その他裁判所関係

最高裁判所判事任命の閣議書

目次
第1 最高裁判所判事任命の閣議書
第2 国民審査を受けることなく退官した最高裁判所裁判官
第3 学者出身の元最高裁判事の履歴書
第4 関連記事その他

* 「高等裁判所長官任命の閣議書」及び「高裁長官人事のスケジュール」も参照してください。

第1 最高裁判所判事任命の閣議書
(令和10年10月までに実施される第27回最高裁判所裁判官国民審査)
・ 阿多博文最高裁判所判事任命の閣議書(令和7年12月23日付)

・ 沖野眞已最高裁判所判事任命の閣議書(令和7年6月6日付)

・ 高須順一最高裁判所判事任命の閣議書(令和7年2月14日付)

(令和6年10月27日の第26回最高裁判所裁判官国民審査)(審査対象者は6人)
・ 中村 慎最高裁判所判事任命の閣議書(令和6年7月9日付)

・ 平木正洋最高裁判所判事任命の閣議書(令和6年7月9日付)同年8月16日付の裁可書

・ 石兼公博最高裁判所判事任命の閣議書(令和6年4月5日付)同年4月17日付の裁可書

・ 宮川美津子最高裁判所判事任命の閣議書(令和5年10月6日付)同年11月6日付の裁可書

・ 尾島明最高裁判所判事任命の閣議書(令和4年5月20日付)同年7月5日付の裁可書

・ 今崎幸彦最高裁判所判事任命の閣議書(令和4年5月20日付)同年6月24日付の裁可書

令和3年10月31日の第25回最高裁判所裁判官国民審査(審査対象者は11人))
・ 岡正晶最高裁判所判事及び堺徹最高裁判所判事任命の閣議書(令和3年7月30日付)同年9月3日付の裁可書

・ 安浪亮介及び渡邉恵理子最高裁判所判事任命の閣議書(同年6月4日付)令和3年7月16日付の裁可書

・ 長嶺安政最高裁判所判事任命の閣議書(令和3年1月15日付)同年2月8日付の裁可書

・ 岡村和美最高裁判所判事任命の閣議書(令和元年9月20日付)同年10月2日付の裁可書

・ 林道晴最高裁判所判事任命の閣議書(令和元年8月2日付)同年9月2日付の裁可書

・ 宇賀克也最高裁判所判事任命の閣議書(平成31年2月22日付)同年3月20日付の裁可書

・ 草野耕一最高裁判所判事任命の閣議書(平成31年1月11日付)同年2月13日付の裁可書

・ 三浦守最高裁判所判事任命の閣議書(平成30年2月16日付)同年2月26日付の裁可書

 深山卓也及び宮崎裕子最高裁判所判事任命の閣議書(平成29年12月8日付)平成30年1月9日付の裁可書
→ 宮崎裕子最高裁判所判事は,国民審査を受けることなく,令和3年7月8日限りで定年退官しました。

平成29年10月22日の第24回最高裁判所裁判官国民審査(審査対象者は7人))
・ 戸倉三郎最高裁判所判事任命の閣議書(平成29年2月10日付)同3月14日付の裁可書

・ 林景一最高裁判所判事任命の閣議書(平成29年1月13日付)同年4月10日付の裁可書

・ 山口厚最高裁判所判事任命の閣議書(平成29年1月13日付)同年2月6日付の裁可書

・ 菅野博之最高裁判所判事任命の閣議書(平成28年7月26日付)同年9月5日付の裁可書

 木澤克之最高裁判所判事任命の閣議書(平成28年6月17日付)同年7月19日付の裁可書

・ 小池裕最高裁判所判事任命の閣議書(平成27年3月3日付)同年4月2日付の裁可書

 大谷直人最高裁判所判事任命の閣議書(平成27年1月23日付)同年2月17日付の裁可書

(平成26年12月14日の第23回最高裁判所裁判官国民審査(審査対象者は5人))
・ 池上政幸最高裁判所判事任命の閣議書(平成26年6月19日付)同年10月2日付の裁可書

 山崎敏充最高裁判所判事任命の閣議書(平成26年3月7日付)同年10月2日付の裁可書

・ 山本庸幸最高裁判所判事任命の閣議書(平成25年8月7日付)同年8月20日付の裁可書

・ 木内道祥最高裁判所判事任命の閣議書(平成25年3月26日付)同年4月25日付の裁可書

・ 鬼丸かおる最高裁判所判事任命の閣議書(平成25年1月18日付)同年2月6日付の裁可書

(平成24年12月16日の第22回最高裁判所裁判官国民審査(審査対象者は10人))
・ 小貫芳信最高裁判所判事任命の閣議書(平成24年3月16日付)同年4月11日付の裁可書

・ 山浦善樹最高裁判所判事任命の閣議書(平成24年1月20日付)同年3月1日付の裁可書

 大橋正春最高裁判所判事任命の閣議書(平成23年12月27日付)同年2月13日付の裁可書

・ 岡部喜代子最高裁判所判事任命の閣議書(平成22年3月18日付)同年4月12日付の裁可書

(平成21年8月30日の第21回最高裁判所裁判官国民審査(審査対象者は9人))
・ 櫻井龍子最高裁判所判事任命の閣議書(平成20年9月5日付)同年9月11日付の裁可書

(平成17年9月11日の第20回最高裁判所裁判官国民審査(審査対象者は6人))
(平成15年11月9日の第19回最高裁判所裁判官国民審査(審査対象者は9人))
・ 甲斐中辰夫最高裁判所判事任命の閣議書(平成14年10月4日付)同年10月7日付

・ 横尾和子最高裁判所判事任命の閣議書(平成13年12月18日付)同年12月19日付の裁可書

(平成12年6月25日の第18回最高裁判所裁判官国民審査(審査対象者は9人))

(平成8年10月20日の第17回最高裁判所裁判官国民審査(審査対象者は9人))
・ 高橋久子最高裁判所判事任命の閣議書(平成6年1月25日付)同年2月9日付の裁可書

・ 動画の6分54秒から7分7秒にかけて,「官記を受け取ったら,本当は頭より上に掲げて降ろさないようにお辞儀をすることになっています。検事総長は恐らく初めての認証式ではないので上に掲げていたから中身が見えるんです。」というナレーションが流れます。

第2 国民審査を受けることなく退官した最高裁判所裁判官
1 国民審査を受けることなく退官した最高裁判所裁判官は以下のとおりです。
① 庄野理一(昭和22年8月4日就任,昭和23年6月26日依願退官)
② 穂積重遠(昭和24年2月26日就任,昭和26年7月29日死亡退官)

③ 宮崎裕子(平成30年1月9日就任,令和3年7月8日限り定年退官)
2 定年まで勤めて国民審査を受けなかったのは宮崎裕子最高裁判所判事だけです。

第3 学者出身の元最高裁判事の履歴書
1 学者出身の元最高裁判所判事の履歴書を着任順に以下のとおり掲載しています。
河村又介穂積重遠田中二郎大隅健一郎団藤重光
伊藤正己園部逸夫奥田昌道藤田宙靖岡部喜代子
 期外の園部逸夫 元最高裁判所判事(学者枠)は,大阪空港訴訟に関する最高裁大法廷昭和56年12月16日判決を取り扱った「誰のための司法か~團藤重光 最高裁・事件ノート~」(令和5年4月15日初放送)に出演した際,團藤重光最高裁判所判事(元東京大学法学部長の刑事法学者)に関して以下の発言をしました。
  やっぱり団藤さんはね,学者出身ということが非常に引っかかったと思いますよ。まあ団藤さんがいろいろおっしゃる気持ちも分かるけど,そう簡単には受け入れられないという,そういうふうに思う実務裁判官がいてもおかしくないだろうと思いますよね。
  だからやっぱり裁判所というところはなかなか難しいので外からすっと入ってきた人っていうのはちょっと正直言って難しいです。そう簡単にはね,受け入れられ,表は受け入れていますよ。表は受け入れているけど,中身は本当は受け入れられていない

第4 関連記事その他
1 裁判所HPに「最高裁判所の裁判官」及び「最高裁判所判事一覧表」が載っていますところ,最高裁判所の令和4年度概算要求書(説明資料)59頁には,「裁判所ウェブサイト掲載用写真撮影費用」として以下の記載があります。
<要求要旨>
  最高裁判所判事については,国民審査の判断に資するものとして裁判所ウェブサイトに「最高裁判所の裁判官」のコーナーを設け,写真,略歴,信条,趣味等を掲載するなどの広報活動を行っている。また,国民審査の際に使用する手札写真(個人写真)も必要となる。これらの場で利用する写真については,相応の質を確保するため,充実した機材や高度な撮影技術を有
する専門家による撮影が必要である。
  そこで,最高裁判所判事についての広報活動において使用する写真の撮影費用を要求する。
2 首相官邸HPに「最高裁裁判官の任命について」が載っています。
3 最高裁判所とともに(著者は高輪1期の矢口洪一 元最高裁判所人事局長・元最高裁判所長官)97頁には以下の記載があります。
  判事、判事補、簡裁判事などの人事は、最高裁が提出する名簿に基づき内閣が任命するが、最高裁裁判官の人事は三権分立におけるチェック・アンド・バランスから、完全な内閣の専権に属している。
  ただ、最高裁長官は自己の後任人事を含む最高裁裁判官の人事について、首相に意見を述べるのが慣例である。その意見を聴くかどうかは内閣の自由だが、この習慣はぜひ続けてほしい。
4 東京弁護士会の期成会HP「最高裁判所での3年6カ月を振り返って」(講演者は20期の宮川光治 元最高裁判所判事)には以下の記載があります。
  その後(山中注:2008年5月初めに宮崎日弁連会長(当時)が最高裁に推薦行為を行った後)、何の連絡もなく日々が過ぎて、2008年8月4日月曜日、クレオで辻誠先生(山中注:昭和50年度日弁連会長)のお別れ会がありました。そのパーティーに出ていたら、最高裁から連絡があり、電話をかけると、大谷直人人事局長から、「明日の閣議で最高裁判事に就任することが了承される予定で、本日、長官が福田(康夫)総理の了解を得ました」という説明がありました。会場に戻ると、ちょうど宮﨑会長の携帯にも電話が入り、宮﨑さんがそれを聞いて、私のほうを見て会釈をしたので、宮﨑さんのところにも同じ連絡が入ったことがわかりました。これが、事実上決まったことがわかった瞬間です。
(1) 以下の資料を掲載しています。
・ 最高裁判所裁判官任命に関する裁可書(令和元年9月2日から令和4年7月5日までの分)
・ 高等裁判所長官任命に関する裁可書(令和元年5月1日から令和4年9月2日までの分)
・ 最高裁判所裁判官任命に関する裁可書(平成5年4月1日から平成31年3月20日まで)
→ 最高裁判所長官の任命に関する裁可書,及び最高裁判所裁判官等の任命に関する裁可書が含まれています。
・ 検事総長任命に関する閣議書(平成5年12月13日から令和6年7月9日まで)

(2) 以下の記事も参照してください。
・ 最高裁判所裁判官国民審査
・ 最高裁判所裁判官の任命に関する各種説明
・ 最高裁判所長官任命の閣議書
・ 最高裁判所裁判官等の公用車
・ 高輪1期以降の,裁判官出身の最高裁判所判事
・ 外務省国際法局長経験のある最高裁判所判事
・ 最高裁判所裁判官の少数意見
・ 最高裁判所第一小法廷(着任順)
 最高裁判所第二小法廷(長官以外は着任順)
 最高裁判所第三小法廷(着任順)
・ 高等裁判所長官任命の閣議書
・ 親任式及び認証官任命式
・ 高裁長官人事のスケジュール
・ 憲法週間における最高裁判所判事の視察
 検事総長,次長検事及び検事長任命の閣議書
・ 内閣法制局長官任命の閣議書
・ 衆参両院の議院運営委員会に提示した国会同意人事案
・ 各府省幹部職員の任免に関する閣議承認の閣議書
・ 閣議

小池勝雅裁判官(31期)の経歴

生年月日 S28.1.1
出身大学 東大
退官時の年齢 62 歳
叙勲 R5年春・瑞宝中綬章
H27.8.18 依願退官
H26.4.12 ~ H27.8.17 那覇家裁所長
H25.8.6 ~ H26.4.11 横浜地家裁横須賀支部長
H22.4.1 ~ H25.8.5 横浜地裁1刑部総括
H18.1.1 ~ H22.3.31 東京地裁11刑部総括
H16.4.1 ~ H17.12.31 東京高裁7刑判事
H12.4.1 ~ H16.3.31 札幌地裁1刑部総括
H10.4.1 ~ H12.3.31 東京地裁判事
H6.4.1 ~ H10.3.31 公調委事務局審査官
H3.4.1 ~ H6.3.31 東京地裁判事
H1.4.9 ~ H3.3.31 札幌地家裁判事
H1.4.1 ~ H1.4.8 札幌地家裁判事補
S63.4.1 ~ H1.3.31 札幌家地裁判事補
S60.4.1 ~ S63.3.31 横浜地家裁川崎支部判事補
S57.4.3 ~ S60.3.31 青森地家裁判事補
S54.4.9 ~ S57.4.2 横浜地裁判事補

*1 45期の河村俊哉裁判官は,令和5年1月4日,31期の小池勝雅公証人の後任として,東京法務局所属の浅草公証役場の公証人に任命されました。
*2 以下の記事も参照してください。
・ 公証人の任命状況(2019年5月1日以降)→公証人への任命直前の,元裁判官,元検事等の経歴を記載したもの
・ 裁判官の早期退職
・ 毎年6月開催の長官所長会同
・ 新任の地家裁所長等を対象とした実務協議会の資料
・ 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
・ 行政機関等への出向裁判官
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部

司法に関する情報公開の推進(平成13年6月12日付の司法制度改革審議会意見書)

平成13年6月12日付の司法制度改革審議会意見書「Ⅳ 国民的基盤の確立」には以下の記載があります。

3. 司法に関する情報公開の推進

裁判所、検察庁、弁護士会における情報公開・提供を推進すべきである。

    最高裁判所、法務省及び弁護士会(日本弁護士連合会、単位弁護士会)においては、従前から、それぞれホームページを開設するなどして、各種情報を提供しているところである。さらに、本年4月1日、行政庁(検察庁を含む。)の情報公開制度が発足したことに伴い、裁判所においても、その保有する司法行政文書について、内部規定を定め、これに準じた情報の公開を行うこととした。また、日本弁護士連合会においても、業務、財務、懲戒手続、専門分野その他弁護士に関わる情報等に関する情報公開・提供の拡充について検討しているところである。
    既述のように、司法の様々な場面において国民の参加を拡充する前提としても、司法の国民に対する透明性を向上させ、説明責任を明確化することが不可欠である。このような見地から、裁判所、検察庁、弁護士会においては、情報公開・提供を引き続き推進すべきである。

判例情報をプライバシー等へ配慮しつつインターネット・ホームページ等を活用して全面的に公開し提供すべきである。

    裁判所においては、従来、先例的価値のある判例情報については、最高裁判所及び高等裁判所の判例集のほか、知的財産権などの特定の分野についての判例集の編集刊行を行ってきた。また、民間の判例雑誌、データベース等によっても、判例情報の提供がなされている。個々の事件の判決については、民事訴訟法上誰でも閲覧が可能であり、利害関係人については謄写も可能である。
    さらに、判例情報への国民の迅速かつ容易なアクセスを可能にするため、最高裁判所では、平成9年にホームページを開設し、現在、(i)最近の主要な最高裁判所の判決全文、(ii)東京高等・地方裁判所及び大阪高等・地方裁判所を中心とした下級裁判所の知的財産権関係訴訟の判決全文を速報していることに加え、(iii)過去の下級裁判所の知的財産権関係訴訟に関する裁判例をデータベースにより公開している。
    判例情報の提供により、裁判所による紛争解決の先例・基準を広く国民に示すことは、司法の国民に対する透明性を向上させ、説明責任を明確化するというにとどまらず、紛争の予防・早期解決にも資するものである。
    裁判所は、判例情報、訴訟の進行に関する情報を含む司法全般に関する情報の公開を推進していく一環として、特に判例情報については、先例的価値の乏しいものを除き、プライバシー等へ配慮しつつインターネット・ホームページ等を活用して全面的に公開し提供していくべきである。

司法に関する情報提供・公開の在り方に関する平成12年6月当時の裁判所の説明

○最高裁判所が平成12年6月13日開催の第22回司法制度改革審議会配付資料として提出した,「国民がより利用しやすい司法の実現」及び「国民の期待に応える民事司法の在り方」に関する裁判所の意見8頁及び9頁には,以下の記載があります。
判決データを全てデータベースに保存して,外部からの閲覧・謄写の請求にも迅速に対応できるようにするという話はどうなったのかしら?という気がします。

3 司法に関する情報提供・公開の在り方
   先例的価値のある判例情報を積極的に公開していくことは紛争防止や解決にとって重要であると考えている。従来,先例的価値のある判例情報について,最高裁判所及び高等裁判所の判例集のほか,下級裁判所については,知的財産権などの特定の分野についての判例集の編集刊行を行ってきたが,国民のニーズに応え,迅速かつ容易な判例情報へのアクセスを可能にするため,平成9年にホームページをインターネット上に開設して,①最近の主要な最高裁の判決全文,②東京高地裁及び大阪高地裁を中心とした下級裁判所の知的財産権訴訟の判決全文を速報している(最高裁のホームページにはこれまで70万件近いアクセスがある。)。さらに,裁判所は,民間の判例雑誌社やマスコミからの依頼に対し,広く判例情報を提供しており,民間の判例雑誌という媒体で下級裁判所を含めた判例情報の提供がされているところ(判例時報,判例タイムズがそれぞれ年間700件から800件)であり,また,民間においても,各種のデータベース(判例マスター,判例体系データベース)が開発,販売されているところである。
また,事件情報として,個々の事件の判決へのアクセスについては,民事訴訟法でだれでも閲覧が可能であり,利害関係人であれば謄写も可能である。
裁判所としては,判例情報に対する国民のニーズの高まりに対応して,インターネットを活用するなど,今後とも,先例的価値のある判例情報について即時的確に公開していきたい。具体的には,最高裁及び高裁の判例について,過去に判例集に登載されたもののデータベースを構築し,これを公開していく準備を進めているところである。さらに,下級裁判所の判例情報の公開については,地裁の民事事件だけでも年間10数万件に及ぶ多数の下級裁判所の判決の中から,先例的価値のある重要なものをいかにして選別していくか,民間の判例雑誌等との役割分担をどう考えるのかという問題はあるが,少なくとも,国民のニーズが大きいと思われる一定の分野の下級裁判所の判決については,データベースを構築し,順次ホームページ上で公開していくことが必要ではないかと考えている。さらに,裁判所内部におけるOA化を推進することにより,将来的には,各庁ごとに判決データをすべてデータベースに保存していくことを考えており,これにより,検索等が容易化することから,外部からの閲覧,謄写の請求にも迅速に対応できることとなる。更に進んで,このデータベースへのアクセスを広く許すことについては,プライバシー(例えば,人事訴訟事件)や営業秘密を侵害しないか,謄写を利害関係人に限る現行法に抵触しないか,多数の判決を重要なものとそうでないものを未選別のままに公開することが利用者にとってかえって不便ではないかなどの検討すべき問題があると考えている。

平成17年以降の,成年後見関係事件の概況(家裁管内別件数)

目次
1 成年後見関係事件の概況(家裁管内別件数一覧)
2 管理継続中の本人数一覧表(家裁本庁,支部別/事件類型別内訳)
3 関連記事その他

1 成年後見関係事件の概況(家裁管内別件数一覧)
(令和時代)
令和 元年分令和 2年分令和 3年分
令和 4年分令和 5年分令和 6年分
令和 7年分,
(平成時代)
平成17年分平成18年分平成19年分
平成20年分平成21年分平成22年分
平成23年分平成24年分平成25年分
平成26年分平成27年分平成28年分
平成29年分平成30年分

* 「「成年後見関係事件の概況-令和5年1月~同年12月-」家裁管内別件数一覧」といったファイル名です。

2 管理継続中の本人数一覧表(家裁本庁,支部別/事件類型別内訳)
(令和時代)
令和元年12月末日令和2年12月末日
令和3年12月末日令和4年12月末日
令和5年12月末日,令和6年12月末日
(平成時代)
平成29年12月末日平成30年12月末日

* 「令和4年12月末日 管理継続中の本人数一覧表(家裁本庁,支部別/事件類型別内訳)」といったファイル名です。

3 関連記事その他
(1) 裁判所HPに「成年後見関係事件の概況」(平成12年4月以降の分)及び「後見制度支援信託等の利用状況等について(平成30年から)」が載っています。
(2) 後見開始の申立てをした場合,審判がされる前であっても,家庭裁判所の許可を得なければ,取り下げることができない(家事事件手続法121条1号)ところ,「成年後見の申し立ては、慎重の上にも慎重に(前編)」には以下の記載があります。
家族にとって想定外の出来事は、申し立てをした自分が後見人に選任されないということだけではない。
「一度申立書を出したら最後、後から取り下げることは不可能」という事実もその一つだ。
「見ず知らずの弁護士を後見人にされるぐらいだったら、後見人などいらない」と考えて申し立てを取り下げようとしても、家庭裁判所はそれを認めない。一方的に後見人を押し付けられてしまう。
(3) 消費者契約法8条の3(事業者に対し後見開始の審判等による解除権を付与する条項の無効)は以下のとおりです。
    事業者に対し、消費者が後見開始、保佐開始又は補助開始の審判を受けたことのみを理由とする解除権を付与する消費者契約(消費者が事業者に対し物品、権利、役務その他の消費者契約の目的となるものを提供することとされているものを除く。)の条項は、無効とする。
(4)ア 以下の資料を掲載しています。
・ 成年後見人等の選任及び報酬付与の在り方に関する文書(平成31年1月24日付の最高裁判所家庭局第二課長の書簡)
・ 後見等開始申立書等に関する統一書式等の電子データの送付について(令和元年5月31日付の最高裁判所家庭局第二課長の事務連絡)
・ 
未成年後見人選任申立書等及び任意後見監督人選任申立書等に関する統一書式等の電子データの送付について(令和2年6月29日付の最高裁判所家庭局第二課長の事務連絡)
・ 成年後見制度における診断書作成の手引 本人情報シート作成の手引(令和3年10月の最高裁判所家庭局の文書)
イ 以下の記事も参照してください。
・ 大阪家裁後見センターだより
・ 後見人等不正事例についての実情調査結果(平成23年分以降)

