裁判所の情報公開に関する通達等


目次第1 裁判所の情報公開に関する通達等第2 判決書の法解釈を示している部分は不開示情報であること等

1 判決書の法解釈を示している部分は不開示情報であること
2 判決の公開は国際人権規約(自由権規約)14条1項で保障されていること
3 最高裁判決等の記載
4 「民裁教官室だより(10)」の記載
5 司法制度改革審議会の意見書の記載
6 「民事司法制度改革の推進について」の記載
7 「民事判決情報のオープンデータ化に向けた取りまとめ」の記載
8 最高裁平成29年1月31日決定の補足意見
第3 最高裁判所規則は司法行政文書開示手続の対象とする必要はないとされていること
第4 文書内容の真否の調査は義務付けられていないこと
第5 裁判所の期日簿は司法記者に提供されていること
第6 関連記事その他

第1 裁判所の情報公開に関する通達等
1(1) 裁判所の情報公開に関する通達等を以下のとおり掲載しています。
① 裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の取扱要綱(平成27年7月1日からの実施分)
② 裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の取扱要綱の実施の細目について(平成27年4月6日付の最高裁判所事務総長通達)
③ 情報公開に関する運用要領(平成27年7月1日版)
④ 司法行政文書開示手続の手引(平成29年3月21日版)第一部・総論編第二部・各論編別紙1~別紙26及び参考資料
⑤ 司法行政文書の開示に伴う開示文書の謄写の取扱いについて(平成22年10月19日付の,最高裁判所事務総局秘書課と司法協会総務部の申合せ)
(2) 最高裁判所通達通知回答集の目次を以下のとおり掲載しています。
令和5年4月現在1/22/2
令和3年7月現在平成31年3月現在1/2及び2/2
2 通達は,上級行政機関が関係下級行政機関に対してその職務権限の行使を指揮し,職務に関して命令するために発するものであり,行政組織内部における命令に過ぎないから,下級行政機関がその通達に拘束されることはあっても,一般の国民は直接これに拘束されるものではなく,このことは,通達の内容が国民の権利義務に関連するものである場合においても別段異なるところはないと解されています(東京地裁令和2年10月5日判決。なお,先例として,最高裁昭和43年12月24日判決及び最高裁平成24年2月9日判決参照)。

第2 判決書の法解釈を示している部分は不開示情報であること等
1 判決書の法解釈を示している部分は不開示情報であること
(1) 
令和元年度(情)答申第12号(令和元年8月23日答申)

には以下の記載があります(リンク先の開示請求文書に該当する最高裁判例は,最高裁平成13年3月12日決定と思います。)。
     判決や決定等の裁判書の閲覧等については,民事訴訟法や刑事訴訟法,刑事確定訴訟記録法等の法令で定める手続によるべきものであり,裁判所が裁判書を司法行政文書として保有していない限り,上記の裁判書は司法行政文書開示手続の対象となるものではない。
(2) 46期の岡口基一裁判官が平成30年5月17日頃にツイートで紹介した事件の第1審判決及び控訴審判決(平成30年6月12日付の東京高裁事務局長報告書の別紙)に関する令和2年度(情)答申第37号には以下の記載があります。
     苦情申出人は,①本件第1審判決のうち法解釈を示している部分,②犬の犬種等を記載した別紙物件目録及び写真,③担当裁判官の氏名については,明らかに法5条1号の不開示情報に相当しない旨主張する。
     しかしながら,上記①及び②の各情報は,上記1及び2(1)のとおり,いずれも法5条1号に規定する個人識別情報であり, 同号ただし書イからハまでに掲げる情報に相当する事情は認められない。そして,上記①について,これが公にされた場合には,特定の訴訟当事者間における特定の民事訴訟の事実関係や主張内容,訴訟の勝敗を分けた原因等を推知される可能性があり,また,上記②についても, これが公にされた場合には,上記民事訴訟における返還請求の対象となった犬を特定される可能性があるといえ,当該訴訟当事者の権利利益が害されるおそれがあると認められるから, これらについて,いずれも取扱要綱記第3の2に定める部分開示をすることはできない。
    また,上記③については,本件対象文書において不開示とされたのは裁判官の署名であり,法5条1号に規定する個人識別情報に相当すると認められ,職務の遂行に係る情報には当たるものの,その固有の形状が文書の真正を示す認証的機能を有しており, これが公にされた場合には,偽造など悪用されることを誘発して,個人の権利利益が害されるおそれがあることからすれば,同号ただし書に規定する情報に相当するとはいえない。このことからすれば,苦情申出人が指摘する事案において裁判官の氏名が開示されていたことと同視することはできない。

