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高等裁判所とは―役割・地裁や最高裁との違い・全国8高裁と支部の一覧(AI作成)

第1 高等裁判所は何をするところか

高等裁判所(高裁)は,地方裁判所や家庭裁判所などの裁判に対する不服申立てを審理する裁判所である。全国に8つの本庁と通常の6支部があり,東京高裁には特別の支部として知的財産高等裁判所が置かれている。

高裁は「控訴審の裁判所」と説明されることが多いが,控訴だけを扱うわけではない。決定・命令に対する抗告,簡裁から始まった通常民事訴訟の上告,一部の事件の第一審も扱う。利用する際は,裁判所の名称に加えて,事件の種類と不服申立ての手続を確認する必要がある。

裁判所法2条・16条・17条及び裁判所公式の下級裁判所の案内に基づき,高裁の役割,全国の配置,地裁・最高裁との違いを説明する。5種類の裁判所全体の比較は,裁判所とは―5種類の役割・三審制・管轄と利用方法を参照されたい。

第2 全国8つの高等裁判所と管轄地域

1 本庁の一覧

高裁の本庁は,札幌,仙台,東京,名古屋,大阪,広島,高松,福岡にある。裁判所公式の管轄区域表による管内の都道府県は次のとおりである。裁判所名のリンクから,各庁の所在地・窓口・裁判手続・見学や傍聴の案内を確認できる。

高等裁判所本庁の所在地管轄する都道府県
札幌高等裁判所札幌市北海道
仙台高等裁判所仙台市青森,岩手,宮城,秋田,山形,福島
東京高等裁判所東京都茨城,栃木,群馬,埼玉,千葉,東京,神奈川,新潟,山梨,長野,静岡
名古屋高等裁判所名古屋市富山,石川,福井,岐阜,愛知,三重
大阪高等裁判所大阪市滋賀,京都,大阪,兵庫,奈良,和歌山
広島高等裁判所広島市鳥取,島根,岡山,広島,山口
高松高等裁判所高松市徳島,香川,愛媛,高知
福岡高等裁判所福岡市福岡,佐賀,長崎,熊本,大分,宮崎,鹿児島,沖縄

表は各高裁全体の管轄地域であり,管内の全事件を本庁で扱うという意味ではない。支部の担当区域や,事件によって本庁に留保される取扱いは,別に確認する必要がある。

2 通常の6支部と知財高裁

通常の高裁支部は,仙台高裁秋田支部,名古屋高裁金沢支部,広島高裁岡山支部・松江支部,福岡高裁宮崎支部・那覇支部の6つである。支部は,高裁の事務の一部を別の場所で取り扱う組織であり,独立した別種類の裁判所ではない(裁判所法22条)。

支部の担当区域は,県全体に限られない。県の一部が別の高裁支部の担当となる場合もあるため,県名だけで提出先を決めないようにする。6支部の担当区域,本庁で扱う事件,事務分配との関係は,高等裁判所支部とはで詳しく説明している。

知財高裁は,知的財産高等裁判所設置法2条による東京高裁の特別の支部である。全国8高裁とは別に第9の高裁が設置されたという意味ではなく,通常の6支部とも区別する。取扱事件,専属管轄,大合議の詳説は,知的財産高等裁判所とはを参照されたい。

第3 地裁・最高裁との違いと三審制

1 裁判所の種類と審級は同じではない

裁判所主な役割高裁との関係
地方裁判所民事・刑事の第一審の多くを扱い,簡裁の民事判決に対する控訴も扱う地裁の第一審判決に対する控訴は高裁へ進む。地裁が第二審となる民事事件では,高裁への申立ては上告となる
高等裁判所控訴・抗告・一定の上告,一部の第一審を扱う通常の第二審を担う場面が多いが,事件によって第一審又は第三審にもなる
最高裁判所最上級の裁判所として,上告など法律が認める不服申立てを扱う高裁の判断に対する不服申立てでも,法律が定める理由・要件を満たす必要がある

「高等裁判所は必ず第二審」「地方裁判所は必ず第一審」とは限らない。裁判所公式の審級制度の説明と,裁判所法16条・24条,民事訴訟法311条を,事件の種類に即して読む必要がある。

2 簡裁から始まる民事と刑事で経路が違う

主な経路を示すと,次のとおりである。

① 地裁で始まる通常の民事訴訟:地裁の第一審 → 高裁への控訴 → 最高裁への上告。
② 簡裁で始まる通常の民事訴訟:簡裁の第一審 → 地裁への控訴 → 高裁への上告。
③ 簡裁で始まる刑事事件:簡裁の第一審 → 高裁への控訴 → 最高裁への上告。
④ 家裁で始まる離婚訴訟など:家裁の第一審 → 高裁への控訴 → 最高裁への上告。