岡口基一裁判官に対する分限裁判

目次
第1 46期の岡口基一裁判官に対する懲戒請求,及びこれに関連する記事等
第2 最高裁大法廷平成30年10月17日決定(戒告),及び分限裁判に関連する記事等
第3 岡口基一裁判官は過去に2度,私的にツイートした内容に関し下級裁判所事務処理規則21条に基づく注意を受けていること等
第4 岡口事件に関する国会答弁
第5 裁判官訴追委員会関係
第6 34期の林道晴東京高裁長官に対する告発事件,審査申立事件及び訴追請求事件
第7 資料の掲載及び関連記事
第8 岡口基一裁判官のインタビュー及び出版
第9 弁護士会綱紀委員会において,弁護士の非行とまではいえないと判断されたツイート
第10 水戸地検検事正の暴行事件について処分はなかったこと
第11 関連記事その他

第1 46期の岡口基一裁判官に対する懲戒請求,及びこれに関する記事等
1 46期の岡口基一裁判官に対する懲戒請求
(1)ア 「分限裁判の記録 岡口基一」ブログに,岡口基一裁判官の分限裁判に関する書類が掲載されています
イ 平成30年9月27日付の東京高裁の司法行政文書不開示通知書によれば,「東京高裁が,岡口基一裁判官が管理している「分限裁判の記録」と題するブログに関して作成し,又は取得した文書」の存否を東京高裁が答えることはできません。
(2) 岡口基一裁判官が東京高等裁判所分限事件調査委員会に提出した,平成30年6月19日付の陳述書が「陳述書(東京高等裁判所分限事件調査委員会)」に載っています。
(3) 東京高等裁判所事務局長が東京高等裁判所分限事件調査委員会に提出した,平成30年7月4日付の陳述書が「申立人から疎明資料として「報告書」が提出されました 」に載っています。
(4)ア 岡口基一裁判官に対する懲戒申立書(平成30年7月24日付)の「申立ての理由」は以下のとおりみたいです(「懲戒申立書謄本です」参照)。
   被申立人は,裁判官であることを他者から認識できる状態で,ツイッターのアカウントを利用し,平成30年5月17日頃,東京高等裁判所で控訴審判決がされた犬の返還請求に関する民事訴訟についてのインターネット記事及びそのURLを引用しながら,「公園に放置されていた犬を保護し育てていたら,3か月くらい経って,もとの飼い主が名乗り出てきて,「返して下さい。」,「え?あなた?この犬を捨てたんでしょ?3か月も放置しておきながら・・」,「裁判の結果は・・」との投稿をインターネット上に公開して,上記訴訟において犬の所有権が認められた当事者(もとの飼い主)の感情を傷付けたものである。
イ 「懲戒申立書謄本です」には以下の記載があります。
   分限裁判は、非公開の手続なのですが、東京高裁当局は、私に事前に確認することもなく、この懲戒申立てをしたこと及びその内容を、記者レクで、マスコミにリークしてしまいました(しかも、私の夏季休暇中に)。
   そのため、この申立書の内容は、非公開どころか、全国ニュース及び大新聞で報道され、国民の多くが知るところになっています。
(5) 岡口基一裁判官が最高裁判所に提出した主張書面(平成30年8月30日付)が「最高裁に提出する主張書面 確定版です」に載っています。
(6)ア 平成30年9月11日の審問期日では,平成28年6月21日に岡口基一裁判官を厳重注意した34期の戸倉三郎最高裁判所判事を除く14人の最高裁判所裁判官が立ち会ったみたいです(「分限裁判の審問手続,終わりました。」参照)。
イ YouTubeに「【ノーカット】岡口基一裁判官、司法記者クラブ会見(2018.9.11)」が載っています。
ウ 平成30年10月19日付の司法行政文書不開示通知書によれば,平成30年9月11日の審問期日の際,戸倉三郎裁判官が回避した理由が分かる文書は存在しません。

2 懲戒請求に関連する記事等

(1) 岡口基一裁判官は「めぐちゃん事件」に関してツイートしたために懲戒請求されましたところ,現代ビジネスHP「置き去り犬「めぐちゃん事件」愛犬家の漫画家が憤った判決の理由」(平成30年6月2日付)が載っています。
(2) キャプチャーライフHP「放置された犬を保護して飼育 3カ月後に返還要求→また都合が悪くなったら捨てるだろうね。」が載っています。
(3) ヤフーニュースの「裁判官がSNS発信で懲戒?最高裁大法廷が判断へ…岡口基一判事「裁判を受ける国民の皆さんにとって悲劇」」の動画1分42秒目によれば,岡口基一裁判官がツイッターで引用した記事は,sippo HP「放置された犬を保護して飼育 3カ月後に返還要求、裁判に発展」みたいです。



第2 最高裁大法廷平成30年10月17日決定(戒告),及び分限裁判に関連する記事等
1   最高裁大法廷平成30年10月17日決定
(1) 岡口基一裁判官について戒告とした最高裁大法廷平成30年10月17日決定は,以下の判示をしています。
   裁判の公正,中立は,裁判ないしは裁判所に対する国民の信頼の基礎を成すものであり,裁判官は,公正,中立な審判者として裁判を行うことを職責とする者である。したがって,裁判官は,職務を遂行するに際してはもとより,職務を離れた私人としての生活においても,その職責と相いれないような行為をしてはならず,また,裁判所や裁判官に対する国民の信頼を傷つけることのないように,慎重に行動すべき義務を負っているものというべきである(最高裁平成13年(分)第3号同年3月30日大法廷決定・裁判集民事201号737頁参照)。
裁判所法49条も,裁判官が上記の義務を負っていることを踏まえて,「品位を辱める行状」を懲戒事由として定めたものと解されるから,同条にいう「品位を辱める行状」とは,職務上の行為であると,純然たる私的行為であるとを問わず,およそ裁判官に対する国民の信頼を損ね,又は裁判の公正を疑わせるような言動をいうものと解するのが相当である。
(2) 「懲戒の原因となる事実」は以下のとおりでした。
   被申立人は,平成30年5月17日頃,本件アカウントにおいて,東京高等裁判所で控訴審判決がされて確定した自己の担当外の事件である犬の返還請求等に関する民事訴訟についての報道記事を閲覧することができるウェブサイトにアクセスすることができるようにするとともに,別紙ツイート目録記載2の文言を記載した投稿(以下「本件ツイート」という。)をして,上記訴訟を提起して犬の返還請求が認められた当事者の感情を傷つけた。
   本件ツイートは,本件アカウントにおける投稿が裁判官である被申立人によるものであることが不特定多数の者に知られている状況の下で行われたものであった。
2 分限裁判に関連する記事等
(1) ニコニコニュースHP「岡口裁判官の分限裁判、9割の弁護士が「懲戒処分に該当しない」 326人緊急アンケート」(平成30年9月10日付)が載っています。
(2) TKCローライブラリーに東京地裁平成29年10月5日判決(放置された犬の飼養者に対する飼い主からの犬の返還請求が認められた事例),及び最高裁大法廷平成30年10月17日決定(裁判官がツイッター上で投稿をしたことについて戒告がなされた事例)が載っています。
(3) ウエストロージャパンHPに「第155号 ツイッター投稿における言動を理由とする裁判官の分限裁判~最高裁大法廷平成30年10月17日決定~」が載っています。
(4) 文春オンラインに「東京高裁“ブリーフ裁判官”の告白「なぜ、白ブリーフだったのか」」及び「「あいみょんを懲戒処分後に聴きました」“白ブリーフ判事”の数奇な人生」が載っています。
(5) 青年法律家協会弁護士学者合同部会HP「岡口基一判事に対する戒告処分に対し、強く抗議する決議」(平成30年12月1日付)が載っています。
(6) 東京臨安府―文月訟廷録ブログ(管理人は57期の元裁判官)に「岡口判事ツイート事件決定所感」(平成30年12月31日付)が載っています。
(7) 岡山弁護士会は,令和元年5月30日,裁判官の市民的自由を委縮させないように求める会長声明を出しました。

第3 岡口基一裁判官は過去に2度,私的にツイートした内容に関し下級裁判所事務処理規則21条に基づく注意を受けていること等
1   朝日新聞HPの「ツイッターで不適切投稿 岡口裁判官の懲戒を申し立て」(平成30年7月24日付)には以下の記載があります。
   個人のツイッターで不適切な投稿をしたとして、東京高裁は24日、高裁民事部の岡口基一裁判官(52)について、裁判官分限法に基づき、最高裁に懲戒を申し立てた。高裁への取材でわかった。最高裁が今後、分限裁判を開き、戒告や1万円以下の過料などの懲戒処分にするかどうかを決める。
   岡口裁判官は1994年任官し、2015年4月から現職。自身のツイッターに上半身裸の男性の写真などを投稿したとして、16年に高裁から口頭で厳重注意処分を受けた。今年3月にも、裁判所のウェブサイトに掲載されていた事件の判決文のリンク先を添付して投稿し、遺族側から抗議を受けて文書による厳重注意処分となっていた。ツイッターは現在凍結され、発信できない状態になっている。
2(1) 上記朝日新聞の報道内容は不開示情報である点で東京高裁職員にとって守秘義務の対象になる気がします(平成30年8月27日付の東京高裁の司法行政文書不開示通知書参照)が,東京高裁はなぜかマスコミ取材に回答したみたいです。
(2) 司法修習生の守秘義務については,「司法修習生の修習専念義務,兼業・兼職の禁止及び守秘義務」を参照して下さい。
3 遺族側から抗議を受けたという,裁判所のウェブサイトに掲載されていた事件の判決文は,下級裁判所判例集に掲載する裁判例の選別基準等について(平成29年2月17日付の最高裁判所事務総局の広報課長,総務局第一課長,民事局第一課長,刑事局第一課長,行政局第一課長及び家庭局第一課長事務連絡)に違反して掲載されていたものです(産経新聞HPの「東京高裁が遺族に謝罪 判決文を誤ってHP掲載」(平成30年2月2日付)参照)。


第4 岡口事件に関する国会答弁
   41期の堀田眞哉最高裁判所人事局長は,平成30年11月22日の参議院法務委員会において以下の答弁をしています。
   裁判官につきましても、SNSにおける表現の自由が保障されているということは当然であることは、ただいま委員から御指摘のあったとおりでございますが、裁判官は、職務を遂行するに際してはもとより、職務を離れた私人としての生活におきましてもその職責と相入れないような行為をしてはならず、また、裁判所や裁判官に対する国民の信頼を傷つけることのないように慎重に行動すべき義務を負っていると解されるところでございます。
   一般論として申し上げますと、裁判官がこのような義務に違反するような言動をした際には、裁判所法四十九条に言う品位を辱める行状に当たるものとして懲戒の対象となることがあり得るというふうに考えております。

第5 裁判官訴追委員会関係
1(1) 岡口基一裁判官は,平成31年3月4日,裁判官訴追委員会の事情聴取を受けました(分限裁判の記録ブログの「裁判官訴追委員会からの呼出状の原本です 歴史的な資料です 」参照)。
(2) 岡口基一裁判官が平成31年3月4日に国会の裁判官訴追委員会への出頭を要請されたことに関して,「「つぶやく自由」すらない裁判官に,市民の自由は守れない。○裁判官の表現の自由の尊重を求める弁護士共同アピール○」というHPが作成されています。
2 岡口基一裁判官は,①女性が殺害された事件に関するツイート(平成30年3月15日厳重注意),及び②犬の所有権を巡る裁判に関するツイート(平成30年10月17日戒告)の両方で,関係者から訴追請求されています(朝日新聞HPの「ツイッター投稿の裁判官、「犬の裁判」当事者も訴追請求」(平成31年3月18日付)参照)。
3 衆議院HPに「裁判官弾劾裁判所及び裁判官訴追委員会に関する資料」(平成25年5月に衆議院憲法審査会事務局が作成した資料)が載っています。
4 ヤフーニュースに「岡口基一・東京高裁判事のツイート「言論の自由」と「被害者の感情」とを巡る、国会訴追委の攻防(追記あり」(平成31年3月20日付)が載っています。
5 東京弁護士会は,令和元年9月9日,裁判官の市民的自由を萎縮させない対応を求める意見書をとりまとめ,最高裁判所及び裁判官訴追委員会に提出しました。

第6 34期の林道晴東京高裁長官に対する告発事件,審査申立事件及び訴追請求事件
1 告発事件 
(1) つづりまとめブログ(美和勇夫弁護士のブログ)「東京高裁長官の告発状・東京地検は受理,捜査開始か?」(平成30年11月9日付)が載っています。
(2) 分限裁判の記録ブログに「東京高裁長官らを被疑者とする脅迫等被疑事件 本日、被害者の事情聴取が行われました 」(平成30年11月22日付)が載っています。
(3) 告発事件については,「嫌疑なし」の不起訴処分となりました北口雅章法律事務所ブログ「岡口基一判事に対する強要未遂被疑事件が「嫌疑なし」だとぉ?」参照)。
2 審査申立事件
   東京高裁長官が平成31年1月30日付で不起訴処分となったことについて,検察審査会に対する審査申立てがされたみたいです(つづりまとめブログ(美和勇夫弁護士のブログ)「東京検察審査会に、特捜部 東京高裁長官・脅迫・強要・不起訴処分 不服の 申し立てをしました!」参照)。
3 訴追請求事件
   つづりまとめブログ(美和勇夫弁護士のブログ)「国会の訴追委員会に高裁長官、事務局長の罷免を求める訴追請求をしました」(平成31年2月27日付)が載っています。
4 弁護士が告発する際の注意義務
   平成19年10月14日発効の日弁連裁決(自由と正義2007年12月号198頁)には以下の記載があります。
   弁護士が告発をする場合は、弁護士は調査及び検討について一般人より高度の能力を有し、また弁護士法第1条及び第2条の趣旨は弁護士に対し被告発者の人権にも一般人以上に配慮することを求めているといえるから、弁護士には、告発の根拠の調査及び検討につき、一般人より高度な注意義務が課せられている。

第7 資料の掲載及び関連記事
1 掲載資料
① 東京高等裁判所分限事件調査委員会規程(昭和23年11月12日制定)
② 平成24年2月24日付の,インターネットを利用する際の服務規律の遵守について(最高裁判所事務総局人事局能率課)
③ 平成25年7月19日付の,インターネットを利用する際の服務規律の遵守について(最高裁判所事務総局人事局能率課)
④ 平成25年頃の最高裁の国際裁判官協会に対する回答書(裁判官の独立)
⑤ 平成26年頃の最高裁の国際裁判官協会に対する回答書(法廷内におけるメディア(ソーシャルメディアを含む)と司法の独立との関係)
2 関連記事
① 岡口基一裁判官に関する各種文書が不開示又は不存在となっていること
② 分娩裁判及び罷免判決の実例
③ 42期の山崎秀尚岐阜地家裁判事に対する懲戒処分(戒告)
④ 柳本つとむ裁判官に関する情報,及び過去の分限裁判における最高裁判所大法廷決定の判示内容

第8 岡口基一裁判官のインタビュー及び出版
1 現代ビジネスHP「岡口基一裁判官、独占インタビュー「言論の自由を封殺した最高裁へ」そして、驚くべき司法の内情について 」が載っています。
2 岡口基一裁判官は,分限事件に関し,平成31年3月28日付で「最高裁に告ぐ」を出版しました。

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岡口基一裁判官が,最高裁大法廷平成30年10月17日決定により戒告処分を受けたこと等について書いてあります。

第9 弁護士会綱紀委員会において,弁護士の非行とまではいえないと判断されたツイート
1 日弁連の平成30年弁護士懲戒事件議決例集(第21集)165頁ないし170頁によれば,下記1のツイートにつき,第二東京弁護士会綱紀委員会第1部会は平成29年までに下記2の理由により,日弁連綱紀委員会は平成30年11月28日に下記3の理由により,弁護士の非行とまではいえないと判断しました。
記1
①平成25年4月4日付け投稿(以下「本件投稿①」という。甲4)
   「本日4月4日はオカマの日なのだそうだ。昭和44年4月4日に生まれた人は今日で44歳になるのだと知人が教えてくれました。ちょっと感動しませんか。該当する人,おめでとうございます! !」

②平成26年6月1日付け投稿(以下「本件投稿②」という。甲5)
   「『デカい話」は嫌われる, というごもつともなお話でした。【日刊○○○】ケイバーで“デカい話”は禁物1?困った客たちの武勇伝」

③平成26年7月16日付け投稿(以下「本件投稿③」という。甲6)
   「ケイであることは何とも思わなかったが,○○○では慰安されなかったんだな,と思った自分の不謹慎さに呆れてしまいました。。。スポーツ選手のカミングアウトに賞賛の声!一○○○ニュース」

記2
   本件各投稿に不法行為が成立する前提として,懲戒請求者の権利を侵害するものであることが必要である。
   本件投稿①は,平成25年4月4日が「オカマの日」であること,昭和44年4月4日生まれであれば44歳になると事実を示した上で,対象弁護士が感動したなどと意見を述べるものと認められる。
   本件投稿②は,某雑誌記事について「もっともなお話でした。」との意見を述べているものと認められる。
   本件投稿③は,スポーツ選手のこれまで公にしていなかったことを自ら表明した行為,いわゆるカミングアウ卜したとの記事について「ケイであることは何とも思わなかったが,○○○では慰安されなかったんだな, と思った自分の不謹慎さに呆れてしまいました。。。」との意見を述べているものと認められる。
   懲戒請求者は本件各投稿が不法行為を構成すると主張するが, これを一般閲覧者の普通の注意と読み方を基準としてみて,表現方法が適切であるか否かは別論として,本件各投稿による事実摘示及び意見表明が懲戒請求者あるいは性的少数者の社会的評価を低下させると評価することはできない。
   そうすると,懲戒請求者の権利を侵害したと認めることができないので,本件各投稿に不法行為が成立したとは認められない。
記3
   当部会において改めて審査したところ,対象弁護士のツイッターによる投稿は,性的少数者に対する配慮を欠く内容でありSNSで広く閲覧可能であること等を考慮すれば問題のある所為といわざるを得ないが,異議申出人を含めた特定の人を対象とするものとは証拠上認められないこと,対象弁護士が反省していることに加え,言論について懲戒の対象とすることに謙抑的であるべきことなどを総合的に評価すればいまだ弁護士法の非行とまではいえない。
2 弁護士会の綱紀委員会では,ツイート内容が懲戒請求者又は性的少数者の社会的評価を低下させたかどうかを審理したのに対し最高裁大法廷平成30年10月17日決定は,ツイート内容が当事者の感情を傷つけたかどうかを審理しています。
   そのため,仮に弁護士会の綱紀委員会において,ツイート内容が懲戒請求者又は性的少数者の感情を傷つけたかどうかで弁護士の非行に該当するかどうかを判断していた場合,異なる結論になっていたかもしれません。
3 日弁連の弁護士懲戒事件議決例集は,一般の人でも購入できる書籍です(日弁連HPの「出版物 分類:業務-相談・倫理・研修・事故」参照)。

第10 水戸地検検事正の暴行事件について処分はなかったこと
   水戸地検検事正(当時)は,平成23年2月14日の夜,水戸市内のスナックで酒に酔い,居合わせた客や同地検次席検事(当時)ら4人に対し,マイクで頭を殴ったり,髪の毛を引っ張ったりしました。
   しかし,東京地検は,平成23年10月13日,暴行の事実はあったとした上で,「酒に酔った際の偶発的な事案で,被害者も処罰を望んでいない」として,起訴猶予にとどめました。
   また,職務時間外の行動でしたから,懲戒等の人事上の処分は行われませんでした(外部ブログの「水戸地検検事正(当時。現・最高検検事)が,たたく・蹴るの暴行して。不起訴。懲戒処分無し」参照)。

第11 関連記事その他
1 最高裁大法廷平成10年12月1日決定には,「裁判官の場合には、強い身分保障の下、懲戒は裁判によってのみ行われることとされているから、懲戒権者のし意的な解釈により表現の自由が事実上制約されるという事態は予想し難い」と書いてあります。
2 岡口基一裁判官は,最高裁大法廷令和2年8月26日決定により2度目の戒告処分を受けました。
3(1) 令和2年6月1日に改正動物愛護管理法が施行された結果,①動物の殺傷に関する罰則について,懲役刑の上限が2年から5年に,罰金刑の上限が200万円から500万円に引き上がり,②虐待及び遺棄に関する罰則について,100万円以下の罰金刑に1年以下の懲役刑が加わりました(環境省自然環境局の「動物の愛護と適切な管理 人と動物の共生をめざして」HP「令和元年に行われた法改正の内容」参照)。
(2) 令和3年7月29日付の大阪第三検察審査会の起訴相当議決には「猫を飼うということは新たな家族を迎え、その命を預かるということであり、その命は人間の命と何ら変わらない。」と記載されていたみたいです(公益財団法人動物環境・福祉協会Eva HP「大阪府飼い猫に火をつけ大やけどを負わせた虐待事件 告発状受理(2021年2月)」のほか,日弁連新聞574号(2022年1月号)4頁参照)。
4 以下の記事も参照してください。
・ 柳本つとむ裁判官に関する情報,及び過去の分限裁判における最高裁判所大法廷決定の判示内容
・ 裁判官の記録紛失に基づく分限裁判

地方裁判所支部及び家庭裁判所支部

目次
第1 総論
第2 地家裁支部の権限
第3 地家裁支部等の統合及び新設,並びに簡易裁判所の廃止及び新設
第3の2 1人支部及び非常駐支部の取扱い
第4 全国の地家裁支部の一覧(都道府県順)
第5 大規模支部及び中規模支部
第6 地家裁支部の設置及び家裁の受付出張所に関する国会答弁
第7 弁護士ゼロ・ワン支部
第8 合議事件取扱支部,労働審判取扱支部及び独立簡易裁判所に関する国会答弁
第9 最高裁判所主催の研修としての支部長研究会の資料
第10 臨時司法制度調査会意見書(昭和39年8月28日付)の記載
第11 裁判所支部に関する日弁連の考え方が分かるHP等
第12 弁護士会連合会(弁連)の要望事項
第13 関連記事その他


第1 総論

1(1) 裁判所法31条2項は「最高裁判所は、地方裁判所の支部に勤務する裁判官を定める。」と定めています。
(2) 支部勤務発令は最高裁判所裁判官会議の決議事項です(「裁判所の人事行政事務の実情について」第1.1(1)ウ)。
2 地方裁判所の支部は,裁判所法施行の際,経過的に裁判所法施行令7条によってその当時設置されていた各区裁判所の所在地に設けたものとされ,地方裁判所及び家庭裁判所支部設置規則(昭和22年12月20日最高裁判所規則第14号)においても原則として,この状態を引き継ぎ,家庭裁判所の支部も同一の地に設けられることとなりました(昭和39年8月28日付の臨時司法制度調査会意見書第八章参照)。
3 地方裁判所の支部は,地方裁判所の事務の一部を取り扱うため,本庁の所在地を離れて設けられたものですが,原則として,独立の司法行政権を与えられていませんから,それ自体司法行政官庁ではなく,司法行政官庁としての本庁に包摂され,外部に対しては本庁と一体をなすものであって,支部の権限,管轄区域は,裁判所内部の事務分配の基準にすぎません(最高裁昭和44年3月25日決定)。
4 地家裁支部に勤務する裁判官が一人のときは,その裁判官が支部長となります(下級裁判所事務処理規則3条1項)。
5(1)   地方裁判所の本庁と支部間,又は支部相互間の事件の回付は,訴訟法上の手続ではありませんから,回付の措置に対しては,当事者は,訴訟法に準拠する不服申立をすることはできません(最高裁昭和44年3月25日決定)。
(2) 一般に管轄とは,官署としての裁判所間の権限分掌の関係をいい,地方裁判所及び家庭裁判所支部設置規則等官署としての裁判所内部における事務分配の定めによる本庁,各支部間の事務分掌の関係をまで意味するものではなく,管轄の合意によって定められる裁判所も官署としての裁判所であると解されています(東京高裁昭和51年11月25日決定(判例秘書に掲載)参照)。
(3) 東弁リブラ2013年8月号「東京地裁書記官に訊く-交通部編-」(末尾4頁及び5頁)には以下の記載があります。

