令和3年司法試験の国際関係法(私法系)第1問について,婚姻無効・重婚・嫡出性・領事婚の問題を検討する。
評価項目と重みは公式資料から独自に整理したものであり,法務省の公式採点基準・項目別配点ではない。
第1 この記事の対象と結論
本記事は,令和3年司法試験の論文式選択科目・国際関係法(私法系)第1問を対象とする。
問題PDFの実頁42,出題の趣旨の実頁41〜42及び採点実感の本問関連部分を用いた。
評価項目は33項目,重み合計は126である。
重み5は7項目で,番号2・4・6・9・19・21・29がこれに当たる。
答案では,日本の国際裁判管轄を認め,甲国法と日本法の婚姻成立要件及び瑕疵効果を調整して婚姻無効を認める。
無効婚から出生したDの嫡出身分は別の単位法律関係として保護し,設問2の領事婚は日本の届出方式を満たさないため不成立とする。
第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方
一項目につき一つの判定対象を置き,公式資料の内容を答案で確認できる基準に言い換えた。
必須・高評価・負例・許容分岐は重みと別の分類であり,条件付きの別構成を全答案の累積要求にはしない。
出典欄の頁は各PDFの実頁である。
「記載なし」は本問関連範囲を読んだ結果であり,「間接」は関連記述からの推論を含むことを示す。
実質的成立要件・方式・効力を区別すべきとの全体指摘は,番号6・26の具体的な性質決定へ対応させ,二重に数えていない。
2 5段階の重み付けの基準
本問では,重み4について「出題の趣旨が検討を求め,採点実感も評価又は具体的な誤りの指摘を通じて取り上げた事項」という基準を用いる。
「高く評価した」と明記された場合だけに限定する基準ではない。
| 重み | 判断基準 |
|---|---|
| 5 | 採点実感が評価の分かれ目とした事項,又は答案の骨格そのもの |
| 4 | 出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた事項 |
| 3 | どちらか一方が明示する中核の理由付け |
| 2 | 一方が軽く触れる補強又は典型的な誤り |
| 1 | 一方が控えめに触れる事項 |
第3 本問の概要
Aは甲国でBと有効に婚姻した後,2011年から日本に居住している。
日甲重国籍のCは出生以来日本に居住し,ACは2016年に日本で婚姻届を提出した。
Aは前婚を隠すため偽造書類を用い,2017年にDが出生した。
設問1は,Bが2021年に提起したAC婚姻の無効訴訟について,管轄・準拠法と瑕疵効果・Dの嫡出性を問う。
設問2は独立した事実関係であり,ABが2015年2月に適法に離婚し,1年後に日本国籍を選択したCと日本駐在の甲国領事の面前で婚姻した場合の方式を問う。
全問で反致は検討対象外であり,設問2では前婚の離婚の有効性及び実質的成立要件の充足を争わない。
第4 評価項目と重み
1 設問1小問1――国際裁判管轄
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 婚姻無効の訴えを人訴法2条1号の人事訴訟と位置付ける[必須] | 4 | 41頁・1小1(人事訴訟に該当) | 43頁・3⑴ 1小1(本件訴えは人事訴訟に該当) |
| 2 | 第三者Bの訴えはAC双方を被告とするため人訴法3条の2第2号によると示す(第1号を用いない)[必須] | 5 | 41頁・1小1(身分関係の当) | 43頁・3⑴ 1小1(第1号の規定を適用する) |
| 3 | 当事者の一方又は双方の日本国内の住所が第2号の管轄原因であると示す[必須] | 4 | 41頁・1小1(その一方又は双方の住所が日本国内にあると) | 43頁・3⑴ 1小1(その一方又は双方の住所が日本国内にあるとき) |
| 4 | 日本での継続居住と婚姻生活から生活の本拠である住所を認定し,単なる居所を理由にしない[高評価] | 5 | 41頁・1小1(AC双方の住所は日本国内にあ) | 43頁・3⑴ 1小1(住所と居所の違い) |
| 5 | 人訴法3条の5の特別の事情による却下の要否を事実に即して判断する[必須] | 3 | 41頁・1小1(特別の事情) | 記載なし |
