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交通事故の信号サイクル表・信号現示階梯図―入手方法,読み方と信号色の立証(AI作成)

第1 信号資料で何を確認するか

信号のある交差点で双方が「自分は青だった」と主張する場合,信号サイクルに関する資料は,車両用・歩行者用・矢印の各表示とその時間的な関係を検討する手掛かりとなる。
ただし,周期や青信号の秒数が分かることと,事故の瞬間に特定の灯器が何色だったかが分かることは,同じではない。
事故当時の資料であるか,対象の灯器はどれか,どの時点を基準に秒数を数えるかを順に確認する必要がある。

本記事は,令和8年10月15日に確認した埼玉県警察の公文書開示請求書式,大阪府警察の情報公開案内及び令和6年1月の大阪地裁周辺の交差点に関する開示資料を基に,入手と検討の手順を説明する。
個別事件では,事故地を管轄する警察の現在の手続と,実際に交付された文書の説明・凡例を確認する。

1 信号サイクル表と信号現示階梯図

信号サイクルに関する資料を求めるときは,「サイクル表」という呼び方だけに頼らず,何年何月何日の何時ごろ,どの交差点で,どの方向の信号表示を確認したいかを具体化する。
埼玉県警察の専用書式は,対象日時と交差点の所在地・名称を記入し,信号秒数の分かる文書,現示階梯図及び図面を求める構成となっている。
文書名や作成形式が地域で同じであると決め付けず,請求先に対象を伝えて特定する方法が適切である。

一般に,現示階梯図では,図中の灯器又は交通流の記号と,時間の経過に伴う表示の組合せを対応させて読む。
単に「東西方向は青が何秒」と要約すると,右折矢印,歩行者用信号,又は一方だけが先に変わる表示を取り落とす可能性がある。

2 運用記録と設定資料を区別する

交付資料が事故時の運用を記録したものか,設定内容を示したものか,別の日の参考資料かを確認する。
表題だけで判定できない場合は,記載された対象日時,作成部署,注記及び回答文を確認し,なお不明な点を担当部署へ問い合わせる。
現在の信号を現地で計測した結果を,過去の事故時の記録に置き換えて扱うべきではない。

第2 事故直後に残しておく情報

信号資料の請求と並行して,事故前後を含むドライブレコーダーの原データ,周辺カメラの映像,現場写真及び目撃者の情報を確保する。
映像に事故の瞬間の信号が写っていなくても,直前又は直後の表示の変化が,他の資料と照合する基準となる可能性がある。
原データの保存方法は,https://yamanaka-bengoshi.jp/2026/09/27/drive-recorder-eizou-minji-soshou/で説明している。

相談時には,少なくとも次の情報を整理すると,対象文書と灯器を特定しやすい。

確認項目残す情報
対象日時事故年月日,推定時刻,時刻を知った資料及びずれの可能性
交差点所在地,交差点名,地図上の位置及び周辺の目印
各当事者の進行進入道路,進行方向,車線及び右左折・直進の別
対象信号車両用・歩行者用・矢印の別,灯器の位置及び向き
補助資料原動画,前後の信号変化,現場写真及び目撃位置

事故時刻に幅がある場合は,分単位の表示をそのまま正確な秒まで判明した時刻と扱わず,不確かさも伝える。
交差点の改修,灯器の移設又は車線構成の変更が疑われるときは,事故当時の図面と現在の現場を区別して保存する。

第3 情報公開請求による入手方法

1 請求先と請求制度を確認する

事故地の都道府県警察の情報公開窓口へ,対象交差点の信号資料を請求したい旨を相談する。
一般の行政文書の公開請求と,自分に関する保有個人情報の開示請求では,対象や手続が異なる。
埼玉県警察は,信号サイクルの専用書式を公文書の開示請求の欄に掲載し,自己の相談記録等の保有個人情報を請求する場合とは書式を分けている。

埼玉県警察の書式と記載例は,https://www.police.pref.saitama.lg.jp/a0020/kenke/yousiki.htmlに掲載されている。
この書式の宛先は埼玉県警察本部長であるが,他の都道府県で同じ宛先・様式をそのまま使用するという意味ではない。