    土地管轄とは異なりますが,当事者双方の住所地及び交通事故発生場所が立川支部管内にあるにもかかわらず,当庁(本庁)に訴訟提起をされることがあります。これについても,当該事件に即して本庁で審理をする必要性を記載した上申書を提出してください(上申書の内容によっては原則どおり回付の措置をとることもあります)。


第2 地家裁支部の権限
1   地家裁支部は,簡裁の民事事件の判決に対する控訴事件(=レ号事件)及び行政訴訟事件を取り扱うことはできません(地家裁支部設置規則1条2項)。
2   レ号事件は必ず合議事件となります(裁判所法26条2項3号)し,行政訴訟事件は通常,合議事件となります(裁判所法26条2項1号参照)。
3 平成2年4月1日,改正後の地家裁支部設置規則1条(地裁)及び2条(家裁)が施行された結果,権限甲号の支部(=合議事件取扱支部)及び権限乙号の支部(=合議事件非取扱支部)の区別が廃止されました。
   しかし,そのときに追加された地家裁支部設置規則3条1項(地裁)又は2項(家裁)に基づき,旧乙号支部における合議事件に関する事務を引き続き本庁又は旧甲号支部に取り扱わせることができるようになりました。
   そのため,合議事件を取り扱う支部であるかどうかは現在,それぞれの地家裁の裁判官会議決議に基づく事務分配という形で決まっています。
4 地家裁支部には庶務課が設置され(下級裁判所事務処理規則24条2項),庶務課長の上司は本庁の事務局長となります(下級裁判所事務処理規則24条8項参照)。


第3 地家裁支部等の統合及び新設,並びに簡易裁判所の廃止及び新設
1 地家裁支部及び家裁出張所の廃止及び新設
(1) 昭和63年5月1日,96庁の家裁出張所のうち37庁が廃止された結果,家裁出張所は59庁となりました。
(2)ア 平成2年4月1日,242庁の地家裁支部のうち,41庁が廃止された(外部ブログの「裁判所~廃止された裁判所」参照)結果,地家裁支部は201庁となりました。
   その反面,20庁の家裁出張所が新設された結果,家裁出張所は79庁となりました。
イ 廃止された乙号支部管内の市町村の数は昭和63年5月1日現在で262であり,管内の人口は昭和62年3月31日現在で約315万人でした(平成2年3月27日の衆議院法務委員会における12期の金谷利廣最高裁判所総務局長の答弁参照)。
ウ 平成2年4月1日付で廃止された地家裁支部に併設されていた簡易裁判所はそのまま存続しました(平成2年3月29日の参議院法務委員会における12期の金谷利廣最高裁判所総務局長の答弁参照)。
エ 日弁連HPに「41庁の地家裁支部の廃止にあたって」(平成元年12月14日付の日弁連会長のコメント)が載っています。
(3) 平成5年4月1日,札幌家裁苫小牧(とまこまい)出張所に代えて,札幌地家裁苫小牧支部が新設されました。
   その結果,地家裁支部は202庁となり,家裁出張所は78庁となりました。
(4) 平成6年4月1日,横浜家裁相模原(さがみはら)出張所に代えて,横浜地家裁相模原支部が新設されました。
   その結果,地家裁支部は203庁となり,家裁出張所は77庁となりました。
2 簡易裁判所の廃止及び新設
(1)ア  下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律(昭和62年9月11日法律第90号)に基づき,昭和63年5月1日,575庁の簡易裁判所のうち,小規模の独立簡易裁判所(略称は「独簡」です。)101庁が廃止され,事務移転庁が21庁廃止されました(外部ブログの「裁判所~廃止された簡易裁判所」参照)。
   ただし,統廃合された簡裁等の管轄区域のうち81か所において出張事件処理が実施されていたものの,平成20年12月18日時点で,そのうち41か所が廃止され,40か所(実施庁数35)の出張事件処理が存続していました(日弁連HPの「簡易裁判所及び家庭裁判所の出張事件処理について(意見)」参照)。
イ 昭和63年5月1日付で廃止された簡易裁判所にいた職員は約280人であり,そのうちの約130人は廃止簡易裁判所の土地管轄を引き継いだ受入簡易裁判所に配置され,約70人は受入簡易裁判所以外の,忙しい簡易裁判所に配置され,約80人は忙しい地家裁支部に配置されました(平成2年3月29日の参議院法務委員会における12期の金谷利廣最高裁判所総務局長の答弁参照)。
ウ 101庁の独立簡易裁判所が廃止された時点で,対応する区検察庁のほとんどは事実上すでに店をたたんでいて,最寄りの区検察庁で事務を処理したり,最寄りの区検察庁から出張して事務を処理したりしていました(「秋霜烈日-検事総長の回想」100頁参照)。
エ 最高裁総務局・人事局各課長,参事官を囲む(昭和61年5月23日開催分)には,小規模簡裁の集約基準に関して,「裁判所が考えております基準は要するに事件数と隣接簡裁への所要時間という二つの要素を基本として一二〇件・六〇分以内、これは民訴、刑訴、調停各事件の年間新受件数ですが、それから六〇件・一二〇分以内、一二件以下のところについては日帰り可能な範囲、以上のようなグループについては集約を検討する」と書いてあります(全国裁判所書記官協議会会報96号・13頁)。
オ 大阪地裁管内の場合,都島簡裁,東淀川簡裁及び西成簡裁は,昭和22年5月3日の設立当初から大阪簡裁に事務移転していました。

(2) 平成4年1月1日,所沢簡裁が新設されました。
(3) 平成5年4月1日,大阪市内の3簡裁(生野簡裁,西淀川簡裁及び阿倍野簡裁)が大阪簡裁に集約されました。
(4) 平成5年4月8日,名古屋市内の2簡裁(愛知中村簡裁及び昭和簡裁)が名古屋簡裁に集約されました。
(5) 平成6年9月1日,都内11簡裁(新宿簡裁,台東簡裁,墨田簡裁,大森簡裁,渋谷簡裁,中野簡裁,豊島簡裁,東京北簡裁,足立簡裁,葛飾簡裁及び江戸川簡裁)が東京簡裁に集約されました。
(6) 平成8年4月1日,町田簡裁が新設されました。
(7) 平成23年4月22日,福島富岡簡裁の事務が当分の間,裁判所法38条に基づき,いわき簡裁及び郡山簡裁に事務移転しました(福島地裁HPの「平成23年4月18日 福島地方裁判所からのお知らせ(福島富岡簡易裁判所の事務移転)」参照)。


3 簡裁及び区検発足時の経緯
・ 「秋霜烈日-検事総長の回想」101頁には以下の記載があります。
    昭和二十二年に簡裁が発足するとき、各種令状請求の便宜を考え、おおむね警察署二署に対して一つあたりの簡裁がつくられた。全く新しい裁判所であるため、建設敷地の多くは、地元市町村の寄付に頼っている。やがて、簡裁のそばに区検をつくることになり、また市町村に寄付を頼みに行ったが、もう寄付したではないかといって断られることが多かったという。戦前は、検事局は裁判所の中に同居していたのだから、裁判所を建てるための寄付といわれれば、当然検察庁も入るものと思われたのであろう。だから、区検の庁舎には、みすぼらしいものが少なくなかった。また、そういう区検に限って過疎地にあり、昭和四十年代の初めには、もう警察がよそに移って、簡裁管内に一つしかない、あるいは一つもないというようなことになっていた。
4 矢口洪一 元最高裁判所長官の回想
・ 最高裁判所とともに(著者は高輪1期の矢口洪一 元最高裁判所長官)121頁には以下の記載があります。
    退官時、大法廷に二つ審理中の事件があったほか、やり残した仕事も多かったが、懸案だった全国の地・家裁支部、簡裁の配置の見直しでも、関係する法律や最高裁規則の改正が実現した。
    明治以来の人口分布や産業配置に対応して設けられた地・家裁支部と戦後そのままの簡裁の配置を見直したのである。地・家裁四一の支部を廃止する一方、苫小牧、相模原に新たに支部が設けられ、一二三の簡裁が統合されて町田、所沢に簡裁が新設されることになった。法曹三者の協力が可能にした事業であったことはいうまでもない。
5 独立簡易裁判所に関する国会答弁
・ 40期の中村慎最高裁判所総務局長は,平成28年3月16日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています。
 裁判所も国の予算で運営される公的な機関ということで、業務量に見合った人の配置ということを考えていく必要があります。
 これまで書記官、事務官合わせて三人の配置であった独立簡易裁判所につきまして、特に事件の少ない庁につきまして、人員の有効活用の観点から、利用者に対する司法サービスの低下につながるおそれがないかどうか、職員の休暇時や緊急時の応援体制等を的確に組むことができるかどうかといった業務体制の観点も踏まえつつ、事件処理に支障がないよう配慮した上で、二人庁、二人による執務体制をとることとしたものでございます。
 このような二人による執務体制をとっている庁は、全国独立簡裁百八十五庁のうち、昨年四月一日現在で二十八庁でございます。


第3の2 1人支部及び非常駐支部の取扱い
1 1人支部の取扱い
(1) 下級裁判所事務処理規則3条1項は「高等裁判所、地方裁判所又は家庭裁判所の各支部に勤務する裁判官が一人のときは、その裁判官を支部長とし、二人以上のときは、最高裁判所がそのうちの一人に支部長を命ずる。 」と定めています。
(2) 一人支部の場合,最高裁人事において「支部長」という肩書は付いていません。
 支部に勤務する裁判官が一人の場合,その裁判官が当然に支部長となるために最高裁が支部長を命ずる必要がないからかもしれません。
2 非常駐支部の取扱い
・ 例えば,徳島地裁の阿南支部及び美馬支部は裁判官が常駐していない支部であります(日弁連HPの「全国各地に裁判官、検察官の常駐を! 裁判官、検察官ゼロ支部の早期解消を目指して」参照)。
 そして,徳島地裁の平成31年度事務分配の場合,阿南支部の裁判事務も担当している66期の安藤巨騎裁判官,及び美馬支部の裁判事務も担当している60期の園部伸之裁判官は本庁との兼任になっているため,事務分配の上では支部長代理となっていますし,最高裁人事の上では支部勤務とはなっていません。


第4 全国の地家裁支部の一覧(都道府県順)
・ 全国の地家裁支部を都道府県順に並べた場合,以下のとおりです。
1 北海道
札幌地家裁:岩見沢支部・室蘭支部・小樽支部・滝川支部・浦河支部・岩内支部・苫小牧支部
函館地家裁:江差支部
旭川地家裁:名寄支部・紋別支部・留萌支部・稚内支部
釧路地家裁:帯広支部・網走支部・北見支部・根室支部
2 青森県
青森地家裁:弘前支部・八戸支部・五所川原支部・十和田支部
3 岩手県
盛岡地家裁:一関支部・花巻支部・二戸支部・遠野支部・宮古支部・水沢支部
4 宮城県
仙台地家裁:古川支部・石巻支部・大河原支部・登米支部・気仙沼支部
5 秋田県
秋田地家裁:大館支部・横手支部・大曲支部・能代支部・本荘支部
6 山形県
山形地家裁:米沢支部・鶴岡支部・酒田支部・新庄支部
7 福島県
福島地家裁:郡山支部・白河支部・会津若松支部・いわき支部・相馬支部
8 茨城県
水戸地家裁:土浦支部・下妻支部・日立支部・龍ケ崎支部・麻生支部
9 栃木県
宇都宮地家裁:栃木支部・足利支部・真岡支部・大田原支部
10 群馬県
前橋地家裁:桐生支部・高崎支部・沼田支部・太田支部
11 埼玉県
さいたま地家裁:川越支部・熊谷支部・越谷支部・秩父支部
12 千葉県
千葉地家裁:松戸支部・木更津支部・八日市場支部・佐倉支部・一宮支部・館山支部・佐原支部
13 東京都
東京地家裁:立川支部
14 神奈川県
横浜地家裁:川崎支部・横須賀支部・小田原支部・相模原支部
15 新潟県
新潟地家裁:新発田支部・長岡支部・高田支部・三条支部・佐渡支部
16 富山県
富山地家裁:高岡支部・魚津支部
17 石川県
金沢地家裁:七尾支部・小松支部・輪島支部
18 福井県
福井地家裁:武生支部・敦賀支部
19 山梨県
甲府地家裁:都留支部
20 長野県
長野地家裁:上田支部・松本支部・諏訪支部・飯田支部・佐久支部・伊那支部
21 岐阜県
岐阜地家裁:大垣支部・高山支部・多治見支部・御嵩支部
22 静岡県
静岡地家裁:沼津支部・浜松支部・富士支部・下田支部・掛川支部
23 愛知県
名古屋地家裁:一宮支部・岡崎支部・豊橋支部・半田支部
24 三重県
津地家裁:四日市支部・松阪支部・伊賀支部・伊勢支部・熊野支部
25 滋賀県
大津地家裁:彦根支部・長浜支部
26 京都府
京都地家裁:舞鶴支部・園部支部・宮津支部・福知山支部
27 大阪府
大阪地家裁:堺支部・岸和田支部
28 兵庫県
神戸地家裁:尼崎支部・姫路支部・豊岡支部・洲本支部・伊丹支部・明石支部・柏原支部・社支部・龍野支部
29 奈良県
奈良地家裁:葛城支部・五條支部
30 和歌山県
和歌山地家裁:田辺支部・御坊支部・新宮支部
31 鳥取県
鳥取地家裁:米子支部・倉吉支部
32 島根県
松江地家裁:出雲支部・浜田支部・益田支部・西郷支部
33 岡山県
岡山地家裁:津山支部・倉敷支部・新見支部
34 広島県
広島地家裁:呉支部・尾道支部・福山支部・三次支部
35 山口県
山口地家裁:岩国支部・下関支部・周南支部・萩支部・宇部支部
36 徳島県
徳島地家裁:阿南支部・美馬支部
37 香川県
高松地家裁:丸亀支部・観音寺支部
38 愛媛県
松山地家裁:西条支部・宇和島支部・大洲支部・今治支部
39 高知県
高知地家裁:須崎支部・安芸支部・中村支部
40 福岡県
福岡地家裁:飯塚支部・久留米支部・小倉支部・直方支部・柳川支部・大牟田支部・八女支部・行橋支部・田川支部
41 佐賀県
佐賀地家裁:唐津支部・武雄支部
42 長崎県
長崎地家裁:佐世保支部・大村支部・島原支部・平戸支部・壱岐支部・五島支部・厳原支部
43 熊本県
熊本地家裁:八代支部・玉名支部・山鹿支部・阿蘇支部・人吉支部・天草支部
44 大分県
大分地家裁:中津支部・杵築支部・佐伯支部・竹田支部・日田支部
45 宮崎県
宮崎地家裁:都城支部・延岡支部・日南支部
46 鹿児島県
鹿児島地家裁:名瀬支部・加治木支部・知覧支部・川内支部・鹿屋支部
47 沖縄県
那覇地家裁:沖縄支部・平良支部・石垣支部・名護支部


第5 大規模支部及び中規模支部
1 大規模支部

(1) 大規模支部とは,支部長とは別に部総括が置かれる支部(14支部)をいうものとした場合,大規模支部は以下のとおりです。
東京高裁管内:立川支部,川崎支部,小田原支部,川越支部,松戸支部,沼津支部及び浜松支部(7支部)
大阪高裁管内:堺支部,尼崎支部及び姫路支部(3支部)
名古屋高裁管内:岡崎支部(1支部)
福岡高裁管内:久留米支部,小倉支部及び佐世保支部(3支部)
(2) 本ブログでは,大規模地家裁支部長までを幹部裁判官としています。
(3) 地家裁所長経験者が就任するポストは東京地家裁立川支部長だけです。
(4) 法務省文書決裁規程(平成元年11月14日法務大臣訓令)4条及び別表によれば,検察庁の場合,立川,川崎,沼津,堺,姫路,岡崎及び小倉の地検支部長(7支部)の人事の決裁者は法務大臣であるのに対し,その余の地検支部長の人事の決裁者は法務事務次官です。
2 中規模支部
・ 中規模支部とは,恒常的に部総括経験者が就任する支部(13支部)をいうものとした場合,中規模支部は以下のとおりです。
東京高裁管内:相模原支部,熊谷支部,越谷支部,土浦支部及び高崎支部(5支部)
大阪高裁管内:岸和田支部及び葛城支部(2支部)
名古屋高裁管内:一宮支部,豊橋支部及び四日市支部(3支部)
広島高裁管内:呉支部及び福山支部(2支部)
福岡高裁管内:沖縄支部(1支部)


第6 地家裁支部の設置及び家裁の受付出張所に関する国会答弁
1 地家裁支部の設置に関する国会答弁
・ 40期の中村慎最高裁判所総務局長は,平成27年5月22日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリングを追加しました。)。
① 支部の配置を含めました裁判所の配置は、人口動態、交通事情、事件数の動向、あるいはIT技術の進展等も考慮しながら、裁判所へのアクセス、提供する司法サービスの質等を総合した、国民の利便性を確保するという見地から検討していかなければならない問題だと承知しているところでございます。
   現在、委員御指摘のとおり、複数の地域におきまして、裁判所の支部設置の要望が出されていることは承知しているところでございます。
   今申し上げました観点からいたしますと、直ちに新たな支部を設置したり、廃止した支部を復活させなければならないという状況にあるものとは考えておりません。
   もっとも、今後とも、事件動向や、人口、交通事情の変化、IT技術等を注視しながら、必要があれば、支部の新設、統廃合を含めまして、裁判所の配置について見直しを行ってまいりたいというふうに考えております。
② (注:裁判所支部の増設に関する)比較的最近の例を二例お答えいたします。
   昭和四十七年に沖縄県が我が国に復帰したことに伴いまして、那覇地方・家庭裁判所の支部として、コザ支部、名護支部、平良支部、石垣支部の四つの支部が設置されました。コザ支部については、名称は今、沖縄支部と変更されております。
   その次の新設でございますが、平成二年四月に全国的な地家裁支部の配置の見直しを実施いたしました際に、札幌地家裁苫小牧支部、横浜地家裁相模原支部を新設することを決定しました。なお、実際に開庁したのは、苫小牧支部が平成五年、相模原支部が平成六年でございます。
③ 平成二十六年六月に、市川市、船橋市、浦安市の各市議会で、支部の設置を求める意見書が可決されております。京葉地区は、人口が多い地域であるにもかかわらず、司法基盤が人的、物的に不十分、未整備であるという指摘がその意見書の中でされているということは承知しているところでございます。
(中略)
   現時点におきまして、現状の京葉地区の千葉本庁までの交通事情を鑑みますと、他の地域に比較した場合に不便であるという実情にあるとまでは言えないというふうに考えております。
   いずれにいたしましても、最高裁といたしましては、今申し上げましたような観点から諸事情を注視いたしまして、必要があれば、支部の新設等を考慮していくということになろうと思います。
2 家裁の受付出張所に関する国会答弁
(1) 40期の中村慎最高裁判所総務局長は,平成29年3月31日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリングを追加しました。)。
① いわゆる受け付け出張所、これは受け付けとそれから家事事件の出張審判、出張調停に限って取り扱っている出張所でございますが、これは全国の家庭裁判所の出張所七十七カ所のうち二十カ所がそういう受け付け出張所ということでございます。
   これらの二十カ所の受け付け出張所は、平成二年の四月に地家裁支部の適正配置を行った際に廃止された家裁支部の一部について、さまざまな要因を考慮してその所在地に新設したものでございまして、その後、数は変わっておりません。
② 具体的な場所について申し上げましょうか。(畑野委員「お願いします」と呼ぶ)
   具体的な二十カ所について申し上げますが、前橋家裁中之条出張所、長野家裁飯山出張所、長野家裁木曾福島出張所、長野家裁大町出張所、新潟家裁村上出張所、新潟家裁柏崎出張所、新潟家裁南魚沼出張所、新潟家裁糸魚川出張所、和歌山家裁妙寺出張所、岐阜家裁郡上出張所、福井家裁小浜出張所、富山家裁砺波出張所、山口家裁柳井出張所、岡山家裁笠岡出張所、松江家裁雲南出張所、福岡家裁甘木出張所、大分家裁豊後高田出張所、熊本家裁御船出張所、宮崎家裁高千穂出張所、そして函館家裁寿都出張所の二十カ所でございます。
③ 委員御指摘のとおり、藤沢市議会など、簡易裁判所に家庭裁判所出張所の設置を求める意見が出されていることは最高裁としても承知しているところでございます。
   家裁の出張所というのは全国七十七カ所あるわけですけれども、一方、全国、簡易裁判所は四百三十八庁あります。この数が違うというところにつきましては、家裁の場合は、簡裁のように簡裁事件のみを行う権限を有する簡裁判事という職種がない関係で、判事、判事補が本庁または支部から出張して事件を処理するということになりますので、出張所の新設ということにつきましては、本庁または支部までのアクセスの困難性を中心に、事件数の動向等を考慮して慎重に検討していく必要があるんだろうというふうに考えております。
   いずれにいたしましても、最高裁といたしましては、限られた人的、物的資源を有効に活用しつつ、利用者の利便を確保し、地方サービスを充実していくことが重要であるというふうに考えておりまして、全国各地域におきまして、人口動態、交通事情、事件数の動向等の観点を注視しつつ、必要な事件処理体制の整備に努めてまいりたいと考えているところでございます。


(2) 42期の村田斉志最高裁判所家庭局長は,平成29年3月31日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリングを追加しました。)。
① 受け付けのみを取り扱う家庭裁判所出張所におきましても、成年後見関係事件の申し立てを受理することはできます。
   その後の審理につきましては、個別の事案に応じて裁判官が判断することにはなりますが、一般論として申し上げますと、家庭裁判所において成年後見関係事件を処理する際には、必ず当事者の方などに裁判所にお越しいただかなければならないというわけではございませんで、現に書面のみで審理している事件も少なくないというふうに認識をしております。
② なお、裁判官が、書面による審理のみでは十分ではないということで、直接当事者の方などからお話を伺う必要があると判断した事案におきましては、事件を取り扱う裁判所にお越しいただくということももちろんございますけれども、当事者の方に裁判所にお越しいただくことが困難な事情があるというような場合には、裁判官が出張してお話をお伺いするといった対応も可能でございますので、現在受け付けしか行わない家裁出張所の管内にお住まいの方の事件処理においても、不都合は生じていないというふうに認識をしております。