2 設問1小問2――婚姻の無効・取消し
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 6 | 無効・取消しは成立と表裏一体であり,実質的成立要件の欠缺を婚姻成立の問題と性質決定する(25条の身分的効力と混同しない)[必須] | 5 | 41頁・1小2(婚姻の成立と表裏一体) | 44頁・3⑴ 1小2(身分的効力の問題と性質決) |
| 7 | 通則法24条1項を挙げ,各当事者の本国法を配分的に適用すると説明する[必須] | 4 | 41頁・1小2(配分的適用と呼ばれる適用方法) | 44頁・3⑴ 1小2(配分的適用のもとで) |
| 8 | Aの本国法を甲国法と特定する[必須] | 3 | 41頁・1小2(Aの本国法は甲国法) | 記載なし |
| 9 | 日甲重国籍のCについて通則法38条1項ただし書により日本法を本国法とする[必須] | 5 | 41頁・1小2(通則) | 44頁・3⑴ 1小2(通則法第38条第1項ただし書) |
| 10 | 重婚禁止を一方的要件とするか双方的要件とするか,理由を示して論ずる[必須] | 4 | 41頁・1小2(理由を示した上で) | 44頁・3⑴ 1小2(双方的要件であ) |
| 11 | 国際私法の次元で重婚禁止を双方的要件とする構成を採る場合,その判断の層を明らかにする[許容分岐](国際私法の次元で双方性を判断する構成を採る場合) | 3 | 41頁・1小2(国際私法の次元で行い) | 記載なし |
| 12 | 準拠実質法の解釈に委ねる構成を採る場合,国際私法上の事前分類をせず与えられた甲国法内容を解釈する[許容分岐](準拠実質法の解釈に委ねる代替構成を採る場合(本答案では不採用)) | 3 | 41頁・1小2(準拠実質法の解釈問題) | 記載なし |
| 13 | Aの本国法である甲国法の重婚禁止を相手方Cも満たす必要があると説明する[必須] | 4 | 41頁・1小2(その相手方であるCも充足する必要) | 間接・44頁・3⑴ 1小2(各当事者の本国法の適用関係) |
| 14 | Cの本国法である日本法の重婚禁止を相手方Aも満たす必要があると説明する[必須] | 4 | 41頁・1小2(その相手方であるAも充足する必要) | 間接・44頁・3⑴ 1小2(各当事者の本国法の適用関係) |
| 15 | 前婚の有効存続及び甲国法の禁止内容を用いて,両本国法上の成立要件の欠缺を示す[必須] | 4 | 41頁・1小2(実質的成立要件が共に充足されず) | 44頁・3⑴ 1小2(実質的成立要件が充足されていない婚姻) |
| 16 | 甲国法②による瑕疵の効果は無効であると特定する[必須] | 3 | 41頁・1小2(その効果が無効と取消しで異なっている) | 間接・44頁・3⑴ 1小2(無効と取消しとい) |
| 17 | 日本法上の重婚は取消事由であると正しく特定する[必須] | 4 | 41頁・1小2(無効と取消しで異なっている) | 44頁・3⑴ 1小2(日本法上,重婚が取消事由) |
| 18 | 無効と取消しを区別し,取消しを初めから当然無効と同一視しない[必須] | 4 | 41頁・1小2(異なる効果を定める場合) | 44頁・3⑴ 1小2(婚姻の無効と取消しの違い) |
| 19 | 両準拠法の異なる瑕疵効果を通則法24条1項の趣旨から調整し,理由を伴って請求の成否へ至る[必須] | 5 | 41頁・1小2(通則法第24条第1項の趣旨にのっとった) | 44頁・3⑴ 1小2(これをいかに処理するか) |
| 20 | Cの本国法の指定で38条1項本文の常居所等を不要に長く検討しない[負例] | 2 | 記載なし | 44頁・3⑴ 1小2(同項本文の規定に基づく検討は不要) |
3 設問1小問3――無効婚の子の嫡出性
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 21 | 無効婚から出生した子の法的地位を嫡出親子関係の成立と性質決定し,25条又は32条へ無理由に送らない[必須] | 5 | 41頁・1小3(嫡出親子関係の成立の問題と性質決定) | 44頁・3⑴ 1小3(嫡出親子関係の成立の問題と性質決定) |
