第1 この記事の対象と結論(法務省とは関係のない独自の予想)
本記事の評価項目,重み付け,解説及び模範解答は,山中弁護士ブログが問題文と判例から独自に作成した予想であり,法務省とは関係がない。法務省が公表した資料や,今後公表される出題の趣旨,採点実感,採点基準及び配点を示すものでもない。
本記事は,令和8年司法試験の論文式試験のうち,民事系科目第1問(民法)を対象として,答案に求められると本記事が独自に予想した評価項目を問題文と判例から抽出し,5段階で重み付けをした上で,それらの評価項目を満たす模範解答を示すものである。
令和8年の「出題の趣旨」及び「採点実感」は,本記事の作成時点(令和8年9月28日)では公表されておらず,本記事はこれらを読まずに作成している。評価項目と重みは,いずれも本記事の予想であり,法務省の資料に基づくものではない。
本問は,〔設問1(1)〕善意無過失で他人の土地を占有した者が,時効完成後に設定された二つの抵当権の登記の抹消を求められるか,〔設問1(2)〕遺言執行者の就職承諾前に相続人から持分を買い受けて登記を備えた者に対し,受遺者が登記の抹消を求められるか,〔設問2(1)〕一括下請負人が材料を提供して築造した出来形の所有権が注文者と下請負人のいずれに帰属するか,〔設問2(2)〕請負契約の解除後に注文者が請負人に請求できる損害賠償の額と,請負人の部分報酬による相殺の当否を問うものである。
本記事が独自に予想した評価項目は50項目であり,重み5(設問が明示に検討を求め,かつ答案の骨格を成す事項)に当たるのは,時効完成後の第三者との対抗関係と再度の取得時効(平成24年判決),Dとの関係での対抗問題,1013条による相続人の処分の無効と就職承諾前の処分への適用,同条2項ただし書の善意と無過失の要否,一括下請負人の出来形の帰属(平成5年判決),634条2号の部分報酬の要件と額,損害額及び認容額の算定などである。
第5の模範解答は,〔設問1(1)〕Cに対する請求は認められ,Dに対する請求は認められない,〔設問1(2)〕Fの請求は認められない,〔設問2(1)〕本件出来形の所有権はAに帰属する,〔設問2(2)〕Aの請求は50万円の範囲で認められる,との結論を採り,論文式答案で広く使われてきた型(問題提起,規範の定立,当てはめ及び結論の順に書く型)で示した。その後に,本記事独自の予想に基づく解説を付けている。
第2 本記事独自の評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方
評価項目は,設問の指示,問題文に置かれた具体的な事実(日付,金額,否定の表現等),及び参照すべきと考えられる最高裁判所の判例から抜き出し,一つの項目に一つの判定対象だけを入れ,答案に何が書かれていれば満たすのかが分かる形にした。
各項目には,手掛かりとなる問題文の箇所を問題冊子の頁(民事系科目の問題冊子の第1問部分の頁番号)で示し,関係する判例・条文を示した。条文は,特に断らない限り民法の条文である。判例名は,昭和33年判決(最判昭和33年8月28日),昭和35年判決(最判昭和35年7月27日),昭和39年判決(最判昭和39年3月6日),昭和56年判決(最判昭和56年2月17日),昭和62年判決(最判昭和62年4月23日),平成5年判決(最判平成5年10月19日),平成15年判決(最判平成15年10月31日)及び平成24年判決(最判平成24年3月16日)の略称である。
2 5段階の重み付けの基準
重みは,問題文と判例から本記事が予想したものであり,法務省の配点ではない。出題の趣旨及び採点実感が公表された後には,これらと照合して見直す必要がある。
①重み5:設問が明示に検討を求め,かつ答案の骨格を成す事項(結論や金額に直結する事項を含む)
②重み4:問題文の特徴的な事実が示唆する事項,又は最も近い判例の中核の命題に当たる事項
③重み3:問題文の具体的な事実から導かれる中核の理由付け
④重み2:補強の事項,又は典型的な誤りになると予想される事項
⑤重み1:設問の除外指示の遵守など,控えめな事項
第3 本問の概要
本問は,配点が〔設問1〕と〔設問2〕で50:50とされ,文中の日時にかかわらず令和8年1月1日現在において施行されている法令に基づいて答えることが求められている。
【事実Ⅰ】では,Aが令和2年1月10日から,B所有の甲土地を自己の乙土地に含まれると過失なく信じて占有し,その後,Bが甲土地に,令和22年4月20日にCの抵当権(本件登記①)を,令和33年2月15日にDの第二順位の抵当権(本件登記②)を設定した。Aは令和35年9月3日に真相を知り,同年10月15日に初めて時効を援用して,C・Dに各登記の抹消を請求した(設問1(1))。
【事実Ⅱ】では,Eが公正証書遺言で丙土地を友人Fに遺贈し,弁護士Gを遺言執行者に指定した。Eの死亡後,遺言の内容を知った相続人Hが,法定相続分による相続登記を経て自己の持分をKに売却し,Kは登記(本件登記③)を備えた。Kは遺言の存在を知らず,Hに遺言の有無を尋ねることもしなかった。Gの就職承諾は売買の後であり,Fは,Kに本件登記③の抹消を請求した(設問1(2))。
