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令和元年司法試験国際関係法(私法系)第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した26項目と5段階の重み付け(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

項目内容
対象令和元年司法試験・国際関係法(私法系)第2問
中心論点人格権侵害・翻訳権侵害の準拠法,懲罰的損害賠償判決と直接郵便送達
公式資料出題の趣旨及び採点実感の本問部分と共通部分を実読
評価項目26項目。重み5は8項目,重み合計95。公式配点ではない。
答案字数2403字(答案の見出し,空白,改行を含む)。2500字以内。

本記事は,令和元年司法試験論文式試験の選択科目問題のうち,国際関係法(私法系)第2問を扱う。
名誉毀損とプライバシー侵害は甲国法へ連結しつつ日本法を累積適用し,翻訳権侵害は日本と甲国の保護国法を区別する構成を示す。
外国判決については,懲罰賠償部分の承認を否定し,分離できる慰謝料部分の執行を認める。
直接郵便送達は防御の機会が保障されたとして承認要件を満たすとする。

これらは理由を伴う答案例である。
公式資料は,プライバシー,著作権侵害の損害賠償及び送達の結論を一つに固定していない。
第5で採用構成と別構成を分けて説明する。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準

1 評価項目の示し方

公式の出題の趣旨又は採点実感に根拠がある事項を,一つの判定対象ごとに分けた。
各表には区分を併記し,必須,理由付きで許容される分岐,誤りの回避,発展事項を区別する。
資料欄の頁はPDFの先頭を1とする実頁である。
一方に記載がない場合は,その関連範囲を読んだ上で該当記載なしと表示した。
短い根拠語句は原文,項目の言換えと重みは記事独自の分析である。

2 5段階の重み付けの基準

重み5は答案の骨格又は公式資料が評価を分けるとした事項,4は出題の趣旨が求め,採点実感も不足又は高評価として取り上げた事項,3は一方が明示する中核の理由付け,2は補強又は典型的誤りの回避,1は控えめな補足を基本とした。
同じ事項が両資料に出るだけで4に引き上げない。
重みは法務省の配点でも,正答による獲得点でもない。

3 本問での条件付き項目

番号4はプライバシーに17条説を採る場合だけの項目である。
番号26は甲国の送達条約加入を仮定する発展事項である。
不採用の別構成を本文へ全部併記することや,設定されていない条約加入を補うことを要求しない。
負例の回避4項目も,独立した論点の発見と同じ意味ではない。

第3 本問の概要

1 問題文と事実関係

甲国を常居所とする詩人Xをモデルとして,日本在住のYが日本語の小説を日本のブログに掲載した。
小説にはXの窃盗癖,精神疾患に関する記載と,Xの詩の無断翻訳が含まれ,日本及び甲国で閲覧された。
Xは名誉毀損,プライバシー侵害及び日本・甲国の翻訳権侵害について損害賠償を求める。
甲国はベルヌ条約の同盟国であり,条約5条の一部が問題文に示される。

別の設定では,甲国裁判所がXの請求を認めた確定判決を出し,Xが日本で執行を求める。
懲罰的損害賠償を命じた場合と,甲国の原告代理人弁護士からYに訴状等が直接郵送された場合を,独立に検討する。

2 設問が求めること

設問対象指定・除外到達点
設問1①・②名誉毀損・プライバシー日本で準拠法を判断。管轄は論じない。性質決定,連結及び日本法の累積適用
設問1③二国の翻訳権侵害日本と甲国の権利を区別条約の性質と損害賠償の準拠法を理由付きで決定
設問2小問1懲罰的賠償を含む外国判決他の執行要件は充足民事判決性,公序,慰謝料部分の執行
設問2小問2直接郵便送達日本語訳・時間的余裕。甲国の条約加入は設定なし。防御権保障から承認・執行の可否を判断

第4 評価項目と重み

1 設問1①・②

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
1【必須】名誉毀損債権を通則法19条により被害者Xの常居所地である甲国法へ連結する5PDF実頁41・設問1①:名誉毀損の準拠法の決定PDF実頁45・設問1①:第19条の指摘
2【必須】通則法19条により被害者の常居所地へ一律に連結する趣旨を説明する3PDF実頁41・設問1①:同条の趣旨について説明PDF実頁45・設問1①:その趣旨の説明等
3【許容分岐】プライバシー侵害を17条又は19条による関係へ性質決定し,採用した構成の理由を示す5PDF実頁41・設問1②:その理由の説明が必要PDF実頁45・設問1②:いずれによる立場もおおむね理由が書けてい
4【許容分岐】17条説を採るとき,一括連結かモザイク連結かを説明し,その連結に事実を当てはめる3PDF実頁41・設問1②:モザイク連結関連範囲実読・該当記載なし

