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令和3年司法試験経済法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した37項目と5段階の重み付け(AI作成)

令和3年司法試験経済法第2問について,公式の出題の趣旨・採点実感から独自に抽出した37の評価項目と,2500字以内の答案例を示す。
重み1~5は本記事の分析であり,法務省の公式採点基準・配点ではない。

第1 この記事の対象と結論

本問の早見表
項目内容
対象令和3年度 経済法第2問
問題・基準時問題文と設問の指定及び第7の出典・確認範囲による。問題の与件と指定された法令の時点を前提とする。
資料出題の趣旨・採点実感に基づく分析。版・対象範囲・留保は第7の確認状態を参照。
評価項目37項目(重み5:4項目)
重みの合計141(本記事独自の整理であり,公式の配点ではない。)
答案の字数2173字(答案部分の見出しを含み,空白・改行を除く可視文字数)
判例・法改正の留保第7の法令・裁判例と資料の範囲を参照。既存の確認日・参照頁・未確認部分の留保を引き継ぐ。
年度別の案内令和3年度司法試験論文式試験の選択科目8科目の模範解答と評価項目(AI作成)

対象は令和3年司法試験論文式試験・選択科目の経済法第2問である。
出題の趣旨と採点実感を踏まえ,設問1では措置1の競争者に対する取引妨害と措置2の拘束条件付取引を,設問2では措置全体の排除型私的独占を検討する。
評価項目は37項目,重み5は4項目である。
第5には2188字の完成答案と,条件付きの別構成・数値の読み方を説明する解説を置く。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準

1 評価項目の示し方

各項目は公式資料の該当範囲から,一つの判定対象に一つの番号を付けて抽出・具体化したものである。
条文選択の許容幅,優れた理由付け,典型的な誤りの回避も含む。
表の番号は記事全体で連続する。

根拠欄の頁はリンク先の合冊PDFの実頁である。
「当該細目としての個別の明示なし」は対象範囲を読んだ上で直接の対応記述がないもの,「間接」は共通方針や関連説明から当該評価へ具体化したものを指す。
公式資料の記載と,本記事の評価項目化・重み付けを区別する。

標準構成以外を採る場合にだけ適用される番号7・8・25・28・37を,全答案へ累積的に要求するものではない。
注意のうち正しい論証の裏返しになるものは,番号15・16・30・35などの項目文へ含めた。
独立した注意点である番号18と26には個別の重みを付けた。

2 5段階の重み付けの基準

①重み5:結論又は主要な法的判断の骨格となる核心事項。
②重み4:主要な理由付け・当てはめ。
③重み3:通常の法的処理・事情評価。
④重み2:補強・個別事情・注意。
⑤重み1:補充的記述。

重要度は重み1~5だけで示す。注意は項目の性質を示すものであり,自動的な低い重み又は別枠の減点を意味しない。条件付き項目はその適用条件を満たす答案について評価し,採用しない理論・構成の項目を累積して要求しない。各段階の件数に割当てを設けず,重みの単純合計を公式配点,満点,予測得点又は合格可能性へ換算しない。

第3 本問の概要

1 問題文と事実関係

甲製品は固有の機能・効用と公的な安全規格を持ち,代替品がない。
令和元年の国内販売台数シェアはX社45%,A社25%,B社15%,低価格を特徴とする新規参入Y社15%である。
併売が一般的な販売店の助言・推奨が,需要者のメーカー選択を左右する。

措置1は,Y社製品の積極的推奨を続ける販売店への不利益の示唆と実施である。
措置2は,特約店の専属的推奨の約束を条件とする累進リベートと,監視・指導・支援削減による実効確保である。
設問2では,令和3年5月までに約束率が特約店の約70%に達し,競争各社の販売に影響が出て,X社のシェアが60%となる一方,価格水準が従来のまま安定しているという追加事情が与えられる。

2 設問が求めること

設問が求めること
設問立場・対象指定・仮定・除外答えるべき到達点
設問1措置1・2の不公正取引方法不利益の示唆・実施と専属推奨約束・実効確保を区別。行為類型,競争への経路・程度と不当性を示す。
設問2追加事情の下での措置全体約束率70%,X社シェア60%と価格安定を評価。排除又は支配と競争の実質的制限を論じる。

