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行政事件訴訟の主要論点―処分性・原告適格・訴えの利益・裁量審査の総合案内(AI作成)

第1 行政事件で最初に確認する事項

1 何を争うのか

行政事件では,行政庁の行為に不満があるというだけでは,直ちに取消訴訟を選べるわけではない。
争う対象が行政処分に当たるか,原告に法律上の利益があるか,取消しによって現実に回復できる利益が残っているかを順に確認する必要がある。

取消訴訟のほかにも,無効等確認の訴え,不作為の違法確認の訴え,義務付けの訴え,差止めの訴え,当事者訴訟,住民訴訟及び国家賠償請求がある。
名称ではなく,求める救済と行政作用の段階に対応する訴訟類型を選ぶことが重要である。
取消訴訟と国家賠償請求の目的,違法性判断及び併合提起の関係は,取消訴訟と国家賠償請求の関係―併合提起・違法性・取消判決の拘束力(AI作成)で整理している。

2 いつ争うのか

取消訴訟には出訴期間があり,審査請求をした場合の起算点,正当な理由及び個別法の特則を確認しなければならない。
処分前の差止めと処分後の取消訴訟・執行停止では,要件と時間軸が異なる。
審査請求の3か月・1年の期間,執行停止,審理員手続及び裁決後の取消訴訟は,行政不服審査法の審査請求―期間・執行停止・審理員・裁決・取消訴訟(AI作成)を参照されたい。

申請時,処分時,処分の告知時及び裁判所の違法判断時も区別する必要がある。
詳しくは,行政処分の適法性の基準時と効力発生時期を参照されたい。

3 訴訟類型を法的効果から選ぶ

訴訟類型は名称ではなく,争う対象,処分庁,被告,仮の救済,判決効及び最終的に回復したい権利から逆算する。

類型対象・被告期間仮の救済主な判決効回復できるもの
取消訴訟処分・裁決/処分の事務が帰属する国・公共団体等原則6か月・1年執行停止形成力,第三者効,拘束力処分の効力除去
無効等確認処分・裁決/行政主体等取消訴訟と同じ出訴期間なし執行停止を準用拘束力。第三者効は明文準用なし処分の無効確認
当事者訴訟・民事訴訟現在の権利・義務/法律関係の相手方請求ごとに確認処分自体への民事仮処分は不可原則として当事者間地位,所有権,登記,債務等
義務付け訴訟一定の処分(名宛人・根拠条項・内容で特定し,撤去作業等の事実行為とは区別)/行政主体等非申請型は出訴期間の定めなし。申請型は取消訴訟等の併合提起が必要仮の義務付け拘束力(38条1項による33条準用)。第三者効(32条1項)は準用なし行政庁に処分をさせること
差止め訴訟一定の処分/行政主体等出訴期間の定めなし仮の差止め拘束力(同上)。第三者効は準用なし処分の予防

義務付け判決は行政庁を拘束するが,処分の相手方となる第三者には,判決を受けて行政庁がする処分を通じて効果が及ぶ。
第三者に対する規制権限の発動を求める非申請型義務付け訴訟の要件,民事訴訟との比較及び判決効は,非申請型義務付け訴訟―行政に是正命令を出させる訴えの一定の処分・重大な損害・補充性・判決効で整理している。

無効等確認訴訟と現在の法律関係に関する訴えの比較は,行政処分の無効等確認訴訟と現在の法律関係に関する訴えを参照されたい。

第2 訴訟要件に関する主要論点

1 処分性

取消訴訟の対象は,行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為である。
勧告,通知,計画決定,公表等も名称だけで結論は決まらず,根拠法令の仕組み,法的効果,後続措置及び後の段階で争う救済の実効性を検討する。

判断枠組みと最高裁の肯定例・否定例は,行政処分の処分性とはにまとめた。
勧告・指示・公表の連鎖は,行政庁の勧告・指示・公表に対する争い方を参照されたい。

2 原告適格と訴えの利益

原告適格は,誰がその処分を争えるかという入口の問題である。
訴えの利益は,処分後の事情の変化を踏まえても取消判決によって回復すべき法律上の利益が残るかという問題である。

両者の違い,行政事件訴訟法9条2項の考慮要素及び主要判例は,取消訴訟の原告適格と訴えの利益の違いを参照されたい。林地開発許可について,周辺住民の原告適格,工事完成後の訴えの利益及び執行停止を一体として検討する場合は,林地開発許可を争う実務を参照されたい。

原告適格が認められても,原告が処分に関するすべての違法を主張できるとは限らない。行政事件訴訟法10条1項は,自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることを制限する。第三者原告については,主張する違法ごとに,違反したとする規定の趣旨・保護利益と原告自身の利益との結び付きを確認する必要がある。

