第1 採用データの読み方と令和8年度の実施結果
受験資格・試験科目・日程の全体像は,裁判所職員採用試験とは―受験資格・試験科目・日程・倍率・採用までを,名簿の有効期間,推薦及び意向照会は,裁判所職員採用試験に最終合格した後は―採用候補者名簿・意向照会・採用漏れを参照されたい。
本記事では,受験・合格・採用の人数と得点の原資料を,年度と区分をそろえて確認できるようにしている。
1 受験者数,最終合格者数及び採用者数は別の数字であること
本記事は,裁判所事務官及び家庭裁判所調査官補の採用試験について,年度別の実施結果,合格最低点・最高点及び採用者数等の原資料を掲載する資料集である。試験区分と年度をそろえ,第1次試験有効受験者数,最終合格者数及び採用者数を分けて読む必要がある。
裁判所が実施結果で表示する倍率は,「第1次試験有効受験者数÷最終合格者数」である。申込者数を分子にした倍率とは異なり,最終合格者数を採用者数と読み替えることもできない。採用者数の資料には,名簿の年度と集計時点の違いにも注意が必要である。
裁判所「試験の実施結果」:
https://www.courts.go.jp/saiyo/sikenjoho/siken/jissi/index.html
裁判所「受験から採用までの流れ」:
https://www.courts.go.jp/saiyo/sikenjoho/siken/saiyo/index.html
2 令和8年度の裁判所事務官の実施結果
令和8年10月10日に確認した公式実施結果の総数は,次のとおりである。女性の人数は総数の内数として公表されているが,この表には男女合計を掲げる。表の倍率は,公式資料に表示された小数第1位までの数字である。
令和8年度 裁判所事務官・総合職・院卒者
| 項目 | 人数・倍率 |
|---|---|
| 申込者数 | 61人 |
| 第1次有効受験者数 | 39人 |
| 最終合格者数 | 3人 |
| 倍率 | 13.0倍 |
令和8年度 裁判所事務官・総合職・大卒程度
| 項目 | 人数・倍率 |
|---|---|
| 申込者数 | 523人 |
| 第1次有効受験者数 | 371人 |
| 最終合格者数 | 8人 |
| 倍率 | 46.4倍 |
令和8年度 裁判所事務官・一般職・大卒程度
| 項目 | 人数・倍率 |
|---|---|
| 申込者数 | 9,911人 |
| 第1次有効受験者数 | 8,131人 |
| 最終合格者数 | 1,821人 |
| 倍率 | 4.5倍 |
一般職・大卒程度区分の数字には,総合職の裁判所事務官の特例希望者が含まれる。したがって,総合職と一般職の人数を単純に足して,重複のない受験者数又は合格者数とすることはできない。
高卒者区分は,令和8年10月8日時点では最終合格者発表前である。申込者数だけの資料と,最終合格までの実施結果を混同してはならない。
総合職・院卒者区分:
https://www.courts.go.jp/saiyo/vc-files/saiyo/01-AX-15-kekka.pdf
総合職・大卒程度区分:
https://www.courts.go.jp/saiyo/vc-files/saiyo/02-BX-15-kekka.pdf
一般職・大卒程度区分:
https://www.courts.go.jp/saiyo/vc-files/saiyo/03-C-15-kekka.pdf
3 高裁別の倍率
一般職試験(裁判所事務官,大卒程度区分)の高裁別倍率を,同じ定義で3年度比較すると次のとおりである。いずれも「第1次試験有効受験者数÷最終合格者数」であり,総合職の特例希望者を含む。倍率は公式資料の小数第1位の表示をそのまま掲げる。
| 高裁管轄区域 | 令和6年度 倍率 | 令和7年度 倍率 | 令和8年度 倍率 |
|---|---|---|---|
| 札幌 | 2.9倍 | 4.1倍 | 6.4倍 |
| 仙台 | 3.5倍 | 3.7倍 | 3.1倍 |
| 東京 | 3.2倍 | 3.6倍 | 3.4倍 |
| 名古屋 | 4.6倍 | 5.2倍 | 5.2倍 |
| 大阪 | 9.4倍 | 5.9倍 | 8.3倍 |
| 広島 | 4.1倍 | 3.4倍 | 4.9倍 |
| 高松 | 5.7倍 | 4.3倍 | 5.0倍 |
| 福岡 | 5.2倍 | 4.8倍 | 6.6倍 |
| 全国計 | 4.2倍 | 4.2倍 | 4.5倍 |
令和8年度の倍率の分子・分母となる男女合計の人数も,次の表で確認できる。申込者数や採用者数の表ではない。
| 高裁管轄区域 | 令和8年度 1次有効受験者 | 令和8年度 最終合格者 |
|---|---|---|
| 札幌 | 314人 | 49人 |
| 仙台 | 494人 | 157人 |
