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外国籍の人の成年後見と未成年後見―国際裁判管轄,準拠法と申立て前の確認資料(AI作成)

第1 外国籍の人の後見で分ける四つの判断

外国籍の家族について日本で後見人を付けたいときは,①日本の裁判所が扱えるか,②どの家庭裁判所へ申し立てるか,③どの国の法を用いるか,④選任された人がどの財産・手続で権限を行使できるかを分けて確認する。
日本に住んでいるという事情が国際裁判管轄の根拠になっても,全ての後見関係に日本法が適用されるとは限らない。
本記事は令和8年10月15日を基準に,成年後見の開始・選任と未成年後見を中心として,法令原文と裁判所の手続案内から申立て前の確認事項を示す。

第2 成年後見の開始と後見人選任を分ける

1 後見開始の国際裁判管轄と準拠法

法の適用に関する通則法5条は,成年被後見人,被保佐人又は被補助人となるべき人が日本に住所若しくは居所を有するとき,又は日本国籍を有するとき,日本法により後見開始等の審判をすることができると定める。
外国籍の人にも日本の住所又は居所を通じて適用されるため,国籍だけで申立てを断念する必要はない。
反対に,外国籍で日本に住所・居所を持たない人について,日本に不動産や預金があることだけで同条の要件を満たすとはいえない。

日本法による後見開始では,民法7条の判断能力の要件と申立人の範囲も確認する。
日本国内の申立先は,家事事件手続法117条1項により本人の住所地を管轄する家庭裁判所が基本となる。
国際裁判管轄と国内の申立先は別の問題であり,日本国内に住所がないなど通常の案内に当てはまらないときは,申立先を個別に確認する。

2 後見人選任の準拠法

通則法35条1項は,後見等を本人の本国法によると定める。
しかし,同条2項2号は,外国人について日本で後見開始等の審判があったとき,後見人選任等の審判には日本法を適用する。
開始審判と選任審判が同じ申立ての中で扱われても,それぞれの根拠を分けて記載することが重要である。

通則法5条は後見開始等についての規定であるため,選任の国際裁判管轄も同条の引用だけで済ませず,本人の日本との関係及び日本で保護事務を行う必要性を踏まえて説明する。
家事事件手続法117条2項が国内の管轄裁判所を定めていることと,日本の国際裁判管轄の根拠は区別する。
国外で既に保護手続がある場合や国外財産の管理が主な目的である場合は,外国の制度と日本の申立ての関係も確認する。

第3 外国籍の子の未成年後見

1 未成年か,親権を行う人がいないか

外国籍の子の成年・未成年を判断するときは,通則法4条1項の本国法による行為能力の規律を確認する。
日本の成年年齢だけを当てはめず,本国法の成年年齢と,婚姻等により成年として扱われる制度があるかを調べる。
親族法・相続法によるべき法律行為には,同条2項の行為地法による能力者扱いをそのまま用いることはできない(同条3項)。

親権を行う人がいないかという親子関係の判断と,後見の開始・後見人の地位は別に確認する。
親子間の法律関係には通則法32条,後見には同法35条が関係するため,親の死亡や監護者との親族関係だけから日本法による後見開始を決めない。
後見人候補者が日本人であっても,その国籍だけで子の後見の準拠法が日本法になるわけではない。

2 国際裁判管轄と国内の申立先

家事事件手続法3条の9は,未成年後見人の選任等について,本人の住所若しくは居所が日本にあるとき,又は本人が日本国籍を有するときに日本の裁判所の管轄権を認める。
成年後見の開始に関する通則法5条と同じ条文で処理しない。
国内土地管轄は家事事件手続法176条を確認する。

3 本国法と日本法による例外

通則法35条1項の本国法を調べ,後見開始原因,候補者の資格,指定や当然の就任の有無及び権限の範囲を確認する。
同条2項1号は,本国法上の開始原因があり,日本で後見事務を行う人がいない場合に,選任等の審判へ日本法を適用する規定である。
その人が外国にいるというだけで判断せず,日本で事務を行う人の有無と実際の権限を確かめる。

