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中小企業の顧問相談を改善につなげる方法―SDGsコンプライアンスの必須対応と自主的取組(AI作成)

第1 法令上の義務と自主的な取組を分ける

中小企業の顧問相談では,契約書や就業規則の確認に加え,日々の相談から,繰り返し起きる問題や社内の確認漏れを見つけることができる。
相談の都度回答するだけでなく,何を直し,誰が実行し,いつ効果を確かめるかを決めると,継続的な改善につながる。

SDGsコンプライアンスの点検は,その入口の一つとなる。
本記事では,法令上の義務,契約上の要求及び自主的な取組を分け,点検結果を担当・期限・再確認へつなぐ方法を説明する。
以下の管理表は,企業の状況に合わせて点検結果を整理するための実務上の提案である。

1 SDGsという名称だけで義務を判断しない

東京弁護士会中小企業法律支援センターSDGsプロジェクト・チーム編「SDGsコンプライアンスチェックリストの手引き」第2版は,法令遵守を基盤としてSDGs及びビジネスと人権に関する指導原則に取り組むことを「SDGsコンプライアンス」と呼んでいる。
ただし,チェックリストに掲載されていることだけで,すべての企業に同じ法的義務が生じるわけではない。

個別の項目では,適用法令,対象となる事業・規模・取引,施行日及び経過措置を確認する。
法令上の義務に加え,契約で約束した対応,取引先の調達基準や回答要求,自社の方針に基づく取組を分けて記録する。

2 人権尊重の指針の位置付けも区別する

経済産業省の「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」は,それ自体に法的拘束力はないと明記している。
一方で,企業の規模や業種等にかかわらず,日本で事業活動を行う全ての企業による取組を求めている。
指針の性質と,別途適用される法令・契約上の義務を混同しないことが必要である。

自主的な取組として始めた事項でも,実際の問題に法律上の対応義務がある場合がある。
逆に,指針の推奨事項を,根拠の確認なしに一律の法的義務として説明してはならない。

第2 点検を始める前に相談経路と確認範囲を決める

1 社長の説明だけで現場の状況を確定しない

事業内容,拠点,従業員,主要な取引先,調達・販売の経路,過去の相談及び今後の事業計画を確認する。
規程や契約書が存在するかだけでなく,現場で使われているか,担当者が相談できるか,苦情や事故に対応した記録があるかを聞き取る。

問題の影響を受ける人の説明と,管理者の説明が異なる場合には,違いを残して追加確認する。
会社の事情を聴くことと,会社の説明だけで被害の有無を判断することは区別する。

2 担当者が少ない企業ほど入口を簡潔にする

相談窓口,代理担当,弁護士へ連絡する条件及び緊急時の連絡経路を決める。
担当者に多数の点検項目を一度に割り当てず,事業に関係する事項と優先事項から着手する。
ただし,負担を減らすために重大な問題を点検対象から外してはならない。

資料を収集するときは,確認目的,閲覧者,保管先及び共有範囲を指定する。
苦情を申し出た人の情報を,対応に必要な範囲を超えて社内や取引先へ広げない。

相談の入口では,抽象的な法務分野名だけでなく,取引先の要求,事業変更,職場の問題など具体的な出来事を伝えると確認範囲を決めやすい。次の表は実務上の整理例であり,法令や手引きが定める必須様式ではない。

相談のきっかけ最初に示す資料確認したい時期
取引先から新しい遵守事項を要求された要求書,契約案,実際の業務と対応可能な体制回答・契約の前
新規事業や事業の変更を予定している事業計画,業務の流れ,相手方,開始予定日条件を固めて実行する前
職場の苦情や問題が繰り返される経緯,規程,既にした対応,関係者への影響緊急の被害防止を含め,問題を把握した時点

期限が迫るときは,資料が全部そろうまで連絡を待たず,期限と不足資料を先に知らせる。既に回答や契約をした場合は,その内容も伝える。

第3 優先順位は人への影響と対応期限を踏まえて決める

1 緊急の被害防止と法令上の対応を先送りしない

重大な被害が続いている場合,安全確保や被害拡大の防止を優先し,必要な専門家・関係機関への相談を行う。
法令上の期限や直ちに必要な対応は,年度の活動計画や広報上の都合とは別に確認する。

法令上の義務を満たす取組と,追加の改善策を並べる場合も,問題を放置できる期限があると当然に考えない。
担当者と予算が不足するなら,経営者に具体的な支障と必要な判断を示す。

2 会社の損失だけで人権リスクを順位付けしない

経済産業省の指針は,人権への負の影響の深刻度を,規模,範囲及び救済困難度から判断するとしている。
会社の売上や評判への影響だけで順位を決める考え方ではない。
同等に深刻な潜在的影響が複数ある場合には,発生の蓋然性を考慮する。

取り組む順序を決めても,後順位の事項が不要になるわけではない。
新たな苦情,事故,取引先や事業内容の変更があれば,優先順位を見直す。
発生可能性が低いという説明だけで,重大な影響の評価を下げない。