| 東京 | 3,156人 | 942人 |
| 名古屋 | 839人 | 161人 |
| 大阪 | 1,294人 | 155人 |
| 広島 | 561人 | 114人 |
| 高松 | 412人 | 82人 |
| 福岡 | 1,061人 | 161人 |
| 全国計 | 8,131人 | 1,821人 |
出典は,各年度の一般職・大卒程度区分の公式実施結果である。令和6年度 令和7年度 令和8年度 。各PDFの「1.申込者数等」の人数と倍率を用いた。これは各管轄区域についての当該年度の結果であり,別の年度の難易度や個人の合格可能性を直接示す数字ではない。
4 採用試験と総研入所試験を分けて読むこと
裁判所事務官等として採用されるための職員採用試験と,採用後に書記官養成課程へ進むための総研入所試験は,別の試験である。両者の受験者数や倍率を混ぜて「書記官になる難易度」を表すことはできない。
仕事内容と採用区分の全体像は,裁判所事務官とは―仕事内容,書記官との違い,採用と働き方を,採用後の養成制度は,裁判所職員総合研修所を参照されたい。以下の過年度資料は,現在の募集条件・合格基準を代替するものではない。
書記官の仕事内容と,採用後に養成課程を経て任命される通常の経路は,裁判所書記官とはで説明している。
採用試験と総研入所試験を分けて,必要な資料を確認する際の入口として参照されたい。
合格最低点・最高点の比較表と標準点の説明は,裁判所職員採用試験の合格最低点・合格最高点―高裁別・年度別の比較と標準点の読み方(AI作成)に掲載している。採用者数の年度別・男女別の推移は,裁判所職員の採用者数―男女別・年度別の推移と最終合格者数との違い(AI作成)を参照されたい。
5 令和8年度の家庭裁判所調査官補の実施結果
家庭裁判所調査官補は,裁判所事務官と別の職種であり,次の表は調査官補の総合職試験についての男女合計である。倍率は「第1次試験有効受験者数÷最終合格者数」の公式表示による。
| 項目 | 院卒者 | 大卒程度 |
|---|---|---|
| 申込者数 | 139人 | 447人 |
| 第1次有効受験者数 | 124人 | 392人 |
| 最終合格者数 | 24人 | 54人 |
| 倍率 | 5.2倍 | 7.3倍 |
出典:令和8年度家庭裁判所調査官補の実施結果1頁。これは試験の最終合格者数であり,採用者数及び研修修了者数を示すものではない。
家庭裁判所調査官補の倍率を受験準備につなげて読む場合は,家庭裁判所調査官になるにはを参照されたい。
同記事は,受験資格と専門記述の選択,人物試験の内容及び合格後の養成を区別し,1年度の倍率だけから個人の合格可能性を判断できないことを説明している。
第2 年度別の試験実施結果と採用者数の原資料
以下は過年度の試験実施結果及び推移表である。現在の結果は裁判所「試験の実施結果」から確認できる。資料ごとの年度,区分及び集計段階をそろえて参照されたい。
- 裁判所職員採用総合職試験の推移表(平成16年度から平成30年度まで)
- 裁判所職員採用一般職試験の推移表(平成16年度から平成30年度まで)
- 平成16年度ないし平成26年度
- 平成27年度
- 平成28年度
- 平成29年度
- 平成30年度
- 2019年度
- 令和2年度
- 令和3年度
- 令和4年度
- 令和5年度
- 令和6年度
- 令和7年度
実際の採用者数は,裁判所職員の採用者数―男女別・年度別の推移と最終合格者数との違い(AI作成)で一般職・総合職・調査官補を分けて説明している。平成11年度以降の採用関係原資料へのリンクも同記事に移した。最終合格者数との差だけで「採用漏れ率」を計算することはできない。
第3 合格最低点・合格最高点の比較
令和6・7年度の一般職・大卒程度区分の高裁別比較表は,裁判所職員採用試験の合格最低点・合格最高点―高裁別・年度別の比較と標準点の読み方(AI作成)に掲載している。平成23年度以降の原資料へのリンクも同記事に移した。
種目ごとの素点の下限,第1次試験の標準点合計及び最終合格の標準点合計は異なる。最終合格最低点を面接だけの点数と読み替えたり,過年度の最低点から今年度の必要正答数を単純に逆算したりすることはできない。
公式問題を使って科目別の準備を進める方法は,裁判所事務官の過去問と勉強の進め方を参照されたい。
独立記事に掲載する合格最低点と,演習で確認する自分の正答数を分けて利用する必要がある。
第4 男女別合格率の計算と読み方
令和8年度の公式実施結果では,女性の人数は総数の内数である。男性人数は総数から女性人数を引いて求める。第1次合格から最終合格までの合格率を比較する場合は,分母を第1次合格者数,分子を最終合格者数として統一する。
令和8年度 裁判所事務官・一般職,大卒程度
