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裁判所事務官の給料・年収―初任給,賞与,手当と昇給の見方(AI作成)

第1 裁判所事務官の給料を見る際の前提

裁判所事務官の初任給の公表例は,一般職・大卒程度区分で月額27万8400円,一般職・高卒者区分で月額24万360円である。
これは令和8年4月1日現在の東京都特別区内に勤務する場合の例であり,全国共通の給与額,手取り額又は年収を示すものではない。

給与を比較するときは,採用区分,勤務地,基準日及び諸手当の条件をそろえる必要がある。
本記事は裁判所の「採用Q&A」に掲載された初任給と諸手当を基に,給与月額,賞与及び年収の違いを整理する。
第2で4区分の初任給を比較し,第3で賞与・手当,第4で年収の計算と比較の限界を確認できる。
初任給の案内は令和8年10月13日に再確認した。

裁判所「採用Q&A」:
https://www.courts.go.jp/saiyo/sikenjoho/siken/qa/index.html

第2 採用区分別の初任給

1 東京都特別区内で勤務する場合の公表例

裁判所の公式案内は,次の額を「東京都特別区内に勤務する場合の例」として掲げている。大卒程度の一般職と総合職では,初任給の額だけでなく,行政職俸給表(一)の級・号俸も異なる。

採用試験の区分初任給の公表例級・号俸
総合職・院卒者区分月額30万6720円2級11号俸
総合職・大卒程度区分月額29万400円2級1号俸
一般職・大卒程度区分月額27万8400円1級25号俸
一般職・高卒者区分月額24万360円1級5号俸

この表の数字を,そのまま他の地域の勤務者や経験者採用者の月額に当てはめることはできない。また,給与から控除される税・共済掛金等を差し引いた手取り額を示す表ではない。

2 「俸給月額」「給与月額」「手取り」を分けること

級・号俸は,俸給表上の位置を示す情報である。他方,給与の比較には,地域や本人の事情に応じた手当も関係する。公表された初任給の例と,俸給表に掲げられた俸給月額とを,同じ数字だと決め付けるべきではない。
手取りを知りたい場合は,勤務予定地と本人に適用される手当,控除項目を確認する必要がある。住居手当や通勤手当の上限を初任給に一律加算して「誰でもこの額を受け取れる」と計算することは適切でない。

第3 賞与と諸手当

1 期末・勤勉手当

裁判所の採用Q&Aでは,期末・勤勉手当について,1年間に俸給月額などの約4.65か月分と案内されている。「俸給月額など」という算定の基礎と,初任給の公表例とは区別して読む必要がある。
この案内は,採用初年度を含む全員が,公表された月額に4.65を掛けた額を必ず受け取るという意味ではない。個人の年収を計算する際には,実際の支給対象期間及び支給額を確認する必要がある。

2 通勤・住居・超過勤務に関する手当

手当裁判所の公式案内比較する際の注意点
通勤手当6か月定期券の価額等。1か月当たり最高15万円上限額が全員に支給されるわけではない
住居手当月額最高2万8000円家賃が月額1万6000円を超える場合に支給され,有料の国家公務員宿舎を貸与されている職員は対象外である(一般職の職員の給与に関する法律11条の10。裁判所職員臨時措置法により準用)
超過勤務手当等諸手当として案内されている固定額として全員の年収に加算することはできない

通勤手当は通勤費との関係で支給されるため,額の大きさだけで生活上の余裕を比較するのは適切でない。転居を伴う採用や異動を考える際には,家賃,通勤費,家族の生活条件も併せて検討する必要がある。

書記官への任命後の俸給調整と,事務官の初任給を区別すること
令和6年10月23日の第63回東京地方裁判所委員会議事概要メモ3頁では,同地裁の人事課長が,書記官には通常の俸給に加えて俸給の調整に当たる支給があり,書記官任命後のもので,新規採用時には付かない旨を説明している。したがって,本記事の事務官の初任給の表に,書記官任命後の俸給調整を当然に含めたり,一律に上乗せしたりすることはできない。
この議事概要メモは同日の説明を記録したものであり,令和8年の支給率,調整数又は個人の年収を示してはいない。書記官の役職・給与資料の区別は,裁判所書記官とは―役職と給与の調べ方も参照されたい。

