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謄写業者と判決確定後の刑事記録の保管場所(AIリライト)

刑事記録の申請先は,その事件が公判係属中か,不起訴で終わったか,裁判が確定したかによって異なる。
判決等が確定した後の訴訟記録は,原則として,第一審の裁判をした裁判所に対応する検察庁の検察官が保管する。
もっとも,法律が保障するのは確定記録の「閲覧」であり,コピーを受け取る「謄写」は別途の申出及び各庁の運用によるため,業者へ依頼する前に保管庁と許可手続を確認する必要がある。

以下の業者名,電話番号及び料金は,令和8年7月28日に各協同組合等の公表資料で確認した内容である。
窓口,料金,申請書式及び取扱範囲は変更され得るため,実際の申請時にはリンク先又は担当部署で再確認する必要がある。

第1 記録の段階によって申請先が異なること

1 係属中記録,不起訴記録及び確定記録の区別

記録の段階原則的な申請先主な根拠謄写の位置付け
公判係属中の記録事件が係属する裁判所刑事訴訟法,犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律等被告人・弁護人,被害者等の立場及び根拠条文によって異なる
不起訴記録不起訴処分をした検察官が所属する検察庁刑事訴訟法47条ただし書及び検察実務原則非公開であり,公益上の必要その他の事由があり,相当と認められる範囲で開示される
判決等が確定した後の記録第一審裁判所に対応する検察庁の保管検察官刑事訴訟法53条,刑事確定訴訟記録法閲覧は法定制度であるが,謄写は別途の申出及び運用による

同じ検察庁及び同じ謄写業者を利用する場合でも,不起訴記録と確定記録では開示の根拠が異なる。
不起訴記録を「保存記録」,確定記録を「保管記録」と区別する申請書式もあるため,申請書の名称だけでなく,対象となる事件の処分段階を確認する必要がある。

2 謄写業者へ依頼する前に確認する事項

謄写業者は,裁判所又は検察庁の閲覧・謄写手続を代替する機関ではない。
申請者は,まず記録を扱う裁判所又は検察庁に対し,①事件の処分・確定状況,②第一審裁判所及び保管検察庁,③事件番号又は検番,④閲覧・謄写が認められる範囲,⑤必要書類,⑥利用できる業者又は撮影方法を確認するのが安全である。

交通事故事件では,警察から検察庁への送致前,検察官の処分前又は裁判確定前には,確定記録としての申請ができない。
京都地方検察庁の検務部門の業務案内も,交通事故の記録について,警察から書類が送付されているか,検察庁の処分等が終わっているかを事前に確認するよう案内している。

第2 大阪・京都・兵庫・愛知の謄写業者及び申請窓口

1 大阪の裁判所及び大阪地検

対象庁謄写業者・窓口電話
大阪高等裁判所・大阪地方裁判所・大阪簡易裁判所一般財団法人司法協会大阪出張所06-6363-1290
大阪地方裁判所堺支部一般財団法人司法協会堺出張所072-227-4781
大阪地方裁判所岸和田支部一般財団法人司法協会岸和田出張所072-441-4374
大阪地方検察庁本庁OPO謄写センター06-4796-2299
大阪地方検察庁本庁西村謄写館06-6455-2280
大阪地方検察庁堺支部・岸和田支部西村謄写館06-6455-2280

大阪の現行案内は,全国弁護士協同組合連合会の大阪弁護士協同組合ページに掲載されている。
旧記事にあった司法協会大阪出張所の電話番号「06-6336-1290」は誤りであり,現行の公表番号は「06-6363-1290」である。

堺支部及び岸和田支部の記録を西村謄写館へ依頼する場合は,出張料の有無及び金額を事前に確認する必要がある。
西村謄写館の西天満事務所は令和7年8月18日に大阪市北区西天満4丁目3番9号和光ビル2階へ移転しており,事務所の電話番号は06-6364-2280である。
受取場所等を含む詳細は,別稿「西村謄写館及びOPO謄写センター」で整理している。

2 京都の裁判所及び京都地検

京都弁護士協同組合の公表案内によれば,京都地方裁判所・京都簡易裁判所内1階謄写室の電話及びファックスは075-256-3452である。
京都家庭裁判所内1階謄写室は電話075-744-0851,ファックス075-744-0852であるが,家庭裁判所の事件記録と地方裁判所・簡易裁判所の刑事公判記録は区別して申請する必要がある。

