3画面から2画面へ減らした後にフリーズが止まっても,直ちに「3台目のモニターが故障原因」とは断定できない。
変わったのは台数だけでなく,GPUの出力経路,解像度,向き,ケーブル及びドライバーが同時に関係し得るからである。
切分けの目的は,仕事を長期間2画面で我慢することではなく,再現条件を一つずつ狭め,最小の変更で3画面へ戻すことにある。
第1 結論
複数画面時だけ固まる場合は,まず停止の範囲を確認し,現在の画面構成を記録した上で,3画面と2画面を一定時間比較する。
2画面で安定したことは表示経路を優先して調べる根拠になるが,原因の確定ではない。
第2 3画面と2画面で何が変わるか
| 変化する要素 | 確認事項 |
|---|---|
| GPUの出力負荷 | 各画面の解像度,リフレッシュレート及び同時出力数 |
| 接続経路 | どのGPUのどの端子へ接続しているか |
| 画面構成 | 主画面,横・縦表示,拡大率及び配置 |
| ケーブル等 | ケーブル,変換アダプター及びドックの有無 |
3画面から2画面へ変更する試験は,これらをまとめて軽くする試験である。
そのため,効果があった後は,台数,特定端子,縦表示等を一つずつ戻す必要がある。
第3 最初に停止範囲を分ける
①特定のアプリだけが「応答なし」になった
②画面更新だけが止まり,音声や遠隔接続は生きていた
③マウス,キーボード及び遠隔接続を含むWindows全体が止まった
④強制終了後にEvent 41又は6008だけが残った
表示停止はPC全体の停止と見分けにくい。
Caps Lock表示,別PCからの疎通,音声及び時計の更新など,強制終了前に確認できた事実を残す。
第4 変更前に画面構成を記録する
①各ディスプレイの番号,製品名,解像度,リフレッシュレート及び向き
②主画面とWindows上の配置
③GPU名,ドライバー版及び各接続端子
④ケーブル又は変換アダプター
⑤変更日時と,変更後に実際に使った時間
Windowsでは設定の「システム」―「ディスプレイ」で識別,配置及び複数画面の設定を確認できる。
記録がなければ,安定化後もどの差が効いたか判断できない。
第5 2画面比較の読み方
比較期間は一律ではない。
通常業務を同程度行い,再発しない期間が従前の発生間隔を十分に上回れば,手掛かりになる。
ただし,偶然再発しなかった可能性は残る。
2画面で安定した場合は,3台目を戻す前に表示ドライバー,ケーブル,端子及びBIOSの更新要否を確認する。
3画面へ戻すときは一度に他の設定を変えない。
第6 LiveKernelEvent及びTDRの位置付け
WindowsのTDRは,GPU又は表示ドライバーが所定時間応答しない場合に表示系を回復させる仕組みである。
LiveKernelEventやTDR関連記録は,コードを確認した上で表示経路を疑う材料になる。
例えば,0x117は,表示ドライバーが時間内に応答しなかったことを示すライブダンプの識別コードである。
ただし,コードだけでGPU本体の故障,ドライバー,電源,冷却又は特定モニターのいずれかを確定することはできない。
一般利用者がTdrDelay等のレジストリ値を延長して症状を隠すことは避ける。
Microsoftも当該レジストリキーをドライバー開発時のテスト・デバッグ用途として説明している。
第7 接続端子を変更しないでできる対策
①Windowsの表示設定で対象の画面を無効にできる場合は,一時的に1画面を切断し,2画面で比較する
②表示ドライバー及びWindows Updateの適用状況を確認する
③高負荷アプリの同時起動を減らす
④変更前後のイベントログと信頼性履歴を保存する
これらは物理的な抜き差しをせずに行える。
ただし,2画面で安定しても接続端子・ケーブル固有の問題までは分離できないため,完全な原因確定には後日物理経路の比較が必要になることがある。
第8 再発時の確認表
| 項目 | 記録 |
|---|---|
| 発生時刻 | 秒まで |
| 停止範囲 | アプリ・表示・Windows全体 |
| 画面構成 | 2画面又は3画面,向き,解像度 |
| 直前操作 | 動画,会議,遠隔操作,AI処理等 |
| 記録 | Event 41,6008,WER,LiveKernelEvent,ダンプの有無 |
第9 本記事の限界
本記事は原因候補を順序立てて狭める方法を示すものであり,特定のPCでGPU故障又はドライバー不具合を断定するものではない。
保証期間中又は業務停止が重大な場合は,構成記録とログを添えてメーカー又は保守業者へ相談する。
第10 出典・参考資料
Microsoft:イベント ID 41 システムが最初に正常にシャットダウンされずに再起動しました
Microsoft:WDDM Support for Timeout Detection and Recovery (TDR)
Microsoft:Bug Check 0x117 VIDEO_TDR_TIMEOUT_DETECTED
Microsoft:Testing and Debugging TDR During Driver Development