◯本記事は,山中理司弁護士が情報公開請求により取得した開示文書(各役職の調達価格別紙,自動車検査証,売買契約書,自賠責保険証明書,入札説明書)をもとに,AIが事実関係を整理・執筆したものである。金額・型式・諸元はいずれも開示文書の記載に基づく。
第1 最高裁判所等の公用車の概要
1 この記事の資料と基準時点
本記事は,山中理司弁護士が開示申出により取得した,令和元年6月21日付けの最高裁判所の情報提供資料と車検証等に基づき,当時の最高裁判所裁判官等の公用車を整理するものである。
取得年月日と取得価格は各役職の情報提供資料の別紙によっており,現在の車種,台数又は価格を示す一覧ではない。
2 役職別の一覧
| 使用者・役職 | 資料に記載された車種 | 取得年月日 | 取得価格・1台当たり | 台数 |
|---|---|---|---|---|
| 最高裁判所長官 | レクサスLS600hL | 平成26年3月24日 | 1543万5900円 | 1 |
| 最高裁判所判事 | クラウン各種 | 平成24年6月26日〜平成31年2月14日 | 468万4785円〜643万8890円 | 14 |
| 最高裁判所事務総長 | クラウン | 平成26年3月18日 | 465万3285円 | 1 |
| 最高裁判所首席調査官 | クラウン | 平成26年3月18日 | 465万3285円 | 1 |
| 司法研修所長 | クラウン | 平成26年3月25日 | 463万4383円 | 1 |
| 裁判所職員総合研修所長 | カムリハイブリッド | 平成28年3月24日 | 317万6525円 | 1 |
価格は資料の「取得価格」欄による。
長官車については,別途開示された売買契約書により,下取りを差し引く前の新車合計と交換差金を区別できるが,他の全車について同じ契約内容を確認したという意味ではない。
3 送迎対象についての国会答弁
平成31年3月22日の衆議院法務委員会における最高裁判所経理局長の答弁では,最高裁判所長官・判事14名,事務総長,首席調査官,司法研修所長,裁判所職員総合研修所長,高等裁判所長官8名,知的財産高等裁判所所長,地方・家庭裁判所所長71名について,送迎の公用車があると説明されている。
本記事の価格一覧は,このうち開示資料を掲載した最高裁判所等の6区分を対象とするものであり,全国の対象者全員の車両価格を網羅したものではない。
平成31年3月22日・衆議院法務委員会第5号:
https://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku%20/000419820190322005.htm
平成28年3月15日付けの政府答弁書では,その答弁における「公用車」を,専ら人の移動を目的とする運転手付きの車両で,特定職員が一定時間,専用又は優先使用するものとしている。
これは当該答弁での用語の範囲であり,すべての法令・機関に共通する定義として扱わない。
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/190/touh/t190075.htm
第2 最高裁判所長官の公用車
1 レクサスLS600hLの取得価格
長官車の情報提供資料の別紙は,車種をレクサスLS600hL,取得年月日を平成26年3月24日,取得価格を1543万5900円としている。
平成25年12月24日付けの売買契約書には,センチュリーの下取り合計43万5870円と,交換差金1500万30円が記載されている。
購入価格,付属品の内訳,入札日程と総合評価方式は,独立記事で整理している。
長官車の調達記事
2 車検証と契約書の掲載画像
平成31年3月4日付け車検証では,型式DAA-UVF46,乗車定員5人,車両重量2370kg,長さ521cm・幅187cm・高さ147cmと記載されている。
型式から後席を独立2座と断定する説明は採らず,車検証の定員欄と区別する。

最高裁判所長官の公用車の車検証
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第3 最高裁判所判事14台の公用車
1 取得価格別紙に基づく内訳
令和元年6月21日付け情報提供資料の別紙(PDF実頁2頁)を,取得年月日・型式・価格ごとにまとめると次のとおりとなる。
平成28年取得の530万6337円の車は3台,平成26年取得の468万4785円の車は6台であり,合計は14台である。
| 取得年月日 | 車種・型式の要点 | 取得価格・1台当たり | 台数 |
|---|---|---|---|
| 平成30年2月5日 | クラウンマジェスタ/GWS214 | 643万8890円 | 1 |
| 平成31年2月14日 | クラウンハイブリッドS/AZSH20 | 539万982円 | 2 |
| 平成30年3月5日 | クラウンロイヤルサルーン/AWS210 | 516万480円 | 1 |
| 平成24年6月26日 | クラウンハイブリッドGパッケージ/GWS204 | 577万5000円 | 1 |
| 平成28年3月16日 | クラウンロイヤルハイブリッド・ロイヤルサルーン/AWS210 | 530万6337円 | 3 |
| 平成26年3月18日 | クラウンハイブリッド・ロイヤルサルーン/AWS210 | 468万4785円 | 6 |
2 取得時期と車種の読み方
別紙記載の取得年月日は平成24年から平成31年に及んでおり,すべてが平成26年から平成30年の間に取得されたわけではない。
同じAWS210系の車は表の3区分,合計10台であるが,個々の裁判官と車両との対応や,更新理由までがこの別紙から分かるわけではない。
第4 その他の幹部の公用車
1 事務総長・首席調査官
事務総長車と首席調査官車は,それぞれの別紙に,平成26年3月18日取得,465万3285円,クラウンハイブリッド・ロイヤルサルーンと記載されている。
判事車の平成26年取得分468万4785円とは,取得年月日が同じでも金額が異なる。
2 司法研修所長・裁判所職員総合研修所長
司法研修所長車は平成26年3月25日取得のクラウンで,463万4383円である。
裁判所職員総合研修所長車は平成28年3月24日取得のカムリハイブリッドで,317万6525円である。
