第1 家族滞在の人は,個別許可を受ければ働ける場合がある
令和8年10月1日から,在留資格「家族滞在」で在留する人は,資格外活動の個別許可を受けることで,対象となる遊技場営業店舗(ぱちんこ店等)で働ける取扱いとなった。
従来からある週28時間以内の資格外活動の包括許可だけで,当然にパチンコ店で働けるようになったわけではない。
また,この取扱いの対象には,「留学」の人や,扶養を受ける配偶者・子としての日常的活動等を指定された「特定活動」の人は含まれない。
この記事は,令和8年10月27日時点の出入国在留管理庁・厚生労働省の案内に基づき,対象と必要な確認を整理する。
第2 対象となる店舗と許可の条件
対象となるのは,風営法2条1項4号・5号の営業について,同法3条1項の許可を受けている活動先である。
「風俗営業の店なら,家族滞在の人を一律に雇える」という制度ではない。
出入国在留管理庁は,資格外活動許可の一般原則のうち(1),(2),(5),(6)の要件を満たすことを求めている。
現在の在留資格の活動を行っており,その遂行を妨げないこと,収容令書の発付や意見聴取通知書の送達・通知を受けていないこと,素行が不良でないことである。
予定する活動が法令違反に当たらないことなどに加え,勤務先の誓約書も必要である。
勤務先の誓約事項には,次の内容がある。
– 外国人雇用状況の届出など,外国人を雇用する事業主に義務付けられた法令を守ること。
– 雇用した外国人に対し,特定在留カードの取得を推奨すること。
– 複数の資格外活動をする人について,すべての資格外活動の合計が週28時間以内であることを定期的に確認すること。
特定在留カードについては,「取得を推奨する」という誓約事項と,申請者本人が既に取得していなければならないという条件を混同しないことが必要である。
第3 掛け持ちの勤務時間も合算する
週28時間という上限は,パチンコ店1店舗ごとに使える枠ではない。
包括許可・個別許可を問わず,すべての資格外活動の活動時間を合計する。
例えば,コンビニで週15時間,対象店舗で週13時間なら,単純な合計は週28時間である。
コンビニで週18時間,対象店舗で週14時間なら,合計は週32時間となり,上限を超える。
これは時間合算の説明例であり,前者について他の許可要件まで満たすと判断したものではない。
勤務先は,自社のシフトだけで判断せず,本人が行っている他の資格外活動とその時間も確認する必要がある。
出入国在留管理庁の案内は,ほかの店舗分の個別許可などを受けることも可能としつつ,合計時間の条件を維持している。
第4 申請書類と就労開始までの流れ
出入国在留管理庁が案内する書類は,次のとおりである。
様式は同庁の案内ページから取得できる。
– 資格外活動許可申請書。
– 活動内容・活動時間・報酬等を説明する文書。
– 勤務先作成用の誓約書。
– 申請人作成用の誓約書。
– 対象となる営業許可を証明する営業許可証等。
– 申請対象を含む資格外活動が週28時間以内であることを立証する資料。
厚生労働省のリーフレットは,勤務先等の決定,地方出入国在留管理局への個別許可申請,個別許可,就労という流れを示している。
申請中であることだけで就労を開始せず,許可された勤務先・業務内容等を確認してから配置する必要がある。
許可後に別店舗で働かせる場合にも,今回の許可でその店舗まで認められているかを確認する。
「会社が同じだから」という理由だけで,許可された活動先の範囲を広げないことが大切である。
第5 採用時の在留確認と雇用管理
この個別許可を受ける場合も,在留カード等の確認,外国人雇用状況の届出,労働条件の明示や安全衛生上の対応を別に行う必要がある。
採用時の一般的な確認は,中途採用における使用者側の留意点を参照されたい。
また,この制度は資格外活動の範囲を扱うもので,高校等卒業後の本格的な就労に向けた在留資格の変更とは別である。
後者については,「家族滞在」から「定住者」「特定活動」への在留資格変更を参照されたい。
第6 根拠資料
– 出入国在留管理庁遊技場営業店舗における資格外活動許可について。
– 厚生労働省在留資格「家族滞在」をもって在留する皆さまへ。
– 厚生労働省外国人採用を検討する事業主の皆さまへ。