法廷内写真撮影


目次

第1 法廷内写真撮影
第2 法廷内カメラ取材の標準的な運用基準
第3 関連記事

第1 法廷内写真撮影
・ 最高裁判所広報課の,広報ハンドブック(令和2年3月版)50頁には,「6-2 法廷内写真撮影」として以下の記載があります。
    法廷内カメラ取材については,平成3年1月1日から,「法廷内カメラ取材の標準的な運用基準」を基に,各庁において運用要領が作成され,これに従って実施されており,全国的に運用が定着しているといえよう。
    ところで,法廷内カメラ撮影を許可するかどうかは,裁判長又は開廷をした一人の裁判官の法廷警察権の行使の範ちゅうに属するものであり,事件の性質・内容,その他諸般の事情を考慮して許可等の判断がされる(民事訴訟規則77条,刑事訴訟規則215条)。したがって,法廷内カメラ取材の申請がなされたとしても,裁判の適正な運営に支障を生じるなど特別の事情がある場合には,極めて例外的に裁判所等の判断により不許可とすることがある。
    なお,具体的に,特定の事案において不許可とすべきか,運用要領と異なった扱いをすべきかなどを検討するに当たっては,他庁の実情も参考にすべく,上級庁に相談することも一つの方法であろう。
    おって,法廷内カメラ取材の当日のカメラマン等への対応において,広報担当者として留意すべきと思われる事項は,次のとおりである。
1 法廷に誘導する前に,カメラマンに対して,改めてカメラ取材の際の注意点について説明することが必要である。腕章の着用,撮影時間,撮影場所,撮影方法,撮影対象,撮影中止の合図があれば中止すること,中止の合図の前後を問わず当事者や傍聴人が法廷の秩序を乱す行為に出たところは撮影できないことなどを確認する。
2 撮影中止の合図に従わないカメラマンを規制するような場合でも,カメラを手でふさく守などの実力行使はしない。そのこと自体が二次的トラブルの種となる危険があるからである。
3 違反撮影をされてしまったような場合には,撮影後カメラマンを法廷外へ誘導してから,その写真を使用しないよう申し入れ,さらに記者に対しても同様の申し入れをして,違反撮影の写真が報道されないようにする。
4 当日の進行については,あらかじめ裁判部との間で緊密な打合せを行い,保釈された被告人が在廷しているなど,当日予定外の動きがあった場合には,裁判部の担当者からも直ちに連絡を受けられる態勢を確保しておく。

第2 法廷内カメラ取材の標準的な運用基準
・ 最高裁判所広報課の,広報ハンドブック(令和2年3月版)51頁及び52頁に掲載されている,「法廷内カメラ取材の標準的な運用基準(平成3年1月1日)」は以下のとおりです。
1 法廷内カメラ取材の許可
法廷内カメラ取材は,裁判所又は裁判長が,事件の性質・内容,その他諸般の事情を考慮して,許可するものとする。

2 代表取材
撮影は,新聞・通信・放送各社間で話し合い,代表取材する。

3 撮影機材
撮影機材は,1人で操作できる携帯用小型スチールカメラ1台,予備用スチールカメラ1台及びビデオカメラ1台とし,照明機材・録音機材・中継機材は使用しない。

4 撮影要員
(1) 入廷できる撮影要員は,スチールカメラにつき1人,ビデオカメラにつき1人とする。
(2) チールカメラにつき1人,ビデオカメラにつき1人の撮影補助要員の入廷を認める。
5 撮影時期・時間
    撮影は,裁判官の入廷開始時からとし,裁判官全員の着席後開廷宣告前の間の2分以内とする。
6 被告人の在廷
    撮影は,刑事事件においては,被告人の在廷しない状態で行う。
7 撮影位置
    撮影位置は,傍聴席後部の裁判長(裁判官)が指定する区域内とする。同区域内においては,撮影位置を移動することができる。
8 撮影対象
    撮影対象は,入廷中の裁判官並びに裁判官席及び当事者席とし(傍聴席が付随的に入ることは可),次に掲げる撮影は許されない。
(1) 特定の人物(裁判官を除く。)の拡張・拡大写真を撮影すること。
(2) 傍聴席にいる特定の者を個別的に撮影すること。
(3) 当事者・傍聴人が宣伝的行為や法廷の秩序を乱す行為に出た場合,これを撮影対象とすること。
9 撮影中止
    撮影要員は,裁判長(裁判官)又はその命を受けた裁判所職員の中止の指示があったときは,直ちに撮影を中止し,退廷しなければならない。
10 条件違反の取材が行われた場合の措置
    取材条件又は裁判長(裁判官)の命じた事項に違反する取材が行われたときは,裁判長(裁判官)の権限に基づく処置,一定期間の取材停止その他必要な措置を執ることがある。
11 付記
    法廷内カメラ取材の許否は.各裁判体の決定に係る事柄であり,法廷内カメラ取材(又はビデオカメラによる取材)を原則的に認めない裁判体,あるいはこの運用基準を制限的に運用する裁判体もあり得る。

第3 関連記事
・ 裁判所の報道対応の基礎
・ 裁判所の報道発表等
・ 裁判所の取材対応
・ 所長等就任記者会見,及び記者会見実施上の一般的な留意事項(最高裁判所の広報ハンドブックからの抜粋)
・ 司法修習生による,司法研修所構内の写真撮影禁止に関する文書は存在しないこと
・ 最高裁判所における法廷内カメラ取材運用要領
・ 寺田逸郎最高裁判所長官の就任に伴う写真取材の要領


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