第1 この記事の対象と結論
本稿は,平成26年司法試験公法系第2問(行政法)を対象とする。
採石認可における保証の要求,要綱と裁量基準の関係,認可後の採取停止手段,周辺の森林所有者による義務付け訴訟を検討する。
出題の趣旨・採点実感を,判定対象が分かる54項目に整理し,1〜5の独自の重みを付した。
これは法務省の公式採点基準・項目別配点・予測得点ではない。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象問題 | 平成26年司法試験・公法系科目第2問(行政法) |
| 公式問題文 | 公法系科目・論文式試験問題 |
| 答案の基準時 | 平成26年5月14日の試験時点 |
| 問題の確認範囲 | 法務省PDFの6頁~12頁(第2問と資料1~3) |
| 趣旨の確認範囲 | PDF2頁の第2問見出しから3頁の民事系科目見出しの直前まで |
| 実感の確認範囲 | 法務省PDF(全科目83頁)の9頁~13頁(公法系第2問) |
| 主要事項 | 認可裁量・要綱の性質,保証と採取計画の区別,撤回,非申請型義務付け |
| 項目数・重み | N=54,n5=23,W=225(全公開項目の重み合計) |
| 判例の扱い | 条文と本件事実による構成。個別の裁判例を名指しした引用はない。 |
| 答案分量 | 改行を除いて4156字 |
| 関連記事・年度の案内 | 第6を参照 |
| 確認日 | 令和8年11月1日 |
本稿の答案例は,設問1の拒否処分を違法と考える。
設問2では指定に従って拒否適法説を前提にし,法定の監督処分と一般法理による撤回を区別した上で,提示事実だけで直ちに採取をやめさせることには慎重な結論を採る。
設問3ではDの原告適格を肯定し,重大な損害のおそれの立証が補充されない限り訴えは不適法とする。
答案本文は第5の2,重み5・4及び条件付き項目との対応は第5の3に示す。
各結論は論証を伴う一例であり,公式資料が唯一の結論を指定したという意味ではない。
第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方
各項目は,公式資料の文章をそのまま採点表にしたものではなく,何を充足したかを確認できる単位へ再構成したものである。
出典列にはPDF頁・節と短い抜粋又は要旨を示す。
「間接」は一般的な要求から当該項目へ具体化した部分,「記載なし」は公式資料の第2問部分に当該点を直接述べる記載が見当たらないことを示す。
「注意」は誤りを避ける観点であり,重みと別の性質を示す。
適用条件と採用構成を先に確認し,同じ誤りを肯定項目の不充足と注意項目の違反で重ねて評価しない。
複数の処分候補を検討することと,それらが同時に成立することも区別する。
2 5段階の重み付けの基準
5:その設問の判断を大きく分ける核心。
4:結論を理由付きで支える主要な論証・当てはめ。
3:通常押さえる法的処理・事情の評価。
2:論証を補強する説明・個別事情・誤りの注意。
1:補充的な引用・記述範囲の確認。
重みは各項目の役割から個別に判断し,段階別の件数を割り当てていない。
注意項目もNとWに含める。
手書き答案に関する項目は本電子テキストには非適用であり,別の答案へ適用するときはその条件を確認する。
第3 本問の概要
1 問題文と事実関係
問題の全文と法令資料は法務省の公法系問題PDFを参照されたい。
以下では第2問に必要な事実を整理する。
採石業者Aは,B県知事へ採取計画の認可を申請し,要綱に従ってC組合との保証契約の保証書を添付した。
5年間の認可を受けて採取を始めたが,当初から契約を続ける意思はなく,1か月後に解除した。
Aは県内で突出して規模が大きく,財務状況は良好で,跡地防災措置の資金も確保している。
B県の要綱は,小規模業者が多く防災措置の不履行例もあることを背景に,地元C組合の代替履行保証を求める。
他県には複数業者の保証や資金計画のみを求める運用もある。
保証は法定の採取計画事項とされておらず,Aの計画にも記載されていないが,Eは保証書と計画を一体と考えている。
Dは採取場から下方約10メートルの土地に森林を所有して林業を営む。
現地には居住していない。
跡地防災措置が行われない場合の土砂災害を懸念し,知事に採取をやめさせる処分をさせる訴訟を検討している。
2 設問が求めること
| 設問 | 立場・対象 | 指定・仮定・除外 | 答えるべき到達点 |
|---|---|---|---|
| 1 | Eから依頼を受けた弁護士Fとして,保証を欠く申請への認可拒否を検討する。 | 仮にAがC組合の保証を受けずに申請した場合。法・省令と要綱の性質・効果を検討する。 | 拒否処分の適法性を,制度一般とAへの適用を分けて判断する。 |
| 2 | 認可後,Aの採取をやめさせる処分を検討する。 | 設問1の拒否処分を適法とする考え方を前提とする。候補を複数挙げる。 | 法定処分の要件と,明文なしの撤回の可否・制限まで論じる。 |
| 3 | 設問2の処分をさせるDの抗告訴訟を検討する。 | 法定抗告訴訟の例を具体的に一つ挙げる。仮の救済は除外する。 | 非申請型義務付けの訴訟要件を本件事実に当てはめ,適法性を判断する。 |
