令和4年司法試験の国際関係法(私法系)第1問について,公式資料から抽出した評価項目と模範解答を示す。
重みは本記事独自の整理であり,法務省の配点ではない。
第1 この記事の対象と結論
本問は,成年後見の国際裁判管轄・準拠法,未成年後見人の選任,遺言能力・方式,遺贈及び遺留分の準拠法を問う。
評価項目は31項目であり,重み5は12項目である。
設問1では日本の管轄と日本法,設問2では甲国法によるDの選任,設問3では遺言能力と方式を分け,遺贈・遺留分を相続として甲国法で判断する。
問題PDF(46~47頁)・出題の趣旨・採点実感を参照されたい。
第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方
一項目に一つの判定対象を置き,必須・高評価・負例・許容分岐を重みと区別した。
これは法務省の公式採点基準ではなく,公式資料から独自に抽出した評価単位である。
根拠欄は実際に読んだPDF頁と節を示し,「記載なし」は本件関連部分を実読した結果を表す。
裏返しの負例は,番号1(5条の性格・国内管轄規定の誤用),5(日本法指定だけによる管轄・国内規定の誤用),6(開始まで35条で処理),20(事故後の能力喪失の遡及),21(実質と方式の混同),25(遺贈の誤った性質決定・明文欠缺),27(遺留分の誤った性質決定)へまとめた。
番号16・17・29・30は独立の負例である。
内部では反面負例10単位も保持するが,公開表の件数・重み合計には重複加算しない。
2 5段階の重み付けの基準
重み5は採点実感が評価の分かれ目とした事項又は答案の骨格,4は出題の趣旨が検討を求め採点実感も取り上げた事項,3は一方が明示する中核の理由付け,2は軽い補強又は典型的な誤り,1は控えめに触れるだけの事項とする。
本問の重み4は「両資料が取り上げた事項」という基準であり,採点実感が全件を高く評価したと述べるものではない。
重み5や許容分岐を全答案への追加累積要求に置き換えない。
第3 本問の概要
Aは甲国籍,Bは日本国籍で,日本で婚姻生活を営み,子Cは甲国籍を選択した14歳である。
Aは5年前の事故で事理弁識能力を失い,設問1では成年後見開始と後見人選任の管轄・準拠法が問われる。
設問2ではABが死亡し,祖母Dが日本でCを監護養育している。
甲国法は18歳を成年とし,親権者がいない未成年者の後見と,祖父母等の当然後見を定める。
設問3では,Aが事故の2年前に作成した自筆遺言で甲国不動産を甲国法人Eへ遺贈し,BCが遺留分侵害額の金銭請求をする。
各設問は独立し,設問2・3の管轄は仮定され,反致は全問で検討不要とされている。
第4 評価項目と重み
1 設問1
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 後見開始の国際裁判管轄を通則法5条に基づいて判断する。 | 5 | PDF41頁・設問1(第5条に対応する記述) | PDF45頁・採点方針(第5条に対応する記述) |
| 2 | 通則法5条の日本住所・居所又は日本国籍という管轄要件を示す。 | 4 | PDF41頁・設問1(日本に住所若しくは居所を有するときに対応する記述) | PDF45頁・採点方針(日本に住所若しくは居所を有するときに対応する記述) |
| 3 | Aの日本での継続した婚姻生活から日本住所を認定し,管轄を肯定する。 | 4 | PDF41頁・設問1(Aの住所は日本国内に所在に対応する記述) | PDF45頁・採点方針(Aの住所は日本国内に所に対応する記述) |
| 4 | 成年後見人選任の国際裁判管轄を直接定める明文規定がないと指摘する。 | 5 | PDF41頁・設問1(直接定めた明文規定が存在しないに対応する記述) | PDF46頁・設問1(明文の規定が存在しないに対応する記述) |
| 5 | 条理・通則法5条類推又は5条と35条の連動等の根拠を理由付きで示し,Aの事実へ当てはめて選任の国際裁判管轄を導く。 | 5 | PDF41頁・設問1(条理によりに対応する記述) | PDF46頁・設問1(条理によってに対応する記述) |
| 6 | 後見開始の準拠法は通則法5条により日本法とする。 | 4 | PDF42頁・設問1(通則法第5条に対応する記述) | PDF46頁・設問1(日本法が準拠法に対応する記述) |