2 判決の公開は国際人権規約(自由権規約)14条1項で保障されていること

(1)ア 国際人権規約(自由権規約)14条1項は以下のとおりです。
    すべての者は、裁判所の前に平等とする。すべての者は、その刑事上の罪の決定又は民事上の権利及び義務の争いについての決定のため、法律で設置された、権限のある、独立の、かつ、公平な裁判所による公正な公開審理を受ける権利を有する。報道機関及び公衆に対しては、民主的社会における道徳、公の秩序若しくは国の安全を理由として、当事者の私生活の利益のため必要な場合において又はその公開が司法の利益を害することとなる特別な状況において裁判所が真に必要があると認める限度で、裁判の全部又は一部を公開しないことができる。もっとも、刑事訴訟又は他の訴訟において言い渡される判決は、少年の利益のために必要がある場合又は当該手続が夫婦間の争い若しくは児童の後見に関するものである場合を除くほか、公開する。
イ 「一般的意見32 14条・裁判所の前の平等と公正な裁判を受ける権利」(2007年採択)29項には以下の記載があります。
    裁判が公開されていない場合でも、基本的な事実認定、証拠、法律上の理由付けを含む判決は、少年の利益のために必要がある場合、または当該手続が夫婦間の争いもしくは子どもの後見に関するものである場合を除いては、公開されなければならない。
(2) 最高裁大法廷令和3年6月23日決定の裁判官宮崎裕子,同宇賀克也の反対意見(リンク先のPDF17頁以下)には以下の記載があります(リンク先のPDF36頁)。
    我が国においては,憲法98条2項により,条約は公布とともに国内的効力を有すると解されており,条約が締約国に対して法的拘束力がある文言で締約国の義務を定めている場合には,かかる義務には,国家機関たる行政府,立法府及び司法府を拘束する効力があると解される。
(3) 令和3年度(情)答申第6号(令和3年5月20日答申)には以下の記載があります。
    苦情申出人は,(中略)②特定人の刑事裁判についていえば,自由権規約14条1項が想定するところの非公開とすべき理由は全くないから,本件開示申出文書は慣行として公にすることが予定されている情報であるといえる旨主張する。
(中略)
    ②について,自由権規約14条1項は裁判手続の公開等に関する規定であり,情報公開法制における不開示情報の範囲について定めたものとは解されないから,同主張は独自の見解であるといわざるを得ない。
3 最高裁判決等の記載
(1) 最高裁大法廷昭和32年12月28日判決は以下の判示をしています。
     成文の法令が一般的に国民に対し現実にその拘束力を発動する(施行せられる)ためには、その法令の内容が一般国民の知りうべき状態に置かれることが前提要件とせられるのであつて、このことは、近代民主国家における法治主義の要請からいつて、まさにかくあるべきことといわなければならない。
(2) 最高裁大法廷昭和35年7月6日決定は以下の判示をしています。
     若し性質上純然たる訴訟事件につき、当事者の意思いかんに拘わらず終局的に、事実を確定し当事者の主張する権利義務の存否を確定するような裁判が、憲法所定の例外の場合を除き、公開の法廷における対審及び判決によつてなされないとするならば、それは憲法八二条に違反すると共に、同三二条が基本的人権として裁判請求権を認めた趣旨をも没却するものといわねば
ならない。
(3) 憲法82条1項の規定は,裁判の対審及び判決が公開の法廷で行われるべきことを定めていますところ,その趣旨は,裁判を一般に公開して裁判が公正に行われることを制度として保障し,ひいては裁判に対する国民の信頼を確保しようとすることにあります(最高裁大法廷平成元年3月8日判決)。
(4) 司法の窓第86号(令和3年5月発行)「15のいす-「判断する」ということ-」(最高裁判所判事 小池裕)には以下の記載があります。
    裁判所は,認定事実に基づく実証性と法に基づく論理性に従って,公開の法廷で判決によって判断を示します。裁判所が法廷という国民にオープンな場で審理し,判決という合理的な検証が可能なスタイルで公権的な判断を示すことは,民主主義国家においてとても重要な意義があると考えています。