問題文の配点割合は設問1・2・3の順に5:2.5:2.5である。
この配点割合と,第4の項目別の独自重みとは別のものである。
第4 評価項目と重み
1 設問1
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 採石認可の性質と根拠法令から知事の裁量の有無・範囲を基礎付ける | 5 | [PDF2頁・設問1]「採石認可の性質を踏まえて」 | 間接:根拠法令の解釈と知事の裁量の理解(PDF9頁・3(1)) |
| 2 | 法33条の2第4号が防災の方法・施設を計画事項とすることを,保証との関連で検討する | 4 | [PDF2頁・設問1]「法第33条の2第4号」 | [PDF11頁・4(2)]「採石法第33条の2第4号」 |
| 3 | 法33条の3第2項による添付書類の省令委任を,保証書要求の根拠・限界に結び付ける | 4 | [PDF2頁・設問1]添付書類を省令へ委任する規定の検討 | 間接:採石法・施行規則の関係規定の指摘(PDF9頁・3(1)) |
| 4 | 規則8条の15第2項10号の資金計画書要求から,防災措置の実行確保が認可審査に関係することを示す | 4 | [PDF2頁・設問1]「法施行規則第8条の15第2項第10号」 | [PDF11頁・4(2)]「法施行規則第8条の15第2項第10号」 |
| 5 | 公共の福祉という抽象的要件及び地域ごとの実情から保証考慮の裁量を論じる | 5 | [PDF2頁・設問1]「その必要性の有無や程度は地域の実情によって異なり得る」 | 間接:裁量を認める法令解釈の要求(PDF9頁・3(1)) |
| 6 | 要綱を私人への法的拘束力がない行政規則と位置付ける | 5 | [PDF2頁・設問1]「法規命令と異なり」 | [PDF9頁・3(1)]「私人に対し」 |
| 7 | 【注意】要綱そのものを法33条の7の附款・条件又は条例と混同しない | 4 | 間接:要綱の法的性質と認可条件の区別(PDF2頁~3頁) | [PDF11頁・4(2)]「条例論の枠組み」 |
| 8 | 要綱を認可裁量の具体化である裁量基準・審査基準として検討する | 5 | [PDF2頁・設問1]「裁量基準(行政手続法上の審査基準)」 | [PDF9頁・3(1)]「本件要綱を裁量基準と解して」 |
| 9 | 基準が合理的なら必要書類の添付を求め得るという接続を示す | 4 | [PDF2頁・設問1]「必要な書類の添付を求めることも適法といえないか」 | 間接:関係規定と要綱の性質・効果の検討(PDF9頁・3(1)) |
| 10 | 小規模業者の比率・多額の防災費用・B県の不履行実態から保証一般の合理性を検討する | 4 | [PDF2頁・設問1]「採石業及び跡地防災措置の実態」 | 間接:C保証の合理性の具体的検討(PDF9頁・3(1)) |
| 11 | 地元の特定事業者団体C組合に保証人を限定する合理性を具体的に検討する | 5 | [PDF2頁・設問1]「C組合という地元の特定の事業者団体」 | [PDF9頁・3(1)]「地元の特定の事業者団体」 |
| 12 | 裁量基準を一律機械的に適用せず,内容の合理性に応じた例外を検討する | 5 | [PDF2頁・設問1]「どの程度例外を認める趣旨か」 | [PDF9頁・3(1)]「内容の合理性に応じて例外を認める必要」 |
| 13 | Aの事業規模・経営状況等からC保証を要求する個別適用の適法性を論じる | 5 | [PDF2頁・設問1]「Aの事業規模や経営状況等の事実関係」 | [PDF9頁・3(1)]「Aの事業規模や経営状況等」 |
| 14 | 法令解釈・要綱の性質効果・本件適用を論理的に関係付ける | 4 | [PDF2頁・設問1]「認可申請拒否処分の関係を的確に論じなければならない」 | [PDF9頁・3(1)]「相互を論理的に関係付けて」 |
| 15 | 【注意】保証を受けずに申請したという設問1の仮定を守る | 4 | 間接:[PDF2頁・冒頭]「要綱どおりの保証を受けずになされた認可申請」 | [PDF10頁・4(1)]「仮に」の読み落としへの注意 |
2 設問2
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 16 | 【注意】拒否処分を適法とする指定前提と,現に認可済みという時点を守る | 5 | 記載なし(当該点の明示) | [PDF12頁・4(3)]拒否違法を前提とした答案への注意 |
| 17 | 採取をやめさせる具体的な取消し・停止等の処分を複数掲げる | 5 | [PDF2頁・設問2]「Aに岩石採取をやめさせるために採り得る処分」 | [PDF9頁・3(2)]「採石認可の取消し又は岩石採取の停止」 |
| 18 | 保証契約の継続が認可の条件・附款に取り込まれたといえるかを検討する | 4 | [PDF3頁・設問2]「保証契約の継続が認可の「条件」」 | 間接:法33条の12の適用上の問題(PDF9頁・3(2)) |
| 19 | 保証が法定計画事項でも実際の計画記載でもない点と,保証を前提に認可した点を対比する | 5 | [PDF3頁・設問2]「跡地防災保証は採取計画に定めるべき事項」 | 間接:法33条の12の具体的当てはめ(PDF9頁・3(2)) |
