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判事補とは―判事との違い・職権・任官後の流れ(AI作成)

第1 判事補とは

判事補(はんじほ)は,司法修習生の修習を終えた者から任命される,下級裁判所の裁判官の官職である。
裁判所法5条2項は,下級裁判所の裁判官を高等裁判所長官,判事,判事補及び簡易裁判所判事に分け,同法43条は判事補の任命資格を定めている。
判事補自身が裁判官であり,裁判所書記官又は裁判所事務官として裁判官の事務を補助する職とは異なる。

判事補と判事の違いを理解するには,任命資格,裁判をする権限及び任命の手続を分ける必要がある。
判事補には原則として一人で裁判をすることなどの制限があるが,法律上の特例がある。
また,いわゆる特例判事補に指名されても,官職が判事に変わるわけではない。
根拠となる法令は,裁判所法及び判事補の職権の特例等に関する法律である。

第2 判事・判事補・特例判事補の違い

1 任命資格と職権の比較

区分任命・指名の条件職権の基本
判事補司法修習生の修習を終えた者から任命される一人で裁判をすることなどに原則として制限がある
特例判事補法定の対象職の在職年数が通算5年以上となる判事補のうち,最高裁判所が指名する判事補としての職権の制限を受けない。官職は判事補のままである
判事法定の対象職の在職年数が通算10年以上となる者から任命される判事補に対する裁判所法27条の制限は適用されない

この表の5年と10年は,対象となる職への在職年数を法律に従って通算する要件である。
最初の判事補任命日から暦日で5年又は10年が経過したことだけで,特例判事補への指名又は判事への任命が自動的に行われるわけではない。
各裁判官の担当事件は,官職だけでなく,配属された裁判所や担当する裁判事務によっても異なる。

2 特例判事補は別の官職ではない

判事補の職権の特例等に関する法律1条は,裁判所法42条1項各号に掲げる職の在職年数が通算5年以上となる判事補のうち,最高裁判所の指名する者について,判事補としての職権の制限を外している。
5年以上という年数要件と最高裁判所による指名の両方が必要であり,法律上の仕組みを「5年たてば自動的に判事になる」と説明することはできない。
制度の成立経緯や高等裁判所での職務代行は,特例判事補で詳しく説明している。

第3 判事補はどのような裁判を担当するか

1 一人で裁判をすることに対する原則的な制限

裁判所法27条1項は,他の法律に特別の定めがある場合を除き,判事補が一人で裁判をすることを認めていない。
同条2項は,判事補が同時に2人以上合議体に加わること及び裁判長となることを制限している。
家庭裁判所についても,同法31条の5によって27条が準用される。

ただし,27条1項自体が他の法律による例外を認めており,特例判事補の制度もある。
そのため,判事補が単独で行える裁判又は手続の有無は,個々の手続の根拠法と特例への該当を確認して判断する必要がある。
「判事補は何も決められない」,又は逆に「裁判官なのでどの事件でも一人で判決できる」と理解するのは適切ではない。

2 合議事件の担当と実務経験

裁判所の裁判官の仕事(その3)は,判事補として合議事件に関与し,主任裁判官として訴訟の進行や心証について他の裁判官と議論する経験を紹介している。
合議事件を担当することは,記録を検討し,事実認定や法的判断を合議の中で考える裁判官としての仕事である。
同ページでは,その後に保全,執行及び破産などの非訟事件や,単独事件を担当した経験も紹介されている。

これは裁判官個人の職務経験を説明する採用広報であり,全員に同じ順序で同じ事件が配分されることを定めた資料ではない。
研修資料を調べる場合は,新任判事補研修の資料も参照されたい。

3 特例判事補と高等裁判所での職務代行

特例判事補は,判事補としての職権の制限を受けず,単独事件を担当することができる。
さらに,判事補の職権の特例等に関する法律1条の2は,裁判事務の取扱上特に必要がある場合に,最高裁判所が管轄区域内の地方裁判所又は家庭裁判所の特例判事補に高等裁判所の判事の職務を行わせる制度を定めている。

この高等裁判所での職務代行には,同条2項による制限がある。
職務を代行する判事補は,同時に2人以上合議体に加わることも,裁判長となることもできない。
地方裁判所や家庭裁判所での職権の特例と,高等裁判所での職務代行に伴う制限は,分けて理解する必要がある。

第4 判事補になるまでの手続

1 司法修習の終了と任命資格

裁判所法43条によれば,判事補の任命資格は司法修習生の修習を終えたことである。
司法試験に合格したことだけで判事補に任命されるわけではなく,司法修習を終えることと,判事補として採用されることは別の段階である。

2 採用願・最高裁判所の指名・内閣の任命

裁判所法40条1項によれば,判事補は最高裁判所の指名した者の名簿によって内閣が任命する。
下級裁判所裁判官指名諮問委員会は,最高裁判所からの諮問を受け,指名の適否を審議して答申する。
例えば,同委員会第125回議事要旨2頁には,令和8年4月の新任判事補候補者について,作業部会の検討を経て,指名候補者を審議し,最高裁判所へ答申したことが記載されている。
委員会の答申,最高裁判所の指名及び内閣の任命は,それぞれ異なる手続である。