【事実Ⅲ-1】では,Aが建築業者Bに自宅の建築を報酬1000万円で請け負わせ(解除時の出来形はAに帰属する旨の合意あり),Bは,Aの書面による承諾を得て,工事の全部をCに報酬800万円で一括して下請負させた(出来形の帰属の合意なし)。Cは材料の全部を調達して工事を進めたが,Bの下請代金の不払により工事を停止し,Aは催告の上で令和8年10月1日に本件契約①を解除した。本件出来形は独立の不動産となっており,その引渡しによるAの利益は完成時の6割であった(設問2(1))。
【事実Ⅲ-2】では,AがCから本件出来形の引渡しを受け,Dに残工事を市場の適正価格である650万円で請け負わせて建物を完成させた。AがBに損害賠償を請求したのに対し,Bは一部完成による報酬請求権との相殺を主張した(設問2(2))。
第4 本記事が独自に予想した評価項目と重み(法務省の資料ではない)
1 共通の前提
| 番号 | 評価項目 | 重み | 問題文の手掛かり | 判例・条文 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 令和8年1月1日現在において施行されている法令(改正後の634条,1013条2項ただし書,899条の2等)を基準に論じる | 2 | 2頁(柱書) | 民法 |
| 2 | 各請求の根拠(所有権に基づく妨害排除請求としての抹消登記手続請求,415条の損害賠償請求)を特定する | 2 | 2頁~4頁(各設問) | ― |
2 設問1(1)(取得時効と複数の抵当権)
| 番号 | 評価項目 | 重み | 問題文の手掛かり | 判例・条文 |
|---|---|---|---|---|
| 3 | 162条2項の要件(所有の意思,平穏・公然,占有開始時の善意無過失)を示し,令和12年1月10日に取得時効が完成したことを示す | 3 | 2頁(事実Ⅰの1) | 民法162条2項,186条1項 |
| 4 | 時効取得者と時効完成後の第三者とは対抗関係に立ち,C・Dはいずれも当初の時効との関係では時効完成後の第三者であることを示す | 5 | 2頁(事実Ⅰの2・3) | 民法177条,昭和33年判決 |
| 5 | 20年の取得時効(令和22年1月10日完成)もCの登記より前に完成しており,結論を変えないことを確認する | 2 | 2頁(事実Ⅰの1・2) | 民法162条1項 |
| 6 | 再度の取得時効の規範(抵当権設定登記後に時効取得に必要な期間の占有を継続すれば,抵当権の容認等の特段の事情がない限り抵当権は消滅する)を示す | 5 | 2頁(事実Ⅰの4・5) | 平成24年判決 |
| 7 | その理由付け(長期間継続した占有を保護する時効制度の趣旨)を示す | 3 | ― | 平成24年判決 |
| 8 | Cの登記の時点でのAの善意無過失と,令和32年4月20日の再度の時効完成を日付で示す | 4 | 2頁(事実Ⅰの4) | 民法162条2項 |
| 9 | 抵当権の存在を令和35年9月3日まで知らなかったことから,抵当権を容認していたなどの特段の事情がないことを評価する | 4 | 2頁(事実Ⅰの4) | 平成24年判決 |
| 10 | Aがそれ以前に時効を援用していないことを指摘し,援用後に起算点をずらすことを否定した判例と区別する | 4 | 2頁(事実Ⅰの5のなお書) | 平成15年判決 |
| 11 | 援用時のAの悪意は,占有開始時(再度の時効の起算点)の善意無過失で足りる以上,結論に影響しないことを示す | 2 | 2頁(事実Ⅰの4・5) | 民法162条2項 |
| 12 | 効果として,Cの抵当権が消滅し,Cに対する請求が認められることを示す | 3 | 2頁(下線部㋐) | 民法144条,397条 |
| 13 | Dの登記は再度の時効完成(令和32年4月20日)の後であり,Dとの関係でも対抗問題となって,登記のないAは対抗できないことを示す | 5 | 2頁(事実Ⅰの3) | 民法177条 |
| 14 | 起算点を任意に選択してDの登記後に時効を完成させる主張は許されないことを示す | 4 | 2頁(事実Ⅰの1・3) | 昭和35年判決 |
| 15 | Dの登記の日を起算点とする時効は令和43年2月15日まで完成しないことを示す | 3 | 2頁(事実Ⅰの3・5) | 民法162条2項 |
| 16 | 結論をCとDとで分けて示す(Cに対する請求は認められ,Dに対する請求は認められない) | 3 | 2頁(「各請求」) | ― |
3 設問1(2)(遺贈,遺言執行者及び第三者)
| 番号 | 評価項目 | 重み | 問題文の手掛かり | 判例・条文 |
|---|---|---|---|---|