| 20 | 当初から継続意思を欠き1か月後に解除したことが不正手段に当たるかを論じる | 5 | [PDF3頁・設問2]「契約を継続する意思なく」 | 間接:関係規定の過誤のない当てはめ(PDF9頁・3(2)) |
| 21 | 法33条の13第1項の緊急の必要を本件事実に当てはめる | 5 | [PDF3頁・設問2]「災害の防止のため緊急の必要」 | 間接:法33条の13の当てはめ(PDF9頁・3(2)) |
| 22 | 認可要件の後発的消滅による撤回を明文なしに行えるか論じる | 5 | [PDF3頁・設問2]「法に直接明文の規定がなくても可能」 | [PDF9頁・3(2)]「法律の明文の根拠なしに採石認可を撤回できるか」 |
| 23 | 33条の12が一定の命令違反等を要件とすることと一般撤回の関係を検討する | 5 | [PDF3頁・設問2]「一定の命令違反等を認可の撤回の要件」 | 間接:明文なし撤回の可否と制限(PDF9頁・3(2),12頁・4(3)) |
| 24 | Aの不利益を考慮しても撤回すべき公益上の必要性が高いかを比較する | 5 | [PDF3頁・設問2]「Aが被る不利益」 | 間接:授益処分の撤回制限(PDF12頁・4(3)) |
| 25 | 関係規定の当てはめと撤回の可否を,あり得る反論を想定して説得的に論じる | 4 | 記載なし(当該点の明示) | [PDF10頁・3(2)]「あり得る反論も想定しながら」 |
| 26 | 【注意】保証契約締結の強制や刑事罰を,採取停止の行政処分の代用にしない | 3 | 記載なし(当該点の明示) | [PDF12頁・4(3)]「「保証契約を締結させるための手段」」 |
| 27 | 法33条の13第1項の採取停止と第2項の防災措置命令を区別する | 4 | 記載なし(当該点の明示) | [PDF12頁・4(3)]「第1項と第2項が書き分けられている」 |
| 28 | 授益的行政処分であることから,撤回に対する制限を本件で論じる | 5 | 間接:[PDF3頁・設問2]「なおそれを撤回すべき公益上の必要性が高いと認められるか」 | [PDF12頁・4(3)]「授益的行政処分である以上,撤回は制限」 |
| 29 | 職権取消しの原始的瑕疵と,撤回の後発事情を区別する | 4 | 記載なし(当該点の明示) | [PDF12頁・4(3)]「撤回と職権取消しとの違い」 |
3 設問3
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 30 | Dの求めを非申請型義務付け訴訟として具体的に特定する | 5 | [PDF3頁・設問3]「非申請型義務付け訴訟」 | [PDF10頁・3(3)]「非申請型(直接型)義務付け訴訟」 |
| 31 | 一定の処分について,処分性にとどまらず求める処分の特定の程度を説明する | 5 | [PDF3頁・設問3]「一定の処分」 | [PDF12頁・4(4)]「処分の特定の程度」 |
| 32 | 重大な損害を生ずるおそれを回復困難性・性質程度・本件事実から検討する | 5 | [PDF3頁・設問3]「重大な損害を生ずるおそれ」 | [PDF12頁・4(4)]「「重大な損害」の要件」 |
| 33 | 重大な損害要件の趣旨を,差止訴訟の制度構造と混同せず説明する | 3 | 記載なし(当該点の明示) | [PDF12頁・4(4)]「「重大な損害」の要件の趣旨」 |
| 34 | 他に適当な損害回避方法がないかを具体的に検討する | 4 | [PDF3頁・設問3]「損害を避けるため他に適当な方法が」 | 間接:問題となる訴訟要件の検討(PDF10頁・3(3)) |
| 35 | Dの法律上の利益について根拠法令と利益の個別的保護を論じる | 5 | [PDF3頁・設問3]原告適格を本件事実から検討する要旨 | [PDF10頁・3(3)]「Dの利益が個別的利益として保護」 |
| 36 | 法1条だけでなく法33条の4の林業利益保護を原告適格に接続する | 5 | [PDF3頁・設問3]「法第33条の4が林業の利益」 | [PDF12頁・4(4)]「同法第33条の4の認可の基準」 |
| 37 | 下方10メートルの森林所有者Dに土砂災害による所有権侵害のおそれがある点を当てはめる | 5 | [PDF3頁・設問3]「10メートル下方に森林を所有」 | 間接:本件事実に即した原告適格(PDF10頁・3(3)) |
| 38 | 森林所有権に加え,林業の利益が損なわれる点まで個別的利益として説明する | 5 | [PDF3頁・設問3]「所有権及び林業の利益」 | [PDF10頁・3(3)]「森林の所有権のみならず林業の利益」 |
| 39 | 【注意】Dが現地に居住しているという事実を作らない | 4 | 記載なし(当該点の明示) | [PDF12頁・4(4)]「Dは現地に居住していない」 |
| 40 | 【注意】処分をさせる訴えの代わりに取消訴訟・差止訴訟を解答の主類型にしない | 4 | 記載なし(当該点の明示) | [PDF12頁・4(4)]「取消訴訟や差止訴訟を挙げて」 |
4 答案全体
