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大阪弁護士会の負担金会費(AIリライト)

第1 大阪弁護士会の負担金会費とは何か

1 入会時の会館負担金会費と入会後の負担金会費

大阪弁護士会に入会する弁護士は,まず入会時に会館負担金会費40万円(分納及び分納の延納制度あり)を納入する。これとは別に,入会後は,受任した事件の種類に応じて,報酬額等の一定率を「負担金会費」として継続的に納入することになる。大阪弁護士会財務課が入会者向けに配布している「大阪弁護士会財務課からのお願い」は,この入会後の負担金会費を「3 負担金会費の納入について」として説明しており,直接依頼者から事件を受任して権利保護保険制度(いわゆる弁護士費用特約)を利用した場合の負担金など一部の項目は,会員の間で「上納金」と呼ばれることがある。

もっとも,このような負担金は,会員が弁護士会の紹介業務等を利用したことに対応して発生するものであり,会費のように一律に課されるものではない。負担金の重さをどう評価するかは,弁護士会の相談配点や紹介業務にどの程度依存して業務を組み立てているかによって受け止め方が異なり得る。

2 負担金会費の会則上の根拠

弁護士法33条2項は,弁護士会が日本弁護士連合会の承認を受けて定める会則に記載すべき事項として,15号に「会費に関する規定」を掲げている。負担金会費を含む会費の徴収それ自体は,弁護士法が会則の必要的記載事項として明文で予定している制度であり,各弁護士会が独自に創設した仕組みではない。大阪弁護士会では,この会則に基づき「大阪弁護士会各種会費規程」が定められ,同規程第3条の4が,入会後に生じる負担金会費の内容を定めている。

第2 入会後に生じる負担金会費①~⑪

大阪弁護士会財務課からのお願い(2024年11月版)が示す各種会費規程第3条の4の抜粋によれば,入会後に生じる負担金会費は,次の①から⑪までのとおりである。

① 国選弁護人及び少年法22条の3の国選付添人に対する報酬の5%

② 裁判所から選任された職務代行者,破産管財人,民事再生監督委員,同調査委員,同管財人,同保全管理人,会社更生管財人,同調査委員,同保全管理人,同監督員,会社設立検査役,特別清算における特別清算人,同検査役,会社整理における検査役,同監督員,同管理人,特別代理人,不在者財産管理人,相続財産管理人,相続財産清算人,所有者不明土地管理人,所有者不明建物管理人,管理不全土地管理人,管理不全建物管理人,特定不能土地等管理者,特定社団等帰属土地等管理者,遺言執行者,後見人,後見監督人,保佐人,保佐監督人,補助人,補助監督人,任意後見監督人,財産管理者,職務代行者等(裁判所の民事調停委員,家事調停委員,鑑定委員,司法委員,参与員その他これらに準ずるものを除く。)の報酬(未成年後見制度における後見人,後見監督人,財産管理者及び職務代行者の報酬については,就任時から1年間のものに限る。)の7%

③ 大阪弁護士会総合法律相談センター規程(会規第13号)に定める法律相談業務,被害者救済業務,中小企業・NPO法人等支援に関する業務,犯罪被害者救済業務及び当番弁護士に関する業務の担当者並びに同規程により事件を受任した場合の法律相談料,着手金,報酬金,手数料,鑑定料,講師料並びに一部業務の日当の7%

④ 大阪弁護士会総合法律相談センターから顧問の紹介を受けた者の顧問就任時から1年間の顧問料の7%

⑤ 大阪弁護士会高齢者・障害者総合支援センター規程(会規第30号)に定める専門法律相談業務,財産管理支援業務,ホームロイヤー支援業務,介護・福祉支援業務及び精神保健支援業務の担当者並びに同規程により事件を受任した場合の法律相談料,着手金,報酬金,手数料,鑑定料及び講師料の7%

⑥ 大阪弁護士会遺言・相続センター規程(会規第55号)に基づく法律相談の相談料並びに同規程により事件を受任した場合の着手金,報酬金及び手数料の7%

⑦ 大阪住宅紛争審査会の指名紛争処理委員及び専門家相談員の報酬の7%

⑧ 権利保護保険制度(日弁連リーガル・アクセス・センター)に基づく法律相談の相談料並びに同制度により事件を受任した者(直接依頼者から事件を受任し,同制度を利用した場合を含む。)の着手金,報酬金,手数料及び日当の7%