第7 弁護士ゼロ・ワン支部
1 弁護士ゼロ・ワン支部とは,地家裁支部管轄区域を単位として,登録弁護士が全くいないか,1人しかいない地域をいいますところ,法務省の法曹養成制度改革連絡協議会の第8回協議会(平成29年10月11日開催)資料1-4「弁護士ゼロ・ワン地方裁判所支部数の変遷等」によれば,以下のとおりです。

① 弁護士ゼロ支部数の変遷

平成 5年 7月:50個,平成 8年 4月:47個,平成 9年 4月:40個
平成10年 4月:43個,平成11年 4月:39個,平成12年 4月:35個
平成13年10月:31個,平成14年10月:25個,平成15年10月:19個
平成16年10月:16個,平成17年10月:10個,平成18年10月: 5個
平成19年10月: 3個,平成20年10月: 0個,平成21年10月: 2個
平成22年10月: 0個,平成23年10月: 0個,平成24年10月: 0個
平成25年10月: 0個,平成26年10月: 0個,平成27年10月: 0個
平成28年10月: 0個

② 弁護士ワン支部数の変遷
平成 5年 7月:24個,平成 8年 4月:31個,平成 9年 4月:32個
平成10年 4月:30個,平成11年 4月:34個,平成12年 4月:36個
平成13年10月:33個,平成14年10月:36個,平成15年10月:39個
平成16年10月:35個,平成17年10月:37個,平成18年10月:33個
平成19年10月:24個,平成20年10月:20個,平成21年10月: 9個
平成22年10月: 5個,平成23年10月: 2個,平成24年10月: 2個
平成25年10月: 1個,平成26年10月: 1個,平成27年10月: 1個
平成28年10月: 1個
2 40期の小山太士法務省大臣官房司法法制部長は,平成29年4月11日の参議院法務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリングを追加しました。)。
① 委員御指摘の民事訴訟の事件数の増減でございますけれども、訴訟の事件数の増減は、国民が紛争解決のため司法を活用しているかどうかの一つの指標ではあるかとは思いますが、法律的な問題の解決に裁判外の手続などもあるところもございまして、訴訟事件数の増減自体を一定の方向で評価することについては様々な御意見もあるのではないかと思っております。
   このため、政府として民事訴訟の事件数そのものを増加させることを直接の目的とする施策はこれまで講じてはおりませんけれども、一方で、この利用を促進するという意味で、国民の司法アクセスを一層向上させるための取組が必要であるとの観点から施策を講じております。
② 例を挙げさせていただきますと、法テラス、日本司法支援センターの司法過疎地域事務所の設置等による司法アクセスの向上の取組というのがございます。その結果、地方裁判所支部の管轄単位、これは二百三か所全国にございますが、ここで弁護士が全くいないか一人しかいない地域、これは弁護士ゼロワン地域と言われておりますけれども、これが平成十六年十月当時には五十一か所、これはゼロが十六か所、ワンが三十五か所ございましたが、平成二十年十月には合計二十か所、ゼロはゼロか所、ワンが二十か所となりまして、平成二十九年四月には合計二か所、これはゼロがゼロか所、ワンが二か所まで減少しているところでございます。
   政府といたしましては、今後ともこのような司法アクセス向上のための必要な取組を行ってまいりたいと考えております。




第8 合議事件取扱支部,労働審判取扱支部及び独立簡易裁判所に関する国会答弁

1 合議事件取扱支部に関する国会答弁
・ 40期の中村慎最高裁判所総務局長は,平成28年3月16日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリングを追加しました。)。
①   現在、地方裁判所の支部二百三庁のうち百四十庁につきましては、支部で合議事件を扱っていないというところでございまして、そのような合議事件を扱っていない支部について今議員御指摘のような要望が出ている、これは承知しているところでございます。
   合議事件を支部で扱うかどうかにつきましては、手続上は最高裁判所規則に基づきまして各裁判所が決めるということになりますが、支部において合議事件を取り扱うかどうかは、体制整備あるいは全国的状況を検討する必要があることから、最高裁においても検討しているという状況にございます。
② 最高裁といたしましては、合議を取り扱っていない各支部における事件数の動向、最寄りの合議取り扱い庁へのアクセス等を考慮すれば、合議事件の取り扱いをする支部を増加させる必要は今の時点ではないというふうに考えているところでございます。

2 労働審判取扱支部に関する国会答弁
・ 37期の菅野雅之最高裁判所民事局長は,平成28年3月16日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリングを追加しました。)。
① 労働審判事件につきましては、現在、全国の地裁本庁のほか、東京地裁立川支部と福岡地裁小倉支部において取り扱っております。
   最高裁におきましては、日弁連との意見交換を重ねるなどする中で、労働審判事件取り扱い支部拡大の要望を認識してきたところですが、予想される労働審判事件数や本庁に移動するための所要時間等の利便性を基本としつつ、事務処理体制、労働審判事件の運用状況及び労働審判員の安定的な確保を含めた地域的事情、こうしたものを総合的に勘案しながら検討を行いまして、結論といたしまして、静岡地裁浜松支部、長野地裁松本支部、広島地裁福山支部において、平成二十九年四月から労働審判事件の取り扱いを開始することができるよう準備を開始することといたしました。
② 労働審判事件につきまして、委員から今御指摘いただいたとおり、ただいま申し上げた三支部以外の支部での取り扱いを求める要望があることは認識してございます。
   ただ、ただいま申し上げましたとおり、予想される労働審判事件数、それから本庁に移動するための所要時間等を基本としつつ、事務処理体制、労働審判事件の運用状況、それから労働審判員の安定的な確保といった事情を総合的に勘案して、継続的に検討を行った結果として、さきの三支部での取り扱いができるよう準備を開始することとしたものでございます。
   もっとも、労働審判事件を支部で取り扱うかは、新たに労働審判事件を取り扱うことになるさきの三支部における具体的な運用状況ですとか、あるいはその他の庁の運用状況等によるところだと考えております。
   今後、これらの三支部を初めとする各地における労働審判事件の運用状況等を十分に注視してまいりたいというふうに考えております。

3 独立簡易裁判所に関する国会答弁
・ 40期の中村慎最高裁判所総務局長は,平成28年3月16日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリングを追加しました。)。
①   裁判所も国の予算で運営される公的な機関ということで、業務量に見合った人の配置ということを考えていく必要があります。
   これまで書記官、事務官合わせて三人の配置であった独立簡易裁判所につきまして、特に事件の少ない庁につきまして、人員の有効活用の観点から、利用者に対する司法サービスの低下につながるおそれがないかどうか、職員の休暇時や緊急時の応援体制等を的確に組むことができるかどうかといった業務体制の観点も踏まえつつ、事件処理に支障がないよう配慮した上で、二人庁、二人による執務体制をとることとしたものでございます。
②   このような二人による執務体制をとっている庁は、全国独立簡裁百八十五庁のうち、昨年四月一日現在で二十八庁でございます。


第9 最高裁判所主催の研修としての支部長研究会の資料
・ 最高裁判所主催の研修としての支部長研究会の資料を以下のとおり掲載しています。
(令和時代)
令和元年度令和2年度令和3年度
令和4年度
令和5年度令和6年度
(平成時代)
平成27年度平成29年度平成30年度

第10 臨時司法制度調査会意見書(昭和39年8月28日付)の記載
   臨時司法制度調査会意見書(昭和39年8月28日付)の決議要目には以下の記載があります。
第八 裁判所の配置等
 一 高等裁判所支部の廃止
   高等裁判所の支部を原則として廃止すること。
 二 地方裁判所・家庭裁判所支部の整理統合
   地方裁判所及び家庭裁判所の支部を整理統合して、甲号、乙号の別を廃し、現在の乙号支部を原則として廃止すること。
 三 簡易裁判所の名称の変更
   簡易裁判所の名称を「区裁判所」(仮称)に改めること。
 四 簡易裁判所の整理統合
   人口、交通事情等の社会事情の著しい変動に伴い、簡易裁判所を整理統合することを考慮すること。
 五 簡易裁判所の事務移転
   最高裁判所は、簡易裁判所の調停を除く事務の全部又は一部を他の簡易裁判所に取り扱わせることができるものとすること。
2 臨時司法制度調査会意見書本文には以下の記載があります。
(156頁及び157頁の記載)
(高等裁判所支部の廃止、地方裁判所・家庭裁判所支部の整理統合)
    高等裁判所の支部は、戦後の交通の不便、当時の経済事情等を考慮し、昭和二三年から昭和二四年にかげて設けられたものであるが、現在(山中注:昭和39年8月時点)においては、すでに社会事情も著しい変化を遂げ、交通事情も好転しているので、なおこれらを存置する必要があるかどうかが問題となる。
    また、地方裁判所の支部は、裁判所法施行の際、経過的に裁判所法施行令によってその当時設置されていた各区裁判所の所在地に設けたものとされ、地方裁判所及び家庭裁判所支部設置規則においても、原則として、この状態を引き継ぎ、家庭裁判所の支部も同一の地に設けられることとなったものであるが現在、これらの支部のうち、特に権限乙号のものについては、事件数が少なく、限られた裁判官数をもつてしては、これにあまねく裁判官を配置することが必ずしも合理的でないため、裁判官が配置されていない庁が相当の数にのぼり、また、合議体を構成するに足りる員数の裁判官が配置されていない権限甲号の支部も相当数ある。その結果、これらの裁判官が配置されていない庁等における事件処理のために、他の庁(本庁又は他の支部)から出張する裁判官の時間的な損失も無視することができず、これらは訴訟を遅延させる原因ともなつている。

    そこで、裁判所全体の配置を適正化し、事務処理の能率、適正化を図る見地から(イ)高等裁判所の支部を廃止すること及び(ロ)地方裁判所及び家庭裁刺所の支部については、権限による区別を廃し、かつ、現在の権限乙号の支部は、一部事件数の多いものを除いて廃止するとともに、権限甲号の支部のうち事件数の少ないものを廃止して、整理統合を図ることが適当ではないかという問題があるが、この問題については、他面、国民の利便を十分考慮して慎重に決定されるべきであるという要請も忘れてはならない。
(161頁の記載)
(地方裁判所。家庭裁判所支部の整理統合)
    審議の過程においては、本項の趣旨に格別の反対意見はなかった。
    簡易裁判所の事物管輔が拡張された暁においては、支部における事件数、ことに権限乙号の支部におけるそれは相当程度減少することが予想される点をも考慮し、当調査会は、前記問題の所在に摘記した趣旨で、本項の結論に従った施策を講ずることを相当と認め、全員の一致した意見により、前記結論のこのとおり決定した。

第11 裁判所支部に関する日弁連の考え方が分かるHP等
1 裁判所支部に関する日弁連の考え方につき,日弁連裁判官制度改革・地域司法計画推進本部の以下のHP等が参考になります。
① 「裁判官・検察官の大幅増員を目指して」と題するHP
② 「地域に根ざした法曹の人的・物的施設の拡充を目指して」と題するHP
③ パンフレット「裁判官を増やそう」
④ パンフレット「全国各地に裁判官,検察官の常駐を!」
⑤ パンフレット「裁判所支部を充実させよう」
2(1) 東京地家裁立川支部の現状については,東弁リブラ2009年10月号の「多摩支部の活動-裁判所本庁化への期待も-」のほか,外部HPの「裁判所の「支部」問題」が参考になります。
(2) 東京三弁護士会多摩支部は,東京地家裁立川支部を「本庁」に昇格させるため,色々な取り組みを行っています。
3 京都弁護士会は,平成20年11月,京都府南部地域の司法アクセス改善のためには地裁家裁の支部の創設が必要であるとの考えに立ち,支部設置を目指して,南部地域における地家裁支部設置推進対策本部を設置しました(京都弁護士会HPの「南部地域における地家裁支部設置推進対策本部」参照)。
4 日本裁判官ネットワークHP「支部の充実を目指して」に,平成22年7月23日の北海道弁護士連合会定期大会記念シンポジウム「地域住民の”裁判を受ける権利”の充実を目指して~司法基盤の整備は進んでいるのか~」にパネリストとして参加した元裁判官の文章が載っています。
(1) 令和2年12月18日付の最高裁判所事務総長の理由説明書には以下の記載があります。
   本件決議は, 日本弁護士連合会から最高裁判所に対して参考として送付されたものであり; また,その内容も最高裁判所に対して何らかの応答を求めるものではないことから, 同決議に関し,最高裁判所としての検討内容を記載した文書は作成していない。
(2) 本件決議は,安心して修習に専念するための環境整備を更に進め,いわゆる谷間世代に対する施策を早期に実現することに力を尽くす決議(平成30年5月25日の日弁連定期総会の決議)のことです。


第12 弁護士会連合会(弁連)の要望事項
1   「東京高等裁判所管内の司法基盤の整備充実を求める決議」(平成23年9月30日の関東弁護士会連合会の決議)によれば,以下の4点は早急に実現すべきとされています。
① 東京地方・家庭裁判所立川支部は,独立した地家裁本庁とすべきである。
② 市川簡易裁判所と千葉家庭裁判所市川出張所の管轄地域に地家裁支部を新設すべきである。
③ 横浜地方裁判所相模原支部において,民事・刑事の合議事件が扱えるようにすべきである。
④ 東京高裁管内に設置されているさいたま地方・家庭裁判所秩父支部,前橋地方・家庭裁判所沼田支部,千葉地方・家庭裁判所館山支部,同佐原支部,水戸地方・家庭裁判所麻生支部,静岡地方・家庭裁判所掛川支部には裁判官が常駐していない。これらの裁判所に,早急に,裁判官が常駐するようにすべきである。
2 「大阪高等裁判所管内の地家裁支部の司法基盤の整備充実を求める決議」(平成23年9月20日の近畿弁護士連合会の決議)によれば,以下の4点は早急に実現すべきとされています。
① 京都地方・家庭裁判所管内の南部地域及び和歌山地方・家庭裁判所管内の橋本市に各支部を新設すること。
② 神戸地方裁判所姫路支部及び神戸地方裁判所尼崎支部において,労働審判を取り扱えるようにすること。
③ 奈良地方裁判所葛城支部において,民事の合議事件をより多く取り扱えるように,裁判官の増員を図ること。
④ 京都地方裁判所園部支部,神戸地方裁判所柏原支部及び和歌山地方裁判所御坊支部には裁判官が常駐していないので,裁判官が常駐するようにすること。
3 「すべての裁判所支部管内における司法の機能充実を求める決議」(平成24年7月6日付の東北弁護士会連合会の決議)には,以下の3点を国に対して要請すると書いてあります。
① すべての地方・家庭裁判所及び地方検察庁において裁判官・検事を速やかに常駐させ,裁判所支部・検察庁支部の人的・物的基盤を整備すること
② 地裁本庁に集約されている労働審判・不動産競売・債権執行事件等を含め支部管内の事件は可能な限り当該支部において取り扱うようにすること
③ 執行官,公証人役場,法務局出張所,検察審査会等の司法関係機関の配置を見直し,これらが不足している地域に当該機関を設置すること
4 「裁判官・検察官非常駐支部の解消に向けた行動をとることの宣言」(平成22年12月11日付の北海道弁護士会連合会の決議)には,「裁判官・検察官が一人も常駐していない支部に少なくとも一人の裁判官・検察官が常駐する体制を早急に実現するため、従前にも増して主導的かつ精力的に運動を行っていくことを決意し、ここに宣言する。」などと書いてあります。


第13 裁判員裁判取扱い支部
1 裁判員裁判取扱い支部は以下の10支部です。
(東京高裁管内)
・ 東京地裁立川支部
・ 横浜地裁小田原支部
・ 静岡地裁沼津支部
・ 静岡地裁浜松支部
・ 長野地裁松本支部
(大阪高裁管内)
大阪地裁堺支部
神戸地裁姫路支部
(名古屋高裁管内)
名古屋地裁岡崎支部
(福岡高裁管内)
福岡地裁小倉支部
(仙台高裁管内)
仙台地裁郡山支部
2 例えば,大阪地裁堺支部は,堺支部管轄区域及び岸和田支部管轄区域の裁判員裁判対象事件を取り扱っています。
3 裁判員制度HPの「裁判員制度の実施状況について【データ】~もっとくわしくお知りになりたい方へ~」には例えば,裁判員制度の実施状況等に関する資料(毎年作成されている文書です。)が載っています。

第14 関連記事その他
1(1) 裁判所HPの「裁判所の管轄区域」を見れば,全国の市町村毎にどの高裁,地家裁及び簡裁の管轄になっているかが分かります。
(2) 裁判所HPの「各地の裁判所の所在地・電話番号等一覧」を見れば,全国の高裁,地家裁及び簡裁の電話番号等が分かります。
(3) 裁判所データブックの「付録」に全国裁判所所在図,各高等裁判所管内裁判図があります。
2 日本全国裁判所めぐりブログに,日本全国の裁判所庁舎の外観写真が載っています。
3 弁護士法人 咲くやこの花法律事務所 企業法務の法律相談サービス「契約書の合意管轄条項(専属的合意管轄)の記載方法、交渉方法」が載っています。
4 ベリーベストグループ採用サイト「ベリーベスト法律事務所での地方勤務について」には「当事務所では、所属弁護士の配偶者が、裁判官、検察官といった転勤を伴う職種の方も多く在籍しております。そういった方については、パートナーの方の転勤に伴い、全国の当事務所のオフィスで継続して勤務を行うことが可能となっております。」と書いてあります。
5 労働審判に対し適法な異議の申立てがあったため訴えの提起があったものとみなされて訴訟に移行した場合(労働審判法22条参照)において,当該労働審判が「前審の裁判」に当たるということはできません(最高裁平成22年5月25日判決)。
6(1) 以下の資料も参照してください。
 下級裁判所事務処理規則(昭和23年8月18日最高裁判所規則第16号)
・ 下級裁判所事務処理規則の運用について(平成6年7月22日付の最高裁判所事務総長依命通達)
・ 裁判所職員の赴任期間について(平成4年4月28日付の最高裁判所事務総長の依命通達)
 裁判所の組織(平成29年度支部長研究会の資料)
・ 大阪地方裁判所堺支部・堺簡易裁判所の庁舎平面図(平成20年12月19日竣工)
・ 大阪地方裁判所岸和田支部・岸和田簡易裁判所の庁舎平面図(平成12年5月12日竣工)
・ 家庭裁判所出張所設置規則(昭和25年12月20日最高裁判所規則第32号)
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 高等裁判所支部
・ 検察庁の支部
・ 裁判統計報告
 最高裁判所が作成している事件数データ
・ 下級裁判所の裁判官の定員配置
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律に関する国会答弁資料等
・ 最高裁判所事務総局総務局の事務分掌

高等裁判所支部

目次
1 高等裁判所支部の設置根拠及び権限
2 高裁支部の設置及び廃止の年月日
3 かつて存在した札幌高裁函館支部
4    高裁支部の一覧と管轄区域
5 高裁の司法行政ポストの格付け
6 鹿児島県弁護士会の申入書
7 高等検察庁支部(高検支部)
8 臨時司法制度調査会意見書(昭和39年8月28日付)の記載
9 高等裁判所支部に関する国会答弁
10 関連記事その他

1   高等裁判所支部の設置根拠及び権限
(1)   通常の高等裁判所支部(高裁支部)は,昭和23年3月1日施行の高等裁判所支部設置規則(昭和23年2月20日最高裁判所規則第1号)に基づいて設置されています。
    高裁支部は,地方裁判所が控訴審として下した民事事件の判決(レ号事件の判決)に対する上告事件を取り扱うことはできません(高等裁判所支部設置規則1条2項)。
(2) 知的財産高等裁判所(知財高裁)は,東京高裁の特別の支部として設置されています(知的財産高等裁判所設置法2条柱書)。
(3) 裁判所構成法に基づく控訴院には支部がありませんでした。

2 高裁支部の設置及び廃止の年月日
(1) 高裁支部の設置年月日
ア   昭和23年3月1日,広島高裁松江支部及び札幌高裁函館支部が設置されました。
イ   昭和23年5月15日,名古屋高裁金沢支部が設置されました。
ウ   昭和23年9月1日,福岡高裁宮崎支部が設置されました。
エ   昭和23年10月1日,広島高裁岡山支部が設置されました。
オ   昭和24年3月10日,仙台高裁秋田支部が設置されました。
カ   昭和47年5月15日,福岡高裁那覇支部が設置されました。
キ 平成17年4月1日,知財高裁が設置されました。
(2) 高裁支部の廃止年月日
    昭和46年7月31日,札幌高裁函館支部が廃止されました。

3 かつて存在した札幌高裁函館支部
(1)   明治14年10月6日,函館控訴裁判所が設置され,明治19年5月4日に函館控訴院となったものの,大正10年12月,控訴院が函館から札幌に移転した結果,札幌控訴院となりました。
    つまり,大正10年12月までの函館には,現在の高等裁判所に相当する控訴院が設置されていました(函館控訴院ノ移転ニ関スル法律(大正10年4月8日法律第51号)及び大正10年12月6日勅令第453号参照)。
(2) 昭和23年3月1日から昭和46年7月31日までの間,札幌高等裁判所函館支部が設置されていました(昭和46年6月28日最高裁判所規則第10号参照)。


4 高裁支部の一覧と管轄区域
(1) 知財高裁
    ①全国の技術型の知財事件(民訴法6条3項・知財高裁設置法2条1号)及び②東京高裁管内の非技術型の知財事件(知財高裁設置法2条1号)については,知財高裁が担当しています。
(2)   名古屋高裁金沢支部
    石川県,富山県,福井県
(3)   広島高裁岡山支部
    岡山県
(4) 広島高裁松江支部
    島根県(地裁・家裁浜田,益田支部,家裁川本出張所地域を除く),鳥取県
(5)   福岡高裁宮崎支部
    宮崎県,鹿児島県,大分県(地裁・家裁佐伯支部地域)
(6)   福岡高裁那覇支部
    沖縄県
(7)   仙台高裁秋田支部
    秋田県,山形県(地家裁の鶴岡支部及び酒田支部地域),青森県(地家裁の弘前支部及び五所川原支部地域)


5 高裁の司法行政ポストの格付け
    高裁の司法行政ポストの格付けは,高裁長官>知財高裁所長>知財高裁部総括>高裁本庁部総括>部が設置されている高裁支部の支部長>高裁支部部総括>部が設置されていない高裁支部の部総括です(外部HPの「高裁支部長就任者のキャリアパス分析」参照)。