採用願等の書類と過去の面接日程は,判事補採用願等の書類,並びに採用面接及び採用内定通知の日程に,公表資料から分かる審議の経過は,新任判事補を採用する際の内部手続に掲載している。
過去の提出書類や締切を次の採用にもそのまま当てはめず,対象となる修習期の通知を確認する必要がある。

第5 任官後の研修・外部経験・判事への任命

1 任官後の研修

司法研修所の裁判官研修は,日々の自己研さんとOJTを基本として,合同研修等により裁判官の成長を支援する仕組みを説明している。
判事補については,任官直後の基礎的な研修と,任官後2年程度を経過した者を対象とする訴訟運営等の研究会が説明されている。
また,民事,刑事,家事及び少年の分野の研究会や,社会・経済及び自然科学などを扱う研究会も実施されている。

具体的な研修の日程と配布資料は年度によって異なる。
過去の研修資料を読む場合は,対象となった修習期,年度及び実施日を確認する必要がある。

任命日から初任地での執務開始までの間にも研修が置かれている。
例えば,78期については,令和8年4月23日の任命日から同月24日までウェブ会議による研修,同月27日から5月8日までの在宅研修期間,同月11日から13日まで司法研修所に参集する研修が予定され,採用庁に登庁する日時及び場所はその最後の研修で知らせるとされていた(令和8年3月26日付の最高裁判所事務総局人事局任用課長の事務連絡4頁~5頁)。
そのため,任命日をもって直ちに初任地で執務を始めると理解することはできない。

2 外部経験中の身分と在職年数

判事補時代には,裁判所外での勤務や留学などの外部経験を積む場合がある。
外部経験中も判事補の身分を保つ場合と,検事又は弁護士など別の身分となる場合があり,派遣先の名称だけで判事任命資格への算入を判断することはできない。
制度別の派遣先,身分及び期間は,判事補の外部経験の概要及び判事補及び検事の弁護士職務経験制度を参照されたい。

3 通算10年の任命資格と実際の任命

裁判所法42条1項は,判事補,簡易裁判所判事,検察官,弁護士,裁判所調査官等の法定の職への在職年数が通算10年以上となる者から判事を任命すると定めている。
同条2項は,同条1項各号所定の職への在職が3年以上ある者について,裁判所事務官,法務事務官又は法務教官としての在職を対象職の在職とみなす特則を定めており,同条3項及び4項にも年数計算に関する規定がある。

この任命資格を得ることと,実際に判事へ任命されることは同じではない。
出向等を経験した場合には,最初の判事補任命日からの暦日上の期間,法律上通算される在職年数及び実際の判事任命日を分けて確認する必要がある。
具体的な説明は,出向経験のある判事補が判事になるタイミングに掲載している。

第6 判事補の給与を調べるときの注意

判事補の給与を調べる場合は,報酬月額,初任給調整手当,地域手当等及び期末・勤勉手当を区別する必要がある。
報酬月額だけで年収又は手取りを示すことはできず,過去の特定勤務地の年収例を現在の全員の給与として扱うこともできない。

最高裁判所の裁判官・検察官の報酬俸給表(令和8年4月1日現在)は,号別の報酬・俸給月額と初任給調整手当を示している。
現在の表と過去の資料は,裁判官・検察官の給与月額表及び判事補・検事の初任給調整手当を参照されたい。

住居手当は,裁判官の報酬以外の給与に関する規則6条により,判事補等に対し一般の官吏の例により支給され,判事は対象とされていない。
一般職の職員の給与に関する法律11条の10によれば,月額1万6000円を超える家賃を支払っている場合に支給され,月額の上限は2万8000円であるが,国家公務員宿舎法の有料宿舎を貸与されている間は支給されない。
着任前の宿舎の手続と住居手当との比較は,新任判事補の国家公務員宿舎―採用内定翌日の回答期限,規格・使用料,住居手当との比較及び退去時の明渡しに整理している。

第7 よくある疑問

1 判事補は裁判官なのか

判事補は裁判官である。
裁判所法5条2項が下級裁判所の裁判官の官職として定めており,裁判所書記官や裁判所事務官とは異なる。

2 5年で判事になるのか

通算5年以上は,特例判事補の指名に関する年数要件である。
判事の任命資格に関する裁判所法42条1項の年数要件は通算10年以上であり,特例判事補への指名と判事への任命を混同してはならない。

3 判事補の任期は10年なのか

裁判所法40条3項によれば,判事補等の下級裁判所裁判官は,その官に任命された日から10年を経過すると任期を終え,再任されることができる。
任期の10年と,判事の任命資格に必要な通算10年は目的と計算対象が異なるため,出向等による任命替えがある場合には特に区別が必要である。

第8 主な根拠資料

① 裁判所法5条,27条,31条の5,40条,42条及び43条
② 判事補の職権の特例等に関する法律1条及び1条の2
③ 最高裁判所・裁判官研修
④ 裁判所・裁判官の仕事(その3)
⑤ 下級裁判所裁判官指名諮問委員会第125回議事要旨2頁
⑥ 裁判官・検察官の報酬俸給表(令和8年4月1日現在)
⑦ 最高裁判所事務総局人事局任用課長「裁判官任命に関する日程等について」(令和8年3月26日付の事務連絡)4頁~5頁