第1 この記事の対象と結論
令和元年司法試験の国際関係法(私法系)第1問について,法務省の出題の趣旨及び採点実感を基に,20項目の評価項目と5段階の重みを整理した。
養子縁組の準拠法を決めるだけでなく,外国法上の要件を日本でどのように実現するか,成立後の実方との関係をどう扱うかが中心となる。
| 確認事項 | 本記事の内容 |
|---|---|
| 対象 | 令和元年司法試験・国際関係法(私法系)第1問 |
| 公式問題文 | 選択科目問題集のPDF38~39頁・第1問 |
| 答案の基準時 | 令和元年の試験実施時の法令。通則法平成19年施行版,民法平成31年1月13日施行版 |
| 問題の確認状態 | 実読済み:第1問全体 |
| 出題の趣旨 | 実読済み:PDF40頁後半~41頁の第1問 |
| 採点実感 | 実読済み:PDF44~45頁の総論・第1問,46頁末尾の科目共通記述 |
| 主要事項 | 決定型養子縁組の国内実現,隠れた反致,養子保護条項の範囲 |
| 項目と重み | 20項目,重み5は8項目,重みの単純合計74。公式配点ではない |
| 主要判例 | 公式資料が判例上の隠れた反致に言及するが,本記事では未確認の事件番号・判旨を引用しない |
| 答案分量 | 改行を除き2,265字。2,500字上限内 |
| 試験後の改正 | 後年の特別養子制度の年齢要件等を試験時へ遡及させない |
| 確認日 | 令和8年10月19日(日本時間) |
本答案は,設問1では特別養子の審判手続を利用して外国法の要件を実現する構成,設問2では隠れた反致を採る。
設問3ではセーフガード条項への反致を肯定し,別途乙国法を適用する小問2では,養親の実子の同意を条項の範囲から除く。
これらは採用した一つの構成であり,公式資料が認める別の立場を排除するものではない。
評価項目は第4,答案は第5の枠内に示し,その後に別構成と注意点を説明する。
重み5の項目は,番号2・4・5・9・12・15・17・18である。
番号5は特別養子の審判手続を利用する構成,番号12は隠れた反致を採る構成での中核であり,別の許容構成へ一律に要求するものではない。
第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方
一つの項目につき一つの判定対象となるよう,公式資料の記述を答案の具体的な内容へ言い換えた。
必須,高評価,負例,許容分岐の区分と,重みの数値は別の意味を持つ。
これらは記事独自の分析であり,法務省の公式採点基準,項目別配点又は予測得点ではない。
表の根拠欄はPDF実頁を示し,説明は要約である。
「記載なし」は,本問の関連範囲を読んだ上で個別の記述がないという意味である。
養子決定を方式と誤る負例は番号5の裏返しなので,独立の公開項目にせず番号5にまとめた。
通常の反致と混同する負例も番号12の裏返しなので番号12にまとめた。
2 5段階の重み付けの基準
| 重み | 判断基準 |
|---|---|
| 5 | 採点実感が評価の分かれ目とした事項,又は答案の骨格そのもの |
| 4 | 出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた事項(高く評価した・多数の答案の不足を指摘した事項) |
| 3 | どちらか一方が明示する中核の理由付け |
| 2 | 一方が軽い表現で触れる補強の事項,又は典型的な誤りとして指摘された事項 |
| 1 | 一方が控えめに触れるだけの事項 |
各段階の件数を先に割り当ててはいない。
条件付き項目はその構成を採る場合に評価し,採らない別構成の項目まで累積的に満たすことを求めない。
第3 本問の概要
1 問題文と事実関係
日本に住所を有する夫婦ABが,同じく日本に住所を有するCの非嫡出子D(満5歳)を養子に迎えようとし,Cは承諾している。
日本の国際裁判管轄はあるものとされる。
設問ごとに当事者の国籍と外国法の内容が変わるため,その設定を混ぜてはならない。