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 41 | 問題文・会議録の指示と基本事実を正確に把握する | 4 | [PDF2頁・冒頭]「問題文と資料から基本的な事実関係を把握し」 | [PDF9頁・2]「問題文及び会議録中の指示に従って」 |
| 42 | 関係法令の趣旨・構造を分析して具体的な問いに答える | 4 | [PDF2頁・冒頭]「法及び法施行規則の趣旨を読み解いた上で」 | [PDF9頁・2]「関係法令の趣旨・構造を正確に分析」 |
| 43 | 法律論の思考過程を整理し,具体的事情に基づく多面的な理由を示す | 4 | 間接:[PDF2頁・設問2]「多面的に検討しなければならない」 | [PDF9頁・2]「多面的で説得力のある法律論」 |
| 44 | 【注意】知識や条文の羅列だけで結論を導かない | 3 | 記載なし(当該点の明示) | [PDF9頁・2]「知識の量に重点を置くものではない」 |
| 45 | 条番号・引用を正確に記載する | 3 | 記載なし(当該点の明示) | [PDF10頁・4(1)]「条文の引用が不正確」 |
| 46 | 【注意】【適用条件:手書き答案のみ】手書き答案では第三者が適法・違法等を判読できる文字を書く | 2 | 記載なし(当該点の明示) | [PDF10頁・4(1)]「「適法」か「違法」か判読」 |
| 47 | 誤字・脱字・当て字を避け,撤回等の基本用語を正しく書く | 2 | 記載なし(当該点の明示) | [PDF10頁・4(1)]「誤字,脱字,当て字」 |
| 48 | 冗長さを避け,文意と構成を明確にする | 3 | 記載なし(当該点の明示) | [PDF10頁~11頁・4(1)]「冗長で文意が分かりにくい」 |
| 49 | 各論述の冒頭でテーマ・問題意識を示す | 2 | 記載なし(当該点の明示) | [PDF11頁・4(1)]「これから論じるテーマ」 |
| 50 | 結論に至る理由と論理の根拠を示す | 4 | 記載なし(当該点の明示) | [PDF11頁・4(1)]「結論を提示するだけで,理由付けがほとんどない」 |
| 51 | 【注意】問題文事実の引写しだけで済ませず法的評価を加える | 4 | 記載なし(当該点の明示) | [PDF11頁・4(1)]「引き写したにとどまり」 |
| 52 | 【注意】抽象的な訴訟要件を掲げるだけで本件の当てはめを省かない | 3 | 記載なし(当該点の明示) | [PDF11頁・4(1)]「要件を掲げただけで抽象的」 |
| 53 | 【注意】職権取消し・撤回・附款・裁量基準・解釈基準・行政規則の役割を混同しない | 3 | 記載なし(当該点の明示) | [PDF11頁・4(1)]「附款や裁量基準,解釈基準,行政規則」 |
| 54 | 設問1に比重を置きつつ設問3まで必要な論述を完結する | 3 | 記載なし(当該点の明示) | [PDF10頁・4(1)]「時間不足のために論述が不十分」 |
5 重みの分布
重み5:23項目,重み4:20項目,重み3:8項目,重み2:3項目,重み1:0項目であり,総数は54項目,重み合計は225である。
重み5は,認可裁量・要綱の性質と例外,C保証の個別適用,主要な監督処分・撤回,義務付けの類型・特定・重大損害・原告適格に関わる項目である。
対応番号は1・5・6・8・11・12・13・16・17・19・20・21・22・23・24・28・30・31・32・35・36・37・38である。
第5 模範解答
1 答案の前提と表記
答案は試験時の法令と問題掲載資料を前提とし,Eに助言するFの立場で構成する。
階層は「1→(1)」とし,必要な反論を各論点の中で扱う。
本稿では個別判例の判示を名指しして援用していない。
答案本文は改行を除いて4156字である。
不正手段該当性と明文なし撤回については,答案で採る解釈を明示する。
別の結論を採る場合も,その規範・事実評価・結論を一貫させる必要がある。
設問2の指定前提は設問1の自説で覆さない。
2 答案
1 設問1
(1) 要綱の性質と法令上の根拠
本件要綱は知事が定めた行政内部の基準であり,法律の委任に基づく法規命令ではない。
また,個別処分に付される附款や条例そのものでもない。
したがって,要綱違反を独立の理由として認可を拒否することはできない。
採石法33条の3第2項は添付書類を省令に委任し,採石法施行規則(以下「規則」という。)8条の15第2項10号は跡地防災の資金計画書,11号はその他参考となる事項の図面・書面を求める。
保証書が審査資料となることは認め得るが,11号は参考書面の規定であり,C組合の保証という実体的認可要件を知事が自由に追加できる授権とは読めない。
法33条の2第4号は防災の方法・施設を計画事項とし,規則8条の14は追加事項を定めるが,保証自体を必須事項としていない。
もっとも,法1条は採取に伴う災害防止を目的とし,33条の4は他人への危害,公共施設の損傷,林業等の利益の侵害を考慮して認可を拒否する基準を置く。
採取跡地の防災措置を確実に実施できるかは,こうした災害の防止に関わる。
よって,保証の有無を同条の審査に用いることまで禁止されない。
(2) 審査基準としての合理性と本件への適用