第4 評価項目と重み

1 共通の構造と市場

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
1設問1の各措置を19条,設問2の全体を3条へ対応させ,効果の強度を区別する。5関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):28頁・第2問(規範・当てはめ)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):13頁・採点方針(規範・当てはめ)
2競争に影響する商品・地域の範囲を基準として,設問1の効果分析に先立って市場を画定する。4関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):29頁・第2問(規範・当てはめ)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):13頁・採点方針(規範・当てはめ)
3機能・効用の固有性,代替品不存在,公的規格及び国内供給から国内甲製品製造販売市場を画定する。3関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):29頁・第2問(規範・当てはめ)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):17頁・第2問(規範・当てはめ)

2 設問1・措置1

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
4措置1について,取引条件等の差別取扱い・その他の取引拒絶・競争者に対する取引妨害等から事実に適合する類型を選び,独禁法19条へ接続する。他の類型を採る場合も固有の要件と本件事実を論証する。4関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):28頁・第2問(規範・当てはめ)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):16頁・第2問(規範・当てはめ)
5一般指定14項を選ぶ場合,XとYの国内競争関係を特定する。3関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):間接:28頁・第2問(規範・当てはめ)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):間接:17頁・第2問(規範・当てはめ)
6推奨抑制によるYと販売店との取引の妨害を,推奨と需要獲得のつながりから説明する。4関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):29頁・第2問(規範・当てはめ)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):間接:17頁・第2問(規範・当てはめ)
712項を選ぶ場合,拘束する相手方の範囲・具体的条件・実効性を示す。【条件:措置1に12項を採る場合のみ】4関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):28頁・第2問(構成の許容範囲)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):17頁・第2問(構成の許容範囲)
811項を選ぶ場合,Y推奨をしないことを取引しないことと同視する理由を示す。【条件:措置1に11項を採る場合のみ】4関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):28頁・第2問(構成の許容範囲)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):17頁・第2問(構成の許容範囲)
9公正競争阻害性を排除・市場閉鎖による自由競争減殺と捉え,実質的制限の前段階又は危険性で足りると示す。4関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):28頁・第2問(規範・当てはめ)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):17頁・第2問(規範・当てはめ)
10不利益の現実化と情報流布から,個別の圧力が他の取引先へ広がる過程を説明する。5関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):29頁・第2問(具体的な論証)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):間接:17頁・第2問(具体的な論証)
11Xの45%シェア・ブランド力・取扱不可欠性・支援の重要性を,圧力を無視できない理由へつなぐ。4関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):間接:27頁・第2問(規範・当てはめ)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):間接:17頁・第2問(規範・当てはめ)
12低価格Yの推奨中止・取扱断念から,競争者の販路縮小のおそれを導く。4関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):29頁・第2問(規範・当てはめ)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):間接:17頁・第2問(規範・当てはめ)
13対抗自体は許されても,総合メーカーの地位による狙い撃ちは通常の競争を超えるとして正当化を検討する。3関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):29頁・第2問(規範・当てはめ)当該細目としての個別の明示なし(当該問及び総論を実読)。関連論点まで存在しないという意味ではない。読取範囲:同PDF全47実頁,当該問の主な所在は実頁13・16・17・18・19。本項目の具体化は記事独自の整理として,反対側の出典欄及び問題文と併せて読む。