問題全文は法務省の問題PDFで確認できる。
| 設問 | 主な設定 | 問題となる点 |
|---|---|---|
| 1 | ABは甲国籍,Dは日本国籍。甲国は裁判による断絶型縁組のみ。反致は不成立 | 家事裁判所の決定の国内実現と日本法による養子保護 |
| 2 | ADは日本国籍,Bは甲国籍。CD関係維持を希望。甲国は住所による管轄と法廷地法適用を結合 | 異国籍養親の本国法と隠れた反致 |
| 3 | ABは日本国籍,Dは乙国籍。実子Eは15歳で反対。乙国には代諾と実子同意の規定 | 後段と反致,及び養子保護条項の範囲 |
2 設問が求めること
| 設問 | 立場・対象 | 指定・仮定・除外 | 到達点 |
|---|---|---|---|
| 1 | 準拠法と縁組の国内実現 | 管轄肯定・反致不成立 | 保護要件と養子決定を踏まえた成立可否 |
| 2 | CD関係維持の可否 | 甲国の管轄権的構成を与件として用いる | 普通養子縁組を実現できる構成と実方関係 |
| 3小問1 | どの国の法か | 乙国の実質法限定・養親本国法指定 | 後段への反致肯否と理由,適用法 |
| 3小問2 | 日本での縁組可否 | 後段要件に乙国法を適用するとの仮定 | 実子同意の範囲を論じて成立可否 |
第4 評価項目と重み
1 設問1
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 【必須】養親本国法主義の趣旨を説明する。 | 3 | PDF40頁:本問の検討対象を明示 | 個別の記載なし |
| 2 | 【必須】31条1項前段によりABの甲国法を指定する。 | 5 | PDF40頁:本問の検討対象を明示 | PDF44頁:不足・誤り又は理解状況を指摘 |
| 3 | 【必須】セーフガード条項の養子保護・身分安定の趣旨を説明する。 | 4 | PDF41頁:本問の検討対象を明示 | PDF44頁:不足・誤り又は理解状況を指摘 |
| 4 | 【必須】Dの日本法上の要件として民法797条の代諾と798条の家裁許可を適用する。 | 5 | PDF41頁:本問の検討対象を明示 | PDF44頁:不足・誤り又は理解状況を指摘 |
| 5 | 【許容分岐】甲国の養子決定を日本の特別養子の審判手続で実現する構成を説明し,方式の問題へ置換しない。(この別構成を採用する場合のみ) | 5 | PDF41頁:理由又は許容構成を明示 | PDF44頁:不足・誤り又は理解状況を指摘 |
| 6 | 【許容分岐】公的関与を公法的手続問題として本国法の適用範囲外とする説を採る場合は,その性質決定と処理を一貫させる。(この別構成を採用する場合のみ) | 3 | PDF41頁:理由又は許容構成を明示 | 個別の記載なし |
| 7 | 【負例】日本の国際裁判管轄及び反致不成立という指定を再争点化しない。 | 2 | PDF41頁:本問の検討対象を明示 | PDF44頁:不足・誤り又は理解状況を指摘 |
2 設問2
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 8 | 【必須】異国籍のABについて,Aの日本法とBの甲国法という各本国法を適用する。 | 3 | PDF41頁:本問の検討対象を明示 | PDF44頁:不足・誤り又は理解状況を指摘 |
| 9 | 【必須】31条2項により実方関係の終了の準拠法も示し,断絶型とCD関係維持の希望の衝突を処理する。 | 5 | PDF41頁:本問の検討対象を明示 | PDF44頁:不足・誤り又は理解状況を指摘 |
| 10 | 【許容分岐】分解理論を採る場合は,その構成と本問で普通養子を実現する経路を正確に説明する。(この別構成を採用する場合のみ) | 3 | PDF41頁:理由又は許容構成を明示 | 個別の記載なし |
| 11 | 【許容分岐】準拠法一本化の見解を採る場合は,その連結の根拠と本問への適用を説明する。(この別構成を採用する場合のみ) | 3 | PDF41頁:理由又は許容構成を明示 | 個別の記載なし |
