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検察審査会とは―役割,裁判員との違い,申立てと強制起訴の流れ(AI作成)

第1 検察審査会は何をするところか

1 不起訴処分が適切かを市民が審査する

検察審査会は,検察官が事件を起訴しなかった判断の当否を,くじで選ばれた11人の市民が審査する機関である。
検察事務の改善について建議・勧告をする役割もあり,検察官から独立して職権を行う。
全国に165か所設置されている。
本稿は,令和8年10月15日に確認した裁判所の制度案内及び検察審査会法に基づき,制度の全体像を説明する。

不起訴になった事件について,申立てを受けて審査するほか,過半数の議決により職権で審査することもできる。
被害者等に代わって損害賠償を請求する機関ではなく,不起訴処分の審査と民事上の損害賠償請求は別の手続である。

2 裁判員とは何が違うか

検察審査会と裁判員制度は,市民が刑事司法に参加する点では共通するが,判断する段階と内容が違う。
検察審査会は不起訴処分の当否を審査し,裁判員は起訴後の一定の刑事裁判で裁判官とともに有罪・無罪や刑を判断する。

比較事項検察審査会裁判員制度
判断する段階検察官が不起訴にした後検察官等が起訴した後の裁判
主な判断対象不起訴処分の当否対象事件の有罪・無罪及び刑
参加の形検察審査員11人で審査する裁判員が裁判官とともに審理・評議する
任期・担当検察審査員の任期は6か月選ばれた事件の裁判を担当する

検察審査会の「起訴相当」や「起訴議決」は,有罪判決ではない。
起訴後の有罪・無罪は,裁判所が証拠に基づいて判断する。

3 知りたい内容に応じた案内

候補者の通知や質問票が届いた人は,検察審査会に選ばれた場合の通知・辞退・日当等の説明(AI作成)を参照されたい。
以下では,不起訴処分に不服がある人に向けて,申立てと議決後の流れを説明する。

第2 誰が,どこに審査を申し立てられるか

1 被害者,告訴・告発をした者などが申し立てられる

申立てができるのは,告訴又は告発をした者,請求を待って受理すべき事件について請求をした者,犯罪により害を被った者である。
被害者が死亡した場合には,その配偶者,直系の親族又は兄弟姉妹も申し立てることができる(検察審査会法2条2項)。
事件に関心を持ったというだけで,誰でも申立人になれるわけではない。
また,内乱に関する罪や独占禁止法違反の罪に係る事件は,審査の対象から除かれる(同法30条ただし書)。

被害者は,告訴をしていなくても,法律上の申立適格があれば申し立てることができる。
一方,被疑者本人が自分に対する不起訴理由を争うための制度ではない。
申立ての対象や申立人の範囲に迷う場合は,事務局に事情を説明して確認することが有用である。

2 不起訴処分をした検察官が所属する検察庁に対応する審査会へ提出する

原則として,不起訴処分をした検察官が所属する検察庁の所在地を管轄する検察審査会に申し立てる(検察審査会法30条)。
複数の検察審査会が置かれている地域もあるため,名称と提出先は,裁判所の全国検察審査会一覧で確認されたい。
住所が近い審査会を自由に選ぶという仕組みではない。

3 申立て自体は無料で,弁護士への依頼は必須ではない

裁判所の案内では,審査申立てに費用はかからない。
弁護士に依頼せず,自分で申立書を提出することもできる。
弁護士に相談又は依頼した場合の費用は,審査申立ての手数料とは別である。

第3 申立書には何を書き,何に注意するか

1 不起訴処分と不服の理由を具体的に示す

申立ては,理由を記載した書面で行う(検察審査会法31条)。
裁判所が公開している審査申立書の書式を利用できる。
対象となる事件・不起訴処分を特定したうえで,どの事実認定や証拠評価に疑問があるかを,資料と結び付けて説明することが重要である。

例えば,単に「納得できない」と述べるだけでなく,不起訴理由,争点,検討されるべき証拠及びその証拠が示す事実を整理する。
この整理は申立書を作成する際の実務上の工夫であり,裁判所の定型書式に新たな法定要件を付け加えるものではない。

告訴人等に対する処分通知と理由告知については,不起訴理由の違いと確認方法(AI作成)を参照されたい。
交通事故の被害者・遺族が申し立てる場合の記載事項,資料,公訴時効等は,交通事故事件における検察審査会への審査申立て(AI作成)で詳しく説明している。

2 固定の申立期限がなくても,公訴時効に注意する

審査申立てについて,一律に「不起訴通知から何日以内」という期間は定められていない。
しかし,公訴時効が完成した事件を起訴しても免訴となるため,いつまでも起訴を求められると考えるべきではない(刑事訴訟法337条4号)。
時効期間は罪名等によって異なり,審査申立てをしただけで公訴時効が停止するものではない。

