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会社への不動産遺贈で確認する税金―みなし譲渡・受贈益・遺留分の精算(AI作成)

第1 会社への遺贈を検討するときの確認事項

個人が自分の会社などに土地や建物を遺贈する場合,代金を受け取らなくても,遺贈する個人側の所得税と,受け取る会社側の法人税を確認する必要がある。
遺留分侵害額を金銭又は不動産で精算する場合には,その後の取引の課税関係も生じ得る。
本記事は,日本の通常の株式会社・合同会社などへの不動産遺贈を対象に,令和8年10月14日に確認した法令及び国税庁資料を基に,遺言作成と相続後の精算で確認すべき点を説明する。
公益法人への寄附・遺贈,国外の法人又は信託を用いる場合は,適用範囲や特例を別途検討する必要がある。

第2 個人側のみなし譲渡と準確定申告

所得税法59条1項1号は,法人に対する遺贈によって譲渡所得の基因となる資産が移転した場合,その時の価額に相当する金額で資産を譲渡したものとみなす。
したがって,会社から売買代金を受け取らないことだけを理由に,譲渡所得が生じないとはいえない。
通常の遺言は遺言者の死亡時に効力を生じるが,停止条件などがある場合には,効力発生時期を個別に確認する。

所得税の計算では,移転時の価額,資産の取得費及び譲渡費用の資料を確認する。
相続税評価額や固定資産税評価額を,当然に譲渡所得の計算に用いる時価と同一視しない。
土地・建物については原則として分離課税の規定が適用されるため,総合課税の譲渡所得における50万円の特別控除や長期譲渡所得の2分の1の計算を一律に当てはめない。

死亡した人について確定申告を要する場合,所得税法125条などに基づく準確定申告を確認する。
国税庁は,相続人等が相続の開始を知った日の翌日から4か月以内に申告・納税すると説明し,相続人等には包括受遺者を含めている。
誰が申告・納税を行うかは,特定遺贈と包括遺贈の別,国税通則法5条の納税義務の承継及び各人の取得財産を確認して判断する。
不動産を受け取る会社と,申告・納税を担う者が同一とは限らないため,遺言を作る段階から納税資金と関係者への資料交付を検討することが望ましい。

第3 会社側の受贈益と資産の記録

法人税法22条2項は,無償による資産の譲受けに係る収益を,別段の定めがある場合を除き,益金の額に算入する。
会社が不動産の遺贈を受けた場合にも,個人側の所得税とは別に,受贈益とその計上時期を確認する必要がある。
個人側に所得税が生じたことだけで,会社側の受贈益がなくなるわけではない。

無償取得した資産の価額については,法人税法22条4項の公正妥当な会計処理の基準も踏まえて確認する。
税務大学校の平成25年の研究論文は,無償取得した固定資産について,公正な評価額を取得原価とする考え方を説明している。
これは取得価額に関する研究上の説明であり,法人税法施行令54条の減価償却資産の規定が土地に直接適用されるという意味ではない。
土地と建物を区別し,遺贈時の評価資料,取得価額の計算及び会社の会計記録を残すことが望ましい。

第4 遺留分の精算を別の段階として考える

改正後の民法1046条による遺留分侵害額請求は,侵害額に相当する金銭の支払請求である。
会社が遺留分の支払を負担する場合,遺贈時の受贈益と,その後の負担による損失を区別して法人税法22条に照らして検討する。
請求の到達だけで必ずその事業年度の損失になると決めず,債務額の争い,合意・裁判の内容及び債務の具体化の状況を確認する必要がある。

不動産を移転して金銭債務を弁済する場合,民法482条の代物弁済として,債務の消滅と資産の譲渡の双方を確認する。
会社側では,遺留分負担による損失と,資産譲渡の収益及び原価の検討を分け,残る金銭債務があるかも確認する。
旧法の遺留分減殺による返還を扱った説明を,新法の金銭請求と代物弁済へそのまま当てはめない。

個人が金銭の支払に代えて資産を移転する場合,所得税基本通達33-1の6は,原則として,履行によって消滅した債務の額を譲渡対価として扱う。
移転を受ける個人の取得費については,同38-7の2が,原則として,消滅した債権の額に相当する価額とする。
会社が資産を移転する場合は個人の譲渡所得計算ではなく法人税の検討が必要であり,当事者の属性を確かめることが出発点である。

第5 弁護士と税理士が共有したい資料

遺言案や和解案を税務上の扱いと一緒に確認するため,次の資料と金額を対応させておくことが望ましい。
税金を誰が負担するかという当事者間の合意だけで,法令上の納税義務者が変更されるわけではない。

段階法律関係の確認税務・資料の確認
遺言作成特定遺贈・包括遺贈の別,対象会社及び効力発生条件個人側の取得費資料,納税義務の承継と納税資金
遺贈による取得対象不動産と効力発生日時価の根拠,会社の受贈益と資産の取得価額
遺留分の請求請求内容,対象となる金銭債務,争いの有無債務額が具体化した経緯と会社の計上年度
代物弁済の合意移転物件,消滅債務額,残額,引渡し及び登記譲渡対価,取得費・帳簿価額,税負担の試算
申告と保存申告担当者,関係者への資料交付準確定申告,会社の申告,評価・合意・履行資料

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司法試験の模範解答は,問題文で指定された前提に基づく計算と論述である。
実際の遺贈や代物弁済では,取引時点の法令,資産の種類,当事者の属性及び適用される特例を確認する必要がある。

第7 出典

所得税法33条・59条・125条
法人税法4条・22条
民法482条・985条・990条・1046条
国税通則法5条

国税庁:納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)
国税庁:譲渡所得の対象となる資産と課税方法
所得税基本通達33-1の6及び同38-7の2
国税庁:遺留分侵害額に相当する金銭の支払に代えて土地を譲渡した場合の課税関係

税務大学校論叢76号掲載論文の物理70頁(印刷頁284)は,無償取得資産の取得価額の説明に限って参照する。
同論文の旧法の遺留分減殺に関する説明を,現行の遺留分侵害額請求の根拠として用いるものではない。