令和3年司法試験経済法第1問について,公式の出題の趣旨・採点実感から評価項目を独自に抽出した。
以下の重みは法務省の公式採点基準や配点ではない。
第1 この記事の対象と結論
対象は,令和3年司法試験の選択科目問題の経済法第1問である。
Y1~Y13及びY14について不当な取引制限を認め,Y15については基本合意参加時の違反成立と,その後の離脱を区別する。
評価項目は32項目である。
Y14の参加者認識と拘束の相互性,Y15の違反成立時期・離脱・従前の違反への効果が答案の中心となる。
第5では離脱を肯定する一貫した構成の答案を示すが,公式資料は離脱否定の結論も,理由を伴う場合には許容している。
第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方
一つの項目に一つの判定対象を置き,必須,高評価,負例,条件付きの許容分岐を区別する。
根拠欄はPDF実頁を示し,印刷頁も本件では同番号である。
「記載なし」は関連範囲を実読した結果であり,未閲覧という意味ではない。
負例のうち,カルテルの呼称だけで済ませない点は番号14,実施を成立要件としない点は番号23,離脱基準なく事実だけを並べない点は番号25,離脱から従前の違反不存在を導かない点は番号28の裏返しである。
これら4項目は,独立した公開行にせず各番号へまとめた。
番号27と29は採用構成に応じた条件付き項目で,全答案へ同時に要求するものではない。
2 5段階の重み付けの基準
①重み5:採点実感が評価の分かれ目とした事項,又は答案の骨格そのもの。
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も評価又は具体的な誤りの指摘を通じて取り上げた事項。
③重み3:どちらか一方が明示する中核の理由付け。
④重み2:一方が軽く触れる補強又は典型的な誤り。
⑤重み1:一方が控えめに触れるだけの事項。
本問の重み4は「両資料が取り上げた」という基準であり,全件を「高く評価した事項」と読み替えていない。
重み5は主張を要件・理由・時点別効果へつなぐ骨格に付した。
項目数や重み合計から公式得点,難易度又は合格可能性を推計することはできない。
第3 本問の概要
X県は県道復旧工事20件を条件付一般競争入札で発注し,価格80点・技術20点の総合評価で落札者を決める。
技術力の高いY1~Y13は,受注希望と技術点の予測値をY1に集め,同社が受注予定者・協力者と各社の価格を調整する基本合意をした。
Y14は参加者の正確な範囲を知らず,本件各工事の受注希望もないが,将来の協力を期待して参加し,1件で情報提供と協力入札をした。
Y15は一度参加を承諾した後,公告前にY1へ撤回を伝え,再勧誘を拒否し,独自の積算で1件を落札した。
Y1は撤回を他社へ伝えず,残る19件は調整どおりY1~Y13が落札した。
設問は各社の独占禁止法上の問題点を問い,Y14・Y15の主張への応答を求める。
課徴金の賦課及び犯則事件は検討対象から除外されている。
第4 評価項目と重み
1 Y1~Y13と共通の成立要件
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 定義規定2条6項と禁止規定3条後段をともに示す[必須] | 4 | 26頁・第1問(同法第3条に違反するか) | 14頁・第1問(双方を摘示していた) |
| 2 | Y1~Y15の土木工事事業を2条1項の事業者に当てはめる[必須] | 3 | 記載なし | 14頁・第1問(土木工事の施工等を業とする株式会社) |
| 3 | 独立した事業者相互の競争関係を,入札参加資格に即して示す[高評価] | 3 | 記載なし | 14頁・第1問(入札参加資格) |
| 4 | 共同性を意思の連絡と定義し,Y1~Y13の会合での明示合意に簡潔に当てはめる[必須] | 4 | 26頁・第1問(意思の連絡を意味する) | 14頁・第1問(簡潔に示している答案) |
| 5 | 相互拘束を,取決めを遵守し合う関係による事実上の競争行動の制約として定義する[必須] | 4 | 26頁・第1問(合意を遵守し合う関係) | 14頁・第1問(各社の事業活動が事実上拘束) |