2 設問1③

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
5【必須】被侵害著作権自体を独立の単位法律関係として扱う5PDF実頁41・設問1③:一つの単位法律関係PDF実頁45・設問1③:被侵害権利が独立の単位法律関係
6【必須】日本もベルヌ条約の同盟国であることを前提に,甲国との条約適用を判断する3関連範囲実読・該当記載なしPDF実頁45・設問1③:日本がベルヌ条約の「同盟国」
7【許容分岐】ベルヌ条約5条2項第3文に抵触規則が含まれるかについて,採用説を支える理由を述べる4PDF実頁42・設問1③:国際私法の準則を含んでいるかPDF実頁45・設問1③:その理由まで
8【許容分岐】侵害損害賠償を17条又は保護国法へ性質決定し,選んだ処理の理由を述べる5PDF実頁42・設問1③:損害賠償の性質決定PDF実頁45・設問1③:通則法第17条によらしめても
9【必須】日本と甲国の二つの保護国を区別し,各国の権利保護に適用する法を特定する5PDF実頁42・設問1③:著作権が日本と甲国とで別にPDF実頁45・設問1③:保護国が日本と甲国の二つ
10【負例】著作権を登録国法に連結するという誤った説明をしない2関連範囲実読・該当記載なしPDF実頁45・設問1③:この名称は不適切

3 設問1の前提・日本法の累積適用

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
11【負例】日本の裁判所で準拠法を決定するという設問の前提を取り違えない2関連範囲実読・該当記載なしPDF実頁45・設問1:日本の裁判所に訴えを提起している
12【必須】不法行為に外国法を適用するときの22条を累積連結と理解し,42条の例外公序と混同しない5PDF実頁41・設問1・外国法:通則法第22条PDF実頁45・設問1・外国法:累積(重畳)的連結の規定
13【必須】22条1項により日本法上も不法であることを請求の条件とする3PDF実頁41・設問1・外国法:通則法第22条PDF実頁45・設問1・外国法:通則法第22条を適用
14【必須】22条2項により救済を日本法で認められる範囲に制限する3PDF実頁41・設問1・外国法:通則法第22条PDF実頁45・設問1・外国法:通則法第22条を適用

4 設問2小問1と共通の前提

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
15【必須】懲罰的損害賠償を実損に追加される制裁・一般予防目的の賠償と説明する3PDF実頁42・設問2小問1:懲罰賠償判決の意義PDF実頁46・設問2小問1:懲罰的損害賠償の意義
16【許容分岐】懲罰的部分が民事判決に当たるかを問題にし,採用した肯定説又は否定説の理由を述べる4PDF実頁42・設問2小問1:民事判決かどうかの問題PDF実頁46・設問2小問1:同部分が民事判決かどうか
17【必須】民事判決性肯定説では民執法24条5項から118条の承認要件へ接続する4PDF実頁42・設問2:第24条第5項PDF実頁46・設問2:民事執行法第24条第5項
18【必須】118条3号を用い,制度差だけでなく日本の法秩序の基本理念との抵触を理由に懲罰部分の承認を判断する5PDF実頁42・設問2小問1:第118条第3号違反PDF実頁46・設問2小問1:最高裁判例
19【高評価】懲罰的損害賠償部分の承認に関して平成9年7月11日最高裁判決の立場へ言及する4PDF実頁42・設問2小問1:最高裁判例PDF実頁46・設問2小問1:それが判例であること
20【必須】懲罰部分と分離して,慰謝料部分の承認・執行の可否を結論づける4PDF実頁42・設問2小問1:承認されるかどうかPDF実頁46・設問2小問1:慰謝料部分の承認・執行
21【負例】通則法22条2項を外国判決承認・執行の直接の根拠として援用しない2関連範囲実読・該当記載なしPDF実頁46・設問2小問1:本問には不適切
22【負例】他の執行要件は充足するという仮定を守り,118条1号・4号等を再争点化しない2関連範囲実読・該当記載なしPDF実頁46・設問2:同条第4号の要件