通常民事訴訟の上告先は,民事訴訟法311条が定めている。高裁が上告審としてした終局判決については,憲法違反を理由とする場合に限る特別上告の制度がある(同法327条)。どの事件でも同じ内容を無条件に3回審理してもらえるわけではない。

少額訴訟の終局判決には控訴ができず,同じ簡裁に異議を申し立てる仕組みがある。異議後の判決にも控訴はできない(同法377条・378条・380条)。また,家事審判等の決定に対する不服申立てへ,判決を前提とする上記の経路をそのまま当てはめることはできない。

第4 高裁が扱う事件と裁判官の合議体

1 控訴・抗告・上告・第一審を区別する

裁判所法16条・17条が定める役割と,裁判所公式の案内を整理すると,次のようになる。

区分主な対象・利用場面
控訴地裁の第一審判決,家裁の判決,簡裁の刑事判決に対する不服申立て
抗告地裁・家裁の決定や命令,簡裁の刑事の決定や命令に対する所定の不服申立て。法律上の例外がある
上告地裁が第二審としてした民事判決に対する不服申立てなど
第一審選挙に関する訴訟,内乱罪等に関する事件など,法律が高裁に第一審の裁判権を与える事件

知財高裁が扱う所定の審決取消訴訟も,行政事件の第一審である。一方,すべての知的財産事件の控訴が全国から知財高裁へ集まるわけではない。権利の種類と原審裁判所などにより扱いが異なるため,前記の知財高裁の詳説を確認されたい。

2 原則として裁判官3人で審理する

高裁は原則として裁判官3人の合議体で事件を扱い,1人が裁判長となる(裁判所法18条)。内乱罪等の所定の事件では5人で審理する。知財高裁の大合議も,所定の事件について5人で審理・裁判をする制度であり,通常の合議体と区別する。

「第○民事部」「第○刑事部」は,事件を扱う部の名称である。部の名称・配置表にある人数だけで,個別事件の担当裁判官や実際の合議体は確定しない。年度別の担当部,集中部,事件の配分の方法は,高等裁判所の事務分配の比較(令和8年度)で確認できる。

第5 提出先・担当部・傍聴を調べる方法

1 審理する裁判所と書類を提出する裁判所を分ける

高裁で審理される事件でも,最初の書類を高裁へ直接提出するとは限らない。例えば民事の控訴状は,第一審裁判所に提出する。控訴裁判所へ記録が送られた後の書面や提出方法は,対象事件の案内に従って確認する。

利用前には,①判決・決定などのどの裁判に対する手続か,②申立ての名称・期限・提出先,③本庁・支部と担当部・係,④紙又はオンラインの提出方法,の順に確認するとよい。裁判所から届いた書類の事件番号,担当部・係,通知の内容を手元に用意し,公式の窓口案内と照合する。

民事控訴審の書面準備・第一回期日・一回結審・和解については,民事控訴審の審理の流れを参照されたい。申立ての名称が似ていても,民事・刑事・家事の手続の期限や必要書類を取り違えてはならない。

2 傍聴と庁舎見学は別に確認する

公開の法廷で行われる裁判は,原則として一般の人も傍聴できる。庁舎見学の予約と,個別の裁判の傍聴は別の利用方法であり,傍聴券が必要な事件もある。高裁に行けばいつでも希望する事件を見られるとは限らない。

前記の各高裁の公式ページ又は裁判所の見学・傍聴案内で,期日,法廷,傍聴券の交付情報,入庁時の条件を確認する。初めて傍聴する場合の予定の調べ方,持ち物,当日の流れは,裁判所の傍聴方法で説明している。

第6 関連記事と出典

高裁制度の基本から,目的に応じて次の記事へ進める。

① 高等裁判所支部とは―6支部の一覧・担当区域・取扱事件と本庁との違い
② 知的財産高等裁判所とは―東京高裁の特別の支部・取扱事件・専属管轄・大合議
③ 高等裁判所の事務分配の比較(令和8年度)
④ 民事控訴審の審理の流れ
⑤ 高等裁判所支部の設置・廃止の歴史

法令及び公式案内は令和8年10月11日に確認した。個別の事件の期限,窓口,期日,担当部,提出方法等は,利用する時点の法令・裁判所の案内・事件の通知で確認する必要がある。

① 裁判所法2条,15条~18条,22条・24条:https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000059
② 民事訴訟法281条以下,311条・327条,377条~380条:https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109
③ 知的財産高等裁判所設置法2条:https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000119
④ 裁判所「下級裁判所」:https://www.courts.go.jp/about/sosiki/kakyusaibansyo/index.html
⑤ 裁判所「概要」:https://www.courts.go.jp/about/sosiki/gaiyo/index.html
⑥ 裁判所「裁判所の管轄区域」:https://www.courts.go.jp/about/sosiki/kankatu/index.html
⑦ 裁判所「民事事件Q&A」:https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_minzi/index.html