| 12 | 【高評価】管轄権的構成の管轄行使と法廷地法適用の結合を説明し,日本住所と甲国管轄欠如から隠れた反致を論証する。(隠れた反致の構成を採用する場合。別の許容構成に累積要求しない) | 5 | PDF41頁:本問の検討対象を明示 | PDF44頁:構造の正確な理解を高く評価 |
| 13 | 【負例】断絶型であることだけを理由に公序で甲国法を排除しない。 | 3 | 個別の記載なし | PDF44頁:不足・誤り又は理解状況を指摘 |
| 14 | 【負例】基本用語の「法廷地」を正しく表記する。 | 2 | 個別の記載なし | PDF44頁:不足・誤り又は理解状況を指摘 |
3 設問3小問1
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 15 | 【必須】セーフガード条項による養子本国法の指定にも反致が認められるかを論じる。 | 5 | PDF41頁:本問の検討対象を明示 | PDF45頁:不足・誤り又は理解状況を指摘 |
| 16 | 【必須】反致肯否につき自説の根拠を示し,本問で適用される法へ到達する。 | 3 | PDF41頁:本問の検討対象を明示 | PDF44頁:不足・誤り又は理解状況を指摘 |
| 17 | 【必須】乙⑤は乙国の反致不採用を示し,日本での反致否定ではないと区別する。 | 5 | 個別の記載なし | PDF45頁:不足・誤り又は理解状況を指摘 |
4 設問3小問2及び設問3の注意点
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 18 | 【必須】養親の実子Eの同意がセーフガード条項の範囲に含まれるかを本問の事実に即して検討する。 | 5 | PDF41頁:本問の検討対象を明示 | PDF45頁:不足・誤り又は理解状況を指摘 |
| 19 | 【必須】実子同意の範囲について肯定・否定いずれかの理由を示し,縁組可否まで一貫して適用する。 | 3 | PDF41頁:本問の検討対象を明示 | PDF45頁:不足・誤り又は理解状況を指摘 |
| 20 | 【負例】設問3で公序の議論に分量を費やさない。 | 2 | 個別の記載なし | PDF45頁:不足・誤り又は理解状況を指摘 |
5 重みの分布
| 重み | 項目数 |
|---|---|
| 1 | 0 |
| 2 | 3 |
| 3 | 8 |
| 4 | 1 |
| 5 | 8 |
| 合計 | 20 |
総項目数は20で,重みの単純合計は74である。
重み5は,養親本国法の指定(2),日本法上の具体的保護要件(4),決定型縁組の国内実現(5),実方関係の終了(9),隠れた反致の構造(12),後段と反致(15),乙国の反致否定の意味(17),実子同意の範囲(18)である。
条件付きの番号5・12は,採った構成との関係で評価する。
第5 模範解答
1 答案の前提と表記
試験実施時の法令を前提とする。
以下は一貫した一つの立場による答案であり,法務省が公表した模範答案ではない。
字数は答案枠内の文字を改行を除いて数えた2,265字である。
2 答案
第1 設問1
1 養子縁組は,縁組当時の養親となる者の本国法による(法の適用に関する通則法31条1項前段。
以下,条数のみは同法)。
養子は養親の家庭に入ることになるため,養親の属する社会の法によるのが適切だからである。
ABは共に甲国人であり,甲国法が適用される。
反致は成立しないとの前提に従う。
ただし,養子の保護及びその本国での縁組の承認確保のため,養子の本国法が定める承諾・同意,公的機関の許可等の要件も備える必要がある(同項後段)。
Dの本国法は日本法であり,Dは5歳なので,民法797条による法定代理人の代諾及び798条による家庭裁判所の許可が必要である。
Cの承諾は代諾へ結び付くが,家裁の関与を不要とするものではない。
