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日弁連の会費及び特別会費(AIリライト)

第1 総論

1 日弁連の会費

弁護士である会員は,日弁連会則に基づき,日本弁護士連合会(以下「日弁連」という。)の会費を,所属弁護士会を経て日弁連に納めなければならない(会則95条1項)。この会費は,平成13年2月9日臨時総会決議に基づき月額1万4000円となり,平成27年12月4日臨時総会決議に基づき月額1万2400円となった後,令和3年12月3日臨時総会決議に基づき,令和4年4月1日から月額1万200円となっている。司法修習を終えて弁護士である会員になった者であって,修習を終えてから2年を経過しないものについては,会則95条2項に基づく別枠の会費が適用され,平成19年12月6日臨時総会決議に基づき月額7000円となり,平成27年12月4日臨時総会決議に基づき月額6200円となった後,令和3年12月3日臨時総会決議に基づき,令和4年4月1日から月額5100円となっている。会則95条の改正はその後行われておらず,令和4年4月以降の上記各金額が令和8年(2026年)現在も現行額である。

会費のうち700円(令和2年3月31日までは800円)は,日弁連の会館を維持運営するために必要な資金に充てられる(会則95条の2)。この会館維持運営資金の額は,令和元年12月6日臨時総会決議に基づき,令和2年4月1日から700円に減額された。

2 日弁連の特別会費

弁護士である会員は,特別の必要がある場合には,特別会費を所属弁護士会を経て日弁連に納めなければならない(会則95条の3第1項)。特別会費の徴収は,その額,使途及び納付期間その他必要な事項を定めて,理事会において出席者の3分の2以上の賛成をもって発議し,総会において出席した弁護士会及び弁護士である会員の3分の2以上の賛成をもって議決しなければならない(同条2項)。現在,日弁連会則に基づいて徴収されている特別会費は,次の2種類である(根拠決議は日弁連ウェブサイトの「第2部:会則」に掲載されている。)。

①少年・刑事財政基金のための特別会費徴収の件(平成20年12月5日臨時総会決議)

②法律援助基金のための特別会費徴収の件(平成23年2月9日臨時総会決議)

3 会費等の徴収及び滞納した場合の取扱い

弁護士会は,毎月末日において所属する弁護士である会員から日弁連の会費及び特別会費(以下「会費等」という。)を徴収して,2か月以内に日弁連に送金しなければならない(会則96条)。弁護士である会員が6か月以上会費等を滞納したときは,所属弁護士会の同意を得て,弁護士法60条の定めるところにより懲戒することができる(会則97条)。実務上は,滞納の期間が相当長期に及んだ事案や,未納が繰り返されている事案について懲戒処分の対象とされる例が多く,短期間の滞納から直ちに懲戒に至るものではない。

4 日弁連の財政規模における会費の位置付け

日弁連が自主的に会活動を行うためには財政的に独立していなければならないとの考え方から,日弁連の経費は会費,登録料,寄附金その他の収入をもって支弁するものとされ(会則91条),使途について外部から制約を受けることはない。日弁連の年間予算は,令和8年度(2026年度)の一般会計で約116億円であり,繰越金を除く諸収入のうち会費(月額1万200円)の占める割合は94%程度に達する。会費が日弁連の財政基盤の大部分を占めていることは,前記3の滞納に対する懲戒制度が置かれている理由の一つでもある。弁護士自治の財政的な裏付けとして会費が果たす役割の大きさは,しばしば会員からも指摘されるところである。

第2 日弁連の会費等の現行額

令和4年4月以降の日弁連の会費等の月額は,次のとおりである。特別会費の内訳(少年・刑事財政基金及び法律援助基金)については,令和6年12月6日臨時総会決議により,金額を据え置いたまま令和10年6月まで徴収期間が延長されている(後記第5参照)。

1 司法修習終了後2年を経過した会員の場合

①会費(会則95条1項):月額1万200円

②少年・刑事財政基金のための特別会費:月額1300円

③法律援助基金のための特別会費:月額800円

④合計:1万2300円

2 司法修習終了後2年以内の会員の場合

①会費(会則95条2項):月額5100円

②少年・刑事財政基金のための特別会費:月額1300円

③法律援助基金のための特別会費:月額800円

④合計:7200円

第3 日弁連の会費等の月額の推移

日弁連の会費等の月額は,特別会費の新設・改廃を中心に,次のとおり推移してきた。過疎偏在対策特別会費は平成28年3月に徴収を終了しており,少年・刑事財政基金特別会費の前身は当番弁護士等緊急財政基金特別会費である。

