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行政機関に提出した企業情報は公開されるか―秘密指定と第三者の反対意見書(AI作成)

行政機関に提出した資料に「社外秘」「非公表」と表示していても,それだけで情報公開請求に対して当然に不開示となるわけではない。
反対に,行政機関へ提出したからといって,企業の未公表情報がすべて開示されるわけでもない。

判断の中心は,情報公開法が定める不開示情報に当たるかどうかである。
第三者の意見聴取では,問題となる記載と法の要件を対応させて説明することが重要になる。
本記事は,国の行政機関に対する情報公開法上の請求を対象とする。

第1 企業情報の不開示には二つの類型がある

情報公開法5条2号は,法人その他の団体に関する情報及び事業を営む個人の事業情報について,主に次の二つの類型を定めている。
ただし,国,独立行政法人等,地方公共団体及び地方独立行政法人は,同号の法人等から除かれている。

一つ目は,公にすることで,当該法人等又は個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある情報である(同号イ)。
非公表かどうかだけでなく,公にした場合にどのような正当な利益が害されるおそれがあるかが問題となる。

二つ目は,行政機関の要請を受け,公にしないとの条件で任意に提供された情報であって,法人等又は個人における通例として公にしないこととされているものその他当該条件を付することが当該情報の性質,当時の状況等に照らして合理的であると認められるものである(同号ロ)。
単に提出者が秘密扱いを希望した,という事情だけで足りる規定ではない。

なお,同号は,人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にする必要があると認められる情報を除外している。
不開示情報の類型だけを読み,この例外を落としてはならない。

第2 「社外秘」の表示と任意提供情報を区別する

同号イを主張する場合は,例えば,資料のどの記載から未公表の原価,取引条件又は技術情報等が分かり,それが競争相手等に知られるとどのような不利益につながるのかを具体化する。
ただし,これらの例に当たれば常に不開示になるという意味ではない。

同号ロを主張する場合は,行政機関からの要請,任意の提供,非公表の条件及びその合理性を分けて説明する。
提出時の依頼文,条件を確認した連絡,情報の管理状況等が,事情を示す資料になり得る。

法令に基づく提出義務がある報告と,行政機関の要請に応じた任意の情報提供を,同じものとして扱うことはできない。
任意提供の類型に当たらなくても,同号イその他の不開示情報に当たるかは,別に検討される。

また,「営業秘密」という言葉だけを挙げて結論を出さず,情報公開法5条2号のどの要件を問題とするのかを示す必要がある。

第3 意見書を求められる場合

情報公開法13条1項は,対象文書に第三者情報があるとき,行政機関の長が当該第三者に意見書提出の機会を与えることができる旨を定めている。
企業名が記載されていれば,必ず意見照会があるとまでは規定していない。

一方,同条2項は,5条1号ロ又は2号ただし書の情報を開示しようとする場合と,7条による公益上の理由で開示しようとする場合について,所在不明の場合を除き,あらかじめ意見書提出の機会を与えなければならないと定める。

同条の第三者は,国,独立行政法人等,地方公共団体,地方独立行政法人及び開示請求者以外の者である。
裁判所の司法行政文書開示手続とは,制度及び第三者の定義を区別する必要がある。

第4 反対意見書で示す事項

反対意見書は,開示を拒否する権限を行使する書面ではなく,行政機関が開示の可否を判断するための資料である。
提出期限と指定された提出方法を確認し,少なくとも次の事項を整理する。

– 対象文書の名称と,問題となる頁・項目・行又は表の欄
– 該当すると考える不開示情報の規定
– 未公表の範囲と,既に公表した部分との差異
– 開示によって害される正当な利益と,そのおそれを裏付ける事情
– 任意提供の類型を主張する場合は,要請・提供条件・合理性に関する事情
– 問題のある部分を除いた部分の開示についての意見

次は説明の組立てを示す作例であり,特定の資料が不開示情報に当たることを保証するものではない。

> 対象資料3頁の表のうち,個別製品の原価内訳を記した欄について開示に反対する。
当該内訳は公表しておらず,別添の公表済み価格表には記載がない。
競争事業者が内訳を把握した場合に当社の価格設定の下限を推測できる理由は,別紙のとおりである。
このため,同欄は情報公開法5条2号イに当たると考える。
表題及び公表済みの製品名については,この理由による反対の対象としない。

「取引に影響する」「信用が害される」という結論だけでなく,なぜそういえるのかを説明する。
反対する範囲を文書全体へ広げる場合も,部分ごとの検討を省略しない。

第5 部分開示と第三者意見

情報公開法6条1項は,不開示情報を容易に区分して除ける場合の部分開示を定め,除いた部分に有意の情報が記録されていない場合を除外している。

企業側が文書全部の不開示を求めても,行政機関は,問題となる情報を除いた部分を開示できるかを検討する。
反対意見書でも,どの情報を守る必要があるかを特定した方が,検討対象を明確にできる。

部分開示の「情報の単位」については,情報単位論と最高裁令和7年6月3日判決を参照されたい。
個別の表や文書について,どこまで区分すべきかは,内容と不開示理由に即した検討を要する。

第6 反対したのに開示すると通知された場合

反対意見書が提出されたのに開示決定をするときは,開示決定の日と開示を実施する日との間に,少なくとも2週間を置かなければならない。
行政機関の長は,反対意見書を提出した第三者に,開示決定をした旨,その理由及び開示実施日を,直ちに書面で通知しなければならない(情報公開法13条3項)。

この2週間は,開示を実施できるまでの最低期間である。
反対意見書を出しただけで,開示が無期限に停止するという意味ではない。

通知を受けたら,対象部分,開示理由及び実施日を確認し,争う必要がある場合は,開示前に間に合うよう不服申立てや執行停止等の要否を個別に検討する。
裁判所の司法行政文書開示手続における苦情申出と,行政機関に対する法定の不服申立てを同じ手続として扱わないことが大切である。

第7 出典と関連する記事

行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条2号,6条,7条及び13条。

裁判所の制度は,司法行政文書の開示申出で第三者情報がある場合の意見聴取と苦情申出を参照されたい。

法令は令和8年10月24日現在施行中の条文を基準とする。
意見書で整理する事項と記載例は,本記事の実務上の提案であり,法令が指定する様式又は実際の裁判例の引用ではない。