| 7 | 後見人選任を通則法35条の「後見」の問題と性質決定する。 | 4 | PDF42頁・設問1(通則法第35条に対応する記述) | PDF46頁・設問1(通則法第35条に対応する記述) |
| 8 | 日本で後見開始審判がされたAの選任に通則法35条2項2号を適用し,日本法を指定する。 | 5 | PDF42頁・設問1(同条第2項第2号に対応する記述) | PDF46頁・設問1(同条第2項第2号に対応する記述) |
2 設問2
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 9 | Cの成年・未成年を「人の行為能力」と性質決定し,通則法4条1項により本国法を指定する。 | 4 | PDF42頁・設問2(人の行為能力に対応する記述) | PDF46頁・設問2(人の行為能力に対応する記述) |
| 10 | 甲国籍を選択したCについて,甲国法の成年年齢18歳とCの14歳を比較して未成年と判断する。 | 4 | PDF42頁・設問2(Cが未成年者に対応する記述) | PDF46頁・設問2(Cは未成年者に対応する記述) |
| 11 | Cの後見人選任を「後見」と性質決定し,通則法35条1項によりCの本国法である甲国法を指定する。 | 5 | PDF42頁・設問2(同条第1項に対応する記述) | PDF46頁・設問2(同条第1項に対応する記述) |
| 12 | ABが共に死亡して,Cに親権を行う者がいないことを示す。 | 4 | PDF42頁・設問2(ABが共に死亡に対応する記述) | PDF46頁・設問2(ABがに対応する記述) |
| 13 | 親権者の不存在を甲国民法②の後見開始原因に当てはめる。 | 4 | PDF42頁・設問2(後見が開始に対応する記述) | PDF46頁・設問2(甲国民法の本件事案に対応する記述) |
| 14 | 甲国民法③の祖父母優先・当然後見の規律を祖母Dへ適用する。 | 5 | PDF42頁・設問2(当然に後見人となるに対応する記述) | PDF46頁・設問2(甲国民法の本件事案に対応する記述) |
| 15 | 甲国法の本件適用結果として,日本の家庭裁判所はDをCの後見人に選任できると示す。 | 5 | PDF42頁・設問2(となることができるに対応する記述) | PDF46頁・設問2(Cの後見人としてDを選任するに対応する記述) |
| 16 | 日本で後見事務を行うDがいる本件に,通則法35条2項1号の例外を誤って適用しない。 | 2 | 記載なし | PDF46頁・設問2(第35条第2項第に対応する記述) |
| 17 | 日本で未成年後見開始審判があったと事実を補い,通則法35条2項2号を適用しない。 | 2 | 記載なし | PDF46頁・設問2(未成年後見開始の審判があったに対応する記述) |
3 設問3・小問1
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 18 | 遺言能力を意思表示としての遺言の実質的有効性に関わる「遺言の成立」と性質決定する。 | 5 | PDF42頁・設問3・小問1(遺言の成立に対応する記述) | PDF47頁・設問3・小問1(遺言の成立に対応する記述) |
| 19 | 通則法37条1項により,遺言成立当時のAの本国法である甲国法を指定する。 | 4 | PDF42頁・設問3・小問1(第37条第1項に対応する記述) | PDF47頁・設問3・小問1(第37条第1項に対応する記述) |
| 20 | 甲国民法⑤を遺言作成時の年齢・能力に当てはめ,後の交通事故による能力喪失を遡及させない。 | 4 | PDF42頁・設問3・小問1(Aは遺言能力を有しておりに対応する記述) | PDF47頁・設問3・小問1(事故に遭った時点よりも前に対応する記述) |
| 21 | 遺言の方式を実質的成立から分け,方式法2条の選択的連結を示す。 | 5 | PDF42頁・設問3・小問1(方式上有効とされることに対応する記述) | PDF47頁・設問3・小問1(方式上有効とされることに対応する記述) |
| 22 | 方式法2条を具体化し,日本の行為地法と甲国の本国法等の連結を示す。 | 4 | PDF42頁・設問3・小問1(本件事案への適用の結果に対応する記述) | PDF47頁・設問3・小問1(方式法第2条に対応する記述) |