| 6 | 受注対象・入札参加・価格決定をY1の調整に委ねる拘束をY1~Y13について示す[必須] | 4 | 26頁・第1問(いずれの要件も充足することは明らか) | 14頁・第1問(本件合意の成立によって) |
| 7 | 専ら競争制限を目的又は効果とする合意では,対象取引と影響範囲から市場を画定する[必須] | 4 | 27頁・第1問(共同行為が対象としている取引) | 14頁・第1問(それにより影響を受ける範囲) |
| 8 | 市場をX県が条件付一般競争入札により発注する本件20工事の取引分野に特定する[必須] | 4 | 27頁・第1問(本件各工事の取引分野) | 14頁・第1問(正確に指摘できた答案) |
| 9 | 競争の実質的制限を,落札者及び落札価格をある程度自由に左右できる状態と定義する[必須] | 4 | 27頁・第1問(落札者及び落札価格) | 15頁・第1問(落札者及び落札価格) |
| 10 | 価格80点・技術20点のため技術力も落札を左右することを認識する[高評価] | 4 | 27頁・第1問(技術評価点によっては落札者が変わり得る) | 15頁・第1問(技術評価点によって落札者が変わり得る) |
| 11 | 工事ごとの技術評価点予測値を織り込む各社価格調整が,総合評価方式でも機能する理由を示す[高評価] | 4 | 27頁・第1問(個別物件ごとに技術評価点の予測値) | 15頁・第1問(個別物件ごとに技術評価点の予測値) |
| 12 | 合意参加者の技術力の高さを競争制限効果の根拠にする[必須] | 4 | 27頁・第1問(本件合意の参加者が技術力の高い事業者) | 15頁・第1問(本件合意の参加者が技術力の高い事業者) |
| 13 | 非参加の数社の技術力とY15の能力・人員の限界を外部競争圧力として評価する[必須] | 4 | 27頁・第1問(技術力が高くない数社) | 15頁・第1問(その余の事情) |
| 14 | 19件の調整どおりの落札を,他の事情と併せて基本合意の実効性の証拠とし,カルテルの呼称だけで済ませない[必須] | 4 | 27頁・第1問(20件中19件の工事) | 15頁・第1問(ハードコア・カルテル) |
| 15 | 公共の利益への反対を,価格低落防止・受注機会均等化という具体的目的に即して説明する[必須] | 4 | 27頁・第1問(受注価格の低落防止及) | 15頁・第1問(本件合意の目的の正当性) |
2 Y14の二つの主張
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 16 | Y14の参加者範囲の不知を認識の程度の問題と特定し,正確な特定を不要とする基準を置く[必須] | 5 | 26頁・第1問(どの程度認識していれば) | 15頁・第1問(参加者の範囲に関する認識) |
| 17 | 概括的認識で足りる理由を,市場の競争制限効果を認識できることに結び付けて論証する[高評価] | 5 | 26頁・第1問(理由を示すこともなく) | 15頁・第1問(競争を実質的に制限する効果) |
| 18 | 有力業者の多くが参加する旨を聞いたY14が,必要な概括的認識を持つと評価する[必須] | 4 | 26頁・第1問(有力な業者の多く) | 15頁・第1問(有力な業者の多く) |
| 19 | Y14の無受注希望・無落札の主張を,相互拘束の不存在の主張と位置付ける[必須] | 5 | 26頁・第1問(相互拘束の不存在を主張するもの) | 15頁・第1問(相互拘束の不存在を主張するもの) |
| 20 | 拘束の相互性の採用解釈を明示し,受注利益の相互性と取決めによる事実上の拘束を区別する[必須] | 5 | 26頁・第1問(拘束の相互性や共通性) | 15頁・第1問(それぞれの立場に基づいて) |
| 21 | Y14の追加工事での協力期待と,予測値提供・指定価格入札を採用した相互拘束の定義に当てはめる[必須] | 4 | 26頁・第1問(設例の事実関係を当てはめ) | 15頁・第1問(説得的な当てはめ) |
3 Y15の成立時期と離脱
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 22 | Y15が合意内容と参加者の説明を受けて会社として応諾し,当初合意に加入したことを示す[必須] | 4 | 26頁・第1問(いったん応じた) | 16頁・第1問(呼び掛けに応じる意思を表明した時点) |
