第1 募集の概要と応募方法
最高裁判所は令和8年11月5日,令和9年4月採用予定のDX推進担当を1人募集すると公表した。
任期付常勤の国家公務員で,勤務先は最高裁判所と東京高等裁判所である。
郵送で応募する場合は令和8年12月2日消印有効で,年収の公表例は約820万~950万円である。
最高裁判所の募集要項が示す応募受付期間は,令和8年11月5日から12月2日までである。
郵送する場合は,先に最高裁判所事務総局人事局総務課職員任用第一係へ電話で連絡し,12月2日までに履歴書を郵送する(同日消印有効)。
履歴書には連絡先の電話番号とメールアドレスを記入し,6か月以内に撮影した写真を貼り,上部余白に「【常勤】DX推進担当」と朱書きする。
電話番号と受付時間,郵送先は最高裁判所の募集要項(第12項・第13項)で確認できる。
民間の人材紹介サービスから応募する場合は,各サイト所定の方法による。
エン株式会社の公募発表は,エン転職,ミドルの転職,AMBIを応募受付サイトとして挙げ,全体の応募受付期間を12月2日までとしている。
令和8年11月6日の確認時点では,ミドルの転職とAMBIの個別求人の掲載期間は11月18日までと表示されていた。
郵送の締切と,各サイトでの掲載・受付の状況はそれぞれ確認したい。
第2 仕事内容と応募資格
仕事の柱は,業務自動化・補助ツールの開発と運用保守,そしてDXの視点から業務の進め方を見直すBPRの支援である。
短期的に優先される業務は,Microsoft 365やローコード・RPAツールを使って現場で必要とされるツールを開発し,導入後の運用・保守まで担うことである。
既存ツールの改修と標準化,職員による内製開発への技術支援も含まれる。
BPRの支援では,現場の課題をもとに,業務の廃止・簡素化も含めて仕事の進め方を再設計し,改善策を実装する。
1 必須の4要件
① Power Appsなどのローコードツールや,UiPath,Power Automate,WinActorなどのRPAツールを用いた実装経験があること。
② 課題を論理的に分析し,関係者の潜在的なニーズを引き出して,施策に具体化し実行できること。
③ 大学卒業または同等の教養があり,文章作成と関係機関との調整ができること。
④ 任期付職員として,原則として令和9年4月1日から3年間勤務できること(採用時期は事情に応じて調整できる。)。
採用担当者のインタビューでは,司法に関する知識・実務経験は問わないと説明している。
募集要項は,SIerやITコンサルティング会社で業務改善に携わった人,事業会社や大規模組織の情報システム・DX推進部門で社内業務のBPRやツール導入を経験した人を想定例に挙げ,それ以外の人も歓迎するとしている。
2 歓迎要件と応募できない場合
歓迎要件の例には,IT構築やツール導入などの実行まで顧客に伴走し,多人数が関わる業務改善プロジェクトを企画・計画した経験,大規模組織でのBPR,アジャイル開発,生成AI等を使った業務改善,PMPやMicrosoftの認定資格などがある。
これらは募集要項の必須4要件と別に示されている。
所定の資格がなくても,同等以上の実務経験や所定水準に相当する知識・経験・実績があれば歓迎される。
募集要項第5項⑶は,日本国籍を有しない人,国家公務員法第38条の規定に該当する人,平成11年改正前の民法の規定による準禁治産の宣告を受けている人(心神耗弱を原因とするもの以外)は応募できないとしている。
個別の該当性は,募集要項の問合せ先に確認できる。
第3 年収例・任期・働き方
約820万~950万円は,地域手当,本府省業務調整手当,期末手当及び勤勉手当を含む12か月換算の例である。
期末・勤勉手当には前年から継続勤務した場合の割合を用いており,採用初年度の実支給額はこの例だけでは分からない。
給与は経験等を考慮して給与規程に基づき決まり,超過勤務をした場合は超過勤務手当が別に支給される。
採用予定は1人で,選考の結果,適任者がいない場合は採用を見合わせることがある。
任期は原則令和9年4月1日から3年間で,始期は事情に応じて協議でき,職務状況によって最大2年の更新があり得る。
なお,募集要項第7項は令和9年4月1日に「(水)」と曜日を付しているが,同日は暦の上では木曜日である。
募集要項では,8時30分から17時45分までの間で実働7時間45分の選択制とし,昼休みは45分としている。
ミドルの転職の求人票は,当面は最高裁判所で週3日,東京高等裁判所で週2日の勤務を予定し,業務の状況に応じて配分を変更する場合があると補足する。
テレワークについても,同じ求人票は担当業務に支障のない範囲で可能としている。
第4 書類選考と二次までの口述試験
選考は書類選考,書類選考の合格者に対するTeamsでの一次口述試験,一次試験の合格者に対する対面の二次口述試験の順に行われる。
ミドルの転職の求人票は,一次試験の合格者が裁判所の指定するテーマに沿ったPowerPoint資料を作成して事前に提出し,二次試験はその資料をもとに行うと説明している。
テーマや提出方法は一次試験の際に案内されるとされている。
第5 過去の公募との違い
令和5年の司法DX人材の募集要項でも,常勤の司法DX推進ディレクター(アプリ開発)の業務に,担当事件分野のシステム開発支援とIT化後の事務フロー検討(BPR)が含まれていた。
今回の募集は,補助ツールを実装して保守すること,既存ツールを標準化すること,現場の職員による内製を支援することを具体的な職務として掲げている。
裁判所が民間の実務経験をどの業務に生かそうとしているかは,この職務の違いから読み取れる。
第6 関連記事
①最高裁判所事務総局デジタル審議官―職務・組織・歴代人事と裁判所DX
②裁判所における一般職の職員―職種・身分・定員・採用
③裁判所事務官の給料・年収―初任給,賞与,手当と昇給の見方
④裁判所職員の予算定員の推移
⑤裁判所DXのグランドデザインの計画と実績
第7 出典
①最高裁判所「デジタル専門人材の募集について(任期付)」掲載の募集要項(全3頁),令和8年11月5日公表。
②最高裁判所「募集要項」(令和5年,司法DX人材)。
③エン株式会社の公募発表及び特設ページ。
④ミドルの転職の求人票,AMBIの求人票及び採用担当者インタビュー(いずれも令和8年11月6日確認)。