新任判事補を採用する際の内部手続


目次

第1 新任判事補を採用する際の内部手続
第2 関連記事その他

第1 新任判事補を採用する際の内部手続
・ 新任判事補を採用する際の内部手続が分かる文書は,平成15年7月1日開催の下級裁判所裁判官指名諮問委員会(第2回)議事要旨以外に存在しないそうです(平成28年度(最情)答申第45号(平成29年2月24日答申))。
○平成15年7月1日開催の下級裁判所裁判官指名諮問委員会(第2回)議事要旨のうち,新任判事補を採用する際の内部手続に関する記載(リンク先の19頁及び20頁)は以下のとおりです。
○■は委員長,○は委員,●は庶務,▲は説明者のことです。

イ 司法修習生から判事補への任命

庶務から,審議資料4に基づき,2の「司法修習生から判事補への任命」の部分について説明された。
○:
成績を重視しているようだが,人物評価にもウエイトを置くべきである。重点審議者の振り分けの際に,裁判教官だけではなく,弁護教官や検察教官の意見書も出してもらった方がよいのではないか。
▲:
裁判官としての適性を人物面から見る場合に,裁判教官が,後輩として迎えるのが適切かどうかという観点で見るのが一番判断しやすいし,検察教官や弁護教官に全員について意見書を出してもらうまでの必要性があるのかという問題もある。
○:
裁判教官の意見書や採用面接結果の要旨は候補者全員について作成されるのか。
▲:
裁判教官の意見書は候補者全員について作成される。採用面接結果の要旨は候補者全員について作成することも不可能ではない。
○:
採用面接結果の要旨については,必要であれば口頭で説明してもらえばよい。
▲:
それは可能である。
○:
採用面接は何分くらい行われるのか。
▲:
平均すると10分くらいであるが,長い場合は30分くらいということもあり得る。
○:
改めて検察教官や弁護教官の意見書まで求めなくても,実務修習及び司法研修所における検察や弁護の評価で足りるのではないか。
○:
特にこだわるわけではないが,できるだけ多角的に見た方がよいのではないか。
○:
重点審議者の振り分けと指名の適否の審査は,1回の委員会で審議するのか。
●:
10月上旬に当委員会を開催し,そのときに両方審議することになるのではないか。
ボーダーラインと思われる者については,予め資料を準備しておき,それ以外にも重点審議者が出れば,その資料も用意して出すということになろう。
○:
この場合にも,面接を行った方がよいという例外的な場合は想定されないのか。
■:
まず成績等で振り分け,重点審議者が決まったら資料を追加してもらうこととし,それでも結論が出なければ,面接を行うことになるのではないか。
○:
成績で落ちる場合がほとんどである。面接して救うことを考えてはいけない。成績はいいが,人物面に問題がある場合には,面接して決めることも考えられる。
●:
必要な場合には別の日に面接することもありうるが,他の候補者については手続を進めて答申してもらいたい。
■:
司法修習生から判事補への任命の場合の審議の手順・方法については,審議資料4の2に記載の通りでよいか。
○:
異議なし

第2 関連記事その他

1 「メリットセレクションの視点からみた下級裁判所裁判官指名諮問委員会」(筆者は弘前大学人文学部准教授の飯孝行)には以下の記載があります(自由と正義2009年10月号17頁)。
(山中注:下級裁判所裁判官指名諮問委員会の)審議の基本資料は、新任(司法修習生からの判事補任官)の場合は司法研修所の2回試験の成績、裁判教官の意見書と採用面接結果の要約、裁判官再任(判事補の判事任官と判事の再任)の場合は各年の人事評価(所属庁の所長・長官による)の10年分の要約報告書、弁護士任官の場合は司法修習中の成績(弁護士経験10年未満の場合)、過去3年間の事件担当裁判官を含む関係者からの情報、候補者に対する最高裁判所事務総局の局長面接結果報告書で、裁判所の内部情報が主体である。重点審議者も、裁判所内部資料で絞られた後に、弁護士などから寄せられる外部情報に応じて追加される。
2 以下の記事も参照してください。
・ 判事補の採用に関する国会答弁
・ 裁判所職員定員法の一部を改正する法律に関する国会答弁資料等
・ 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律に関する国会答弁資料等
・ 判事補採用願等の書類,並びに採用面接及び採用内定通知の日程
・ 新任判事補の採用内定通知から辞令交付式までの日程
・ 司法修習生の検事採用までの日程
・ 集合修習時志望者数(A班及びB班の合計数)と現実の判事補採用人数の推移


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