2 甲国法①の家事裁判所の決定を日本でどう実現するか。
国家機関の判断により身分関係を形成する問題であり,法律行為の外部的形式という「方式」の問題ではない。
したがって,34条2項により日本の契約型縁組の届出だけで置き換えることはできない。
日本に国際裁判管轄があるとの前提で,国内の特別養子の審判手続を利用し,甲国法に基づく養子決定を行うことができると解する。
国内に外国法と同名の制度がないだけで成立を否定すると,前段が外国法を指定した趣旨を実現できない。
日本にも裁判によって親子関係を形成する特別養子の制度があり,①の裁判所による審査と身分形成という機能をその手続で実現できるからである。
これは手続の利用であって,日本の特別養子の実体的成立要件を一律に準拠法へ追加する趣旨ではない。
日本法上のセーフガード要件をも備えて審判を受ければ,有効に縁組を成立させられる。
実方との親族関係の終了も31条2項により甲国法に従い,甲国法②によりCDの関係は終了する。
第2 設問2
1 養親の国籍が異なる場合には,31条1項前段により,Aについて日本法,Bについて甲国法が適用される。
実方血族との関係の終了も同条2項により同項前段の指定法によるため,甲国法②が適用されれば,CD関係を維持したいという希望と衝突する。
2 そこで,甲国の管轄権的構成を介した「隠れた反致」を検討する。
甲国法③④は,独立の準拠法選択規則を置くのではなく,甲国に養親の住所があるときに管轄を認め,その管轄行使に際して法廷地法を適用する構造である。
④を通常の抵触規則として直ちに41条へ結び付けることはできない。
しかし,本国の管轄を通じて本国法を適用する構造は,他国に管轄がある場合にはその国の法によることを間接的に是認するものと解する余地がある。
ABの住所は日本にあり,甲国法③による甲国の管轄はなく,日本の管轄が前提とされている。
甲国の管轄がないことだけから日本法の指定が導かれるわけではないが,③と④を一体としてみれば,身分関係を形成する裁判と適用実質法を一致させる考え方が読み取れる。
日本の裁判所でもこれに対応する法選択をすることが,本国法の体系的な取扱いの尊重となる。
そこで,身分関係の国際的調和を図り本国の法選択意思を尊重する41条の趣旨から,日本法への隠れた反致を認める。
3 これによりBについても日本実質法が適用され,31条2項による実方関係の処理も日本法による。
日本の普通養子縁組では実方との親族関係は終了しない。
ABが共同で,Dの法定代理人の代諾,家裁の許可等を得て縁組を届け出れば,CD関係を維持する縁組をすることができる。
第3 設問3
1 小問1
31条1項前段によればABの本国法である日本法が適用され,後段によればDの本国法である乙国法上の保護要件も問題となる。
後段の指定にも反致を認めるか。
養子の保護を徹底するなら,本国の実質法の保護を維持すべきだとも考えられる。
後段を置いたのに前段と同じ法へ戻せば,本国法の追加的保護を失わせるとの反論である。
しかし,後段には本国での承認を確保する趣旨もあり,本国自身が養親の本国法へ委ねる場合はその趣旨に反しない。
本国の国際私法上も要求しない保護まで常に累積する必要はない。
また,41条ただし書の反致除外にも当たらない。
したがって,後段にも反致を認めると解する。
乙国法⑥は養親の本国法たる日本法を指定する。
⑤は乙国で外国の実質法だけを適用する,すなわち乙国が反致を認めないという規定であり,日本の41条の適用を否定するものではない。
よって,日本実質法への反致が成立し,後段要件も日本法による。
2 小問2
後段要件には乙国実質法を適用するという設問上の仮定に従う。
後段は養子の保護を図る規定だから,形式的に第三者の同意に当たるだけでは足りず,養子の利益を保護するための要件に限ると解する。
⑧の実親による代諾は,幼少の養子の意思を補い保護する要件である。
Dは10歳未満であり,Cは承諾しているから,Cが代諾できる。
一方,⑨は養親の実子の利益を保護する要件であり,D保護のための後段の範囲に含まれない。