3 設問1・措置2

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
14措置2を一般指定12項の拘束条件付取引として構成する場合は,専属的推奨の約束と取引条件との関係を示し,独禁法19条へ接続する。他の類型では採用類型の固有要件を説明する。4関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):28頁・第2問(規範・当てはめ)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):16頁・第2問(規範・当てはめ)
15併売下の専属的推奨と取引禁止の相違を,11項との識別に用いる。4関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):28頁・第2問(規範・当てはめ)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):17頁・第2問(規範・当てはめ)
16経済的不利益による実効性を拘束の基準とし,監視・指導・不供与・支援削減を当てはめる。4関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):28頁・第2問(規範・当てはめ)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):間接:17頁・第2問(規範・当てはめ)
17増販率による累進性と全家庭用電動器具仕入額の計算基礎から,強い誘因を説明する。4関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):間接:29頁・第2問(規範・当てはめ)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):間接:17頁・第2問(規範・当てはめ)
18全家庭用電動器具を基礎にするリベートを,理由なく甲製品だけの対価修正と扱わない。3当該細目としての個別の明示なし(当該問及び総論を実読)。関連論点まで存在しないという意味ではない。読取範囲:同PDF全43実頁,当該問の主な所在は実頁28・29・30。本項目の具体化は記事独自の整理として,反対側の出典欄及び問題文と併せて読む。関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):17頁・第2問(誤りの指摘)
19代替取引先を容易に確保できず競争者の取引機会が減少するおそれを市場閉鎖の基準として示す。4関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):29頁・第2問(規範・当てはめ)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):間接:17頁・第2問(規範・当てはめ)
20約束と実効確保手段により措置1より強い制約が働くことを比較する。3関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):29頁・第2問(具体的な論証)当該細目としての個別の明示なし(当該問及び総論を実読)。関連論点まで存在しないという意味ではない。読取範囲:同PDF全47実頁,当該問の主な所在は実頁13・16・17・18・19。本項目の具体化は記事独自の整理として,反対側の出典欄及び問題文と併せて読む。
21推奨による需要選択の下で,専属推奨が実質的専売店化へつながる過程を説明する。5関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):29頁・第2問(具体的な論証)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):間接:17頁・第2問(具体的な論証)
22特約店割合と約束割合により影響範囲を検討し,分母を市場全体の販売量と取り違えない。3関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):間接:29頁・第2問(具体的な論証)当該細目としての個別の明示なし(当該問及び総論を実読)。関連論点まで存在しないという意味ではない。読取範囲:同PDF全47実頁,当該問の主な所在は実頁13・16・17・18・19。本項目の具体化は記事独自の整理として,反対側の出典欄及び問題文と併せて読む。
23Yの既存取扱店の限定性と新規獲得への懸念を代替流通確保の困難へ接続する。4関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):29頁・第2問(規範・当てはめ)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):間接:17頁・第2問(規範・当てはめ)
24リベートによる販促という反対論と,排他的推奨・総合取引利益による制限の正当化を区別する。3関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):29頁・第2問(規範・当てはめ)当該細目としての個別の明示なし(当該問及び総論を実読)。関連論点まで存在しないという意味ではない。読取範囲:同PDF全47実頁,当該問の主な所在は実頁13・16・17・18・19。本項目の具体化は記事独自の整理として,反対側の出典欄及び問題文と併せて読む。
2511項を選ぶ場合,専属推奨を競争者と取引しない条件と同視できる理由を示す。【条件:措置2に11項を採る場合のみ】4関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):28頁・第2問(構成の許容範囲)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):17頁・第2問(構成の許容範囲)
26設問1の資料不足を無視して価格維持効果だけで違反を導かず,市場閉鎖を検討する。4関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):29頁・第2問(誤りの指摘)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):17頁・第2問(誤りの指摘)

