目次
1 開示請求の対象となった司法行政文書に第三者に関する情報が記録されている場合の取扱い
2 関連記事その他
1 開示請求の対象となった司法行政文書に第三者に関する情報が記録されている場合の取扱い
・ 司法行政文書開示手続の手引(第一部・総論編)27頁及び28頁には以下の記載があります。
第三者に対する意見聴取(取扱要綱記第9,総長通達記第1の6,法13条,運用要領12頁)
(1) 意見聴取
開示の申出があった司法行政文書に裁判所及び開示申出人以外の者(以下「第三者」という。)に関する情報が記録されている場合において, 当該情報が不開示情報に該当するか否か疑義があるときは, 当該第三者に対し,開示についての意見を求めるものとされている(取扱要綱記第9の1)。
裁判所の司法行政文書開示手続において,第三者に対する意見聴取を行う例として多く見られるのは,他の行政府省が発出した通達類を別紙として引用している裁判所発出の通知類が開示対象となった場合である 25 。
法13条においては,国の機関,独立行政法人等,地方公共団体及び地方独立行政法人(以下「国の機関等」という。)は,意見聴取の対象たる「第三者」に含まれていないことから, これらの国の機関等に対する意見聴取は,適宜口頭又は文書による意見照会という形で行うこととされている(運用要領13頁)。
しかし,司法行政文書開示手続においては,国の機関等に対する意見照会と,それ以外の第三者に対する意見聴取の場合で手続を異にする旨の規定はなく,一律に総長通達別紙様式第4による照会書を送付する取扱いになっている(取扱要綱記第9の1,総長通達記第1の6(1))。
取扱要綱上,この意見聴取の手続は,開示申出ごとに行うことが予定されていると解される。したがって,同一文書が複数回対象文書となった場合は,同一の第三者に対し,原則としてその都度照会書を送付するのが相当である。
しかし,同一文書について同一の第三者に対して意見聴取をする時期が非常に近接しているなど,正式な意見聴取を繰り返す必要が認められない場合には,法13条の趣旨を踏まえ,例えば, 口頭による意見照会の結果を電話聴取書に残し,意見書(総長通達別紙様式第5)に代える運用も許容されると考えられる 26 。
(2)第三者に対する通知
(1)により意見を求められた第三者から司法行政文書の開示に反対する意見が提出されたにもかかわらず, これを開示するときは,開示申出人に対し開示する旨の通知を発した日と開示を実施する日との間に少なくとも2週間を置くものとし,開示する旨の通知を発した後直ちに,当該意見を提出した第三者に対し,開示することとした旨及びその理由並びに開示を実施する日を書面(総長通達別紙様式第6)で通知するものとされている(取扱要綱記第9の2,総長通達記第1の6(2))。
これは,苦情の申出の期間が経過する前であっても,開示が実施されてしまえば,第三者が苦情の申出をする実益が失われてしまうことになるので,開示する旨の通知を発した日と開示を実施する日との間に少なくとも2週間を置くこととされたものである。したがって, このような場合に,開示する司法行政文書の枚数が15枚以下(29頁総論編11(3惨照)であっても司法行政サービスとして開示通知書とともに当該司法行政文書の写しを送付することがないように留意する必要がある(開示に代わる情報の提供においても同様である。) 27 。
25 第三者に対する意見聴取を行うのは,第三者が作成名義になっている文書に限られず,裁判所が作成した文書中に第三者に関する情報が記録されている場合もあり得る。
26 下級裁判所における司法行政文書開示手続において,中央官庁(衆議院及び参議院並びに日本弁護士連合会については中央官庁又はこれに準ずるものとして扱われる(平成6年7月22日付け最高裁総一第182号事務総長依命通達「下級裁判所事務処理規則の運用について」記第5)。)に対して第三者照会を行う場合には,下級裁判所事務処理規則27条により,最高裁判所を経由する必要があることに留意する。
27 開示の実施は,司法行政文書を開示する旨の通知を発した日から原則として30日以内に行うものとされているが,開示申出人に対し開示する旨の通知を発した日と開示を実施する日との間に2週間を置いたときにはこの限りでない(取扱要綱記第10の3ただし書後段)。ただし, 30日以内に開示を実施することができない場合は,延長通知を発する必要がある。
2 関連記事その他
(1) 裁判所の情報公開は,以下の文書に基づいて実施されています。
・ 裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の取扱要綱(平成27年7月1日からの実施分)
・ 裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の取扱要綱の実施の細目について(平成27年4月6日付の最高裁判所事務総長通達)
・ 情報公開に関する運用要領(平成27年7月1日版)
・ 司法行政文書開示手続の手引(平成29年3月21日版)第一部・総論編,第二部・各論編,別紙1~別紙26及び参考資料
・ 司法行政文書の開示に伴う開示文書の謄写の取扱いについて(平成22年10月19日付の,最高裁判所事務総局秘書課と司法協会総務部の申合せ)
・ 司法行政文書及び保有個人情報の開示の実施に伴う開示文書の謄写の取扱いについて(平成27年3月25日付の,最高裁判所事務総局秘書課と司法協会の申合せ)
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 裁判所の情報公開に関する通達等
・ 裁判所の情報公開に関する統計文書
・ プライバシー保護に関する,司法行政文書開示手続の判断例及び最高裁令和2年10月9日判決(家庭裁判所調査官の論文及び書籍はプライバシー権を侵害しないとしたもの)
・ 国立公文書館への移管
・ 司法行政文書に関する文書管理
・ 裁判文書の文書管理に関する規程及び通達
・ 民事事件の裁判文書に関する文書管理
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