| 17 | 特定遺贈により遺言者の死亡時に所有権が受遺者に移転し,遺言執行者があっても受遺者は自ら第三者に妨害排除を求め得ることを示す | 3 | 2頁・3頁(事実Ⅱの1・6) | 民法985条1項,1012条2項,昭和62年判決 |
| 18 | 遺贈による物権変動にも登記を要し,原則として登記のないFは登記を備えたKに対抗できないことを示す | 4 | 3頁(事実Ⅱの3) | 民法177条,昭和39年判決 |
| 19 | 899条の2は相続による承継の規律であり,遺贈には適用されないことを示す | 2 | 2頁(事実Ⅱの1:遺贈) | 民法899条の2 |
| 20 | 遺言執行者がある場合の相続人の処分は無効であること(1013条1項・2項本文)を示す | 5 | 2頁(事実Ⅱの1:遺言執行者の指定) | 民法1013条 |
| 21 | 遺言執行者の就職承諾前にされた処分も「遺言執行者がある場合」に当たるかを,制度趣旨から理由を付けて論じる | 5 | 3頁(事実Ⅱの3・4:売買が就職承諾より前) | 民法1013条1項,昭和62年判決 |
| 22 | Hの持分の売却が「相続財産の処分」に当たることを,Hが遺言の内容を知っていた事実とともに示す | 2 | 2頁(事実Ⅱの2・3) | 民法1013条1項 |
| 23 | 1013条2項ただし書により,無効を善意の第三者に対抗できないことと,Kが本件遺言を知らなかった(善意)ことを示す | 5 | 3頁(事実Ⅱの3のなお書) | 民法1013条2項ただし書 |
| 24 | KがHに遺言の有無を尋ねなかった事実を踏まえ,無過失を要するかを論じ,結論を示す | 5 | 3頁(事実Ⅱの3のなお書) | 民法1013条2項ただし書 |
| 25 | 無過失を要しないとする論拠(文言,95条4項・96条3項との対比,第三者の調査の困難,1007条2項の通知等による執行の確保)を示す | 3 | ― | 民法95条4項,96条3項,1007条2項 |
| 26 | ただし書で保護されたKとFとが177条の対抗関係に立ち,登記を備えたKが優先することを示す | 4 | 3頁(本件登記③) | 民法177条 |
| 27 | 改正前の判例(受遺者は登記なくして処分の無効を対抗できる)の結論が,平成30年改正のただし書により修正されていることを示す | 3 | ― | 昭和62年判決,民法1013条2項 |
| 28 | 就職承諾前には1013条が及ばないと解しても,177条により同じ結論になることを示す | 2 | ― | 民法177条 |
| 29 | 単純承認の前提を守り,相続放棄等を論じない | 1 | 3頁(設問1(2)のなお書) | ― |
4 設問2(1)(出来形の所有権の帰属)
| 番号 | 評価項目 | 重み | 問題文の手掛かり | 判例・条文 |
|---|---|---|---|---|
| 30 | 本件出来形が独立の不動産(建物)であり,所有権の客体であることを確認する | 2 | 4頁(事実Ⅲ-1の5) | ― |
| 31 | 本件契約①の解除(令和8年9月2日の催告,10月1日の解除)が有効であり,帰属の合意の前提が満たされることを示す | 2 | 3頁・4頁(事実Ⅲ-1の4) | 民法541条 |
| 32 | 反対の立場の論拠として,材料の全部を提供した請負人に所有権が帰属するという考え方を示す | 4 | 3頁(事実Ⅲ-1の3:Cが材料の全部を調達) | (大審院以来の判例。本記事では原文未確認) |
| 33 | 反対の立場の論拠として,A・B間の帰属の合意は契約当事者でないCを拘束しないことと,本件契約②に帰属の合意がないことを示す | 4 | 3頁(事実Ⅲ-1の2) | ― |
| 34 | 反対の立場の論拠として,Cの報酬の大半が未払であることと,Aの支払額(400万円)が出来形の価値(6割)に満たないことを示す | 3 | 3頁・4頁(事実Ⅲ-1の1~3・6) | ― |
| 35 | 一括下請負人は注文者との関係で元請負人の履行補助者的立場に立ち,特段の事情のない限り出来形は注文者に帰属するとの規範を示す | 5 | 3頁(事実Ⅲ-1の2) | 平成5年判決 |
| 36 | 一括下請負であること,Cがそれを知っていたこと,Aの書面による承諾があることを当てはめる | 4 | 3頁(事実Ⅲ-1の2) | 建設業法22条3項,平成5年判決 |
| 37 | 平成5年判決の事案(注文者が出来形の価格の2倍以上を支払済み)との違いを指摘し,それでも特段の事情に当たらない理由(元請負人への報酬請求,債権者代位による報酬確保)を示す | 4 | 3頁(事実Ⅲ-1の1) | 平成5年判決,民法423条 |
| 38 | 結論(本件出来形の所有権はAに帰属する)を示す | 3 | 4頁(設問2(1)) | ― |
5 設問2(2)(損害賠償と部分報酬による相殺)
| 番号 | 評価項目 | 重み | 問題文の手掛かり | 判例・条文 |
|---|---|---|---|---|
