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司法修習生の罷免事由別の人数―60期~69期の原表と集計上の注意(AIリライト)

第1 60期~69期の罷免事由別人数

最高裁判所が開示した60期~69期の罷免事由別人数は,下表のとおりである。
出典は,平成29年6月14日付開示文書及び同年7月18日付開示文書の各別紙(いずれもPDF2頁,別紙自体に頁番号なし)であり,原表の区分と数値を転記した。

表の「1号」「2号」「3号」は,当時の司法修習生に関する規則18条の各号を指す。
現在までの罷免全件を示す統計ではなく,本記事の資料確認基準日は令和8年8月30日である。

修習期1号2号・考試不合格2号・その他3号・考試不合格3号・その他
現行60期000709
新60期000765
現行61期000335
新61期0001136
現行62期000230
新62期000753
現行63期010272
新63期000897
現行64期000241
新64期000564
現行65期00050
新65期000418
66期000439
67期000425
68期000337
69期054005

人数の単位は人であり,「現行」「新」という期名の区別も原表に従っている。
原表に記載された0人と,資料がなく人数を確認できない場合とは区別する必要がある。

第2 人数表を読む際の注意

1 旧規則18条の区分と集計の範囲

司法修習生に関する規則の旧条文の公開写し(平成22年4月7日最終改正,2頁・PDF2頁)では,18条各号の事由は次のように定められていた。
以下は各号の内容の要約である。

①1号は,品位を辱める行状,修習態度の著しい不良その他の理由によって,修習の継続が不相当である場合である。
②2号は,病気,成績不良その他の理由によって,修習の継続が困難である場合である。
③3号は,本人から願出があった場合である。

したがって,罷免という名称だけから,非行を理由とする処分であったと判断することはできない。
また,同じ旧規則の17条には18条とは別の罷免事由が置かれており,第1の原表には17条による罷免の欄がないため,この表を罷免全体の網羅的な人数表として扱うことはできない。

現行の裁判所法68条も,1項の修習継続が困難である事由による罷免と,2項の非行に当たる事由による罷免・修習停止・戒告とを書き分けている。
現在の制度を確認する際には,第1の表で用いられた旧規則の号数と混同しないことが必要である。

2 69期とそれ以前の分類

原表では,考試不合格を理由とする人数は,68期までは主として3号に分類され,69期では54人全員が2号に分類されている。
ただし,現行63期にも2号の考試不合格が1人記載されているため,「68期までは全員が3号であった」とはいえない。

また,両原表の2号の「その他」欄と1号の欄は,全て0人である。
これは当該原表の収録範囲について確認できる事実であり,他の期や別の根拠条文による罷免まで含めた結論ではない。

3 二回試験の不合格者数との違い

法務省掲載「司法修習生採用者数・考試(二回試験)不合格者数」(資料2-17,PDF1頁,頁番号なし)は,考試の不合格者数を示す別の資料である。
例えば,現行60期の不合格者数は71人,新63期は90人であり,第1の原表の考試不合格を理由とする罷免人数である70人,89人とは一致しない。

同資料の注記は,不合格者数に考試再受験のため再採用された者を含むとしている。
一方,第1の罷免人数の原表には,再受験者の計上方法や同一人の重複処理の説明がないため,両資料の差が生じた理由は確認できず,法務省資料の注記だけで罷免人数表の集計方法を確定することもできない。

このため,本記事では原表の数値を不合格者数に合わせて置き換えず,期をまたいだ合計を罷免された実人数としても示していない。
不合格後の取扱いや再受験の制度については,第5の関連記事で扱っている。

第3 59期・70期~72期の文書不保有と確認の限界

次の通知書では,各期について罷免事由別の人数が分かる文書を作成し,又は取得していないことを理由として,不開示の通知がされている。
これらは各通知時点の文書の保有状況を示すものであり,罷免者が0人であったことを示す資料ではない。

対象期司法行政文書不開示通知書確認箇所
59期平成29年6月14日付PDF1頁
70期平成30年2月2日付PDF1頁
71期平成31年1月9日付PDF1頁~2頁
72期令和2年3月31日付PDF1頁

別の開示申出に関する令和元年度(最情)答申第35号(令和元年8月23日答申)は,71期の戒告・修習停止・罷免の人数等が分かる文書を作成又は取得していないとの説明を不合理とはいえないとし,文書不保有を理由とする不開示判断を妥当とした(1頁~3頁・PDF1頁~3頁,特に第6)。
同答申が対象とする原判断は平成31年1月18日付であり,上表の同月9日付通知とは区別される。

他方,期別・事由別の集計文書が確認できない場合でも,個別の罷免辞令から一定の人数が分かることはある。
例えば,73期二回試験の再試験不合格者に対する罷免の辞令書には,令和3年1月27日付で,考試の再試験不合格者名簿記載の1人を罷免する旨が記載されている(PDF2頁,辞令自体に頁番号なし)。