⑨ 大阪弁護士会行政連携センター規程(会規第59号)により紹介を受けた場合の法律相談料,着手金,報酬金,手数料,鑑定料及び講師料の7%

⑩ 大阪弁護士会総合法律相談センター規程(会規第13号)26条の2第2号に基づき事件を受任した者の着手金,報酬金,手数料及び日当の7%

⑪ 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(平成12年法律第75号)5条の国選被害者参加弁護士に対する報酬の5%

本記事の初出時に紹介していた項目は①から⑨までであったが,その後,⑩及び⑪が新設されたほか,②では令和3年の民法等改正により新設された相続財産清算人,所有者不明土地管理人等の財産管理者の類型が加えられ,③では中小企業支援センター業務が中小企業・NPO法人等支援に関する業務へと名称を改め,⑤ではホームロイヤー支援業務が加えられている。負担金会費の対象となる業務の範囲は,弁護士会の新設業務や関連法令の改正に応じて随時見直されているため,正確な料率及び対象業務を確認する際は,大阪弁護士会が入会者向けに配布する最新の説明資料によって確認する必要がある。

第3 負担金会費の法的性質――消費税の課税対象取引と判断した裁判例

1 事案の概要

弁護士会が法律相談センター等を介して会員弁護士に事件を紹介した際に徴収する負担金の法的性質については,同種の制度を正面から扱った裁判例がある。国税庁が公表している税務訴訟資料によれば,ある弁護士会(判決文上は「A会」と匿名化されている。)が,消費税の確定申告に際して会員から収受する負担金等を課税標準に含めていなかったところ,処分行政庁(中京税務署長)から,これらの収入は事業として対価を得て行われる役務の提供に当たるとして消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分を受け,その取消しを求めて提訴した事案である。

京都地方裁判所平成23年4月28日判決(税務訴訟資料261号-89・順号11679)は,原告の請求のうち一部を訴えの利益を欠くとして却下したほかは,その余の請求をいずれも棄却した。原告はこれを不服として控訴したが,大阪高等裁判所平成24年3月16日判決(税務訴訟資料262号-59・順号11909)も控訴を棄却し,原告は上告した。国税庁が公表する税務訴訟資料は,これらの判決の事件番号を匿名化しているため,本記事でも事件番号は示さない。もっとも,処分行政庁が中京税務署長(京都市内を所轄)であることや,争点となった負担金の制度設計が弁護士会の法律相談センター及び刑事弁護・少年付添センターの規程に基づくものであることなどから,税務専門書では「京都弁護士会事件」として紹介されている。

争点となった収入は,①法律相談センター等を介した紹介に基づき事件を受任した会員弁護士が支払う負担金,②刑事弁護・少年付添センターを介した紹介又は当番弁護士としての受任に基づき会員弁護士が支払う負担金,③弁護士法23条の2に基づく照会(いわゆる23条照会)の手数料,④弁護士協同組合及び法律扶助協会支部からの事務委託に基づき原告に支払われる事務委託金,⑤司法修習生の実務修習の指導に係る司法修習委託金の5種類であり,これらが消費税法上の「対価」に当たるかが争われた。

2 裁判所が対価性を認めた理由

大阪高等裁判所は,消費税の課税対象となる対価に該当するためには,事業者が行った個別具体的な役務提供との間に,当該具体的な役務提供があることを条件として経済的利益が収受されるといい得る対応関係があれば足り,それ以上の要件(任意性や役務と経済的利益の同等性)は法が要求していないとした上で,法律相談センター等を介した紹介に基づく負担金について,次のとおり判示して控訴を棄却した。

「結局,各弁護士は,控訴人の事務処理という役務の提供によって受任の機会を得たため,本件各受任事件負担金を支払うこととされているものということができ,当該具体的役務の提供と本件各受任事件負担金との間には対応関係があるということができるので,本件各受任事件負担金は当該役務の提供の対価であるということができる。」

