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平成27年司法試験・憲法(公法系第1問)の模範解答と評価項目28個(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

平成27年司法試験の憲法(公法系科目第1問)について,法務省の出題の趣旨と採点実感を踏まえた模範解答例と,独自に抽出した28の評価項目を示す。
BとCの同一取扱い,BとDらの異別取扱い,公の意見表明を理由とする不利益の三点を分けて検討することが,本問の出発点である。

項目内容
対象平成27年司法試験・公法系科目第1問(憲法)。公式問題PDF。
実施日・基準時平成27年5月13日。試験当時の憲法を基準とする。
設問の配点設問1(1)は40点,(2)は10点,設問2は50点。
評価項目28項目。重みは1~5で,重み5は6項目。単純合計107。公式配点ではない。
解答例の方向職務上重要な差異と勤務実績を無視し,反対意見を不利益の基準にした点を14条・21条から検討する。
答案の分量4159字(見出し及び空白を含み,改行を除く。上限5000字以内)。
確認日令和8年10月31日。

本記事の解答例は,Bの正式不採用を憲法14条1項及び21条1項に反すると評価する。
この結論は本記事の構成例であり,公式資料が特定の結論だけを正解として指定したものではない。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準

1 評価項目の示し方

評価項目は,公式資料に示された検討課題を,答案から充足の有無を判断できる単位に整理したものである。
法務省の公式採点基準,項目別配点又は得点予測ではない。
根拠欄はファイルの先頭から数えたPDFの頁と見出し番号を示し,関連記載からの間接的な推論には(間接)と付して直接の明示と区別している。
「対象範囲に対応記載なし」は,第1問の関係部分を読んだ範囲での記録である。
【注意】の項目も同じ5段階で重みを付けているが,同じ誤りを通常項目と重ねて減点する趣旨ではない。
番号27と28は【条件付】の事項である。
採用していない構成を全答案へ累積して要求するものではない。

2 5段階の重み付けの基準

重み判断基準
5その設問の判断を大きく分ける核心。
4結論を理由付きで支える主要な論証・当てはめ。
3通常押さえる法的処理・事情の評価。
2論証を補強する説明・個別事情・誤りの注意。
1補充的な引用・記述範囲の確認。

3 本問で補った点

採用判断にも憲法上の限界があること,及び審査枠組みの具体化は,憲法の条文と公式資料を踏まえた本記事の法的構成である。
一般的な文章・答案作法は,設問固有の評価項目とは別に扱い,重みの集計に含めていない。
重み4は,両公式資料への登場を必須条件とせず,設問内の役割から個別に判断した。

第3 本問の概要

1 問題文と事実関係

A市は,新たな天然ガス資源Yの採掘を認め,安全監視,事業者への指導助言,市民への情報提供,意見交換会等を行うY対策課を設けた。
Bは安全性が不十分な現段階の計画に反対し,安全性を高めるために勤務を希望した。
Cは採掘に絶対反対し,甲市のシンポジウム中止を要求して職員を傷害している。
6か月の判定期間後,勤務実績がDらとほぼ同程度ないし上回るものだったBとCは正式採用されず,公に意見を述べていなかったDらだけが正式採用された。
市は,反対発言やそれぞれの考えを踏まえると能力・資質が認められないと説明している。

2 設問が求めること

設問立場・対象指定・仮定・除外答えるべき到達点
設問1(1)Bの訴訟代理人。Bの主張にできる限り沿う。採用関連法規と職業選択の自由は論じない。三つの問題提起を憲法上の主張に構成する。
設問1(2)A市の反論。ポイントを簡潔に示す。結論だけでなく,反論の積極的な理由を示す。
設問2自分自身の見解。双方の主張を踏まえる。自らの規範と具体的評価から憲法上の結論を導く。

Bが提起しようとするのは国家賠償請求訴訟であるが,本問の直接の課題は憲法上の主張・見解である。
C自身への救済や国家賠償法の全要件へ論述を広げる必要はない。

第4 評価項目と重み

1 三つの問題の構成

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
1BC同一取扱い,BD差別,発言による不利益の三点を区別し,各立場で検討する。51頁~2頁。1頁・2(1)。