採石認可は,岩石採取の一般的禁止を解除する許可としての性格を有するから,知事が自由に許否を決められるわけではない。
他方,法33条の4は『公共の福祉に反すると認めるとき』という抽象的要件を置き,将来の災害を予測する専門的判断を含む。
保証の必要性・程度は地域の業界構造や不履行の実情によっても異なるため,その判断に合理的な範囲の裁量を認める。
その具体化として要綱を行政手続法上の審査基準である裁量基準と扱うことはできるが,法定の判断対象に関わり,目的に照らし合理的でなければならない。
合理的な基準の審査に必要であれば,規則11号の参考書面として保証書の添付を求めることもできる。
ただし,書類要求の適法性は実体的な基準の合理性と連動し,書類の規定だけでC保証を独立の法定要件にすることはできない。
裁量の存在を要綱そのものから導くことはできない。
B県では小規模業者が多く,防災費用が多額で,措置の不履行例も多い。
破産等の場合の代替履行を確保する保証を求める必要は認められる。
地元の業者団体であるC組合は現場の事情を把握し,代替実施を期待できるとの反論も成り立つ。
しかし,保証一般の必要性と,すべての業者にC組合だけの保証を要求する必要性は異なる。
他県には他業者の保証や資金計画のみで足りる運用もあり,代替手段の実効性を検討すべきである。
従来は指導に従って保証書が提出されたというだけであり,保証のない申請を拒否する適法な先例が蓄積したとはいえない。
基準自体に一般的な合理性があっても,それを一律機械的に適用してよいとは限らず,その合理性の理由に照らして例外を認めるべき場合がある。
Aは県内では突出して規模が大きく,財務が良好で防災資金も確保している。
この具体的な履行能力を検討せず,一般的な大企業ではないというだけでC組合の保証を強いるのは過度である。
他業者の保証が同等に実効的なら,それを排除する必要性も乏しい。
割高の保証料やC役員との対立も,不必要な負担を課していないかの検討を要する。
したがって,要綱を独立の法規として拒否することはできず,審査基準と捉えても,提示された事情だけでAに画一的に適用して拒否することは,法定基準の解釈適用を誤り又は裁量の合理的範囲を逸脱し,違法と考える。
2 設問2
以下は設問の指定に従い,保証を欠く申請への認可拒否が適法であるとの考え方を前提とする。
(1) 法33条の12による取消し又は停止
一号の『条件』は認可の法定要件の意味ではなく,個別認可に付された附款を指す。
保証維持を黙示の負担として認可に取り込んだとの見方はあり得る。
しかし,要綱上の要求や申請時の保証書提出だけで,認可後も保証を維持する附款が当然に成立するとはいえない。
個別認可に維持義務が付された事実が示されていない本件で,一号を適用するのは難しい。
二号の計画遵守義務違反も認め難い。
計画には緑化等の防災措置が記載されるが,保証は法定の計画事項でなく,本件計画にも記載されていない。
保証書と計画が審査上一体であるというEの説明だけで,保証解除を計画違反に読み替えることはできない。
計画違反は法43条3号の刑罰にも接続するため,文言を離れた拡張は慎重であるべきである。
三号の前提となる緊急措置命令違反も,与件上これを認める事情がない。
四号については,当初から継続意思を欠き,認可の1か月後に解除した点から,保証を継続する外観を作って認可審査を潜脱したとの評価が可能である。
契約が私法上有効でも,不正性が当然に否定されるわけではない。
もっとも,取消しに結び付く『不正の手段』として,認可時の要件充足に関する重要な事項を偽装し,審査を誤らせたといえるかを検討すべきである。
認可時には実際に契約が締結され,その保証書が提出されており,将来の保証維持についてどのような表示や約束をしていたかは示されていない。
本答案では,内心の不継続意思と後発解除だけで不正取得を断定せず,四号による処分は直ちには困難と解する。
ただし,最初から形だけの保証を作出し継続を装ったと認定できれば,取消し又は停止を認める余地がある。
(2) 一般法理による認可の撤回
当初存在した保証が消滅したことは,原始的な瑕疵による職権取消しではなく,後発事情による撤回の問題である。
法1条の災害防止目的は認可後も確保される必要があるため,本答案は,認可の基礎事情が後に変動して存続が公益を害する場合,必要な限度で認可権限に基づく撤回を認める解釈を採る。
33条の12は命令・計画違反や不正取得等への監督処分を定めるが,違反とは別の後発事情の変動を含め,撤回を全面的に排除する趣旨までは明示していない。
他方,保証欠缺だけで常に撤回できるとすれば,同条が一定の違反等を要求する統制を潜脱する。
本件認可はAに岩石採取を可能にする授益的行政処分であるから,撤回は当然に自由ではない。
そのため,Aが被る採取事業の中断と5年の認可期間を見込んだ営業利益の喪失を具体的に考慮し,なお撤回すべき公益上の必要性が高いかを厳格に判断する。
Aは当初から保証を続ける意思を欠いたため,保証存続を前提とする認可への信頼の保護は弱い。
他方,財務は良好で資金も確保されており,保証消滅だけで防災措置が行われなくなるとはいえない。
代替保証等のより穏当な手段も検討すべきである。