京都地方検察庁の確定記録及び不起訴記録について,現行の謄写委託先を特定できる公的な公開案内は確認できなかった。
そのため,業者名を推測せず,京都地方検察庁の記録担当に対し,申出書式,謄写方法及び利用できる業者を事前に確認するのが相当である。

3 兵庫県内の裁判所及び検察庁

兵庫県弁護士協同組合の謄写事業案内は,裁判所の設置場所及び料金を令和7年4月1日付けで改訂している。
セルフ式は白黒1枚20円,カラー1枚60円であり,謄写代行は白黒1枚50円,カラー1枚90円である。
検察庁における謄写料金も裁判所と同じとされ,確定記録及び不起訴記録は,デジタルスキャナーによるPDF画像をプリントアウトしたものと案内されている。

神戸地方裁判所,神戸地方検察庁,神戸家庭裁判所及び明石支部等の申請先は,〒650-0016神戸市中央区橘通1丁目4番3号の兵庫県弁護士協同組合謄写室であり,電話078-371-0548,ファックス078-371-0549である。
尼崎,姫路,洲本及び豊岡等は申請先が分かれるため,支部事件では同組合の一覧を確認する必要がある。

4 愛知県の申請書式及び謄写窓口

愛知県弁護士協同組合の「謄写申請用紙 一般向け」では,白黒の謄写料金を1枚44円と案内している。
同ページから,①裁判所用記録謄写申請用紙,②検察庁公判部用申請用紙,③検察庁保存記録用申請用紙(不起訴記録),④検察庁保管記録用申請用紙(確定記録),⑤処分調査票をダウンロードできる。

本庁事件の送付先は,〒460-0001愛知県名古屋市中区三の丸1丁目4番2号の愛知県弁護士協同組合謄写部であり,電話は052-221-7098である。
処分調査票の送付先として,名古屋地方検察庁記録係のファックス052-951-1695が案内されている。
支部事件及び至急扱いは別の取扱いとなる場合があるため,同ページの注意事項を確認する必要がある。

第3 判決確定後の刑事記録の保管場所

1 第一審裁判所に対応する検察庁が原則であること

刑事確定訴訟記録法2条1項は,刑事被告事件の訴訟記録を,訴訟終結後,当該被告事件について第一審の裁判をした裁判所に対応する検察庁の検察官が保管すると定めている。
したがって,大阪地方裁判所が第一審であれば大阪地方検察庁,大阪簡易裁判所が第一審であれば大阪区検察庁の検察官が原則的な保管検察官となる。

控訴又は上告がされた事件でも,基準となるのは上級審ではなく第一審裁判所である。
刑事訴訟規則304条は,被告事件の終結後,裁判所が速やかに訴訟記録を第一審裁判所に対応する検察庁の検察官へ送付し,上訴審で終結した場合はその事件が係属した下級裁判所を経由すると定めている。

2 交通事件の本籍地特例は令和7年1月1日前の終結事件に限られること

刑事確定訴訟記録法施行規則附則2項は,道路交通法第8章の罪又は自動車の保管場所の確保等に関する法律17条若しくは18条の罪に係る事件のうち,令和7年1月1日前に終結したものについて,法務大臣の告示で定める記録の保管検察官を特定する。
この旧事件については,有罪の言渡しを受けた者の本籍地を管轄する地方裁判所に対応する検察庁の検察官が保管検察官となる。

令和7年1月1日以後に終結した交通事件には,この本籍地特例は適用されない。
同日以後の事件は,刑事確定訴訟記録法2条1項の原則どおり,第一審裁判所に対応する検察庁の検察官が保管する。
終結日が令和7年1月1日前か後かによって申請先が変わり得るため,古い交通事件では本籍地だけで判断せず,第一審対応検察庁又は記録担当に所在を照会する必要がある。

3 法的な保管者,物理的な所在及び閲覧場所の違い

刑事確定訴訟記録法上の「保管検察官」は法的な保管主体を示す概念であり,記録が実際に置かれている庁舎,倉庫又は記録係の部屋を示すものではない。
また,閲覧場所,謄写業者の作業場所及び謄写物の受取場所も同じとは限らない。

最高裁令和5年1月30日決定は,地方検察庁の検察官が区検察庁の事務取扱として簡易裁判所事件を担当した場合でも,閲覧処分に対する不服申立先は区検察庁に対応する簡易裁判所であるとした。
担当者が地検所属であることだけから,地裁事件又は地検保管と判断することはできない。

4 大阪府内の区検事件等の問い合わせ先

大阪地方検察庁の管内検察庁の所在地・交通アクセスは,各区検察庁及び支部の所在地と問い合わせ先を案内している。
旧記事にあった固定的な分担表は組織・運用変更により陳腐化し得るため,申請時には同ページ又は大阪地方検察庁の記録担当で確認するのが安全である。