| 性別 | 第1次合格者 | 最終合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 男性 | 2,011人 | 666人 | 33.1% |
| 女性 | 2,446人 | 1,155人 | 47.2% |
令和8年度 家庭裁判所調査官補・院卒者
| 性別 | 第1次合格者 | 最終合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 男性 | 17人 | 6人 | 35.3% |
| 女性 | 59人 | 18人 | 30.5% |
令和8年度 家庭裁判所調査官補・大卒程度
| 性別 | 第1次合格者 | 最終合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 男性 | 64人 | 8人 | 12.5% |
| 女性 | 168人 | 46人 | 27.4% |
出典:令和8年度一般職・大卒程度区分の実施結果1頁及び令和8年度家庭裁判所調査官補の実施結果1頁。合格率は記載人数から計算し,小数第1位に丸めた。
この割合には第1次合格後に次の試験を受けなかった者も含まれるため,「面接だけの合格率」ではない。また,最終合格者の女性比率や,第1次有効受験者から最終合格までの合格率とも異なる。人数差・割合の差の存在と,その原因の評価を分けて読む必要がある。
第5 男女別統計と選考基準の関係
男女別の集計値だけから,選考での優遇・不利益取扱いの有無やその原因は確定できない。試験区分,年度,欠席・辞退の取扱い,筆記成績,人物試験の判定及び実際の選考基準を確認する必要がある。
例えば,上記の調査官補・院卒者区分では男性の第1次合格者は17人であり,最終合格者1人の違いでも割合が約5.9ポイント変わる。少人数の区分の割合を,他区分や別年度に一般化することは適切ではない。合格者決定方法と実施結果を併読し,集計から確認できることと確認できないことを区別する。
第6 得点分布と個人の成績通知
受験者全体の得点分布,合格最低点及び個人の成績通知は別の情報である。得点分布に関する平成29年度の答申と,現在案内されている個人の試験結果の情報提供は,裁判所職員採用試験の得点分布と成績通知―平成29年度答申と現在の情報提供(AIリライト)で説明している。
過年度の得点分布に関する不開示判断を,現在の個人成績通知が一切受けられないという意味に読み替えてはならない。自分の成績通知だけから,全受験者の分布や採用される確率まで分かるわけでもない。
第7 裁判所職員総合研修所の研修生に関する資料
以下は平成30・31年度等の過年度の研修資料である。研修生数は採用者数とは異なり,書記官養成課程の入所試験も職員採用試験と別の試験である。採用後の養成制度の説明は裁判所職員総合研修所を参照されたい。
書記官養成課程の第一部には法学部卒業者等の資格要件があり,第二部には法学部以外の大学・短期大学の卒業者等のほか,最高裁判所が短期大学卒業者と同等以上の学力を有すると認める者等の資格要件がある。
学部名だけで無条件の入所を決める制度ではなく,入所試験の結果に基づく指名が必要である。
原則的な入所期間は第一部が1年,第二部が2年,家庭裁判所調査官の養成課程は2年である(裁判所職員総合研修所規程4条~7条)。


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第8 関連資料と関連記事
インターネット申込状況と事務取扱要領の過年度資料は次のとおりである。申込者数は有効受験者数とは異なり,過年度の取扱要領は現在の受験案内を代替しない。
最高裁総務局・人事局各課長,参事官を囲む座談会(平成7年5月9日開催)では,裁判所書記官の女性比率が昭和60年4月1日の4.0%から平成6年4月1日の14.2%になった旨の発言がある(全国裁判所書記官協議会会報第131号11頁)。これは当時の在職者の構成に関する数字であり,採用試験の男女別合格率と同じ統計ではない。
- 裁判所職員採用試験の合格最低点・合格最高点―高裁別・年度別の比較と標準点の読み方(AI作成)
- 裁判所職員の採用者数―男女別・年度別の推移と最終合格者数との違い(AI作成)
- 裁判所職員採用試験とは―受験資格・試験科目・日程・倍率・採用まで(AI作成)
- 裁判所職員採用試験に最終合格した後は―採用候補者名簿・意向照会・採用漏れ(AI作成)
- 平成3年度以降の裁判所職員採用試験の採用案内パンフレット
- 裁判所職員採用試験の得点分布と成績通知―平成29年度答申と現在の情報提供(AIリライト)
- 裁判所事務官の面接対策―司法試験との併願,面接カードと志望動機
- 裁判所事務官・書記官等の記事一覧―仕事,採用,給与,研修と職員制度