メインコンテンツへスキップ

重要事項説明書(交通事故事件)

第1 この記事の位置付け

交通事故事件を弁護士に依頼した後も,依頼者ご本人にしていただくことがあります。
事故直後の映像や写真を残すこと,症状を主治医へ正確に伝えること,仕事や家事への影響を記録すること,保険会社から届いた書類を共有することなどです。
これらは,後から弁護士だけで作り直すことができません。

本記事は,山中弁護士に交通事故事件を依頼した方を対象に,治療中から示談までの間に気を付けていただきたい事項と,早めに連絡していただきたい場面をまとめたものです。
個別の委任契約,医師の判断及び事件ごとの説明が本記事より優先します。
分からない書類や連絡が届いたときは,ご自身だけで判断せず,そのまま共有してください。

第2 事故に関する記録と資料の保存

ドライブレコーダーの映像,現場・車両・けがの写真,目撃者の氏名と連絡先は,できるだけ早く保存してください。
映像は上書きされ,防犯カメラの記録は一定期間で消去されることがあります。
元データを加工せずに残し,必要に応じて複製を作成します。

けががある場合は,警察へ診断書を提出する時期と,人身事故としての取扱いを相談してください。
交通事故証明書の記載と,警察に説明した事故状況も確認します。

事故状況については,進行方向,信号,速度,車線,衝突地点,相手を最初に見た地点,ブレーキをかけた地点などを,記憶が新しいうちに時系列で記録してください。
警察の事情聴取や現場確認では,推測を交えず,覚えている事実を正確に説明します。
記録内容が事実と異なるときは,その場で訂正を求めてください。

保険会社,警察,医療機関,勤務先その他の関係者と話したときは,日付,相手の所属・氏名及び要点をメモしてください。
届いた書類,電子メール,ショートメッセージ及び封筒も保存します。

第3 治療中の通院と症状の記録

1 早めに受診し,必要な通院を続ける

事故後に痛みや違和感があるときは,早めに医療機関を受診し,事故日と事故状況を医師へ伝えてください。
事故から受診までの期間が空くと,事故と症状との関係が争われることがあります。

通院頻度は,主治医の診断と指示に従うことが前提です。
そのうえで,主治医が継続治療を必要と判断している間は,週2回以上を予定確保の一つの目安とし,山中弁護士から個別の案内がある場合はその内容も踏まえてください。
仕事その他の事情で間隔が空きそうなときは,空く前に主治医と山中弁護士へ相談してください。
週2回という回数だけで,治療費,慰謝料又は後遺障害等級が認められるわけではありません。
通院回数を増やすために,医学的に不要な受診をするものでもありません。

2 症状と生活への影響を具体的に伝える

診察では,痛み・しびれの場所と強さ,症状が出る動作や時間帯,睡眠,仕事,通勤,家事及び日常生活への影響を具体的に伝えてください。
良くなった点も含め,実際の状態を正確に説明します。
症状を大きく言うことも,小さく言うことも避けてください。

受診日,治療内容,症状の変化,医師から受けた説明及び生活上の支障は,簡単な日記にしておくと確認しやすくなります。
新しい症状が出た場合や,別の事故・転倒等で同じ部位を負傷した場合は,主治医と山中弁護士の双方へ伝えてください。

3 整形外科と整骨院の役割を分ける

整骨院を利用する場合も,整形外科での診察を続けてください。
利用前に主治医へ相談し,保険会社が費用を負担するかも確認します。
整骨院だけでは,医師が症状の経過を把握しにくく,画像検査,診断及び後遺障害診断書の作成にも支障が生じることがあります。

第4 保険会社や医療機関から届く書類

相手方の保険会社から届いた照会書,同意書,事故状況図,過失割合の提案,示談書,免責証書その他の書類は,署名又は回答の前に山中弁護士へ共有してください。
医療情報に関する同意書は,利用目的,対象となる医療機関,取得する情報及び有効期間を確認します。
同意書を提出しないと治療費の直接払が進まない場合もあるため,一律に拒否するのではなく,必要な範囲を確認して対応します。

相手方又は相手方の保険会社から直接連絡があったときは,原則として山中弁護士を通すよう伝えてください。
やむを得ず話した場合は,日時,相手及び会話の内容をメモし,早めに共有してください。

相手方保険会社が医療機関へ治療費を直接支払う一括対応は,支払手続の一つです。
一括対応が始まったことだけで,相手方がすべての責任や治療費を最終的に認めたことにはなりません。

第5 治療費と休業中のお金

1 治療費の支払方法を確認する

治療費は,相手方保険会社の一括対応のほか,健康保険,労災保険又は自己負担によって支払う場合があります。
自分にも過失がある場合,相手方が任意保険に加入していない場合又は一括対応が終了した場合は,負担を抑える方法を早めに相談してください。