4 設問2・措置全体

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
27追加事情の下で措置全体を私的独占として検討し,19条だけで終わらない。4関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):29頁・第2問(規範・当てはめ)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):18頁・第2問(規範・当てはめ)
28支配型を採る場合,支配の意義と程度を示し具体的事実を当てはめる。【条件:支配型を採る場合のみ】4当該細目としての個別の明示なし(当該問及び総論を実読)。関連論点まで存在しないという意味ではない。読取範囲:同PDF全43実頁,当該問の主な所在は実頁28・29・30。本項目の具体化は記事独自の整理として,反対側の出典欄及び問題文と併せて読む。関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):13頁・採点方針(構成の許容範囲)
29排除型の私的独占を採る場合は,正常な競争手段を逸脱する人為性と,他の事業者の市場参入等を著しく困難にする効果を示す。支配型を採る場合は28の基準を用いる。4関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):29頁・第2問(規範・当てはめ)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):18頁・第2問(規範・当てはめ)
30総合メーカーの地位と利益・不利益の組合せによる人為性を,単なる19条違反と同視せず説明する。4関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):29頁・第2問(規範・当てはめ)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):間接:18頁・第2問(規範・当てはめ)
31約束率70%への増加とY・A・Bへの影響を追加的排除効果の判断に組み込む。4関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):間接:29頁・第2問(具体的な論証)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):間接:18頁・第2問(具体的な論証)
32設問1と同じ市場を一定の取引分野とし,商品・地域の画定を一貫させる。3関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):29頁・第2問(規範・当てはめ)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):間接:18頁・第2問(規範・当てはめ)
33競争の実質的制限を価格等をある程度自由に左右できる市場支配的状態の形成・維持・強化と示す。4関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):29頁・第2問(規範・当てはめ)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):18頁・第2問(規範・当てはめ)
34Y参入前の限定的価格競争,Y伸長とX漸減,措置後の変化を期間も含めて比較する。4関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):29頁・第2問(具体的な論証)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):18頁・第2問(具体的な論証)
3560%シェアだけでなく販路停滞・他社販売減少・価格維持から競争圧力低下と市場支配力を論証する。5関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):29頁・第2問(具体的な論証)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):間接:18頁・第2問(具体的な論証)
36公共の利益に反しない特段の事情がないことを簡潔に示し,3条違反へ接続する。3関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):29頁・第2問(規範・当てはめ)当該細目としての個別の明示なし(当該問及び総論を実読)。関連論点まで存在しないという意味ではない。読取範囲:同PDF全47実頁,当該問の主な所在は実頁13・16・17・18・19。本項目の具体化は記事独自の整理として,反対側の出典欄及び問題文と併せて読む。

5 構成の許容幅

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
37採点実感が想定する類型と異なる構成でも,適用条文・行為要件・効果要件を具体的に論証しているかを検討し,想定類型と異なることだけで一律に排除しない。【条件:別構成の評価に言及する場合】2関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):28頁・第2問(構成の許容範囲)関連記述(引用部分以外は記事による要約・細分化):19頁・第2問(構成の許容範囲)

6 重みの分布

本記事の評価表37行を集計すると,重み1=0項目,重み2=1項目,重み3=9項目,重み4=23項目,重み5=4項目となる。総項目数N=37,重みの単純合計W=141である。注意・条件付き項目もこの集計に含むが,各答案の評価では個々の適用条件を確認する。単純合計は公式配点又は合否の予測値ではない。

重み5に当たる事項と対応番号は次のとおりである。

番号1:設問1の各措置を19条,設問2の全体を3条へ対応させ,効果の強度を区別する。(適用:全答案)

番号10:不利益の現実化と情報流布から,個別の圧力が他の取引先へ広がる過程を説明する。(適用:全答案)

番号21:推奨による需要選択の下で,専属推奨が実質的専売店化へつながる過程を説明する。(適用:全答案)

番号35:60%シェアだけでなく販路停滞・他社販売減少・価格維持から競争圧力低下と市場支配力を論証する。(適用:全答案)

第5 模範解答

1 答案の前提と表記

試験実施日である令和3年5月12日時点の法令・判例を基準とする。
措置1は一般指定14項,措置2は12項,設問2は排除型私的独占を採る。
字数は見出し・句読点・全角空白を含み,改行だけを除いて2188字である。
条文番号は独占禁止法を指し,一般指定は不公正な取引方法の一般指定を指す。

2 答案

1 設問1

 市場とは競争への影響を検討する商品・地域の範囲をいい,需要・供給の代替性等から画定する。
甲製品は固有の機能・効用を持ち代替品がなく,共通の公的規格の下で4社が国内に供給するため,我が国の甲製品製造販売市場を検討する。

(1)措置1

 X社がY社製品の積極的推奨を続ける販売店に不利益を示唆し,実際に不利益を与えることは,競争者に対する取引妨害(一般指定14項,独占禁止法2条9項6号ヘ)として,同法19条に違反しないか。