5 設問2小問2

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
23【必須】民訴法118条2号を指摘し,敗訴被告の防御権保障という趣旨を述べる3PDF実頁42・設問2小問2:第118条第2号を指摘PDF実頁46・設問2小問2:民訴法第118条第2号
24【必須】了知可能性・防御可能性の基準を示し,日本語訳と時間的余裕を評価して結論まで示す5PDF実頁42・設問2小問2:結論をPDF実頁46・設問2小問2:了知可能性と防御可能性
25【必須】外国から直接郵便で訴訟書類が送られることの意味・是非を踏まえて論じる3PDF実頁42・設問2小問2:意味や是非も踏まえてPDF実頁46・設問2小問2:了知可能性と防御可能性
26【高評価】送達条約を論じるなら甲国の加盟を条件化し,10条(a)の日本の拒否宣言を含む基準時を区別する3PDF実頁42・設問2小問2:加点の対象とPDF実頁46・設問2小問2:拒否宣言をした

6 重みの分布

重み12345合計
項目数0495826
重み×項目数0827204095

重み5は番号1・3・5・8・9・12・18・24である。
請求ごとの性質決定,二つの保護国,22条の働き,外国判決の公序及び送達の防御権保障は,結論へ至る経路を決めるため重くした。
番号16の民事判決性も,公序判断に入る前段として落とせない。

第5 模範解答

1 答案の前提と表記

2019年の試験時の法令・判例を前提とする。
民事執行法24条の承認要件への接続は当時の5項であり,古い判決中の項番号をそのまま移さない。
見出しを含めた答案は2403字で,指定の2500字を下回る。
問題提起,規範,事実の評価,結論の順を基本とする。

2 答案

1 設問1
(1)請求①
 名誉毀損に基づく慰謝料債権の成立及び効力には,法の適用に関する通則法19条を適用する。同条は,情報の流通により結果発生地が多数に及ぶ場合にも,被害者の生活の本拠を中心に一律の法で処理し,被害者保護と準拠法の予測可能性を確保する趣旨である。Xの常居所は甲国にあるから甲国法による。Y及びCの所在地や発信地が日本であるだけでは,20条の明らかにより密接な関係は認められない。
 甲国法が準拠法となっても,22条1項により日本法上も不法でなければ請求できず,同条2項により日本法の認める救済に限られる。この日本法の累積適用は,42条による例外的な外国法排斥とは異なる。
(2)請求②
 プライバシー侵害は,社会的評価を保護する名誉毀損とは区別される。19条の文言外として17条による見解もあるが,私生活情報が各地で閲覧されることによる人格的被害の拡散は名誉毀損と共通する。複数の結果発生地ごとに法を適用するより,被害の中心となる常居所地法で一律に処理するのが合理的であるから,19条を類推適用する。
 したがって甲国法による。日本語で日本のブログに掲載したとしても,甲国のXの知人にも閲覧されており,20条によって日本法へ変更するほどの事情はない。①と同様に22条1・2項の日本法の累積適用を受ける。
(3)請求③
 著作権は,それ自体が独立の単位法律関係を構成し,日本の著作権と甲国の著作権は別個に存在する。日本は昭和50年条約第4号として公布したベルヌ条約の同盟国であり,甲国も同盟国である。
 同条約5条2項第3文は,保護の範囲及び救済を「専ら」保護が要求される同盟国の法令に委ねている。内国民待遇を定める同条1項だけでは,外国で発生する権利を法廷地で保護するときの準拠法は決まらない。これに対し,2項の「専ら」という文言は適用する国の法を特定している。したがって実質法上の待遇原則を超えて抵触規則を含むと解する。保護国とは,その国についての権利の保護を求める国であり,訴訟の係属する法廷地と当然に一致するものではない。
 侵害による損害賠償を17条の不法行為と性質決定する見解もある。しかし,条約が「救済の方法」をも指定すること,侵害される権利の範囲と救済を同じ法で整合的に処理すべきことから,損害賠償も保護国法による。日本の翻訳権侵害については日本法,甲国の翻訳権侵害については甲国法を適用する。甲国が著作物の本国である点についても,同条3項が本国における保護をその国の法令に委ねる趣旨と,権利の領域的独立に基づく条理から甲国法による。日本の裁判所で審理することを理由に両権利へ日本法を適用するものではない。
2 設問2
(1)小問1
 懲罰的損害賠償は,実損の填補に加え,加害者の悪質な行為への制裁及び将来の同種行為の抑止を目的とする。民事執行法24条の対象は私法上の法律関係についての外国裁判所の判決であり,懲罰的部分の民事判決性が問題となる。本件ではXがYから支払を受け,国等への納付義務も使途の制限もない。確かに,国家刑罰に類似する制裁目的から公法的な裁判とみる余地はある。しかし,本件は国家への制裁金の納付を命じるものではなく,私法上の義務違反を理由とするX自身の請求権を判断している。したがって私人間の給付を命じる民事判決と解する。
 そこで,同条5項により民訴法118条3号の公序を審査する。実体判断の当否を再審査するものではない(民執法24条4項)。日本にない制度というだけでは足りないが,日本の法秩序の基本原則・理念と相いれない判決内容は承認できない。
 日本の不法行為損害賠償は現実の損害を填補して被害者を回復させる制度であり,制裁・一般予防は刑事・行政上の制度に委ねる。損害賠償に副次的な抑止効果があることと,それを本来の目的とすることは異なる。最判平成9年7月11日もこの理由により懲罰的損害賠償部分の承認を否定した。
 P条は,抑圧,詐欺又は害意という行為の悪質性を要件とし,現実の損害とは別に見せしめの懲罰を科す。本件でも慰謝料にその約3倍を加えるので,填補額の算定方法の差ではなく,制裁制度自体の導入となる。私人Xが全額を取得することも,この制裁目的を填補目的へ変えるものではない。その部分は公序に反し承認できない。一方,分離可能な慰謝料部分については他の要件も満たすから執行を許す。通則法22条2項は準拠法決定の規則であって,本件外国判決の承認を否定する直接の根拠とはならない。
(2)小問2
 Yは応訴していないから,民執法24条5項により民訴法118条2号の送達要件を検討する。同号は被告の防御権を保障する趣旨である。日本の訴訟法上の方式によることまでは要せず,現実に訴訟開始を了知でき,防御権の行使に支障がないことが必要である(最判平成10年4月28日参照)。
 本件郵送は甲国法に従い,訴状・期日呼出状には日本語訳が付き,対応に十分な時間的余裕もある。代理人弁護士による直接郵送であっても,公示送達のように現実の了知を期待できない方法とは異なり,防御の機会を与える。確かに,裁判所等を介さない直接郵送には,司法共助や主権との関係で疑問が生じる。しかし,承認要件としての同号は,国内訴訟の送達方式を外国訴訟にそのまま要求するものではない。甲国法上適式で,書留により訴訟書類を伝え,翻訳文と応訴準備の時間も確保した本件では,防御権は保障されている。日本の裁判所等を経由しない一事のみで執行を拒むのは,同号の趣旨に照らし相当でない。したがって同号を満たし,執行判決請求を認める。
 もっとも,両国間の司法共助条約が送達方法を定めている場合はその遵守を要する。本問は甲国の送達条約加入を示していないため,加入を補充せず上記の判断をする。
以上

