説明することが相当であることは別問題です。

第4 オフレコ,匿名及び録音
1 「オフレコ」が,発言内容を一切利用しないという意味なのか,発言者を特定しない形で利用できるという意味なのか,今後の取材の手掛かりとしてだけ利用できるという意味なのかは,当事者間で確認しなければ明確になりません。
2 匿名であっても,所属,地域,担当事件,年齢その他の情報を組み合わせれば本人又は依頼者が特定されることがあります。氏名だけでなく,推知につながる属性の表示も確認します。
3 録音・録画を認める場合には,全文公開,抜粋,文字起こし,二次利用及び保存期間を確認します。条件が合意できないときは,公表され得ることを前提に話すか,取材を断るのが安全です。

第5 原稿確認と最高裁平成20年6月12日判決
1 取材を受けた側に,完成した記事又は番組を公表前に確認・承認する一般的な権利が当然にあるわけではありません。必要であれば,取材を受ける前に,確認の対象を「引用部分」,「数値・日時・固有名詞等の事実関係」又は「記事全体」のいずれとするか,返答期限とともに合意します。
2 最高裁平成20年6月12日第一小法廷判決は,テレビ番組の取材対象者が抱いた,最終的に放送される番組の内容が取材担当者の説明と同じものになるとの期待について,当該事案では法的保護に値するものとは認められないと判断しました。また,合意又は約束があるなどの特段の事情がない限り,番組内容が変更された理由を説明すべき法的義務も認めませんでした。
3 この判決は,取材条件について明示の合意をしても意味がないと述べたものではありません。むしろ,引用確認,匿名性,公表時期その他の重要条件は,口頭の期待に委ねず,取材前に文章で具体化しておく必要があります。

第6 取材中及び公開後の対応
1 取材中は,確認できた事実,未確認の情報,依頼者の主張及び弁護士の一般的見解を区別します。「コメントしない」理由を詳細に説明すること自体が,秘密又は交渉状況を推知させる場合にも注意が必要です。
2 複数人が対応する案件では,窓口を一本化し,回答文,提供資料,取材日時,参加者及び合意した条件を保存します。口頭取材後には,重要条件又は訂正事項を短い電子メールで確認しておくと記録が明確になります。
3 公開後に問題が判明した場合には,記事名又は番組名,URL,公開日時,問題となる記載・発言及び正確な事実を特定し,根拠資料を添えて訂正等を申し入れます。ウェブページ,動画又は音声は変更・削除されることがあるため,必要な場合は早期に保存します。法的措置を検討する場合は,訂正交渉,名誉・プライバシー侵害,証拠保全等を分けて判断します。

第7 実務チェックリスト
□ 媒体名,記者名,取材目的及び具体的質問を確認したか
□ 依頼者の意思及び承諾の範囲を記録したか
□ 守秘義務,第三者のプライバシー及び手続への影響を確認したか
□ 実名・匿名,肩書,写真・映像及び推知情報の扱いを確認したか
□ オンレコ・オフレコ,引用,録音・録画及び二次利用の条件を文章化したか
□ 引用又は事実関係の確認範囲と回答期限を合意したか
□ 回答内容と提供資料を保存したか
□ 公開後の訂正窓口を確認したか

第8 出典及び関連記事
1 一次資料
・ 弁護士法(e-Gov法令検索)
・ 最高裁平成20年6月12日第一小法廷判決(裁判所ウェブサイト)
2 実務上の参考資料
・ 東京弁護士会LIBRA2022年11月号特集「メディア対応の心得」(PDF)は,弁護士のメディア対応に関する実務上の参考資料です。ただし,法令又は裁判例そのものではありません。
3 関連記事
・ 裁判所の報道対応の基礎
・ 裁判所の取材対応
・ 少年事件で弁護士が取材を受けるときの確認事項―少年法61条・特定少年・被害者情報(AI作成)