 同項は,方法を問わず競争者とその相手方との取引を不当に妨害することを禁ずる。
取引契約の直接の阻止に限らず,競争者の販売活動を支える販売店の推奨を抑制し,取引機会を減少させる行為も含む。
不当性は競争手段の不公正さも考慮し,主に競争者排除・市場閉鎖による自由競争減殺のおそれから判断する。
その程度は競争の実質的制限に達する前段階又はその危険性で足りる。

 X社とY社は甲製品の供給で競争する。
ユーザーが販売店の助言・推奨に従う傾向が強いから,推奨の抑制はY社と販売店との取引の縮小につながる。
X社のシェアは45%であり,そのブランド力と取扱いの不可欠性,販促・技術支援の重要性から,販売店は不利益を無視し難い。
現に推奨中止やY社製品の取扱断念が生じ,不利益の情報も流布している。
したがって,個別の示唆が他の販売店にも波及してY社の流通経路を狭め,自由競争を減殺するおそれがある。

 X社は自社製品の品質・価格による競争をしているのでなく,支援の削減をてこに低価格の競争者の販売を抑えている。
Y社製品も公的規格を満たすものであり,安全性を理由に推奨を抑える必要も認められない。
措置1は不当な取引妨害に当たり,19条に違反する。

(2)措置2

 専らX社製品を推奨する約束をリベートの条件とする措置2は,拘束条件付取引(一般指定12項,2条9項6号ニ)に当たるか。

 併売はなお認められ,競争者と取引しないこと自体を条件とするものではないため,一般指定11項より12項によるのが適切である。
拘束には契約上の義務に限らず,経済的不利益による実効的な制限も含む。

 リベートは甲製品の販売台数増加率に応じて累進し,家庭用電動器具全体の仕入額を基礎とするため,特約店は甲製品の推奨を変えると多額の利益を失い得る。
さらにモニタリング,指導,リベート不供与に加えて支援削減の通告があり,約束には実効性があり,個別的な牽制にとどまる措置1より制約が強い。
販売方法という特約店の事業活動を拘束する条件を付けた取引といえる。

 不当性は,競争者が代替的な取引先を容易に確保できず,取引機会が減少する市場閉鎖効果のおそれ等から判断する。
X社は有力で,販売店の推奨は需要獲得を左右するため,形式上併売が可能でも,専属推奨を履行すれば特約店は実質的な専売店に近づく。
X取扱店の約60%を占める特約店の約半数,すなわちX取扱店の約30%が約束し,しかも特約店は販売力・技術力を評価して選ばれているため,影響を店数だけで過小評価できない。
取扱店が限られるY社にとって,残る取引先の開拓が容易とはいえず,現に獲得への懸念が生じている。

 確かにリベート一般は販売促進に資する。
しかし,本件は増販だけでなく専属的推奨を要求し,家庭用電動器具全体の取引利益と支援まで結び付ける。
低価格の競争者を封じる目的に照らしても,通常の販売努力への対価として正当化できない。
市場閉鎖効果のおそれがあり,措置2も19条に違反する。

2 設問2

(1)措置1・2を組み合わせた行為は,排除型私的独占(2条5項)として3条前段に違反するか。

 一定の取引分野は設問1と同じ我が国の甲製品製造販売市場である。

(2)排除とは,自らの市場支配力の形成・維持・強化という観点から正常な競争手段を逸脱する人為性を有し,他の事業者の事業活動を著しく困難にするなどの効果を持つ行為をいう。

 措置1でY社の推奨を中止させ,措置2でX社だけの推奨を誘導・強制することは相互に補完する。
支援を失う不利益と全商品に及ぶ累進リベートの利益を用い,価格・品質の競争によらず販売店の選択を固定するもので,人為性がある。
約束した特約店は約70%,すなわちX取扱店の約42%に増加し,Y社だけでなくA社・B社の販売にもかなりの影響が出ているから,競争者の事業活動を著しく困難にする効果も認められる。
競争者の退出までは不要である。

