第1 本ページの目的と位置付け
本ページは,民事事件その他の一般事件を弁護士に依頼する際に,依頼者に知っておいていただきたい重要事項をまとめたものです。
個別事件では,委任契約書,委任契約約款及び担当弁護士からの個別説明が優先します。
依頼する前の準備は弁護士とは―仕事内容,相談できること,費用と選び方,相談先を比較する質問は弁護士の選び方―取扱分野,説明,費用と相談時の確認事項をご参照ください。
交通事故事件を山中弁護士へ依頼した後の連絡、治療、保険会社との対応、資料の保存及び示談の確認事項は、重要事項説明書(交通事故事件)をご確認ください。
弁護士への依頼は,委任契約を締結しただけで自動的に望む結果が得られるものではありません。
依頼者と弁護士が,事件の目標,事実,証拠,費用,期限及びリスクを共有し,重要な判断を相談しながら進める必要があります。
本ページは一般的な説明です。
事件の種類,委任の範囲,裁判所の手続,相手方の対応及び依頼者の事情によって取扱いは異なります。
疑問点は,重要な期限が到来する前に担当弁護士へ確認してください。
第2 事件の見通しと依頼時の説明
弁護士は,依頼者から得た情報に基づき,事件の見通し,処理方法,弁護士報酬及び費用を説明します。
他方で,有利な結果を請け合ったり,保証したりすることはできません。
受任時の見通しと解決までの期間は,その時点で伺った事情及び確認できた資料に基づく暫定的なものです。
相手方の反論,新たな証拠,裁判所の判断,相手方の資力又は倒産,依頼者から後に伝えられた事情などにより,見通し,方針及び必要期間が変わることがあります。
不利に思える事情,過去にした説明との食い違い,又は相手方が指摘しそうな事実も,早い段階で担当弁護士へ伝えてください。
弁護士に伝えないままにしておくと,相手方から初めて指摘された時点で方針の変更が必要となり,提出期限又は和解判断に影響することがあります。
第3 依頼者と弁護士の役割
依頼者は,最終的に実現したいことと,金額,時期,謝罪,秘密保持,取引関係の維持その他の優先順位を伝えてください。
住所,電話番号,メールアドレス,勤務先,相手方からの連絡又は事件に関係する事情が変わった場合も,速やかに連絡する必要があります。
弁護士は,依頼者の意思を尊重し,必要に応じて事件の経過及び結論に影響する事項を報告し,協議しながら事件を処理します。
ただし,虚偽の主張又は証拠の提出,違法若しくは不当な目的の実現,裁判手続の不当な遅延その他職務上許されない指示には従うことができません。
相手方に代理人が就いた後は,相手方本人との直接交渉を控え,担当弁護士を通じて連絡します。
相手方から直接連絡があった場合又は緊急の連絡をせざるを得なかった場合は,やり取りを保存し,速やかに担当弁護士へ伝えてください。
第4 証拠と事件関係資料
裁判では,請求を成立させるために必要な事実を主張し,争いがある事実を証拠によって裏付けます。
録音,メール,契約書その他の強い証拠が一つあっても,契約の相手方,因果関係,損害額,期限又は相手方の抗弁など,別の要件に不足があれば,請求全体が認められないことがあります。
書類,写真,録音,メール及びメッセージは,問題部分だけを切り取らず,前後関係が分かる状態で保存してください。
原本へ説明を書き込まず,説明は別紙又はコピーに記載します。
デジタル資料は,スクリーンショットだけでなく,元のファイル,取得日時,送信者又はアカウントが分かる情報及び公式機能による書出しも保存します。
資料の削除,編集,切取り又は新たな録音を考えている場合は,可能な限り事前に担当弁護士へ相談してください。
弁護士から受け取った相手方の個人情報又は事件記録は,家族を含む第三者へ安易に転送せず,利用目的と開示範囲を確認する必要があります。
第5 委任の範囲,弁護士費用及び実費
委任契約書では,誰が依頼者であるか,どの交渉又は手続を依頼するか,着手金,報酬金,日当及び実費の算定方法,中途終了時の精算方法を確認してください。
訴訟の第一審,控訴,上告,保全処分及び強制執行は,別の委任及び追加費用を要することがあります。
弁護士費用と,裁判所へ納付する印紙代,郵便料,交通費,鑑定費用その他の実費は別のものです。
