裁判所の情報公開に関する通達等

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目次
1 裁判所の情報公開に関する通達等
2 判決書の法解釈を示している部分は不開示情報であること等
3 文書内容の真否の調査は義務付けられていないこと
4 関連記事その他

1 裁判所の情報公開に関する通達等
(1) 裁判所の情報公開に関する通達等を以下のとおり掲載しています。
① 裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の取扱要綱(平成27年7月1日からの実施分)
② 裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の取扱要綱の実施の細目について(平成27年4月6日付の最高裁判所事務総長通達)
③ 情報公開に関する運用要領(平成27年7月1日版)
④ 司法行政文書開示手続の手引(平成29年3月21日版)第一部・総論編第二部・各論編別紙1~別紙26及び参考資料
⑤ 司法行政文書の開示に伴う開示文書の謄写の取扱いについて(平成22年10月19日付の,最高裁判所事務総局秘書課と司法協会総務部の申合せ)
⑥ 最高裁判所通知通達回答集(平成31年3月現在)の目次1/2及び2/2
(2) 通達は,上級行政機関が関係下級行政機関に対してその職務権限の行使を指揮し,職務に関して命令するために発するものであり,行政組織内部における命令に過ぎないから,下級行政機関がその通達に拘束されることはあっても,一般の国民は直接これに拘束されるものではなく,このことは,通達の内容が国民の権利義務に関連するものである場合においても別段異なるところはないと解されています(東京地裁令和2年10月5日判決。なお,先例として,最高裁昭和43年12月24日判決及び最高裁平成24年2月9日判決参照)。

2 判決書の法解釈を示している部分は不開示情報であること等
(1) 判決書の法解釈を示している部分は不開示情報であること
ア 
令和元年度(情)答申第12号(令和元年8月23日答申)には以下の記載があります(リンク先の開示請求文書に該当する最高裁判例は,最高裁平成13年3月12日決定と思います。)。
     判決や決定等の裁判書の閲覧等については,民事訴訟法や刑事訴訟法,刑事確定訴訟記録法等の法令で定める手続によるべきものであり,裁判所が裁判書を司法行政文書として保有していない限り,上記の裁判書は司法行政文書開示手続の対象となるものではない。
イ 岡口基一裁判官が平成30年5月17日頃にツイートで紹介した事件の第1審判決及び控訴審判決(平成30年6月12日付の東京高裁事務局長報告書の別紙)に関する令和2年度(情)答申第37号には以下の記載があります。
     苦情申出人は,①本件第1審判決のうち法解釈を示している部分,②犬の犬種等を記載した別紙物件目録及び写真,③担当裁判官の氏名については,明らかに法5条1号の不開示情報に相当しない旨主張する。
     しかしながら,上記①及び②の各情報は,上記1及び2(1)のとおり,いずれも法5条1号に規定する個人識別情報であり, 同号ただし書イからハまでに掲げる情報に相当する事情は認められない。そして,上記①について,これが公にされた場合には,特定の訴訟当事者間における特定の民事訴訟の事実関係や主張内容,訴訟の勝敗を分けた原因等を推知される可能性があり,また,上記②についても, これが公にされた場合には,上記民事訴訟における返還請求の対象となった犬を特定される可能性があるといえ, 当該訴訟当事者の権利利益が害されるおそれがあると認められるから, これらについて,いずれも取扱要綱記第3の2に定める部分開示をすることはできない。
    また,上記③については,本件対象文書において不開示とされたのは裁判官の署名であり,法5条1号に規定する個人識別情報に相当すると認められ,職務の遂行に係る情報には当たるものの,その固有の形状が文書の真正を示す認証的機能を有しており, これが公にされた場合には,偽造など悪用されることを誘発して,個人の権利利益が害されるおそれがあることからすれば,同号ただし書に規定する情報に相当するとはいえない。このことからすれば,苦情申出人が指摘する事案において裁判官の氏名が開示されていたことと同視することはできない。
(2) 判決の公開は国際人権規約(自由権規約)14条1項で保障されていること
ア 国際人権規約(自由権規約)14条1項は以下のとおりです。
    すべての者は、裁判所の前に平等とする。すべての者は、その刑事上の罪の決定又は民事上の権利及び義務の争いについての決定のため、法律で設置された、権限のある、独立の、かつ、公平な裁判所による公正な公開審理を受ける権利を有する。報道機関及び公衆に対しては、民主的社会における道徳、公の秩序若しくは国の安全を理由として、当事者の私生活の利益のため必要な場合において又はその公開が司法の利益を害することとなる特別な状況において裁判所が真に必要があると認める限度で、裁判の全部又は一部を公開しないことができる。もっとも、刑事訴訟又は他の訴訟において言い渡される判決は、少年の利益のために必要がある場合又は当該手続が夫婦間の争い若しくは児童の後見に関するものである場合を除くほか、公開する。
イ 令和3年度(情)答申第6号(令和3年5月20日答申)には以下の記載があります。
    苦情申出人は,(中略)②特定人の刑事裁判についていえば,自由権規約14条1項が想定するところの非公開とすべき理由は全くないから,本件開示申出文書は慣行として公にすることが予定されている情報であるといえる旨主張する。
(中略)
    ②について,自由権規約14条1項は裁判手続の公開等に関する規定であり,情報公開法制における不開示情報の範囲について定めたものとは解されないから,同主張は独自の見解であるといわざるを得ない。
(3) 民裁教官室だよりの記載
・ 民裁教官室だより(10)(司法研修所民事裁判教官室編)2頁には以下の記載があります。
    民事判決書作成には、従来、多様な目的があると説明されてきた。すなわち、①訴訟当事者に対して、判決内容を知らせるとともに、上訴するかどうか考慮する機会を与えること、②上級審に対して、その再審査のために認定事実及び理由を明らかにすること、③一般国民に対して、具体的事件の判断を通じて法規範を明らかにし、裁判所の判断過程を示すことによって裁判の公正を保障すること、④判決をする裁判官が、自己の判断を客観視し、再検討の契機とすること等が民事判決書作成の目的である(七訂民事判決起案の手引一頁)。これは、従来判決害が果たしてきたと思われる機能を説明するものとして、現在でも基本的には妥当する。