墓地・納骨堂の経営許可における周辺住民・既存事業者の原告適格,距離基準,行訴法10条1項及び行政裁量は,墓地・納骨堂の経営許可を争う行政訴訟で整理している。

第3 本案審理に関する主要論点

1 裁量権の逸脱・濫用

法令が行政庁に裁量を認めている場合でも,裁判所の審査が及ばないわけではない。
重要な事実の基礎,考慮事項の選択,評価の合理性,判断過程及び結論の著しい不当性が問題となる。

審査の組み立てと最高裁判例は,行政裁量の司法審査を参照されたい。

2 理由提示

不利益処分では,行政手続法14条により,原則として処分と同時に理由を示す必要がある。
根拠条文と事実を示すだけで足りるとは限らず,公表された処分基準の適用関係をどこまで示すべきかが問題となる。

理由の具体性,処分基準との関係及び手続違法の主張方法は,不利益処分の理由提示を参照されたい。

3 違法性の承継

先行処分と後行処分が連続する場合,後行処分の取消訴訟で先行処分の違法を主張できるかが問題となる。
先行処分に取消事由があっても,取消訴訟によって取り消されない限り,その違法を後行処分の取消訴訟で主張することは原則としてできないと解されている。
取消訴訟の排他的管轄と出訴期間の制限(行政事件訴訟法14条)の趣旨を損なわないためである。

例外として,最高裁平成21年12月17日判決(平成21年(行ヒ)第145号・民集63巻10号2631頁)は,東京都建築安全条例に基づく安全認定と建築基準法上の建築確認について,避難又は通行の安全の確保という同一の目的を達成するために行われ,安全認定は建築確認と結合して初めてその効果を発揮することと,安全認定を争うための手続的保障が周辺住民等に十分に与えられていないことを考慮し,建築確認の取消訴訟で安全認定の違法を主張することを認めた。
したがって,両処分が同一目的を実現する一連の手続を構成するかという実体面と,先行段階で争う実効的な機会があったかという手続面の両方を確認する必要がある。

再開発事業における事業計画変更,権利変換処分及び出訴期間との関係は,第一種市街地再開発事業の事業計画変更を争う方法で整理している。

第4 分野別の行政事件

1 情報公開

行政機関等に対する情報公開請求では,対象文書の特定,保有の有無,不開示情報,審査請求及び取消訴訟を区別する必要がある。
詳しくは,行政機関等に対する情報公開請求の基礎を参照されたい。

裁判所の司法行政文書開示は情報公開法による行政文書開示とは制度が異なる。
裁判所の不開示決定は取消訴訟の対象になるかも参照されたい。

2 住民監査請求と住民訴訟

住民訴訟は地方自治法が特別に認める民衆訴訟であり,自己の個人的権利の救済を目的とする通常の取消訴訟とは異なる。
住民監査請求の前置,請求期間,出訴期間,対象となる財務会計行為及び4類型を確認する必要がある。

詳しくは,住民訴訟とはを参照されたい。

3 個別分野の記事

電子提出における事件類型,被告及び処分行政庁の入力は,mintsで行政訴訟を提起するときの被告・処分行政庁・事件類型の選び方で整理している。

通達による不利益,弁護士懲戒,公務員懲戒,労災保険,国税不服審判及び帰化不許可については,それぞれ次の記事を参照されたい。
①通達の法的性質・拘束力と争い方
②弁護士に対する懲戒処分等
③人事院審査に関するメモ書き
④労災保険の審査請求及び再審査請求
⑤国税不服審判所と審査請求
⑥帰化不許可処分の争い方
⑦林地開発許可を争う実務
⑧公立大学における学問の自由と大学の自治
⑨令和4年度司法試験公法系の出題の趣旨・採点実感―未読復元との一致・相違及び答案上の教訓
⑩競願・候補者不選定を争う行政訴訟
⑪墓地・納骨堂の経営許可を争う行政訴訟
⑫条例は法律より厳しい規制を定められるか
⑬非申請型義務付け訴訟―行政に是正命令を出させる訴えの一定の処分・重大な損害・補充性・判決効

第5 出典

行政事件訴訟法(e-Gov法令検索),行政手続法(e-Gov法令検索)及び地方自治法(e-Gov法令検索)を確認した。

判例の年月日,事件番号,判示事項及び裁判要旨は,各論記事からリンクする裁判所HPの裁判例結果詳細で確認した。
本文で直接挙げた最高裁平成21年12月17日判決は,裁判所HP掲載の判決全文を確認した。
本記事は行政事件全体の入口を示すものであり,個別事件では処分の根拠法令,審査請求前置,出訴期間,被告,管轄及び仮の救済の特則を別に確認する必要がある。