第4 点検結果を改善事項と実行管理に変える

1 根拠と未確認事項を一緒に記録する

記録する事項記載例・確認の目的
問題と影響何が起き,誰にどのような影響があるか。未確認の説明は区別する
根拠の区分法令,契約・調達基準,自主的な方針のどれに基づく対応か
確認資料現行法令・条項,契約,現場記録,聞取り及び資料の日付
優先順位被害の深刻度,継続・拡大の可能性,法令・契約上の期限
改善案暫定対応,原因への対策,再発防止を分ける

この表だけで法的判断を完了させず,必要な一次資料や事実が不足している欄には,調査する人と期限を書く。
相談時点の仮説が,後日の社内報告で確定事実に変わらないようにする。

2 実行担当と完了の証拠を決める

実行管理の項目具体的に決めること
決定者・担当者承認する人,実行する人,弁護士・専門家の担当範囲
期限・必要な資源暫定対応と恒久対応の期限,予算,作業時間,外部支援
完了の確認改訂した規程・契約,実施記録,現場確認等の資料
効果の確認被害や負担が減ったか,運用されているか,別の支障がないか
再検討の条件問題の再発,担当者変更,取引・事業変更時の連絡先

「研修を実施した」「規程を作成した」という作業の完了と,問題が改善したことは別である。
担当者が対応できるか,影響を受けた人の状況が改善したか,別の場所で同じ問題が続いていないかも確認する。

第5 顧問相談を継続的な改善へつなげる

1 小さな相談から繰り返す原因を探す

例えば,担当者から契約回答の遅れについて相談が繰り返される場合には,個々の契約条項だけでなく,資料の受領経路,承認権限,担当不在時の処理及び判断の引継ぎを確認する。
これは説明用の仮定例であり,実際の企業事例を示すものではない。

直近の相談への回答に加え,原因の仮説,現場で確認する事項,改善案及び再確認日を残す。
改善策が実行できないときは,担当者の努力不足と決め付けず,権限,時間,予算及び経営者の判断がそろっているか点検する。

定例の見直し,個別相談,契約書の確認,社内研修又は現場への聞取りを継続する場合には,顧問契約に含まれる作業,別途依頼する作業及び会社が行う作業を明らかにする。
相談回数・時間,成果物,資料を読む範囲,連絡方法,回答の予定,追加費用及び見直しの頻度を確認し,担当者の交代や事業の変更時には範囲を再確認する。顧問料だけでこれらがすべて含まれると扱わない。

契約回答の遅れを改善する場合は,次のように停滞の理由を分けると,誰が何をすべきかを決めやすい。
これは契約相談についての運用例であり,人権への重大な影響や法令上必要な対応を後回しにする基準ではない。

案件の状態次の行動と確認する担当
弁護士の調査中確認する論点と追加資料,回答の予定を共有する
事業部の資料待ち不足資料を具体化し,提出担当と確認期限を決める
社内決裁待ち決定権者へ選択肢と残るリスクを示し,判断日を確認する
相手方の回答待ち照会担当,次の連絡日及び遅延時の上申先を決める

各状態に,次の行動,担当者,期限及び停滞した場合の上申先を付ける。
回答を受け取ったこと,社内で承認したこと,契約を締結したこと及び履行を完了したことは,別の状態として記録する。

2 相談件数だけで効果を評価しない

相談が減ったことだけでは,問題が減ったのか,相談しにくくなったのか分からない。
経済産業省の指針は,実効性の評価を質的・量的の両側面から行い,その評価手続を関連する社内プロセスに組み込むべきであるとしている。

相談経路の利用状況,再発,対応にかかった時間,未解決事項及び影響を受けた人の状況を組み合わせて確認する。
回答や対策が十分でなければ,その理由を調べて修正し,必要に応じて経営者へ報告する。

対応時間を測るときは,受付から初期回答までの時間と,判断・実行を終えるまでの時間を分け,資料不足,再修正,社内決裁及び相手方回答による停滞も確認する。
速さだけで品質を評価せず,重大な見落とし,期限の未処理,現場で実行できたか及び影響を受けた人の状況を併せて確認する。
これらの指標は改善のための運用例であり,短い回答時間が法令遵守や被害防止の実現を証明するものではない。

第6 取組の説明と公表は実態に合わせる

取引先への回答や対外公表では,対応済み,実施中,未確認及び今後の予定を区別する。
点検を実施したことだけをもって,法令遵守や人権侵害がないことを保証する表現は用いない。
指針でも,人権デュー・ディリジェンスは,その性質上,人権侵害が存在しないという結果を担保するものではなく,継続的なプロセスであるとされている。

説明する内容と範囲を決める際には,個人情報,苦情申出者の情報及び取引先の秘密を保護する。
社内で必要な情報と,一般公表に適した情報を分け,公表文と実際の記録・運用が一致しているかを確認する。

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第8 出典

①東京弁護士会「SDGsコンプライアンスチェックリストの手引き第2版」の案内。
②同手引き本文(PDF)の「まえがき」並びに「人権方針とパーパスの策定」及び「SDGsコンプライアンスに取り組む」の各項(3頁~18頁)。
③経済産業省「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」の策定の案内。
④同ガイドライン本文(PDF)1.3,2.1.2,4.1.3及び4.3。

手引きは実務の参考資料であり,掲載される個別制度の適用や最新の施行状況は,法令等で別途確認する必要がある。