| 22 | 通則法28条1項の適用又は準用・類推適用を採り,無効婚の子にも用いる理由を示す[許容分岐](28条1項の適用又は準用説を採る場合。両方式の併記は不要) | 3 | 41頁・1小3(通則法第28条適用説又は準用説) | 44頁・3⑴ 1小3(類推適用) |
| 23 | 子の嫡出身分取得を容易にする選択的連結の趣旨を示す[必須] | 3 | 42頁・1小3(選択的連結の趣旨) | 記載なし |
| 24 | Dの出生時である2017年の父又は母の本国法の一方によることを示す[必須] | 4 | 間接・41頁・1小3(通則) | 間接・44頁・3⑴ 1小3(通則法第28条第1項) |
| 25 | Aの甲国法③の確定前出生要件をDの2017年出生に当てはめ,無効確定後も嫡出とする[必須] | 4 | 間接・42頁・1小3(解釈・適用を行い,結論) | 間接・44頁・3⑴ 1小3(Dが嫡出である子として扱われるか) |
4 設問2――日本での領事婚の方式
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 26 | 実質的成立要件の充足を前提として婚姻の方式の問題と性質決定する[必須] | 4 | 42頁・2(婚姻の方式) | 44頁・3⑴ 2(婚姻の方式の準拠法) |
| 27 | 日本駐在の甲国領事の面前での挙行地を日本と認定する[必須] | 4 | 42頁・2(での領事婚) | 44頁・3⑴ 2(婚姻挙行地を日本ではなく甲国) |
| 28 | Cが日本国籍を選択した日本人であることを日本人条項へ結び付ける[必須] | 3 | 42頁・2(日本国籍を選択しており) | 間接・44頁・3⑴ 2(当事者の一方が日本人) |
| 29 | 通則法24条3項ただし書を適用し,同項本文による本国法方式の選択を排除する[必須] | 5 | 42頁・2(同項本文) | 44頁・3⑴ 2(同項本文の規定の適用が排除) |
| 30 | 日本人条項の趣旨に即して日本の届出方式を確保する理由を説明する[高評価] | 3 | 42頁・2(規定の趣旨に沿った解釈・適用) | 記載なし |
| 31 | 通則法24条2項に基づいて婚姻挙行地法である日本法を指定する[必須] | 4 | 42頁・2(同条第2項の規定に基づき) | 44頁・3⑴ 2(同条第2項の規定に基づき) |
| 32 | 日本法の戸籍届出方式に甲国法の領事婚は適合しないと当てはめ,不成立へ至る[必須] | 4 | 42頁・2(戸籍法に基づく婚姻の届出) | 間接・44頁・3⑴ 2(有効とする答案) |
| 33 | 日本人条項が明らかに起動する場面で24条3項本文を不要に長く論じない[負例] | 2 | 記載なし | 45頁・3⑴ 2(第24条第3項本文につ) |
5 重みの分布
重み1が0項目,重み2が2項目,重み3が9項目,重み4が15項目,重み5が7項目である。
総項目数N=33,重み合計W=126となる。
重み5の項目は次のとおりである。
番号2:第三者Bの訴えはAC双方を被告とするため人訴法3条の2第2号によると示す(第1号を用いない)
番号4:日本での継続居住と婚姻生活から生活の本拠である住所を認定し,単なる居所を理由にしない
番号6:無効・取消しは成立と表裏一体であり,実質的成立要件の欠缺を婚姻成立の問題と性質決定する(25条の身分的効力と混同しない)
番号9:日甲重国籍のCについて通則法38条1項ただし書により日本法を本国法とする
番号19:両準拠法の異なる瑕疵効果を通則法24条1項の趣旨から調整し,理由を伴って請求の成否へ至る
番号21:無効婚から出生した子の法的地位を嫡出親子関係の成立と性質決定し,25条又は32条へ無理由に送らない
番号29:通則法24条3項ただし書を適用し,同項本文による本国法方式の選択を排除する
重み合計は,各項目の1〜5を単純に加えた記事独自の指標である。
項目数や重み合計から難易度,公式得点又は合格可能性を推測することはできない。
第5 模範解答
1 答案の前提と表記