| 39 | 債務不履行による解除と履行に代わる損害賠償(415条2項3号)の併存,Bの帰責事由を示す | 3 | 3頁・4頁(事実Ⅲ-1の3・4) | 民法415条,545条4項 |
| 40 | 634条2号の要件(仕事の完成前の解除,可分な部分の給付,注文者の利益)を示し,請負人の債務不履行による解除にも適用されることを示す | 5 | 4頁(事実Ⅲ-2の9:Bの反論) | 民法634条2号 |
| 41 | Bの報酬額を1000万円×6割=600万円と算定する | 5 | 4頁(事実Ⅲ-1の6) | 民法634条 |
| 42 | 既施工部分には解除の効果が及ばず,既払の400万円の原状回復を求められないことを示す | 3 | 3頁(事実Ⅲ-1の1) | 昭和56年判決 |
| 43 | Dへの650万円を通常損害として評価し,損害額を250万円(600万円+650万円-1000万円)と算定する | 5 | 4頁(事実Ⅲ-2の7・8:市場の適正価格) | 民法416条1項 |
| 44 | 報酬残額200万円を自働債権とする相殺の要件(同種の債権,弁済期,509条非該当)を検討し,Bの反論が200万円の限度で理由があることを示す | 4 | 4頁(事実Ⅲ-2の9) | 民法505条1項,509条,633条 |
| 45 | Aの請求が認められる範囲を50万円と金額で示す | 5 | 4頁(設問2(2):金額を示して) | ― |
| 46 | 250万円(損害),200万円(相殺される報酬残額),50万円(認容額)の法的性質を混同しない | 3 | ― | ― |
| 47 | 本件契約②の金額(800万円・200万円)をA・B間の報酬や損害の算定に用いない | 2 | 3頁(事実Ⅲ-1の2) | ― |
| 48 | 遅延賠償を論じない | 1 | 4頁(設問2(2)のなお書) | ― |
6 答案全体
| 番号 | 評価項目 | 重み | 問題文の手掛かり | 判例・条文 |
|---|---|---|---|---|
| 49 | 問題文の日付と金額を正確に用い,時効の完成日や損害額の計算過程を示す | 3 | 2頁~4頁 | ― |
| 50 | 参照する判例を,どの判例か特定できる形で示す | 2 | ― | ― |
7 重みの分布
50項目の内訳は,重み5が12項目,重み4が11項目,重み3が14項目,重み2が11項目,重み1が2項目であり,重みの合計は170点である。
重み5の12項目(番号4・6・13・20・21・23・24・35・40・41・43・45)は,設問1(1)については平成24年判決の再度の取得時効とDとの関係での対抗問題,設問1(2)については1013条の無効と同条2項ただし書の善意・無過失,設問2(1)については平成5年判決の規範,設問2(2)については634条2号の部分報酬と損害額・認容額の算定であり,いずれも結論又は金額を直接左右する。
第5 模範解答
1 答案の前提と表記
以下の答案は,第4の評価項目をすべて満たすように作成したものであり,問題文の指示に従い,令和8年1月1日現在において施行されている法令と,それまでに言い渡された判例を前提にしている。
答案は,旧司法試験の時代から論文式答案で広く使われてきた型によっている。
見出しを「1」「(1)」「ア」の順に下げ,論点ごとに,問題提起(「〜が問題となる。」),規範の定立(「思うに,〜。よって,〜と解する。」),当てはめ(「本問では,〜といえる(①)。」)及び結論(「よって」「したがって」)の順に書き,反対の立場は「確かに,〜とも思える。しかし,〜。」の形で取り上げ,最後に「以上」と書く型である。
もっとも,現行の司法試験では事案の分析と結び付けた判断枠組みの設定や,事実の評価が求められるため,規範の論証は争いの中心に絞り,日付と金額を用いた当てはめと計算に字数を割いた。条文は,特に断らない限り民法の条文である。
答案の括弧書きで示した判例は,裁判所ウェブサイトの判決全文で判示を確認したものに限った。
「判例同旨」は判例と同じ規範によるもの,「参照」は事案が異なるが判示の考え方を参考にしたものを示す。
字数は見出しを含めて約4,063字である。
令和8年から論文式試験はCBT方式(パソコンによる答案作成)で行われ,入力できるのは1頁23行,1行当たり最大30字で,必須科目は1問につき8頁(184行)である(法務省「令和8年司法試験に関するQ&A」Q73)。
以下の答案は,1文ごとに改行し,1行30字で折り返すとちょうど184行となり,この上限いっぱいに収まる。
2 答案
1 設問1(1)について
(1) Aの各請求は,時効取得した甲土地の所有権に基づき,C及びDの抵当権の消滅を理由に本件登記①②の抹消を求めるものである。
Aは,令和2年1月10日,甲土地を自己の所有地と過失なく信じて占有を開始し,所有の意思をもって平穏かつ公然に占有を継続した。
よって,令和12年1月10日の経過により取得時効が完成した(162条2項)。