| 23 | 全文・日付・氏名の自書と押印を甲国法又は日本法の方式へ当てはめ,方式上有効とする。 | 4 | PDF42頁・設問3・小問1(甲国民法又は日本に対応する記述) | PDF47頁・設問3・小問1(甲国民法又は日本民法に対応する記述) |
| 24 | 意思表示としての遺言自体と,その内容である贈与という法律行為の準拠法を区別する。 | 5 | PDF42頁・設問3・小問1(遺言の内容となる法律行に対応する記述) | PDF47頁・設問3・小問1(遺言の内容となる法律行為に対応する記述) |
| 25 | 遺言による贈与の有効性を「相続」と性質決定し,通則法36条によりAの本国法である甲国法を指定する。 | 5 | PDF43頁・設問3・小問1(通則法第36条に対応する記述) | PDF47頁・設問3・小問1(通則法第36条に対応する記述) |
| 26 | 甲国民法④・⑦を適用し,死亡時に本件遺言による贈与が有効となると説明する。 | 4 | PDF43頁・設問3・小問1(有効に成立してに対応する記述) | PDF47頁・設問3・小問1(有効に成立してに対応する記述) |
4 設問3・小問2
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 27 | 遺留分侵害額の請求を「相続」の問題と性質決定する。 | 5 | PDF43頁・設問3・小問2(相続に対応する記述) | PDF47頁・設問3・小問2(相続に対応する記述) |
| 28 | 通則法36条により,Aの本国法である甲国法を遺留分侵害額の請求へ適用する。 | 4 | PDF43頁・設問3・小問2(甲国法がに対応する記述) | PDF47頁・設問3・小問2(甲国法がに対応する記述) |
5 答案全体
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 29 | 設問が除外した反致を検討しない。 | 2 | 記載なし | PDF48頁・答案全体(反致については検討を要しないに対応する記述) |
| 30 | 各設問の独立性を守り,別設問の死亡・審判等の事実を転写しない。 | 2 | 記載なし | PDF47頁・答案全体(各問は独立した問に対応する記述) |
| 31 | 学説が分かれる論点で別構成を採る場合も,自説の論拠を示して論理を一貫させる。 | 3 | 記載なし | PDF45頁・採点方針(結論それ自体によって得点に差に対応する記述) |
6 重みの分布
重み5は12項目,4は14項目,3は1項目,2は4項目,1は0項目である。
総項目数は31,重み合計は127であり,公式得点を意味しない。
重み5の全項目は,番号1(後見開始の国際裁判管轄を通則法5条に基づいて判断する),番号4(成年後見人選任の国際裁判管轄を直接定める明文規定がないと指摘する),番号5(条理・通則法5条類推又は5条と35条の連動等の根拠を理由付きで示し,Aの事実へ当てはめて選任の国際裁判管轄を導く),番号8(日本で後見開始審判がされたAの選任に通則法35条2項2号を適用し,日本法を指定する),番号11(Cの後見人選任を「後見」と性質決定し,通則法35条1項によりCの本国法である甲国法を指定する),番号14(甲国民法③の祖父母優先・当然後見の規律を祖母Dへ適用する),番号15(甲国法の本件適用結果として,日本の家庭裁判所はDをCの後見人に選任できると示す),番号18(遺言能力を意思表示としての遺言の実質的有効性に関わる「遺言の成立」と性質決定する),番号21(遺言の方式を実質的成立から分け,方式法2条の選択的連結を示す),番号24(意思表示としての遺言自体と,その内容である贈与という法律行為の準拠法を区別する),番号25(遺言による贈与の有効性を「相続」と性質決定し,通則法36条によりAの本国法である甲国法を指定する),番号27(遺留分侵害額の請求を「相続」の問題と性質決定する)である。
各項目の適用範囲は当該設問に限られる。
第5 模範解答
1 答案の前提と表記
令和4年5月11日の試験時の法令を基準とし,甲国法の内容は問題文の与件に従う。