6 鹿児島県弁護士会の申入書
(1)   鹿児島県弁護士会は,最高裁判所に対し,平成18年3月2日,「鹿児島地方裁判所での出張開廷等に関する申入書」を提出しました。
(2) 申入書における申入の趣旨は「福岡高等裁判所宮崎支部管轄の鹿児島地方裁判所管内の民事控訴事件について、鹿児島地方裁判所において出張開廷等なんらかの対策を実施されたい。」となっています(誤字と思われるものを補正しました。)。

7 高等検察庁支部(高検支部)
    昭和23年3月1日施行の検察庁法第二条第四項の規定による各高等裁判所支部に対応して各高等検察庁支部を設置する庁令(昭和23年2月21日法務庁令第1号)に基づき,6つの高裁支部に対応して6つの高検支部が設置されています。

8 臨時司法制度調査会意見書(昭和39年8月28日付)の記載
(1) 臨時司法制度調査会意見書(昭和39年8月28日付)の決議要目には以下の記載があります。
第八 裁判所の配置等
 一 高等裁判所支部の廃止
   高等裁判所の支部を原則として廃止すること。
 二 地方裁判所・家庭裁判所支部の整理統合
   地方裁判所及び家庭裁判所の支部を整理統合して、甲号、乙号の別を廃し、現在の乙号支部を原則として廃止すること。
 三 簡易裁判所の名称の変更
   簡易裁判所の名称を「区裁判所」(仮称)に改めること。
 四 簡易裁判所の整理統合
   人口、交通事情等の社会事情の著しい変動に伴い、簡易裁判所を整理統合することを考慮すること。
 五 簡易裁判所の事務移転
   最高裁判所は、簡易裁判所の調停を除く事務の全部又は一部を他の簡易裁判所に取り扱わせることができるものとすること。
(2) 臨時司法制度調査会意見書本文には以下の記載があります。
(156頁及び157頁の記載)
(高等裁判所支部の廃止、地方裁判所・家庭裁判所支部の整理統合)
高等裁判所の支部は、戦後の交通の不便、当時の経済事情等を考慮し、昭和二三年から昭和二四年にかげて設けられたものであるが、現在(山中注:昭和39年8月時点)においては、すでに社会事情も著しい変化を遂げ、交通事情も好転しているので、なおこれらを存置する必要があるかどうかが問題となる。

    また、地方裁判所の支部は、裁判所法施行の際、経過的に裁判所法施行令によってその当時設置されていた各区裁判所の所在地に設けたものとされ、地方裁判所及び家庭裁判所支部設置規則においても、原則として、この状態を引き継ぎ、家庭裁判所の支部も同一の地に設けられることとなったものであるが、現在、これらの支部のうち、特に権限乙号のものについては、事件数が少なく、限られた裁判官数をもつてしては、これにあまねく裁判官を配置することが必ずしも合理的でないため、裁判官が配置されていない庁が相当の数にのぼり、また、合議体を構成するに足りる員数の裁判官が配置されていない権限甲号の支部も相当数ある。その結果、これらの裁判官が配置されていない庁等における事件処理のために、他の庁(本庁又は他の支部)から出張する裁判官の時間的な損失も無視することができず、これらは訴訟を遅延させる原因ともなつている。
    そこで、裁判所全体の配置を適正化し、事務処理の能率、適正化を図る見地から(イ)高等裁判所の支部を廃止すること及び(ロ)地方裁判所及び家庭裁刺所の支部については、権限による区別を廃し、かつ、現在の権限乙号の支部は、一部事件数の多いものを除いて廃止するとともに、権限甲号の支部のうち事件数の少ないものを廃止して、整理統合を図ることが適当ではないかという問題があるが、この問題については、他面、国民の利便を十分考慮して慎重に決定されるべきであるという要請も忘れてはならない。
(160頁の記載)
(高等裁判所支部の廃止)
審議の過程においては、(イ)本頂を含め、裁判所の配置の問題は、関係事務当局において検討すべき問題であって、当調査会で取り上げるべき問題ではないとする意見、(ロ)高等裁判所の支部を廃止することを可とするが、これに代え、高等裁判所の裁判官が管内の各地方裁判所の所在地に巡回して裁判をする制度を採用すべきであるとの意見があったほかは、前記問題の所在に摘記した趣旨により高等裁判所の支部を廃止することに賛成する意見が多数を占めた。(ハ)支部において事件処理に十分な裁判官の数を得られないまま裁判を受けている現状よりも、本庁においてより適正な裁判を受けることの方が国民にとっても利益であるとの意見も述べられた。なお、(ニ)原則として支部の廃止に賛成するが、すべての支部を一律に廃止することには問題かあるので、個々に具体的事備を検討した上、必要欠くべからざる支部は存置すべきであるとする意見があった。
以上のような検討の結果、当調査会は、この問題については一致した結論を得ることができなかったので、採決の結果、三分の二以上の多数の意見により、前記結論の一のとおり決定した。


9 高等裁判所支部に関する国会答弁
(1) 昭和42年4月18日の国会答弁
・ 寺田治郎最高裁判所総務局長は,昭和42年4月18日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています。
① 高等裁判所の支部につきましては、先ほどの臨司の意見書(山中注:臨時司法制度調査会意見書(昭和39年8月28日付)のこと。)にも指摘されておるわけでございます。
    そのときに出ましたいろいろの議論の中の一番有力と申しますか考え方の中心は、最近、高等裁判所の支部についてもかなり交通の便利になったところがあるので、必ずしも支部を存置する必要がないのではないか。
    特に高等裁判所の支部の中の非常に小さなものにつきましては、実際上定員を三人くらいしか配置できないわけでございます。
そうなりますと自然民事事件と刑事事件の双方を担当されるということになるわけでございます。

② しかしながら、これは私どもの裁判官としての経験から申しましても、簡易裁判所とかまた地方裁判所程度ならばともかくも、高等裁判所において民、刑双方を担当するということは、裁判官としても非常に負担が重く、また自信の持てない面があるわけでございますし、また国民なり当事者の側からも、専門的な裁判官の裁判を受けるという面で、いわゆる権利の保護という面からも、必ずしも近くにあるということが便利であるというばかりではないのではないかというような議論であったわけでございます。
    そういう関係で、いろいろ実態調査もし、またこれを廃止した場合の影響等も検討いたしたのでございますが、これを廃止しますということも非常に大きな問題でございますし、私どものほうには、規則については規則諮問委員会というものもございますので、さような委員会にはかりまして慎重な手続で進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
③ しかしながら、その諮問委員会に付するにつきましても、まずもって日弁連と十分にお話し合いをした上でというふうに考えておりまして、現在までのところ、まだ日弁連のほうでは、やはりかなり問題ではないかというような御意向が強いようでございますので、もう少しいろいろお話し合いをし、また現地の御納得が得られるような手順と申しますか、時期を見ました上でというふうに考えておる次第でございます。
(2) 昭和59年3月9日の国会答弁
・ 9期の山口繁最高裁判所総務局長は,昭和59年3月9日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリングを追加しています。)。
① 臨時司法制度調査会が、公的な機関としまして二年にわたる慎重な御審議の結果公表された御意見の中に、神崎委員御指摘のような整理統合の問題、事務移転等の問題が含まれているわけでございます。これらの御意見は、委員の方々の英知の結集あるいは所産でございまして、いろいろな見方もあろうかとは存じますが、一つの客観的なすぐれた御意見でございまして、裁判所としても十分にこれを尊重すべきであると考えていたわけでございます。
 しかしながら、今回私どもがいたしております問題提起は、この臨司の御意見とは別個に、戦後の裁判所制度発足以来約四十年、臨司の意見書発表以来もう既に二十年近く経過しているわけでございまして、その間における人口動態あるいは交通事情の変化というものはまことに著しいものがございますのに、裁判所の配置自体は四十年前あるいは二十年前と全く変わっていない。そういうところから、事件の偏在現象であるとか、いろいろな問題が生じてきているわけでございまして、そのことによって裁判所を御利用いただく国民の方々に御迷惑をおかけしている事態が果たしてないであろうか。裁判所の配置を現在及び予想できる将来の社会事情にマッチするように見直しをして、司法全体の充実を図るのが国民の負託にこたえるゆえんではないと考えまして、問題提起をしたわけでございます。
② 臨司意見書が指摘をしております問題状況がますます拡大深刻化していることを背景にいたしましての問題提起でございますので、その意味では臨司の提言と全く無関係のものとは言い切れないかもしれませんけれども、我々といたしましては、臨司の提言をそのまま具体化しようと考えているわけではございません。基本的には、三者協議会あるいは法制審議会等の御審議を経て改めて方向づけがなされることを期待しているわけでございます。
 その結論と臨司の提言をどのように評価するかの問題はまた別にあろうかとは思いますけれども、私どもといたしましては、例えば、臨司の提言で御指摘のございましたような高裁支部の廃止あるいは乙号支部の原則的廃止あるいは簡裁の名称変更などは考えておりませんし、現在の簡易裁判所の性格あるいは理念というようなものを変えるつもりも全くないわけでございます。
 以上でございます。

10 関連記事その他
(1)ア 裁判所法22条2項は「最高裁判所は、高等裁判所の支部に勤務する裁判官を定める。」と定めています。
イ 支部勤務発令は最高裁判所裁判官会議の決議事項です(「裁判所の人事行政事務の実情について」第1.1(1)ウ)。
ウ 下級裁判所事務処理規則3条1項は「高等裁判所、地方裁判所又は家庭裁判所の各支部に勤務する裁判官が一人の
ときは、その裁判官を支部長とし、二人以上のときは、最高裁判所がそのうちの一人に支部長を命ずる。 」と定めています。
(2) 昭和42年5月27日の日弁連定期総会決議「司法制度の確立に関する宣言には以下の記載があります。
    われわれは、昭和39年12月19日臨時総会において、簡易裁判所判事及び副検事に対する法曹資格及び弁護士資格を付与すること、簡易裁判所の事物管轄の拡張をすることに反対を決議いたしまして、さらにその後においても、高等裁判所支部の廃止や司法試験法の改正等に反対の決議を行うのみならず、これらの施策の実施を阻止するために一大運動を展開してきたことは皆様ご承知の通りであります。
(3) 以下の記事も参照してください。
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部
・ 検察庁の支部
・ 裁判統計報告
 最高裁判所が作成している事件数データ
・ 下級裁判所の裁判官の定員配置
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律に関する国会答弁資料等
・ 最高裁判所事務総局総務局の事務分掌

下級裁判所裁判官指名諮問委員会委員名簿

1 下級裁判所裁判官指名諮問委員会委員名簿を以下のとおり掲載しています。
・ 令和 元年 7月16日現在
・ 令和 元年 6月21日現在
・ 平成31年 2月 8日現在
・ 平成30年 8月17日現在
・ 平成30年 6月 1日現在
・ 平成30年 1月22日現在
・ 平成29年 5月22日現在
・ 平成28年 9月 5日現在
・ 平成28年 8月 8日現在
・ 平成28年 6月21日現在
・ 平成28年 5月 1日現在
・ 平成27年 8月 6日現在
・ 平成27年 7月11日現在
・ 平成27年 6月 1日現在
・ 平成27年 4月 1日現在
・ 平成26年 8月16日現在
・ 平成25年 8月 8日現在
・ 平成25年 4月18日現在
・ 平成24年 6月 1日現在
・ 平成24年 4月10日現在
・ 平成23年10月19日現在
・ 平成23年 8月16日現在
・ 平成23年 8月11日現在
・ 平成23年 7月31日現在
・ 平成23年 4月 1日現在
・ 平成22年 6月17日現在
・ 平成22年 6月 1日現在
・ 平成22年 4月 5日現在
・ 平成22年 2月 5日現在
・ 平成21年 6月 1日現在
・ 平成21年 2月10日現在
・ 平成20年12月 8日現在
・ 平成20年 8月26日現在
・ 平成20年 4月 1日現在
・ 平成20年 1月16日現在
・ 平成19年 8月17日現在
・ 平成19年 5月 1日現在
・ 平成19年 1月25日現在
・ 平成18年 6月 1日現在
・ 平成18年 1月20日現在
・ 平成17年10月 1日現在
・ 平成17年 9月 2日現在
・ 平成17年 4月12日現在
・ 平成17年 2月11日現在
・ 平成17年 1月 1日現在
・ 平成16年12月16日現在
・ 平成16年 4月 1日現在
・ 平成15年10月 2日現在
・ 平成15年 5月 1日現在

2 下級裁判所裁判官指名諮問委員会委員の人数は,制度発足当初から11人です。

3 「弁護士任官」も参照してください。

検察庁における交通事故事件に関する記録閲覧等の概況

目次
1 記録閲覧等の概況及び不服申立事件等について
2 暦年ごとの記録閲覧等の概況の推移
3 平成12年から平成14年までの保管記録(交通事故に限らない。)の閲覧請求における閲覧目的
4 関連記事

1 記録閲覧等の概況及び不服申立事件等について
(1)ア 法務省刑事局総務課が作成した,「記録閲覧等の概況及び不服申立事件等について」を掲載しています。
① 平成23年分(平成25年 3月の検察月報の記事)
② 平成24年分(平成25年12月の検察月報の記事)
③ 平成25年分(平成26年12月の検察月報の記事)
④ 平成26年分(平成27年11月の検察月報の記事)
⑤ 平成27年分(平成28年11月の検察月報の記事)
イ 平成30年1月24日付の法務省の意思確認文書によれば,平成28年分は作成されませんでした。
(2)ア 検察月報の記事中における保管記録に以下の①及び②の記録が含まれることは間違いありませんが,不起訴記録が含まれているかどうかはよく分かりません。
① 刑事確定訴訟記録
      確定記録のうち,公判提出記録のことです(刑事確定訴訟記録法4条1項本文参照)。
② 裁判所不提出記録
      確定記録のうち,公判不提出記録のことです(刑事確定訴訟記録法4条3項参照)。
イ 刑事確定訴訟記録法の「保管記録」に不起訴記録は含まれません(刑事確定訴訟記録法2条1項及び2項参照)。
(3) 記録事務規程1条は,以下のとおり定めています。
   この規程は,刑事確定訴訟記録,裁判所不提出記録,不起訴記録,費用補償請求事件記録及び刑事補償請求事件記録の管理に関する事務の取扱手続を規定し,これを取り扱う職員の職務とその責任を明確にし,もってその事務の適正な運用を図ることを目的とする。

2 暦年ごとの記録閲覧等の概況の推移
・ 暦年ごとの記録閲覧等の概況の推移は以下のとおりです。「⑦ 被害者又はその親族又はその代理人たる弁護士に係る不起訴記録の閲覧(謄写)状況」が交通事故訴訟の増加に直結しているのかもしれません(
「地裁の各種事件数」参照)。


① 保管記録等の閲覧状況(交通事故に限らない。)(1表)
23年:2万1640件の閲覧請求
→ 許可が2万1573件,一部不許可が35件,不許可が32件
24年:2万3019件の閲覧請求
→ 許可が2万2925件,一部不許可が45件,不許可が49件
25年:2万2200件の閲覧請求
→ 許可が2万2116件,一部不許可が60件,不許可が24件
26年:2万3189件の閲覧請求
→ 許可が2万3076件,一部不許可が97件,不許可が16件
27年:2万2856件の閲覧請求
→ 許可が2万2666件,一部不許可が165件,不許可が25件

② 保管記録等の謄写状況(交通事故に限らない。)(1表)
23年:2万203件の謄写請求
→ 許可が2万152件,一部不許可が29件,不許可が22件
24年:2万1107件の謄写請求
→ 許可が2万101件,一部不許可が39件,不許可が37件
25年:2万838件の謄写請求
→ 許可が2万746件,一部不許可が47件,不許可が45件
26年:2万1846件の謄写請求
→ 許可が2万1772件,一部不許可が46件,不許可が28件
27年:2万1873件の謄写請求
→ 許可が2万1718件,一部不許可が59件,不許可が33件

③ 自動車による過失運転致死傷罪に関する,確定記録の文書送付嘱託の受理件数及び処理区分別件数(カッコ内は全体の受理件数)(3表及び4表)(「文書送付嘱託」参照)
21年:610件の受理(全体で1058件の受理)
22年:579件の受理(全体で1072件の受理)
23年:540件の受理(全体で1037件の受理)
→ 全て送付が369件,一部送付が141件,全く応じないが30件
24年:543件の受理(全体で970件の受理)
→ 全て送付が369件,一部送付が138件,全く応じないが36件
25年:510件の受理(全体で907件の受理)
→ 全て送付が372件,一部送付が107件,全く応じないが31件
26年:469件の受理(全体で759件の受理)
→ 全て許可が336件,一部送付が101件,全く応じないが32件
27年:451件の受理(全体で760件の受理)
→ 全て送付が324件,一部送付が94件,全く応じないが33件

④ 自動車による過失運転致死傷罪に関する,不起訴記録の文書送付嘱託の受理件数及び処理区分別件数(カッコ内は全体の受理件数)(6表及び7表)(「文書送付嘱託」参照)
21年:1573件の受理(全体で1573件の受理)
22年:1592件の受理(全体で1592件の受理)
23年:1551件の受理(全体で1551件の受理)
→ 全て送付が549件,一部送付が884件,全く応じないが118件
24年:1626件の受理(全体で1809件の受理)
→ 全て送付が571件,一部送付が925件,全く応じないが130件
25年:1564件の受理(全体で1783件の受理)
→ 全て送付が538件,一部送付が909件,全く応じないが117件
26年:1537件の受理(全体で1777件の受理)
→ 全て送付が650件,一部送付が760件,全く応じないが127件
27年:1716件の受理(全体で1935件の受理)
→ 全て送付が635件,一部送付が959件,全く応じないが122件

⑤ 自動車による過失運転致死傷罪に関する,確定記録の弁護士会照会による閲覧(謄写)の受理件数及び処理区分別件数(カッコ内は全体の受理件数)(10表の上段)
23年:481件の受理(全体で513件の受理)
→ 全て許可が307件,一部許可が19件,全く応じないが155件
24年:555件の受理(全体で606件の受理)
→ 全て許可が411件,一部許可が5件,全く応じないが139件
25年:547件の受理(全体で593件の受理)
→ 全て許可が343件,一部不許可が11件,全く応じないが193件
26年:469件の受理(全体で533件の受理)
→ 全て許可が321件,一部不許可が8件,全く応じないが140件
27年:579件の受理(全体で635件の受理)
→ 全て許可が385件,一部許可が33件,全く応じないが161件

⑥ 自動車による過失運転致死傷罪に関する,不起訴記録の弁護士会照会による閲覧(謄写)の受理件数及び処理区分別件数(カッコ内は全体の受理件数)(10表の下段)
23年:2万3791件の受理(全体で2万4641件の受理)
→ 全て許可が2万631件,一部許可が2811件,全く応じないが349件
24年:2万5687件の受理(全体で2万6639件の受理)
→ 全て許可が2万3277件,一部許可が2145件,全く応じないが265件
25年:2万5801件の受理(全体で2万6635件の受理)
→ 全て許可が2万2726件,一部許可が2512件,全く応じないが563件
26年:2万7315件の受理(全体で2万8203件の受理)
→ 全て許可が2万4413件,一部許可が2650件,全く応じないが252件
27年:2万4912件の受理(全体で2万5826件の受理)
→ 全て許可が2万1828件,一部許可が2854件,全く応じないが230件

⑦ 自動車による過失運転致死傷罪に関する,被害者又はその親族又はその代理人たる弁護士に係る不起訴記録の閲覧(謄写)状況(カッコ内は全体の受理件数)(12表及び13表)
21年:5336件の受理(全体で5497件の受理)
22年:4833件の受理(全体で5027件の受理)
23年:5671件の受理(全体で5935件の受理)
→ 全て許可が5395件,一部許可が272件,全く応じないが4件
24年:6718件の受理(全体で7068件の受理)
→ 全て許可が6180件,一部許可が532件,全く応じないが6件
25年:7345件の受理(全体で7701件の受理)
→ 全て許可が6711件,一部許可が628件,全く応じないが6件
26年:8853件の受理(全体で9380件の受理)
→ 全て許可が8644件,一部許可が207件,全く応じないが2件
27年:1万498件の受理(全体で1万1042件の受理)
→ 全て許可が1万226件,一部許可が258件,全く応じないが14件

3 平成12年から平成14年までの保管記録(交通事故に限らない。)の閲覧請求における閲覧目的
・ 総務省HPの
「対象文書等(訴訟に関する書類)」によれば,平成12年から平成14年までの保管記録(交通事故に限らない。)の閲覧請求における閲覧目的は以下のとおりです。

① 平成12年の閲覧目的(合計1万7283件)
関連刑事事件のため:199件
関連民事事件のため:6525件
自動車保険料率算定のため:8814件
再審請求準備のため:59件
訴訟関係人(本人)が自己の記録を見るため:326件
学術研究のため:33件
マスコミ,文筆家の文筆資料とするため:78件
その他:1249件
② 平成13年の閲覧目的(合計1万7862件)
関連刑事事件のため:403件
関連民事事件のため:7206件
自動車保険料率算定のため:8889件
再審請求準備のため:51件
訴訟関係人(本人)が自己の記録を見るため:224件
学術研究のため:37件
マスコミ,文筆家の文筆資料とするため:92件
その他:960件
③ 平成14年の閲覧目的(合計2万158件)
関連刑事事件のため:266件
関連民事事件のため:7697件
自動車保険料率算定のため:1万631件
再審請求準備のため:73件
訴訟関係人(本人)が自己の記録を見るため:344件
学術研究のため:85件
マスコミ,文筆家の文筆資料とするため:98件
その他:964件

4 関連記事
・ 検番等の入手方法等
・ 謄写業者,及び確定した刑事記録の保管場所
・ 加害者の刑事裁判の判決が確定した後の,起訴事件の刑事記録の入手方法
・ 不起訴事件記録の開示範囲の拡大
・ 不起訴事件記録(例えば,実況見分調書及び物件事故報告書)の入手方法
・ 刑事確定訴訟記録の保管機関が検察庁となった経緯
・ 刑事記録の入手方法等に関する記事の一覧

不起訴事件記録の開示範囲の拡大

目次
1 不起訴事件記録は原則として開示されないこと
2 通達に基づく,不起訴事件記録の開示範囲の拡大
3 実況見分調書に対する文書送付嘱託を実施した場合における検察庁の対応
4 平成9年当時の,検察庁の被害者対応
5 関連記事その他