3 文書内容の真否の調査は義務付けられていないこと
・ 地方公共団体の情報公開の場合,公文書の開示の可否は原則として15日以内に決定しなければならないと定められていることや,県等の行政機関が日常作成保管する公文書の開示請求は,その性質上多数の文書を一括して開示請求することも予定されていることからすると,一般的に,担当職員において請求に係る全文書の内容の真否の調査をすることは義務付けられておらず,文書の記載内容に基づいて迅速に開示等の決定を行うことが予定されています(最高裁平成18年4月20日判決のリンク先12頁)。

4 関連記事その他
(1) 一連の訴訟事件において,事件の審級や種類ごとに複数の事件番号が付されている場合に,その一部の事件番号が分かっていれば,当該事件を特定することは可能であると考えられ,裁判所ホームページに掲載されている事件番号に公表慣行が認められる場合には,他の審級等に関する事件番号についても,公表慣行があるとされています(令和元年度(行情)答申第583号(令和2年3月6日答申)参照)。
(2) 東弁リブラ2012年9月号の「座談会 司法記者は語る」には以下の記載があります(リンク先4頁)。
佐藤:民事裁判の場合は事件数も種類も多いですが,こういう事件があるということ,例えば,どんな裁判が係属しているとか,どんな判決が出たとか,そういった情報はどうやって知るのですか。
森下:やっぱり裁判所の期日簿です。
和田:そうですね,開廷表ですね。
森下:例えば,判決だったら,事件番号が18年とか 19年とか,古い番号の事件が判決になったりすると,これは何かあったんじゃないかとか。
佐藤:そうすると,その事件の訴訟記録を閲覧するのですか。
(3)ア 最高裁大法廷昭和32年12月28日判決は以下の判示をしています。
    成文の法令が一般的に国民に対し現実にその拘束力を発動する(施行せられる)ためには、その法令の内容が一般国民の知りうべき状態に置かれることが前提要件とせられるのであつて、このことは、近代民主国家における法治主義の要請からいつて、まさにかくあるべきことといわなければならない。
イ 司法の窓第86号(令和3年5月発行)「15のいす-「判断する」ということ-」(最高裁判所判事 小池裕)には以下の記載があります。
    裁判所は,認定事実に基づく実証性と法に基づく論理性に従って,公開の法廷で判決によって判断を示します。裁判所が法廷という国民にオープンな場で審理し,判決という合理的な検証が可能なスタイルで公権的な判断を示すことは,民主主義国家においてとても重要な意義があると考えています。
(4) 以下の資料を掲載しています。
・ 平成31年4月1日から施行されている,法務省情報公開事務取扱要領1/2及び2/2
(5) 以下の記事も参照してください。
・ 裁判所の情報公開に関する統計文書
 国立公文書館への移管
・ 司法行政文書に関する文書管理
・ 裁判文書の文書管理に関する規程及び通達
 民事事件の裁判文書に関する文書管理

* 平成28年度新任判事補研修の資料からの抜粋です。

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