したがって,撤回という処分類型を当然に否定することはできないが,本件で直ちに撤回するには,必要性と相当性を裏付ける事情が不足する。
(3) 法33条の13による停止等
同条1項は災害防止のため緊急の必要がある場合に採取停止を命じ得るが,保証消滅のみでは緊急性は明らかでなく,Aの資力や資金確保はむしろ直ちに停止する必要を弱める。
2項は法33条又は33条の8違反等を前提とする防災措置命令であり,本件では与件上その違反を認める事情がなく,かつ採取停止を当然に命じる根拠でもない。
よって,提示事実だけで直ちにこれらの命令を発することも困難である。
3 設問3
(1) 訴えの特定
Dが,知事に対し本件認可を撤回する処分をすべき旨の判決を求める非申請型義務付け訴訟を,B県を被告として提起する例を考える(行訴法3条6項1号,37条の2,38条1項・11条)。
Dは,B県知事がAにした本件採取場に係る5年間の採取計画認可を撤回する処分を求めるものとし,対象認可・処分庁・相手方・求める法的効果を特定する。
単に『何らかの処分で採取を止めよ』とせず,裁判所が判断する対象が画定されるから,『一定の処分』の特定を満たす。
処分性を述べるだけでは足りない。
Dに処分を求める法令上の申請権があるとはされていないため,申請型や不作為違法確認訴訟ではない。
(2) 原告適格
37条の2第3・4項,9条2項により,根拠法令の趣旨目的,考慮すべき利益の内容性質,侵害の態様程度を踏まえ,Dの利益が個別に保護されるか判断する。
法1条の災害防止目的に加え,33条の4は他人への危害と林業の利益を明示する。
災害の影響を直接受ける周辺の森林所有者・林業者の財産及び営業利益は,一般公益に吸収し尽くされない。
Dは採取場の下方約10メートルで森林を所有し林業を営み,土砂災害の直接の被害を受け得る位置にある。
居住していなくても,この利益保護は否定されない。
よって原告適格は認められると考える。
(3) 重大な損害のおそれ
法令上の申請権がない者から行政権の発動を求める以上,救済の必要性が高い場合に限る趣旨で,37条の2第1・2項は重大な損害のおそれを求める。
処分がされることによる損害を避ける差止訴訟と異なり,本件は必要な処分がされないことによる損害を問題とする。
回復の困難性,損害の性質程度,処分の内容性質を考慮し,緊急性や『償うことのできない損害』という別の要件へ置き換えない。
森林が土砂で破壊されれば育成に長期間を要し,財産・林業被害も軽微ではない。
しかし,損害が重大であることと,その発生のおそれがあることは別である。
Aには防災資金と良好な財務があり,現時点で措置が履行されない具体的事情は乏しい。
保証解除とDの不安だけでは,重大な損害を生ずるおそれを認めるには不足すると考える。
これが証明されない限り訴えは不適法となる。
(4) 補充性等
他に適当な損害回避方法がないことも必要である。
事後の金銭賠償は森林の破壊を防止しない。
Aへの民事差止めが考えられても,その要件,時期,実効性を比較せず,形式的な存在だけで補充性を否定できない。
当初認可の取消訴訟も,認可時には保証が存在した以上,後発事情への救済として適切かを別途吟味する必要がある。
知事に裁量があるから当然に訴えを提起できないわけではない。
処分をしないことが裁量逸脱濫用か等は行訴法37条の2第5項の本案要件であり,以上の訴訟要件と区別する。
仮の救済は検討しない。
以上
3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説
(1) 答案と評価項目の対応
答案1は第4の設問1の項目,答案2は認可後の各処分・撤回の項目,答案3は非申請型義務付けの項目に対応する。
答案全体に関する項目は各設問の構成と表記を通じて確認する。
例えば,認可裁量の出発点は番号1,基準の合理性と例外は番号11〜13,撤回の根拠と制限は番号22〜24,林業利益の個別的保護は番号35〜38に対応する。
重み3以下の番号26・33・44・45・47・48・49・52・53・54は,各設問の手段・要件の整理,又は答案全体の文章・概念の精度を通じて確認する。
第4の重み5・4の項目及び条件付きの項目について,模範解答との対応を次の表に示す。
| 番号 | 重み | 評価項目 | 答案の該当箇所・留保 |
|---|---|---|---|
| 1 | 5 | 採石認可の性質と根拠法令から知事の裁量の有無・範囲を基礎付ける | 答案1(2) |
| 2 | 4 | 法33条の2第4号が防災の方法・施設を計画事項とすることを,保証との関連で検討する | 答案1(1) |
| 3 | 4 | 法33条の3第2項による添付書類の省令委任を,保証書要求の根拠・限界に結び付ける | 答案1(1) |
| 4 | 4 | 規則8条の15第2項10号の資金計画書要求から,防災措置の実行確保が認可審査に関係することを示す | 答案1(1) |
| 5 | 5 | 公共の福祉という抽象的要件及び地域ごとの実情から保証考慮の裁量を論じる | 答案1(2) |
| 6 | 5 | 要綱を私人への法的拘束力がない行政規則と位置付ける | 答案1(1) |
| 7 | 4 | 【注意】要綱そのものを法33条の7の附款・条件又は条例と混同しない | 答案1(1) |