1 不起訴事件記録は原則として開示されないこと
(1) 刑事訴訟に関する書類は,公判の開廷前(=通常,第1回の公判期日前)は,原則として非公開とされています(刑事訴訟法47条本文)。
    そのため,不起訴事件記録(=①不起訴処分となった後の不起訴記録及び②公訴提起後第1回公判期日前の記録並びに③公判不提出記録)の閲覧・謄写は原則として認められません。
(2) 刑事訴訟法47条本文が「訴訟に関する書類」を公にすることを原則として禁止しているのは,それが公にされることにより,被告人,被疑者及び関係者の名誉,プライバシーが侵害されたり,公序良俗が害されることになったり,又は捜査,刑事裁判が不当な影響を受けたりするなどの弊害が発生するのを防止することを目的としています(最高裁平成16年5月25日決定)。
(3) 刑訴法47条ただし書の規定によって「訴訟に関する書類」を公にすることを相当と認めることができるか否かの判断は,当該「訴訟に関する書類」が原則として公開禁止とされていることを前提として,これを公にする目的,必要性の有無,程度,公にすることによる被告人,被疑者及び関係者の名誉,プライバシーの侵害,捜査や公判に及ぼす不当な影響等の弊害発生のおそれの有無等の諸般の事情を総合的に考慮してされるべきものであり,当該「訴訟に関する書類」を保管する者(検察庁の保管検察官のことです。)の合理的な裁量にゆだねられています(最高裁平成19年12月12日決定,及び最高裁平成31年1月22日決定)。

2 通達に基づく,不起訴事件記録の開示範囲の拡大
(1) 被害者等に対する不起訴事件記録の開示について(平成12年2月4日付法務省刑事局長通知(法務省刑総第128号))(「検察における被害者保護への取組みについて」に中身が書いてあります。)
ア(ア) 本通知発出前は,「検察庁においては,従来から交通事故に関する実況見分調書等の証拠につき,当該事件に関連する民事訴訟の係属している裁判所からの送付嘱託や弁護士会からの照会に応じてきたところである」という取扱いでした。
    つまり,交通事故事件の実況見分調書等に限り,裁判所からの文書送付嘱託又は弁護士会照会を通じて入手できるに過ぎませんでした。
(イ) 本通知発出前に交通事故の刑事記録を閲覧しようとした際の体験談につき,外部HPの「-「調書」が見たいという人のために-」が参考になります。
イ    本通知により,以下の取扱いとなりました。
(ア) 被害者等に対する不起訴記録開示の新たな方針
① 開示対象となる事件の範囲を,交通事故に係るもの以外の事件に拡大する。
② 開示対象となる記録の範囲を,写真撮影報告書,検視調書等の客観的証拠で,かつ,代替性がないと認められるものに拡大する。
③ 被害者又はその親族からの請求又はその代理人たる弁護士からの請求についても開示に応じる。
(イ) 閲覧又は謄写の請求者等
① 被害者又はその親族からの請求又はその代理人たる弁護士からの請求若しくは弁護士法に基づく照会(ただし,当該事件が単なる民事紛争に係るものであって,刑事事件の実質を有しないと認められる場合等を除く。)
② 裁判所からの文書送付嘱託
③ 自動車保険料率算定会及び財団法人交通事故紛争処理センターからの照会
④ ①ないし③以外の場合における記録の開示の当否については,従前どおりの取扱いである。ただし,過失相殺事由の有無等を把握するため,加害者側が記録の閲覧又は謄写を求めるような場合には,正当に被害回復が行われることに資する場合も少なくないので,相当と認められるときは,請求に応じる。
(2)   民事裁判所からの不起訴事件記録の文書送付嘱託等について(平成16年5月31日付け法務省刑事局長通知(法務省刑総第627号))
ア 公判不提出記録に対する文書提出命令に関する最高裁平成16年5月25日決定を受けたものです。
イ 開示する条件自体は,平成20年11月19日付の法務省刑事局長通知と同じであると思われます。
(3)   被害者等に対する不起訴事件記録の開示について(平成20年11月19日付の法務省刑事局長通知(法務省刑総第1595号))
ア 平成20年12月1日以降,被害者参加対象事件である交通事故の被害者は,「事件の内容を知ること」等を目的とするときであっても,実況見分調書や写真撮影報告書等の客観的証拠について閲覧・謄写することができるようになりました(法務省HPの「不起訴事件記録の開示について」参照)。
イ 平成20年11月19日付の法務省刑事局長通知に基づき,現在,不起訴事件記録の開示が実施されています。

3 実況見分調書に対する文書送付嘱託を実施した場合における検察庁の対応
・ 私の経験では,以下のような文面と一緒に実況見分調書のコピーを送付してきます。
嘱託事項について(回答)
平成○○年○月○日付け書面にて送付方嘱託のあった被疑者○○○○及び○○○○に対する過失運転致傷事件(不起訴)記録は,刑事訴訟法第47条の公判の開廷前の訴訟に関する書類に該当し,原則非公開ですが,裁判所から送付嘱託があった場合,実況見分調書等客観的なものについては,嘱託に応じる取扱いとなっていますので,貴所より嘱託の下記書面を送付します(返却不要)。
なお,郵便切手○○○○円は返戻いたします。

平成○○年○月○日付け実況見分調書(写し) 1通

4 平成9年当時の,検察庁の被害者対応等
(1)ア  平成24年度初任行政研修「事務次官講話」「明日の行政を担う皆さんへ」と題する講演(平成24年5月15日実施)において,西川克行法務事務次官は以下の発言をしています(リンク先のPDF7頁及び8頁)。
    こういう状況(山中注:被害者は捜査公判を通じて何らかの権限が与えられるということはほとんどなく,それから情報もほとんど与えられないという状況)について一番初めに問題になったのは、平成九年だったと思いますけれども、片山君という小さな男の子がトラックの後輪にひかれて亡くなったという交通事故でした。難しい事件だったと思いますが、東京地検が、要は過失を問うことができないということで不起訴にしたわけです。
    当時、行政の国民に対する説明という点でも問題があったのは、被害者もしくは被害者の遺族から、あの事件はどうなりましたかという問い合わせが来ると、検察は「不起訴」としか答えていませんでした。次に、どうして不起訴になったのですかという理由を聞かれます。それに対しては、法学部の方は分かっていると思いますけれども、裁定主文しか答えませんでした。例えば、嫌疑がなかった場合は「嫌疑なし」と、これしか答えない。嫌疑不十分ということであれば「嫌疑不十分」と、この五文字しか答えない。このような時代が相当続いていました。
    この片山君の事件のときに、これでは余りにも不親切ではないか、罪を犯した被告人は、裁判において判決を受け、なぜこういう経緯になったのかという理由を聴くことができる。ところが、被害者のほうは何もすることができないではないか、こういう不満が非常に強くなったということです。この被害者への通知についてはもうすでに相当改善されていて、希望する被害者の方には事件の処理の結果を教えますし、不起訴になったときには、その理由も教えるということになっています。
(中略)
    特にこの被害者について刑事司法のほうで反省しなければならないのは、被害者というのは突然現れたわけではなく、いつの時代でも常に手続の側にいた、被害者というのは、加害者を除けば事件の最大の当事者で、かつ利害関係人ということです。ただ、その当事者の側の声は大きくなかったか、もし大きかったとしても、刑事司法の側がそれを真剣に聴かなかった時代が長く続いたということになると思います。
イ 「片山君の事件」というのは,平成9年11月28日朝,東京都世田谷区で青信号で横断中だった小学2年生の片山隼(当時8歳)が渋滞で停車中のダンプカーにひかれて死亡したという事件のことです(Wikipediaの「隼ちゃん事件」参照)。
(2) 横浜弁護士会新聞2001年9月号の「横浜地方検察庁 三谷紘検事正に聞く」には,「検察の仕事は、昔から「被害者とともに泣く検察」ということが言われていますが、今の検事にはその原点に戻り、実践して貰いたいと思います。」と書いてあります。

5 関連記事その他

(1)ア 調査嘱託によって得られた回答書等の調査の結果を証拠とするには,裁判所がこれを口頭弁論において提示して当事者に意見陳述の機会を与えれば足り,当事者の援用を要しない(最高裁昭和45年3月26日判決)のに対し,文書送付嘱託で得られた文書については当事者が書証として提出しない限り証拠となりません。
イ 実務上,調査嘱託の結果を書証として提出させる取扱いもあります(新民事訴訟法における書記官事務の研究(Ⅰ)60頁)。
ウ 東京高裁令和2年2月21日決定(判例時報2480号7頁以下)は,民訴法226条(送付嘱託)により文書を提出する際に,目的外使用はしないという趣旨の誓約書又は同意書を徴求することは,法令の規定よりも加重な義務を課すものであって,望ましい運用ではないことを付言しています。
(2) 千葉県弁護士会が編集した慰謝料算定の実務(第2版)の「第16章 刑事事件(犯罪被害者)」を見れば,性犯罪,傷害・暴行,殺人・傷害致死に関する慰謝料の相場が分かります。
(3) 以下の記事も参照してください。
 刑事裁判係属中の,起訴事件の刑事記録の入手方法(被害者側)
 刑事裁判係属中の,起訴事件の刑事記録の入手方法(加害者である被告人側)
 加害者の刑事裁判の判決が確定した後の,起訴事件の刑事記録の入手方法
・ 不起訴事件記録(例えば,実況見分調書及び物件事故報告書)の入手方法
・ 検番等の入手方法等
・ 刑事記録の入手方法等に関する記事の一覧

不起訴事件記録(例えば,実況見分調書及び物件事故報告書)の入手方法

目次
第1 不起訴事件記録(例えば,実況見分調書)を入手する場合の流れ
1 被害者代理人である弁護士の場合の流れ
2 加害者代理人である弁護士の場合の流れ
3 検察庁に対して電話で問い合わせをする場合
4 現場の見分状況書
第2 不起訴事件記録の入手に関する,大阪地検及び神戸地検の手続
1 大阪地検の手続
(1) 被害者代理人である弁護士の場合
(2) 加害者代理人である弁護士の場合
2 神戸地検の手続
第3 物件事故報告書の入手方法
第4 関連記事その他

第1 不起訴事件記録(例えば,実況見分調書)を入手する場合の流れ
1 被害者代理人である弁護士の場合の流れ
① 弁護士会照会(弁護士法23条の2に基づくことから,23条照会ともいいます。)等を利用して検番等を確認する(「検番等の入手方法等」参照)。
② 検察庁に対し,刑事事件の処分状況を,検番等を記載した「調査依頼書」と題する手紙(添付書類は,交通事故証明書及び民事事件の委任状のコピー並びに84円切手を貼付した返信用封筒となります。)で問い合わせをして回答書を送ってもらう。
③ 不起訴となった後に不起訴事件記録の閲覧・謄写申請をする。
2 加害者代理人である弁護士の場合の流れ
① 不起訴となった後に,被疑者である加害者が自ら検察庁に請求するか,弁護士が代理人として検察庁に請求することで,不起訴処分告知書(刑訴法259条)を発行してもらうことにより検番等を確認する。
② 弁護士会照会を利用して,不起訴事件記録の閲覧・謄写申請をする。

3 検察庁に対して電話で問い合わせをする場合
    被疑者・被告人の氏名のほか,回答書に書いてある回答整理番号を伝えればいいです。
4 現場の見分状況書
    警察に提出した診断書に書いてある加療期間が約3週間以下の交通事故の場合,以下のとおり,「現場の見分状況書」という表題で,実況見分調書が作成されます(「実況見分調書作成時の留意点」参照)。


第2 不起訴事件記録の入手に関する,大阪地検及び神戸地検の手続
1 大阪地検の手続
(1) 被害者代理人である弁護士の場合
ア 被害者代理人である弁護士が大阪地検の本庁又は支部で不起訴事件記録の閲覧・謄写申請をする場合,以下の書類を記録係の窓口に持参して提出する必要があります(大阪地検本庁の場合,記録係の窓口(令和3年5月6日以降,午前9時から午前11時30分まで,及び午後1時から午後3時まで)は8階にあります。)。
① 不起訴記録閲覧申請書(検察庁指定の書式によるもの)
② 謄写申請書(検察庁指定の書式によるもの)
③ 民事事件の委任状のコピー
④ 交通事故証明書のコピー
⑤ 大阪地検からの回答書のコピー
・ 検番に基づき刑事事件の処分状況を問い合わせた際に返ってくる文書です。
⑥ 閲覧・謄写に関する申出書(検察庁指定の書式によるもの)
・ 謄写業者としてOPO謄写センターと西村謄写館のどちらかを選択します。
・ 写真等についてカラーコピーを希望する場合,その旨を余白に記載する必要があります。
・ 堺支部,岸和田支部又は羽曳野区検の刑事記録を謄写したい場合,西村謄写館を利用する必要があります。
・ 西村謄写館を利用した場合,秋田ビル西村謄写館(大阪地裁本庁の近くにあります。),検察庁堺支部内閲覧室又は郵送により,謄写した刑事記録を受け取ることになります。
⑦ 弁護士の職印
⑧ 弁護士会発行の身分証明書
イ 窓口で閲覧・謄写申請をした際,写真撮影報告書及び信号周期表(信号サイクル表)がある場合も開示して欲しいかどうかを聞かれますから,「開示して欲しい。」と答えればいいものの,写真撮影報告書及び信号周期表(信号サイクル表)は存在するとは限らないことから,閲覧申請書にこれらの書類を記載しないで欲しいといわれます。
    ただし,令和4年1月に大阪地検で閲覧・謄写申請をしたときは,「閲覧申請記載」欄に「② その他( 許可されるもの全て )」と記載すればいいといわれました。
ウ 大阪地検の本庁又は支部の窓口で閲覧・謄写申請をする場合,事前の予約は不要です。
エ 令和3年7月現在,不起訴事件記録の閲覧・謄写申請をしてから2週間から3週間後に,謄写業者を通じて実況見分調書等のコピーを入手できます。
    そのため,大阪地検本庁の窓口に行くのは1回だけでいいです。
オ 令和元年11月現在,羽曳野区検の不起訴事件記録の謄写申請をする場合,必要書類の郵送による謄写申請ができます。
    この場合,西村謄写館を通じて刑事記録のコピーを入手することとなります。
(2) 加害者代理人である弁護士の場合
ア 加害者代理人である弁護士が大阪地検で不起訴記録としての実況見分調書の閲覧・謄写申請をする場合,弁護士会照会(持参方式)を使用する必要があります。
イ 令和2年8月現在,大阪地検岸和田支部又は岸和田区検の不起訴記録については,弁護士会照会(持参方式)及び西村謄写館宛の委任状を大阪地検岸和田支部記録担当宛に郵送することによる謄写申請ができます。
    この場合,西村謄写館を通じて不起訴記録としての実況見分調書を入手することとなります。



2 神戸地検の手続
(1) 被害者代理人である弁護士が神戸地検本庁で不起訴事件記録の閲覧・謄写申請をする場合,以下の書類を兵庫県弁護士協同組合謄写部(〒650-0016 神戸市中央区橘通1-4-3。電話:078-371-0548)に郵送すればいいです。
① 兵庫県弁護士協同組合宛の謄写委任状
② 民事事件の委任状のコピー
③ 交通事故証明書のコピー
④ 弁護士会照会に対する兵庫県警察署長の回答書のコピー
⑤ 神戸地検からの回答書のコピー
→ 検番に基づき刑事事件の処分状況を問い合わせた際に返ってくる文書です。
(2) 兵庫県弁護士協同組合謄写部は,実際のコピー作業は神戸地裁1階の謄写館室で行っていますものの,住所は兵庫県弁護士会と同じです。
(3) 神戸地検本庁で不起訴事件記録の閲覧をする場合,神戸地検4階の記録係が窓口になります。

第3 物件事故報告書の入手方法
1 物損事故の場合,実況見分調書ではなく,より簡略な物件事故報告書だけが作成されている場合があります。
2 物件事故報告書を取得するためには,交通事故証明書に記載されている担当の警察署に対する弁護士会照会を利用する必要があります。
    この場合,「申出の理由」として,「申出弁護士は,別紙交通事故証明書記載の交通事故(以下「本件交通事故」といいます。)について,依頼者より損害賠償請求事件の依頼を受けており,事故態様を明らかにするため,本照会に及んだ次第です。」と記載します。
    また,「照会事項」として,「本件交通事故に関し,事故発生現場の形状,衝突地点,衝突時及び衝突前後の双方の車両の位置関係並びに双方の車両の衝突箇所及び損傷箇所をご回答ください。回答に代えて,本件交通事故の現場状況図の写し及び物件事故報告書の写しをご送付いただければ幸いです。」と記載します。




第4 関連記事その他
1 不起訴事件記録の入手方法自体は起訴事件の刑事記録を入手する場合とほとんど同じであって,異なる点としては,①検察庁に提出する書類の書式が異なること,及び②150円の収入印紙が不要になることぐらいです。
    警察提出の診断書に書いてある加療期間が3週間以下の人身事故の場合,検番に基づく問い合わせをした後,検察庁から刑事事件の処分状況を知らされた時点で,加害者について罰金等の有罪判決を受けたか,又は不起訴となったのかが分かることが多いです。
2(1) 不起訴事件記録としてほぼ常に存在する実況見分調書は,事故直後に警察が当事者双方の言い分を聞いて作成することから,事故態様を判断する上で最有力の証拠となります。
(2) 実況見分調書のうち,写真が添付されている部分については,カラー印刷のコピーを取り寄せるべきです。
3(1) 不起訴事件記録の閲覧は,刑事確定訴訟記録法4条3項に基づき認められているものです。
(2) 確定記録であると,不起訴事件記録であるとを問わず,刑事記録の謄写(=コピーの取り寄せ)は,記録事務規程17条に基づき,保管検察官の裁量により認められているに過ぎません。
4(1) 被害者が告訴までしていた場合,被害者又はその代理人弁護士が検察庁に処分内容を問い合わせれば,不起訴裁定の主文(例えば,「嫌疑なし」,「嫌疑不十分」又は「起訴猶予」のいずれに該当するか。)を回答してもらえます(刑事訴訟法261条)。
(2) 加害者又はその代理人弁護士が検察庁に処分内容を問い合わせたとしても,不起訴裁定の主文(例えば,「嫌疑なし」,「嫌疑不十分」又は「起訴猶予」のいずれに該当するか。)を回答してもらうことはできません。
5 刑事訴訟法53条の2の各項に規定する「訴訟に関する書類」とは,書類の性質・内容の如何を問わず,被疑事件・被告事件に関して作成された書類をいい,検察庁の保管する書類に限らず,同庁から謄写を受けるなどして他の行政機関が保管しているものも,刑事事件記録を構成するという文書本来の性質に変化があるものではなく,これに含まれると解されています(令和2年度(行個)答申第49号(令和2年7月14日答申))。
6 以下の文書を掲載しています。
・ 令和元年12月24日付の情報公開・個人情報保護審査会の答申書(大阪地検本庁において刑事記録の閲覧謄写申請手続に関して特定の運用をしていることが分かる文書)
・ 大阪地検記録係の引継票
7 以下の記事も参照してください。
・ 交通事故事件の刑事記録の入手方法
・ 加害者の刑事裁判の判決が確定した後の,起訴事件の刑事記録の入手方法
・ 西村謄写館及びOPO謄写センター
・ 実況見分調書等の刑事記録の保管期間
→ 過失運転致死傷罪の場合,法定刑は7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金ですから,不起訴事件記録の保存期間は5年です。
・ 実況見分調書作成時の留意点
・ 刑事記録の入手方法等に関する記事の一覧

保管記録等取扱要領について(平成25年3月26日付の大阪高検検事長の通達)別表第2→中身は,記録事務規程25条と同じです。

加害者の刑事裁判の判決が確定した後の,起訴事件の刑事記録の入手方法

目次
第1 刑事記録の入手方法
1 総論
2 大阪地検で確定した起訴事件の刑事記録の閲覧・謄写申請をする場合の取扱い
3 裁判書の謄本又は抄本の交付請求
第2 刑事記録の閲覧・謄写に関する法律の定め
1 総論
2 訴訟関係人又は閲覧につき正当な理由があると認められる者の閲覧
3 第三者の閲覧
4 閲覧を拒否された場合の手続
5 保管検察官の謄写拒否は争えないこと
第3 確定した起訴事件の刑事記録の閲覧・謄写に関する大阪地検の説明内容
第4 検察庁における刑事記録の謄写に関する国会答弁
第5 刑事記録の公開の趣旨
第6 閲覧した刑事記録に基づくネット記事
第7 関連記事その他

第1 刑事記録の入手方法
1 総論
(1) 被害者代理人である弁護士が大阪地検で起訴事件の刑事記録を入手する場合,①検察庁に対し,刑事事件の処分状況を,検番,送致年月日等を記載した「調査依頼書」と題する手紙(添付書類は,交通事故証明書及び民事事件の委任状のコピー並びに84円切手を貼付した返信用封筒となります。)で問い合わせをして回答書を送ってもらい,②罰金等の有罪判決が確定した後に保管記録の閲覧・謄写申請をすればいいです。
(2) 加害者代理人である弁護士が大阪地検で起訴事件の刑事記録を入手する場合,検察庁に対して同じように処分結果の問い合わせをして回答書を送ってもらい(刑事訴訟法259条),起訴事件の刑事記録の閲覧・謄写申請をすればいいです。
(3) 検察庁に対して電話で問い合わせをする場合,被疑者・被告人の氏名のほか,回答書に書いてある回答整理番号を伝えればいいです。


2 大阪地検で確定した起訴事件の刑事記録の閲覧・謄写申請をする場合の取扱い
(1)ア 被害者代理人であると加害者代理人であるとを問わず,代理人弁護士が
大阪地検で確定した起訴事件の刑事記録の閲覧・謄写申請をする場合,以下の書類を記録係の窓口に持参して提出する必要があります(大阪地検本庁の場合,記録係の窓口(午前は11時30分まで。午後は3時30分まで)は8階にあります。)。

① 保管記録閲覧請求書(検察庁指定の書式によるもの)
② 謄写申出書(検察庁指定の書式によるもの)
③ 民事事件の委任状のコピー
④ 交通事故証明書のコピー
⑤ 回答書のコピー
・ 検番に基づき刑事事件の処分状況を問い合わせた際に返ってくる文書です。
⑥ 閲覧・謄写に関する申出書
・ 謄写業者としてOPO謄写センターと西村謄写館のどちらかを選択します。
・ 写真等についてカラーコピーを希望する場合,その旨を余白に記載する必要があります。
・ 西村謄写館を利用した場合,秋田ビル西村謄写館(大阪地裁本庁の近くにあります。),検察庁堺支部内閲覧室又は郵送により謄写した刑事記録を受け取ることになります。
⑦ 弁護士の職印

⑧ 弁護士会発行の身分証明書
イ 閲覧・謄写申請のためだけに大阪地検記録係の窓口に行く場合,事前の予約は不要です。
(2) 閲覧申請で必要となる
150円の収入印紙刑事確定訴訟記録法7条・刑事確定訴訟記録法施行規則13条・刑事確定訴訟記録閲覧手数料令)については,原則として,閲覧謄写の許可が出た後,窓口に持参して納付します(この場合,大阪地検の窓口に二度,赴くこととなります。)。
    ただし,閲覧謄写の許可が出た後,大阪地検に対して150円の収入印紙を郵送した上で,OPO謄写センター又は西村謄写館で謄写済みの刑事記録を入手することもできます(この場合,大阪地検の窓口に一度だけ赴くこととなります。)。
(3) 堺支部,岸和田支部又は羽曳野区検の刑事記録を謄写したい場合,西村謄写館を利用する必要があります。