第4 年収の計算と比較の限界

1 年収はその年の支給額を積み上げて確認すること

給与収入の年額を把握するには,各月の給与と,その年に支給された期末・勤勉手当等を積み上げる必要がある。毎月の給与が変わる場合や,年度途中の採用,異動,休業等がある場合に,初任給を12倍した額だけで実際の年収を表すことはできない。
例えば,一般職・大卒程度区分の公表例27万8400円を12倍すると334万800円になる。しかし,これは同じ月額を12か月分置いた算術上の小計であり,賞与や個別の諸手当を含む実際の年収,採用初年度の年収又は手取り額を示すものではない。

年収を確認する順序
① 各月の支給額を確認し,採用・異動・休業等による変動を反映する。
② その年に支給される期末・勤勉手当等を加える。
③ 月額に既に含まれる手当を再度加算せず,給与収入と控除後の手取りを分ける。
初任給の公表例を12倍し,さらに同じ月額の4.65か月分を機械的に加えた額を,誰にも共通する年収として示すことはできない。

2 最高裁判所の職員の年収は?―平均値と本人の年収を分ける

最高裁判所で働く職員の年収を,一つの金額で答えることはできない。
まず,裁判官,裁判所事務官,裁判所書記官などのうち,どの職種を調べているのかを特定する必要がある。
本記事は裁判所事務官を対象とし,最高裁判所勤務者だけの平均年収を示すものではない。

裁判所の採用Q&Aは,採用区分別の初任給を,基準日と東京都特別区内勤務という条件を付して示し,期末・勤勉手当,通勤手当,住居手当,超過勤務手当等を別に案内している。
初任給の公表例をそのまま最高裁判所職員全体の平均年収とすることはできない。
本人の年収は,第4の1のとおり,その年の給与・賞与・手当の支給額を積み上げて確認する。

「裁判所職員の平均給与」とされる統計を利用する場合も,対象が事務官だけなのか,書記官や他の職種を含むのか,管理職を含むのか,平均年齢はいくつかを確認する必要がある。
採用案内からは,裁判所事務官だけの年齢別平均年収や手取り額は分からないため,「30歳なら年収○万円」「一般職なら退職までに必ず○級」といった一律の数字は掲げない。

書記官については,裁判所書記官とは―役職と給与の調べ方を参照されたい。
この項で紹介した採用Q&Aの確認日は,令和8年10月21日である。

第5 昇給,昇格及び採用区分との関係

1 級別定数は個人の昇進予定表ではないこと

行政職俸給表(一)の給与を読む場合は,職務の級と,その級の中の号俸を分けて確認する必要がある。予算書に掲げられた級別定数は,各級等に配分された予算定員に関する資料であり,個人が何年目にどの級・号俸になるかを約束するものではない。
主要官職,級別定数及び過年度資料の読み方は,指定職を除く裁判所職員の級別定数と,司法行政部門と裁判所書記官等の役職の対応関係を参照されたい。

2 総合職・一般職と社会人経験者採用

裁判所の採用Q&Aは,総合職と一般職の試験で重視する能力の違いを説明するとともに,採用試験の種類にかかわらず,能力と勤務成績に応じて昇進の道が開かれていると案内する。この説明から,個別の昇進時期や生涯年収を確定することはできない。
社会人経験者選考採用では,採用時の俸給月額は経験年数や職歴等を踏まえて個別に決定される。上記の新卒等向けの初任給表を,経験者採用の給与表として利用することはできない。

裁判所「中途採用」:
https://www.courts.go.jp/saiyo/sikenjoho/chuuto_saiyou/index.html

第6 給与情報を確認する順序と関連資料

「月収はいくらか」を調べる場合は,初任給の公表例と,本人の月々の支給額,控除後の手取りを分けて確認する必要がある。
勤務時間や残業,休暇の制度・実績も合わせて比較する場合は,裁判所事務官の勤務時間・残業・休暇を参照されたい。
勤務制度や休暇取得実績が,個人の超過勤務手当の額や手取りを確定する資料になるわけではない。

給与だけで進路を決める前に,仕事内容,採用区分,勤務地及び書記官への進路を合わせて確認する必要がある。
裁判所事務官とはでは,働き方を含む全体像を整理している。
高卒者区分については,高卒で裁判所事務官になるにはで受験資格と採用後の進路を確認できる。

受験・採用を検討する場合は,①受験する年度と採用区分,②初任給の基準日と勤務予定地,③本人に適用される手当,④賞与と控除,⑤異動・昇進を含む働き方の順に確認すると,条件の違う数字を混同しにくい。
裁判所事務官を含む職種・身分・定員の全体像は,裁判所における一般職の職員を,採用試験の倍率と合格最低点の原資料は,裁判所職員採用試験に関する各種データを参照されたい。

関連する制度・資料記事は,裁判所職員に関する記事の一覧にまとめている。