これらの価格差は開示資料上の事実であるが,役職の序列によって車格が決まるという規則や選定方針を,この一覧だけから導くことはできない。
第5 車検証・車種の説明で注意する点
1 資料の記載と車両仕様の推定
車検証の型式,原動機の型式,寸法,乗車定員,重量等と,メーカーのカタログ上のグレードや装備は,資料を区別して確認する必要がある。
本記事では,型式から座席配置や特殊装備を推定する説明,役職ごとの車格の評価は行わない。
2 税額・騒音値・走行距離の限界
車検証の重量税額や減免に関する備考は,当該検査時の記載である。
それを,現在の税制度や,継続車検ごとに減税が必ず段階的に縮小するという一般則として説明することはできない。
騒音に関する数値も,規制値か測定値か,適用された基準や測定方法が同じかを確かめずに,数値の大小だけで新旧車両の静かさを比較しない。
また,車検証の走行距離や保険証明書だけから,全期間の使用者,具体的な経路,又は公務と私用の内訳を確定することはできない。
第6 開示文書の一覧
1 各役職の情報提供資料・車検証
最高裁判所長官(PDF全4頁,取得価格は実頁2頁):
https://yamanaka-bengoshi.jp/wp-content/uploads/2019/06/最高裁判所長官の公用車の調達価格,調達時期及び車種が分かる文書,並びに車検証.pdf
最高裁判所判事14台(PDF全18頁,取得価格は実頁2頁):
https://yamanaka-bengoshi.jp/wp-content/uploads/2019/06/最高裁判所判事の公用車14台の調達価格,調達時期及び車種が分かる文書,並びに車検証.pdf
最高裁判所事務総長(PDF全4頁,取得価格は実頁2頁):
https://yamanaka-bengoshi.jp/wp-content/uploads/2019/06/最高裁判所事務総長の公用車の調達価格,調達時期及び車種が分かる文書,並びに車検証.pdf
最高裁判所首席調査官(PDF全4頁,取得価格は実頁2頁):
https://yamanaka-bengoshi.jp/wp-content/uploads/2019/06/最高裁判所首席調査官の公用車の調達価格,調達時期及び車種が分かる文書,並びに車検証.pdf
司法研修所長(PDF全4頁,取得価格は実頁2頁):
https://yamanaka-bengoshi.jp/wp-content/uploads/2019/06/司法研修所長の公用車の調達価格,調達時期及び車種が分かる文書,並びに車検証.pdf
裁判所職員総合研修所長(PDF全4頁,取得価格は実頁2頁):
https://yamanaka-bengoshi.jp/wp-content/uploads/2019/06/裁判所職員総合研修所長の公用車の調達価格,調達時期及び車種が分かる文書,並びに車検証.pdf
2 長官車の調達・保険関係
売買契約書(PDF全9頁,金額と付属品は実頁8頁):
https://yamanaka-bengoshi.jp/wp-content/uploads/2019/09/最高裁判所長官の公用車に関する売買契約書(平成25年12月24日付).pdf
入札説明書等(PDF全35頁):
https://yamanaka-bengoshi.jp/wp-content/uploads/2019/10/最高裁判所長官の公用車の調達関係文書(入札説明書,性能等証明書,開札経過調書等).pdf
自賠責保険証明書等(PDF全5頁):
https://yamanaka-bengoshi.jp/wp-content/uploads/2019/09/最高裁判所長官の公用車に関する自賠責保険証明書.pdf
第7 車両情報の開示と警備上の不開示
1 裁判所の開示例とその根拠の説明
長官車の車検証に関する通知書は,車両番号等について,公共の安全と警備上の事務に支障を及ぼすおそれがあり,行政機関情報公開法5条4号・6号の不開示情報に相当すると説明している。
裁判所は同法の対象機関には含まれず,司法行政文書の開示に関する取扱要綱による手続であることに注意が必要である。
2 法務大臣車の答申との比較
法務大臣車の契約書等に関する令和2年度(行情)答申第286号は,車種を特定し得る情報や装備・仕様に関する情報について,5条4号に該当し,6号を判断するまでもなく不開示が妥当とした。
法務省の補足説明と審査会自身の判断,裁判所との手続の違いは,独立記事で説明している。
第8 運用文書の不存在と公務としての利用
1 運転手の注意事項に関する令和元年の通知
令和元年5月17日付け不開示通知書は,最高裁判所裁判官が乗車する公用車の運転手の注意事項が書いてある文書について,作成又は取得していないことを理由としている。
当該文書についての通知を,運転上の指示が一切ないことや,現在も関係文書がないことを示すものに広げない。
2 徳島県知事の演奏会出席に関する最高裁判決
最高裁令和3年5月14日第二小法廷判決は,県の文化振興政策に基づく県の事務として開催された演奏会への知事の出席を公務とし,そのための公用車使用に違法があるというべき事情は見当たらないとした。
これは知事の当該演奏会への出席に関する判断であり,裁判官の送迎や公用車の購入価格について判断したものではない。
第9 関連記事
最高裁判所事務総局経理局の事務分掌:
https://yamanaka-bengoshi.jp/2019/03/09/keirikyoku/
平成29年7月1日施行の裁判所会計事務規程及び関連通達:
https://yamanaka-bengoshi.jp/2019/04/18/saibansho-kaikei/
司法行政を担う裁判官会議,最高裁判所事務総長及び下級裁判所事務局長:
https://yamanaka-bengoshi.jp/2019/02/16/shihou-gyousei/
最高裁判所の警備と情報開示をめぐる裁判例:
https://yamanaka-bengoshi.jp/2019/04/21/saikousaisaibankan-shuugeki-osore/
裁判所の不開示決定と取消訴訟:
https://yamanaka-bengoshi.jp/2018/01/14/hukaiji/