不起訴処分日だけで期限を判断せず,犯罪行為が終わった時などの起算点と,時効の停止等の有無を確認する必要がある。
残りの期間が短い場合は,資料を集め終わるまで何もせずに待つのではなく,提出先や専門家に早めに相談することが適切である。

3 審査が終わるまでの全国一律の所要期間は示せない

審査会は,検察庁の記録を取り寄せるなどして審査する。
事件の内容や資料の量等によって審査に要する期間は異なるため,申立てから議決までを一律に何か月と断定することはできない。
後述する2回目の審査に関係する「3か月」という期間を,最初の申立てから議決までの標準期間と取り違えないことが必要である。

第4 議決後はどうなるか―3つの議決と強制起訴

1 最初の審査の議決は3種類である

最初の審査では,不起訴処分について,起訴相当,不起訴不当又は不起訴相当の議決をする。
起訴相当には11人中8人以上の賛成が必要であり,不起訴不当と不起訴相当は過半数で決する。

議決意味その後の基本的な流れ
起訴相当起訴するのが相当という判断検察官が事件を再検討する。一定の場合は2回目の審査に進む
不起訴不当不起訴とした判断が不当という判断検察官が事件を再検討する。これだけで強制起訴にはならない
不起訴相当不起訴とした判断が相当という判断検察審査会の審査は終了する

起訴相当又は不起訴不当の議決があると,検察官は議決を参考にして起訴すべきかを検討する。
最初の起訴相当の議決だけで,直ちに起訴が義務付けられるわけではない。

2 起訴相当の後に,再び審査する場合がある

起訴相当の議決後,検察官が再び不起訴にした場合等には,法律の要件に従って2回目の審査をする。
議決書の謄本を送付した日から3か月以内に検察官から所定の通知がない場合も,2回目の審査に関係するが,検察官が理由等を通知することで3か月を超えない範囲の期間が加算される場合がある(検察審査会法41条の2)。
最初の議決が不起訴不当である場合と,この手続とは区別する必要がある。

2回目の審査では,法律上の問題について助言する弁護士である審査補助員を委嘱しなければならない。
11人中8人以上が起訴すべきであると判断すると,「起訴議決」をする。

3 強制起訴には法的な効力があるが,有罪を確定させるものではない

起訴議決があると,裁判所が指定した弁護士が検察官の職務を行い,起訴及び公判活動を行う。
一般に「強制起訴」と呼ばれるのは,この仕組みである。
したがって,検察審査会に強制力があるかという問いには,最初の議決と,2回目の審査による起訴議決を分けて答える必要がある。

強制起訴は,裁判で判断を受ける手続につながるものであり,有罪になることや損害賠償金の支払を保証するものではない。
検察審査会の判断と,裁判所の有罪・無罪の判断を混同してはならない。

第5 よくある疑問と統計の読み方

1 議決後に,同じ事件を何度でも申し立てられるか

不起訴処分の当否について検察審査会議の議決があったときは,同一事件について更に審査の申立てをすることはできない(検察審査会法32条)。
また,不起訴不当の議決後に,検察官が前と同一の理由で再び不起訴処分をした場合についても,申立てを制限する規定がある(同法41条の8)。
「新しい資料がある」と述べれば常に再申立てができる,と一般化することはできない。

2 起訴につながる確率は,どの数字を見るかで違う

統計を見るときは,「起訴相当・不起訴不当の議決になった割合」「その後に検察官が起訴した割合」「2回目の審査で起訴議決になった割合」を分ける必要がある。
人員か事件数か,全国か特定の高裁管内か,どの年の処理を集計したものかによっても,数字の意味は違う。
これらをまとめて,個別事件の「成功率」とすることは適切でない。

大阪高裁管内の検察審査会の統計報告書(月報及び年報)には,報告書の種類と資料へのリンクを掲載している。
全国の制度統計については,裁判所の検察審査会案内及び法務省の犯罪白書も参照されたい。

3 議決書や関係記録は,すべて公開されるか

検察審査会の会議は非公開であり,議決結果の公表と,会議の内容や関係記録の公開は同じではない。
行政機関の情報公開制度と同じ扱いで全記録を取得できると考えるべきではない。
詳しくは,検察審査会に関する情報公開を参照されたい。

第6 主な参照資料

裁判所「検察審査会」:https://www.courts.go.jp/about/sonota/kensin/index.html

裁判所「検察審査会Q&A」:https://www.courts.go.jp/about/sonota/kensin/q_a/index.html

裁判所「審査の流れ」:https://www.courts.go.jp/about/sonota/kensin/shinsanonagare/index.html

裁判所「検察審査会制度の概要」:https://www.courts.go.jp/about/sonota/kensin/seido_gaiyo/index.html

検察審査会法(昭和23年法律第147号):https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000147

刑事訴訟法(公訴時効に関する規定):https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131

法務省「令和7年版犯罪白書 第6編第2章第1節3 起訴・不起訴等の処分及び検察審査会」:https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/72/nfm/n72_2_6_2_1_3.html