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不利益処分の緊急性と手続保障―事前の弁明・理由提示を分けて確認する(AI作成)

行政庁から「緊急なので手続を省略する」と説明されたときは,何の手続を,どの条文に基づいて省略するのかを確認する必要がある。事前に意見を述べる機会と,処分の理由を知る機会は別の保障である。本記事は,行政手続法と成田新法事件判決を踏まえ,不利益処分を受ける側の確認手順を整理する。

第1 最初に適用法令と処分の種類を確かめる

1 行政指導・申請拒否・不利益処分を区別する

行政手続法2条4号の不利益処分は,行政庁が法令に基づき,特定の者に直接義務を課し,又は権利を制限する処分である。ただし,同号の除外規定も確認しなければならない。申請に基づく許認可の拒否は,この定義の不利益処分から除かれ,申請に対する処分の規定を検討する。

行政指導や民間事業者による契約上の措置も,行政手続法上の不利益処分と同じではない。通知の名称だけで判断せず,誰が,どの権限に基づき,どの義務又は権利制限を生じさせるのかを特定する。

2 適用除外と個別法の特則を確認する

同法1条2項は,他の法律に特別の定めがある場合にはその定めによることを規定する。また,3条・4条には適用除外がある。地方公共団体の機関による処分でも,根拠規定が条例又は規則に置かれている場合は,3条3項による適用除外と,当該自治体の行政手続条例等を確認する。

以下の13条・14条の説明は,これらの規定が適用される不利益処分についてのものである。「行政庁がする処分だから必ず同じ手続になる」とは限らない。

第2 事前の意見陳述と処分理由の提示は別に点検する

1 13条は聴聞又は弁明の機会を定める

13条1項は,許認可の取消し,資格・地位の直接の剥奪等について聴聞を,その区分に該当しない場合について弁明の機会の付与を定めている。行政庁が相当と認めて聴聞を行う場合もあるため,処分の呼び名だけで振り分けない。

聴聞では,15条により,予定処分,根拠条項,原因事実,期日・場所等が事前に通知される。18条は,一定の当事者等について,処分の原因事実を証する資料等の閲覧を定める。弁明では,30条の通知を確認し,29条に従い,原則として弁明書と証拠書類等を提出する。聴聞の資料閲覧規定が弁明にも当然に準用されるわけではないので,利用できる資料の範囲は別に確認する。

2 14条は処分と同時の理由提示を定める

14条1項本文は,不利益処分の名宛人に対し,処分と同時に理由を示すことを求める。3項により,処分が書面でされる場合は,理由も書面で示す必要がある。

事前に説明を受けたり弁明書を提出したりしたことだけで,処分時の理由提示を点検しなくてよいことにはならない。予定処分の通知と,実際にされた処分の理由書を別々に保存し,認定事実,適用条項,処分内容が対応しているかを比べることが有用である。

必要な理由の具体性は,不利益処分の理由提示―行政手続法14条が求める理由の具体性で整理している。

第3 緊急性の例外は一括して扱わない

1 事前の意見陳述ができない場合

13条2項1号は,公益上緊急に処分をする必要があり,意見陳述のための手続を執ることができない場合に,1項を適用しないと定める。同項には,緊急性以外の例外も列挙されている。

緊急性を理由にする場合の確認事項は,守るべき公益,危険が具体化する時期,事前手続に必要な時間,その時間を確保できない事情である。これらを行政庁に確認し,説明の日時と内容を記録する。「急いでいる」という抽象的な説明と,法定の例外要件が満たされることを区別する。

2 理由を示さず処分すべき差し迫った必要がある場合

14条1項ただし書が扱うのは,理由を示さないで処分すべき差し迫った必要がある場合である。13条の事前手続を省略できることから,14条の理由提示も自動的に省略できるとはいえない。行政庁がどちらの例外を使い,その必要性をどう説明するのかを分けて確認する。

14条2項は,名宛人の所在が不明になったときなど,処分後に理由を示すことが困難な事情がある場合を除き,相当の期間内に理由を示すことを求める。期間は一律の日数で定められていない。処分日,理由が示された日,その間の事情を記録して検討する。

法律が認める理由提示の延期と,必要な理由を示さなかった瑕疵が後日の説明で治るかという問題も異なる。後日の説明を受けた際は,例外に基づく提示なのか,元の処分理由への追加なのかを確認する。理由の追加・差替えと理由提示不備の違いも参照されたい。

第4 成田新法事件判決の衡量を他の処分に使うとき

1 行政手続というだけで憲法上の保障を排除しない

最高裁平成4年7月1日大法廷判決は,行政手続が刑事手続ではないという理由だけで,すべてを憲法31条の保障の枠外に置くことは相当でないとした。

一方,同条による保障が及ぶと解すべき場合でも,事前の告知・弁解・防御の機会が常に必要になるとはしなかった。制限される権利利益の内容・性質・制限の程度と,達成しようとする公益の内容・程度・緊急性等を総合較量するという判断である。

2 当該事件の結論と現行法の例外要件を混同しない

判決は,当該工作物使用禁止命令による制限と,空港の設置・管理等の安全を守る高度かつ緊急の必要性を較量し,事前の告知等の規定がなくても,対象規定が憲法31条の法意に反するものではないと判断した。

これは,行政手続法制定前の法律についての憲法判断である。現在の13条や14条の適用を無条件に免れる一般的な根拠にはならない。他の処分に援用するときは,法令上の手続を確認したうえで,権利制限と公益・緊急性の共通点及び相違点を具体的に示す必要がある。事前の防御の要否についての判断を,処分理由の提示が不要であるという判断へ広げることもできない。

第5 受領後に行う書面・証拠・期限の確認

実務では,次の順で一枚の確認票を作ると,省略された手続と争うべき点を整理しやすい。これは,本記事の実務上の提案である。

①通知書,封筒,電子通知の受信記録等を保存し,処分日と受領日を区別する。
②処分の根拠条項,予定又は確定した義務・権利制限,適用法令と特則を特定する。
③事前手続の種類,通知内容,提出期限,提出資料及び行政庁の回答を並べる。
④緊急性の例外を用いた場合は,省略対象の手続,例外条項,具体的な必要性を記録する。
⑤処分時の理由書と後日の説明を分け,事実・条項・処分選択の理由を照合する。
⑥不服申立てや訴訟の期限,処分の効力を止めるための手続の要否を,理由提示の確認と並行して検討する。

理由を尋ねる連絡,審査請求,取消訴訟,執行停止等はそれぞれ目的が異なる。相談時には,上記の書面と,処分によっていつどのような支障が生じるかを整理して持参することが有用である。個別の期限・申立要件は,対象となる処分と適用法令に即して確認する必要がある。

第6 出典及び関連記事

①行政手続法(e-Gov法令検索):令和8年10月9日に施行中の本文を取得。1~4条,13~15条,18条,29~31条の関連規定を確認した。
②最高裁平成4年7月1日大法廷判決・昭和61年(行ツ)第11号:判決本文の物理頁1~8頁の法廷意見,特に6~7頁の「5 同第一点の(五)について」。個別意見の判断を法廷意見に混ぜていない。

事前手続と理由提示を憲法上の問題として検討する例は,令和元年司法試験公法系第1問の模範解答・評価項目にも掲載している。同問題の法案は架空のものであり,現行の一般的なSNS規制を定めた法律ではない。