| 23 | 競争制限的な基本合意自体で違反が成立し,個別調整や入札実施を待たない理由を示す[必須] | 5 | 27頁・第1問(その実施等がなくとも) | 16頁・第1問(基本合意の成立時点で違反が成立する) |
| 24 | Y15は応諾時点で違反が成立しており,公告前撤回を当初からの不成立としない[必須] | 5 | 26頁・第1問(いつの段階で違反が成立するのか) | 16頁・第1問(公告前に参加しない旨表明したこと) |
| 25 | 離脱には内心の決意を超える事情を要するとし,採用する外部的基準を定立する[必須] | 5 | 27頁・第1問(自らの内心において離脱を決意した) | 16頁・第1問(外部的徴表) |
| 26 | Y1の調整役・加入窓口としての地位,明示撤回・再勧誘拒否,他社への不伝達及び独立入札を評価して離脱を論証する[必須] | 5 | 27頁・第1問(Y1が調整役であり個別調整の取りまとめ役) | 16頁・第1問(Y1を通じて本件合意に参加したという経緯) |
| 27 | 離脱否定説を採る場合は,他社に協調期待が残ることを基準に即して評価し,理由のある反対結論を許容する[許容分岐](離脱否定説を採る答案。肯定説の答案には累積要求しない) | 3 | 27頁・第1問(複数の立場があり得る) | 16頁・第1問(いずれの結論であっても) |
| 28 | 離脱により以後の継続を否定しても,既に成立した違反が遡って消滅しないことを明示する[必須] | 5 | 26頁・第1問(基本合意により違反が成立すると考えるならば) | 16頁・第1問(違反の成立を否定している答案など) |
| 29 | 全参加者への明示通知を必要とする説を採る場合は,Y14の参加者認識の解釈と整合させる[許容分岐](全参加者への明示通知必要説を採る場合だけ) | 3 | 27頁・第1問(整合性に留意する必要) | 記載なし |
4 検討範囲と論述上の注意
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 30 | 明示合意があるY1~Y13について,黙示合意推認の長い一般論に分量を使わない[負例] | 2 | 26頁・第1問(簡潔に解答すれば足りる) | 14頁・第1問(意味のないと考えられる黙示の合意の推認) |
| 31 | Y14の参加者範囲の認識を,順次又は黙示の意思連絡だけの議論に置き換えない[負例] | 2 | 26頁・第1問(順次の意思連絡) | 15頁・第1問(順次の意思連絡や黙示の意思連絡) |
| 32 | 課徴金の賦課・Y1の主導的事業者該当性・犯則事件を論じない[負例] | 2 | 27頁・第1問(課徴金の賦課及び犯則事件について論じる必要はない) | 記載なし |
5 重みの分布
重み5は9項目,4は16項目,3は4項目,2は3項目,1は0項目である。
総数N=32,重み合計W=127である。
重み5は,番号16・17の認識の程度とその理由,19・20の相互拘束の位置付けと定義,23・24の基本合意による違反成立時期,25・26の離脱基準と当てはめ,28の離脱の非遡及効果である。
これらは,Y14・Y15の主張に正面から答えるための骨格である。
第5 模範解答
1 答案の前提と表記
基準時は選択科目の試験日である令和3年5月12日とする。
答案は改行を除いて2169字であり,1問2500字以内である。
Y15の離脱を肯定する構成を採る。
判決原文を未確認の裁判例を「判例同旨」として答案に引用していない。
2 答案
1 Y1ないしY13の行為
(1)Y1ないしY15は,土木工事の施工等を業とする独立の株式会社であり,事業者(独占禁止法2条1項)に当たる。
いずれも本件工事の入札参加資格を満たしており,競争関係にある。
本件合意が不当な取引制限(2条6項)として3条後段に違反しないか。
「共同して」とは,事業者相互に意思の連絡があることをいう。
Y1ないしY13は会合で本件合意をしたから,これを満たす。
「相互にその事業活動を拘束し」とは,本来自由な各社の競争行動が,共通の取決めを遵守し合う関係により事実上制約されることをいう。
本件合意は,受注希望と技術評価点の予測値をY1に集約し,同社が受注予定者,その他の入札参加者及び各社の入札価格を決め,各社がこれに従って協力する内容である。