大阪府警察は,行政文書公開請求書を窓口,郵送,ファックス又はインターネットで提出できると案内している。
文書の名称が分からない場合や初めて請求する場合は,府民応接センター情報公開・個人情報保護室に相談する案内がある。
手続は,https://www.police.pref.osaka.lg.jp/sogo/johokokai/kokaiseikyu/896.html及びhttps://www.police.pref.osaka.lg.jp/sogo/johokokai/kokaiseikyu/seikyu/893.htmlを確認されたい。

2 請求対象を具体的に書く

例えば,「令和○年○月○日○時○分から○時○分までの,○市○町所在の○交差点について,信号の表示順序・秒数及び灯器と進行方向の対応が分かる文書」という形で,日時と場所を特定する。
事故時刻の誤差を見込む必要がある場合は,その事情を説明して対象時間帯を相談する。
上記は請求対象の記載例であり,全国共通の公式様式又は開示を保証する文言ではない。

必要に応じて,対象日時の現示階梯図,表示秒数の資料,灯器配置図又は交通流図の有無を確認する。
設定の変更や特別な運用が問題となる事件では,その有無を判断できる既存文書についても,保有部署と請求対象を相談する。
請求すれば必ず新しい解析表を作成してもらえると考えず,保有されている文書の特定を進めることが基本となる。

3 保存期間を一律に決め付けない

信号関係の資料について,「どの警察でも保存期間は1年」と一律に案内するべきではない。
対象が設定資料か運用記録か,どの部署のどの期間の文書かを伝え,保存・保有状況と請求方法を早期に確認する。
窓口への問い合わせだけで請求が完了したと考えず,正式な請求書の提出状況と回答を記録する。

交付されなかった場合も,不存在,非公開,対象文書の特定不足等を同一視しない。
決定通知の対象文書と理由を確認し,対象日時や資料名の補足が必要かを検討する。
大阪府警察も,プライバシー,犯罪捜査への支障及び訴訟に関する書類等を理由に公開されない場合があると説明している(https://www.police.pref.osaka.lg.jp/sogo/johokokai/kokaiseikyu/892.html)。

第4 開示された図表の読み方

1 まず対象日時と灯器を照合する

最初に,交付文書の交差点名・対象日時が事故と一致するかを確認する。
次に,灯器の番号又は記号を交差点図・交通流図と対応させ,当事者が従うべき方向の信号を特定する。
対面の車両用信号,歩行者用信号及び右折矢印を,図上の近さだけで同じものと扱わない。

凡例で青・黄・赤,点滅及び矢印の表示方法を確認し,各段階の秒数を順に追う。
白黒の写しで判別しにくい場合は,色又は記号の意味が分かる写しや説明を求める。
交差点図が参考図であるとの注記がある場合は,距離・角度・停止線の位置をその図だけから実測値として読み取らない。

2 大阪の開示資料に見られる具体例

山中弁護士ブログで公開している「信号現示階梯図(令和6年1月当時の,大阪地裁周辺の22個の交差点に関するもの)」は,全37頁の資料である。
PDF1頁の大江橋南詰交差点の図は,対象日時を令和6年1月17日午前9時から午前10時までとし,周期・表示秒数は別紙による形式となっている。
PDF2頁には,周期の始まりと,各周期の段階別の秒数が記載されている。

同資料の注記は,照会対象日時の周期・表示秒数を示すこと,前後の時間帯には交通量等の変化に応じた変動があり得ること,交差点図は参考図であることを説明している。
この例からも,表題と1つの代表的な秒数だけを抜き出すのではなく,別紙及び注記を含めて読む必要がある。
この資料は令和6年1月の特定の交差点の例であり,別の日時・交差点の信号表示を直接証明するものではない。

資料全文は,https://yamanaka-bengoshi.jp/wp-content/uploads/2024/02/信号現示階梯図(令和6年1月当時の,大阪地裁周辺の22個の交差点に関するもの).pdfを参照されたい。