また,判決で敗訴者の負担とされる訴訟費用に,依頼した弁護士への報酬が当然に全額含まれるわけではありません。
弁護士費用を依頼者以外の人が負担する場合も,事件処理について意思を確認する相手は,原則として委任契約上の依頼者です。
費用負担者,紹介者又は家族へ事件内容を説明してよいかどうかは,あらかじめ範囲を決めてください。
費用の種類と算定基礎は弁護士費用の見方―相談料,着手金,成功報酬,実費と見積りの確認,依頼範囲,追加費用及び中途終了時の清算は弁護士との委任契約書で確認する事項をご参照ください。
山中弁護士への依頼については,委任契約約款と個別契約もご確認ください。
第6 訴訟手続の進み方
提訴前には,請求の相手方,請求内容,消滅時効その他の期限,送達先,必要な証拠,保全処分の要否及び回収可能性を確認します。
相手方の氏名又は商号,住所又は本店所在地が正確でないと,訴状の送達に時間を要し,又は追加調査が必要になることがあります。
訴訟が始まった後は,相手方の主張と証拠を踏まえ,準備書面及び証拠を順次提出します。
弁護士が作成した書面と相手方の書面には目を通し,事実の誤り,説明不足又は認否について気付いた点を期限までに伝えてください。
審理期間及び期日の間隔は,事件の種類,争点,証拠量,鑑定又は証人尋問の有無,当事者の対応及び裁判所の状況によって異なります。
本人尋問,和解条件の最終確認その他重要な場面では,依頼者本人の出席をお願いすることがあります。
第7 和解,判決及び不服申立て
和解は,金額だけでなく,支払時期,分割払い,担保,不履行時の効果,清算範囲,秘密保持,物の引渡し,登記その他の条件を組み合わせて解決できます。
裁判上の和解が成立すると,和解調書は確定判決と同一の効力を有します。
秘密保持を希望する場合は,誰が,何を,誰に対して開示してはならないか,法令又は専門家への相談に必要な例外,違反時の取扱いを和解条項で具体化します。
訴訟上の和解をしただけで,すべての事件情報が当然に秘密となるわけではありません。
和解案を検討するときは,「受け入れる」「条件を再交渉する」「判決を求める」の各案について,見込額,追加費用,必要期間,回収可能性及び金銭以外の条件を比べます。
詳しくは,民事訴訟の和解案・和解条項案の作り方及び和解案を受け入れるか迷ったとき―金額・費用・時間・回収可能性の比較をご参照ください。
通常の民事訴訟では,第一審判決に対する控訴期間は判決書の送達を受けた日の翌日から2週間です。
少額訴訟その他の手続には異なる不服申立てがあるため,判決又は決定を受け取った日を直ちに担当弁護士へ伝え,申立ての要否,費用及び追加資料を確認してください。
第8 勝訴後の回収と相手方の倒産
金銭の支払を命ずる判決又は和解調書を得ても,相手方が任意に支払わなければ,自動的に入金されるわけではありません。
預金,給与,不動産その他の財産を特定し,強制執行を申し立てる必要が生じることがあります。
相手方に資産があるという情報だけでは足りず,財産の名義,所在地,換価可能性,担保及び差押禁止の有無を確認する必要があります。
強制執行にも追加の弁護士費用及び実費がかかることがあるため,提訴前から,勝訴可能性と回収可能性を分けて検討します。
相手方について破産,民事再生又は会社更生の手続が開始されると,個別の強制執行が制約され,配当又は弁済率が当初の見込みを大きく下回ることがあります。
詳しくは,資産額と実際に払える額の違いをご参照ください。
第9 複数の依頼者,利益相反及び第三者との関係
複数人から同じ事件を受任する場合,当初は利害が一致していても,後に主張,費用負担,分配方法又は求償関係を巡って利害が対立することがあります。
現実に利益相反が生じた場合,一部又は全部の依頼者について辞任その他の措置が必要になることがあります。
弁護士は,委任契約上の依頼者本人の意思を確認して事件を処理します。
家族,勤務先,紹介者又は費用負担者から依頼者と異なる指示を受けても,その指示だけで方針を変更することはできません。
これらの第三者への報告又は資料提供を希望する場合は,依頼者本人が範囲を明確にしてください。
利益相反の確認及び本人確認のため,相手方,関係者,依頼の経緯,氏名,住所,生年月日又は法人の名称及び所在地等の確認をお願いすることがあります。