4 「民裁教官室だより(10)」の記載

・ 民裁教官室だより(10)(司法研修所民事裁判教官室編)2頁には以下の記載があります。
    民事判決書作成には、従来、多様な目的があると説明されてきた。すなわち、①訴訟当事者に対して、判決内容を知らせるとともに、上訴するかどうか考慮する機会を与えること、②上級審に対して、その再審査のために認定事実及び理由を明らかにすること、③一般国民に対して、具体的事件の判断を通じて法規範を明らかにし、裁判所の判断過程を示すことによって裁判の公正を保障すること、④判決をする裁判官が、自己の判断を客観視し、再検討の契機とすること等が民事判決書作成の目的である(七訂民事判決起案の手引一頁)。これは、従来判決害が果たしてきたと思われる機能を説明するものとして、現在でも基本的には妥当する。
5 司法制度改革審議会の意見書の記載
・ 平成13年6月12日付の司法制度改革審議会の意見書には,「Ⅳ 国民的基盤の確立」の「3.司法に関する情報公開の推進」として以下の記載があります。
    判例情報の提供により、裁判所による紛争解決の先例・基準を広く国民に示すことは、司法の国民に対する透明性を向上させ、説明責任を明確化するというにとどまらず、紛争の予防・早期解決にも資するものである。
    裁判所は、判例情報、訴訟の進行に関する情報を含む司法全般に関する情報の公開を推進していく一環として、特に判例情報については、先例的価値の乏しいものを除き、プライバシー等へ配慮しつつインターネット・ホームページ等を活用して全面的に公開し提供していくべきである。
6 「民事司法制度改革の推進について」の記載
・ 民事司法制度改革推進に関する関係府省庁連絡会議が令和2年3月10日に取りまとめた「民事司法制度改革の推進について」7頁には,「イ 民事判決情報の提供について」以下の記載があります。
     民事判決情報は、国民にとって、紛争発生前には行動規範となるとともに、紛争発生後には当事者による紛争解決指針の一つともなり得るものであり、社会全体で共有・活用すべき重要な財産である。将来的に、AIによる紛争解決手続のサポートの可能性があり、その活用が国家経済の活性化にもつながりのである得るもことも踏まえると、現状、先例性の高い事件や社会的に関心の高い事件等の一部の事件に限定して一般に提供されている民事判決情報については、今後、より広く国民に提供されるべきである。
7 「民事判決情報のオープンデータ化に向けた取りまとめ」の記載
(1) 民事判決のオープンデータ化検討PTが令和3年3月25日に取りまとめた「民事判決情報のオープンデータ化に向けた取りまとめ」3頁には以下の記載があります。
     民事判決情報は、紛争当事者だけでなく、国民や社会の全体で共有すべき公共財ともいうべき重要な資産であり、これをデータベース化した上で、広く国民や社会の利用に供することは、①司法の国民に対する透明性を向上させ、②国民に対して行動規範・紛争解決指針を示すとともに、③紛争解決手続に関するAIの開発等の研究を推進するための基盤ともなり得るものと考えられる。
(2) 「民事判決情報のオープンデータ化に向けた取りまとめ」を具体化するためのWGとして,日弁連法務研究財団では,民事判決データベース化事業の在り方に関するWG,及び民事判決情報の仮名処理の在り方等に関するWGが設置されました。
8 最高裁平成29年1月31日決定の補足意見
・ 最高裁平成29年1月31日決定に関する最高裁判所判例解説(担当者は51期の高原知明)には以下の記載があります。
    前掲東京高判平成26年1月15日に対する上告兼上告受理申立事件に関し,上告等に伴う最高裁判所への記録到着後における訴訟記録全部を対象とする閲覧等制限の申立て(最高裁平成27年(マ)第153号,第154号)がされ,本決定(山中注:最高裁平成29年1月31日決定)と同一日に,同申立てに対する一部認容,一部却下決定(以下「本閲覧等制限決定」という。)がされた。
    本閲覧等制限決定の理由は例文による簡潔なものであるが,本決定の裁判長裁判官である岡部喜代子裁判官の補足意見が次のとおり付されている。「本件は,民事訴訟法92条1項に基づき,訴訟記録全部についての閲覧等制限の申立てをしたものであるところ,同項1号は,訴訟記録中に当事者の私生活についての重大な秘密が記載されるなどした部分についてのみ閲覧等の請求をすることができる者を制限しているのであって,秘密記載部分が訴訟記録中の一部に限定されるにもかかわらず,そのような限定をすることなく訴訟記録全部について閲覧等の請求をすることができる者を当事者に限る旨の決定をすることは,同号に反するものであって許されない。とりあけ,裁判書は当事者以外の第三者にとって裁判理由中における判断の正確性を理解するために代替困難な手段であるから,裁判書を秘密記載部分に含めることは裁判の公正性を担保するために慎重な配慮が求められる。本決定は,基本事件における諸般の事情に鑑み,上記のような観点に加え,私生活についての重大な秘密を保護するという閲覧等制限の趣旨を踏まえて,主文のとおり決定したものである。」
    岡部裁判官補足意見で述べられた一般論は民事訴訟法92条1項の条文の文言や沿革に照らし当然のことであるが,同項に基づく申立てやこれに対する閲覧等制限決定の範囲の解釈に関する実務は,民事訴訟法施行20年を過ぎた今なお十分に確立されているとまではいえない。閲覧等制限決定をした裁判体ごとに基本的なスタンスが異なっているものも少なくない実情が背後にあるものと思われる。