適用期間会費少年・刑事財政基金特別会費等法律援助基金特別会費過疎偏在対策特別会費合計
2004年4月~2004年12月1万4000円4200円1000円1万9200円
2005年1月~2007年3月1万4000円4200円1500円1万9700円
2007年4月~2009年5月1万4000円4200円1400円1万9600円
2009年6月~2010年3月1万4000円3100円1400円1万8500円
2010年4月~2011年3月1万4000円3100円700円1万7800円
2011年4月~2013年3月1万4000円4200円1300円700円2万200円
2013年4月~2014年5月1万4000円4200円1300円600円2万100円
2014年6月~2016年3月1万4000円3300円1100円600円1万9000円
2016年4月~2018年5月1万2400円3300円1100円1万6800円
2018年6月~2020年5月1万2400円1900円900円1万5200円
2020年6月~2022年3月1万2400円1600円900円1万4900円
2022年4月~2025年6月1万200円1300円800円1万2300円
2025年7月~2028年6月*1万200円1300円800円1万2300円

*2025年7月(令和7年7月)から2028年6月(令和10年6月)までの期間は,令和6年12月6日臨時総会決議により,少年・刑事財政基金及び法律援助基金の各特別会費の金額を据え置いたまま,徴収期間のみが新たに議決されたものである。金額そのものは前期間から変わっていない。

第4 日弁連の会費等の免除事由

次のいずれかの事由に該当する場合,弁護士である会員は,所属弁護士会を通じて申請することにより,日弁連の会費等の全部の免除を受けることができる(会則95条の4)。

①弁護士登録の期間が通算して50年以上であるとき(1項1号)

②77歳に達し,かつ,弁護士登録の期間が通算して20年以上であるとき(1項2号)

③病気又は傷害により弁護士業務を執ることが困難であるとして,所属弁護士会において会費の全部の免除を受けているとき(1項3号)

④出産をするとき(2項。妊娠4か月(85日)以上の分娩をいい,同時期以降の流産又は死産の場合を含む。)

⑤子の育児をするとき(3項)

このうち,出産・育児を理由とする弁護士会費の免除については,別の記事で会規に基づく具体的な免除期間を紹介している。①及び②の高齢・長期登録を理由とする免除については,資格を維持したまま業務から退いている会員の把握が難しくなるとして,会員から疑問が呈されることがある。

第5 特別会費の種類別沿革

1 少年・刑事財政基金特別会費

正式名称は「少年・刑事財政基金のための特別会費」であり,日弁連が実施する少年保護事件付添援助事業及び刑事被疑者弁護援助事業の維持・発展並びに弁護士会が実施する当番弁護士制度等を支援する制度の維持・発展に要する費用の財政補助のために,少年・刑事財政基金を設置して徴収されている。決議に基づく変遷は次のとおりである。

①平成7年5月26日定時総会決議=「当番弁護士等緊急財政基金のための特別会費」として月額1500円を徴収するものとされた。

②平成10年3月27日臨時総会決議=平成13年5月までの間,徴収するものとされた。

③平成11年3月25日臨時総会決議=月額2200円を徴収するものとされた。

④平成13年2月9日臨時総会決議=平成16年5月までの間,月額2800円を徴収するものとされた。

⑤平成14年2月28日臨時総会決議=月額4200円を徴収するものとされた。

⑥平成16年2月26日臨時総会決議=平成19年5月まで徴収するものとされた。

⑦平成18年12月7日臨時総会決議=平成21年5月まで徴収するものとされた。

⑧平成20年12月5日臨時総会決議=「少年・刑事財政基金のための特別会費」に改称され,平成21年6月から平成24年5月までの3年間,月額3100円を徴収するものとされた。

⑨平成23年2月9日臨時総会決議=平成23年4月から平成26年5月までの間,月額4200円を徴収するものとされた。

⑩平成25年12月6日臨時総会決議=平成26年6月から平成29年5月までの間,月額3300円を徴収するものとされた。

⑪平成29年3月3日臨時総会決議=平成29年6月から平成30年5月までの間,月額3300円を徴収するものとされ,平成30年6月から令和2年5月までの間,月額1900円を徴収するものとされた。