2021年5月12日の試験当時の法令を基準とする。
答案は改行を除いて1782字で,選択科目1問当たり2500字以内である。
通則法とは法の適用に関する通則法を指し,甲国法の内容は問題文の仮定による。
重婚禁止は国際私法の次元で双方的要件と捉え,無効婚の子には28条1項を適用する構成を採った。
異なる見解を一律に誤答とする趣旨ではなく,採用する構成の理由・当てはめ・効果を一貫させる必要がある。
2 答案
1 設問1小問1
本件訴えは,婚姻無効の訴えであり,人事訴訟に該当する(人事訴訟法2条1号)。
その国際裁判管轄は同法3条の2によって判断する。
BはAC間の婚姻の当事者ではないから,AC双方が被告となる(同法12条2項)。
そこで,身分関係の当事者双方に対する訴えにつき,その一方又は双方の住所が日本国内にある場合を定める同法3条の2第2号が問題となる。
Aは2011年以来,Cは出生以来日本に居住し,両者は2016年以降日本で婚姻生活を営んでいる。
生活の本拠である住所が双方とも日本にあると認められ,同号の管轄原因を満たす。
単に居所があることを理由にするものではない。
また,Bが甲国にいるとしても,後婚の当事者の生活の本拠,婚姻届に関する証拠及び未成年のDの生活は日本に結び付く。
被告らの応訴負担も重くなく,当事者間の衡平又は適正・迅速な審理を妨げる特別の事情は認められない(同法3条の5)。
よって,日本の国際裁判管轄権が認められる。
2 設問1小問2
(1)婚姻の無効・取消しは,婚姻成立要件の欠缺の効果であり,成立と表裏一体にある。
重婚禁止という実質的成立要件の欠缺は,法の適用に関する通則法24条1項の「婚姻の成立」の問題と性質決定する。
同項は各当事者についてその本国法を適用する配分的適用を定める。
Aの本国法は甲国法である。
Cは日甲の重国籍者であるが,通則法38条1項ただし書により日本法が本国法となる。
国籍未選択でも同じであり,同項本文の常居所等を検討する必要はない。
(2)重婚禁止は,一方の個人的資格だけでなく,当事者間に形成する婚姻関係が既存婚姻と両立するかを規律する。
そのため,国際私法上双方的要件と解し,各当事者の本国法の重婚禁止を相手方も満たすことを要すると解する。
Aに適用される甲国法の要件はCも満たす必要があるところ,Cは既婚のAと婚姻しており,問題文が与える甲国法の禁止に抵触する。
Cに適用される日本法の要件はAも満たす必要があるところ,Aは有効なAB婚姻の配偶者を有し,民法732条に抵触する。
したがって,双方の本国法上の実質的成立要件が充足されていない。
(3)この瑕疵の効果も,違反した成立要件の準拠法による。
甲国法②は無効,日本法は取消しを定める(民法744条)。
取消しは取り消されるまでは有効で,取消しも将来に向かって効力を生ずる(同法748条1項)から,両者は同じ効果ではない。
通則法24条1項は双方の本国法の成立要件を満たすことを求めている。
一方の法による無効を,他方の法が取消しにとどめることによって有効に転化させることは,その趣旨に沿わない。
そこで,より厳格な無効の効果を認める。
AC婚姻は甲国法により無効となり,Bの無効請求は認められる。
3 設問1小問3
婚姻が無効となった後のDの嫡出身分は,夫婦間の身分的効力ではなく,嫡出親子関係の成立の問題である。
婚姻無効によって子の身分を当然に失わせず,子の保護を図るべきことから,婚姻の外形のある本件にも通則法28条1項を適用する。
同項は子の嫡出身分の取得に有利な選択的連結を採り,出生時における夫婦の一方の本国法によって嫡出となれば足りる。
Dの出生時である2017年のAの本国法は甲国法であり,甲国法③は婚姻無効判決確定前に出生した子を嫡出とみなす。
Dは2021年の提訴以前に出生しており,この条件を満たす。
よって,AC婚姻の無効判決が確定しても,Dは嫡出である子として扱われる。
4 設問2
実質的成立要件の充足は前提であり,領事面前の挙行による婚姻の方式が問題となる。
通則法24条2項は婚姻挙行地法によることを原則とし,同条3項本文は婚姻の成立を容易にするため,一方当事者の本国法に適合する方式も認める。