大阪地方検察庁の「事件の記録を見たい」は,確定記録の閲覧について記録担当へ問い合わせるよう案内している。
大阪地検の記録事務の内部的な取扱いについては,別稿「大阪地検の記録事務取扱要領」も参照できる。

第4 確定記録の閲覧と謄写は別の手続であること

1 法律が定める閲覧請求

刑事訴訟法53条1項は,被告事件の終結後,原則として何人も訴訟記録を閲覧できると定める。
これを受けて,刑事確定訴訟記録法4条1項は,請求があったときは保管検察官が保管記録を閲覧させなければならないと定めている。

もっとも,記録の保存又は検察庁の事務に支障がある場合は閲覧が制限される。
また,弁論非公開事件,終結後3年を経過した事件,公序良俗,犯人の改善更生,関係人の名誉・生活の平穏又は裁判員等の特定に関わる場合には,刑事確定訴訟記録法4条2項の制限が問題となる。
訴訟関係人又は閲覧につき正当な理由がある者には同項ただし書があるが,閲覧が常に無条件で認められるわけではない。

2 謄写は別途の申出として扱われること

刑事確定訴訟記録法4条が明文で定めるのは「閲覧」であり,一般的な謄写請求権又は謄写物の交付請求権ではない。
実務では,閲覧を許可された記録について謄写申出書を提出し,検察官の裁量により,業者による複写,庁内での複写,スキャン画像のプリントアウト又は撮影等が認められることがある。

最高裁平成14年6月4日決定・平成13年(し)第299号・裁判集刑事281号515頁は,謄写申出に対する拒否は,刑事確定訴訟記録法8条1項の不服申立ての対象となる「閲覧に関する処分」ではないとした。
したがって,閲覧の不許可と謄写の不許可では,不服申立ての可否も同じではない。

3 閲覧手数料と謄写料金の違い

刑事確定訴訟記録閲覧手数料令による閲覧手数料は,記録1件につき1回150円である。
この150円は法定の閲覧手数料であり,謄写業者へ支払う白黒・カラーのコピー代,媒体代,送料,出張料及び特別料金とは別である。

業者料金は委託契約の対価であり,地域及び記録の形態によって異なる。
申請前には,閲覧手数料の納付時期,謄写範囲,カラー指定,媒体の複製可否,送料及び出張料を分けて確認する必要がある。

第5 確定記録の保管期間及び刑事手続のIT化

1 罰金事件及び交通略式事件の代表的な保管期間

記録代表的な保管期間根拠・留意点
罰金,拘留若しくは科料又は刑の免除に係る確定裁判の裁判書20年刑事確定訴訟記録法別表。ただし,法務省令の特則がある
前項の事件の裁判書以外の保管記録3年刑事確定訴訟記録法別表
道路交通法第8章の罪又は保管場所法17条若しくは18条の罪に係る一定の略式命令等の裁判書10年刑事確定訴訟記録法施行規則1条。正式裁判請求事件等を除く
前項の一定事件で,仮納付の裁判の執行により刑の執行を終えたこととなるものの裁判書以外の記録1年刑事確定訴訟記録法施行規則3条

上表は罰金事件及び交通略式事件に関係する代表例であり,刑の種類,刑期,裁判結果,記録の種類,再審の必要性又は刑事参考記録の指定によって期間は異なる。
個別事件では,刑事確定訴訟記録法2条,同法別表及び施行規則の現行条文を確認する必要がある。

2 保管期間と閲覧できる期間は同じではないこと

記録が保管されていることと,請求者がその全部を閲覧できることは別問題である。
例えば,事件終結後3年を経過した事件の保管記録は,刑事確定訴訟記録法4条2項2号の閲覧制限の対象となり得るが,終局裁判の裁判書は同号の対象から除かれている。

他方で,保管期間が満了し,延長,再審保存又は刑事参考記録としての保存がされていなければ,記録自体が既に存在しない場合がある。
古い事件では,保管庁,保管の有無,記録の範囲及び閲覧制限をそれぞれ確認する必要がある。

3 電磁的記録への移行と謄写方法

情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律(令和7年法律第39号)による刑事手続のIT化は,令和8年7月28日現在,段階的に施行されている。
刑事確定訴訟記録法についても,記録内容の電磁的保管並びに画面表示又は再生による閲覧を可能にする改正が含まれる。