実子の賛成が養子の家庭生活を安定させる面はあるが,その間接的利益だけで全ての第三者保護規定を累積すれば,後段による限定を失わせる。
Eは15歳で⑨の年齢条件を満たすものの,そのことと後段への包摂とは区別すべきである。
前段により適用される日本法も実子Eの同意を要求しないので,Eの反対は縁組を妨げない。
⑦の文書による届出は方式の問題であり,34条によって日本法の方式に従うことができる。
ABが共同し,民法797条の代諾,798条の家裁の許可等の要件を満たして届出をすれば,有効に縁組をすることができる。
3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説
(1) 答案と評価項目の対応
| 番号 | 評価する内容 | 答案・解説の箇所 | 適用条件 |
|---|---|---|---|
| 2 | 31条1項前段によりABの甲国法を指定する。 | 第1の1・甲国法指定 | 本問の当該設問の全答案 |
| 3 | セーフガード条項の養子保護・身分安定の趣旨を説明する。 | 第1の1・養子保護と承認確保 | 本問の当該設問の全答案 |
| 4 | Dの日本法上の要件として民法797条の代諾と798条の家裁許可を適用する。 | 第1の1・797条と798条 | 本問の当該設問の全答案 |
| 5 | 甲国の養子決定を日本の特別養子の審判手続で実現する構成を説明し,方式の問題へ置換しない。 | 第1の2・特別養子審判手続 | この別構成を採用する場合のみ |
| 6 | 公的関与を公法的手続問題として本国法の適用範囲外とする説を採る場合は,その性質決定と処理を一貫させる。 | 次の(2)・公法手続説の説明 | この別構成を採用する場合のみ |
| 9 | 31条2項により実方関係の終了の準拠法も示し,断絶型とCD関係維持の希望の衝突を処理する。 | 第2の1・3・実方関係 | 本問の当該設問の全答案 |
| 10 | 分解理論を採る場合は,その構成と本問で普通養子を実現する経路を正確に説明する。 | 次の(3)・分解理論の説明 | この別構成を採用する場合のみ |
| 11 | 準拠法一本化の見解を採る場合は,その連結の根拠と本問への適用を説明する。 | 次の(3)・一本化説の説明 | この別構成を採用する場合のみ |
| 12 | 管轄権的構成の管轄行使と法廷地法適用の結合を説明し,日本住所と甲国管轄欠如から隠れた反致を論証する。 | 第2の2・隠れた反致 | 隠れた反致の構成を採用する場合。別の許容構成に累積要求しない |
| 15 | セーフガード条項による養子本国法の指定にも反致が認められるかを論じる。 | 第3の1・後段と反致 | 本問の当該設問の全答案 |
| 17 | 乙⑤は乙国の反致不採用を示し,日本での反致否定ではないと区別する。 | 第3の1・乙国法⑤の意味 | 本問の当該設問の全答案 |
| 18 | 養親の実子Eの同意がセーフガード条項の範囲に含まれるかを本問の事実に即して検討する。 | 第3の2・実子同意の範囲 | 本問の当該設問の全答案 |
番号1・7・8・13・14・16・19・20は,養親本国法主義の理由,仮定の保持,各養親の法指定,公序を用いない処理,法廷地の表記,反致と範囲解釈の理由付けにそれぞれ対応する。
負例を避けていることは,単語がないという形式だけでなく,主ルートが別の根拠で閉じていることと合わせて確認する。
(2) 設問1―国内手続の利用と実体要件の区別
出題趣旨は,外国法の要求する家事裁判所の決定を,日本の特別養子の審判手続によって実現する多数説を示している。
そこで国内の手続を使うことと,日本の特別養子の実体要件を全て重ねることは別である。
養子本国法による保護要件としては,民法797条・798条を具体的に適用する。
出題趣旨が紹介する別説は,公的機関の関与を公法的性格を持つ手続上の問題と捉え,養親の本国法の適用範囲から外す構成である(番号6)。