なお,20年の時効(同条1項)の完成もCの登記より前である。
もっとも,時効取得者と時効完成後に原所有者から権利を取得して登記を備えた第三者とは,対抗関係に立つ(177条,最判昭和33年8月28日民集12巻12号1936頁)。
C及びDは時効完成後に抵当権設定登記を了した第三者であるから,登記のないAは当初の時効取得を対抗できない。
そこで,再度の取得時効を主張できないか。
(2)ア 思うに,時効制度は長期間継続した占有を保護する制度である。
時効完成後に抵当権設定登記がされれば,その後いかに長く占有しても抵当権の負担のない所有権を取得できないと解するのは,この趣旨に反する。
よって,占有者が抵当権設定登記後も引き続き時効取得に必要な期間占有を継続し,その後に時効を援用したときは,抵当権の存在を容認していたなどの特段の事情がない限り,抵当権は消滅すると解する(判例同旨・最判平成24年3月16日民集66巻5号2321頁)。
他方,援用者が起算点を任意に選択することはできない(判例同旨・最判昭和35年7月27日民集14巻10号1871頁)。
イ Cについて見ると,Aは,本件登記①がされた令和22年4月20日の時点でも甲土地を自己の所有地と過失なく信じ,その後も占有を継続した。
Aは甲土地を乙土地と一体の資材置場として占有し続けており,所有の意思に基づく平穏かつ公然の占有といえる。
よって,令和32年4月20日の経過により再度の取得時効が完成した(162条2項)。
Aは令和35年9月3日まで抵当権の存在を知らなかったから,これを容認していたとはいえず,特段の事情はない。
また,Aはそれ以前に時効を援用しておらず,援用後に起算点をずらす場合(最判平成15年10月31日集民211号313頁)とは異なる。
援用時の悪意は,起算点で善意無過失であった以上,影響しない。
したがって,Aは甲土地を時効取得し(144条),Cの抵当権は消滅する(397条参照)。
ウ Dについて見ると,本件登記②は再度の時効完成後の令和33年2月15日にされたから,Dとの関係でも対抗問題となり,登記のないAは対抗できない。
確かに,起算点を後にずらせばDは時効完成前の第三者となるとも思える。
しかし,起算点の任意選択は許されず,再度の時効の起算点となり得るのは第三者の登記がされた時である。
そして,登記②の日から起算する時効は令和43年2月15日まで完成しない。
Aが援用した令和35年10月15日の時点では,登記②から3年も経過していない。
よって,Dの抵当権は消滅していない。
(3) 以上より,Cに対する請求は認められ,Dに対する請求は認められない。
2 設問1(2)について
(1) Fの請求は,遺贈により取得した丙土地の所有権に基づく妨害排除請求である。
特定遺贈によりEの死亡時(985条1項)に所有権はFに移転し,受遺者は遺言執行者があっても自ら妨害排除を求め得る(最判昭和62年4月23日民集41巻3号474頁)。
他方,遺贈にも登記を要し(177条,最判昭和39年3月6日民集18巻3号437頁),899条の2は遺贈には及ばない。
そのため,登記のないFは,Hの持分を買い受けて本件登記③を備えたKに対抗できないのが原則である。
(2) もっとも,Hの売却は1013条1項に違反し無効ではないか(同条2項本文)。
Gの就職承諾(令和8年2月10日)が売買(同年1月21日)より後であるため,「遺言執行者がある場合」に当たるかが問題となる。
思うに,同条の趣旨は相続人による遺言の執行の妨害を防ぐ点にあり,その危険は就職承諾前でも変わらない。
よって,就職承諾前も含むと解する(判例同旨・前掲最判昭和62年4月23日)。
平成30年改正で同条2項ただし書が設けられたから,取引の安全も害しない。
本問では,Hは遺言書の謄本を発見して内容を知りながら相続登記を経て持分を売却したから,「相続財産の処分」に当たり,本件売買契約は無効である。
(3)ア しかし,この無効は「善意の第三者」に対抗できない(同項ただし書)。
Kは本件遺言の存在を知らなかったから善意であるが,Hに遺言の有無を尋ねなかったため,無過失まで要するかが問題となる。
なお,善意は売買契約の締結時を基準とするところ,令和8年1月21日の時点でKは遺言を知らなかった。
イ 確かに,相続人に尋ねるのは容易であるから,無過失を要求すべきとも思える。
しかし,同項ただし書は,95条4項や96条3項と異なり,無過失を求めていない。
また,遺言の存否は外部から知り得ないことが多く,相続人に尋ねても真実の回答が得られる保障はない。
遺言執行者は遺言の内容を相続人に通知し(1007条2項),執行を確保できる。
よって,善意であれば足りると解する。
ウ したがって,KがHに遺言の有無を尋ねなかったとしても,Kは保護されるといえる。
そうすると,FはKに無効を対抗できず,FとKとは177条の対抗関係に立つところ,登記を備えたのはKである。
なお,就職承諾前の処分に1013条が及ばないと解しても,177条により結論は同じである。