第3 最高裁判所規則は司法行政文書開示手続の対象とする必要はないとされていること

1 最高裁判所規則は,官報により公布されることによって広く周知が図られている上,その条文のすべてが現行日本法規(法務省大臣官房司法法制部編)という法令集により入手可能であることから,司法行政文書開示手続の対象とする必要はないとされています(平成28年12月2日答申(平成28年度(最情)答申第39号)参照)。
2 令和3年6月現在,現行日本法規は全100巻142冊であり,株式会社ぎょうせいから33万円で販売されていますぎょうせいオンラインショップ「現行日本法規」参照)。

文書事務における知識付与を行うためのツールの改訂版(平成31年3月7日付の配布文書)からの抜粋であり,「開示の申出があった短期保有文書は,開示申出の対象になるものと判断した時点でファイルによる管理を行う。」と書いてあります。

第4 文書内容の真否の調査は義務付けられていないこと

・ 地方公共団体の情報公開の場合,公文書の開示の可否は原則として15日以内に決定しなければならないと定められていることや,県等の行政機関が日常作成保管する公文書の開示請求は,その性質上多数の文書を一括して開示請求することも予定されていることからすると,一般的に,担当職員において請求に係る全文書の内容の真否の調査をすることは義務付けられておらず,文書の記載内容に基づいて迅速に開示等の決定を行うことが予定されています(最高裁平成18年4月20日判決のリンク先12頁)。

第5 裁判所の期日簿は司法記者に提供されていること

1(1) 東弁リブラ2012年9月号の「座談会 司法記者は語る」には以下の記載があります(リンク先4頁)。
佐藤:民事裁判の場合は事件数も種類も多いですが,こういう事件があるということ,例えば,どんな裁判が係属しているとか,どんな判決が出たとか,そういった情報はどうやって知るのですか。
森下:やっぱり裁判所の期日簿です。
和田:そうですね,開廷表ですね。
森下:例えば,判決だったら,事件番号が18年とか 19年とか,古い番号の事件が判決になったりすると,これは何かあったんじゃないかとか。
佐藤:そうすると,その事件の訴訟記録を閲覧するのですか。
(1) 東弁リブラ2015年9月号の「座談会 続・司法記者は語る」には以下の記載があります(リンク先5頁)。
司会:その日にどのような裁判があるのかは,どうやってチェックするのですか。
千葉:裁判所の期日簿でチェックしています。
2 下級裁判所事務処理規則9条1項本文は「開廷の日割は、各裁判所が、毎年あらかじめ、これを定め、庁内の公衆の見やすい場所に掲示しなければならない。」と定めています。