2 平等の規範と二つの比較

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
2B代理人はBC同一取扱いの問題を放棄せず,合理的な憲法上の構成を示す。42頁。3頁~4頁・3。
3条件付き反対のBと絶対的反対のCについて,意見内容の相違を職務との関係で評価する。42頁。対象範囲に対応記載なし。
4平穏な意見表明と傷害を伴う妨害という手法・行動の相違を評価する。42頁。対象範囲に対応記載なし。
5絶対的平等との対比で相対的平等を説明し,形式的・実質的平等等と混同しない。51頁。3頁・3。
6目的に関わる同じ点と違う点を特定し,異なる者の同一取扱いが不合理かを判断する。41頁。1頁・2(1)(間接)。
7Bの勤務実績がDらとほぼ同程度ないし上回る点と,反対の考えが不採用理由である点を結び付ける。51頁~2頁。3頁・3。
814条1項の信条による差別を指摘し,安全確保を重視するBの考えに即して検討する。52頁。3頁・3。
9【注意】後段列挙事由による差別が全て許されないと即断せず,合理性を検討する。3対象範囲に対応記載なし。1頁~2頁・2(2)。
10平等の本質に即した判断枠組みを示し,自由権侵害の審査と区別する。41頁。2頁~3頁・2(4)。
11安全確保というBの考えと対策課の設置目的・業務内容の関連を具体的に評価する。41頁。3頁・3(間接)。
12【注意】Bの勤務意思や反対意見の評価をBC比較とBD比較の間で矛盾させない。4対象範囲に対応記載なし。2頁・2(3)。

3 表現の自由

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
13外部への意見表明を21条の問題として扱い,19条の検討で置き換えない。52頁。4頁・4。
14Bの意見が公共の利益に関わることを,表現の保障の重要性に結び付ける。4対象範囲に対応記載なし。4頁・4。
15発言自体の禁止でないことを踏まえ,不採用を理由に表現の自由の制約が生じる仕組みを示す。52頁。4頁・4。
16B本人だけでなく,一般の者への意見表明の萎縮効果も検討する。42頁。4頁・4。
17選択した審査枠組みの内容を正確に示し,この事案で採用する理由を説明して当てはめる。42頁。2頁・2(4)。
18正式採用直前も反対意見を示すBについて,業務に支障を来すおそれの有無を具体的に評価する。42頁。対象範囲に対応記載なし。

4 各設問の立場・射程と論証

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
19A市の反論は,裁量や合理性という結論だけでなく,その積極的な理由を簡潔に示す。41頁(間接)。2頁・2(2)。
20自己の見解はA市の反論に応答しつつ,独自の規範と事実評価から結論を導く。41頁(間接)。2頁・2(3)。
2140・10・50の配点を踏まえ,市の反論を短く,自己の見解を十分に論じて完結する。31頁。4頁・5(1)。
22【注意】設問が除外した職業選択の自由を論じない。3対象範囲に対応記載なし。5頁・5(2)。
23【注意】人事裁量の当不当の議論に逸れず,憲法上の主張・見解を論じる。3対象範囲に対応記載なし。3頁・2(5)。
24【注意】B・C・Dらの地位・行為を正確に区別し,与件にない事実を補わない。3対象範囲に対応記載なし。4頁~5頁・5(2)。
2514条・21条の条文と法律用語を正しく示して解釈する。2対象範囲に対応記載なし。5頁・5(2)。
26【注意】本問で不要な「法の下」の意義の一般論に分量を割かない。2対象範囲に対応記載なし。3頁・3。
27【条件付】19条の絶対的保障を援用する場合は,内心にとどまる思想と外部行為を区別し,絶対保障だけで結論を出さない。3対象範囲に対応記載なし。1頁~2頁・2(2)。
28【条件付】判例を引用して枠組みを構成する場合は,判例の事案と本問の相違を説明する。32頁。対象範囲に対応記載なし。

5 重みの分布

重み項目数
56
413
37
22
10
合計28

重みの単純合計は107である。
条件付き事項を含む第4の表の集計であり,個別答案の適用項目の合計や公式得点とは異なる。
重み5は,三点の問題構成(1),相対的平等(5),BDの比較(7),信条(8),表現としての位置付け(13),不採用が制約となる理由(15)である。
いずれも結論に至る骨格に関わるため,主要な当てはめを支える重み4と区別している。

第5 模範解答

1 答案の前提と表記

以下は,試験実施時の憲法と問題文の与件を基礎にした一つの解答例である。
B代理人の主張,A市の反論,自分の見解を分け,BC・BDの比較と表現への制約をそれぞれ検討する。
答案の階層は,第1・1・(1)とする。
本答案は個別判例の判旨を引用していない。
字数は,見出し及び空白を含み,改行を除いて4159字であり,5000字以内である。