(4) 以上より,Fの請求は認められない。
3 設問2(1)について
(1) 本件出来形は令和8年10月1日時点で独立の不動産(建物)である。
Aは同年9月2日に相当期間を定めて完成を催告し,10月1日に本件契約①を解除したから(541条),A・B間の出来形帰属の合意の前提は満たされている。
他方,Cは本件工事①に必要な材料の全部を自ら調達して本件出来形を築造した。
(2)ア Cの立場からは,次の主張が考えられる。
材料の全部を提供した請負人が建物を築造した場合,その所有権は請負人に帰属する。
A・B間の合意は当事者でないCを拘束せず,B・C間に帰属の合意はない。
しかも,Cは報酬800万円のうち200万円しか受領しておらず,Aの支払額400万円も出来形の価値(完成時の6割)に満たない。
Cの所有権を否定すれば,Cの報酬確保の手段が失われる。
イ しかし,思うに,一括下請負の下請契約は,元請契約の存在及び内容を前提とし,元請負人の債務の履行を目的とする。
そのため,下請負人は,注文者との関係では元請負人の履行補助者的立場に立つにすぎず,元請負人と異なる権利関係を主張し得ない。
よって,元請契約に解除時の出来形部分を注文者に帰属させる約定があれば,一括下請負人が材料を提供して築造しても,特段の事情のない限り,出来形部分は注文者に帰属すると解する(判例同旨・最判平成5年10月19日民集47巻8号5061頁)。
ウ 本問では,本件契約②は本件工事①の全部の一括下請負であり,Cもそのことを知っていた。
BはAの書面による承諾を得ており(建設業法22条3項),CはAとの関係でBの履行補助者的立場に立つといえる。
A・C間に格別の合意もない。
Cが材料の全部を調達したことも,Bの債務を履行する過程でのことにすぎない。
確かに,Aの支払額が出来形の価値に満たない点は,注文者が出来形の価格の2倍以上を支払っていた前掲判例の事案と異なる。
しかし,Cの報酬確保は,Bへの請求やBのAに対する報酬債権の代位行使(423条)によるべきであり,特段の事情に当たらない。
(3) 以上より,本件出来形の所有権はAに帰属する。
4 設問2(2)について
(1) Aは,Bの債務不履行を理由に本件契約①を解除したから,履行に代わる損害賠償を請求できる(415条1項・2項3号,545条4項)。
不履行はBの資金繰りの悪化による下請代金の不払に起因し,免責事由はない。
(2) 本件契約①が履行されていれば,Aは1000万円で完成建物を得られた。
現実には,Aは本件出来形の引渡しを受け,残工事を市場の適正価格である650万円でDに請け負わせたから,この650万円は通常損害といえる(416条1項)。
後述の600万円の報酬債務と合わせると1250万円を要したから,差額250万円がAの損害である。
これは,650万円から未完成部分に対応する報酬400万円(1000万円×4割)を控除した額と一致する。
(3)ア Bの反論は,634条2号の報酬債権を自働債権とする相殺(505条1項)である。
同号は,完成前に解除された場合,可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは,その部分を完成とみなし,利益の割合に応じた報酬請求を認める。
解除の原因が請負人の債務不履行であっても,文言上その適用は妨げられない。
イ 本問では,本件出来形は独立の建物で可分であり,Aはこれを基礎に建物を完成させて利益を受けている。
Aは本件出来形を利用して残工事だけをDに発注できたから,その利益は現に享受されている。
その割合は6割であるから,Bは1000万円×6割=600万円の報酬を請求でき,この部分には解除の効果が及ばない(最判昭和56年2月17日集民132号129頁参照)。
ウ もっとも,Aは既に400万円を支払っているから,報酬残額は200万円であり,Bの反論はその限度で正当である。
両債権は同種の金銭債権であり,Aの損害賠償債権は請求により,Bの報酬債権は出来形の引渡し(10月13日)により弁済期にある(412条3項,633条)。
509条の制限はなく,両債権が同時履行の関係に立つとしても,相殺による清算を妨げる理由はない。
よって,Bの相殺は200万円の限度で効力を生ずる。
(4) 以上より,Aの請求は,損害250万円から相殺された200万円を控除した50万円の範囲で認められる。
以上
3 本記事独自の予想に基づく解説
(1) 答案と評価項目の対応
答案の1は第4の番号3~16(設問1(1)),2は番号17~29(設問1(2)),3は番号30~38(設問2(1)),4は番号39~48(設問2(2))に対応し,番号1~2(共通の前提)及び番号49~50(答案全体)は答案全体の書き方で満たすようにした。
(2) 設問1(1)(取得時効と複数の抵当権)