業務中又は通勤中の事故では,労災保険の対象となるかを確認します。
それ以外の交通事故で健康保険を使う場合は,加入先へ連絡し,「第三者行為による傷病届」等を提出します。
どの制度を使うかによって必要書類と示談時の調整が異なるため,先に勤務先,加入先又は労働基準監督署へ確認してください。

治療費,薬代,通院交通費,診断書代,装具代その他の領収書はすべて保管してください。
電車・バスの利用は,日付,区間及び金額を記録します。
自家用車又はタクシーを利用する場合は,必要性と記録方法を事前に確認してください。

2 仕事や家事への影響を残す

仕事を休む必要性と期間は,症状及び仕事内容を主治医へ説明して相談してください。
休業日,有給休暇を使った日,遅刻・早退,担当業務の変更,減った給与又は売上を記録します。
家事に支障がある場合は,できなくなった作業,家族に代わってもらった作業及びその期間を具体的に残してください。

会社員の方は給与明細,源泉徴収票及び休業損害証明書,自営業の方は確定申告書,帳簿,売上資料及び代替費用の資料を保存してください。
申告資料と実際の収入に違いがある場合は,理由を含めて山中弁護士へ説明してください。

3 給付金と生活費を確認する

労災保険の休業給付,健康保険の傷病手当金その他の給付を受けたときは,決定通知と入金記録を共有してください。
同じ損害に対する賠償金との調整が必要になる場合があります。

休職して給料が支払われなくなっても,社会保険料や住民税の負担が続くことがあります。
支払方法と休職できる期間を勤務先へ確認してください。
退職又は休職終了を求められたときは,応じる前に相談してください。

医療費の負担が大きい場合は高額療養費等,障害が残った場合は障害年金,労災保険の障害給付又は医療費助成等を利用できることがあります。
退職後もけがで働けない場合は,雇用保険の受給期間延長,健康保険及び年金の切替えも確認してください。
各制度は要件と窓口が異なるため,病院の相談窓口,年金事務所,労働基準監督署,ハローワーク又は市区町村へ確認します。

第6 自分と家族の保険

ご自身だけでなく,同居の家族や別居の未婚の子が契約している自動車保険等についても,弁護士費用特約,人身傷害保険,搭乗者傷害保険,車両保険,個人賠償責任保険その他の補償がないか確認してください。
自動車に乗っていないときの事故でも使える特約があります。

保険証券,契約内容が分かる画面又はパンフレットを共有してください。
対象となる人,事故,手続,保険金額及び事前承認の要否は約款によって異なります。
どの請求を弁護士へ依頼するか,費用の自己負担が生じるかは,委任契約書と交通事故の弁護士費用で確認してください。

第7 治療費の打切りと後遺障害

1 治療費の打切りを告げられたとき

相手方保険会社から治療費の支払を終了すると言われたときは,終了予定日と理由を確認し,すぐに山中弁護士へ連絡してください。
保険会社による直接払の終了と,医学的に治療が不要となることは同じではありません。
他方,通院を続ければ後から治療費が必ず支払われるわけでもありません。

主治医に治療継続の必要性,今後の治療内容及び通院頻度を確認し,一括対応の継続交渉,健康保険又は労災保険への切替え,自己負担した費用の保存方法を検討します。
自己判断だけで治療を中断しないでください。

2 症状固定を急いで決めない

症状固定とは,症状が安定し,一般に認められた治療を続けても医療効果を期待しにくくなった状態をいいます。
痛みやしびれが残っていても症状固定となることがあります。
時期は,主治医の診断,これまでの治療効果及び今後の治療方針を確認して判断します。

症状固定後は,それ以前の治療費,入通院慰謝料及び休業損害と同じ扱いにならない場合があります。
保険会社から症状固定を提案されたときや,主治医から治療終了の話が出たときは,回答する前に連絡してください。

3 後遺障害の申請前後に確認する

症状が残る場合は,後遺障害の等級認定を申請するかを検討します。
後遺障害診断書を主治医へ依頼する前に,残っている症状,日常生活及び仕事への影響を整理して,漏れなく正確に伝えてください。
必要な検査は医師が判断します。

申請方法には,相手方の任意保険会社を通す方法と,自賠責保険へ直接請求する被害者請求があります。
どの方法を選ぶかは,診断書,画像資料,治療経過,事故状況及び準備できる資料を確認して決めます。
認定結果が届いたときは,理由が書かれた書面を含めて共有してください。
詳しい流れは交通事故の後遺障害とはで説明しています。

第8 物損と示談

1 壊れた物を処分する前に記録する

車,衣類,眼鏡,携帯電話その他の物が壊れた場合は,全体と損傷部分の写真,型番,購入時期及び購入金額が分かる資料を残してください。
車検証,修理見積書,修理工程,代車関係の書類も保管します。
修理,売却又は廃棄をする前に,必要な確認が終わっているか相談してください。

修理費がそのまま全額認められるとは限らず,事故前の時価,修理方法,代車の必要性及び利用期間等が問題になることがあります。
自分の車両保険を使うときは,免責金額と翌年以降の保険料への影響も確認します。