2 答案

第1 設問1(1)――Bの訴訟代理人としての主張

1 憲法上の保障が及ぶこと

A市による職員の採用判断も公権力の行使であり,憲法上の平等及び自由の保障に服する。
特定の職への採用を無条件に請求できないことと,憲法上許されない理由で不利益を受けないことは別である。
また,本件は既に6か月の判定期間の勤務を経て正式採用を見送られた場合であり,その期間も思想や意見への賛否を自由に選別するためのものではない。

2 平等原則違反

(1) 憲法14条1項の平等は,一切の区別を禁ずる絶対的平等ではなく,事柄の性質に即した合理的な区別を許す相対的平等である。
個人の尊重を基礎として,等しい事情の者を理由なく異別に扱うことを禁ずるとともに,判断目的にとって重要な相違を無視した一律の取扱いも,その合理性が問われる。

BとCは採掘事業への反対意見を表明した点では共通する。
しかし,Bは採掘そのものを絶対的に否定しているのではなく,作業員及び住民の健康のため,安全性が不十分な現段階の計画に反対している。
技術改善後も安全性向上に努めるため勤務を希望しており,その考えはY対策課の安全確保という目的に沿う。
他方,Cは危険を完全に回避する技術は開発困難として採掘に絶対反対し,シンポジウム中止を求めて入場を図り,制止した職員を傷害している。
その態度は意見交換会の円滑な運営等に関わる資質の判断にも結び付き得る。
平穏な意見と暴力を伴う妨害,安全性改善への協力と絶対的反対を区別せず,Bまで反対派として一括して不適格とすることは,目的に関係する相違を無視した不合理な取扱いである。

(2) BとDらの勤務実績はほぼ同程度であり,Bが上回る場合もあるのに,Dらだけが正式採用された。
Dらの内心の賛否は不明であるが,Bの考えと公の反対発言が不採用の理由とされた以上,勤務実績がほぼ同程度以上のBが,その意見を理由に不利益に扱われている。
安全を重んじるBの考えは公共政策に対する政治的・社会的な信念であり,同項の「信条」に当たる。
仮に信条に当たらなくても,列挙事由以外の不合理な差別も同項前段により禁止される。
精神的自由と結び付く意見による差別であるから,単なる抽象的な適性への疑念では足りず,目的との具体的な関連が必要である。

市民の安全と行政への信頼は重要である。
しかし,Y対策課は採掘計画への賛成を宣伝するだけの部署ではなく,安全監視,事業者への指導助言,異常時の情報提供等を行う。
安全性を専門的に吟味するBの見解を排除することは,むしろその目的に逆行する。
勤務実績はDらと比較してほぼ同程度ないし上回り,Bが職務を拒んだことをうかがわせる具体的事情も示されていないのに,反対意見だけから不適格と推認することには合理性がない。
したがって,Bに対する取扱いは14条1項に違反する。

3 表現の自由の侵害

甲市シンポジウムにおけるBの発言は,生命・健康に関わる公共政策への専門的な意見表明であり,憲法21条1項により保障される。
市民が情報や意見を交換して政策を批判することは民主的な意思形成に重要であり,その価値は,行政の方針に反対する意見にも等しく及ぶ。
過去の発言を理由に正式採用しないことも,発言者に不利益を課し,市の政策に異議を述べようとする者を萎縮させるから,同項の保障を実質的に制約する。

Bは反対という発言内容に着目して不利益を受けている。
したがって,市は,特に重要な目的のためにその不利益が必要であり,より制約的でない方法では目的を確保できないことを,具体的に説明しなければならない。
Bの発言は,職員募集より前に甲市のシンポジウムへ参加し,自らの考えを述べたものである。
Cのように暴力を伴って会の中止を迫ったものではない。
その後の技術改善によっても安全性の懸念が消滅したとはいえず,Bは現状を踏まえた見解を説明している。
意見の相違から直ちに市民への適切な対応ができないとはいえない。
安全性を高める勤務意思とDらとほぼ同程度以上の実績は,意見の賛否ではなく実際の職務行動を個別評価する方法によっても,市の必要とする能力を確認できることを裏付ける。
職務上の説明に問題があれば,具体的に指導する余地もある。
これらでは足りない具体的事情が示されないまま,不採用という不利益を課すことは過大であり,21条1項に違反する。