しかし,同項ただし書は,日本で日本人が婚姻する場合,日本の届出方式を確保するため,この選択を認めない。
甲国領事の面前での挙行も,日本における挙行である。
Cは日本国籍を選択した日本人であり,同項ただし書に当たる。
したがって,同項本文の適用は排除され,同条2項により日本法が準拠法となる。
日本法上,婚姻は戸籍法に基づく届出によって効力を生ずる(民法739条1項)。
甲国法に従った領事婚はこの方式を満たさない。
よって,本件婚姻は日本において有効に成立しない。
以上
3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説
(1) 答案と評価項目の対応
答案1は番号1〜5,答案2は番号6〜20,答案3は番号21〜25,答案4は番号26〜33に対応する。
番号12の準拠実質法説は枠内答案では採用しておらず,次項で許容される別構成として説明する。
(2) 双方的要件と瑕疵効果を分ける
番号10・11・13・14では,「双方的」という名称だけで止めず,Aの甲国法の要件をCにも,Cの日本法の要件をAにも及ぼす方向を明示する。
公式趣旨は,この判断を準拠実質法の解釈に委ねる有力な構成も示している(番号12)。
その構成なら,甲国法が未婚の甲国人と既婚者との婚姻も禁じるという与件を解釈・適用し,採用した立場のまま効果まで導く。
番号17〜19では,日本法の重婚を無効とせず取消しと捉え,無効との効果の違いを認識した上で調整する。
本答案は,双方の成立要件充足を要求する24条1項の趣旨から,より厳格な無効の効果を採用した。
(3) 婚姻の無効と子の身分を直結させない
番号21〜25では,夫婦の婚姻の無効と子の嫡出親子関係を別の単位法律関係とする。
28条1項の選択的連結と出生時の父母の本国法を用い,問題文の甲国法③をDの出生時期へ具体的に当てはめる。
子自身の本国法や25条・32条へ,理由なく置き換えることはできない。
(4) 日本人条項から方式の結論まで閉じる
番号27・29・31・32では,日本に駐在する領事の面前という事実から日本挙行を認め,日本人Cがいるため本国法方式の選択を排除する。
日本法を指定しただけで終わらず,戸籍届出という方式を領事婚が満たさないことまで示す。
3項本文の一般論を長く述べるより,ただし書の起動と2項への帰着を明確にする。
(5) 答案の弱点と扱わなかった事項
本答案は条文と問題の与件から理由を組み立てた独自の解答例であり,法務省が公表した模範答案ではない。
双方性の判断の層,瑕疵効果の調整及び28条の適用方法には構成上の選択がある。
公序の議論は法律上検討の余地があるが,本問の公式資料が明示した中核事項ではなく,この答案では成立要件と効果の説明を優先した。
採点実感が求める一般的な論述手順は,性質決定,条文,要件,必要な解釈,当てはめ,結論である。
これは個々の法的評価項目に加算する独立の配点ではない。
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第7 出典及び確認状態
1 公式資料
令和3年司法試験問題・選択科目:PDF実頁42。
令和3年司法試験論文式試験出題の趣旨:PDF実頁41の国際関係法(私法系)第1問以降,実頁42の第2問直前まで。
令和3年司法試験の採点実感・選択科目:PDF実頁43〜44,45の第2問直前,47の共通の教育上の指摘。
2 法令
法の適用に関する通則法:24・28・38条。
人事訴訟法:2条,3条の2,3条の5,12条。
民法:732・739・744・748条。
国籍法:14条。
e-Govの改正履歴から試験当時の施行版を指定して原文を確認した。
人訴法は2019年4月1日施行版,通則法は2007年1月1日施行版,民法は2021年4月28日施行版,国籍法は2018年6月20日施行版による。
上の通常の法令リンクは現在の表示へ移る場合がある。
3 裁判例
本答案は特定の裁判例を直接の根拠として引用していない。
4 確認状態
問題文,対象公式資料及び試験当時の法令原文を確認した。
甲国法は問題の仮定として扱い,実在国の外国法を確認したという意味ではない。
評価項目の原子化,重み及び模範答案の論証は独自の整理・推論である。