第5 事故時の信号色を検討する手順

1 基準となる出来事と時刻を決める

周期が一定であっても,基準時点が不明なままでは,時計の何時何分何秒に何色であったかは計算できない。
文書に周期の始まりが記載されている場合は,それがどの段階の始まりを意味するかを確認する。
映像上の信号変化を基準にする場合は,その灯器と図表上の灯器が一致すること,途中の録画に欠落がないこと及び対象時間帯に同じ条件を使えることを確認する。

ドラレコの画面表示時刻が,実際の時刻と一致していたかも別に検討する。
時刻のずれを補正した場合は,補正の根拠,計算方法及び残る誤差を記録し,映像の表示時刻を黙って書き換えた表を作らない。

2 停止線通過と衝突を分けて時系列を作る

事故の瞬間だけでなく,各車両が停止線付近を通過した時点,交差点に進入した時点及び衝突した時点を区別する。
信号変化との前後関係を検討する場面で,衝突時の表示から数秒前の表示を無条件に逆算してはならない。
車両の位置と時刻に関する根拠は,原動画のフレーム,現場の位置関係,実況見分記録及び目撃供述等に戻って示す。

時系列表の欄記載する内容
出来事灯器の表示変化,停止線通過,交差点進入又は衝突
原資料上の位置動画のファイル名・フレーム番号又は文書の頁・欄
時刻表示時刻,補正後の時刻又は相対時間と,誤差の幅
表示との対応対象灯器の記号,該当する周期・段階及び参照した秒数
評価の限界死角,欠落,図表の適用条件及び別の説明の可能性

3 仮定した計算と確認済みの事実を分ける

例えば,ある表示の変化が映像で確認でき,事故までの経過時間も分かる場合は,図表の秒数を使って事故時の表示を検討できることがある。
その場合でも,適用した周期,基準とした変化,経過時間及び時刻誤差を示す必要がある。
誤差の範囲に表示の切替えが含まれるなら,結論を1つの色に固定せず,どの条件で結論が変わるかを説明する。

信号資料から導いた結果が,当事者の供述,映像,車両の動き又は損傷と矛盾する場合は,資料の取り違え,時計のずれ,基準時点及び計算条件を再検討する。
信号資料の取得だけで過失割合が自動的に決まるわけではなく,事故態様と各当事者の具体的な行動を含めて評価する必要がある。

第6 交付後の保存と証拠化

開示決定通知,請求書の控え,交付資料の全頁及び担当部署から受けた説明を一緒に保存する。
一覧表や色分けした図を作る場合は,原資料を残し,加工した箇所と参照頁を明示する。
資料の説明を受けた日時,部署,質問と回答も記録しておくと,後から表の意味を確認しやすい。

刑事記録に信号関係資料が含まれているかも確認するが,行政文書の公開請求と刑事記録の閲覧・謄写は,別の手続として検討する。
刑事記録の入手方法は,https://yamanaka-bengoshi.jp/2020/03/24/keijikiroku-kiji/を参照されたい。
民事訴訟で提出する場合は,何を直接記録した文書で,どこからが他の証拠を組み合わせた推論かが分かる説明を付ける。

第7 出典及び関連記事

埼玉県警察「公文書・保有個人情報の請求書様式」。
https://www.police.pref.saitama.lg.jp/a0020/kenke/yousiki.html

埼玉県警察「公文書開示請求書(信号サイクル)」PDF2頁,及び「記載例(信号サイクル)」PDF1頁。
https://www.police.pref.saitama.lg.jp/documents/147/shingou.pdf
https://www.police.pref.saitama.lg.jp/documents/147/kisairei-sinngousaikuru.pdf

大阪府警察「情報公開の手続について」「インターネットによる行政文書公開請求について」「請求から文書を受け取るまで」。
各URLは第3に掲げたとおりである。

令和6年1月当時の大阪地裁周辺の交差点に関する信号現示階梯図,PDF1~2頁の対象日時,灯器方向・交通流図,別紙の表示秒数及び注記。
資料URLは第4の2に掲げたとおりである。

交通事故を山中弁護士へ相談する場合の予約から受任までの流れは,https://yamanaka-bengoshi.jp/koutuujiko-soudan-nagare/で案内している。