裁判所の不開示決定は司法審査の対象とならないこと

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1(1) 抗告訴訟の対象となる「処分」とは,行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいいます(行政事件訴訟法2条2項参照)から,裁判所の司法行政処分も「処分」に該当することがあります。
しかし,裁判所の不開示決定は,情報公開法その他の法律に基づくものではありません(東京地裁平成22年12月10日判決)から,「処分」ではないのであって,抗告訴訟の対象とはなりません。
(2) 東京地裁平成22年12月10日判決は以下のとおり判示しています。

   行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)において,裁判所は,その対象となる「行政機関」に含まれておらず(情報公開法2条),裁判所の保有する情報の公開については,最高裁判所の保有する司法行政文書に関する要綱である本件要綱,及び下級裁判所が保有する司法行政文書に関する通達である「裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の基本的取扱いについて(依命通達)」(以下「本件通達」という。)が定められているにすぎない。
   そして,本件要綱及び本件通達は,行政機関の保有する情報の公開に関する法律案の審議経過を踏まえたものであり,その規定の文言等において情報公開法と類似する部分はあるものの,飽くまでも司法行政上の便宜供与の一環として司法行政文書の開示を行うために,その運用に関する事務処理準則として定められた内部規範であって,情報公開法その他の法律に基づくものではない。

   そうすると,本件要綱に基づいてされた司法行政文書の開示の求めに対し,これを開示しないこととする行為は,情報公開法その他の法律を根拠とするものではないから,これによって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものとはいえず,行訴法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」には当たらないというべきである。

2(1) 不適法なことが明らかであって当事者の訴訟活動により適法とすることが全く期待できない訴えについて,口頭弁論を経ずに,訴えを却下する判決又は却下判決に対する控訴を棄却する判決を下す場合には,訴状において被告とされている者に対し訴状,控訴状又は判決正本を送達することを要しません(最高裁平成8年5月28日判決参照)。
そのため,裁判所の不開示決定に対する取消訴訟を提起した場合,民事訴訟法140条に基づき,口頭弁論を経ずに却下判決を下されることがあります。
(2)ア 裁判所の不開示決定に対する取消訴訟において口頭弁論を経る場合,訴状等が法務大臣に送達されますし,処分行政庁とされた最高裁判所事務総長,高裁長官及び地家裁所長において調査回報書を作成する必要があるため,法務省及び裁判所の内部で結構な手間が発生します。
そのため,そのような手間を裁判所及び法務省にかけさせたくない裁判官に当たった場合,口頭弁論を経ずに却下判決が下ることとなります。
イ 東京地裁平成22年12月10日判決の事案では,東京地裁本庁の平成22年の行ウ号の事件数が762件であるにもかかわらず,事件番号が平成22年(行ウ)第32号であることからすれば,口頭弁論を経た上で却下判決が下されたことが分かります(口頭弁論期日につき,外部ブログの「最高裁裏金裁判 杉原則彦裁判長の暴言」参照)。

3(1) 裁判所の不開示決定に対する取消訴訟を提起した場合,判決言渡期日を事前に告知すらしてもらえずに却下判決を下されることがあります(民事訴訟規則156条ただし書)。
(2) 口頭弁論を経ないで不適法な控訴を却下する判決を言い渡す場合,控訴審はその判決言渡期日につき当事者の呼出手続をなすことを要しません(最高裁昭和33年5月16日判決参照)。
また,口頭弁論を経ないで不適法な上告を却下する判決を言い渡す場合,判決言渡期日を指定し,指定した期日に公開の法廷において判決を言い渡せば足り,当事者に対し当該言渡期日の呼出状を送達することを要しません(最高裁昭和44年2月27日判決参照)。

4 訴え却下の第一審判決を是認して口頭弁論を経ないで控訴棄却の判決を言い渡す場合,当事者に対し判決言渡期日の告知及び呼出手続をすることを要しません(最高裁昭和62年10月1日判決。なお,先例として,最高裁昭和57年10月19日判決参照)。
そのため,地裁の却下判決に対して控訴した場合,判決言渡期日を事前に告知すらしてもらえずに控訴棄却判決を下されることがあります。

5 「裁判所の情報公開」も参照して下さい。

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