各社が自主的に決めるべき受注対象・価格の決定を制約するため,相互拘束が認められる。
(2)「一定の取引分野」は競争の行われる市場である。
専ら競争制限を目的又は効果とする合意では,その対象取引と影響の及ぶ範囲によって画定する。
本件では,同日に公告・入札され,合意により受注が配分される「X県が条件付一般競争入札により発注する本件復旧工事20件の取引分野」である。
「競争を実質的に制限する」とは,市場の競争機能を損なうことであり,入札談合では,事業者集団がその意思で落札者及び落札価格をある程度自由に左右できる状態をもたらすことをいう。
本件は価格評価点80点と技術評価点20点の総合評価方式であり,技術力次第では落札者が変わる。
しかし,合意参加者は技術力の高い事業者であり,個別工事の技術評価点の予測値を踏まえて各社の入札価格まで算出するから,技術評価を織り込んだ落札調整が可能である。
合意外の数社は技術力が高くなく,落札もない。
Y15は独自に1件を落札したが,技術力・確保できる作業員数の見込みから,大きな競争圧力とはならない。
実際にも19件が調整どおり受注された。
全件の落札支配は必要なく,参加者の能力,外部競争者の弱さ,調整の仕組み及び落札結果を併せて,競争の実質的制限を認める。
(3)本件合意は価格低落防止と受注機会の均等化を図るために競争を回避するもので,自由競争経済秩序に反し,公共の利益に反する。
業者間の受注配分の利益は正当化事由にならない。
よってY1ないしY13の行為は3条後段に違反する。
2 Y14の行為
(1)参加者の正確な範囲を知らないとの主張は,「共同して」の要件に関わる。
参加者を具体的・明確に特定する認識までは不要で,競争制限をもたらす協調関係について概括的に認識していれば足りる。
市場の競争を回避する取決めに従う意思を共有できれば,各参加者の名称等を把握していなくても競争制限の危険は変わらないからである。
Y14は合意内容の説明を受け,「X県所在の有力な業者の多く」が参加することを知り,応諾した。
有力な競争者の相当部分が受注調整に従う関係を認識できるため,意思の連絡は認められる。
問題は認識の程度であり,順次又は黙示の意思連絡の一般論だけでは答えにならない。
(2)受注希望も落札実績もないとの主張は,相互拘束の不存在をいうものと解する。
拘束の相互性を厳格に捉え,自社の受注のため他社が拘束される関係がないと評価する余地はある。
しかし,相互拘束は各社に同時・同額の受注利益があることを要せず,共通の調整を遵守し合う関係による事実上の競争行動の制約があれば足りる。
Y14は,将来の追加工事での協力を期待して応諾し,現に1件について技術評価点の予測値を提供し,指定価格で協力入札した。
自社が受注予定者にならなくても,他社と共に受注調整の取決めに服し,自主的な入札を制約されている。
よって相互拘束も認められ,Y14の行為は3条後段に違反する。
3 Y15の行為
(1)まず,違反の成立時期を検討する。
競争を実質的に制限する内容の基本合意が成立すれば,その時点で違反は成立し,個別調整や入札の実施までは要しない。
競争者が独立して行動する状態は,拘束力のある基本合意自体により失われるからである。
Y15は合意内容と参加者の説明を受け,自社が受注予定者となる可能性も示されて,会社として応諾した。
その時点で本件合意に参加して違反が成立しており,入札公告前の撤回だけで当初から違反がなかったとはいえない。
(2)次に離脱が認められるか。
離脱には内心の翻意だけでは足りず,協調関係を解消して自主的な競争に復帰したことを外部から認識できる事情を要する。
本件のように調整が一元化されているときは,取決めの運用を担う調整役への明確な撤回によって協調関係を解消できると解する。
確かにY1は撤回を他社に伝えず,他社には協調の期待が残る。
しかし,Y15は加入の窓口でもあったY1に公告前に明示的に撤回し,再勧誘も明確に拒絶した。
受注・価格調整の中心であるY1は,その不参加と競争力を認識した上で調整を継続した。
Y15も独自の積算で入札して1件を落札している。
単に談合を出し抜いただけでなく,一元的な調整関係から離れて競争に復帰したと認められる。
したがって離脱を肯定し,以後の違反の継続を否定する。
ただし,離脱前に成立した違反は消滅せず,違反が一切成立しないという主張は認められない。