| 8 | 5 | 要綱を認可裁量の具体化である裁量基準・審査基準として検討する | 答案1(2) |
| 9 | 4 | 基準が合理的なら必要書類の添付を求め得るという接続を示す | 答案1(2) |
| 10 | 4 | 小規模業者の比率・多額の防災費用・B県の不履行実態から保証一般の合理性を検討する | 答案1(2) |
| 11 | 5 | 地元の特定事業者団体C組合に保証人を限定する合理性を具体的に検討する | 答案1(2) |
| 12 | 5 | 裁量基準を一律機械的に適用せず,内容の合理性に応じた例外を検討する | 答案1(2) |
| 13 | 5 | Aの事業規模・経営状況等からC保証を要求する個別適用の適法性を論じる | 答案1(2) |
| 14 | 4 | 法令解釈・要綱の性質効果・本件適用を論理的に関係付ける | 答案1(2) |
| 15 | 4 | 【注意】保証を受けずに申請したという設問1の仮定を守る | 答案1(2) |
| 16 | 5 | 【注意】拒否処分を適法とする指定前提と,現に認可済みという時点を守る | 答案2の冒頭 |
| 17 | 5 | 採取をやめさせる具体的な取消し・停止等の処分を複数掲げる | 答案2(1)〜(3) |
| 18 | 4 | 保証契約の継続が認可の条件・附款に取り込まれたといえるかを検討する | 答案2(1) |
| 19 | 5 | 保証が法定計画事項でも実際の計画記載でもない点と,保証を前提に認可した点を対比する | 答案2(1) |
| 20 | 5 | 当初から継続意思を欠き1か月後に解除したことが不正手段に当たるかを論じる | 答案2(1) 不正取得を断定しない立場を採るが,継続保証を装う反論も扱う。 |
| 21 | 5 | 法33条の13第1項の緊急の必要を本件事実に当てはめる | 答案2(3) |
| 22 | 5 | 認可要件の後発的消滅による撤回を明文なしに行えるか論じる | 答案2(2) 無明文撤回を一定範囲で認める解釈を採用し,列挙規定との整合性を論じる。 |
| 23 | 5 | 33条の12が一定の命令違反等を要件とすることと一般撤回の関係を検討する | 答案2(2) 無明文撤回を一定範囲で認める解釈を採用し,列挙規定との整合性を論じる。 |
| 24 | 5 | Aの不利益を考慮しても撤回すべき公益上の必要性が高いかを比較する | 答案2(2) |
| 25 | 4 | 関係規定の当てはめと撤回の可否を,あり得る反論を想定して説得的に論じる | 答案2(1)〜(3) |
| 27 | 4 | 法33条の13第1項の採取停止と第2項の防災措置命令を区別する | 答案2(3) |
| 28 | 5 | 授益的行政処分であることから,撤回に対する制限を本件で論じる | 答案2(2) |
| 29 | 4 | 職権取消しの原始的瑕疵と,撤回の後発事情を区別する | 答案2(2) |
| 30 | 5 | Dの求めを非申請型義務付け訴訟として具体的に特定する | 答案3(1) |
| 31 | 5 | 一定の処分について,処分性にとどまらず求める処分の特定の程度を説明する | 答案3(1) |
| 32 | 5 | 重大な損害を生ずるおそれを回復困難性・性質程度・本件事実から検討する | 答案3(3) 重大性と発生のおそれを分け,現資料での立証不足を結論とする。 |
| 34 | 4 | 他に適当な損害回避方法がないかを具体的に検討する | 答案3(4) |
| 35 | 5 | Dの法律上の利益について根拠法令と利益の個別的保護を論じる | 答案3(2) |
| 36 | 5 | 法1条だけでなく法33条の4の林業利益保護を原告適格に接続する | 答案3(2) |
| 37 | 5 | 下方10メートルの森林所有者Dに土砂災害による所有権侵害のおそれがある点を当てはめる | 答案3(2) |
| 38 | 5 | 森林所有権に加え,林業の利益が損なわれる点まで個別的利益として説明する | 答案3(2) |
| 39 | 4 | 【注意】Dが現地に居住しているという事実を作らない | 答案3(2) |
| 40 | 4 | 【注意】処分をさせる訴えの代わりに取消訴訟・差止訴訟を解答の主類型にしない | 答案3(1) |
| 41 | 4 | 問題文・会議録の指示と基本事実を正確に把握する | 答案全体の構成・記述。 |
| 42 | 4 | 関係法令の趣旨・構造を分析して具体的な問いに答える | 答案全体の構成・記述。 |
| 43 | 4 | 法律論の思考過程を整理し,具体的事情に基づく多面的な理由を示す | 答案全体の構成・記述。 |
| 46 | 2 | 【注意】【適用条件:手書き答案のみ】手書き答案では第三者が適法・違法等を判読できる文字を書く | 本稿は電子テキストのため手書き条件は非適用。 手書きの判読性を本電子稿の合格・不合格に換算しない。 |
| 50 | 4 | 結論に至る理由と論理の根拠を示す | 答案全体の構成・記述。 |
| 51 | 4 | 【注意】問題文事実の引写しだけで済ませず法的評価を加える | 答案全体の構成・記述。 |
(2) 設問1