(3)競争の実質的制限とは,価格等をある程度自由に左右できる市場支配的状態の形成・維持・強化をいう。
従来は価格競争が限定的だったが,低価格のY社の伸長でX社のシェアは漸減していた。
ところが令和2年4月以降の措置から約1年で,令和3年第1四半期のX社シェアは60%に転じた。
もっとも,この比率だけで直ちに認定するのではない。
推奨が需要を左右し,X社製品の取扱いが不可欠な市場で,Y社の推奨店が減り取扱店も増えず,A社・B社の販売も影響を受けている。
低価格のY社による価格引下げ圧力が抑制され,価格水準が従来のまま安定していることは,競争圧力の弱体化を裏付ける。
これらを総合すれば,X社の市場支配力が維持・強化されている。

 競争秩序に反し,これを覆す正当化事情もない。
よって,措置全体は排除型私的独占に該当し,3条前段に違反する。

以上

3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説

評価項目と答案の対応表

重み5・4及び条件付きの項目の参照箇所を示す。注意は誤った記述を避けるための項目であり,別構成の記載を一律に求めるものではない。
表に掲げない重み3以下の番号は,5・13・18・20・22・24・36である。対応する設問の答案と,以下の解説を併せて参照する。

評価項目と答案の対応(重み5・4及び条件付きの項目)
番号重み評価項目答案の該当箇所・留保
15設問1の各措置を19条,設問2の全体を3条へ対応させ,効果の強度を区別する。答案1・2(設問の区別)
24競争に影響する商品・地域の範囲を基準として,設問1の効果分析に先立って市場を画定する。答案1の冒頭
33機能・効用の固有性,代替品不存在,公的規格及び国内供給から国内甲製品製造販売市場を画定する。答案1の冒頭
44措置1について,取引条件等の差別取扱い・その他の取引拒絶・競争者に対する取引妨害等から事実に適合する類型を選び,独禁法19条へ接続する。他の類型を採る場合も固有の要件と本件事実を論証する。答案1(1)
64推奨抑制によるYと販売店との取引の妨害を,推奨と需要獲得のつながりから説明する。答案1(1)
7412項を選ぶ場合,拘束する相手方の範囲・具体的条件・実効性を示す。【条件:措置1に12項を採る場合のみ】答案1(1)。措置1に12項を採る場合の別構成。
8411項を選ぶ場合,Y推奨をしないことを取引しないことと同視する理由を示す。【条件:措置1に11項を採る場合のみ】答案1(1)。措置1に11項を採る場合の別構成。
94公正競争阻害性を排除・市場閉鎖による自由競争減殺と捉え,実質的制限の前段階又は危険性で足りると示す。答案1(1)
105不利益の現実化と情報流布から,個別の圧力が他の取引先へ広がる過程を説明する。答案1(1)
114Xの45%シェア・ブランド力・取扱不可欠性・支援の重要性を,圧力を無視できない理由へつなぐ。答案1(1)
124低価格Yの推奨中止・取扱断念から,競争者の販路縮小のおそれを導く。答案1(1)
144措置2を一般指定12項の拘束条件付取引として構成する場合は,専属的推奨の約束と取引条件との関係を示し,独禁法19条へ接続する。他の類型では採用類型の固有要件を説明する。答案1(2)
154併売下の専属的推奨と取引禁止の相違を,11項との識別に用いる。答案1(2)
164経済的不利益による実効性を拘束の基準とし,監視・指導・不供与・支援削減を当てはめる。答案1(2)
174増販率による累進性と全家庭用電動器具仕入額の計算基礎から,強い誘因を説明する。答案1(2)
194代替取引先を容易に確保できず競争者の取引機会が減少するおそれを市場閉鎖の基準として示す。答案1(2)
215推奨による需要選択の下で,専属推奨が実質的専売店化へつながる過程を説明する。答案1(2)
234Yの既存取扱店の限定性と新規獲得への懸念を代替流通確保の困難へ接続する。答案1(2)
25411項を選ぶ場合,専属推奨を競争者と取引しない条件と同視できる理由を示す。【条件:措置2に11項を採る場合のみ】答案1(2)。措置2に11項を採る場合の別構成。
264設問1の資料不足を無視して価格維持効果だけで違反を導かず,市場閉鎖を検討する。答案1(1)・(2)
274追加事情の下で措置全体を私的独占として検討し,19条だけで終わらない。答案2
284支配型を採る場合,支配の意義と程度を示し具体的事実を当てはめる。【条件:支配型を採る場合のみ】答案2。支配型私的独占を採る場合の別構成。
294排除型の私的独占を採る場合は,正常な競争手段を逸脱する人為性と,他の事業者の市場参入等を著しく困難にする効果を示す。支配型を採る場合は28の基準を用いる。答案2
304総合メーカーの地位と利益・不利益の組合せによる人為性を,単なる19条違反と同視せず説明する。答案2
314約束率70%への増加とY・A・Bへの影響を追加的排除効果の判断に組み込む。答案2
323設問1と同じ市場を一定の取引分野とし,商品・地域の画定を一貫させる。答案2
334競争の実質的制限を価格等をある程度自由に左右できる市場支配的状態の形成・維持・強化と示す。答案2
344Y参入前の限定的価格競争,Y伸長とX漸減,措置後の変化を期間も含めて比較する。答案2
35560%シェアだけでなく販路停滞・他社販売減少・価格維持から競争圧力低下と市場支配力を論証する。答案2
372採点実感が想定する類型と異なる構成でも,適用条文・行為要件・効果要件を具体的に論証しているかを検討し,想定類型と異なることだけで一律に排除しない。【条件:別構成の評価に言及する場合】第5の3(別構成の扱い)。第5の3(採用しない構成の解説)。採用しない構成の条件と許容幅。