第2 設問1(2)――A市の反論

1 正式採用前の判定では,勤務実績だけでなく,専門部署の将来の職務遂行能力,協調性,市民からの信頼も総合判断する必要があり,市に相応の裁量がある。
BCとも採掘反対の意見を持ち公に表明した点では共通し,採掘事業の実施を前提に安全と信頼を確保する職務への適性にはDらと異なる事情がある。

2 市は,特定の考えそれ自体を排斥したのではなく,公表された言動から,市の方針を職務として説明し遂行する能力・資質を判断したのであり,Dらとの区別には職務上の理由があると反論する。

3 表現を禁止・処罰したのでもなく,職務適性の選考に伴う不利益にとどまる。
採掘に反対する職員では,市民への広報や意見交換会で市の方針と整合する説明をし,事業者と協力して業務を行うことに支障が生じ得る。
勤務実績に表れない資質もあるから,その危険を予防して安全と信頼を守る判断には合理性がある。

第3 設問2――私自身の見解

1 審査の前提

市職員も全体の奉仕者であり,職務に応じた適性を選考すること自体は許される。
安全性に重大な利害を有する市民に対応する専門部署である以上,将来の協調性や説明能力を考慮する必要性も否定できない。
もっとも,憲法15条2項は市の政策への内心の賛同を一律に要求する規定ではない。
公権力による選考である以上,人事裁量も,職務との関係を欠く思想・表現の排除を正当化しない。

2 平等原則について

14条1項は相対的平等を保障し,合理的な理由のない差別を禁ずる。
判断目的との関係で比較対象の共通点・相違点を明らかにし,区別又は同一取扱いに合理的な根拠があるかを検討する。
これは,同じ取扱いを他者との比較で要求できるかの問題であり,個人の自由への制約を審査する問題とは区別される。

BCを同じ結果にしたというだけで,14条違反が直ちに成立するわけでもない。
異なる事情の全てに異なる結果を与える義務まではないからである。
しかし,正式採用の適性という判断目的にとって重要な相違を無視し,BをCと同じ反対派として不適格と評価したなら,その評価の合理性が問題となる。
Cの絶対的反対や傷害行為は,平穏に意見を述べたBにはない。
Cについて考慮し得る事情をBへ転用することは許されない。
両者とも反対派だというだけで,Bの安全改善に協力する意思や職務に即した資質を捨象する一律の判断には合理的根拠がなく,その意味でBC同一取扱いの問題が認められる。

BDの比較では,Dらが反対意見を持たないとまでは認定できないが,公に反対意見を示したBがそれを理由に排除されたことは市の説明から認められる。
信条には,宗教的な信仰だけでなく,政治的・社会的な基本的な考え方も含まれると解する。
生命・健康への危険を踏まえて安全確保を最重要視するBの考えは,天然資源開発の在り方に関する基本的な信念としてこれに当たる。
列挙事由による区別が全て禁止されるわけではないが,その考え自体を否定的に評価する選考については,職務との具体的な関連を慎重に検討しなければならない。
この場合,思想良心の自由の保障範囲に入るかという19条の問題と,信条を基準とする取扱いの合理性という14条の問題を混同すべきでない。

3 表現の自由と職務適性

正式採用を見送る不利益によって,採用を希望する者に過去・将来の政策批判を控えさせる効果がある。
発言の自由自体は残るとの反論だけでは,その制約を否定できない。
他方,特定の職務に必要な資質を,具体的な外部行為を基礎として評価することまで禁じるべきでもない。
本件は反対という表現内容を理由に不利益を課すものである上,公共政策についての専門的な発言であり,地域の議論一般への萎縮も重大である。
そのため,単に人事上何らかの関連があれば足りるという緩やかな審査では,表現の保障を十分に確保できない。
他方,公的な専門部署の職務適性を判断する必要性も踏まえ,重要な行政目的があり,不採用という手段がその目的と実質的に関連し,表現への不利益が必要な限度にとどまることを要すると解する。
以下,この枠組みにより,職務の性質及び実際の遂行状況に即して判断する。

安全確保と市民の信頼という市の目的は重要であり,広報や意見交換で職員が適切に対応する必要もある。
しかし,対策課の目的は採掘を無条件に正当化することではなく,危険を監視して安全を確保することである。
Bは安全の改善に従事したいと述べ,勤務実績もDらと比較してほぼ同程度ないし上回る。
この実績だけで全ての資質が証明されるわけではないとしても,その考えから業務遂行に支障が生じるとの推認を弱める重要な事実である。
意見交換に際しても,危険への市民の懸念を理解して専門的に説明できることは,むしろ信頼の確保に役立つ。
個人として計画に反対することと,職務として正確な情報を伝え,必要な助言をすることとは両立し得る。