本問の時系列は,Aの最初の取得時効(令和12年1月10日完成)→Cの登記(令和22年4月20日)→Cの登記を起算点とする再度の時効完成(令和32年4月20日)→Dの登記(令和33年2月15日)→援用(令和35年10月15日)と並んでいる。二つの抵当権の登記の日付を,再度の時効完成日の前後に振り分けたことが,本問の中心的な仕掛けであると予想される。
平成24年判決は,時効完成後に抵当権設定登記がされた場合でも,占有者がその後引き続き時効取得に必要な期間占有を継続し,その後に時効を援用したときは,抵当権の存在を容認していたなど特段の事情がない限り,抵当権は消滅するとした。同判決の事案も,抵当権設定登記の時点で善意無過失であった占有者が10年間占有を継続した事案であり,本問のCとの関係にほぼそのまま当てはまる。
他方,Dの登記は再度の時効の完成後にされたから,Dは,再度の時効との関係でも時効完成後の第三者であり,登記のないAは対抗できない。ここで,Aが起算点を後にずらしてDの登記後に時効を完成させる主張は,昭和35年判決が否定する起算点の任意選択に当たる。問題文が「これ以前に,Aは,甲土地についての時効を援用したことはなかった」とわざわざ書いているのは,援用後に再度の時効を主張することを否定した平成15年判決との区別を求める趣旨と考えられる。
(3) 設問1(2)(遺贈,遺言執行者及び第三者)
昭和62年判決は,平成30年改正前の1013条について,遺言執行者がある場合の相続人の処分行為は無効であり,受遺者は登記なくしてその無効を第三者に対抗できるとし,「遺言執行者がある場合」には就職承諾前も含むとした。本問は,同判決と同じく,遺言執行者の就職承諾前に相続人が処分をした事案である。
平成30年改正により,1013条2項本文は処分の無効を明文化する一方,ただし書で善意の第三者を保護することとした。そのため,現行法の下では,同判決の結論(受遺者の勝訴)がそのまま維持されるわけではなく,第三者Kの善意と,その要件に無過失を含むかが結論を分ける。問題文が「Hに対してEが遺言を残していたか否かを尋ねることもしなかった」とわざわざ書いているのは,無過失の要否を論じさせる趣旨と考えられる。
ただし書で保護されたKとFとの関係は,EからFへの遺贈と,Eの相続人HからKへの売却という二重譲渡に類似した関係となり,昭和39年判決により177条で決まる。899条の2は「相続による権利の承継」の規律であり,遺贈には及ばない点にも注意を要する。
(4) 設問2(1)(出来形の所有権の帰属)
平成5年判決は,元請契約に中途解除の際の出来形部分を注文者に帰属させる約定がある場合,一括下請負人が自ら材料を提供して築造したとしても,注文者と下請負人との間に格別の合意があるなど特段の事情のない限り,出来形部分の所有権は注文者に帰属するとし,その理由として,下請負人は注文者との関係では元請負人のいわば履行補助者的立場に立つにすぎないことを挙げた。本問は同判決の事案とほぼ同じ構造である。
もっとも,同判決は,注文者が出来形部分の価格の2倍以上を元請負人に支払っていたことを,注文者への帰属を肯定すべき事情として付け加えている。本問では,Aの支払額は400万円で,出来形の価値(完成時の6割)に満たない。反対の立場の論拠に触れることが求められていることから,この事案の違いを踏まえて特段の事情の有無を論じることが評価の対象になると予想される。同判決の可部恒雄裁判官の補足意見は,注文者が元請負人に代金を支払っていないか支払額が少ない場合について,元請負人の注文者に対する代金債権を下請負人が代位行使する構成に言及しており,答案ではこれを参考に,Cの報酬確保は債権者代位によって図るべきであるとした。
(5) 設問2(2)(損害賠償と部分報酬による相殺)
平成29年改正で新設された634条2号は,請負が仕事の完成前に解除された場合に,可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは,その部分を完成とみなし,注文者が受ける利益の割合に応じた報酬請求を認める。問題文の「6割」は,この「利益の割合」を示す事実であり,Bの報酬は1000万円×6割=600万円となる。
損害額は,履行されていればAが1000万円で完成建物を得られたのに対し,現実には600万円(Bへの報酬)と650万円(Dへの報酬)の合計1250万円を要することから,差額の250万円となる。Bの報酬600万円のうち400万円は既に支払われているから,相殺に供し得る報酬残額は200万円であり,認容額は50万円となる。
結論だけを見れば,Aの出捐(400万円+650万円=1050万円)と契約の報酬額(1000万円)との差額50万円と一致する。しかし,設問はBの反論の当否を検討しつつ金額を示すことを求めているから,250万円(損害),200万円(相殺される報酬残額),50万円(認容額)をそれぞれの法的根拠とともに示すことが求められると予想される。
(6) 結論の許容幅と答案の弱点
設問1(2)については,1013条2項ただし書の第三者に無過失を要求し,遺言の有無を尋ねなかったKには過失があるとして,Fの請求を認める結論もあり得る。その場合は,ただし書の文言と,第三者が遺言の存否を調べる手段の有無を説明する必要があると考えられる。