3 裁判書の謄本又は抄本の交付請求
・ 被告人等の訴訟関係人は,裁判書(判決書又は略式命令書)の謄本又は抄本の交付請求をすることができます(記録事務規程33条)。


記録事務規程様式第16号

第2 刑事記録の閲覧・謄写に関する法律の定め
1 総論
(1) 刑事記録の閲覧は,刑事訴訟法53条及び刑事確定訴訟記録法4条に基づき,法律上認められた権利であります。

    ただし,憲法21条及び82条は,刑事確定訴訟記録の閲覧を権利として要求できることまでを認めたものではありません(最高裁平成27年10月27日決定。なお,先例として,最高裁平成2年2月16日決定参照)。
(2)  刑事確定訴訟記録法4条1項ただし書,刑訴法53条1項ただし書にいう「検察庁の事務に支障のあるとき」には,保管記録を請求者に閲覧させることによって,その保管記録に係る事件と関連する他の事件の捜査や公判に不当な影響を及ぼすおそれがある場合が含まれます(最高裁平成27年10月27日決定)。 
(3) 刑事記録を閲覧した場合,閲覧により知り得た事項をみだりに用いて,公の秩序若しくは善良の風俗を害し,犯人の改善及び更生を妨げ,又は関係人の名誉若しくは生活の平穏を害する行為をしてはなりません(刑事確定訴訟記録法6条)。
2 訴訟関係人又は閲覧につき正当な理由があると認められる者の閲覧

(1) 訴訟関係人の典型例は元被告人であります最高裁平成20年6月24日決定参照し,元被告人の代理人弁護士も「訴訟関係人」に含まれると思います。
   最高裁平成21年9月29日決定は,
再審請求人により選任された弁護人は「閲覧につき正当な理由があると認められる者」に該当すると判示しているものの,当該事案の再審請求人は「訴訟関係人」ではなかったのかもしれません(再審請求権者につき刑事訴訟法439条1項参照)。

(2) 訴訟関係人又は閲覧につき正当な理由があると認められる者は,刑事確定訴訟記録法4条2項各号に該当する場合であっても,刑事記録を閲覧できます。
   ただし,刑事確定訴訟記録法6条の規定に照らし,関係人の名誉又は生活の平穏を害する行為をする目的でされた刑事記録の閲覧請求は権利の濫用として許されないのであって,例えば,関係者の身上,経歴等プライバシーに関する部分についての閲覧請求は,当該関係者の名誉又は生活の平穏を害する行為をする目的でされたと認められる相当の理由がある場合,権利の濫用として閲覧を許可してもらえません(最高裁平成20年6月24日決定)。
(3) 実務上,検察庁からは,身上・前科等のプライバシー部分についてはそもそも閲覧・謄写の請求をしないように要請されます。

3 第三者の閲覧
(1) 以下の場合,訴訟関係人又は閲覧につき正当な理由があると認められる者から閲覧の請求があった場合を除き,閲覧できません(刑事確定訴訟記録法4条2項各号)。

① 保管記録が弁論の公開を禁止した事件のものであるとき。
② 保管記録に係る被告事件が終結した後3年を経過したとき。
③ 保管記録を閲覧させることが公の秩序又は善良の風俗を害することとなるおそれがあると認められるとき。

④ 保管記録を閲覧させることが犯人の改善及び更生を著しく妨げることとなるおそれがあると認められるとき。
⑤ 保管記録を閲覧させることが関係人の名誉又は生活の平穏を著しく害することとなるおそれがあると認められるとき。
⑥ 保管記録を閲覧させることが裁判員,補充裁判員,選任予定裁判員又は裁判員候補者の個人を特定させることとなるおそれがあると認められるとき。
(2) 刑事事件の判決書は,国家刑罰権の行使に関して裁判所の判断を示した重要な記録として,裁判の公正担保の目的との関係においても一般の閲覧に供する必要性が高いとされている記録ですから,プライバシー部分以外については,第三者であっても閲覧を許可してもらえることがあります(最高裁平成24年6月28日決定参照)。
    ただし,刑事確定訴訟記録法4条2項の不開示事由は実務上,非常に広く解釈されているため,少なくとも検察庁レベルでは,訴訟関係人以外の第三者が刑事記録を閲覧することは非常に難しいです(東京地検への閲覧申込みの体験談につき,
週刊金曜日ブログ「司法の秘密主義ってひどくなってないか」参照)。
(3) 市民グループの代表者として,国民・周辺住民の知る権利や平穏に生活する権利を主張するにすぎない場合,第三者としての閲覧になります(最高裁平成27年12月14日決定)。
4 閲覧を拒否された場合の手続
(1) 保管検察官は,保管記録について閲覧の請求があった場合において,請求に係る保管記録を閲覧させないときは,その旨及びその理由を書面により請求をした者に通知します(
刑事確定訴訟記録法施行規則8条3項)。

   そして,保管検察官の閲覧に関する処分について不服がある場合,準抗告により,その保管検察官が所属する検察庁の対応する裁判所(例えば,保管検察官が大阪地検に所属していた場合,大阪地裁)にその処分の取消し又は変更を請求することができます(刑事確定訴訟記録法8条・刑事訴訟法430条1項)。
(2) 保管検察官が閲覧を不許可とする場合,刑事確定訴訟記録法に規定する事由を通知してくるだけです(最高裁平成6年2月24日決定参照)。
(3) 刑事確定訴訟記録法に基づく判決書の閲覧請求について,「プライバシー部分を除く」とする限定の趣旨を申立人に確認することなく,閲覧の範囲を検討しないまま,民事裁判においてその内容が明らかにされるおそれがあるというだけの理由で同法4条2項4号及び5号の閲覧制限事由に該当するとして判決書全部の閲覧を不許可とした保管検察官の処分には,同条項の解釈適用を誤った違法があります(最高裁平成24年6月28日決定)。
(4) 地方検察庁に属する検察官が区検察庁の検察官の事務取扱いとして保管記録の閲覧に関する処分をした場合、当該区検察庁の対応する簡易裁判所は、法8条1項にいう「保管検察官が所属する検察庁の対応する裁判所」に当たります(最高裁令和5年1月30日決定)。
5 保管検察官の謄写拒否は争えないこと
・ 保管検察官の謄写拒否は,刑事確定訴訟記録法8条1項にいう「閲覧に関する処分」に当たりませんから,裁判所に対する準抗告により争うことはできません(最高裁平成14年6月4日決定)。

第3 確定した起訴事件の刑事記録の閲覧・謄写に関する大阪地検の説明内容
1 令和元年12月24日付の情報公開・個人情報保護審査会の答申書(大阪地検本庁において刑事記録の閲覧謄写申請手続に関して特定の運用をしていることが分かる文書)には以下の記載があります。
    大阪地方検察庁本庁における不起訴記録の閲覧謄写申請に係る運用等について,当審査会事務局職員をして諮問庁に確認させたところ,諮問庁は,おおむね以下のとおり補足して説明する。
(ア)保存記録(不起訴記録等)の閲覧・謄写について具体的に定めた規程はない。
    不起訴記録は,刑事訴訟法47条により原則非公開となるところ,同条ただし書に該当する場合にのみ,例外として公開されるものであるため,その閲覧の可否は,個々の事案ごとに検察官の合理的裁量によって決定される。
    記録法や記録事務規程において,保管記録(刑事確定訴訟記録等)の閲覧・謄写の手続が定められているため,同規程を準用して不起訴記録の閲覧・謄写の事務を行っている。
(イ)審査請求人は,大阪地検の記録係職員から,上記第2の2記載の趣旨の説明を受けたと主張しているが,記録係窓口に赴かない限り,刑事記録の閲覧謄写を認めないとは言っておらず,審査請求人に対し,閲覧請求書等の窓口提出のためと許可後の閲覧手数料納付のため,2度窓口に来庁するよう,お願いした事実はある。
(ウ)上記(イ)の閲覧請求書等の窓口提出のためと許可後の閲覧手数料納付のため,2度窓口に来庁するようお願いするなどの運用は,大阪地検独自の判断で運用しており,根拠となる文書は存在しない。
(エ)上記のように運用している理由は,保管記録閲覧請求時には,記録法施行規則8条(上記(ア)のとおり,不起訴記録はこれに準じて取り扱う。)により,請求書を提出しなければならないが,運用に関して具体的な提出方法を定めたものはなく,閲覧の許否の判断には,請求者の状態を含めて,正当な理由等の確認を行う必要があり,郵送での取扱いは,なりすましや情報不足などの弊害もあるためであり,大阪地検においては実務上,窓口での手続を行っている。
    また,許可決定後の閲覧手数料(印紙)の納付については,記録法施行規則13条により印紙収納を可能とし,刑事確定訴訟記録閲覧手数料令で手数料を記録1件につき1回150円と定め,納付と閲覧の関係は,記録法7条には「閲覧する者は手数料を納付しなければならない」,記録事務規程14条3項には「納付されたときは,閲覧年月日を記入した上,閲覧請求者に保管記録を閲覧させる」,記録法施行規則12条には「閲覧の日時,場所及び時間を指定することができる」旨規定されており,手数料納付日に指定場所での閲覧を定め,許可決定後に,指定場所で納付して閲覧させることになるため,閲覧手数料は窓口で許可決定後に納付することになることを原則として運用している。
    窓口申請の協力をお願いしている理由は,本人確認の必要がある上,毎日多数の記録閲覧の申請があるところ,その申請書等の記載内容等に不備があるものが散見されることから,窓口において,全件,確認しているためである。
    これらが全て郵送で申請されると,本人確認や書類の不備等の確認のため,閲覧許可までの手続にどうしてもかなりの時間がかかってしまい,こちらの業務のみならず相手方の業務にも支障が生じることになる。
    また,手数料(印紙)の納付についても同じく,多数の申請分の印紙が全て郵送されることになると,その管理や授受の明確性の担保のために時間を要し,やはりお互いの業務に支障が生じることになることから,窓口に来庁してもらう運用を執っている。
(オ)大阪地検以外の他の地方検察庁本庁でも上記(イ)ないし(エ)と同様の運用をしているか否かについては,各庁の判断において運用しているものである。
2 大阪地検記録係の引継票も参照して下さい。

第4 検察庁における刑事記録の謄写に関する国会答弁
・ 24期の大林宏法務省刑事局長は,平成17年6月3日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています。
    検察庁における刑事記録の謄写につきましては、その性質上、紛失や破損、情報漏えい等がないよう、慎重かつ厳重に取り扱う必要がありますので、謄写事務については、弁護士会の事務員やその他の謄写業者において行っていると承知しております。
    金額については、謄写を依頼される方とそれから今のように現実に謄写される人との契約関係といいますか、そういう問題で、必ずしも金額は固定されているものではない、このように承知しております。
    また、刑事記録の謄写につきましては、コピー機等による複写に限られておりませんで、閲覧者である被害者が閲覧室に持ち込んだカメラ、いわゆるデジタルカメラによる記録の撮影等も認めておるところでございます。今、このようなカメラが非常に技術的に進んでいるというふうに伺っておりますので、このような形の謄写ということも今後ふえてくるのではないか、こういうふうに考えております。
    なお、刑事記録の謄写費用を含めた国による損害賠償請求費用の補償等の問題につきましては、内閣府に設置された、今御指摘の犯罪被害者等基本計画検討会においても検討されているところでございまして、法務省といたしましても適切に対応してまいりたい、このように考えております。

第5 刑事記録の公開の趣旨
1 木内曽益検務長官は,昭和23年5月31日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています。
    これ(山中注:確定訴訟記録の公開の制度)は五十三條であります。何人も被告事件の終結後、原則として訴訟記録を閲覽できるものといたしたのであります。これは裁判の公正を担保する趣旨に基くものであります。
2 国際人権規約(自由権規約)14条1項は以下のとおりです。
    すべての者は、裁判所の前に平等とする。すべての者は、その刑事上の罪の決定又は民事上の権利及び義務の争いについての決定のため、法律で設置された、権限のある、独立の、かつ、公平な裁判所による公正な公開審理を受ける権利を有する。報道機関及び公衆に対しては、民主的社会における道徳、公の秩序若しくは国の安全を理由として、当事者の私生活の利益のため必要な場合において又はその公開が司法の利益を害することとなる特別な状況において裁判所が真に必要があると認める限度で、裁判の全部又は一部を公開しないことができる。もっとも、刑事訴訟又は他の訴訟において言い渡される判決は、少年の利益のために必要がある場合又は当該手続が夫婦間の争い若しくは児童の後見に関するものである場合を除くほか、公開する。

第6 閲覧した刑事記録に基づくネット記事
1(1) しんぶん赤旗HP「日曜版スクープに反響 「桜」前夜祭に新たな重大疑惑 安倍氏側 酒持ち込み提供 毎年サントリーから無償寄付受け」(2022年5月29日付)には,「安倍晋三元首相側が「桜を見る会」前夜祭の会場に大量の酒を持ち込み、有権者らにふるまっていた―。桜を見る会をめぐる新たな重大疑惑を報じた赤旗日曜版(5月29日号)のスクープ記事が大きな反響を広げています。」とか,「日曜版編集部は、東京地検に前夜祭をめぐる事件の記録の閲覧を請求。開示された文書の中に前夜祭会場のホテル職員が作成した「宴会ファイル」(2017~19年分)がありました。」と書いてあります。
(2) 東京新聞HPの「鶏卵汚職事件、西川公也元農相も1500万円受領 本紙請求の刑事確定訴訟記録で判明 」(2024年8月2日付)には「鶏卵生産大手「アキタフーズ」から現金を受け取ったとして、2022年に吉川貴盛元農林水産相の収賄罪が確定した鶏卵汚職事件で、吉川氏の約5年前に農相を務めた、栃木2区選出で元自民党衆院議員の西川公也氏(81)が、21年の東京地検特捜部の聴取に、同社から14~20年の6年間に計1500万円を受け取ったと供述していたことが、本紙の請求で東京地検が開示した刑事確定訴訟記録で分かった。」と書いてあります。
2 刑事確定訴訟記録法6条は「保管記録又は再審保存記録を閲覧した者は、閲覧により知り得た事項をみだりに用いて、公の秩序若しくは善良の風俗を害し、犯人の改善及び更生を妨げ、又は関係人の名誉若しくは生活の平穏を害する行為をしてはならない。」と定めています。

第7 関連記事その他
1 交通事故事件の確定記録の場合,起訴状,実況見分調書,被告人・被害者の供述調書,信号周期表及び裁判書は閲覧・謄写できます。
    しかし,前科調書,身上調書,裁判書の前科記載部分等のプライバシー記載部分は閲覧できません。
2 刑事訴訟法53条の2の各項に規定する「訴訟に関する書類」とは,書類の性質・内容の如何を問わず,被疑事件・被告事件に関して作成された書類をいい,検察庁の保管する書類に限らず,同庁から謄写を受けるなどして他の行政機関が保管しているものも,刑事事件記録を構成するという文書本来の性質に変化があるものではなく,これに含まれると解されています(令和2年度(行個)答申第49号(令和2年7月14日答申))。
3 痴漢・盗撮弁護士相談Cafe「罰金刑の金額と納付方法、払えない場合|略式起訴されそうな方へ」が載っています。
4 令和5年度(最情)答申第3号(令和5年10月3日答申)には「刑事訴訟事件については、何人も、被告事件の終結後、訴訟記録の保存又は裁判所若しくは検察庁の事務に支障がある場合を除いて、訴訟記録を閲覧することができることとされている(刑事訴訟法53条)ことから、事件番号によって特定される事件の訴訟記録を閲覧することで、一般に、各訴訟記録に記載された対象事件の被告人の氏名や住所等を知ることが可能となり、特定の個人を識別することができることとなる。」と書いてあります。
5(1) 以下の資料を添付しています。
・ 東京地検記録事務細則(平成25年3月29日付の東京地検検事正訓令)
(2) 以下の記事も参照してください。
 交通事故事件の刑事記録の入手方法
・ 不起訴事件記録(例えば,実況見分調書及び物件事故報告書)の入手方法
・ 西村謄写館及びOPO謄写センター
・ 
実況見分調書等の刑事記録の保管期間

→  罰金刑の場合,略式命令書又は判決書の保管期間は20年,事件記録の保管期間は3年です。
・ 刑事裁判係属中の,起訴事件の刑事記録の入手方法(加害者である被告人側)
・ 刑事記録の入手方法等に関する記事の一覧

保管記録等取扱要領について(平成25年3月26日付の大阪高検検事長の通達)別表第1→中身は,
刑事確定訴訟記録法
別表(第二条関係)と同じです。

新任判事補研修の資料

目次
第1 新任判事補研修の資料
・ 76期対象の,令和5年度新任判事補研修の資料(令和6年1月17日~1月19日)
・ 75期対象の,令和4年度新任判事補研修の資料(令和5年1月17日~1月19日)
・ 74期対象の,令和4年度新任判事補研修の資料(令和4年5月18日~5月20日)
・ 73期対象の,令和2年度新任判事補研修の資料(令和3年1月19日~1月21日)
・ 72期対象の,令和元年度新任判事補研修の資料(令和2年1月17日~1月23日)
・ 71期対象の,平成30年度新任判事補研修の資料(平成31年1月17日~1月23日)
・ 70期対象の,平成29年度新任判事補研修の資料(平成30年1月17日~1月23日)
・ 69期対象の,平成28年度新任判事補研修の資料
・ 68期対象の,平成27年度新任判事補研修の資料(一部です。)
第2 検察実務から見た,刑訴法60条1項2号の「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」の意義
第3 令状実務に関する元裁判官等のコメント
第4 関連記事その他

* 新任判事補に対しては判事補10号が適用されます(令和6年10月9日付の国の答弁書9頁)ところ,令和5年1月1日現在,東京地裁に勤務している場合の判事補10号の年収は622万2152円です(裁判官・検察官の給与月額表(令和5年1月1日現在)参照)。


第1 新任判事補研修の資料
・ 76期対象の,令和5年度新任判事補研修の資料(令和6年1月17日~1月19日)
① 参加者名簿
② 日程表
③ 新任判事補に期待すること
④ 裁判所職員制度の概要-参考資料-
→ 例えば,判事補の外部経験の説明文書裁判官の人事評価に関する文書裁判官の給与関係文書裁判官の休暇・休業関係文書が含まれています。
・ 75期対象の,令和4年度新任判事補研修の資料(令和5年1月17日~1月19日)
① 参加者名簿
 日程表
③ 新任判事補に期待すること
④ 裁判所職員制度の概要-参考資料-
⑤ 裁判所の予算事情について


・ 74期対象の,令和4年度新任判事補研修の資料(令和4年5月18日~5月20日)
① 日程表兼研究会場等一覧
② 参加者名簿
③ 班別名簿
④ 自己紹介
→ 中身は真っ黒です。
⑤ 新任判事補に期待すること
⑥ 「令状事務の留意点」(進行予定)+執務参考資料
⑦ 裁判所における人事の仕組み+主なスケジュール
⑧ 裁判所の組織と機構
⑨ 班別意見交換「目指すべき裁判官になるために」
⑩ 裁判所職員制度の概要-参考資料-
⑪ 民事事件裁判資料
⑫ 新任判事補の皆さんへ~刑事裁判の扉~
⑬ 行政局参考資料
⑭  家庭裁判所の現状と課題(令和4年5月の最高裁判所家庭局の文書)

裁判所職員制度の概要-参考資料-52頁です。


・ 73期対象の,令和2年度新任判事補研修の資料(令和3年1月19日~1月21日)
① 日程表
② 参加者名簿
③ 新任判事補に期待すること
④ 民事事件参考資料
⑤ 裁判所職員制度の概要-参考資料-
→ 裁判官の給与裁判官・検察官の給与月額表裁判官の休暇・休業について仕事と家庭生活の両立のための制度一覧裁判官の兼職について裁判所における一般職の職員等が含まれています
⑥ 裁判所における情報セキュリティとITについて


・ 72期対象の,令和元年度新任判事補研修の資料(令和2年1月17日~1月23日)
① 日程表
② 参加者名簿
③ 新任判事補に期待すること
④ 合議における判例調査の在り方(民事)
⑤ 外部から見た裁判所・裁判官
⑥ 参考統計表
⑦ 裁判所職員制度の概要-参考資料-
→ 裁判官の給与裁判官・検察官の給与月額表裁判官の休暇・休業について裁判官の旧姓使用について裁判官の倫理について裁判官以外の裁判所職員の官職等について等が含まれています。
⑧ 裁判所における情報セキュリティとITについて


・ 71期対象の,平成30年度新任判事補研修の資料(平成31年1月17日~1月23日)
① 裁判官任命後の研修の実施について
② 研修参加にあたって
③ 参加者名簿
④ 日程表兼研究会場等一覧
⑤ ようこそ,わが裁判所へ!~プロフェッショナルとしての左陪席になるために
⑥ 外部から見た裁判所・裁判官
⑦ 参考統計表
⑧ 裁判所職員制度の概要
⑨ 裁判所における情報セキュリティとITについて
⑩ 資料及び条文集

 70期対象の,平成29年度新任判事補研修の資料(平成30年1月17日~1月23日)
① 新任判事補に期待すること(平成30年1月18日)
② 裁判所における情報セキュリティとITについて(情報政策課からの説明)(平成30年1月19日)
③ 裁判所職員制度の概要

 69期対象の,平成28年度新任判事補研修の資料
① 新任判事補に期待すること~マインドの重要性~(平成29年1月18日)
② 裁判所における情報セキュリティとITについて(情報政策課からの説明)(平成29年1月19日)
③ 新任判事補への期待~裁判について考える~(民事裁判)(平成29年1月20日)
④ 新任判事補への期待~裁判について考える~(刑事裁判)(平成29年1月20日)

・ 68期対象の,平成27年度新任判事補研修の資料(一部です。)
→ 以下の資料が含まれています。
① 裁判所の種類及び数
② 裁判所機構図
③ 裁判所職員の定員に関する根拠法令
④ 裁判所職員(執行官を除く。)の定員
⑤ 地方裁判所本庁の組織図
⑥ 裁判所の新受事件の推移(下級裁判所)(平成17年~平成26年)
⑦ 過去20年間(平成7年~平成26年)の平均審理期間の推移
⑧ 下級裁判所事務処理規則
⑨ 大法廷首席書記官等に関する規則
⑩ 司法制度改革の全体像
⑪ 司法制度改革の流れに関する資料

司法研修所別館の案内図(左上が裁判所職員総合研修所の宿泊棟であり,左下が司法研修所別館のなごみ寮です。)