⑫令和元年12月6日臨時総会決議=令和2年6月から令和5年6月までの間,月額1600円を徴収するものとされた。

⑬令和3年12月3日臨時総会決議=令和4年4月から令和7年6月までの間,月額1300円を徴収するものとされた。

⑭令和5年3月3日臨時総会決議及び同年12月8日臨時総会決議=金額及び徴収期間を定める規定ではなく,基金の使途を定める第1項の規定が2回にわたって改正された。改正後の使途には,罪に問われた障がい者等の刑事弁護又は少年保護事件付添の活動を支援する制度並びに国選弁護人及び国選付添人の報酬基準では十分に賄われていない活動を支援する制度の維持・発展が明記されており,令和5年に創設された障がいのある被疑者・被告人等の弁護活動を支援する制度が基金の使途に加えられたことを反映したものである。

⑮令和6年12月6日臨時総会決議=令和7年7月から令和10年6月までの間,月額1300円を徴収するものとされた。金額は⑬の期間から変わっていない。

2 法律援助基金特別会費

正式名称は「法律援助基金のための特別会費」であり,日弁連が会則89条の2及び法律援助事業に関する規程に基づいて実施する法律援助事業のうち,刑事被疑者弁護援助事業及び少年保護事件付添援助事業以外の法律援助事業の維持・発展に要する費用として徴収されている。決議に基づく変遷は次のとおりである。

①平成23年2月9日臨時総会決議=平成23年4月から平成26年5月までの間,月額1300円を徴収するものとされた。

②平成25年12月6日臨時総会決議=平成26年6月から平成29年5月までの間,月額1100円を徴収するものとされた。

③平成29年3月3日臨時総会決議=平成29年6月から令和2年5月までの間,月額900円を徴収するものとされた。

④令和元年12月6日臨時総会決議=令和2年6月から令和5年6月までの間,月額900円を徴収するものとされた。

⑤令和3年12月3日臨時総会決議=令和4年4月から令和7年6月までの間,月額800円を徴収するものとされた。

⑥令和6年12月6日臨時総会決議=令和7年7月から令和10年6月までの間,月額800円を徴収するものとされた。金額は⑤の期間から変わっていない。

3 弁護士過疎・偏在対策のための特別会費

正式名称は「弁護士過疎・偏在対策のための特別会費」であり,平成11年12月16日臨時総会決議に基づき,平成12年1月から平成16年12月までの5年間,毎月1000円を徴収するものとされたのが最初である。その後,平成16年11月10日臨時総会決議(平成17年1月から平成19年3月まで,毎月1500円),平成18年12月7日臨時総会決議(平成19年4月から平成22年3月まで,毎月1400円),平成21年12月4日臨時総会決議(平成22年4月から平成25年3月まで,毎月700円),平成24年12月7日臨時総会決議(平成25年4月から平成28年3月まで,毎月600円)と改定され,平成28年3月をもって徴収を終了した。この特別会費に関する日弁連の根拠決議は,徴収終了から一定の期間を経て日弁連ウェブサイトの会則関連資料一覧から外れており,本記事執筆時点では同一覧に掲載されていない。

第6 会費等の税務上の取扱い

1 法人税

国税庁タックスアンサー「No.5382 同業者団体等の加入金と会費の取扱い」(令和7年4月1日現在法令等)には,法人が同業者団体等に支出した会費の取扱いについて,次の記載がある。

1 通常会費(同業者団体等がその構成員のために行う広報活動、調査研究、研修指導、福利厚生その他同業者団体としての通常の業務運営のために経常的に要する費用の分担額として支出する会費)については、支出した事業年度の損金の額に算入します。ただし、同業者団体等において、通常会費について不相当に多額の剰余金が生じていると認められる場合には、その剰余金が生じた時以後に支出する通常会費については、その剰余金の額が適正な額になるまでは、前払費用として損金の額に算入されません。なお、通常会費の全部または一部を次の2のその他の会費の目的のために支出している場合には、その部分はその他の会費として取り扱われます。

2 その他の会費(同業者団体等が会館の取得または改良、会員相互の共済、会員相互または業界の関係先等との懇親等、政治献金などの目的のために支出する会費)については、前払費用とし、その同業者団体等がこれらの支出をした日にその費途に応じて構成員であるその法人がその支出をしたものとされます。

日弁連の会費及び特別会費は,会員が日弁連の通常の業務運営のために経常的に負担するものであり,上記の通常会費に当たるものとして,会員である弁護士の側では支出事業年度の損金に算入されるのが原則となる。