以下は条理による選任管轄,遺言と内容法律行為を分ける通説的構成を採り,見出し・句読点を含め改行を除いて2077字である。
法令原文と問題文を確認した範囲を用い,未確認の判例を「判例同旨」と表記しない。
2 答案
1 設問1
(1) 後見開始の審判の国際裁判管轄
法の適用に関する通則法(以下「通則法」という。)5条は,後見開始の審判の国際裁判管轄と準拠法の双方を定める。
成年被後見人となるべき者が日本に住所若しくは居所を有するとき,又は日本国籍を有するときは,日本の裁判所に国際裁判管轄がある。
Aは甲国籍であるが,日本で20年前に婚姻し,その後も日本で婚姻生活を営んでいるため,日本に住所を有する。
したがって,日本の家庭裁判所の国際裁判管轄が認められる。
(2) 後見人選任の審判の国際裁判管轄
成年後見人選任の国際裁判管轄を直接定める明文規定はなく,開始審判とは区別して根拠を検討する必要がある。
この場合,本人保護のため後見を実効的に実施できる国に管轄を認めるべきであり,通則法5条の連結点を踏まえ,条理により,本人が日本に住所若しくは居所を有し,又は日本国籍を有するときは,日本の管轄を認めると解する。
Aは日本に生活の本拠を有し,管理を要する不動産,動産,預金債権及び有価証券も日本にあるため,日本で保護事務を行う合理性がある。
よって,選任審判についても日本の家庭裁判所に国際裁判管轄がある。
家事事件手続法の国内管轄規定を直接適用したり,準拠法が日本法であるという理由だけで国際裁判管轄を導いたりするものではない。
(3) 各審判の準拠法
後見開始の審判は,通則法5条により日本法による。
Aは精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあるため,配偶者Bの申立てにより,民法7条に従って開始審判をすることができる。
後見人の選任は「後見」の問題であり,原則として被後見人の本国法による(通則法35条1項)。
しかし,外国人について日本で後見開始の審判があったときは,同条2項2号により,後見人選任の審判は日本法による。
したがって,日本で開始審判を受けるAの後見人選任も日本法により判断する。
2 設問2
(1) Cが未成年者かは,「人の行為能力」の問題として通則法4条1項により本国法で判断する。
Cは既に甲国籍を選択しているため,本国法は甲国法である。
甲国法は18歳を成年とするから,14歳のCは未成年者である。
(2) Cの後見人選任は「後見」の問題として,通則法35条1項により,Cの本国法である甲国法による。
A及びBが共に死亡し,Cに親権を行う者は存在しないため,甲国民法②により後見が開始する。
同法③は,祖父母,兄姉,その他の親族の順序で,特別の手続なく当然に後見人となると定める。
DはCの祖母であり,継続してCを日本で監護養育し,後見人となる能力にも問題がないため,甲国法に従いCの後見人となる地位を有する。
したがって,日本の家庭裁判所は,この甲国法の規律に基づき,DをCの後見人として選任することができる。
日本で後見事務を行うDが存在する以上,通則法35条2項1号の「事務を行う者がない」との要件を満たさない。
また,本問で未成年後見開始の審判が日本でされたとの事実はなく,同項2号を適用することもできない。
DがCになつかれているという事情から,日本法を選択して民法840条を直接適用するものではない。
3 設問3
(1) 小問1
ア 遺言能力は,意思表示としての遺言の実質的有効性に関する「遺言の成立」の問題として,通則法37条1項により,成立当時のAの本国法である甲国法による。
甲国民法⑤は15歳以上で,遺言時に能力を有することを要求する。
Aは遺言作成時に15歳以上であり,事理弁識能力を失った事故は遺言作成の2年後であるから,遺言能力を欠くとはいえず,遺言は実質上有効に成立する。
イ 方式はこれと別の問題であり,通則法43条2項により同法37条の規律から除外され,遺言の方式の準拠法に関する法律2条による。
同条は,掲げる法のいずれか一つに適合すれば方式上有効とする選択的連結を定める。
本件では,行為地法は日本法,成立時の国籍国法及び不動産所在地法は甲国法である。
全文,日付及び氏名の自書と押印は甲国民法⑥に適合し,日本民法968条1項にも適合するため,方式上も有効である。
