第1 令和8年4月の新任判事補候補者の審議
委員会の答申,最高裁判所の指名,内閣の任命及び官報掲載は区別する必要があります。第125回議事要旨から確認できるのは,令和8年4月8日の作業部会の実施と,同月10日に指名候補者83人全員について,指名することが適当であると最高裁判所へ答申することとされた経過です。
・ 令和8年4月の新任判事補を例にすると,令和8年4月の手続は次の順序で進みました。
① 令和8年4月8日:下級裁判所裁判官指名諮問委員会の作業部会
② 同月10日:指名諮問委員会(第125回)が,指名候補者83人全員について,判事補に任命されるべき者として指名することが適当であると最高裁判所に答申
③ 同月15日午前11時以降:人事局職員が各候補者に採否を電話で通知(令和8年3月26日付の最高裁判所事務総局人事局任用課長の事務連絡1頁)
④ 同月17日:内閣が83人を判事補に任命することを閣議決定
⑤ 同月23日:判事補に任命(任命日)
⑥ 同月27日:官報本紙第1695号5頁の「内閣」欄に掲載(掲載日は任命日と区別して参照します。任命された者は83人で,答申及び閣議決定の人数と一致します。)
→ 令和7年4月の新任判事補でも,第119回の答申で指名することが適当とされた90人(指名候補者92人中)と,同月18日の閣議決定で任命された人数(90人)が一致しています。
→ 閣議決定及び官報掲載の日付は,新任判事補任命の閣議決定及び官報掲載の日付を参照してください。
判事補の任命資格と任官後の流れの基本は「判事補とは」を参照してください。
第2 平成15年の手順・方法に関する議事要旨
以下は平成15年7月1日の議事要旨の記載であり,面接時間等を現在の平均又は固定した採用手続とするものではありません。
○平成15年7月1日開催の下級裁判所裁判官指名諮問委員会(第2回)議事要旨のうち,新任判事補を採用する際の内部手続に関する記載(リンク先の19頁及び20頁)は以下のとおりです。
○■は委員長,○は委員,●は庶務,▲は説明者のことです。
イ 司法修習生から判事補への任命
R021209 最高裁の不開示通知書(司法研修所の裁判教官は,任官希望の司法修習生に対し,どのようなリクルート活動を行うことになっているかが分かる文書)を添付しています。 pic.twitter.com/xYLgfPJu3G
— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) December 10, 2020
いえ、成績基準は必要だと思っています。成績基準がどの程度有効かというのは議論があるとは思いますが、それでも、やはり重要な要素であることは事実です。
しかし、一発の試験で任官の可否を決める制度ならまだ…
(残り276字)#querie_OrdinaryLaywerhttps://t.co/1HsWW32tZr
— ありふれたろいやー (@OrdinaryLaywer) January 3, 2024
第3 平成28年の開示申出に関する判断
平成28年11月の開示判断に関する平成28年度(最情)答申第45号(平成29年2月24日答申)は,その申出の対象文書として,平成15年7月1日開催の下級裁判所裁判官指名諮問委員会第2回議事要旨を特定した判断を妥当としています。これは当該開示申出時点における文書の保有に関する判断であり,現在の採用手続を知る資料がその議事要旨しかないことを意味するものではありません。
第4 関連記事その他
1 「メリットセレクションの視点からみた下級裁判所裁判官指名諮問委員会」(筆者は弘前大学人文学部准教授の飯孝行)には以下の記載があります(自由と正義2009年10月号17頁)。
(山中注:下級裁判所裁判官指名諮問委員会の)審議の基本資料は、新任(司法修習生からの判事補任官)の場合は司法研修所の2回試験の成績、裁判教官の意見書と採用面接結果の要約、裁判官再任(判事補の判事任官と判事の再任)の場合は各年の人事評価(所属庁の所長・長官による)の10年分の要約報告書、弁護士任官の場合は司法修習中の成績(弁護士経験10年未満の場合)、過去3年間の事件担当裁判官を含む関係者からの情報、候補者に対する最高裁判所事務総局の局長面接結果報告書で、裁判所の内部情報が主体である。重点審議者も、裁判所内部資料で絞られた後に、弁護士などから寄せられる外部情報に応じて追加される。
2 以下の記事も参照してください。
・ 判事補の採用に関する国会答弁
・ 裁判所職員定員法の一部を改正する法律に関する国会答弁資料等
・ 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律に関する国会答弁資料等
・ 判事補採用願等の書類,並びに採用面接及び採用内定通知の日程
・ 新任判事補の採用内定通知から辞令交付式までの日程
・ 司法修習生の検事採用までの日程
・ 集合修習時志望者数(A班及びB班の合計数)と現実の判事補採用人数の推移
弁護士からの任官に関する情報収集と司法修習成績の取扱いについては,弁護士任官希望者に関する情報収集の実情も参照されたい。