外国法で親族が当然に後見人となる制度がある場合も,地位の存在,それを証明する資料,申立ての必要性及び日本の手続で求める判断を分けて検討する。
当然の地位があることから日本での選任は一律に不可能と考えたり,親族が監護していることだけで日本民法840条を適用したりしてはならない。
実際の申立方法と必要資料は,具体的な外国法及び事実に即して家庭裁判所へ確認する。

第4 本国法・外国裁判・国外財産の確認

重国籍,無国籍,地域又は人によって法が異なる国では,通則法38条・40条に従い,本国法としてどの法を用いるかを先に確定する。
本国法によるべき問題では同法41条の反致も確認し,外国の実体法だけでなく抵触法の指定を調べる。
ただし,親子間の法律関係について同法32条により本国法を適用する場合は,41条ただし書により反致が除かれる。
外国法の公序判断は同法42条の具体的な適用問題であり,外国制度が日本と違うというだけで日本法へ切り替えるものではない。

外国裁判所等の確定した家事判断がある場合は,家事事件手続法79条の2により,性質に反しない限り民事訴訟法118条の要件を確認する。
外国の後見人が存在することと,日本でその判断を承認できることを同一視しない。
確定の証明,裁判書,送達等の資料と翻訳をそろえる必要がある。

日本の審判を外国の銀行や不動産登記で利用できるかは,財産所在地の法と提出先の取扱いを別に確認する。
翻訳・認証,現地の承認手続,権限の証明及び売却等の追加許可が必要かを調べ,日本の審判書があるだけで国外財産の処分が完了するとは考えない。
日本法による成年後見で本人の居住用不動産を処分する場合には,民法859条の3の家庭裁判所の許可も確認する。

第5 申立て前にそろえる資料

資料は,身分・生活の本拠,後見の必要性,既存の権限及び財産の四つに分けて集める。
国内の一般的な必要書類は裁判所の案内を出発点とし,外国籍の人について戸籍謄本を機械的に要求せず,国籍・親族関係を証明する本国の書類等について申立先へ確認する。
外国文書の日本語訳や認証の要否も,文書の用途と提出先に応じて確認する。

① 国籍とその変動,重国籍の有無,本国法の地域・人的区分。
② 住所・居所・常居所の履歴,在留関係,家族・職業・住居を示す資料。
③ 成年後見では診断書,本人の生活状況,支援の必要性及び申立人と本人の関係。
④ 未成年後見では出生,親子関係,親の死亡・親権に関する資料,遺言による指定及び外国法上の就任資料。
⑤ 日本・外国の既存裁判,確定・送達の証明,後見人等の権限資料及び本人の財産目録。
⑥ 預金,不動産,証券等の所在地,管理・処分の目的,取引先が求める権限証明。
⑦ 適用時点の外国法原文,施行資料,日本語訳及び必要に応じ現地専門家の意見。

申立書では,本人の保護のために何を行う必要があり,誰のどの権限が不足しているかを具体化する。
候補者を記載したことだけでその人が必ず選任されると考えず,実体法の要件と裁判所の判断を確認する。
税務申告や国外財産の管理が目的に含まれる場合も,後見の地位・代理権と納税義務者・税務上の居住者区分を別に確認することが望ましい。

第6 関連記事と出典

外国籍・国外財産がある相続と遺言―国際裁判管轄・準拠法・反致・遺言方式(AI作成)
令和4年司法試験国際私法第1問の模範解答と評価項目(AI作成)

法の適用に関する通則法:4・5・32・35・38・40・41・42条。
家事事件手続法:3条の9・117・176・79条の2。
民法:7・840・859条の3。
裁判所:後見開始及び成年後見人(保佐人,補助人),未成年後見人の選任:国内の一般的な手続案内。個別の外国法案件への適用は本文の区別に従って確認する。

司法試験の甲国法は問題文の与件であり,実在する国の制度ではない。
その答案の結論を,実際の外国人の後見についての一律の取扱いとして用いてはならない。