Bが市の業務を妨害したり,必要な職務を拒んだりする具体的事情は示されていない。
勤務実績と勤務意思に反してその可能性を認めるには,意見内容とは別の具体的根拠が必要である。
将来の適性を予測する選考の性質を考慮しても,単なる懸念では足りない。
Dらと比較してほぼ同程度ないし上回る勤務実績があるBについて,具体的な職務行動を基礎とする評価や指導では足りないという事情は示されていない。
そのような事情を示すことなく,平穏な反対発言を不採用理由にする必要性は認められない。

したがって,Bに対する正式不採用は21条1項に違反し,そのような不合理な基準でDらとの間に差を設けた点で14条1項にも違反する。
BCの取扱いも,Bの固有の事情を踏まえない不合理な適性評価を裏付ける。
以上がBの国家賠償請求において主張される憲法上の違法の内容となる。
以上

3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説

(1) 答案と評価項目の対応

答案第1の2及び第3の2が平等,第1の3及び第3の3が表現の自由に対応する。
第2では市の反論を短く示し,第3で自らの判断を展開している。
第4との関係では,番号1は答案全体,番号2~12は平等,番号13~18は表現の自由,番号19は第2,番号20は第3に対応し,番号21以下は答案全体の配分と注意事項である。
第4の重み5・4の項目及び条件付きの項目について,模範解答との対応を次の表に示す。

番号重み評価項目答案の該当箇所・留保
15BC同一取扱い,BD差別,発言による不利益の三点を区別し,各立場で検討する。第1の2・3,第2,第3で三点を区別。
24B代理人はBC同一取扱いの問題を放棄せず,合理的な憲法上の構成を示す。第1の2(1)でBC同一扱いを主張。
34条件付き反対のBと絶対的反対のCについて,意見内容の相違を職務との関係で評価する。第1の2(1)・第3の2で条件付き反対と絶対的反対を比較。
44平穏な意見表明と傷害を伴う妨害という手法・行動の相違を評価する。第1の2(1)・第3の2で平穏な発言と傷害を区別。
55絶対的平等との対比で相対的平等を説明し,形式的・実質的平等等と混同しない。第1の2(1)・第3の2で相対的平等の規範を示す。
64目的に関わる同じ点と違う点を特定し,異なる者の同一取扱いが不合理かを判断する。第3の2で目的にとって重要な差異と同一扱いの合理性を評価。
75Bの勤務実績がDらとほぼ同程度ないし上回る点と,反対の考えが不採用理由である点を結び付ける。第1の2(2)で勤務実績と反対意見を理由とする不採用を結合。第3の2で反対意見が不採用理由である点,第3の3で勤務実績を評価。
8514条1項の信条による差別を指摘し,安全確保を重視するBの考えに即して検討する。第3の2で信条を定義し,安全確保を重んじる基本的考えに適用。
104平等の本質に即した判断枠組みを示し,自由権侵害の審査と区別する。第3の2で比較による平等と自由への制約を区別。
114安全確保というBの考えと対策課の設置目的・業務内容の関連を具体的に評価する。第1の2(2)・第3の3で安全監視等の職務とBの勤務意思・実績を評価。
124【注意】Bの勤務意思や反対意見の評価をBC比較とBD比較の間で矛盾させない。第3の2・3でBの安全改善への勤務意思を一貫して評価。
135外部への意見表明を21条の問題として扱い,19条の検討で置き換えない。第1の3・第3の3を21条に集中。19条による置換をしない。
144Bの意見が公共の利益に関わることを,表現の保障の重要性に結び付ける。第1の3・第3の3で公共政策への専門的発言の価値を示す。
155発言自体の禁止でないことを踏まえ,不採用を理由に表現の自由の制約が生じる仕組みを示す。第1の3・第3の3冒頭で不採用による不利益と発言の萎縮を説明。
164B本人だけでなく,一般の者への意見表明の萎縮効果も検討する。第1の3・第3の3で地域の議論一般への影響を示す。
174選択した審査枠組みの内容を正確に示し,この事案で採用する理由を説明して当てはめる。第3の3で重要目的・実質的関連性・必要限度の枠組みと選択理由を示す。
184正式採用直前も反対意見を示すBについて,業務に支障を来すおそれの有無を具体的に評価する。第2の3・第3の3で業務支障の反論と勤務実績等による再評価。
194A市の反論は,裁量や合理性という結論だけでなく,その積極的な理由を簡潔に示す。第2で将来の協調性,広報・意見交換,市の方針の遂行能力を簡潔に主張。
204自己の見解はA市の反論に応答しつつ,独自の規範と事実評価から結論を導く。第3で独自の規範,具体的事実,結論まで論じる。
273【条件付】19条の絶対的保障を援用する場合は,内心にとどまる思想と外部行為を区別し,絶対保障だけで結論を出さない。適用外。19条の絶対的保障を援用していない。
283【条件付】判例を引用して枠組みを構成する場合は,判例の事案と本問の相違を説明する。適用外。判例を引用していない。