設問2(1)については,Aの支払額が出来形の価値に満たないことやCの報酬が未払であることを重く見て,特段の事情があるとしてCへの帰属を認める答案もあり得る。その場合でも,平成5年判決の規範と履行補助者論を示した上で,事案の違いを論じる必要があると考えられる。
答案の弱点は次の3点である。
第一に,1013条2項ただし書の第三者に無過失を要しないとする解釈は,本記事では立案担当者の解説等の文献で確認しておらず,条文の文言と制度の構造から導いたものである。
第二に,材料の全部を提供した請負人に所有権が帰属するとの考え方は,大審院以来の判例とされているが,本記事では判決原文を確認していないため,答案では判例名を挙げていない。
第三に,Bの報酬債権とAの損害賠償債権が同時履行の関係に立つ場合の相殺の可否については,これを直接判示した判例を本記事では確認しておらず,答案では判例を引用していない。
(7) 扱わなかった事項
設問が論じる必要はないとした遅延賠償と,単純承認の前提で排除された相続放棄等,及び設問で問われていないHのFに対する責任,CのBに対する報酬請求,DがAから請け負って完成させた建物の所有権の帰属は,答案では扱っていない。
第6 関連記事
1 前年度の同じ科目の模範解答
①令和7年度司法試験民事系第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した96項目と5段階の重み付け
②令和7年度司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答
2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事
①令和8年度司法試験公法系第1問の模範解答と予想される評価項目―出題の趣旨・採点実感の公表前に問題文と判例から予想した37項目と5段階の重み付け
②不動産登記の主要判例・調査資料・関連記事一覧
③遺言執行者が指定されている場合の相続人の注意点――処分禁止,通知請求権及び解任手続
④建築請負で完成・未完成建物の所有権は誰に帰属するか―材料提供・出来高払い・引渡し・中途解除
⑤相殺の抗弁に関するメモ書き―既判力,二重起訴の禁止及び相殺の担保的機能
⑥複雑な法律問題の調べ方―問い固定カード,主ルート,条文連鎖,時系列及び救済マップ
3 同じ年度の主要7科目の模範解答
①令和8年度司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答と予想される評価項目
第7 出典及び確認状態
1 公式資料
①法務省「令和8年司法試験の実施について」
②法務省「令和8年司法試験問題」
③令和8年司法試験論文式試験問題(民事系科目)
④法務省「令和8年司法試験に関するQ&A」
2 法令
①民法(e-Gov法令検索)
②建設業法(e-Gov法令検索)
3 裁判例
①最高裁判所第一小法廷昭和33年8月28日判決(昭和30年(オ)第15号,民集12巻12号1936頁)
②最高裁判所第一小法廷昭和35年7月27日判決(昭和32年(オ)第344号,民集14巻10号1871頁)
③最高裁判所第二小法廷昭和39年3月6日判決(昭和36年(オ)第338号,民集18巻3号437頁)
④最高裁判所第三小法廷昭和56年2月17日判決(昭和52年(オ)第630号,集民132号129頁)
⑤最高裁判所第一小法廷昭和62年4月23日判決(昭和61年(オ)第264号,民集41巻3号474頁)
⑥最高裁判所第三小法廷平成5年10月19日判決(平成元年(オ)第274号,民集47巻8号5061頁)
⑦最高裁判所第二小法廷平成15年10月31日判決(平成12年(受)第1589号,集民211号313頁)
⑧最高裁判所第二小法廷平成24年3月16日判決(平成22年(受)第336号,民集66巻5号2321頁)
4 確認状態
問題文は,法務省掲載の民事系科目の問題冊子(PDF)を取得し,第1問の全頁(2頁~4頁)を読んだ。
令和8年の出題の趣旨及び採点実感は,本記事の作成時点で公表されておらず,読んでいない。第4の評価項目と重み及び第5の3の解説は,いずれも本記事の予想であり,公表後に照合して見直す必要がある。
裁判例は,いずれも裁判所ウェブサイトの判決全文で,答案と解説で用いた判示を確認した。
昭和62年判決は平成30年改正前の1013条を,平成5年判決は平成29年改正前の民法を前提とする判断である。
判例秘書等の有料データベースによる確認は終えていない。
民法及び建設業法の条文は,e-Gov法令APIで令和8年1月1日時点の条文を取得して確認した。
1013条2項ただし書の第三者に無過失を要しないとする解釈,及び材料の全部を提供した請負人に所有権が帰属するとの大審院以来の判例(第5の3(6))は,文献・判決原文では確認していない。