確認が完了するまで,事件を受任し,又は具体的な対外行為を開始できない場合があります。
第10 守秘義務,個人情報及び情報発信
弁護士は,職務上知り得た秘密について守秘義務を負います。
他方で,事件を処理するため,裁判所,相手方,事務職員,必要な専門家その他の関係者に対し,必要な範囲で情報又は資料を示すことがあります。
特に配慮が必要な情報又は第三者に知られたくない事情は,資料を提出する前に担当弁護士へ伝えてください。
依頼者も,弁護士から交付された事件記録に含まれる相手方又は第三者の個人情報,営業秘密及びプライバシーを慎重に取り扱う必要があります。
事件と関係のない人への転送,SNSへの掲載又は資料で初めて知った関係者への直接連絡は,担当弁護士に相談せずに行わないでください。
ブログ,SNSその他インターネット上で相手方を批判すると,名誉毀損,プライバシー侵害又は証拠上の問題が生じることがあるほか,感情的対立が強まり,和解による解決が難しくなることがあります。
匿名の投稿であっても安全とは限りません。
第11 辞任,弁護士の変更及び事件終了時の取扱い
依頼者と弁護士の信頼関係が失われ,回復が困難となった場合,弁護士は事情を説明した上で辞任その他の措置をとることがあります。
重大な虚偽の説明,違法又は不当な指示,裁判所又は弁護士の合理的な指示への重大な違反,長期間連絡が取れない状態などは,事件を継続できなくなる原因となります。
依頼者が弁護士を変更することもできますが,弁護士費用の精算,記録の引継ぎ及び裁判上の期限管理が必要です。
変更を考える場合は,現在の期限,未提出の書面,預り金,原本の所在及び新しい弁護士への引継方法を確認してください。
事件終了時には,原本及び事件記録の返還又は保管,預り金及び実費の精算,成功報酬の算定,判決書又は和解調書の保管,今後必要となる登記,支払又は強制執行の有無を確認します。
第12 疑問があるときに確認する事項
方針又は説明に疑問があるときは,次の事項を具体的に確認すると,認識の違いを整理しやすくなります。
- 現在の目標と,次の期限は何か。
- 有利な事情,不利な事情及び不足している証拠は何か。
- 選べる手続又は解決案と,それぞれの利点,不利益,費用及び必要期間は何か。
- 勝訴又は和解後に,実際に回収できる見込みはどの程度か。
- 今回の委任に含まれる業務と,別途の委任及び費用が必要な業務は何か。
- 依頼者がいつまでに,何を判断し,又は準備する必要があるか。
重要な判断については,口頭の説明だけでなく,メールその他の記録に残る方法で確認することも有用です。
「弁護士が嫌がることは何ですか」と心配して,疑問や不利な事実を伝えるのを控える必要はありません。
見通し,方針,費用及び進捗について質問し,希望する解決と不安を伝えてください。
相手方に有利と思われる資料や,これまでの説明と違う事実も早めに共有することが,方針や証拠を正しく検討するために役立ちます。
希望する方針を伝えることと,虚偽の説明や証拠の改変を求めることは別です。
弁護士は,偽証や虚偽の陳述をそそのかしたり,虚偽と知りながら証拠を提出したりすることはできません。
資料の内容を変えずに保存し,訂正すべき説明があれば,事実,記憶が曖昧な点及び推測を分けて知らせてください。
連絡の行き違いを減らすため,緊急の期限,通常の連絡方法,担当窓口及び返信の目安を確認しておくことも有用です。
回答を急ぐ事情があるときは,期限と理由を具体的に伝えてください。
第13 出典・関連資料
任意整理・自己破産・個人再生を山中弁護士へ依頼した後の債務整理固有の注意事項は,重要事項説明書(任意整理・自己破産・個人再生)で説明しています。
山中弁護士へ離婚事件を依頼する方は、委任の範囲、資料の準備、子どもへの配慮、合意案の検討及び離婚成立後の手続を整理した重要事項説明書(離婚事件)もご確認ください。
相続事件をご依頼いただいた方は,重要事項説明書(相続事件)もご確認ください。
日本弁護士連合会「弁護士職務基本規程」19条,22条から24条まで,29条から32条まで,35条から38条まで,42条,43条,52条及び75条等。