以上
3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説
(1) 答案と評価項目の対応
答案1(1)は番号1~6,1(2)は7~14,1(3)は15に対応する。
答案2(1)は16~18,2(2)は19~21,答案3(1)は22~24,3(2)は25・26・28に対応する。
番号30・31の過剰記載を抑え,番号32の除外を守っている。
(2) 参加者の範囲に関する認識
Y14が誰と直接連絡したかという経路の問題と,参加者の範囲をどの程度知る必要があるかという程度の問題を分ける必要がある。
有力な競争者の多くが協調することを認識すれば,競争制限をもたらす関係を認識できるという理由を示す。
公式資料は元詰種子事件の判示を参考に挙げるが,判決の結論を記すだけでは足りないとしている。
(3) 相互拘束と無受注の協力者
受注利益を実際に得たかという点と,共通の取決めに従って自由な競争行動を制約されたかという点は一致しない。
採用した事実上の拘束という基準に,将来の協力期待,技術点の予測値提供,指定価格による入札を結び付ける。
拘束の相互性を厳格に捉える別構成を採る場合も,その定義と事実評価を一貫させる必要がある。
(4) 基本合意と離脱の二段階
本答案は基本合意への参加時に違反が成立するとするため,公告前の撤回というだけで違反全体を否定しない。
離脱は,既に成立した違反の継続をいつまで認めるかという別の問題である。
番号27の分岐として,他の参加者に協調期待が残り,Y1への撤回だけでは離脱を外から認識できないとして,離脱を否定する構成もあり得る。
公式採点実感16頁は,肯否のどちらも事実を踏まえた説得的な論述があれば評価するとしている。
番号29のように全員への明示通知を求める場合は,参加時の認識を概括的で足りるとする解釈との整合性を説明する。
(5) 答案の弱点と扱わなかった事項
本答案の離脱肯定は,一元的な調整の中心であるY1に明確な撤回を伝えたことを重視する評価であり,全てのカルテルで一人への通知で足りるという一般命題ではない。
課徴金及びY1の主導的事業者該当性,犯則事件,損害賠償請求の成否は論じていない。
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後年の関連実務記事は,令和3年の答案を作るための当時法源には用いていない。
第7 出典及び確認状態
1 公式資料
①令和3年司法試験・選択科目問題:経済法表紙11頁,第1問12~13頁。
②令和3年論文式試験問題出題の趣旨:経済法第1問26~27頁。
③令和3年司法試験の採点実感・選択科目:経済法総論,第1問の記載,評価区分及び関連末尾。PDF13~16・18~20頁の該当部分。
2 法令
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律・公正取引委員会掲載の2条1項・6項及び3条を中心とする。
現在の掲載法文と,当時の判決が示す適用条文・要件を区別して確認した。
令和3年5月12日施行版の統合法令全体を取得・照合したものではない。
3 裁判例
①東芝ケミカル事件・東京高裁平成7年9月25日判決(平成6年(行ケ)第144号)(裁判所HP未掲載。公正取引委員会の審決等データベースの判決本文による):裁判所判断第四・三・2の意思の連絡。
②多摩談合(新井組ほか)事件・最高裁平成24年2月20日第一小法廷判決(平成22年(行ヒ)第278号):理由の相互拘束・共同性・落札者及び価格の支配。
出題の趣旨が参考に挙げる元詰種子事件(東京高裁平成20年4月4日判決・平成18年(行ケ)第18号等),岡崎管工事件(東京高裁平成15年3月7日判決。裁判所HP未掲載),石油価格カルテル事件(最高裁昭和59年2月24日第二小法廷判決・昭和55年(あ)第2153号,刑集38巻4号1287頁)の紹介は,法務省公式資料の記述に基づく。
これら3判決の原文を独立に確認したものとは区別する。
4 確認状態
問題文と上記公式資料の対象箇所を読み,評価項目の引用文字列を抽出テキストへ照合した。
評価項目の原子化,重み及び本答案の事実評価は独自の分析であり,法務省の見解そのものではない。
公式資料が許容する他構成を,唯一の誤答として排除していない。