(1) 答案と評価項目の対応

答案1の冒頭が番号2・3,措置1が番号4~13,措置2が番号14~26,答案2が番号27~36に対応する。
番号1は両設問に共通する。
番号7・8・25・28・37は,採らなかった構成の条件又は解説上の許容幅に関する項目である。

(2) 措置1の分類と競争への影響

措置1について,公式趣旨は一般指定4項・2項・14項を選択肢として示す。
本答案は14項を採り,Y社と販売店との取引を,推奨の抑制を通じて妨げる過程を説明する。
12項を採るなら,拘束対象となる相手方の範囲・条件内容・実効性の説明が必要であり,圧力の抽象的危険だけで販売店全般の拘束を認めるべきではない。

番号9・10は,自由競争減殺という語だけでなく,効果の程度と波及の道筋を書く点に意味がある。
取扱断念という結果だけを挙げるのでなく,Xの地位,支援の重要性,現実の不利益と情報流布,推奨による需要選択をつなぐ。

(3) 措置2の拘束と市場閉鎖

番号14~17では,リベートの不供与だけを独立の差別として見るのでなく,専属推奨の約束の実効確保手段として捉える。
競争者製品の取引自体は禁止されていないので,11項を採る場合には併売の事実を踏まえた追加論証が必要である。
全家庭用電動器具の仕入額を基礎にするリベートを,甲製品だけの対価の修正と直結させないことも必要となる。

番号19~23の要点は,形式上の併売と,推奨が実質的に閉じられる効果を区別することである。
推奨が需要を左右するため,約束の履行は特約店を実質的な専売店に近づけ,Y社の代替的取引先確保を難しくする。

問題文の約60%の分母はX社製品を扱う取引先販売店である。
これに約半数又は約70%を乗じた約30%・約42%は,その店数比を示す。
公式趣旨は「販売店全体の3割程度」「4割程度」と説明しているが,これを全市場の販売量の閉鎖率と読み替えることはできない。
店舗ごとの販売量や残存流通の能力は,店数比だけでは分からない。

(4) 設問2の追加事情と許容される構成

番号29~35では,人為性,排除効果,競争の実質的制限を区別する。
19条違反だから当然に排除型私的独占ともいえる,という推論では足りない。
Y参入前の限定的価格競争,低価格Yの成長,措置から約1年後の変化を比べ,推奨・販路・他社販売・価格圧力の変化から市場支配力を論証する。

採点実感は,支配型でも支配の意義・程度と当てはめが十分なら同等に評価したと述べる。
また,標準的類型を一部選べていなくても,行為・効果要件の論証が優れる答案を高く評価している。
番号28・37はこの許容幅を示すもので,排除型と支配型の双方を一つの答案で必ず完走せよという意味ではない。