ウ 遺言の内容である贈与の有効性は,意思表示としての遺言自体の成立・効力とは区別し,財産の死亡による承継を規律する「相続」の問題として通則法36条による。
したがって,被相続人Aの本国法である甲国法を適用する。
甲国民法④は特定財産の遺言による処分を認め,⑦は死亡時に効力が生じるとするため,Aの死亡によって,甲国所在不動産のEへの遺贈は有効に成立する。
(2) 小問2
遺留分侵害額の請求は,一定の相続人に最低限の取り分を保障し,被相続人の財産処分の自由を制限する問題である。
金銭支払請求という形式でも,「相続」の問題として通則法36条により,被相続人Aの本国法である甲国法によって判断する。
遺言の効力,不当利得,不法行為又は不動産物権の問題として準拠法を定めるものではない。
甲国不動産の値上がりや国内財産の治療費支出による減少は遺産評価に関わる事情であり,準拠法を日本法へ変更する理由とはならない。
以上
3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説
(1) 答案と評価項目の対応
答案1は番号1~8,答案2は番号9~17,答案3(1)は番号18~26,答案3(2)は番号27・28に対応する。
番号29・30は反致を扱わず各問を独立させた構成で回収する。
番号31は別説を採る場合の条件付き評価であり,他説を必ず列挙する要求ではない。
(2) 後見の管轄と準拠法
後見開始の通則法5条と後見人選任の管轄根拠を分けることが重要である(番号1・4・5)。
選任管轄については条理・5条類推・5条と35条の連動等の構成が示されているため,採用した根拠と事案への適用を説明すればよい。
開始と選任の準拠法も5条と35条2項2号へ分ける(番号6~8)。
(3) Dの後見人選任
甲国法の当然後見の規律を理由に,Dの選任は不可能だと結論してはならない。
公式資料は,甲国法を本件へ適用した結果として,日本の家庭裁判所がDを後見人として選任できるとの判断を求めている(番号14・15)。
当然に生じる実体的地位と,審判で採るべき判断内容を別に確認する必要がある。
この説明を,日本の全ての後見審判の法的性質に一般化するものではない。
(4) 遺言・遺贈・遺留分
意思表示としての遺言能力は37条,方式は方式法2条,その内容である遺贈は相続として36条と分ける(番号18・21・24・25)。
いずれも甲国法になる箇所があっても,性質決定と連結時点を省略してはならない。
遺留分も相続人の最低限の取り分を保障する相続の問題であり,金銭請求だから不当利得法になるわけではない(番号27・28)。
(5) 答案の弱点と扱わなかった事項
Dの親権先決問題やEの法人属人法・認許の国外範囲は,公式が求める本問の中核を超えて論述を長くするため,答案では詳述しなかった。
甲国法の具体的な遺留分割合・期間は問題文に示されていないため,請求の認否や額は断定しない。
後年の法改正・裁判例を試験当時へ遡及させない。
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これらは関連実務の紹介であり,後年の制度内容を本問の答案要求の根拠に用いたものではない。
第7 出典及び確認状態
1 公式資料
①令和4年司法試験問題及び問題PDF:PDF46~47頁,第1問全部。
②令和4年司法試験の結果について及び出題の趣旨PDF:PDF41頁の私法系第1問見出し~43頁の第2問直前。
③令和4年司法試験の採点実感及び選択科目PDF:PDF45頁の私法系総論~48頁の第2問直前。
2 法令
①法の適用に関する通則法:2007年1月1日施行版。
②家事事件手続法:2021年4月28日施行版の117条ほか。
③遺言の方式の準拠法に関する法律:2007年1月1日施行版の2条。
④民法:2022年4月1日施行版の7条・968条ほか。
3 裁判例
本答案は,特定の裁判例の判示を引用したものではない。
法人の認許の国外範囲や選任審判の一般的な法的性質について,判例原典を確認したとは表示しない。
4 確認状態
問題文と当時の条文原文を確認し,出題の趣旨・採点実感の本件関連部分を実読した。
公式の記述,条文の確認,答案の法的推論を区別している。
重みと項目の原子化は本記事の分析であり,公式配点・予測得点・合格可能性を示さない。