出題の趣旨は,認可の性質と関係法令から裁量の範囲を論じ,その裁量を前提とする要綱の合理性と例外を検討することを求める。
採点実感も,法令解釈・要綱の性質効果・個別適用を論理的に結び付けたかによって評価を分けている。
答案は,要綱に直接の法規性がないことだけで終えず,合理的な裁量基準として保証書を求め得る経路も示した。
保証一般の合理性とC限定の合理性を分け,さらにAの資力を例外・個別適用の問題へ戻している(番号6・8・9・10・11・12・13・3・4)。
(3) 設問2
出題の趣旨は,認可の条件・採取計画・不正手段・緊急性と,明文なし撤回の可否及び制限を多面的に検討することを求める。
採点実感は,処分の名前を挙げるだけでなく,関係規定に本件事実を当てはめ,あり得る反論を扱う点を重視する。
答案は,保証書が審査上重要であったことを,附款の成立や計画記載の存在と同一視していない。
私法上有効な保証でも審査を潜脱する不正性があり得るとの反論を扱い,採用する否定的結論の理由も示す。
撤回では後発事情と法33条の12の列挙を区別した上で,公益とAの営業上の不利益を比較する(番号18・19・20・22・23・24・28・29)。
計画違反と刑罰規定の接続を文理解釈の補助に用いる部分は,公式資料に独立の評価項目として明示されていない補足である。
刑事罰を採取停止の行政処分の代わりに挙げる趣旨ではない。
(4) 設問3
出題の趣旨は,一定の処分,重大な損害のおそれ,補充性等の訴訟要件を本件事実から検討することを求める。
採点実感は,一定の処分の特定の程度に触れない答案を問題視している。
また,原告適格について,森林の所有権に加えて林業の利益が損なわれる点まで詳細かつ説得的に論じた答案を,優秀と評価している。
答案は,認可・処分庁・相手方・求める効果を画定し,Dが非居住者であることを保ちつつ,林業利益の個別的保護を法33条の4から論じた。
森林被害の重大性と発生のおそれを分けた上で,提示事情での立証不足を結論とする。
この重大損害の評価は本稿の採用する当てはめであり,公式資料が同じ結論を指定したものではない(番号30・31・32・33・35・36・37・38・39)。
(5) 答案の弱点と扱わなかった事項
不正手段該当性では,当初の短期解除予定を認可審査の潜脱と評価する反対論が残る。
撤回についても,法33条の12の列挙をより強い制約と解する見方は検討に値する。
本稿の答案はそれらを無視せず,自ら採る解釈と本件での制限を明らかにした一例である。
重大損害の発生のおそれについて具体的な災害予測や履行不能の事実が補充されれば,訴えの適法性の結論は変わり得る。
行政裁量が存在することだけで訴えを門前払いするものではなく,本案要件との区別も必要となる。
仮の救済は設問の指定により扱っていない。
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1 同じ年度の司法試験の記事
同年度の公法系第1問は,平成26年司法試験公法系第1問(憲法)の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した53項目と5段階の重み付け(AI作成)で扱っている。
平成26年の公式資料への導線は,法務省HPの司法試験・予備試験の資料の所在の年度別一覧にまとめられている。
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令和7年度司法試験公法系第2問の模範解答と評価項目は,行政法の別年度を比較して復習するための関連記事である。
3 本問の論点に関連する山中弁護士ブログの記事
平成27年司法試験公法系第2問(行政法)の模範解答と評価項目は,内部基準の合理性と個別例外,差止め訴訟の要件を検討している。
本問の要綱による基準と個別事情の関係,義務付けと差止めの選択を比較する際に参照できる。
第7 出典及び確認状態
1 公式資料
①平成26年司法試験・論文式試験問題(公法系科目)。
②平成26年司法試験論文式試験問題出題趣旨。
③平成26年司法試験の採点実感等に関する意見(公法系科目第2問)。全科目を収めたPDFの9頁~13頁である。
2 法令
採石法・同施行規則は,問題PDFの資料2に掲げられた規定を基礎にする。
義務付け等の条項は,平成16年法律84号の公布本文(衆議院)と平成26年の公式資料を参照した。
行政事件訴訟法のe-Gov法令検索は現行法への入口であり,試験時の資料と版を区別して用いる。
3 裁判例
本稿は個別の裁判例を名指しして引用していない。
認可・要綱・撤回・訴訟要件の検討は,関係条文と本件事実に即した構成として示した。
4 確認状態
問題第2問と資料1~3,趣旨の公法第2問,採点実感の公法第2問部分を読んだ。
問題はPDF6頁~12頁,趣旨はPDF2頁の第2問見出しから3頁の民事系科目見出しの直前まで,採点実感は全科目を収めたPDFの9頁~13頁である。
公式資料の要求,そこから再構成した評価項目,本稿独自の重みと答案の法的推論を区別している。
答案の結論は許容される論証の一例であり,公式得点や合格可能性を示すものではない。
法令・判例の基準時は試験時点とし,後年の資料を答案の根拠へ遡及させていない。