2 消費税

国税庁タックスアンサー「No.6467 会費や入会金の仕入税額控除」(令和7年4月1日現在法令等)によれば,同業者団体や組合などに支払う通常会費は,一般的にはその団体から受ける役務の提供との間に明らかな対価関係がないため,資産の譲渡等の対価に当たらないものとして取り扱って差し支えないとされている。

その団体の業務運営に必要な通常会費については、一般的には対価関係がありませんので、同業者団体や組合などは資産の譲渡等の対価に当たらないものとして取り扱って差し支えないこととされており、この場合には、その構成員においてはその通常会費は課税仕入れとなりません。

この取扱いの根拠は消費税法2条及び消費税法基本通達5-5-3から5-5-5までである。日弁連の会費及び特別会費についても,会員に対する具体的な役務提供の対価としての性質を持たない通常会費である限り,会員である弁護士の側では課税仕入れに当たらず,仕入税額控除の対象とならない。

第7 会費等を徴収する総会決議の効力に関する裁判例

同業者団体が総会決議に基づいて特別の金員を徴収することの効力については,税理士会及び司法書士会に関する次の2件の最高裁判例が参考になる。いずれも,日弁連の特別会費そのものを直接の対象とした判例ではないが,強制加入団体が会則又は総会決議に基づいて構成員から特別の負担を徴収する場合の枠組みを示すものである。

1 南九州税理士会事件(最高裁平成8年3月19日判決)

最高裁判所第三小法廷平成8年3月19日判決(平成4年(オ)第1796号,選挙権被選挙権停止処分無効確認等,民集50巻3号615頁)は,税理士会が政党など政治資金規正法上の政治団体に金員を寄付することは税理士会の目的の範囲外の行為であるとした上で,政党など政治資金規正法上の政治団体に金員の寄付をするために会員から特別会費を徴収する旨の税理士会の総会決議は無効であると判示した。強制加入団体である税理士会が,会員の思想信条の自由に関わる政治献金の原資を強制的に徴収することの可否が問題となった事案である。

2 群馬司法書士会事件(最高裁平成14年4月25日判決)

最高裁判所第一小法廷平成14年4月25日判決(平成11年(受)第743号,債務不存在確認請求事件,集民206号233頁)は,阪神・淡路大震災により被災した兵庫県司法書士会に3000万円の復興支援拠出金を寄付することは群馬司法書士会の権利能力の範囲内の行為であり,そのために登記申請事件1件当たり50円の復興支援特別負担金を徴収する旨の同会の総会決議の効力は,同会の会員に対して及ぶと判示した(反対意見がある。)。南九州税理士会事件と異なり,会員の思想信条に関わらない被災団体への支援目的であったことが,結論を分けた要素の一つとして位置付けられている。

第8 関連記事

日弁連の会費及び特別会費と併せて,次の記事も参照されたい。

日弁連会則

弁護士自治

出産・育児を理由とする弁護士会費の免除

大阪弁護士会の負担金会費

弁護士会の懲戒手続

弁護士法56条1項の「品位を失うべき非行」の具体例

弁護士の懲戒請求権が何人にも認められていることの意義

弁護士の職務の行動指針又は努力目標を定めた弁護士職務基本規程の条文

「弁護士に対する懲戒請求事案集計報告」(平成5年以降の分)

出典

公文書・団体資料

・日本弁護士連合会会則(会規第1号)[日本弁護士連合会「第2部:会則」掲載PDF,令和8年(2026年)8月確認時点の最新版]

・少年・刑事財政基金のための特別会費徴収の件(平成20年12月5日臨時総会決議,令和6年12月6日改正まで)

・法律援助基金のための特別会費徴収の件(平成23年2月9日臨時総会決議,令和6年12月6日改正まで)

・日本弁護士連合会「機構・財政」(同連合会ウェブサイト)

裁判例

・最高裁判所第三小法廷平成8年3月19日判決(平成4年(オ)第1796号,民集50巻3号615頁)

・最高裁判所第一小法廷平成14年4月25日判決(平成11年(受)第743号,集民206号233頁)

ウェブ資料

・国税庁タックスアンサー「No.5382 同業者団体等の加入金と会費の取扱い」(令和7年4月1日現在法令等)

・国税庁タックスアンサー「No.6467 会費や入会金の仕入税額控除」(令和7年4月1日現在法令等)