3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説

(1) 答案と評価項目の対応

重み5・4及び条件付き項目の対応は次のとおりである。
誤り回避の番号10・11・21・22は,登録国法への連結,外国裁判所での準拠法判断との誤読,22条の承認への援用及び仮定済み要件の再争点化をしていないことに対応する。

番号重み評価対象答案の箇所・留保
15名誉毀損債権を通則法19条により被害者Xの常居所地である甲国法へ連結する1(1):対応あり
35プライバシー侵害を17条又は19条による関係へ性質決定し,採用した構成の理由を示す1(2):対応あり
4317条説を採るとき,一括連結かモザイク連結かを説明し,その連結に事実を当てはめる第5の3・別構成の解説:主答案非該当
55被侵害著作権自体を独立の単位法律関係として扱う1(3):対応あり
74ベルヌ条約5条2項第3文に抵触規則が含まれるかについて,採用説を支える理由を述べる1(3):対応あり
85侵害損害賠償を17条又は保護国法へ性質決定し,選んだ処理の理由を述べる1(3):対応あり
95日本と甲国の二つの保護国を区別し,各国の権利保護に適用する法を特定する1(3):対応あり
125不法行為に外国法を適用するときの22条を累積連結と理解し,42条の例外公序と混同しない1(1):対応あり
164懲罰的部分が民事判決に当たるかを問題にし,採用した肯定説又は否定説の理由を述べる2(1):対応あり
174民事判決性肯定説では民執法24条5項から118条の承認要件へ接続する2(1):対応あり
185118条3号を用い,制度差だけでなく日本の法秩序の基本理念との抵触を理由に懲罰部分の承認を判断する2(1):対応あり
194懲罰的損害賠償部分の承認に関して平成9年7月11日最高裁判決の立場へ言及する2(1):対応あり
204懲罰部分と分離して,慰謝料部分の承認・執行の可否を結論づける2(1):対応あり
245了知可能性・防御可能性の基準を示し,日本語訳と時間的余裕を評価して結論まで示す2(2):対応あり
263送達条約を論じるなら甲国の加盟を条件化し,10条(a)の日本の拒否宣言を含む基準時を区別する2(2)末尾/第5の3:主答案は条件留保のみ