ただし,この1人は当該辞令の対象人数であって,73期全体の罷免人数ではない。
過去の文書不保有通知から,70期以降のあらゆる罷免人数が現在も一切分からないと一般化することもできない。

第4 罷免関係文書の不開示判断

1 人数を記載した文書の不保有との違い

第3の文書不保有とは別に,罷免理由や非違行為の報告等が記録された文書について,不開示情報に相当するとされた例がある。
裁判所の司法行政文書の開示は,「裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の取扱要綱」により運用され,同要綱の記第2の2は,行政機関情報公開法5条に規定する不開示情報に相当する情報を扱っている(取扱要綱PDF1頁)。

以下は,最高裁判所事務総長の説明と,情報公開・個人情報保護審査委員会の判断を分けて示したものである。
特定文書についての判断であり,司法修習生の罷免に関する情報が全て一律に不開示になるとしたものではない。

2 理由説明書と答申が扱った情報

対象最高裁判所事務総長の説明委員会の判断
70期の罷免に関する裁判官会議議事録の不開示部分平成30年4月11日付理由説明書は,特に罷免理由を公にすると今後の事実確認等に支障を生じる可能性があると説明する(PDF2頁~3頁)。平成30年度(最情)答申第32号は,不開示部分が法5条1号及び6号ニの情報に相当するとして,原判断を妥当とした(2頁~3頁・PDF2頁~3頁)。
70期の罷免に際して司法研修所が作成した報告書平成30年5月31日付理由説明書は,調査事項や提出資料の内容が明らかになることによる,調査・資料収集事務への支障を説明する(PDF2頁~3頁)。平成30年度(最情)答申第41号は,標題等を含む文書全体が法5条1号及び6号ニの情報に相当するとして,原判断を妥当とした(2頁~3頁・PDF2頁~3頁)。
各実務修習地から送付された71期の罷免等の該当事由・非違行為の報告平成31年3月26日付不開示通知書に続く令和元年5月30日付理由説明書は,文書の標題・様式・枚数等から調査事項や調査量等が推知されると説明する(理由説明書PDF2頁)。令和元年度(最情)答申第57号は,標題・枚数等を含む文書全体が法5条1号及び6号ニの情報に相当するとして,原判断を妥当とした(2頁~3頁・PDF2頁~3頁)。

ここでいう法5条6号ニは,人事管理に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれのある情報に関する規定である。
不開示の射程を確認する際には,人数の集計表,個別の罷免理由,調査報告書及び文書の枚数を区別し,対象文書と判断理由に即して読む必要がある。

第5 関連記事

司法修習生の罷免―罷免事由と手続の全体像。
二回試験不合格時の一般的な取扱い―期別の沿革,罷免の根拠条文及び再受験。
「品位を辱める行状」があったことを理由とする司法修習生の罷免事例及び再採用―個別事例と再採用。
司法修習生の罷免等に対する不服申立方法―不服申立ての方法。
司法修習生の罷免理由等の不開示―答申と開示制度(AI作成)―不開示判断と開示制度の詳しい整理。
戒告・修習停止を追加した理由―平成29年改正の経緯―処分制度を改正した際の説明。

出典

1 法令・規則・取扱要綱

①e-Gov法令検索「裁判所法」68条。
「司法修習生に関する規則」旧条文の公開写し(平成22年4月7日最終改正)17条・18条。
③e-Gov法令検索「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」5条。
④最高裁判所「裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の取扱要綱」記第2。

2 人数の開示文書・通知書・統計資料

①最高裁判所の平成29年6月14日付開示文書及び同年7月18日付開示文書の別紙(60期~69期の罷免事由別人数,本ブログ掲載の公開写し)。
②最高裁判所の司法行政文書不開示通知書―59期(平成29年6月14日付)70期(平成30年2月2日付)71期(平成31年1月9日付)72期(令和2年3月31日付)(本ブログ掲載の公開写し)。
③法務省掲載「司法修習生採用者数・考試(二回試験)不合格者数」(資料2-17)。
73期二回試験の再試験不合格者に対する罷免の辞令書(令和3年1月27日付,本ブログ掲載の公開写し)。

3 不開示に関する理由説明書・答申

①最高裁判所事務総長の理由説明書―平成30年4月11日付同年5月31日付令和元年5月30日付及び平成31年3月26日付司法行政文書不開示通知書(本ブログ掲載の公開写し)。
②情報公開・個人情報保護審査委員会平成30年度(最情)答申第32号(平成30年9月21日)及び同答申第41号(平成30年11月16日)
③同委員会令和元年度(最情)答申第35号(令和元年8月23日)及び同答申第57号(令和元年11月15日)