これを採る場合は,その性質決定に基づいて国内手続と準拠法の関係を一貫して説明する必要がある。
かつての国内実現不能説を,現在の唯一の扱いとして示すのは適切でない。
(3) 設問2―隠れた反致と別構成
甲国法④の法廷地法という語を,普通の準拠法指定ルールと読んで直ちに通常の反致を認めてはいけない。
③の管轄ルールと④の自国法適用が組み合わされた構造を説明し,その全体から日本法への隠れた反致を導くことに理由がある。
出題趣旨は,かつて戸籍実務で用いられた分解理論(番号10)と,準拠法の一本化を図る見解(番号11)も挙げる。
前者は国籍を異にする各養親との縁組関係を分けて処理する方向,後者は共同縁組を一つの法へ結び付けて処理する方向であり,隠れた反致と同じ根拠ではない。
本答案はこれらを採用していないため,別説の細部を本答案への累積要件としない。
(4) 設問3―反致と同意の範囲
小問1では,養子の本国法の保護を実質法の要件として維持する反致否定説も考えられる。
本答案は本国での承認確保と41条の構造を理由に反致を肯定したが,採点実感は結論だけで差を設けず,自説の根拠と論理的展開を評価するとしている。
乙国が反致を認めないことと,日本での反致が認められないことは別である。
小問2では,条文の第三者の同意という文言を重視して,養親の実子の同意も必要とする肯定説があり得る。
その場合はEの反対が成立を妨げることを,その理由とともに示す。
本答案は,養子の利益を守るための要件に限るという解釈から否定説を採り,実親Cの代諾と養親の実子Eの同意を区別した。
前問で反致を肯定したからといって,小問2の乙国法適用の仮定を覆してはならない。
(5) 答案の弱点と扱わなかった事項
本答案は字数内で採用構成を通しており,許容される全学説や個別裁判例を展開したものではない。
特別養子の審判手続を利用することの手続法上の細部,分解理論及び一本化説の詳しい論証は扱っていない。
未確認の裁判年月日・事件番号・判旨を補っていない。
国際裁判管轄の当否,設問1の反致成立,断絶型制度を公序で排除する議論は答案の中心に置かない。
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司法試験の過去問・参考答案一覧―令和元年~令和8年の年度別・科目別ガイド(AI作成)から,同年度の関連記事を確認できる。
2 同じ科目の別の年度の記事
令和2年司法試験国際関係法(私法系)第1問の模範解答と評価項目(AI作成)も参照できる。
各年度の問題設定と法令の基準時を区別する必要がある。
3 本問の論点に関連する記事
分野の違いを確認するには,国際公法とは―国際法・国際私法との違いと基本事項が関連する。
本問の養子縁組に関する法的内容の出典は,次の公式資料と法令である。
第7 出典及び確認状態
1 公式資料
法務省「令和元年司法試験の問題」選択科目問題集(第1問:PDF38~39頁)。
法務省「論文式試験出題の趣旨」(国際関係法〔私法系〕第1問:PDF40~41頁)。
法務省「令和元年司法試験の採点実感」選択科目(科目総論と第1問:PDF44~45頁,科目共通の末尾:46頁)。
2 法令
法の適用に関する通則法・平成19年施行版の31条・34条・41条等。
民法・平成31年1月13日施行版の795条・797条・798条・799条及び特別養子関係条文。
3 裁判例
出題趣旨は,隠れた反致が判例で採用されていることを述べている。
本記事は直接対応する判決原文を独立に確認したものではないため,個別の事件番号や判旨を確認済みの根拠として引用していない。
4 確認状態
問題文,出題趣旨,採点実感は,この第1問及び関係する科目総論の範囲を実読している。
他の問題の解答を本問の内容の根拠には用いていない。
法令は上記の当時版で確認し,外国法は問題が与える規定を前提とした。
公式の記述,この記事の独自評価及び選択した学説を区別している。
5段階の重みとその合計は,公式配点や合格可能性の推定ではない。