第6 関連記事その他

1 一連の訴訟事件において,事件の審級や種類ごとに複数の事件番号が付されている場合に,その一部の事件番号が分かっていれば,当該事件を特定することは可能であると考えられ,裁判所ホームページに掲載されている事件番号に公表慣行が認められる場合には,他の審級等に関する事件番号についても,公表慣行があるとされています(令和元年度(行情)答申第583号(令和2年3月6日答申)参照)。
2 NEC HPの「OSINT (Open Source Intelligence)」には以下の記載があります。
    OSINTは 「Open Source Intelligence:オープンソースインテリジェンス」の略であり、一般に公開されている情報源からアクセス可能なデータを収集、分析、決定する諜報活動の一種である。米国国防総省(DoD)によって、「特定の情報要件に対処する目的で、一般に入手可能な情報を収集し、利用し、適切な対象者に適時に普及させた情報」と定義されている。
3 東京高裁平成27年9月11日判決(裁判長は34期の浜秀樹。判例秘書に掲載)は以下の判示をしています。
    抗告人は、既に第三者が基本事件の訴訟記録を閲覧していることが、その他の第三者による閲覧等を制限する必要がないとする理由にはならない旨主張するけれども、既に報道機関による報道やインターネット上の記事の掲載等によって、広く知れ渡っている本件において、第三者による基本事件訴訟記録の閲覧等の状況を、本件閲覧等制限申立ての当否を検討するに当たっての一事情として考慮することは相当であって、この点に関する抗告人の主張も採用することができない。
4 最高裁令和4年5月17日判決は,預託法違反及び景表法違反に係る調査の結果に関する情報が情報公開法5条6号イ所定の不開示情報に該当しないとした原審の判断に違法があるとされた事例です。
5(1) 裁判所HPに「情報公開ハンドブック」(令和4年7月の最高裁判所事務総局秘書課の文書)が載っています。
(2) 国立公文書館HPに「国立公文書館における「時の経過」の運用について」が載っています。
6 最高裁平成30年1月19日判決の裁判官山本庸幸の補足意見には以下の記載があります。
    最高裁平成18年(行ヒ)第50号同19年4月17日第三小法廷判決・裁判集民事224号97頁の藤田宙靖裁判官の補足意見中に,「ある文書上に記載された有意な情報は,本来,最小単位の情報から,これらが集積して形成されるより包括的な情報に至るまで,重層構造を成すのであって・・・行政機関が,そのいずれかの位相をもって開示に値する情報であるか否かを適宜決定するなどということは,およそ我が国の現行情報公開法制の想定するところではない」とあるのは,あるいは,私が上記で述べたようなことを別の表現で指摘したものではないかと推察している。だから私は,ア・プリオリに,独立一体的情報はどこまでかという無用の議論をするのではなく,むしろ「一般的に,文書の場合であれば文,段落等を,図表の場合であれば個々の部分,欄等を単位として,相互の関係性を踏まえながら個々に検討していき,それぞれが情報公開法5条各号に該当するか否かを判断する。」ということで,必要かつ十分であると考えている。
7(1) 以下の資料を掲載しています。
・ 司法行政文書の開示手続における事件番号の取扱いについて(令和6年1月30日付の最高裁秘書課参事官の事務連絡)(決裁票付)
・ 情報公開法に係る主な答申等について(令和4年4月)
・ 事件記録等の閲覧等に関する事務の取扱いについて(平成9年8月20日付の最高裁判所総務局長通達)
・ 平成31年4月1日から施行されている,法務省情報公開事務取扱要領1/2及び2/2
(2) 以下の記事も参照してください。
・ プライバシー保護に関する,司法行政文書開示手続の判断例及び最高裁令和2年10月9日判決(家庭裁判所調査官の論文及び書籍はプライバシー権を侵害しないとしたもの)
・ 開示請求の対象となった司法行政文書に第三者に関する情報が記録されている場合の取扱い
・ 裁判所の情報公開に関する統計文書
・ 司法に関する情報公開の推進(平成13年6月12日付の司法制度改革審議会意見書)
・ 裁判所の不開示決定は司法審査の対象とならないこと
 国立公文書館への移管
・ 司法行政文書に関する文書管理
・ 裁判文書の文書管理に関する規程及び通達
 民事事件の裁判文書に関する文書管理

* 平成28年度新任判事補研修の資料からの抜粋です。


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