重み3以下の通常項目である9・21・22・23・24・25・26も,答案の該当部分又は余計な論述を置かないことにより確認している。
27は19条の絶対的保障を援用する場合,28は判例を実際に引用する場合に限る項目であり,本解答では適用外である。

(2) 設問1(1)――二つの比較と表現を分ける

BCの比較では,単に両者の反対意見を並べるのでなく,反対の具体的内容と,平穏な発言・暴力的妨害という行動の相違を評価する(2~4・6)。
BDの比較では,勤務実績と,安全を重んじる考えが不利益に評価されたことの双方が必要である(7・8)。
相対的平等は,一切の区別を排する絶対的平等とは異なる概念である。
比較対象を特定し,職務との関係で取扱いの合理性を検討する(5・10)。
外に向けて述べたことの不利益は,まず表現の自由として構成する。
内心の問題だけを論じると,本問がまず求める検討から外れる(13)。

(3) 設問1(2)――市の反論に積極的な理由を置く

「区別・取扱いには合理的理由がある」「裁量の逸脱・濫用はない」という結論だけでは足りない。
広報,意見交換,事業者との協力などの職務と,反対意見を持つ職員の将来の業務支障を結び付けて示す(18・19)。
ただし,その反論を長く展開して自己の見解を薄くすることは避ける(21)。

(4) 設問2――同じ事実を一貫して評価する

平等では,他者との比較における合理性を検討する。
表現では,不採用が発言者や地域の議論一般を萎縮させる仕組みを説明してから,職務上の必要性を審査する(10・15~18)。
本記事の解答例は,重要な行政目的との実質的関連性と必要限度を確認する構成を採っている。
この具体的な構成は,公式資料が唯一の審査基準として指定したものではない。
Bの安全改善への勤務意思と勤務実績は,二つの比較と表現審査のいずれでも一貫して評価する必要がある(11・12・20)。
市の目的の重要性を認めた上で,反対意見だけから業務支障を推測してよいか,その根拠を具体的に吟味している。

(5) 答案の弱点と扱わなかった事項

本解答は一つの構成例であり,異なる審査枠組みや結論を採る場合にも,その理由と事実評価が必要である。
勤務実績だけで全ての資質が証明されたとはせず,将来の職務適性を判断する必要性を留保している。
採用関連法規,職業選択の自由,C自身の刑事責任の詳細は,本問の憲法上の主張から分けている。
原文を確認していない判決について,判旨の引用や本問への直接適用は置いていない。

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第7 出典及び確認状態

1 公式資料

①平成27年司法試験・論文式試験問題集[公法系科目第1問]
PDFの2頁~3頁の第1問を確認した。

②平成27年司法試験論文式試験問題出題趣旨
PDFの1頁~2頁の公法系科目第1問を確認した。
第2問以後は本記事の根拠に用いていない。

③平成27年司法試験の採点実感等に関する意見(公法系科目第1問)
PDFの1頁~5頁を確認した。

④平成27年司法試験の実施日程等について
1頁の公法系科目第1問の実施日を確認した。

2 法令

日本国憲法(e-Gov法令検索)の14条1項,15条2項,19条及び21条1項を確認した。
日本国憲法は施行後に改正されておらず,試験当時の条文も同じである。

3 裁判例

本答案は,個別判例の判旨を直接の根拠として引用していない。
本記事では判例の原文を確認していないため,判旨・事件番号・射程を記載していない。

4 確認状態

問題文,出題の趣旨及び採点実感の第1問に関する範囲を確認し,憲法の関係条文と照合した。
PDFの頁はファイルの先頭から数えた頁をいう。
評価項目の区切り,重み,審査枠組みの具体化及び結論は,本記事の分析である。
本記事は,公式資料と憲法の条文を基礎にした解答例であり,法務省が公表した模範解答又は公式採点基準ではない。
確認日は令和8年10月31日である。