裁判所は,これに加え,負担金が会員から強制的に徴収される会費的な性質を持つとしても,それだけで対価性が当然に否定されるわけではないとした(消費税法基本通達5-5-3参照)。また,実際に事件を受任した会員のみから負担金を徴収し,機会の提供を受けたが受任しなかった会員からは徴収しない徴収方法についても,これは徴収の条件を絞り込む政策上の問題にすぎず,対応関係を否定する理由にはならないとした。23条照会手数料,事務委託金についても,同様に具体的な役務提供との対応関係が認められるとして,いずれも課税取引に当たると判断されている。

大阪弁護士会の負担金会費①から⑪までのうち,総合法律相談センター等の紹介業務に連動するもの(③④⑤⑥⑦⑨⑩)や,権利保護保険制度の利用に連動するもの(⑧)は,上記の裁判例が扱った制度と共通する構造を持つ。もとより,課税関係は各弁護士会の会計処理及び所轄税務署の判断によって定まるものであり,本記事は大阪弁護士会における具体的な課税関係を述べるものではないが,この種の負担金が消費税法上どのように性質決定され得るかを示す裁判例として参考になる。

第4 直接受任案件(日弁連LAC)における取扱い

1 日弁連LACの制度

権利保護保険制度は,日弁連が保険会社等と協力して2000年に発足させた弁護士費用保険(いわゆる弁護士費用特約)であり,日弁連リーガル・アクセス・センター(日弁連LAC)が制度の運営と発展のため,各地の弁護士会との連絡調整や保険会社・共済協同組合との協議等の活動を行っている。日弁連が公表する協定保険会社等一覧(2024年10月1日現在)には,あいおいニッセイ同和損害保険株式会社,損害保険ジャパン株式会社,三井住友海上火災保険株式会社,AIG損害保険株式会社等22社が掲載されているが,東京海上日動火災保険株式会社及び日新火災海上保険株式会社は掲載されていない。

2 直接受任案件の委任契約書と負担金会費

会員が保険会社等の紹介を経ずに直接依頼者から事件を受任し,その事件について権利保護保険制度を利用する場合(いわゆる直接受任案件)であっても,大阪弁護士会は,会員に対して日弁連LACへ連絡した上で7%の負担金会費(前記⑧)を納付するよう求め,かつ,日弁連LAC指定書式の委任契約書を作成するよう求めている。同契約書12条には,次の記載がある(甲は依頼者,乙は受任弁護士である。)。

「甲と乙とは,本契約が両当事者間の自主的な契約であって,本契約および本契約に基づいて生じる問題について,甲の加入する保険会社等,日弁連リーガル・アクセス・センターおよび乙の所属弁護士会のリーガル・アクセス・センターに対し,何らの法的責任も問わないことを確認する。」

直接受任案件において依頼者又は保険会社が日弁連LACの利用を拒絶した場合,受任弁護士が大阪弁護士会に負担金会費を納付することはできないと考えられる。また,直接受任案件から弁護士会費を徴収するのは大阪弁護士会だけであるとの指摘も見られるが,これは伝聞情報にとどまり,他会の制度を網羅的に確認した結果ではない。

なお,弁護士又は弁護士法人でない者が報酬を得る目的で法律事件に関する周旋等を業とすることは弁護士法72条により禁止されており,また,労働基準法6条は,法律に基づいて許される場合を除き,何人も業として他人の就業に介入して利益を得てはならないと定め,職業安定法30条は,有料の職業紹介事業を行う者に厚生労働大臣の許可を要求している。これらの規定と,弁護士会が会員の受任機会に関与して負担金を徴収する仕組みとの関係については,会員から疑問の声も見られる。

この点について,弁護士法33条2項15号が弁護士会の会則に会費に関する規定を置くことを予定していること(前記第1の2),及び前記第3でみた裁判例が,弁護士会の紹介業務を役務の提供として性質決定していることは,考慮要素になり得る。もっとも,この論点を正面から扱った確立した学説又は裁判例は現時点で見当たらず,本記事はいずれの立場が正当であるかを結論付けるものではない。