もっとも,この改正は,一般的な複製データの交付請求権を創設するものではない。
施行段階,記録の媒体及び各庁の設備によって利用できる謄写方法が異なり得るため,オンライン交付又はデータ持出しが当然に認められると考えず,保管庁の現行運用を確認する必要がある。

第6 刑事確定訴訟記録の閲覧・謄写に関する裁判例

1 制度を直接判断した最高裁判例

裁判所ウェブサイトで「刑事確定訴訟記録法」を全文検索すると,令和8年7月28日現在,最高裁判所の決定は11件確認できる。
このうち10件は,閲覧の憲法上の位置付け,不許可理由の通知,謄写拒否,権利濫用,再審弁護人,終局裁判書,検察庁の事務への支障,第三者閲覧又は不服申立先を扱い,1件は特別抗告申立書の方式を扱う。

実務上の中核は,①憲法82条が確定記録の閲覧を直接請求する権利まで保障するものではないとした最高裁平成2年2月16日決定及び最高裁平成4年12月7日決定,②不許可理由の通知を求めた最高裁平成6年2月24日決定,③謄写拒否を同法8条の不服申立ての対象外とした最高裁平成14年6月4日決定,④訴訟関係人による請求でも権利濫用となり得るとした最高裁平成20年6月24日決定,⑤終局裁判書の全部不許可を取り消した最高裁平成24年6月28日決定である。
各決定の事件番号,掲載誌及び裁判所ウェブサイトの個別リンクは,末尾の「出典・参考資料」に全件を掲げる。

2 確定記録と公判不提出記録等の境界を示す下級審裁判例

大阪高裁令和6年1月22日決定及び原決定である大阪地裁令和5年9月19日決定は,取調べ録音録画記録媒体について,公判に提出された部分と提出されなかった部分を分けて扱い,確定訴訟記録と刑事訴訟法47条の対象との境界を示した。
福岡高裁宮崎支部平成29年3月30日決定も,公判に提出されなかった映像記録媒体に対する民事文書提出命令を扱い,刑事訴訟法47条ただし書による開示の裁量判断を検討している。

名古屋地裁平成17年9月30日判決は,不起訴記録の閲覧拒否が行政事件訴訟法上の処分ではなく,刑事確定訴訟記録法の対象でもないとした。
東京地裁平成26年4月16日判決,札幌地裁平成16年7月12日判決及び大阪地裁平成16年1月16日判決は,刑事訴訟法53条の2による情報公開制度からの適用除外と,「訴訟に関する書類」又は公判不提出資料の範囲を考える資料となる。

3 裁判所ウェブサイト全文検索の全29件を確認した結果

同じ全文検索で確認できる裁判例は合計29件である。
最高裁判所の11件及び前項の重要な境界事例のほか,国家賠償請求,住民訴訟,情報公開請求,警察捜査費文書,独占禁止法上の審判記録又は指紋・DNA型情報の抹消請求等の判断中で,同法が前提事情又は比較対象として引用された裁判例が含まれる。

全文検索のヒット件数を,確定記録の閲覧・謄写を直接判断した裁判例の件数と同一視することはできない。
もっとも,検索漏れを避けるため,29件を直接例,境界例及び付随的言及例に区分し,末尾の「出典・参考資料」に全件を列挙する。
さらに,同じ検索語ではヒットしないが関連性の高い福岡高裁宮崎支部平成29年3月30日決定を追加している。

第7 関連記事

刑事記録の入手時期,申請者の立場及び対象記録に応じた詳細は,次の記事で整理している。

① 西村謄写館及びOPO謄写センター
② 西村謄写館及びOPO謄写センターと検察庁との間の協定書等
③ 検番等の入手方法等
④ 刑事裁判係属中の起訴事件の刑事記録の入手方法(被害者側)
⑤ 刑事裁判係属中の起訴事件の刑事記録の入手方法(被告人側)
⑥ 判決確定後の刑事記録の入手方法
⑦ 不起訴事件記録の入手方法
⑧ 被害者参加対象事件で閲覧・謄写の対象となる不起訴記録
⑨ 交通事故事件の刑事記録の入手方法
⑩ 実況見分調書等の刑事記録の保管期間

出典・参考資料

1 法令

2 裁判例

最高裁判所の11件

記録の範囲及び情報公開制度との境界を示す裁判例

裁判所ウェブサイト全文検索で付随的な言及を確認した11件

3 公的機関・協同組合の案内

4 文献

  • 伊丹俊彦・合田悦三編集代表『逐条実務刑事訴訟法』(立花書房,2018年)161頁~163頁