(5) 答案の限界と扱わなかった事項

本答案は一つの構成を2500字以内にまとめた例である。
各措置について全ての不公正な取引方法を累積的に検討するものではない。
課徴金額,民事差止め・損害賠償の個別要件は設問の対象外なので論じていない。
公的規格の存在から各社製品の品質が完全に同一であるとは推論していない。

第6 関連記事

1 同じ年度の司法試験の別の模範解答

①令和3年度司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答と評価項目(AI作成)
②令和3年司法試験公法系第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した69項目と5段階の重み付け(AI作成)
③令和3年度司法試験論文式試験の選択科目8科目の模範解答と評価項目(AI作成)

同じ年度の入札談合を扱う答案は,令和3年司法試験経済法第1問の模範解答と評価項目(AI作成)を参照されたい。

2 同じ科目の別の年度の記事

3 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事

①司法試験の採点実感から学ぶ法律文書の書き方―準備書面・意見書・相談メモのチェックリスト(AI作成)

実務上の契約審査と証拠整理は,販売代理店の値引き・顧客切替えと独占禁止法(AI作成)及び競争者との取引を理由とする供給停止・取引妨害への対応(AI作成)で扱っている。
販売奨励金の税務は,販売奨励金・リベートと消費税(AI作成)を参照されたい。
これらの後年の実務記事は,令和3年当時の答案の法源や公式の採点基準を示すものではない。

第7 出典及び確認状態

1 公式資料

法務省・令和3年司法試験問題:PDF14・15頁,経済法第2問。
法務省・令和3年司法試験論文式試験出題の趣旨:PDF27頁の第2問見出しから30頁冒頭の継続文まで。
法務省・令和3年司法試験の採点実感・選択科目:PDF13頁の科目共通方針・第2問,16~19頁の第2問部分,19~20頁の科目共通末尾。
同じ冊子の第1問や他科目を,本問の評価内容の根拠としていない。

2 法令

独占禁止法・公正取引委員会の令和元年改正関連公表法文:2条5項・9項6号,3条及び19条。
不公正な取引方法・一般指定:2項・4項・11項・12項・14項(平成21年改正・平成22年施行の表示を確認)。
平成29年6月16日改正の流通・取引慣行指針・新旧対照:PDF10~12頁の改正後欄を参照した。

3 裁判例

最高裁平成27年4月28日第三小法廷判決(平成26年(行ヒ)第75号)・JASRAC事件(公取委公式データベース):理由3・4の原文で,排除の人為性と効果を確認した。
同判決は競争の実質的制限まで一括して認定したものではなく,本問への当てはめは独立に行った。
公式趣旨が挙げるNTT東日本事件・最高裁平成22年12月17日第二小法廷判決(平成21年(行ヒ)第348号,民集64巻8号2067頁)は,上記判決の引用先として確認した範囲にとどまり,原判決全文の独立確認済みとはしていない。

4 確認状態

公式資料の状態
資料状態確認範囲・留保
問題実読済み法務省公表の問題PDFの全頁を確認した。
出題の趣旨実読済み法務省公表の出題の趣旨PDFの全頁を確認した。出典欄は,原文の引用と記事による要約・細分化を区別して示す。
採点実感実読済み法務省公表の採点実感PDFの全頁を確認した。「当該細目としての個別の明示なし」は,関連する記述まで存在しないという意味ではない。

資料は,法務省公表の問題・出題の趣旨・採点実感による。
評価項目の区切りと重みは記事独自の整理であり,公式の採点項目・配点を示すものではない。
出典欄は原文の引用と関連記述の要約を区別し,条件付きの項目はその条件を満たす構成に適用する。

確認日は令和8年10月16日である。
問題文・対象の公式趣旨・採点実感・上記法令及び判決理由の確認と,答案の構成・事実評価・重み付けを区別した。
37項目の一覧は公式資料からの独自抽出であり,法務省の公式採点基準ではない。
判例秘書での検索,店舗別販売量や残存流通能力の定量評価は行っていない。
後発の法令・判例を令和3年当時の答案要求を変更する根拠として用いていない。