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少年事件についての報道対応の留意事項

第1 少年事件についての報道対応の留意事項

本記事は,令和2年3月版の裁判所向け広報資料の記載を紹介するものである。引用部分は特定少年の制度が施行される前の資料であり,現行法の説明としてそのまま読むことはできない。
令和4年4月1日施行の改正後は,18歳・19歳の時に犯した罪について起訴された場合,少年法68条による推知報道禁止の適用除外が問題となる。逮捕や逆送だけで禁止が外れるものではなく,略式手続については例外もある。現行の少年法61条・68条を確認されたい。
年齢・逆送・保護処分との関係は特定少年とは―18歳・19歳の少年事件,逆送・保護処分・実名報道,弁護士の取材対応は少年事件で弁護士が取材を受けるときの確認事項,一般的な手続は少年事件の流れと保護者の対応を参照されたい。

平成25年4月版の同じ項(59頁)は,具体的な対応を担当裁判官の了解を得た上で判断するとし,事件受理時や審理途中には外形的ないし客観的事実についてのみ公表するなどの配慮をするとしていた。
令和2年3月版では,担当裁判官の意見を踏まえた上で判断するとされ,外形的ないし客観的事実に限って公表するという例示はなくなった。
版の違いとハンドブック全体の構成は,最高裁判所の広報ハンドブックとは―総論・一般広報の内容と令和2年3月版の改訂点に整理している。

・ 最高裁判所広報課の,広報ハンドブック(令和2年3月版)62頁ないし63頁には,「6-7 少年事件についての報道対応の留意事項」として以下の記載があります。

1 少年事件の非公開性
    少年法は,少年事件を非公開手続とし(同法22条2項),少年の情操を保護し(少年審判規則1条),少年の更生及び社会復帰を期するため,秘密の保持に配慮している。報道対応の場面でも少年事件の非公開性には特に配慮しなくてはならない。
    同法61条には,「家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については,氏名,年齢,職業,住居,容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。」と規定されている。
    この少年事件の特殊性については,折りに触れ記者にも説明し,理解してもらうことが求められる。

2 少年事件の報道対応
    一方,少年事件であっても,裁判所が全く報道対応をしないでいると,かえって不正確な報道を招く危険もある。少年事件の非公開性に十分な配慮をした上で,家庭裁判所の社会に対する説明責任を果たし,家庭裁判所に対する社会の信頼を確保することにも留意しながら報道対応を行う必要がある。捜査段階など,これまでの報道振りから,取材が予想されるような事件が係属している場合には,所長に報告して,あらかじめ今後の報道対応について検討をしておく。具体的な対応は,担当裁判官の意見を踏まえた上,事案ごとに判断することになるが,事件によっては,少年の特定に結び付かず,少年の情操保護,更生を妨げない限度で一定の情報を公表することが相当な場合もあり,その際,事件受理時や審理途中においては,調査や審判等に影響を及ぼさないよう配慮する必要がある。また,被害者等に関する取材についても,二次的被害を与えないように,その心情に十分配慮した対応が必要である。
    なお,少年の身柄に関する事項について報道対応する際には,その情報に基づき取材されることもあるので,観護措置決定の執行終了後に対応したり,関係機関と調整したりするなどの配慮が必要である。決定要旨原案の作成は,担当裁判官に依頼することになるが,記載をどの程度詳細にするかは,審判が非公開とされる趣旨及び少年や関係者のプライバシーに配慮しつつ,家庭裁判所の社会に対する説明責任が果たされているかという観点から判断することとなる。重大事件等においては,ある程度詳細な決定要旨が必要となる場合もあろう。
    おって,記者は少年事件の手続等について知識を持たないこともあるので,正確な報道をしてもらうために,記者に手続の流れなどの一般的知識を提供する等,適宜な措置を講じることも検討されたい。

第2 関連記事その他

1 最高裁判所の広報ハンドブック(少年事件編)(令和2年3月版)を掲載しています。
2 以下の記事も参照してください。
・ 裁判所の報道対応の基礎
・ 裁判所の報道発表等
・ 裁判所の取材対応
・ 法廷内写真撮影
・ 裁判所の庁舎内(敷地内)写真撮影
・ 報道機関向けの判決要旨とは―裁判所が配る要旨・骨子の作成手順,分量の目安及び交付先(広報ハンドブック6-4)(決定等要旨の扱いを含む)
・ 法廷内記者席
・ 対象裁判が著名事件等である場合の留意事項
・ 所長等就任記者会見,及び記者会見実施上の一般的な留意事項(最高裁判所の広報ハンドブックからの抜粋)
・ 司法修習生による,司法研修所構内の写真撮影禁止に関する文書は存在しないこと
・ 最高裁判所における法廷内カメラ取材運用要領
・ 寺田逸郎最高裁判所長官の就任に伴う写真取材の要領