2 過失割合は証拠を確認して判断する

自分にも過失があると,受け取る賠償金が減る場合があります。
相手方の提示だけで決めず,ドライブレコーダー,事故現場・車両の写真,刑事記録,双方の説明及び道路状況を確認します。
物損だけを先に示談するときは,合意する過失割合が人身損害の交渉にどう影響するかも確認してください。

3 示談書へ署名する前に内訳と範囲を確認する

示談案は,最終振込額だけでなく,治療費,通院交通費,休業損害,慰謝料,後遺障害逸失利益,物損,過失相殺及び既払金の内訳を確認します。
訴訟をすれば必ず増額するわけではなく,時間,費用,証拠及び本人の負担を踏まえて解決方法を選びます。

示談書又は免責証書には,今後の請求をしないという清算条項が含まれるのが通常です。
署名後の追加請求は難しくなるため,誰との間で,どの事故の,どの損害を清算するのかを確認してください。
健康保険又は労災保険を利用した場合は,示談前に保険者又は労働基準監督署との調整が必要になることがあります。

示談交渉の準備から決裂後の手続までは交通事故の示談交渉を,届いた示談案の読み方は交通事故の示談案の確認方法を参照してください。

第9 すぐに連絡してほしい場面

次の出来事があったときは,届いた書類や画面の写真を添えて,できるだけその日のうちに山中弁護士へ連絡してください。

□ 相手方保険会社から治療費の一括対応を終了すると言われた
□ 保険会社又は主治医から症状固定・治療終了の話が出た
□ 手術,入院,転院,新しい検査又は大きな治療方針の変更が決まった
□ 新しい症状が出た,又は別の事故・転倒等で同じ部位を負傷した
□ 後遺障害診断書を作成することになった,又は認定結果が届いた
□ 過失割合への同意,示談書,免責証書,同意書その他の署名を求められた
□ 相手方本人,相手方の保険会社又は相手方弁護士から直接連絡があった
□ 労災保険,健康保険,人身傷害保険その他の給付が決定又は入金された
□ 休職期間の終了,退職,解雇又は配置転換の話が出た
□ 車両その他の物を修理,売却又は廃棄することになった
□ ドライブレコーダー等の証拠が消えそうである
□ 保険会社,裁判所その他の機関から回答期限のある書類が届いた

損害賠償,保険金及び公的給付の期限は,請求先と損害の種類によって異なります。
「事故から何年」と一律に考えず,事故日,症状固定日,請求内容及び届いた書類を共有してください。

第10 関連記事との役割分担

本記事は,山中弁護士へ交通事故事件を依頼した後の行動と連絡時期を確認するための記事です。
個別論点の基準や金額を網羅するものではありません。

弁護士に依頼するときに知っておいてほしい大切なことは,交通事故に限らず,依頼者と弁護士の情報共有,証拠,相手方との直接連絡,裁判,和解及び費用に関する共通事項を説明しています。

交通事故事件のご相談・ご依頼の流れは,お問い合わせ,予約,持参資料,法律相談及び委任契約までを説明しています。
本記事は,委任契約後の注意事項を中心にしています。

大阪で交通事故を弁護士に相談・依頼するときは,相談・依頼を検討している方を主な対象として,事故直後から示談又は訴訟までの全体像,相談時期,準備資料,弁護士費用及び相談申込みを整理した総合案内です。
本記事は,山中弁護士への依頼後に,依頼者ご本人が行う記録・資料保存と,山中弁護士へ早めに連絡していただきたい場面に対象を絞っています。

交通事故の弁護士費用は,弁護士費用特約の有無に応じた着手金,成功報酬,実費及び日当を説明しています。
本記事では金額を重ねて掲載せず,委任契約と同ページで確認します。

交通事故でも健康保険は使えるは,第三者行為による傷病届,健康保険を利用する手続及び示談上の注意を詳しく説明しています。

交通事故の後遺障害とはは,症状固定,後遺障害診断書,等級認定,事前認定,被害者請求及び異議申立てを詳しく説明しています。

交通事故の示談交渉及び交通事故の示談案の確認方法は,損害項目,交渉資料,保険会社への回答,最終支払額及び清算条項を詳しく確認するための記事です。

第11 出典と確認範囲

本記事は,当事務所が交通事故事件の依頼者へ交付する重要事項説明書の旧版及び令和8年9月14日短縮版を,令和8年10月15日時点のウェブ記事として要約・再構成したものです。
個別事件では,事故日,契約・約款,医師の判断,保険会社の対応及び利用する公的制度を確認します。

制度の確認には,国土交通省「損害賠償を受けるときは」,全国健康保険協会「第三者行為による傷病届」,厚生労働省「労災保険給付関係主要様式」及び「Q&A 労働者の皆様へ」,日本年金機構「障害厚生年金を受けられるとき」を参照しました。