第2 検察実務から見た,刑訴法60条1項2号の「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」の意義
1 「検察実務から学ぶ刑事手続の基礎」(捜査手続1-事件受理から勾留状の執行まで)には以下の記載があります(法学教室2022年10月号75頁及び76頁)。
(1) 本文の記載
  「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」(2号・罪証隠滅のおそれ)については,①隠滅の対象となる事実(どのような事実が隠滅の対象となるか),②隠滅の態様(どのような方法で隠滅するか),③隠滅の余地(隠滅が客観的に実行可能で,かつ実行した場合に効果が生じる可能性があるか)及び④隠滅の主観的可能性(被疑者が実際に罪証隠滅行為に出る可能性があるか)といった観点を念頭に置いて検討することが一般的であり,その結果,単なる抽象的な可能性にとどまらない罪証隠滅の蓋然性が認められると判断されれば,2号該当性を認めて勾留請求しています。なお,罪証隠滅のおそれは,被疑者が身柄を拘束されていない(釈放された)状態にあることを前提としてその有無を判断する必要があることに留意する必要があります。
(2) 脚注の記載
① 隠滅の対象となる事実には,犯罪事実(例えば,被疑者の犯人性,暴行の有無や態様,故意,共謀など)のほか,被疑者の刑事責任の重さを判断する上で重要な情状事実(例えば,動機,計画性,凶器や薬物の入手経路,常習性など)も含まれるものと考えられる。
② 隠滅の態様には,既に存在する証拠を隠滅するもののほか,新たな証拠を作出するものなどがある。例えば,凶器を隠す・捨てる,証人となり得る者に供述を返させるべく働きかける,共犯者や事件関係者と口裏を合わせるなどが典型例だが,最近では,犯行の証拠となり得る電子メールやSNSのメッセージを消去する,携帯電話やパソコン等に後から内容虚偽のデータを入力するなどの行為が見られる。
③ 例えば,捜査機関に押収されている証拠物を隠滅することは,通常,客観的に実行可能とは言い難いであろう。また,友人に働きかける態様に比べれば,面識がなく居所を知らない人や被疑者に敵意を抱いている人に働きかける態様の方が,実行可能性や実効性は低いのが通常であろう。
④ 隠滅の主観的可能性は,重い処罰が予想されるほど高まると考えられる。これには,犯罪自体が重大であるため重い処罰が予想される場合や,前科の存在故に重い処罰が予想される場合などがある。また,罪証隠滅の余地が大きく,しかもその隠滅行為を用意になし得る場合は,隠滅の主観的可能性も高まると考えられる。さらに,被疑者の供述態度や供述内容が重要な判断要素とされることも多い。


2 31期の小泉博嗣 元裁判官は,情報公開・個人情報保護審査会の第1部会の委員として,以下の文書の存否自体が行政機関情報公開法5条4号(公共の安全等に関する情報)に該当すると判断しました。
① 保釈中の被告人が保釈保証金を没取されることなく罪証隠滅に成功した事例に関して法務省が作成し,又は取得した文書(直近の事例に関するもの)(令和元年11月12日答申(令和元年度(行情)答申第296号))
② 保釈中の被告人が事件関係人に接触した結果,事件関係人の供述を自己に有利に変更して無罪判決を獲得した事例に関して法務省が作成し,又は取得した文書(直近の事例に関するもの)(令和元年11月12日答申(令和元年度(行情)答申第297号))


第3 令状実務に関する元裁判官等のコメント
1 早稲田大学HPに載ってある「河合健司元仙台高裁長官講演会講演録 裁判官の実像」には,「最近,痴漢事件で捕まりそうになり,逃げて,電車にひかれたという悲惨な事件があります。裁判で怖いのは慣れです。長くやっていると,令状を出すことに余り抵抗を感じなくなる。これは怖いことです。私は自分を常に戒めてきたつもりですが,果たしてどうであったか内心忸怩たる思いです。」と書いてあります(リンク先のPDF18頁)。
2 70期の池上恒太裁判官は,札幌市中央区の村松法律事務所で弁護士職務経験判事補をしていた当時,「弁護士しています~弁護士職務経験の声~」(自由と正義2022年10月号35頁)に以下の記載をしています。
  裁判官として刑事事件の経験が長いこともあり、刑事事件には積極的に取り組むようにしています。裁判官時代に記録を読むだけでは分からなかった、身柄を拘束されている人の生の声を聴くと、本当に身柄拘束をしてまで捜査を遂げなくてはならない事件はどれだけあるのかということを考えさせられることもあります。


第4 関連記事その他
1(1) 令和元年度(最情)答申第65号(令和元年12月20日答申)には以下の記載があります。
    裁判官及び裁判官の秘書官以外の裁判所職員については,裁判所職員臨時措置法において準用する国家公務員法97条の規定により,服務の宣誓をしなければならないこととされており,裁判所職員の服務の宣誓に関する規程において,その手続が定められている。これに対し,裁判官については,同法の規定が適用又は準用されず,服務に関しては裁判所法や官吏服務紀律に規定があるほか,例えば倫理保持に関しては高等裁判所長官の申合せがあるところ,これらには服務の宣誓に関する定めはない。
(2) 官吏服務紀律4条1項の「官ノ機密」は,国家公務員法100条1項の「職務上知ることのできた秘密」とその内容において差異はないものと解されています(参議院議員秦豊君提出官吏服務紀律の解釈と運用の実態等に関する質問に対する答弁書(昭和56年1月16日付)参照)。
2 検察官等のした差押に関する処分に対して,刑訴法430条の規定により不服の申立を受けた裁判所は,差押の必要性の有無についても審査することができます(最高裁昭和44年3月18日決定)。
3(1) 市民的及び政治的権利に関する国際規約9条3項は以下のとおりです。
  刑事上の罪に問われて逮捕され又は抑留された者は、裁判官又は司法権を行使することが法律によって認められている他の官憲の面前に速やかに連れて行かれるものとし、妥当な期間内に裁判を受ける権利又は釈放される権利を有する。裁判に付される者を抑留することが原則であってはならず、釈放に当たっては、裁判その他の司法上の手続のすべての段階における出頭及び必要な場合における判決の執行のための出頭が保証されることを条件とすることができる。
(2) 名古屋高裁平成15年12月24日判決は,「接見交通権が自由であることは刑事手続における大原則であるから,弁護人等と被疑者との文書の授受が,接見等の禁止の有無にかかわらず原則として自由であることは,裁判官として当然知っていなければならない最も基本的な事項の一つである。」と判示しています。
(3) 角川人質司法違憲訴訟弁護団が運営していると思われる人間の証明HPに載ってある訴状(令和6年6月27日付)には,人質司法が国際人権法等に違反することに関する詳しい記載があります。
4(1) 少年事件の場合,検察官送致決定(少年法20条)を除き,未特例判事補が一人で裁判をすることができます(少年法4条)。
(2) 判事補を3年経験すれば,簡易裁判所判事の任命資格を取得します(裁判所法44条1項1号)。
5 東北大学HPの「裁判官の学びと職務」(令和5年11月22日に東北大学法科大学院で行われた、法科大学院学生を対象とした47期の井上泰士の講演原稿に大幅に加筆したもの)には以下の記載があります。
    合議にはルールがありまして、まずは「一番立場が下の者から発言せよ」というものがあります。戦前の裁判所構成法 122 条には、「評議の際各判事意見を述ふるの順序は官等の最も低き者を始とし裁判長を終とす。官等同きときは年少の者を始とし受命の事件に付ては受命判事を始とす。」という規定がありました。現在の裁判所法76条は、「裁判官は、評議において、その意見を述べなければならない。」と定めるにとどまりますが、現在でも、裁判所での合議に当たっては、この発言順序に関するルールが慣習として守られております。そのため、合議は特に若手の裁判官を鍛える修練の場になっております。
6 「大河原化工機事件の身柄判断を検証する」(筆者は新61期の趙誠峰弁護士)には以下の記載があります(季刊刑事弁護119号167頁)。
・    最高裁判所は、「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」の解釈として、平成26年から平成27年にかけて立て続けに決定を出している(最一決平成26年11月17日裁判集刑事315号183頁最一決平成26年11月18日刑集68巻9号1020頁最三決平成27年4月15日裁判集刑事316号143頁)。これらの判例が示すものは、罪証隠滅について「実効性のある罪証隠滅行為」「現実的な可能性」「具体的可能性」を検討しなければならないというものである。ところが、この事件(山中注:大河原化工機事件)の身体拘束の判断が如実に示しているとおり、裁判官は抽象的な可能性で罪証隠滅の相当理由を認め続けているのである。これが人質司法をより深刻化させている。今すぐにこのような身体拘束についての判断を変えなければ、本事件の悲劇は今後も繰り返されることは間違いない。
・ 本件で誤った身体拘束の判断をしたのは、岡野清二、世森ユキコ、吉崎佳弥、井下田英樹、池田翔平、赤松亨太、柏戸夏子、遠藤圭一郎、蛭田円香、坂田正史、島尻大志、長野慶一郎、宮本誠、丹羽敏彦、長池健司、佐藤有紀、小林謙介、西山志帆、松村光泰、楡井英夫、竹田美波、佐藤みなと、本村理絵、牧野賢、三貫納隼、守下実、家入美香、一社紀行、佐伯恒治、室橋秀紀、名取桂の各裁判官である。
7 NHKの「大阪地検 元検事正の性的暴行事件 被害者が同僚の副検事を告訴」(2024年10月25日付)には「女性は初公判後の記者会見で、同僚の副検事の女性が元検事正側に捜査情報を漏らしたり、被害の訴えがうそだったといううわさを職場で広めたりしたと訴え、この副検事を国家公務員法違反や名誉毀損などの疑いで、大阪高等検察庁に刑事告訴したことを明らかにしました。」と書いてあります。
8(1) 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(平成28年5月19日参議院法務委員会)には「保釈に係る判断に当たっては、被告人が公訴事実を認める旨の供述等をしないこと又は黙秘していることのほか、検察官請求証拠について刑事訴訟法第326条の同意をしないことについて、これらを過度に評価して、不当に不利益な扱いをすることとならないよう留意するなど、本法の趣旨に沿った運用がなされるよう周知に努めること。」と書いてあります。
(2) 刑事裁判を考える:高野隆@ブログ「人質司法の原因と対策」には,「アメリカの司法統計によると、重罪(殺人、レイプ、強盗などを含む)で逮捕された容疑者の62%は公判開始前に釈放されている。身柄拘束が続く残り38%の内訳をみると、32%は裁判官が設定した保釈金が用意できないために身柄拘束が続いているのであり、保釈そのものが拒否されるのは6%に過ぎない」と書いてあります。
9(1) 以下の資料を掲載しています。
・ 新・勾留票の一生(執筆者は日本裁判所書記官協議会福岡高裁支部)(会報書記官16号)
・ 京都地裁の新任裁判官研さん要領(平成29年4月1日最終改正)
(2) 以下の記事も参照してください。
(裁判官関係)

・ 判事補の採用に関する国会答弁
・ 司法研修所別館の研修東棟及びなごみ寮
・ 新任判事補の採用内定通知から辞令交付式までの日程
・ 新任判事補任命の閣議決定及び官報掲載の日付
・ 裁判官の合同研修に関する説明文書
 裁判所職員総合研修所の研修実施計画等
・ 判事補基礎研究会の資料
・ 判事任官者研究会の資料
・ 弁護士任官者研究会の資料
・ 裁判官の年収及び退職手当(推定計算)
・ 裁判官及び検察官に超過勤務手当等が支給されない理由
・ 裁判官第一カード,裁判官第二カード及び裁判官第三カード
(その他関係)
・ 裁判所の情報公開に関する通達等
・ 司法行政文書に関する文書管理
・ 民事事件の裁判文書に関する文書管理
・ 裁判文書の文書管理に関する規程及び通達
・ 最高裁判所裁判部作成の民事・刑事書記官実務必携
・ 裁判所書記官,家裁調査官及び下級裁判所事務局に関する規則,規程及び通達

* 平成28年度新任判事補研修の資料からの抜粋

司法研修所関係資料からの抜粋


裁判所職員総合研修所の研修実施計画

目次
1 研修計画協議会の事前配布資料
2 裁判所職員総合研修所の研修実施計画
3 裁判所職員総合研修所の研修計画協議会説明要旨
4 裁判所職員(裁判官以外)研修の実施に関する重要な事項
5 研修実施結果報告
6 裁判所職員総合研修所の組織
7 裁判官以外の裁判所職員の研修等に関する令和3年6月当時の最高裁判所の説明
8 関連記事その他

1 研修計画協議会の事前配布資料
令和 元年度令和 2年度令和 3年度
令和 4年度令和 5年度令和 6年度
* 「令和4年度研修計画協議会の事前配布資料について(令和4年12月23日付の裁判所職員総合研修所の事務連絡)」といったファイル名であり,令和4年度の場合,送り状の他,以下の文書がありました。
① 令和4年度研修計画協議会日程表
② 令和5年度研修実施計画(案)についての説明
③ 令和5年度研修実施計画(案)
④ 令和5年度裁判所職員(裁判官以外)研修のイメージ
⑤ 令和5年度研修実施計画・令和4年度研修実施状況一覧表
⑥ 司法研修所との合同実施状況一覧表(平成30年度~令和4年度)
⑦ 令和4年度研修計画協議会説明要旨

2 裁判所職員総合研修所の研修実施計画
(1) 裁判所職員総合研修所の研修実施計画を以下のとおり掲載しています。
・ 令和7年度研修実施計画(案)
→ 実施報告が別に存在します。
・ 令和6年度研修実施計画(案)
→ 説明文書が別に存在します。
・ 令和5年度研修実施計画(案)
→ 説明文書が別に存在します。
・ 令和4年度研修実施計画(案)
→ 説明文書が別に存在します。
・ 令和3年度研修実施計画(案)
→ 説明文書が別に存在します。
・ 令和2年度研修実施計画(案)
→ 説明文書が別に存在します。
・ 平成31年度研修実施計画(案)
・ 平成30年度研修実施計画(案)
・ 平成29年度研修実施計画(案)
・ 平成28年度研修実施計画
・ 平成27年度研修実施計画
・ 平成26年度研修実施計画(案)
・ 平成25年度研修実施計画(案)
・ 平成23年度研修実施計画
* 説明文書のファイル名は「令和6年度研修実施計画(案)についての説明(令和5年12月の裁判所職員総合研修所の文書)」といったものです。
(2)ア 平成27年度研修実施計画は最高裁判所事務総局会議の配布資料です。
イ 平成25年度,平成26年度及び平成29年度以降については,研修計画協議会の事前配布資料のため,案となっています。
(3) 研修実施計画又はその案は,冬季の実務協議会でも配布されています。


3 裁判所職員総合研修所の研修計画協議会説明要旨
(1) 裁判所職員総合研修所の研修計画協議会説明要旨を以下のとおり掲載しています。
・ 令和 5年度研修計画協議会説明要旨
・ 令和 4年度研修計画協議会説明要旨
・ 令和 3年度研修計画協議会説明要旨
・ 令和 2年度研修計画協議会説明要旨
・ 令和 元年度研修計画協議会説明要旨
・ 平成30年度研修計画協議会説明要旨
・ 平成29年度研修計画協議会説明要旨
・ 平成28年度研修計画協議会説明要旨
・ 平成25年度研修計画協議会説明要旨
・ 平成24年度研修計画協議会説明要旨
* 「令和5年度研修計画協議会説明要旨-令和5年度研修実施状況について(実施報告)-」といったファイル名です。
(2) 毎年度の研修計画協議会の配布資料に含まれているものです。
(3)ア 平成31年4月24日付の司法行政文書不開示通知書によれば,平成26年度研修計画協議会説明要旨は,同日までに廃棄されました。
イ 令和元年5月14日付の司法行政文書不開示通知書によれば,平成27年度研修計画協議会説明要旨は,同日までに廃棄されました。


4 裁判所職員(裁判官以外)研修の実施に関する重要な事項
(1) 裁判所職員(裁判官以外)研修の実施に関する重要な事項を以下のとおり掲載しています。
・ 令和 6年1月30日付のもの
・ 令和 5年1月31日付のもの
・ 令和 4年2月 8日付のもの
・ 令和 3年7月13日付のもの
・ 令和 3年1月26日付のもの
・ 令和 2年1月21日付のもの
→ 重要な事項の再変更に関する文書もあります。
・ 平成31年1月22日付のもの
・ 平成30年1月23日付のもの
・ 平成29年1月24日付のもの
・ 平成28年1月26日付のもの
* 「裁判所職員(裁判官以外)研修の実施に関する重要な事項(令和5年1月31日付のもの)」といったファイル名です。
(2) 最高裁判所事務総局会議資料です。


5 研修実施結果報告
平成30年度令和 元年度令和 2年度
令和 3年度令和 4年度令和 5年度
令和 6年度
*1 「裁判所職員総合研修所の令和◯年度研修実施結果報告」といったファイル名です。
*2 毎年6月下旬に開示請求をしています。

6 裁判所職員総合研修所の組織
① 研修部門
・ 裁判所書記官研修部(略称は「書研部」です。),家庭裁判所調査官研修部(略称は「調研部」です。),及び一般研修部があります。
・ 最近の書研部部長は以下のとおりです。
55期の上村善一郎裁判官(R3.4.1 ~ )
50期の右田晃一裁判官(H31.4.1 ~ R3.3.31)
47期の中村心裁判官(H28.4.1 ~ H31.3.31)
・ 最近の調研部部長は以下のとおりです。
52期の本多智子裁判官(R3.4.1 ~ )
51期の進藤光慶裁判官(H30.4.1 ~ R3.3.31)
49期の神野泰一裁判官(H27.4.1 ~ H30.3.31)
② 事務局部門
・ 総務課,経理課,企画研修第一課,企画研修第二課及び企画研修第三課があります。

 裁判官以外の裁判所職員の研修等に関する令和3年6月当時の最高裁判所の説明
・ 裁判所をめぐる諸情勢について(令和3年6月の最高裁判所事務総局の文書)49頁ないし51頁には,「(2) 裁判官以外の裁判所職員の研修等について」として以下の記載があります。
    社会経済情勢等の変化や価値観の多様化等の諸情勢を受けて裁判所の果たすべき役割が変化し,裁判所の業務内容が変容してきたことに加え,近時,組織運営の適正確保に対する国民の目が一層厳しいものになっている状況を踏まえ,裁判所職員総合研修所においては,これまでも,「公平な裁判」,「適正.迅速な裁判」,「利用しやすく分かりやすい裁判」を実現し,国民の期待と負託に応えることができる裁判所職員を育成するという観点から,現在及び将来にわたる事務の質の維持・向上を目指した諸施策の進展状況も見据え,各種集合研修及び養成課程を計画,実施してきた。
    令和3年度においては,令和2年度に引き続き,①裁判所を取り巻く状況の変化に適切に対応し,自律的に執務を遂行することができる職員を育成すること,②各職場におけるOJTとの効果的な連携を意識した研修の充実を図ること,③裁判官を含めた各職種間で,それぞれの職務についての相互理解を深めた上で,関係職種間の連携強化を図ること,④社会情勢の変化や法改正の趣旨等を踏まえ,時宜に応じた課題をテーマとした研修の充実を図ることに重点を置いて,研修の実施を企画した。
    書記官及び家裁調査官については,各種実務研究会において,書記官事務の整理の考え方や行動科学の知見等に基づく事実の調査と調整を担う家裁調査官の役割・機能を踏まえた共同討議等を実施するなど,的確な職務遂行を実現していくための視点の獲得等に重点を置いた内容としている(裁判官を含めた職種間連携を図るため,研究会の日程の一部を,司法研修所と合同で実施している。)。書記官については,中堅書記官を対象とする書記官ブラッシュアップ研修(高裁委嘱研修)に関して,事件の複雑困難化等,裁判所を取り巻く諸情勢の変化に的確に対応するため,書記官の資質,能力を更に高めていくことを目的として,カリキュラムの大幅な見直しを行った。家裁調査官については,任官後め研修について,応募制を取り入れた特別研修の新設を含む研修体系の大幅な改編が完了しており,引き続き内容の充実を図りながら各研修を実施していく。
    速記官については,裁判実務をめぐる諸情勢等に関する講義等を行うとともに,専門知識や経験を生かした書記官等との連携・協働の実践等について,共同討議等を行っている。
    事務官については,専任事務官の専門性の活用や付与等に向けた研修の在り方について,令和2年8月から新たに配置された専任事務官の兼務教官とともに,現在の研修の効果等を改めて検証し再検討を行っているところである。
    さらに,各職種・各階層に共通する課題として,適正事務の確保や人権意識の向上を図ることを意識しながら研修を実施している。
    養成課程では,書記官については,法律科目と実務科目の効果的な連携に留意しつつ,実務における書記官事務に即した形で,参加型や討議型の演習を積極的に取り入れ,効果的かつ実践的なカリキュラムとするとともに,書記官事務の整理の考え方を身に付けるための講義や演習を実施している。家裁調査官については,調査事務に必要な行動科学の知見や技法を体系的に習得させることを基本としつつ,グループ討議の活用等を通じて組織性を酒養することにも重点を置いたカリキュラムを実施している。これらに加え,より質の高い書記官及び家裁調査官を養成していくため,養成課程の更なる充実に向けた見直しを行い,修了日を3月25日頃として研修日数を確保の上,実施している。また,書記官については,令和3年4月以降,予修期修習を新たに設け,所属庁等で裁判実務を広く見聞する機会を与えて養成課程への円滑な導入を図っている。
    以上のとおり,各職種,各階層について,研修カリキュラムの充実強化等を図りながら研修を実施していくが,令和3年度は,引き続き感染防止策を徹底しつつ,職員の研修参加機会と研修効果を可能な限り確保するための工夫を講じながら,各研修を実施していく予定であり,書記官養成課程については,令和2年度から引き続き,オンライン研修を一部併用して実施している。
    なお,裁判所職員総合研修所からの情報発信として,J・NETポータル内に開設されている総研コンテンツにおいて,養成課程や中央研修の状況(実務研究会の結果要旨を含む。)及び文献情報など,執務に役立つ情報・資料等を提供しているほか,「総研ニュース」によって裁判所職員総合研修所に関する最新情報を発信している。
 
8 関連記事その他

(1) 裁判所ぶらり旅HP「最高裁・司研・総研」が載っています。
(2) 司法の窓第89号(2024年)「裁判所職員総合研修所~創立20周年を迎えて~」が載っています。
(3) 以下の記事も参照してください。
・ 歴代の最高裁判所総合研修所長
・ 裁判官研修実施計画
 裁判官の合同研修に関する説明文書
・ 最高裁判所事務総局会議の議事録
・ 新任の地家裁所長等を対象とした実務協議会の資料
・ 最高裁判所の職員配置図(平成25年度以降)