(2) 性質決定と許容される別構成

名誉毀損は通則法19条による。
プライバシーは17条説と19条の類推適用説があり,結論のラベルだけでなく選択理由を示す。
17条説を採るときは,結果が複数国で発生することを踏まえ,一括連結とモザイク連結を検討する必要がある(番号4)。
主答案は,被害の中心と一律処理を理由に19条を類推適用した。

著作権自体を独立の単位法律関係と捉える点と,侵害の損害賠償をどの規則により処理するかは別の問題である。
ベルヌ条約5条2項第3文の抵触規則性は争われるため,主答案は「専ら」という文言と内国民待遇との関係から肯定し,救済も保護国法へ連結した。
損害賠償を17条で処理する構成も許容されるが,その理由と,外国法を用いる場合の22条の関係を説明する。
保護国を法廷地又は登録国と同一視しない。

(3) 外国判決と送達

小問1は,まず懲罰的部分が承認・執行の対象となる民事判決かを論じる。
否定説も理由付きで許容される。
肯定する場合は118条3号を検討し,日本の制度にないというだけで排斥せず,損害填補と制裁・一般予防との制度上の区別を示す。
慰謝料の部分は分離して判断する。

小問2は日本の送達方式との形式的一致ではなく,118条2号の趣旨から了知と防御の機会を評価した。
直接郵送の是非について別の結論を採る場合も理由が必要である。
平成10年4月28日判決は防御権の基準の参照であって,本件と全く同一の郵便送達事案と述べるものではない。

送達条約10条(a)に関する日本の拒否宣言は2018年12月21日であり,試験前である。
公式の出題趣旨は,この変更を踏まえて甲国の条約加盟を設定しなかったことを説明する。
主答案は加盟を推測せず,条約が適用されるなら遵守するという条件留保にとどめた。
拒否宣言を含む条約上の議論は,通常答案へ一律に要求する必須事項ではない。

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3 本問の論点に関係する記事と資料

外国判決の承認における間接管轄及び利益吐出し型損害賠償・懲罰的損害賠償と日本法は関連論点の案内である。
本問では他の要件が充足するとの仮定があるため,間接管轄を答案の追加争点にしない。

懲罰的賠償については最高裁平成9年7月11日判決の原文,外国判決の送達要件については最高裁平成10年4月28日判決の原文を併せて確認できる。

第7 出典及び確認状態

1 公式資料

問題PDFの実頁39〜40の第2問,出題の趣旨PDFの実頁41の第2問見出し以後及び42頁,採点実感PDFの実頁44の科目共通部分と45〜46頁の第2問を実読した。
採点実感は法務省の当該年度掲載ページの選択科目版による。
他問の評価を本問の項目へ転用していない。

2 法令及び条約

法の適用に関する通則法の17〜22条,2019年4月1日施行時点の民事執行法24条及び試験前の施行履歴による民事訴訟法118条を確認した。
民訴法は改正履歴から試験前の最新施行版を選択し,118条の見出し及び各号を確認した。
ベルヌ条約5条は問題文所掲の条文による。
送達条約の宣言の基準日は公式出題趣旨による。

3 裁判例

最判平成9年7月11日・平成5年(オ)第1762号の公序判断(PDF実頁2〜3)及び最判平成10年4月28日・平成6年(オ)第1838号の送達判断(同6〜7頁)を原文で確認した。
試験後の判決を主答案の規範に取り込んでいない。

4 確認状態

資料・事項確認状態範囲・限界
問題実読・図面確認済み本問の全体。頁内の他問部分を除外。
出題の趣旨・採点実感本問と共通部分を実読済みPDF実頁による引用。公式にない数値配点は作成していない。
重みと答案独自分析採用構成の例であり,法務省の公式答案・配点ではない。
判例使用箇所を原文照合全文取得と,実読した判示の範囲を区別。
参考記事形式とリンクの確認本問の独立答案完成後に参照。法的結論の根拠に用いていない。