第5 負担金会費の徴収実務――未納問題と公平納付プロジェクト

大阪弁護士会「令和7年度会務報告書」(令和8年6月発行)によれば,2025年度執行部は,負担金会費が同会財政において比較的大きな割合を占める一方で,適切に納付されていない会員が少なからずおり,適切に納付している会員が不公平に感じる状況があったことから,「負担金会費の公平納付プロジェクト」に取り組んだ。具体的には,管財事件(破産管財人等)における負担金未納の解消のため,過去に遡って官報を手作業で確認して管財人選任情報を把握した上で,負担金納付データと照らし合わせ,納付が確認できない管財事件を会員専用サイトで登録して個別に問い合わせを行い,年度末には全会員に宛てて負担金納付に関する照会も行った。その結果,2025年度の負担金納付額は,従前より大幅に増えたと報告されている。

このような取組みは,前記②の負担金会費(裁判所選任の破産管財人等の報酬の7%)が,制度上は存在していても,実際にどこまで捕捉されているかという運用上の課題があったことを示している。

第6 公益活動負担金会費(6万円)――入会後の負担金会費とは別の制度

大阪弁護士会には,前記第2の①から⑪までの受任連動型の負担金会費とは別に,「公益活動負担金会費」という制度がある。これは,会員の公益活動等に関する規程11条及び各種会費規程3条の3に基づき,会規が定める特定公益活動への参加義務を履行しなかった会員(又は業務上の事情から公益活動を行うことが困難な会員)が,年度ごとに納付する6万円の負担金であり,参加義務の履行に代える性質を持つ。

前記「令和7年度会務報告書」によれば,「公益活動負担金会費の使途の検討等に関するプロジェクトチーム」が設置され,令和8年3月18日に会長へ報告書を提出して同月31日に解散した。同報告書は,公益活動負担金会費の使途について限定を加えないことが相当であるとし,経理方法についても,公益活動積立金制度を廃止して一般会計で経理することが相当であるとしている。また,会務の有償化の範囲自体については提言を行わないものの,独自負担で支弁される有償会務の金額及び内訳(令和6年度実績で約1億8000万円)を毎年度会員に明示することが相当であるとしている。なお,同会費の収入額は,令和6年度実績で過去最高額の2694万円であったと報告されている。

第7 会財政をめぐる継続的な検討

負担金会費及び公益活動負担金会費を含む大阪弁護士会の財政全体については,「会財政の健全性検証・対策プロジェクトチーム」が別途設置され,継続的に検討が行われている。同プロジェクトチームは,「本会が将来にわたり財政の健全性を確保・維持することができるかを検証するとともに,かかる財政の健全性の確保・維持が困難と判断された場合には,その対策を検討すること」を目的として設置され(要綱2条),会館部会,情報部会,相談部会,その他支出部会及び収入部会の5部会構成で活動している。前記「令和7年度会務報告書」の時点では,各部会の報告書の内容が固まりつつある段階にあり,具体的な提言は,2026年7月末までの存続期間中に書面で行われる予定とされている。

会財政をめぐっては,会館負担金会費の使途である大阪弁護士会館の維持管理費用も含まれる。会館の空調設備は老朽化に伴い更新工事が進められているが,工事費の高騰により,当初計画の対象フロアを縮小するなどの見直しが行われている。

なお,会員が弁護士会の相談配点や紹介業務にどこまで依存できるかという経済的な現実も,負担金会費の受け止め方に影響している。

大阪弁護士会以外にも,会費及び負担金の在り方をめぐって会員が弁護士会を提訴した例がある。札幌弁護士会に対しては,同会所属の会員が,北海道弁護士会連合会会費,会館維持負担金等の返還を求める不当利得返還請求訴訟を提起し,札幌地方裁判所令和6年9月12日判決は原告の請求を全部棄却した。原告はこれを不服として控訴しており,本記事執筆時点では控訴審の結果は確認できていない。この訴訟が対象とする会費項目は,大阪弁護士会の負担金会費①から⑪までとは異なるが,会員が弁護士会の会費・負担金の在り方に疑問を提起した事例として参考になる。

第8 関連記事

第9 出典

1 法令

2 裁判例

3 大阪弁護士会・日弁連の公表資料

4 文献

  • ① 安部和彦『裁判例・裁決事例に学ぶ 消費税の判定誤りと実務対応』清文社,2022年6月,95頁~105頁(同書事例2-9)